携帯電話最大手のNokiaはこのところシェア減少が止まらず、ハイエンドではiPhoneを提供する米Appleや米GoogleのAndroid OSを採用する韓国Samsungらと、エントリーでは中国メーカーの安価な携帯電話と、厳しい競争環境にある。そんな中、建て直しを任されたNokia CEOのElop氏が選んだ戦略は、Microsoftとの提携だった。
NokiaのWebサイトのトップページでもMicrosoftとの提携がアナウンスされている
Nokiaはこれまで、米Motorolaらと共同出資した「Symbian」、昨年米Intelと発表した「MeeGo」(NokiaのMaemoとIntelのMoblinをマージさせたオープンソースのモバイルOS)など自社開発といえるOS戦略をとってきたが、サードパーティのOSを採用するのは初めてとなる。Nokiaがこの日発表した骨子は、以下の通りだ。
主要スマートフォン戦略としてWindows Phoneを採用する
マーケティング、開発ロードマップなどでの取り組みをMicrosoftと共同で進める
Nokia製Windows Phoneの開発ツールは、Microsoftのツール技術を利用する
Nokia端末での検索サービスは「Bing」を利用する
Microsoftの地図サービスは「Nokia Maps」を土台とする
Elop氏とMicrosoft CEOのSteve Ballmer氏はロンドンで開催されたプレス発表会で、それぞれスピーチを行った。Elop氏は「ゲームは変わった」と述べ、現在の戦いを変えるためにMicrosoftと手を組んだと説明した。
Elop氏は2010年9月にMicrosoftから引き抜かれてNokiaのCEOに就任。今回の決断に至るまでを「複雑なジャーニーだった」と振り返る。Nokiaは2010年秋にSymbian Foundationの方針変更を発表、Symbianを自社下に入れることを明らかにした。これにより、同年2月にIntelと共同発表したMeeGoをハイエンドに、Symbianはエントリーにという方向を打ち出していた。
しかし今回、Windows Phoneの採用を発表。Elop氏はWindows Phoneを「主要なスマートフォン戦略」に採用するまで、数カ月かけていくつかの選択肢を検討したと説明しており、Samsung、Sony Ericssonなど多数のメーカーが採用するAndroidについては、差別化が難しく、コモディティ化のリスクなどの理由から選択しなかったとしている。
今回の提携についてBallmer氏は、Nokiaとの提携は独占ではないと述べており、Windows Phoneは引き続き他のメーカーも採用できるとしている。またElop氏は、最優先課題である北米市場でWindows Phoneは有利になるという読みも明かした。
NokiaとMicrosoftはともにお互いのブランドを活用でき、Microsoftは世界最大手のメーカーをリストに加えることになる。Nokiaの製造・流通チャネルを利用できるため、さまざまな価格帯、さまざまなユーザーセグメント、さまざまな地理的市場でWindows Phoneを展開できると両CEOは述べている。
2011年に登場が予定されていたMeeGoについては、予定通りに発表するという。だが、実験的な位置づけで、市場の反応を見て改めて計画を決めるとしている。Symbianについては、ローエンドで活用し、Windows Phoneへの移行期間中に1億5000万台程度を販売できるのではと予想している。なお、Windows Phone端末の開発を進めているのはSymbianの部隊であるという。
Nokiaは同日、組織再編も発表しており、携帯電話はスマートフォンの「Smart Deivces」、それ以外の携帯電話を専門とする「Mobile Phones」の2本柱とするようだ。なお今回のMicrosoftとの提携にタブレットは含まれないようで、タブレットについては「オプションを残している」としている。このほか、オープンソースのユーザーインターフェイス開発技術「Qt」はSymbian向け開発フレームワークとして展開していく計画を明らかにしている。(マイコミ・ジャーナルより)
【私の論評】デバイスは携帯だけじゃない!!
今回のノキアのこの発表を聴いて、どう思われたでしょうか?私は、ノキアにはもう将来はないかと思いました。なぜなら、携帯電話屋として、携帯電話にこだわりすぎているからです。現在の携帯電話は、もはや携帯電話でありながら、携帯電話ではありません。昔、インターネットやメールができる小型の端末がありました。そうです、いわゆる携帯情報端末(PDA)というものです。
このPDA一部を除いて、ほとんど姿を消しました。いまは、スマートフォンにほとんど集約されてしまいました。しかし、私はこの携帯情報端末という呼び方がすべてをあらわしているのではないかと思います。
もはや、携帯電話や、スマートフォンは電話というより、まさに携帯情報端末なのであり、音声通話は、それで扱ういくつものデータの一つに過ぎないということです。skypeやviberが普通の電話のように普及すれば、ますますその傾向は強まると思います。
このCEOの発言、差別化のことをばかり強調しています。おそらく、彼の頭の中には、スマートフォンしか頭にないのだと思います。しかし、このブログでも掲載したように、これから、「テレビは無論のこと、車、時計、電気・水道・ガス、炊飯器、オーブン、体重計、医療機器、ゲーム機器、インターフォン、メガネ、湯沸かし器、冷蔵庫などありとあらゆるもの、がスマート化され、クラウド・デバイス化されるのです。もう、パソコンや、iPhone、iPadの世界だけのことではなくなるのです!!」。だからこそ、私は、現在の多くのメーカーが現在のように、スマート・フォンやタブレットPCにばかり集中している状況を、ノキアにこそ破って欲しいと思っていました。
おそらく、これから、ほとんどのデバイスがいわゆるスマート・フォンに集約されていくと思います。今のスマート・フォンはカメラ、音楽プレイヤー、GPS、加速度センサーなど標準で添付されています。ほとんどのものは確かに、スマート・フォンで足りてしまうでしょう。
しかし、考えてみてください、すべての人がスマート・フォンに添付されている標準的なものに満足しているでしょうか?たとえば、カメラの世界はどうですか?多くの人が、スマート・フォンのカメラに満足しているでしょうか?確かに、iPhoneのカメラは格段に良くなりました。それでも、多くの人が、一眼レフや、ビデオカメラを購入するのはなぜでしょうか?無論、スマート・フォンのそれだけでは満足しないからです。
現在、デジタル・カメラのスマート化も進んでいます。wifiを利用して、外部のストーレージに画像データを蓄えられるようになっているものもあります。しかし、このあたりまだまだ、開発の余地かあるのではないかと思います。思ってもみなかったような機能を付加し、ユーザーを満足させることもできるかもしれません。
ノキアなどは、電話というデバイスでデザインから機能まで追求してきた企業です。こうしたノウハウを結集して、このような新たなデバイスに取り組み、スマートフォン、タブレットPC以外の新たなデバイスの形を提供することもできるのではないかと思います。
アップルが、一見何の関係もないようにみえた、パソコンの世界から携帯電話の世界に参入し、またたくまに、携帯電話の世界の席巻したように、携帯電話の世界から一見全く異なる世界に進出し、その業界を席巻するなどのことを考えてほしかったです。
無論、カメラは、デバイスの中の一つということにすぎません、ただ例として身近にあるものを出してみたまでです。しかし、世の中にはデバイスはたくさんあるわけですから、みようによっては、無限の可能性があるはずです。
しかし、ノキアがやらなくても、日本あたりのおもいもかけなかった企業が、とてつもないデバイスをそのうち考えるかもしれません。そようなデバイスが出てくるのが楽しみです。
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