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2015年9月24日木曜日

【HBR】なぜ動き回っていると働いている気になるのか―【私の論評】獲得すべきは、成果!民主党のように忙しく動きまわることではない(゚д゚)!


中央にいるキーパーがボールを止める確率は最も高く、33.3%なのだが?

フランチェスカ・ジーノ,ブラッドレイ・スターツ

ハーバード・ビジネス・レビューより

多忙による生産性の低下――つまり活動量と成果が比例していない状況に、どう対処すべきか。誰もが持つアクション・バイアス(とにかく行動しようという姿勢)を抑えることが有効だ。

自分は忙しいと感じている人は、手を挙げてほしい。その忙しさによって、むしろ生産性に支障が出ているという人はいるだろうか。ならばこの先を読み進めてほしい。

人はいとも簡単に、「忙しくしていたい」という誘惑に屈してしまう。たとえそれが生産性を下げることになってもである。私たちの脳がそのようにできているのだ。しかし生来のその性質を、成果へと転換できる方策がある。

諸研究を見ると、私たちがしばしば忙しいと感じる(しかし生産的だとは必ずしも感じられない)理由が2つある。どちらも、みずからが招いているものだ。

●人は何もしていない状態を嫌う
あなたの周囲にも、車の運転で数分間の信号待ちを避けるために、もっと時間がかかると知りつつ回り道を選ぶ人がいるはずだ。研究によれば、同じことが仕事にも当てはまるという。つまり、私たちが選んでいる行動の多くは、自分自身を暇にさせないための手段にすぎないのだ(英語論文)。

●人はアクション・バイアス(行動ありきの姿勢)を持つ
私たちは不確実性の高い状況や問題に直面すると、何か行動を起こそうとする。たとえそれが逆効果であり、何もしないことが最善の策であったとしてもである。

プロサッカーのゴールキーパーの場合を考えてみよう。ペナルティーキックでボールを止めるのに最も効果的な戦略は何だろうか。ほとんどの人は、自分なら右か左にジャンプするだろうと考える。だが最善の策は、中央に留まることなのだ。イスラエルの研究者らの調査によれば、右に飛んだキーパーがボールを止める確率は12.6%で、左に飛んだ場合は少しだけましな14.2%だった。一方、中央にいたキーパーがボールを止める確率は最も高く、33.3%であった(英語論文。世界各地のトップリーグに所属するキーパーを対象に286本のPKを分析)。

ところが、キーパーが中央に留まる頻度はわずか6.3%なのだ。どうしてだろうか。それは、反対の方向にダイブ(という行動)をしてボールを止められなかったほうが、動かずにいてボールが通り過ぎるのを横目で見ている屈辱と比べたら、まだ格好がつくし、気持ちも楽だからだ。アクション・バイアスはたいていの場合、「何をすべきかわかっていなくても、何か行動すべきだ」という感覚に基づく感情面の反応である。しかし行動を控え、観察し、状況を見極めるほうが良い選択となることは多い。

アクション・バイアスを持っていると、問題について十分に理解する前に、一足飛びに解決策を求めようとしてしまう。我々が実施したある実験では、被験者は課題を計画している時よりも、課題を実行している時のほうが生産的だと感じていた。特に時間の制約がある場合には、計画は時間の無駄だと考えられがちだった。課題にいきなり取り掛かるよりも、計画を立てるほうが実際には優れた成果に結びつくにもかかわらずである。

本当の成果よりも、「忙しくしていること」を選ぶのはたやすい。だが実際に生産的になることは、はるかに難しい。ではどうすればよいか。「振り返りの時間を持つ」ことが生産性を高めるのに役立つ、という事実を忘れずにいればよい。

我々はインドのバンガロールに拠点を置くビジネス・プロセス・アウトソーシング会社ウィプロで、技術サポートのコールセンターを対象にある実験を行った。そこでわかったのは、考えるという作業がパフォーマンスを向上させるということだ。研修を受けている従業員たちの中で、1つのグループには毎日講習の最後の15分間を使って、その日に学んだ内容を振り返って文章に記すよう求めた。別のグループは対照群として、振り返りの15分を与えず時間いっぱいまで講習を受けてもらった。すると1カ月後の最終テストで、毎日振り返りをしたグループは、対照群(振り返りをしない分、講習を15分長く受けていたグループ)よりも平均で22.8%良い成績を収めた。

