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2016年3月25日金曜日

安倍政権の最重要課題は「デフレ脱却」と再確認せよ! 見当外れな批判と政局予想にダマされてはいけない―【私の論評】10%増税見送りは当然、次の政治課題はマイナス3%の消費税導入によるデフレからの早期完全脱却(゚д゚)!

安倍政権の最重要課題は「デフレ脱却」と再確認せよ! 見当外れな批判と政局予想にダマされてはいけない


1年前から予見していた

来年4月の消費増税先送りと7月衆参ダブル選挙への流れが加速している。「増税先送りでダブル選」予想を繰り返し公言してきた私としては、このテーマは「いまさら感」もある。ここでまた書くのは気が引けるが、政治観察論として見ると面白いので、おさらいしておこう。

私が初めて増税先送りとダブル選予想をメディアで話したのは、昨年8月21日公開コラム(http://gendai.ismedia.jp/articles/premium01/44837)に書いたように、同7月12日放送のテレビ番組『そこまで言って委員会NP』である。

テレビだけだと証拠が残らない可能性があるので念のため、当時連載していた同17日発売の『週刊ポスト』コラム「長谷川幸洋の反主流派宣言」(http://www.news-postseven.com/archives/20150717_336635.html)にも書いておいた。

昨年7月といえば、安保関連法案をめぐって国会が大荒れで「再来年の増税がどうなるか」などマスコミはまったく注目していなかった時期だ。そんな中、なぜ私が「増税先送りでダブル選」と読んだかと言えば、景気の先行き不透明感が強まる一方、内閣支持率が低下していたからだ。

安倍晋三政権がもっとも注視しているのは、いつも景気動向である。

それは政権が成立して以来、変わらない。安保関連法案を「戦争法案」とレッテル張りしていた野党や左派マスコミは「安倍政権は戦争に夢中になっている」と勝手に思い込んでいるのだろうが、残念ながら、まったく勘違いだ。

当時もいまも変わらず、最優先の政策課題は「戦争」ではなく「デフレ脱却」である。「なんとか景気を良くしてデフレを脱却したい」と願っているのだ。

ここの理解を間違えると、政局の読み筋も間違える。それはそうだ。「首相が何を重視して政権を運営しているか」という出発点の理解がトンチンカンだったら、その先を読めるわけがない。それは当たり前なのに、野党も左派マスコミも大方の政治評論家たちもトンチンカンを続けている。

どうでもいい政局話に拘泥してはいけない

なぜそうなってしまうのか。それは結局、野党や左派マスコミ、政治評論家たち自身が「デフレを脱却しなければならない理由」と「どうしたらデフレを脱却できるか」を理解していないからだ。そもそも政権の出発点にある政治課題を根本から分かっていないのである。

それは彼らの言動を見ていれば分かる。野党や左派マスコミは「景気を良くしたい」と心底から思っていない。彼らが声高に唱えているのは、景気回復ではなく「格差是正」である。

だから安倍政権がどれだけ真剣に景気回復を考えているかを理解できないし、理解しようともしていない。何をしてもケチをつけるだけだ。その結果、野党や左派マスコミが政局見通しを誤っても、それは自分に跳ね返ってくるだけだから、それも良しとしよう。

政治評論家たちに至っては景気も格差是正も時々、思い出したように言葉の端に付け足すくらいで、夢中になって追っかけているのは権力闘争の行方である。

そうは言っても、野党が与党を転落寸前まで追い詰めた局面はないから、首相官邸内で「官房長官がどうした」とか「内輪喧嘩が始まった」とか、どうでもいいようなゴミ話を知ったかぶりして喋っている。そんな調子で大局観をもって政権運営を見通せるわけがない。彼らは見通しを喋るのを商売にしているのだから、罪が深い。

話を戻そう。昨年7月には景気に暗雲が垂れ込めていた。

それは街角のタクシー運転手らに聞いた景気ウオッチャー調査に表れていたし、なんといっても中国・上海の株価暴落が始まっていた。政権支持率の低下に加えて、景気が危ういのに増税で参院選突入となれば、敗北は必至である。だから、増税先送りで政権選択選挙(=ダブル選)に持ち込むシナリオが浮上する(詳細は先のコラム参照)。

