国の借金983兆円=国民1人771万円―9月末
財務省は9日、国債や借入金などの残高を合計した「国の借金」が9月末現在で983兆2950億円に膨らんだと発表した。前回公表の6月末に比べ7兆1098億円増え、過去最大を更新し続けている。10月1日時点の推計人口(1億2753万人)で割ると、国民1人当たり771万円の借金を背負っている計算になる。
国の借金は2012年度末に、1000兆円を突破する見通し。これは、円売り介入の際に発行する外国為替資金証券を195兆円の限度枠まで発行する前提になっている。
バブル崩壊後の長引く景気低迷で税収が減少する一方、高齢化で増加している社会保障費や東日本大震災からの復興費を賄うために国債を発行しており、国の借金は膨張に歯止めがかからない状況だ。
内訳は、財投債などを含めた国債全体が803兆7428億円となり、初めて800兆円を超えた。借入金は54兆1853億円、政府短期証券は125兆3669億円だった。
【私の論評】財務省の陳腐なキャンペーン、マスコミスルーに惑わされることなく、正しい世論形成を!!
この記事もう好い加減にして欲しいという感じです。財務省が意図的にミスリードな発表をして、それをマスコミが批判もせず、ただ流すという図式です。本当にこんな記事を見ていると疲れてきます。どうして、こんなデタラメがまかり通り続けるのでしょうか。「いい加減にしろ!!!」と叫んでしまいたくなります。まずは、政府と国の区別が明確に行われていません。上で国の借金と掲載しているのは、正しくは、政府の借金です。経済を語る上で、国の借金と政府の借金とは明確に区別をつけなければなりません。政府が過大に借金をしていても、国の借金がなければさほど問題ではありません。なんとかできます。逆に、政府の借金がなくても、国の借金が過大であれば、非常に問題です。それこそ、財政破綻の危険があります。
日本国バランスシート |
では、日本は、どういう状況なのかといえば、政府はかなりの借金をしていることは事実です。しかし、国が借金をしているかといえば、そのようなことはありません。それは、上の日本国のバランスシート(金融資産のみ掲載しています)をみても明らかです。国単位では、日本は、過去20年間にわたり、対外純金融資産(外国に貸し付けている金融資産)は、世界一であり、23年末では、250兆円程度です。このような日本国が借金まみれということは断じてありません。財務省は、なぜ上記のような発表をするのか、本当に理解に苦しみます。上のバランスシートをもっとわかりやすく、分解して、再構成すると下のグラフのようになります(これも金融資産のみ掲載してあります)。
日本国バランスシートの分解 |
国民一人当たりの借金という表現は、完璧に誤りです。政府の借金は、国債などで賄われていますが、その国債のほとんどは日本国内で賄われています。そうして、国民がこれを支えているという意識はないでしょうが、結局銀行などに預けたお金などが、これにあてられていますから、家計でこれを支えているということになります。要するに、上で国民の借金というのは全くのミスリードであり、正しくは、国民による政府への貸付ということです。無能な政府に対して、国民が政府にお金を貸し付けているということです。断じて国民の借金ではなく、政府の借金です。
そうして、なぜかくも、政府の借金が多くこのようなアンバランスになっているかといえば、その理由は簡単です。デフレだからです。20年間もデフレを放置してきたためです。デフレでは、企業の売上・利益が減ります。勤労者の賃金も減ります。そうなれば、当然政府の税収も減ります。デフレを続ければ、ますます、企業の売上・利益、勤労者の賃金も減ります、そうなれば、ますます、税収が減り、政府の借金はかさみます。もともとの企業の売上・利益、勤労者の賃金が減っているわけですから、これを何とかしなければ、税率をあげても税収は増加しません。実際過去にデフレ時に増税してからは、一度たりとも、増税前の税収を上回ったことはありません。それに、家計を注目してください。圧倒的に負債よりも、資産のほうが多いです。これも、デフレのせいです。家計は、デフレ下ではモノの値段は下がるものの、お金の価値はあがっていくので、貯め込む一方になっているということです。
サラリーマンの平均賃金(単位:万) |
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