ラベル 一卵性双生児、足利事件、DNA鑑定、数兆分の1の誤差、人間、2001年宇宙の旅、HAL9000、人工知能、科学技術、過信、禁物 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
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2009年6月5日金曜日

「一卵性双生児以外は分かる」 足利事件で有名になったDNA鑑定のすごい中身―過信すれば同じことの繰り返しに?

「一卵性双生児以外は分かる」足利事件で有名になったDNA鑑定のすごい中身(この内容すでにご存知の方は、この項は読み飛ばしてください)

足利事件釈放会見 2009_06/04


足利事件を再審・無罪にする可能性を大きくしたDNA鑑定。20年前の当時に比べ、何兆分の一ものすごい誤差の範囲で個人を特定できるというのだ。親子鑑定でも、本当の父親ではないことが分かるなど、影響が大きくなっている。

■数兆分の一の誤差で個人を特定

「同じDNA鑑定なのに、どうして違うのか」。こう疑問を持った人も多かったかもしれない。

栃木県足利市で1990年に4歳の女児が殺害された「足利事件」は、DNA再鑑定の結果、犯人は別にいる可能性が高まった。女児の下着に着い ていた体液について、精度の上がった最新のDNA鑑定を行ったところ、受刑者の菅谷利和さん(62)のものではないと結論づけられたのだ。

DNA鑑定は、1980年代にイギリスで開発され、日本では、89年から犯罪捜査に導入された。当時とどれだけ精度が上がったのか。

関西医科大の赤根敦教授(法医学)の話。「同型のDNAになる確率は、当時は1000人の1人のレベルでした。しかし、現在では、数十億分の一から数兆分の一のレベルで、同一人物か別人かが判断できます。一卵性双生児以外なら分かりますね」

その理由については、赤根教授はこう言う。「当時は、遺伝子の知識が乏しく、1~2種類しか調べていませんでした。それも、目で見て型を判定 したわけです。だから、違う型を誤って判定することがありました。現在は、遺伝子が細かく分かって、15種類ほどを、機械で調べています。1種類では同じ 精度ですがそれを掛け合わせるので、高い精度で確実に型を調べられるわけです」

今後は、警察で犯罪者のDNAデータベースが構築され、前科があればすぐに犯人が分かるようになるという。

足利事件と同じ鑑定方法を使ったケースとして、福岡県飯塚市で1992年、女児2人が殺された「飯塚事件」がある。死刑判決を受けた被告は、 無罪を主張していたが、08年10月に死刑を執行されている。このケースでは、DNA鑑定できる資料が残っていなかったが、残っている事件なら、鑑定結果 が覆る可能性もありそうだ。

■親子鑑定も10~20万円で可能

親子鑑定でも、最新のDNA鑑定は、威力を発揮している。

イギリスでは、15歳の女の子が2009年に産んだ女児の父親は、13歳の男の子ではないかと話題になったことがあった。しかし、デイリー・ ミラー紙が3月26日付記事で、DNA鑑定の結果、男の子の子どもではないことが分かったと報じている。また、日本でも、北朝鮮の拉致問題で、キム・ヘ ギョンさんが拉致された横田めぐみさんの娘であることがDNA鑑定で分かっている。

DNA鑑定のビジネスも、徐々に浸透してきたようだ。

「昔は、血液型から親子関係を調べていましたが、今は、DNA鑑定で高精度に調べられるようになっています。業者も、10~20社以上あるのではないでしょうか。アメリカの鑑定機関などを利用しており、10~20万円でやってもらえるようです」(赤根教授)

食品偽装が問題になったことから、食品や農畜産物にもDNA鑑定が広がっている。例えば、埼玉県では、コメ銘柄の偽装問題があったことから、09年6月初めに、スーパーなどの店頭でコメや食肉の抜き打ち検査をすることを明らかにしている。

ただ、赤根教授は、DNA鑑定は万能ではないと警告する。

「鑑 定に使う資料の状態が悪ければ、結果を誤りかねません。以前、被告の弁護士から鑑定結果が正しいか相談がありましたが、2人 以上のDNAが混ざっていて、それもごく微量でしたので、正しいと断定できませんでした。資料もきちんと保管しないと、腐って分解してしまいます。DNA 鑑定だけの証拠は、慎重に扱わなければならず、過信するのは危険です」

過信すれば同じことの繰り返しに?
足利事件などのような冤罪という結果になった場合、私はよく思い出すことがあります。それは、科学技術への妄信です。その中でも、良く思い出すのは、スタンリーキューブリック監督の「2001宇宙の旅」です。

これは、人類が木星に旅する過程において、人工知能のHAL9000が故障し、結果として乗組員一人を除いて全員を殺してしまいます。最後の残った乗組員は、HAL9000の基盤を抜いて、人工知能のHAL9000の能力を一昔前のコンピュータに戻してしまいます。その後も続きはあるのですが、それははしょつて。この故障結局は、HAL9000に問題があったのではなく、コンピュータに指示を与えた人間のミスで、実行できないようなあい矛盾した二つの指示をだしていたことが原因でした。

2001 a space Odyssey :HAL doesn't want to open the door !


