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2018年1月23日火曜日

【田村秀男のお金は知っている】外貨準備増は中国自滅のシグナル 習近平氏の野望、外部からの借金なしに進められず―【私の論評】頼みの綱の一帯一路は幻影に過ぎない(゚д゚)!

【田村秀男のお金は知っている】外貨準備増は中国自滅のシグナル 習近平氏の野望、外部からの借金なしに進められず


 新聞各紙は「中国の外貨準備、3年ぶり増加」(日経新聞8日付朝刊)などと報じた。日経新聞は北京の資本規制によるものと解説しているが、それだけでは習近平政権の窮状がわからない。(※1月13日の記事を再掲載しています)

 中国の外準の増加は外部からの外貨による借金で支えられているだけで、外準が増えることは中国経済の強さではなく、脆弱(ぜいじゃく)さを物語るのだ。

 まずはグラフを見よう。習政権発足後の外準、対外負債の推移を追っている。外準の減少が昨年初めに底を打ち、徐々に持ち直してきたのだが、トレンドは2014年後半以来、下向きが続いている。対照的に対外負債は増え続け、昨年9月時点で負債は外準の1・6倍以上に達する。

 1年前と比べた増減を見ると、外準は昨年12月にプラスに転じたものの、15年初めから昨年9月まではマイナス続きだ。負債のほうは16年末から急増し、その一部が外準に流用されている。負債は外国からの直接投資と外債発行や融資に分かれるが、昨年からは外債・融資が急増している。直接投資のほうは外資の撤退が相次いでおり、新規投資から撤退分を差し引いた「純」ベースは黒字を保っているものの急減している。

 外部からの投資と言っても、多くは中国や華僑系企業が香港経由でケイマン諸島などタックスヘイブン(租税回避地)に設立したペーパーカンパニーによるもので、逃げ足が速い。不動産バブル崩壊不安が生じると、途端に引き上げる。しかも、中国系企業は資本逃避の術を心得ているので、当局の規制の網の目をくぐり抜ける。

 そこで、習政権はルールに従う日米欧などの外資系企業に目を付け、さまざまな難癖や規則を持ち出し、あの手この手で外貨の対外送金に待ったをかける。

 他方で、中国人の海外旅行者はアリババなどのスマホ決裁を利用して、日本などでショッピングする。代金は中国国内の銀行口座から引き落とされて対外送金されるので、それも外貨流出要因だ。安心・安全で高品質の日本製品は共産党幹部とその家族も欲しいから、購入を規制しない。おかげで、東京や大阪の百貨店や家電量販店、レストランなどはほくほく顔で、スマホ決済を受け入れる店舗が急速に増えている。

中国の企業が開発したスマホ決済システムの決済画面
 おまけに、トランプ米政権の大型減税や米金利上昇のあおりを受けて、中国からの資金流出圧力は高まる一方だ。思い余った習政権は今月からカードによる海外でのカネの引き出しを制限したようだが、中国人にとって対外送金の抜け道はいくらでもある。

 こうみると、習氏が日本に対し、アジアインフラ投資銀行(AIIB)や広域経済圏構想「一帯一路」への参加を懇願する理由がよくわかるだろう。中国は外部からの借金なしには、習氏の野望を前進させられない。

 人民元国際化は打開策だが、海外で元の自由市場が生まれると、中国本土の元管理相場が脅かされる。習氏の膨張主義は限界に直面している。日本は一帯一路など手助け無用だ。(産経新聞特別記者・田村秀男)

【私の論評】頼みの綱の一帯一路は幻影に過ぎない(゚д゚)!

上の記事簡単にいってしまうと、中国の外貨準備は対外負債によって賄われているということです。トランプ大統領の訪中は、「総額2500億ドル(約28兆円)相当の大型商談」のサプライズで終焉しましたが、この商談も借金によって賄われているということです。

この他にも中国は世界各地で大盤振る舞いをしていますが、それも借金によるものとということです。日本は、対外純金融資産(要するに外国に貸し付けているお金)が、世界一であることからみても、このような状況からは程遠い状況ですし、日本の外貨準備は無論海外からの借金で賄っているものではありません。

そのため、高橋洋一氏などは、円高ではなくなったことから、含み益もでてきたこの外貨準備の含み益分を取り崩して経済対策に使えと主張しています。日本は、そのようなことをやろうと思えばすぐにできます。ただし、とにかく何でも溜め込みたい財務省はなかなか首をたてに振らないので、できないだけです。しかし、日本が本当に金に困れば、これは財務省も使わざるを得ないことになるでしょう。

