ネクスト・ソサエティー
さて、このドラッカーのこの書籍の書評に関しては、私がするよりもアマゾンなどの書評のほうがはるかに優れているのでここにそのまま引用します。ただし、これら書評に関して「未来予測」と書かれてありますが、これは現在はもとより出版された時期でも完全に間違いです。
ドラッカーはこの著書の中で、「ネクスト・ソサエティー」はすでに始まっているのであって、それに対する新たなインフラ革新やシステム構築が行われていないため、問題が発生しているし、問題があるからこそ、さまざまな民間営利企業、民間非営利起業双方にビジネス・チャンスがあると語っています。日本政府や官僚のあり方にも勿論言及しています。ドラッカー氏は他の著書「すでに起こった未来」で「未来予測」などできないと語っています。
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マネジメントの大家、ピーター・ドラッカーによる未来予測。「日本にとっての最大の問題は(経済ではなく)社会のほうである」とし、来るべき未来を予測し、そこで生じる問題や脅威、機会を明らかにしている。
本 書の中でドラッカーは、今日の先進国に共通する問題である少子高齢化のインパクトと、それに応じた雇用・マネジメントの変化について論じている。来るべき 未来に対応するために、企業の雇用はどうあればいいのか、さまざまな雇用形態が入り乱れるなかで、マネジメントはどのようになされるべきなのか、個人はど のようにキャリアを磨いていけばよいのか、興味深い議論が展開されている。過去の人口ピラミッドの変化に触れながらこれからの社会を予見したり、また産業 革命当時のヨーロッパを振り返りながらIT革命の本質について論じたりする部分には、ドラッカーの歴史観が表れていて読みごたえがある。
本 書はまた、トップマネジメントやビジネスパーソンへの啓蒙という意味でも価値がある。トップを含む知識労働者の資質や教育、雇用、評価の方法など、知識社 会で働くすべての人に欠かせない視点が提供されており、さらに、資本主義の原則では実現できない個人の豊かさについても言及している。本書で示されている ドラッカーの歴史的視点からは、多くのヒントを学び取ることができる。(土井英司)
日経BP企画(日経ビジネス 2002/06/10)
ネクスト・ソサエティ 歴史が見たことのない未来がはじまる
社会と経済の行く末を鋭い視点で問い続けるドラッカー教授の最新著作。変化する雇用構造、少子高齢化、情報技術(IT)の浸透、斬新な起業家精神の勃興などを軸に、今後出現する「異質なる社会」について解説する。
新たな社会では、トップマネジメントが変わるという。組織には経済機関、人的機関、社会機関の3つの側面があり、米国の「株主主権モデル」は経済的側面 を、日本の「会社主義モデル」は人的側面を重視しすぎていたと指摘。また、ドイツに象徴された「社会市場経済モデル」も、社会を安定させられなかったと分 析する。
新たな社会においては、それら3つの側面をバランスよく制御することで社会的な正統性を勝ち得た組織だけが生き残るという。そう した意思決定を行うトップマネジメントこそが優れた企業の条件であり、他の経済活動はすべてアウトソーシング可能だとまで言い切る。雇用の変化では、知識 労働者を「(知識を売買する)新種の資本家」と位置づけ、特徴を詳しく説く。
日本社会の劇的な改革を望む機運に関しては注意を促す。官僚機構が腐敗の象徴とされているが、先送り主義や天下りは、「悪」どころか有効な場合も多いとする。次の社会でも官僚に代わるリーダーはいないと結ぶ。
これを読まずしてポスト金融危機を理解することはできない!!最近の金融危機に関して、私はこのブログの中で一環して「健全な社会」が必要であることを訴えてきました。しかし、なかなか理解されないようです。多くの人々の頭の中が「経済・金融」というキーワードで埋め尽くされ、現在の危機は「社会」とは無縁のものと考えているかのようです。そんなことは、ありません。私だけの訴えではあまり振り向くことがない人々も、経営学の大家とされるドラッカー氏が「社会」を重要視していたこと、それどころではなく自らを「社会生態学者」と呼んでいたことを知っていただければ、もっと多くの人々に理解していただけるのではないかと思い、今回このブログで滅多にしたことがない「書評」を掲載することにしました。
この書籍の「はじめに」で、ドラッカー氏は70年前の金融恐慌について語っています。しかし、氏は金融恐慌の原因や対策などという内容で書いているのではありません。多くの人々が「新しい経済」を望み、今度こそ、「新しい経済」によって繁栄が永遠に続くと勘違いを繰り返したことを描いています。
