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2019年8月2日金曜日

「民主主義の要塞」台湾を訴えた蔡英文カリブ歴訪―【私の論評】台湾が中国に飲み込まれれば、次に狙われるのは日本の領土・海域である(゚д゚)!

「民主主義の要塞」台湾を訴えた蔡英文カリブ歴訪

岡崎研究所

台湾の蔡英文総統は、7月11日から22日の日程で、台湾と国交のある、カリブ海のハイチ、セントクリストファー・ネービス、セントビンセント・グレナディーン、セントルシアの4カ国を歴訪した。さらに、往路と復路の途次で、米国(往路はニューヨーク、復路はデンバー)に2泊ずつ滞在した。訪問したカリブ海諸国では熱烈な歓迎を受けたようである。



蔡英文は今回の外遊を「自由、民主主義、持続可能性を求める旅」と銘打った。7月13日にコロンビア大学で行った演説が、その意図するところをよく示しているので、要点を紹介する。

・台湾が現在直面している試練は、過去数十年間で克服してきたものとは全く異なる。21世紀、全ての民主国家は同じ試練に直面している。世界中で自由がかつてない脅威に晒されているからだ。我々は、まさにそれを香港で目撃している。「一国二制度」下での香港の経験は、権威主義と民主主義が決して共存できないことを示している。権威主義は、機会さえあれば、民主主義のほのかな光をも抹殺しようとするだろう。その過程は、殆どの者が気づきさえしないほど、徐々に、巧妙に進行する。

・我々の物語は、価値が重要であることを示している。両岸で文化的、政治的相違は日に日に拡大している。台湾が言論の自由、人権、法の支配を選べば選ぶほど、権威主義の影響から遠ざかっている。まさに台湾の存在が、民主主義が最も貴重な資産であることを示している。我々はそれをどんな犠牲を払ってでも守らなければならない。台湾は日に日に、情報化時代に特有の新たな脅威に直面する最前線となっているが孤独ではない。世界中の国々が今や、権威主義国家による浸透作戦と戦っている。彼らは、民主国家の出版の自由を悪用し、我々が自分たちの政治制度に疑問を持ち、民主主義への信頼を失うように仕向けている。台湾は長年こうしたことと戦ってきたので、世界にその経験を提供し得る。

・民主主義は、もう一つの試練にも直面している。多くの国が、民主主義と経済発展との選択を迫られている。しかし、台湾は、民主主義と経済発展が相互依存の関係にあるだけでなく、決定的に絡み合っていることを、世界に示し続けている。台湾は、対中依存により両岸問題での自主性が限られていたが、経済を改革し、外国投資を呼び込んでいる。我々は、地域における、ルールに基づく貿易秩序において建設的な役割を果たしている。世界中の多くの国が債務の罠に陥る中、我々は、持続可能な協力にコミットし、相互発展を強調する。ここでも台湾は、世界中に建設的な発展のモデルを提供している。我々は、侵奪的行為に反対し、誠実で開放的な協力が本物の長期的な結果を生み出していることを証明している。

・台湾の生存は、両岸関係にとどまらない影響を持つ。我々はインド太平洋における民主主義の枢要な要塞であり、世界中が我々の民主主義の将来を注視している。

台湾が自由、民主主義の最前線であり、台湾の問題はひいては民主主義世界にとって他人事ではないというのが、蔡英文の最近の常套的表現であるが、上記演説からも分かる通り、今回の外遊は、それを力強く象徴するものであると言える。権威主義の脅威、すなわち中国の脅威を訴えかけるとともに、台湾がインド太平洋の民主主義の要塞であるとして、米国のインド太平洋戦略に台湾を位置付けている。米中対立が「文明の衝突」の様相を帯びる中、蔡英文の論理は説得力を増していると思われる。

今回、米国は往路と復路で2泊ずつの滞在を認めたが、これは異例の厚遇である。米国の台湾重視が見て取れる。蔡総統は米議員とも会談した。さらに、ジェームズ・モリアーティ米国在台協会(AIT)理事長が米国滞在中のほぼ全行程に同行したほか、11日に駐ニューヨーク台北経済文化弁事処(総領事館に相当)で開催された式典には、台湾と外交関係を持つ17か国の関係者が参加、そのうちバチカンを除く16か国は国連大使が出席した。台湾の総統が米本土にある窓口機関に立ち入ったのは今回が初めてである。これまでは対中配慮から、そうしたことは認められてこなかった。台湾と外交関係を持つ国の国連大使が、台湾の総統の招待に応じて一堂に会したというのも、中国の厳しい切り崩しにより台湾と断交する国が続出する中、台湾にとり心強いことであった。ただ、もちろん、中国による切り崩しは今後とも厳しさを増すことは間違いない。しかし、いずれにせよ、今回の外遊は、米台関係の深化を強く示すものであったと言えるだろう。

【私の論評】台湾が中国に飲み込まれれば、次に狙われるのは日本の領土・領海である(゚д゚)!

