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2012年11月6日火曜日

【万里の長城遭難】現地任せでツアー強行 大雪、コース下見なし…-【私の論評】私がドラッカー氏に救ってもらったトムラウシ山の教訓が生かされなかったのはなぜ?

【万里の長城遭難】現地任せでツアー強行 大雪、コース下見なし…:

記者会見で事故への対応等を説明するアミューズトラベルの板垣純一総務部課長(中央)ら=6日午前、東京都千代田区
平成21年に北海道・トムラウシ山で登山客ら8人が凍死した遭難事故の直後、観光庁はツアーの安全確保に問題があったとして、アミューズトラベルに業務停止(51日間)の処分を下した。今回の事故と符合する点も少なくなく、観光庁は近く、アミューズ社に対し、旅行業法に基づく事情聴取や立ち入り検査を行う方針。ルート設定や安全対策に問題はなかったのか。


【私の論評】私がドラッカー氏に救ってもらったトムラウシ山の教訓が生かされなかったのはなぜ?

現場近くの万里の長城。これは、山だ!!
このブログには、平成21年(2009年)に発生した、トムラウシ山での遭難事故について掲載したことがあります。

大雪山系遭難:「寒さ、想像超えていた」 ツアー社長会見―ドラッカーが救ってくれた苦い経験のあるトムラウシ山

詳細は、上の記事を読んでいただくものとして、いずれにしても、今回は万里の長城ということで、場所も条件も異なりますが、結局トムラウシ山での教訓が全く活かされなかったということです。全く残念です。この記事では、私自身が、トムラウシ山で遭難しかけたことを掲載しましたが、結局遭難はしませんでした。遭難しなかったにはそれなりのわけがあります。


第一には、寒さ対策だったと思います。トムラウシ山に行く前に、結構寒い思いをしたので、その後山に登る際には夏であっても、自分自身も、他の人たちにも、寒さ対策を十分に行うようにさせていたことが、遭難しないで済んだ最大の理由だと思います。他にも、ドラッカーが言っていたことで非常に役に立ったことがありました。これも、大きな理由の一つです。

ドラッカーが言っていたいたこととは、以下のようことです。以下に要点だけコピペしておきます。詳細は、元記事をご覧になって下さい。

これと同じ状況(管理者注:私達がトムラウシ山で迷ったこと)に陥ったあるパーティーの中に、ある男が地図を持っていて、その男がその地図を見ながら、自信をもって、あっちの方角に行けばよいと言ったので、みんなが、その男の言うことを信じて、その方向に進んでいき事なきをえたというものでした。 
しかし、実は、その男が持っていた地図というのは、その山の地図ではなかったそうで、全く関係ないところの地図だったそうです。この事例を出してドラッカーがいいたかったことは、企業経営にとっていかにビジョンが重要であるかでした。人は、行くべき方向がわかれば、安心する、力を結集するというものでした。そうして、ビジョンがたとえずれていたとしても、全くないよりははるかに良いことを力説していました。 
そのとき、わたしは、この話を思い出し、たまたま、札幌市内の地図を持っていたので、さっそくその地図を広げながら、「これは、この近辺の詳細地図です。あっちの方向に進めば間違いありません」とメンバーに言ったところ、あれだけ仲間割れしていたいたのに、たちどころに皆が同意して、私の言うことにしたがってくれました。私自身も、ほとんど勘で言っているだけですが、皆が私につきしたがってくれてたので、非常に安心感を持つことができました。
そうして、結局は遭難はせずにすみました。やっぱり、装備がまともで慌てないということが重要なことであると思います。こうしたことが、過去にあったので、トムラウシ山のあの遭難事件は、今でもはっきりと記憶に残っています。そうして、個人レベルでは、このような準備や心構えが絶対に欠かせないと思います。

山と名のつくところには、こんな格好で絶対に行ってはいけません。寒さに対する装備はかかせません!
今回のこの遭難者を出してしまったツアーなど、細かなことは本題ではないので、他のサイトに譲ることにしますが、結局現地任せで、現地では下見もせず、大雪であったにもかかわらずツアーを強行し今回の遭難事故になってしまったということです

さて、このツアー会社ほんの少し前に、同じような過ちをしていたのに、なぜ、また同じような過ちを繰り返したのでしょうか?この質問への回答は、要するに「危機管理体制」が全くできていなかったということだと思います。そうして、危機管理とは、テロ、事件、事故または災害の不測の事態に対して、被害を最小限にするための手段であり、クライシスマネジメントともいわれています。これが、最も妥当な答えであり、これは、誰も否定することはできないでしょう。

しかし、もっと根源的な質問があります。死者も出したような甚大な大失敗をしたにもにかかわらず、なぜこのような遭難事故が再び起こしてしまうような、杜撰な危機管理しかできなかったのかというものです。これには、たとえば、行政による監視機能とか、ツアー客の自己責任とか、いろいろな考え方があるとは思いますが、それは、さておき、このアミューズズ・トラベルという会社の経営という側面から述べます。

冬山でこの格好では、すぐに死んでしまいますね!!寒さ対策が必須です。それは、夏でも同じことです。
以前の記事でも、ドラッカー氏の話をだしましたが、今回もドラッカー氏の言っていることから教訓を導き出します。ドラッカー氏は、企業の自己目的が「企業利潤極大化」にかわって、「企業の生存」であるとする「企業生存説(theory of corporate survival)」を唱えました。このドラッカーの企業生存説に関するコンセプトは危機管理と深い次元でつながっています。

企業の危機管理を考える場合、収益性や生産性という視点に加え、広い意味での「企業の社会的責任」、あるいは「経営管理者の能力と育成/労働者の業績・態度」の確保こそが重要な条件となります。

そして、ドラッカーが主張していた「企業は継続(ゴーイング・コンサーン)するために利益を得るべきであり、利益を得るためだけに継続するのではない」、「企業が生存するためには、企業の生存に致命的な影響を与える各種領域ごとに一定の目標を設定し、この維持に最低必要な成果を確保すること」という原則があるということ、そして事業継続計画/事業継続管理の原点をいまいちど噛みしめる必要があると思います。

企業は、存続して顧客に奉仕しつつけることに意義がある!!
要するに、この企業の経営者は、企業の継続性(お客様にサービスを提供し続ける)ことよりも、目先の利益だけにとらわれて、安全性など無視して、結局企業の継続性を危うくしたということです。まったくもって、本末転倒です。この会社は、利用しないほうが良いです。本日、ホームページを検索してみたら、一時休止という表示がでていました。多くの人たちの苦情が殺到したので、休止したのだと思います。

おそらく、この会社、もう継続することはできないと思います。この経営者は、結局一時の利益と、会社の継続という二つ事柄を天秤にかけて、一時の利益をとったということです。経営者としては、あるまじき行為だと思います。皆さんは、どう思われますか?




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