しかし中国の場合は、これは外国からの借金で賄っているわけですから、他の目的につかうことはなかなかできないわけです。これらの金は、AIIBや一帯一路で用いるのでしょうが、これも限界があります。

過去の中国は、国内のインフラ投資で経済を急速に発展させてきましたが、それも限界です。そのため、海外でインフラ投資をしてそれによって過去のような成長を維持させようというのが、AIIB、一帯一路の最終目的です。


しかし、AIIBも一帯一路もうまくはいかないでしょう。AIIBは結局のところ、アジア開発銀行(ADB)が銀行だとすれば、高利のサラ金のような事業しかできず先細りになるだけです。一帯一路に関しては、すでに世界には最適な航路などの輸送手段が合理的につくられてしまっているところに、今更中国が主導でそれをつくったとしても、さらに最適なものをつくることは不可能です。

そもそも、現在ある物流インフラは、人為的につくられたものではなく、各国の輸送業者などが、長年にわたって死に物狂いの競争を繰り広げた結果できあがったものであり、そこに後から中国が人的に作成してそれを上回るインフラをつくれるはずもありません。

シンガポールをハブとした東南アジアの物流
それでも、中国は無理やり資金を投下して、コストパフォーマンスの良さを演出するかもしれませんが、これも長続きはせず、結局破綻します。もし、これがうまくいくというのなら、社会主義・共産主義もうまくいっていたはずです。

中国は大きな妄想を抱いています。中国国内では、特に優れたノウハウがなくても、金貸しや、インフラの整備に成功したかもしれませんし、失敗して人民の不満が爆発してもそれを抑えることができましたが、外国相手ではそうはいきません。

もう、すでに綻びがではじめています。いつまでも対外負債にたよって、海外に投資を続けることなど不可能です。本来であれば、中国国内で内需を拡大してさらに経済を大きくするなどのことをして、それを実行すべきなのでしょうが、中国にはそのノウハウがないですし、そのためには、民主化、政治と経済の分離、法治国家化は避けて通れないのですが、それを実行すると現中国の体制は崩壊します。

一帯一路で中国主導のインフラ整備を行う、そのための資金提供を行うという中国の目論見は単なる幻影にすぎません。今のままでは、八方塞がりで、自滅するしかありません。

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2017年9月17日日曜日

予算編成「100兆円超え」は財政危機のシグナルではない―【私の論評】財務省には日本国を統治する正当性はない(゚д゚)!


裏には財務省の思惑が

われら富士山、他は並びの山」――。東大法学部卒のエリートが集う霞が関で、
財務省は大蔵省時代から他省庁を見下ろしながら「最強官庁」を自任してきた。
 予算復活」で恩を売る
2018年度の概算要求は、4年連続で「100兆円超え」になることが確実視されている。高齢化による社会保障費の増額は不可避で、北朝鮮問題を背景に防衛費の増額案も出ているからだ。'18年度の予算編成について、どう見るのが正解なのだろうか。

本題に入る前に、予算が決定するまでのプロセスを確認しよう。一般会計でいえば、まず夏頃に各省庁から財務省に向けて概算要求が行われる。財務省はそれを12月末までに精査して、予算の政府案を作る。

その政府案は、翌年1月からの国会で審議され、3月末までに成立して当初予算となり、4月から予算が執行されるのだ。

実は'01年度から'17年度まで、当初予算は、概算要求をおおむね4%程度カットした水準で調整するよう決められていた。ちなみにリーマンショックに対応しなければならなかった'09年度は例外である。

しかし、ほとんどの年度において当初予算では足りない。だから年度途中に補正予算が作成され、当初予算への上乗せによる修正が行われている。その場合の歳出総額は、'09年度と東日本大震災があった'11年度を除き、もとの概算要求と同じ水準になっているのだ。わざわざ当初予算で概算要求を4%カットしているのにもかかわらず、である。

なぜこうなるのかといえば、やはり予算を絞り込みたい財務省の「職業病」によるものだ。だが「財政の健全化のために予算削減をしている」というのは財務省の建て前で、実際のところは当初予算で絞り、補正予算で復活させることで要求官庁が「恩義」を感じるように仕組んでいるだけなのだ。