中国が台湾に対する圧力を強めています。中国政府は7月31日、台湾への個人旅行を8月1日から全面的に禁止することを発表しました。個人旅行の禁止は異例の措置で、期限は示されていません。中国文化観光省は「現在の両岸(中台)関係のため」と説明しています。

さらに中国は、7月28日から台湾近海の2カ所の海域を航行禁止区域に指定。その理由は、浙江省沖と広東省沿岸で、軍事演習を行うためだとしています。

中国は経済的・軍事的に台湾に圧力をかけ、来年1月の総統選で再選を目指す蔡英文陣営をけん制しています。

中国が圧力を強める背景には、米台関係接近への警戒感があります。

カリブ海4カ国歴訪の出発に前に談話を発表する蔡英文総統(11日、台湾北部の桃園空港)


冒頭の記事にもあるとおり、蔡氏は7月に、カリブ海諸国への外遊の経由地として米国を訪問。米ニューヨークで、外交関係のある各国大使と面会し、コロンビア大学で演説などを行いました。5月には、台湾の国家安全会議(NSC)の李大維(り・だいい)秘書長が、ボルトン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)と会談。NSC高官が国家安全保障問題補佐官と会談したのは、米台が1979年に断交して以来初めてとなりました。

米国も、台湾重視を鮮明にしています。台湾に対する武器の輸出をめぐり、従来の複数案件を1度に通告する「パッケージ方式」から、個別に通告する「FMS方式」に切り替え、迅速に輸出できるようにしました。戦車や地対空ミサイルなどを台湾に売却することを承認し、台湾の国防力強化を具体的に支援しています。

こうした米台関係の動きに、中国は反発しています。

米台vs.中の対立が浮き彫りになる中、中国に対抗すべき日本の外務省は、中国人のビザ申請を電子化し、観光客を増やそうとしています。昨年の訪日外国人観光客数では、中国人が最多の838万100人。インバウンドを増やして、観光産業を活性化させようとしています。

しかし、中台関係や現在の中国の経済情勢をみると、日本の外務省の方針は無警戒すぎるというか、幼稚なのではないでしょうか。商売や事業のセンスがない官僚の考えは、煮ても焼いても喰えないようです。

尖閣付近の中国公船

周知の通り、日中は尖閣諸島などをめぐって対立しており、緊張関係にあります。尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺の領海外側にある接続水域で2日、中国海警局の船4隻が航行しているのを海上保安庁の巡視船が確認しています。尖閣周辺で中国当局の船が確認されるのは13日連続です。

台湾と同じように、中国は観光客の増減をコントロールすることで、日本を支配下に置こうとするでしょう。日本としては、対中依存度を高めることは危険であり、リスクの少ない国の観光客を増やすべきです。

それに中国では、もう随分前から急速に外貨準備が減少したことで、中国政府は「外貨の流出を抑えたい」と考えるようになりました。そして、人民元の防衛に動き出しました。

例えば、輸入関税の税率を引き上げました。16年4月から、高級時計の関税率を30%から60%に、酒・化粧品などの税率も50%から60%に引き上げたのです。

また、16年1月から銀聯カードを使った海外での現金引き出し限度額を年間10万元(約160万円)に制限しました。日本での消費がますます減るのではないかとの見方が浮上しています。これ以外の為替に関する規制も強化傾向です。この状況は、米中貿易戦争が激しくなった昨今では、さらに顕著になりつつあります。

このような状況から、中国人観光客が増えることは、単純に喜べるようなものではなくなりました。ただし、従来の中国人のいわゆる爆買いも、日本経済全体からみれば微々たるもので、これで日本経済がどうのこうのと論ずるのは正しくはありませんでした。

ミクロ的にみれば、中国人観光客で潤う小売店などももあったでしょうが、このような小売店も、いつどうなるか不安定な中国人の消費をあてにするのではなく、まずは日本国内の顧客を呼び込む努力と、中国に比較すれば、不安定要因の少ない先進国顧客などを増やすを努力をすべきでしょう。

日本は、中台関係の情勢変化を自国のこととして捉え、中国への融和政策を転換し、対中依存度を下げる対策を急ぐべきです。

そうして、日本は中国はいざとなったら武力を行使するということを懸念すべきです。その第一歩が、この台湾への個人旅行暫時停止令とみなすべきです。軍靴の足音は、既に目の前まで迫っているのです。



台湾が中国に飲み込まれれば、次に狙われるのは第一列島線です。日本の領土や領海が狙われるのです。にもかかわらず、安倍首相は習近平国家主席に「一つの中国」を守ることを何度も誓っています。これは、「台湾の独立を絶対に認めず、台湾は北京政府のものだ」ということを誓っていることです。

日本はこのままで良いのでしょうか。香港や台湾の若者たちの必死の叫びを座視していて良いのでしょうか。

経済界は目前の利益を追うでしょうが、中国が海洋進出の意図を顕にし、米中冷戦で将来が見えない現在それは、真の日本の国益に適うわけもありません。中国は長期的にみれば、凋落するのはもはや明らかです。長期的戦略と展望を練っていくのが国家であり政権であるはずです。

日本は、韓国に対する貿易管理の強化を実行していますが、これは韓国政府の行動がハチャメチャで仕方ないですが、本当に強化もしくは制裁するにふさわしい相手は中国であるはずです。習近平は実はこれをかなり脅威に感じているはずです。

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