振り返りによって、パフォーマンスがこれほど向上するのだ。なぜなら、そうすることで自分の今の状態をしっかり認識でき、進捗具合を把握でき、課題と目標を達成するうえで必要な自信が持てるからである。

このような思考は、計画の立案という形で実践しても有効だ。ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスのオリアナ・バンディエラの研究チームはあるフィールド実験で、インドの上場製造企業のCEO354人を対象に、仕事に関わる活動を1週間記録した。そして研究チームはCEOを2種類に分けた。タイプ①は、事前に計画を立て、直属の部下たちと多くの時間を過ごし、自社のさまざまな職能にある多くの人々と会議をするCEO。タイプ②は、事前に計画していない行動を多く取り、自社の従業員よりも社外の人と1対1で会う時間が多いCEOだ。すると分析の結果、より計画的なタイプ①のほうが、全社レベルでのより高い生産性と収益性に寄与していた(英語論文)。

優れたゴールキーパーのように中央に留まる姿勢を会得するためには、一歩下がり、考えることだけに時間を取り、その後に初めて行動を起こすことだ。振り返りの時間を持つことで、自分が何をやろうとしているのか、それが生産性を高めるのかを吟味できる。かつて、筆者の1人にとってのメンターである人物がこう言った――「忙しくすることで、考えることを避けようとしてはならない」と。

【私の論評】獲得すべきは、成果!民主党のように忙しく動きまわることではない(゚д゚)!

ハーバード・ビジネス・レビュー(HBR)はアメリカの有名な経営関係の論文を掲載する雑誌です。数年前までは、私も購読していました。最近は、時々気に入ったものが掲載されていると年に数回購入する程度です。

HDRの最新号の表紙

HBRを購読し続けていて、思ったのは、やはり記事のほとんどが、米国のものがほとんどで、扱われる問題が、日本とはまた異なるということでした。日本ほど長い間、デフレに見舞われた国はないので、日本の課題は過去15年くらいはデフレからの脱却や、デフレ経済下における対処法であったのですが、アメリカでは全く異なるということで、日本では大事ことが忘れ去られていることを実感させられました。

たとえば、人材採用についても、米国では様々なことが論じられていたものの、日本での採用の現場では、デフレでものが売れないため、結局採用するにしても、デフレの最中で無難な人材を採用するということで、いわゆる「コミュニケーション能力」の高い人材がもてはやされるという具合でした。

本当は、日本も高度知識社会に突入しているわけですから、コミュニケーション能力とともに、新しい事柄を短時間に自分で学び、それを仕事に適用していける力こそ、重要なのですが、モノの売れない時代には、このような能力があっても仕方ないので、そんなことよりも、共感力を含むコミュニケーション能力が重視されたのです。

そんなわけで、私は、HDRは少し前までの日本の状況とは異なる米国の状況に即した内容の論文を掲載していると感じたので、読んでもすぐに役に立つということもないと考え、定期購読はやめてしまったのです。

しかし、久しぶりで、上の記事を読んだところ、これは、今日の日本の状況を説明するために非常に役立つと考えたので、掲載させていただくこととしました。

さて、前置きが長くなってしまいましたので、そろそろ本題に入ります。

まずは、この論文は、なぜ民主党が安保法制反対の立場であのように動きまわっていたのかの理由を明らかにすると思います。

民主党が安保法案に反対した理由は、以下の三点につきます。これは、民主党のサイトから引用したものです。


政府の集団的自衛権行使を認める「新3要件」は基準があいまいで、自衛隊の海外での活動の歯止めにはなりません。

「新3要件」は立憲主義に反した便宜的・意図的な解釈変更であり、専守防衛の原則から明らかに逸脱しています。

政府が集団的自衛権を行使して対応すべきとする事例は蓋然性や切迫性が認めらません。邦人輸送中の米艦防護の事例は集団的自衛権の行使とは解されませんし、ホルムズ海峡の海上封鎖については日本が武力行使で解決すべき「日本の存立を脅かす事態」とは考えられません。


民主党のこの反対の理由は、あまりにも単純で、これらが間違いというか、見当違いであることはすぐに論破できます。「新3要件」に関しては、演繹法的、帰納法的な考えの区別がつけば、すぐに解消するものです。

