安倍晋三首相と自民党の岸田文雄政調会長は3日、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で所得が減った世帯などを対象に、1世帯当たり現金30万円を給付する案で一致した。当初検討されていた1世帯20万円から10万円増えたことで大盤振る舞いのようにもみえるが、識者は「国民全員に10万~20万円配るべきだ」と指摘する。
住民税の非課税世帯の水準まで年収が落ち込むと見込まれる世帯や、収入が5割程度下がるなど急減した世帯が対象になる。所得制限は設けないが、減った後の月収が一定水準を上回る世帯は除外する方向で検討している。全5800万世帯のうち約1000万世帯が対象となる見通しだ。
政府は当初、1世帯20万円とする方針だったが、急遽(きゅうきょ)上積みが決まった。岸田氏は首相との会談後、「1世帯30万円という数字はもちろん大事だが、迅速に支給することは大事だと強調しておいた」と語った。
自民党の岸田文雄政調 |
2008年のリーマン・ショック時に麻生太郎政権が全国民に1万2000円(18歳以下2万円)を支給した定額給付金では、高所得者層も対象で貯蓄に回されるとの批判もあった。麻生氏の意向を岸田氏が汲み、安倍首相が、家計支援策を重視した岸田氏に花を持たせる形となった。
政治的にはこれでいいのかもしれないが、問題は生活保障と経済的な効果だ。
上武大教授で経済学者の田中秀臣氏は、「1000万世帯に30万円を配っても3兆円にすぎない。経済の落ち込みを防ぐには12兆~20兆円の規模が必要なので、国民一律10万~20万円給付すべきだ」と指摘する。
田中氏はさらに「フリーランスや自営業者などの場合、ここ2カ月で所得が減少したと書類で証明することも難しい。市区町村の窓口で自己申告するにも、審査の段階での混乱も予想される。このままでは日本経済は大きく減速したままになる」と警鐘を鳴らした。
【私の論評】この給付金はブームが去ったタピオカ店等だけを支援することになりかねない(゚д゚)!
これは、一律での現金給付ではなく、限定された対象への現金給付です。
これは低所得世帯への限定的な現金給付というのであって、決して「1世帯あたり30万円給付」などと報道するようなものではありません。
1世帯30万円給付と聞けば、自分たちも対象なのではないか、と期待感を膨らませて当然ではないでしょうか。
それはことごとく裏切られる形となりました。
現状で言えることは、香港で決定したような1人14万円支給などという一律給付、「普遍主義的」な現金給付ではなく、極めて「選別主義的」な現金給付です。
このような支給制限をおこなった選別的な現金給付は、支給される人とされない人を生むことになります。
そうなると、それぞれ応分の税や保険料を支払っている市民の間で、不公平感や分断、差別感情が湧いてくることは間違いないでしょう。
多くの市民が求めていたのは、1世帯か1人かは別にして、一律の現金給付ではなかったでしょうか。
これではもらえる層ともらえない層の摩擦を生みかねないし、期待をしていた人々の思いを嘲笑う結果だとは言えないでしょうか。
これは、一律での現金給付ではなく、限定された対象への現金給付です。
これは低所得世帯への限定的な現金給付というのであって、決して「1世帯あたり30万円給付」などと報道するようなものではありません。
1世帯30万円給付と聞けば、自分たちも対象なのではないか、と期待感を膨らませて当然ではないでしょうか。
それはことごとく裏切られる形となりました。
現状で言えることは、香港で決定したような1人14万円支給などという一律給付、「普遍主義的」な現金給付ではなく、極めて「選別主義的」な現金給付です。
このような支給制限をおこなった選別的な現金給付は、支給される人とされない人を生むことになります。
そうなると、それぞれ応分の税や保険料を支払っている市民の間で、不公平感や分断、差別感情が湧いてくることは間違いないでしょう。
多くの市民が求めていたのは、1世帯か1人かは別にして、一律の現金給付ではなかったでしょうか。
これではもらえる層ともらえない層の摩擦を生みかねないし、期待をしていた人々の思いを嘲笑う結果だとは言えないでしょうか。
これでは、例えば最近のタピオカブームにあやかろうと、脱サラしてタピオカ店を経営し始めた人を支援することになるではないでしょうか。