もちろん「恩義」のお返しには、要求官庁傘下の機関への天下りがあることを忘れてはいけない。

    さも「財政再建」が進んだかのように
もっとも、直近の'15年度と'16年度では、当初予算で約5%カットに対して、補正予算では約3%の修正にとどまった。最終的に2%カットと、徐々に財務省は「渋ちん」度を増してきている。

今年度も秋の臨時国会で補正予算が審議されるが、'17年度は概算要求と当初予算を比べると、これまでの経験則通りに4%カットだった。最終的な予算総額が'15年度と'16年度並みの2%カット水準であればどうなるか。

'17年度の概算要求は101・5兆円だったので、概算要求の2%カットだと99・5兆円。当初予算は97・5兆円だったので、補正予算は2兆円程度に留まる。

もしこの通りになれば、'17年度予算は補正込みで100兆円を切ったという報道が各メディアで出ることになるだろう。

ここからひとつ言えることは、今回の'18年度概算要求について、「100兆円」をキーワードとしているのは、実は、秋の臨時国会で審議される予定の'17年度補正を意識しているということだ。もし100兆円を切れば、さも財務省による財政再建のシナリオが前進したかのような格好になる。

'18年度の概算要求に関する報道の見出しは、まさに「100兆円」のオンパレードだった。だが4年連続で起きていることなので別段珍しいことではないし、「100兆円」が財政危機のボーダーというわけでもないことはわきまえておきたい。

【私の論評】財務省には日本国を統治する正当性はない(゚д゚)!

ブログ冒頭の記事では、財務省は日本経済の状況とは全く関係なく、財政政策を決めていることが書かれています。このようなことで良いのでしょうか。

高校の「経済社会」の教科書でも、国の財政政策はどうなっているのでしょうか。まずは、以下に「GDPギャップ(需要と供給のギャップ)」の推移のグラフを掲載します。



このグラフは、内閣府が公表しているGDPギャップの、バブル崩壊時の1990年以後の推移を示しています(青線)。

ご覧のように、1997年の消費増税以前においては、「プラス」のこともあったのですが、増税以後、基本的にずっと「マイナス」基調となっています。これは、97年の増税前までは、「需要が供給よりも多い」状況もあった一方、97年の増税後は「需要の方が供給よりも少ない」という「需要不足」状況になっていることを意味します。

その後、2000年代中盤に一時期、(需要の方が多い)「プラス」となったこともあるのですが、08年のリーマンショックのときに大幅に「マイナス」の需要不足となり、その後、回復してきているのですが、やはり基本的には「マイナス」の需要不足状態が継続しているのが実態です。

さて、先ほど述べた論理を踏まえると、GDPギャップが「マイナス」(=需要不足)の時にはデフレになって「物価が下がり」、逆に「プラス」(=需要過剰)の時にはインフレ、つまり「物価が上がる」こととなります。

したがって、GDPギャップの推移と、物価の変化率の推移は、基本的に「連動」することが予想されます。

このグラフには、その点を確認する意味で、物価(=CPI)の変化率の推移も掲載しています(黄色の線)。なお、この黄色の線は、その時点での数値ではなく、「半年後」(二四半期後)の数値です。

ご覧のように、青い線(GDPギャップ)が上がれば黄色い線(物価変化率)もあがり、逆に前者が下がれば後者も下がる、という形で、連動している様子が見て取れます。

つまり、今、政府が公表しているGDPギャップは、理論的に予測される通り、「半年後」の物価の変化率を「予測」する、あるいは「決定づける」力を持っているわけです。


なお、一点補足すべきは、「消費税率の増加」は、GDPギャップとは別に、物価そのものを上げる効果を持つ、というもの。

そもそも、消費増税は、モノの値段を一律2%や3%上げるのですから、当然、景気がよかろうが悪かろうが、強制的にCPI(物価)を上げる効果を持っているのです。

したがって、97年や2014年にCPI(物価)の変化率が大きくプラスになっていますが、これは、消費増税による見かけ上の効果だ、ということになります。ですので、その点を加味すると、GDPギャップと物価(CPI)変化率との間の連動性は、より一層強いものであることがわかります(特に、2014年の増税時、物価の変化率が急激に一時的に大きくなっていますが、この「山」がないと考えれば、黄色線と青線はよりはっきりと連動していることがわかります)。

なお、両者の相関係数(完全連動の場合1、完全不連動の場合0の尺度)は、0.72という、非常に高い水準にありますから、両者の関係はやはり統計的に言って明白だと言えます(なお、消費増税の効果を除去すれば、さらに高い水準となります)。