以下に、演繹と帰納についてwikipediaから掲載します。
演繹(えんえき、: deduction)は、一般的・普遍的な前提から、より個別的・特殊的な結論を得る論理的推論の方法です。帰納の導出関係は蓋然的に正しいのみですが、演繹の導出関係は前提を認めるなら絶対的、必然的に正しいのです。したがって実際上は、前提が間違っていたり適切でない前提が用いられれば、誤った結論が導き出されることがあります。近代的には、演繹法とは記号論理学によって記述できる論法の事を指します。

これだけでは、何のことやら良く理解できないですから、以下に具体例をこれもwikipedia
から掲載します。
例えば、物体が落下するとき、重いものほど速く落ちるというのがかつての常識であった。これに対して詳しい実験からガリレオ・ガリレイは物体の落下時間が質量比例するものではないことを示ししました。これは帰納的な判断です。 
また、ここから彼は物体の落下速度は質量にかかわらず一定だろうと判断した。これはアブダクション(仮説形成)である。その後、様々な実験や研究から物体がそれに従うべき法則として万有引力の法則運動の法則が設定されました。

これが認められた後は、物体を落下させる実験を行わなくても、その落下時間は計算できるし、全く異なる条件下、たとえば金星で同じ実験を行った場合の結果についても値を得られます。これが演繹的な判断です。仮に実験結果が異なった値を取れば、実験の失敗を疑うか、そこに差を与える他の要素を探求することになるでしょう。なぜならば、その実験の範囲では、前提とする法則が正しいものと判断できた上での結果だからです。
法律は、帰納的に個別のものを扱うことにでもなれば、ありとあらゆる事例を対象としなければならないことになります。そんなことは、事実上不可能です。演繹的に考えて、定めるのは当然のことです。

ホルムズ海峡のときはどう、イラクの時はどう、朝鮮の場合はどう、中国の場合はどう、人質が絡んだ複数のパターンはの場合はどうなどと一々法律を定めていては際限がありません。法律は元々演繹的なものになるのが当たり前のことです。

民主党の主張のように、あのときはどう、このときはどうなどと言い出したら際限がなくなり、簡単な法律一つ定めるにしても、とんでもない数の条項が必要とされるようになります。これは、不可能です。

さらに、帰納的に様々な例をあげて論じることは、安全保障の面からも、非常に良くないことです。これは、敵国や、スパイなどに対して、日本の自衛隊や警察は、どのような状況になれば、どのような行動をとるのか、わかりやすく教えるようなものです。

こんなことは、どこの国でも実施してはいません。日本も当然、例外になるべきではありません。演繹的な考えで作成する法律には、場合によっては、法の隙間ができることは避けられません。この隙間は、附則をつけることで補ったり、それでも、対処できなければ、改定すれば良いわけです。

さらに、時の政府が法の隙間を利用して、悪事を働くというのなら、そのときこそ国民は、選挙で時の政府を潰せば良いのです。それが、民主的手続きというものです。だから、新三要件に関する民主党の指摘は全く妥当ではありません。

さて、次に集団的自衛権に関する民主党の反対なのですが、これも、民主党が基本的なことをわかっていないことを露呈しています。

そもそも、集団安全保障と、集団的自衛権は異なります。民主党は、これ自体も良く理解していないようです。

集団安全保障とは、潜在的な敵国も含めた国際的な集団を構築し、不当に平和を破壊した国に対しては、その他の国々が集団で制裁するという国際安全保障体制の一種です。

これに対して、集団的自衛権とは、ある国家が武力攻撃を受けた場合に直接に攻撃を受けていない第三国が協力して共同で防衛を行う国際法上の権利です。その本質は、直接に攻撃を受けている他国を援助し、これと共同で武力攻撃に対処するというところにあります

国連が本来、想定しているのは集団安全保障のための国連軍であり、その手続きは国連憲章の第7章にくわしく書かれています。集団的自衛権は、その末尾(第51条)に書かれているだけです。これは各国の「権利」を書いただけで、国連の活動についての規定ではありません。

これは、きわめて重要な相違です。集団安全保障は、憲法が想定している「諸国民の公正と信義に信頼して」行なう国連活動なのです。これを禁止すると、湾岸戦争ときのように世界から馬鹿にされることになるというだけではなく、いざというとき国連に助けてもらえないことになります。

しかし正式の国連軍は、朝鮮戦争や湾岸戦争を除いては、一度も結成されたことはありません。なぜなら、安保理事会で拒否権が発動されるからです。この難点を回避するために利用されるのが集団的自衛権です。国家の自衛権は自然権(国家として当然の権利)であり、国連が認める必要はありません。集団的自衛権は安保条約でも、国連憲章で最初から認められている権利であり、本来今さら閣議決定するような問題ではないのです。