そもそも、タピオカがブームになったのは初めてのことではないのはご存知の通りでしょう。最初は1990年代前半、エスニック料理のブームにともなってココナッツミルクに白いタピオカを入れた「タピオカココナッツミルク」が人気を博しました。そもそもタピオカはキャッサバのでんぷんを粒状にしもので、本来は白っぽい色をしています。ブラックタピオカはこれをカラメル色素で着色したものです。
そして、2度目のブームは2008年。台湾のタピオカドリンクブランドが日本に上陸したことをきっかけに、コンビニでもミルクティーにブラックタピオカを入れたタピオカミルクティーが販売されるようになりました。
そうして、第一次ブームや第二次ブームが終了した後には、無論多くのタピオカ店が、閉店しました。
やがて人気は落ち着いたものの、2013年に元祖タピオカミルクティーの店「春水堂」が日本に出店。日本で台湾人気が高まっていたこともあって、これを契機とみた台湾のチェーン店が次々と上陸し、第三次ブームの火付け役となりました。
やがて人気は落ち着いたものの、2013年に元祖タピオカミルクティーの店「春水堂」が日本に出店。日本で台湾人気が高まっていたこともあって、これを契機とみた台湾のチェーン店が次々と上陸し、第三次ブームの火付け役となりました。
脱サラしてタピオカドリンク店の開業を夢見る方のほとんどが、今の盛り上がりをビジネスチャンスと捉えていることでしょう。ブームに乗るという感覚は決して間違ってはいません。
ただ、ブームというものはテレビや雑誌、ネット記事に取り上げられ、世間に知れ渡った時点でピークを迎えていると思ったほうが良いです。実際、タピオカドリンク店が点在する繁華街を歩けば、以前より行列が減っているのがわかるはずです。
ただ、ブームというものはテレビや雑誌、ネット記事に取り上げられ、世間に知れ渡った時点でピークを迎えていると思ったほうが良いです。実際、タピオカドリンク店が点在する繁華街を歩けば、以前より行列が減っているのがわかるはずです。
「タピオカ」という単語を含む新聞記事数の検索結果(全国紙5紙が対象)
注:19年は8月20日時点(出所)日経テレコン
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その点、チェーン店はその流れをしっかりと抑えています。恐らく今はファンドに売るか、撤退の準備をしているところだろうと予想されます。ブームになると見たら一気に出店し、1~2年で儲けて撤退するのです。チェーン店はそういう戦略で仕掛けてくるのが常です。何十店舗も展開するので、多少の赤字店舗があってもグロスで儲けが出れば良いのです。長く経営を続けていきたい個店開業者とは元々の発想が違います。
ただし、足腰の強いチェーンは、ブームが下火になっても持ちこたえて、日本にタピオカドリンクが本格的に根付くかもしれません。現在生き残っている飲食チェーンのほとんどが、このような道をたどってきたのです。個人で営業している飲食店もこのような厳しい環境を生き抜いてきたので、現在生き残っているのです。
夏は冷たい飲み物が売れるので、今回のコロナウイルス禍がなけば、タピオカドリンク店の淘汰が始まるのは今年の秋以降だったでしょう。しかし現在では、もうすでに個人営業のタピオカ店は淘汰されかかっているのでないでしょうか。もちろん、タピオカドリンクもある程度の市民権を得ていますから、個人営業のタピオカ店も全く消えるということはないでしょうが、ほとんどが淘汰されてしまうことでしょう。
タピオカ女子 |
これはタピオカドリンクに限った話ではありません。今、同じようにブームが起きている「高級食パン」の会社もすでにファンドに売りが出ているため、淘汰が始まっていると考えられます。
まだ食パンは日常食ですからカフェを併設するなど、工夫次第で生き残る可能性はあります。しかし、タピオカドリンクはどうでしょうか。10年ほど前、ブームに乗って破産した脱サラ開業者が話題になった「白いたい焼き」の二の舞になりかねません。
ちなみに、「しろい鯛焼き」は、その名の通り白い色のたい焼きです。材料にタピオカ粉などを使うことにより色が白くてモチモチした食感のたい焼きが出来ます。さらに冷やして食べても美味しいので新しいスイーツとして大ブレイクしました。