そうして、その当時でさえもうすでに社会は変質しており、先進国のうちで、この変質した社会に対応できる国だけが、来るべき日々において立派な社会と経済を手にすることができるとしています。
現在では、数十年にわたって「経済」を主体に物事が考えられてきました。ここ数日多くの人々の金融危機に関するブログを読んでいてもポスト金融危機に関して「健全な社会」に焦点をあわせる人は、皆無に近かったと思います。
最近ノーベル経済学賞を受賞したポール・クルーグマン氏も受賞理由とは異なりますが、社会の重要性について強調してきたと思います。ごく最近彼が実施してきたことといえば、辛らつな「ブッシュ政権」批判です。この中で、氏はいろいろと個別的な問題を扱ってきましたが、結局はブッシュ政権が健全な社会に目を向けてこなかったどころか、結果として社会を混乱・破壊するような政策をとってきたことを批判してきたと思います。だから、アプローチの仕方は違っても結局ドラッカー氏のように健全な社会をつくることが重要だと点では一致していると思います。
私は、多くの人々にもう一度基本に立ち返っていただき、ポスト金融危機には「健全な社会」をつくることが重要であり、それどころか、これなしに健全な実体経済を取り戻すことはできないことを理解していただきたいと思います。そのためにこそ、この書籍、まだご覧になっていない方は是非ご覧になってください。読まれた方も、是非もう一度読み返していただきたいと思います。この書籍が出版された頃よりも、金融危機のさなかにある現在読んだほうが、書いてある意味の重要性が一層際立つものと思います。
なお、以下のウィジェットでドラッカーの特に「社会」に関連した書籍を掲載しました。無論「ネクスト・ソサエティー」も含まれています。書籍のピクチャーをクリックしていただくと、書籍の説明がみられるほか、直接アマゾンドット・コムでお買い求めいただくことができます。こちらも是非ご覧になってください。
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■東証急騰、終値1171円高 過去最高の上昇率―今はビジネスチャンスが溢れている?!
日本国内ではインフレターゲット理論ばかり強調されるクルーグマン氏ですが、氏がかつて著書の中で「ローカル化する先進国の経済」について語っ ていました。まさしく実体経済はそうだと思います。昨日は、東証も過去最高の上昇率を記録しました。しかし、私はあまり近視眼的な株価の上昇、下落には関 心がありません。株価は、しょせんディラーの直近の心理状態を現すだけのものだと思っています。
当面この金融危機に関しては、信用不安だけ解消されれば十 分だと思っています。
それよりも、この金融危機の本当の意味を捉えることが重要だと思います。先進諸国ではすでに20世紀の後半部の時点で、それまでとは 全く違う「異質な社会」に突入しています。この異質な社会に対応する新しいインフラ作り、システム(制度、IT含む)開発が必要不可欠ですが、今までは不 十分でした。そのため、先進国ではいたるところに、ビジネスチャンスが溢れていると思います。このチャンスをいかすことにより、各所でイノベーションがお これば、先進国の社会は飛躍的に良くなり、ひいては実体経済も大躍進すると思います。それにしても、この理屈、口で言うのは簡単ですが、楽ではありません ね。特に「似非経済・金融」で頭が凝り固まっている人々には語っても何も理解できないと思います。
■「80後」ホワイトカラーに「別荘貸し切り旅行」が流行―BRICsではさらなる経済発展を、先進国では「新たな社会」にあわせた、インフラ・システム改革を!!
今 日の金融危機、いずれ収束します。金融危機や、恐慌など大昔から何回も繰り返されてきたことです。現在では、信用不安を取り戻す措置などが考 えられているため、いずれ収束します。しかし、その後が問題です。現在多くの人々の中は「経済・金融」というキーワードで埋め尽くされています。しかし、 先進国においてはもはや「経済・金融」だけでは何も変わりません。特に先進国においては社会が変貌しています。もうすでに既存の社会とは全く違った「次の 社会」とも言うべき異質な次元の社会に変貌しています。今後、こうした「異質な次の社会」に対するインフラの改革、システムの改革などを実現しないことに は、健全な社会を実現することは不可能であり実体経済も健全にすることはできません。
■G7で日本の外準活用し各国支援を表明へ=中川財務・金融相―資本を速やかに注入して社会変革への道を開こう!!