この例を見るまでもなく、どんなに科学技術が進んだとしても、それを扱うのは人間です。人間であるからには、どんなに気をつけていても、努力しても間違うことはありえます。

日本では、かなり有名になつた、年金支払いに関する間違いの多さには、驚かれたかたもいるでしょうが、でも、これとても人間がやることですから、誤りがあるのが当たり前です。実は、アメリカでは、ずっと昔から年金に関しては、年金基金が運営していますが、これも、過去平均で毎年3万件くらいの間違いがあるそうです。日本のように事務処理に誤りがいなのがあたりまえ、あったら問題という考え方は完全に間違いです。アメリカでは誤ることもあり得るという前提でものを考えていますから、これだけ間違いが出たということがはっきり統計資料として残っています。日本では、こうした統計もなく、実際に誤りが表にでてきたときに慌てたというのが真実です。

日本でも、日露戦争の戦後処理(生死の確認、遺族年金など確認、戦争による事務処理の中断の再開など)が、第二次世界大戦が終了した時点でも継続されていたそうです。日露戦争の戦後処理が終わったのは、当時の人々が生物学的に見てどうみてもすべて、お亡くなりなったと思われる頃だったと思います。これが、中国や、北朝鮮なら、こういうものは、何も考えずに途中でやめてしまうのだと思います。戦後処理の問題など考えれば、年金の事務処理に関しても似たようなところがあって、誤りも当然生じてくるものと考えなければなりません。

年金などの事務処理も、支給する側も支給も受ける側も、人間です。しかも、支給を受ける人は、高齢者がほとんどです。これで、事務処理が間違わないと考えること自体がおかしいです。人間の記憶というのは、あいまいですし、それに、自然災害や、戦争、事故、行方不明、記憶喪失など、そんなことがなくても、受給を受ける人の記憶のあいまいさなどその他いくらでも間違える要因はあります。

しかし、先ほど述べたアメリカでは、過ちが起こることを前提に、いろいろな回避方法がシステム化されています。そうして、特定の誤りが発生したときに、どのような処理をすべきかがシステム化されています。誤ったときには、どのような処理をすべきか、すでにその雛形ができあがっています。さらには、毎年新たなタイプの誤りに対する雛形が作成されつつあります。最終的にどうしようもない場合には、経理処理でいうところ損金勘定のようなものも設定してあります。これは、どう考えても、すでに死亡しているとしかおもえないとか、どう考えても確かめようのないようものについては、ある条件が整えばそこで打ち切り、損をした分は、損金として計上するのです。

これに関してあまりピンとこない人もいるかもしれませんが、年金で間違いがあるからといって、もしこれを正確性を期すためにどこまでも調べていたら、とてつもなく経費がかかることになります。それを防ぐためです。日本では、年金の間違いを最後の最後まで調べるなどといっていますが、そんなことは無駄なことです。正確性を期すためだけにに、大量の人員を投入して、実施したとすれば、甚大な労力と、経費が無駄になります。日本では、まるで、お役所仕事自体に過ちがある事自体がおかしいなどとされているようですが、この認識自体が完全に誤りです。

こうした基本的な考え方に関して、日本は戦争中からアメリカには負けていました。日本では、どこかを爆撃する際に、必要な飛行機の数を決めるのに本当に爆撃のために必要な爆撃機しか用意しませんでした。これに対して、アメリカでは、どこかを爆撃するに際して、目的地につくまでに撃墜されるであろう爆撃機の数も過去のデータと統計処理をして加味して、飛行機の数を決めていました。これだと、確実に爆撃できます。

アメリカなど、このようにフール・プルーフ(利用者が誤った操作をしても危険に晒されることがないよう、設計の段階で安全対策を施しておくこと。正しい向きにしか入らない電池ボックス、ドアを閉めなければ加熱できない電子レンジ、ギアがパーキングに入っていないとエンジンが始動しない自動車、などがフールプルーフな設計の例である)などが発生することを前提にいろいろなシステムが組まれています。

特に最近では、情報漏えいに関する防衛システムなどの、日米の差異には、根底にこのような考えたの違いがあるのではないかと思います。アメリカ流自由主義経済の破綻のため、最近すっかり威信が低下したアメリカですが、こういう面では未だに学ぶべき事がたくさんあります。

さて、もう一度DNA鑑定に話を戻します。DNA鑑定だって人間が実施することですから、間違いは必ず発生します。たとえば、検体自体を取り違えたらどうなるでしょうか?病院での検体の取り違いなどは、ときおり報道されていましす。たまに、血液型の取り違えなどもあります。すぐにも人間の命にかかわることですら、こんなことですから、DNA鑑定でもこうした間違いが起こりえるとの前提でいろいろものを考えなければならないと思います。

それに、意図的に犯人ではない人の血液、頭髪、唾液など、殺人の被害者などの衣服や、爪の間に入れたりしたらどうなることでしょうか?これだって、絶対にありえないということはありません。

だからこそ、DNA検査だけではなく、他の捜査などとの整合性などを洗うことも必要になってくるのだと思います。

今後、こうした人為的ミス、これからも暴かれる可能性派十分にあると思います。

今後この事件のように再DNA鑑定で、無罪であることがわかるような事例が多数でてくると思います。いまのところ、警察や検察など特に違法捜査などしていないと声明を発表するに終始していますが、これだけで済ませていては、同じことの繰り返しになると思います。内部捜査だけではなく、外部や、第三者の立場から調査できるような体制を築き同じことの繰り返しにならないようにすべきです。

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