ただし、国連の集団安全保障体制が機能しない現状には問題があります。集団的自衛権が違憲とする民主党は、「何でも反対」を叫ぶのではなく、国連部隊がもっと機動的に活動できる国連改革を提案すべきなのです。

一歩引いて、いろいろ情報を集めて、考えると、民主党の主張は全く的を射ていないことが良くわかります。

どうして、このようなことになるかといえば、このブログ冒頭の記事をご覧いただければ、良くご理解いただけると思います。以下の二点につきるのです。

●人は何もしていない状態を嫌う
●人は行動ありきの姿勢を持つ

民主党は、人ではありませんが、民主党という組織は人で構成されていて、その行動は幹部によって定められます。幹部が、何もしない状態を嫌い、行動ありきの姿勢を持っているから、安保法制に関しても、反対の行動ありきということで、動いたので、非生産的な結果を招いてしまったのです。

実際、政党支持率など見れば、良くわかります。

最近の調査では、民主党の支持率は、下がっています。自民党もさがっていますが、もともと30%台の支持率が、数%下がったという状態で、10%台の民主党も数%下がっていますから、この下がり方は、かなりのものです。実際には、自民党の下がり方よりも、さらに下がっています。

さて、ブログ冒頭の記事には、以下のようにこれらに対する対処法が書かれています。
本当の成果よりも、「忙しくしていること」を選ぶのはたやすい。だが実際に生産的になることは、はるかに難しい。ではどうすればよいか。「振り返りの時間を持つ」ことが生産性を高めるのに役立つ、という事実を忘れずにいればよい。
民主党は、本当の成果をあげることは捨て去り、安保法案に対案を出すこともなく、ただただ反対の行動をとり、国会でも皆さんご存知のように、委員長を監禁してみたり、必要もないくらい長い演説をしてみたりして、本当に生産性の低い行動を繰り返していました。

とにかく、民主党は重要なことには何でも反対です。それも、反対するならするで、それなりに、時間をかけて対案を出すということもせず、何をしているのかはわかりませんが、とにかく何か動いているようではありますし、安保法案審議のときには、下の写真のように、ものすごい動き方をしました。しかし、何も成果をあげていません。


これは、民主党の幹部が、「振り返りの時間」を持たずに、 本当の成果よりも、「忙しくしていること」を選ぶという安易な道を選んでいるからです。

そうして、これは民主党だけとは限りません、他の共産党などの安保に反対する野党も同じことです。そうして、「違憲」とか「戦争法案」などという報道を垂れ流したマスコミも同じことです。

安保反対デモなどをした人々や、SIELDsなどの若者も同じことです。無論、彼らのデモなどは、彼らの仕事ではありませんが、彼らも成果をあげることもなく、忙しく動くことで、意味のあること、意義のあることをしていると錯覚しているだけです。

結局彼らは、振り返る時間、考える時間を持たずに、行動を繰り返し、過去の60年安保、70年安保、PKO法案のときと同じく、何の成果もだせないのです。


いや、それだけに及びません。左翼だけではなく、ヘイトスピーチなどを繰り返す、右翼なども同じことです。実際、ヘイトスピーチだけでは、何の成果もあげることはできません。ただし、最近は安保反対で、マスコミが一斉に左翼の運動の報道をしたので目立っただけです。右、左、上下に関係なく、このような落とし穴にはまっている人は大勢います。

私たちは、このような愚かな行動をすべきではありません。一見何も行動していないように見える時間を持つことを恐れず、行動ありきという誘惑を絶ち、行動する前や、行動した後に「振り返る時間」を持ち、非生産的な行動を繰り返すことは慎み、成果をあげるための行動をすべきです。まさしく、忙しくすることで、考えることを避けようとしては、破滅的な結果を招くだけなのです。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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【関連図書】

新聞、テレビなどの報道を鵜呑みしていては、民主党のように、忙しそうにしているだけで、何も成果をあげられなくなります。そうなりたくない人々に贈りたい三冊の書籍を以下に掲載します。岡田さんあたり、この三冊を読めば、随分と民主党も変わると思うのですが・・・・・・。多くの人が目覚めて、成果をあげる行動をできるようになっていただきたいものです。

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