実際、翌8月には2015年4〜6月期の国内総生産(GDP)速報で実質GDPが前期比年率1.6%減のマイナス成長に陥った。この時点で「景気がこの先、大きく落ち込む」ことが確実になった。不動産バブル崩壊に加えて、株価バブルも崩壊した中国が世界経済の足を引っ張るのは、もはや必至だったからだ。

いっそ5%に戻すべき

以来、15年12月4日公開コラム(http://gendai.ismedia.jp/articles/premium01/46714)、16年1月15日公開コラム(http://gendai.ismedia.jp/articles/premium01/47386)などテレビ、ラジオ番組も含め、私は終始一貫して増税先送りでダブル選見通しを公言してきた。

安倍政権が首相官邸で開いた国際金融経済分析会合でノーベル経済学賞を受賞したスティグリッツ、クルーグマン両教授が唱えたのも、べつに目新しい見方ではない。ようするに「世界経済が大低迷しているから増税は先送りすべきだ」という当たり前の話である。

それは中国経済の様子を見ていれば分かるし、3月4日公開コラム(http://gendai.ismedia.jp/articles/premium01/48092)で書いたように、先の20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議の結論をみれば、各国が財政出動で景気テコ入れをしなければならない局面であるのは明白だった。

政府も3月の月例経済報告で景気判断を5ヵ月ぶりに下方修正した。

つまり、いまは増税どころか、実は減税が求められる局面という話である。経済記者は「財政出動」と聞くと、すぐ歳出拡大を思い浮かべるが、減税も財政政策の一環だ。それとも記者たちは「財政は歳出だけで、歳入は関係ない」と思っているのだろうか。

たぶん、そう思っているはずだ。私は「減税は税制の話であって、財政出動とは別」と訳知り顔で解説する経済記者に出会ったことがある。こういう記者は経済学の教科書を読んだことがなく、もっぱら財務官僚(それも主計局)の話を聞いて記事を書いているのだ。

記者たちは経済政策に対する理解がトンチンカンだから、補正予算を検討する一方で増税に執着する財務省のトンチンカンぶりが理解できないのである。

安倍首相の経済ブレーンである本田悦朗内閣官房参与は正しく7%への消費減税を唱えているが、私は中途半端な減税ではなく、いっそ5%に戻すべきだと思っている。そういう立場からみると、両教授が増税延期を唱えたのは、実は控えめすぎるくらいである。

相変わらずピンぼけの野党
さて増税先送りとなれば、ダブル選は必至だ。それは「野党がだらしなくて政権側の勝利が確実だから」というような、そこらの政治評論家が言いそうな理由からではない。衆院を解散してもう一度、国民に信を問わねばならない必然性があるからだ。

安倍首相は14年11月の衆院解散に際して「リーマンショック級の異変がない限り、17年4月に消費税を10%に増税する」と国民に約束した。

いま中国のバブル崩壊に端を発した世界経済の低迷はリーマンショックを上回る可能性さえあるから、増税先送りは適切である。ただし、そうだとしても「先送りの判断でいいかどうか」再び国民の声を聞くのは、政治的にまったく正統である。

国民生活に大きな影響を及ぼす増税の是非をめぐって国民の声を聞く。それが衆院解散の大義でなくて、なんなのか。安倍政権は増税断行を強く示唆していたのだから、むしろ解散しなかったら、国民置いてきぼりの政治判断になってしまう。

野党はここへきて増税反対を言っている。野党が反対する増税を、その通り政権が先送りするのだから、増税先送りはもはや与野党の対立軸にならない。すると、ダブル選の与野党対立軸は何になるか。あるとすれば、例の「戦争法反対」くらいだろう。

そうなると、北朝鮮が核とミサイル実験を繰り返し、南シナ海や尖閣諸島で中国の脅威が強まる中「戦争法反対」では、野党のピンぼけぶりが一層、鮮明になるだけだ。

せめてノーベル賞の教授たちが増税延期を言う前に「減税が必要だ!」とでも言っておけば、経済政策で巻き返すチャンスがあったかもしれない。だが、それもいまとなっては手遅れだ。いまから減税を言い出せば「このコラムを読んだから」とバレてしまうに違いない。かくて、安倍政権はダブル選に突き進む。

■長谷川 幸洋

【私の論評】10%増税見送りは当然、次の政治課題はマイナス3%の消費税導入によるデフレからの早期完全脱却(゚д゚)!