現在の金融危機当面の信用不安を克服するため各国が資本注入することにより、いずれ金融システムはまた安定化すると思います。しかし、その後どうするかで、実体経済の回復が決まってきます。
私 は、現在多くの人々の頭の中は「経済」というキーワードでいっぱいになっていると思います。そうして、八方塞になっていると思います。私たちは、ここで 「社会」に着目する必要があると思います。今後健全な社会を形成しなければ、実体経済も良くはなりません。といようより、現在全く異質な社会に入りつつあ る先進国においては、「次の社会」に備える国だけが、来るべき将来において、健全な社会と経済を手にするということです。逆に、「次の社会」に備えない国 とっては、不健全な社会と経済で没落していきます。
■麻生首相:追加経済対策に改めて意欲―単なるばら撒きに終わらせずに、社会変革を実施せよ!!
麻 生首相の追加経済対策、今必要な内需拡大のために減税や財政出動を行うこと、現状にあっては定石だと思います。ただし、私は、この経済対策 従来と同じような手法で、社会資本の整備として、無駄な道路や港湾、空港への多大な投資や、独立行政法人に対して投資して役人や役人OBの無駄遣いの温床 とする事があってはならないと思います。現在の八方ふさがりの状況では、社会変革にも目を向けるべきであると思います。あの経営学の大家ドラッカー氏も、 最後の著書「ネクスト・ソサエティー」の中で、ここ40年から50年は経済の時代だったが、これからしばらくは社会に注目する時代が来ると語っています。 そうして、この困難な時期ほど社会変革はやりやすいのではないかと思っています。やり方によっては、偉大な社会改革であった明治維新にも匹敵するような改 革が可能だと思います。現在の多くの人々の頭の中は「経済」というキーワードで埋め尽くされていますが、これでは完全に八方塞になります。「社会」という キーワードこれから最も先端的なものになる可能性が大です。
■現在の金融危機は2003年当時からすでに予測されていた!!―真の原因は誤った個人主義であり、いまこそ社会変革が必要だ!
今 日の金融危機は、2003年あたりからすでに予測されていました。私のブログでは2003年のNHKスペシャル「個人破産―アメリカ経済が おかしい―」の動画を掲載しました。この動画をご覧になると、今日の金融危機すでに十分懸念されていたことが分かります。今日、その懸念はアメリカ金融機 関の崩壊という形で現実のものとなりました。この動画では、消費者に無理に消費を強いることにより今日の事態を招いたことがはっきりと示されています。現 在、ITバブル崩壊、株価低迷、消費者の旺盛な消費もなくなり、次の時代に何をすれば良いかが見えない時代になっています。しかし、私は、今こそ真剣に社 会変革に取り組む時期に来ていると思います。これが、アメリカの実体経済をも良くする唯一の道だと思っています。
■米金融安定化法案が成立 下院修正案を可決―今こそ金融馬鹿、賭博師を市場から退場させ、新たなパラダイムを構築すべきとき!!
金 融安定化法案下院を通りましたね。でも、アメリカの金融システムが安定するまでには、多くの吸収・合併・提携などが行われ、実質的に金融馬 鹿(サブプラム・ローンなどの金融商品を開発した金融機関の経営者)、賭博師(サブプライムローンを大々的に売り出すきっかけを作り出した金融機関の経営 者)が市場から退場するまで、安定化しないことと思います。安定化には3年から5年かかります。実体経済の回復は、8年~10年もかかるかもしれません。 そうなると、他の国々も相当影響を受けます。日本としては、独自の路線を歩まなければなりません。私のブログでは、日本の独自路線のヒントなど掲載してみ ました。(アメリカも同じことだと思いますただし、現状では余力がなさすぎか・・・)。
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ピザテンフォー今年の10月4日に生誕20年!! 今年の成人を迎えた方々には、もうお知らせしましたが、ピザテンフォー今年の10月4日をもちまして、創業20周年(こちらで、スマイルズ・ザ・プライスのプロモーションビデオを是非ご覧なってください)を迎えることができました。これも皆様のおかげです。 ピザテンフォー昨年の楽天デリバリーの「ファミリーへのおすすめ」部門で、堂々の2位となりました。ますます、便利になったテンフォーを是非ご利用ください。 YUTAKARLSON、USA 市長からのお願い