これは、たまたまタピオカ店を例にだしただけですが、武漢ウイルス禍とは関係なく、同じようにもともと下火になるビジネスはいくらでもあると思います。
このブログの読者なら、私が以前函館に居住していたてことをご存知だと思いますが、函館では十数年前に、「おからドーナツ」がかなり流行った時期があります。私としては、別に興味もなく食べたことはなかったのですが、案の定最初にブームになった専門店はなくなってしまいました。ただし、今で「おからドーナツ」も販売している店はあるようです。地方にもこのようなブームはあるようです。
今回の「1000万世帯に30万円を配る」という施策は、こうした個人経営タピオカ店等の経営者に対する支援ということになってしまう可能性が大です。何とか持ちこたえて、本来ならばこれからも継続できる店などを救うことにはならないかもしれません。
無論何をしても不平等は残ると思います。しかし、一律に一世帯あたり、10万〜20万の支給をするといううのなら、話は違います。不平等感はあまりないです。それに、支給対象を絞るということになれば、悪質な給付金詐欺が横行する可能性もあります。
支給には時間がかかりそうですから、極端なことをいえば、その間に店等を出店して、売上をあげておいて、その後売上があがらないふりをすれば、給付の対象となります。そうした店を複数人で開業すれば、複数人の世帯に給付金がおりることになります。
これは、単なる私の思いつきですが、普段は禄に働きもしないのに、こういうことには図抜けた才能を発揮するおかしな人が大勢います。このような人が様々な手立てを考えて、今から不正受給に備えているかもしれません。
2008年のリーマン・ショック時に麻生太郎政権が全国民に1万2000円(18歳以下2万円)を支給した定額給付金では、高所得者層も対象で貯蓄に回されるとの批判もありましたが、これは全くの見当違いです。
たとえば、給付金を非課税所得ではなく一時所得扱い(つまり何もしないということ)にすれば、収入の多い人は実質減額され、収入の少ない人はより多くもらえます。これで調整がなされるはずです。さらに、貯蓄にまわされていた給付金も将来の消費に回ることになります。1万、2万ならともかく、高額所得者も10万円くらいなら、いずれ何かに使おうと考えることでしょう。
それに、定額給付金に反対する人は不平等ばかりに目がいって、この対策が単に弱者救済自体だけではなく、日本全体の経済が急激に落ち込むことを防ぐという役割があることや、直近で収入があったとしても、解雇されたり、賃金が削減されて、明日の100万よりも、今日の1000円といういう人も大勢いる、当座を乗り切れば、事業を継続できるという小規模事業主もいるということなど眼中にないのではないでしょうか。
貧困世帯などには、一度の給付金で終わらせることなく、さらに世帯を絞った第二弾の支給金を配布するなどのことも実施すべきです。こうすれば、「金持ちや国会議員にまで、支給される」という近視眼的な人も納得するのではないでしょうか。
今回のコロナ禍のショックは凄まじく、一度の支給金で経済の急激な落ち込みが防げないと思います。何度か実行すべきですし、消費税厳然もなるべくはやいうちに実行すべきです。
このブログでも以前主張したように、財務省の言うように、給付金と消費税減税の二者択一などという問題ではありません。できることは、何でも、何度でも実行すべきです。そうして、日本政府はそれが十分できる余力があります。財務省はそうではないと強弁しますが、それは全くのまやかしです。
所得制限をした給付金は、制限を確認するのにかなり時間がかかります。時間たってから、給付されるというのなら、本当に必要なときの支給が間に合わなくなってしまいます。
「1000万世帯に30万円を配る」方針は4月7日に正式に決定される予定です。
それまでに皆さんの意見を何でもいいので、首相官邸や与野党の国会議員、マスメディア各社に届けてほしいです。
例えば、首相官邸のホームページから意見や要望を寄せることが可能です。
大事なので、繰り返しておきますが、1世帯一律の30万円現金給付ではありません。
国民全体が大きなダメージを負った経済危機に対して、給付対象をこれほど絞って良いのでしょうかか。ぜひ主体的に考えてほしいです。