10%増税など実施すれば、安倍政権は崩壊します。経済が理解できていない、与野党の政治家は、増税で経済が悪化したのではなく、アベノミクスはそもそも失敗だと思い込むか、政治的駆け引きのための道具にして、与党議員は安倍おろしに奔走し、野党はここぞとばかり、政権交代への橋頭堡をつくるため奔走することになります。

この奔走が激化し、いずれにせよ、安倍政権は崩壊し、安倍政権以外の政権ができあがります。しかし、そうなっても、次の総理大臣が経済を全く理解していなければ、景気の低迷は続きます。

そうして、現在中国の経済は落ち込むのは目に見えていますし、それ以外にも原油価格が落ち込み、産油国である新興国の経済が落ち込んでいます。さらに、世界各地に地政学的リスクが存在し、いつ何がおこり、経済に悪影響を及ぼすかもしれない状況にあります。

最悪の場合、リーマン・ショック級もしくは、それ以上の経済の悪化を招くかもしれません。そうすると、日本は再度失われた20年に突入することになります。

そうなると、また、新たな政権は短期政権で終わります。これを3〜4回繰り返しても、経済を理解しない総理が擁立され続けたら、いずれ民主党への政権交代への麻生政権のようになり、民進党かあるいは、他の政党、もしくは野党を統合した連列政権に、結局政権交代されてしまい、自民党は下野することになります。

実際、リーマンショツクのあった、2008年前後には、短期政権が続きました。以下に歴代の総理大臣の在任期間を含む表を掲載します。


しかし、その後の野党も経済を理解していないので、これも3年続けば良いくらいで、また自民党に政権交代することになります。

しかし、それでも経済を理解しない人間が、総理大臣になれば、また先の繰り返しで、数ヶ月から長くて1年少しくらいのスパンでしかもたない政権が続くことになります、そうして、3年前後で政権交代が続くことになります。

こんなことを20年も繰り返していれば、政治はさらに腐敗し劣化し、経済などを含む国力は地に落ち、すぐに日本が破綻するということはないでしょうが、いずれ日本も先進国から発展途上国にまで落ち込んだ、今日のアルゼンチンのようになることでしょう。

このブログに以前掲載したように、 アルゼンチンと日本に関しては、1971年にノーベル経済学賞を受賞した、アメリカの経済学者・統計学者サイモン・グズネッツーは以下のように語っています。

サイモン・クズネッツ
「世界には4つの国しかない。 先進国と途上国、そして、日本とアルゼンチンである」1900年初頭、アルゼンチンは黄金期を迎えていました。世界を制するのはアメリカかアルゼンチンか。そう言われるほどの国力を誇っていたのです。

実際、その当時の国民1人あたりのGDPは、およそ2750ドル。同じ時期の日本は1130ドルでしたから、日本の2倍以上の経済力があったことになります。

この関係が逆転したのは、1967年のこと。高度経済成長に沸く日本、そして停滞・後退を始めたアルゼンチン。

戦後の混乱から、奇跡的な発展を遂げた日本は、資源がほとんどない小国でありながら先進国の仲間入りを果たしました。一方アルゼンチンは、豊かな資源がありながら、工業化に失敗し、衰退しました。

途上国から先進国になった日本と、先進国から途上国になったアルゼンチン。どちらの事例も非常に稀なことであり、それをもってグズネッツは前述の言葉で世界には4種類の国があると説明したのです。

しかし、日本が先に掲載したように、10%増税などという愚かな政策を実施した場合、日本は数十年後にそれこそ、アルゼンチンのように、先進国から発展途上国に仲間入りすることになりかねません。