ところで、「理論的」に言うなら、GDPギャップ(デフレギャップ)をゼロにすれば、デフレは終わるはず、ということになります。

しかし、このグラフを見れば一目瞭然なとおり、GDPギャップが「プラス」の時(例えば、2006年、2007年ごろや2014年)でも物価の変化率は「ゼロ」ないしは「マイナス」であったりします。

それは、内閣府によるGDPギャップの測定の仕方に、問題があるからです。これは青木泰樹先生が繰り返し主張しておられる通りです。

『2つの潜在GDP』https://38news.jp/archives/03897
『「潜在GDP」を「平均GDP」へ改称すべし』https://38news.jp/economy/10751

詳細は上記記事に委ねますが、今、政府が公表しているGDPギャップは、「本当に日本経済が持っている供給能力」を基準に測定されているのでなく、「実際の能力よりも低い能力」を基準にして測定されていることが原因です。

しかし、こうした、理論的には特殊、あるいはオカシしな「GDPギャップ」指標ではあるのですが、それでもなお、上記グラフのように物価の変動を予測する、あるいは決定づける力を持っているのは、事実です。

では、物価(CPI)の変化率と、GDPギャップとの間にどんな関係があるのかを、統計的に(重回帰)分析 してみると、次のような関係式が示されました(1990年第一四半期から2997年第一四半期までのデータを使用)。
半年後のCPI変化率
= 0.28×GDPギャップ + 0.117 - 0.02×seq(※)
__(6.33)__________(9.43)__(-2.21) 
※ seq: 1990第一四半期が1の連続自然数。( )内はt値、R値は0.71、n=105. 
※ データはいずれも四半期のものなので、年率換算の比率は上記数値と一致。
これはつまり、CPIを年率1%上げるためには、GDPギャップを年率で3~4%程度大きくすることが必要だ、という事を意味しています。

そしてGDPギャップを3~4%大きくする、ということはつまり、需要を15~20兆円(年)程度を拡大するということです。

ということは、単純に考えれば、政府支出を15~20兆円程度拡大すれば、CPIは1%上昇する、ということになります。

実際には、乗数効果(政府支出を1兆円増やせば、GDPは1.5~2兆円程度増える、という効果)があることを考えれば、10~15兆円の政府支出を拡大すればCPI、物価は1%程度上昇するだろう、ということが予期できます。

そして言うまでもありませんが、物価が上がらなければ、賃金も増えず、ビジネスチャンスも拡大せず、投資は冷え込んだままとなり、デフレ不況は終わりません。

だからこそ政府は今、10~15兆円規模の大型の補正予算を組むことが、デフレ脱却のために是が非でも求められているのであり、それは、内閣府自身が公表しているデータから統計的に示唆されているのです。

そして、日銀のターゲットが「2%物価上昇」であることを踏まえるなら、そのクラスの大型景気対策を、少なくとも2、3年間は継続することが必要なのです。だから、同感が考えても、今秋以降の補正予算は、最低20兆円(単年度の場合は)、少なくとも10兆円(この場合は来年度も実行する)が必要なわけです。

しかし、ブログ冒頭の記事にもあるように、このようなことには全くおかまいなしに、'17年度の概算要求は101・5兆円だったので、概算要求の2%カットだと99・5兆円。当初予算は97・5兆円だったので、補正予算は2兆円程度に留まるようにするのが、財務省の意向です。

ちなみに、高橋洋一氏も「20兆円財政出動」で物価目標2%達成可能としています。その記事のリンクを以下に掲載します。
安倍改造内閣が問われる「20兆円財政出動」で物価目標2%達成

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、需給ギャップからみて、今年の補正予算は20兆円は必要だということです。今年10兆円として、来年さらに10兆円ということでも良いとは思いますが、財務省の2兆円というのは、桁違いと言ってもよいほどのものに過ぎません。

財務省の言いなりでは、物価目標2%も達成できず、デフレからの完全脱却も望めません。このようなことで良いわけがありません。

しかし、なぜこのようになるかといえば、当初予算で絞り、補正予算で復活させることで要求官庁が「恩義」を感じるように仕組んでいるだけなのです。

もちろん「恩義」のお返しには、要求官庁傘下の機関への天下りがあることを忘れてはいけないのです。


デフレ脱却は多くの国民の要望だと思います。そのように要望していない人でも、デフレが自分の生活にどのような悪影響を及ぼしているかを知れば、デフレ脱却を望む人がほとんどだと思います。