日本も、アルゼンチンのようにアルゼンチン・タンゴを踊るようになってしまうかもしれません。

そんなことにならないため、10%増税阻止はもう規定事実であたり、当然のことであるという認識を持つべきです。そうして、安倍総理はそのような認識でいることでしょう。それは、以下の橋本政権と、現在の安倍政権の比較をみても容易に理解できることです。

安倍内閣と橋本内閣の比較

しかし、8%増税でも経済が悪化したわけですから、当然のことながら、消費税を増税前の5%にするという考え方が出てくるのは当然のことです。

今後の政治課題は、10%増税を見送るのは当然のこととして、消費税減税をするかどうかになることでしょう。

消費税を5%に減税するという考え方は、長谷川 幸洋氏のオリジナルのように掲載されていますが、そうではありません。私の知る限りでも、評論家で経済アナリストと自称しておられる、森永卓郎氏も提言していました。

その他、経済学者の田中秀臣氏も、経済アナリストの中野剛志氏もそのように提言していました。

私はさらにもっと過激な提言をしたいと思います。

上のチャートに掲載したように、橋本内閣で日本で初の3%増税が導入されました。チャートにもあるように、橋本内閣は増税の半年後に支持率が急落し、2年半で退陣ということになりました。なぜ、そのようなことになったかといえば、増税後経済が低迷したからです。

そうして、橋本龍太郎氏は後に、3%増税は失敗であったことを認め、国民に謝罪しました。

そもそも、3%増税が失敗だったのです。経済が良くないときに増税して失敗するのは当然でした。橋本内閣は、増税ではなく減税をすれば良かったのです。できれば、3%減税をして、その時に同時に金融緩和を実行すればよかったのです。そうすれば、橋本政権はもっと長期政権になった可能性もあります。いずにせよ、この増税から日本の経済は低迷して、後に失われた20年と呼ばれることとなりました。

さて、ここから、私の提言です。

そもそも、3%増税で橋本政権は失敗して、その後は、5%増税、8%増税がなされて、それがことごとく失敗しています。であれば、消費税そのものをなくしてしまうか、本来橋本政権で実施すべきであった減税を実施するべきです。

そうして、ここからが私の提言です。まずは、消費税そのものを完璧になくすのです。5%どころか、0%にするのです。しかし、これでは、橋本政権がすべきだった減税という政策を実施するには至りません。

そうです。橋本政権が実施すべきだった、減税政策を現在実行するのです。そうです、マイナス金利ならぬ、マイナス消費税を導入するのです。

具体的には、マイナス3%減税を導入するのです。お客様が小売店で、100円の買い物をした場合、マイナス3%の消費税ですから、お客様から商品の代金として、100円を頂いたら、3円をお客様に返却するのです。

ただし、そのようなことは面倒でしょうから、現実的には、正札に100円と書かれている商品を売るなら、最初から97円で売るのです。これで、マイナス3%増税ができます。しかも、何も面倒な手続きがいらず、店頭ですぐにそれができます。

プラスの消費税だと、お店側では、いちいち計算をして、納税するという事務作業が必要です。積極財政にもいろいろあります、たとえば給付金もそうですが、これだと給付金のための役所の手続きが結構煩雑です。

しかし、マイナス金利の場合は、何も煩雑な手続きはいらず、電卓やレジで、3%を代金から引くようにする表示ができれば、すぐに実行可能です。

そうして、その効果は凄まじいものがあると思います。これを実行しつつ、追加金融緩和も実施します。

これだと、かんり短期間に日本経済は、デフレから完全脱却し、また成長軌道に戻り、失われた20年のマイナスを取り戻すことができます。

無論いつまでもこれを続けるわけにはいかないと思います。これを続ければ、当然のことながらインフレが加熱します。そうなった場合は、まずは金融緩和をやめ、次に緩やかな金融引き締めを次に、マイナス消費税のとりやめ、その次にプラス消費税の導入などと段階を踏んで実行すると良いと思います。

そうして、各々の施策を実施するための経済状況の目安を最初から設置しておき、順次実行していくと良いと思います。

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