さて、このような財務省が社会においてリーダー的階層にある正当性はあるのでしょうか。

これについては、マネジメント的側面から考えてみましょう。
社会においてリーダー的な階層にあるということは、本来の機能を果たすだけではすまないということである。成果をあげるだけでは不十分である。正統性が要求される。社会から、正統なものとしてその存在を是認されなければならない。(『マネジメント──基本と原則[エッセンシャル版]』)
企業、政府機関、非営利組織など、あらゆる組織(当然財務省も含む)にとって、本来の機能とは、社会のニーズを事業上の機会に転換することである。つまり、市場と個人のニーズ、消費者と従業員のニーズを予期し、識別し、満足させることです。財務省の本来の機能は、国民のニーズを予期し、識別し、満足させることです。

さらに具体的にいうならば、それぞれの本業において最高の財・サービスを生み出し、そこに働く人たちに対し、生計の資にとどまらず、社会的な絆、位置、役割を与えることです。

しかしドラッカーは、これらのものは、それぞれの組織にとって存在の理由ではあっても、活動を遂行するうえで必要とされる権限の根拠とはなりえないとしています。神の子とはいえなくとも、少なくともどなたかのお子さんである貴重な存在たる人間に対し、ああせい、こうせいと言いえるだけの権限は与えないというのです。

ここにおいて、存在の理由に加えて必要とされるものが、正統性です。「正統性とは曖昧なコンセプトである。厳密に定義することはできない。しかし、それは決定的に重要である」とドラッカーは述べています。

かつて権限は、腕力と血統を根拠として行使された。近くは、投票と試験と所有権を根拠として行使されています。

そうして、財務省は官僚組織であり、官僚は試験によって選抜されます。政府を構成するのは、国会議員であって、国会議員は選挙によって選ばれます。

選挙によって、選抜されるということは、国民の信託を受けているということです。国民の信託を受けた人で構成される政府は、本来官僚よりも政治において、より正当性が高いはすです。

それにも元々、財務省は政府の一下部機関に過ぎません。会社でいえば、政府は取締役会のようなものであり、財務省は財務部のような存在です。そのような財務省が政府をさておいて、補正予算の規模を定めるようなことをするのは明らかに権限の逸脱です。

そうして、ドラッカーは、マネジメントがその権限を行使するには、権限の根拠としてこれらのものでは不足だといいます。

社会と個人のニーズの充足において成果を上げることさえ、権限に正統性は与えないのです。一応、説明はしてくれます。だが、それだけでは不足なのです。腹の底から納得はされないです。

マネジメントの権限が認知されるには、所有権を超えた正統性、すなわち組織なるものの特質、すなわち人間の特質に基づく正統性が必要とされる。
そのような正統性の根拠は一つしかない。すなわち、人の強みを生かすことである。これが組織なるものの特質である。したがって、マネジメントの権限の基盤となるものである。(『マネジメント[エッセンシャル版]』)
では、財務省はこのような正当性を持っているのでしょうか。人の強みを生かすことができているのでしょうか。

おそらく、省内では人の強みを生かすことができているのだと思います。しかし、大きな間違いがあります。財務省は自らの省益にしたがい、人の強みを生かしているだけであって、上部機関である政府や、さらその上の存在である国民のために、組織内の人を強みを生かしてはいません。

このような財務省が日本社会においてリーダー的階層にある正当性は、ないと言わざるを得ません。ましてや、財務省には日本国を統治する正当性などありません。

もともと、財務省は政府の一下部機関に過ぎません。財務官僚が政治に関与したければ、官僚を辞任して、政治家になるべきなのです。そうでなければ、政府の一下部機関として、財務に関しても、政府の目標にしたがい、それを実行するために専門的な見地から、方法を選択することに徹するべきなのです。それで、国が良くなる悪くなるのは、官僚の責任ではありません、あくまで責任は政府にあるのです。

本来、政治に責任のないものが、政治に関与すべきではないのです。

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2013年2月9日土曜日

「アベノボトル」が話題 発売元に問い合わせ続々―【私の論評】アベノボトルは、消費拡大のシグナルか?!!

「アベノボトル」が話題 発売元に問い合わせ続々



安倍晋三首相(58)が7日の衆院予算委に水筒を持参したことが話題を集めており、8日までにボトルの発売元には問い合わせが相次いでいる。

・・・・・・・・・・・・<中略>・・・・・・・・・・・・・・・

「アフタヌーンティー・リビング」の広報担当者は「コップの水を飲むスタイルが長く定着した国会で、マイボトルを手にすることは、ライフスタイルを提案するブランドとして非常にうれしいです」と喜んでいる。

このニュースの詳細は、こちらから!!

【私の論評】アベノボトルは、消費拡大のシグナルか?!!

総裁選のときに縁起担ぎでカツカレーを食べ他安倍氏

総裁戦のときは、高級カツカレーでいわれのないマスコミの非判を受けましたが、今回のアベノボトルでは、さすがにマスコミも何ともケチのつけようがなかったようです。このボトル、上にもあるように、サイズは480ミリリットルで価格は3150円ですから、まあ、特に高級品ということもないです。下の動画でも、一番最後のほうにアベノボトルについても触れられています。この動画、安倍総裁の国会答弁の半端ない安定感について掲載しています。


安倍総理は、カツカレー事件のときには、多くの人がこれを非判することもなく、話題となり、カツカレーの売上が伸び、CoCo壱番屋の株価が上昇するという現象まで生んでしまいました。

今度のアベノボトルでもそのような現象を生み出してしまうのでしょうか?だとしたら、アベノミクスでマクロ経済だけではなく、ミクロ経済でも良い影響をおよぼすのでしょうか?

このような、運を呼び寄せる人は、昔から存在します。たとえば、チェーンストアなどで、対策をする人などにもそのような人がいて、その人が店に行くと告知しただけで、その人が行く前から売上があがるなどという人もいます。他の人ではそうならないのに、そうなる人が必ずいます。不思議です。なにやら、その時代の潮流に乗っている人にはそのようなことが多いです。

さて、マイボトルでもコップであっても、普通の人なら、安倍総理のようにして水を飲むのが当たり前です。というより、世界のほとんどのように、安倍総理のように飲むのが普通です。

しかし、そのような飲み方をしない人たちもいます。そのような飲み方をする人びとの実例を以下に示します。

野田元首相の国会での水の飲み方

菅元総理の国会で水の飲み方

鳩山元首相の水の飲み方

民主党の元総理全員が、変わった水の飲み方をされます。水の飲み方とは、世界一般では以下ようなものです。


下の飲み方は、コップからのんでいるわけでもないし、あまりにセクシーすぎますが、それにしても口を片方の手で覆うようにして隠して飲むなどというような飲み方は、絶対にしません。



なにやら、安倍総理の前の総理の三人までもが、変わった飲み方をすると、安倍総理の飲み方のほうが、特異にも感じられてしまいますがそんなことはありません。やはり、民主党の元総理の三人の飲み方のほうが変わっているのです。こんな飲み方では、たとえボトルで飲んでもボトル人気の現象など生み出されるはずもありません。

どのように変わっているかといえば、これは、韓国式の飲み方のようです。実際下の写真のように、韓国の俳優ペヨンジュンさんが、以下のような飲み方をしています。


これに比較すると、安倍総理の飲み方は、ストレートでごく普通の飲み方です。まさに、世界や日本スタンダードの飲み方です。飲食の取り方は、その人の子供ときの躾けによってかなり左右されます。民主党の過去の三人の総理は、そろいもそろって、韓国式の影響を受けたのでしょうか?

それにしても、この三人のときには、経済は全く駄目でした。金融も財政も全く駄目でした。安倍総理の場合は、まだ本格的な経済対策はまだ何もやっていないというのに、安倍総理が着任そうそう市場が好感して、株価があがり円安傾向にふれました。

そうして、安倍総理の政策には、きちんとした背景があり、それを市場が好感しているから株価があがったり、円安傾向に触れているのです。そのような背景がなければ、水の飲みかたなど別にして、何も変わりません。まともな人が、まともに何かをやると表明すれば、それだけで周りが影響を受けて良くなっていくのだと思います。

安倍総理、期せずしてか、意識してなのかは、わかりませんがこの行動でエコ、健康、日本人らしさ、力強さその他様々なイメージを表象できたと思います。やはり、潮流に乗っている人は他の人とは違うと思います。

だから、カツカレー騒動で、CoCo壱番屋の株価が上がったり、アベノボトルが人気になったりするのです。そうして、これは、これからの消費拡大のシグナルでもあると思います。皆さんは、ドウ思われますか?


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