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2017年9月11日月曜日

北朝鮮危機回避の最後の外交手段?「核シェアリング」とは何か―【私の論評】日本が事実上の核保有国になる方法(゚д゚)!

北朝鮮危機回避の最後の外交手段?「核シェアリング」とは何か

米国のICBM

 
核シェアリングとはなにか


北朝鮮情勢を巡る緊張が続いている。

先週の本コラムでは、左派の人がJアラートを揶揄することについて、現行の国民保護法から的外れであることを指摘した(「あまりに幼稚な左派の「北朝鮮核容認論」これでは日本が滅びる」http://gendai.ismedia.jp/articles/-/52782)。また、左派の「北朝鮮核容認論」は、核拡散防止条約(NPT)から国際常識に反することも指摘した。

なにより国連決議を無視してきた北朝鮮の核を認めることはできない。そんなことをしたら、無法者の言うことがまかり通る世界になって、日本は永遠に北朝鮮の脅しに屈服せざるをえなくなる。そこで、日本としては「核保有する」とは言えないから、「非核三原則の見直し」に言及すべきだと書いた。それこそが、北朝鮮に対する最大のプレッシャーになるだろうからだ。

今回は、「非核三原則の見直し」の後に来るものを書こう。できれば前回のコラムでそこまで言及したかったのだが、字数の関係でできなかった。それは「核シェアリング」についてである。先週木曜日放送の「ザ・ボイス そこまで言うか!」に出演した際にも話したのだが、この核シェアリングについて説明したい。

非核三原則とは、言うまでもなく「もたず、つくらず、もちこませず」のことである。この「見直し」といっても、「もたず、つくらず」の二原則は堅持すべきで、最期の「もちこませず」という原則のみを見直すべき、ということだ。

まず、一部の右派からでている「日本も核武装すべきだ」という核保有論はあまりに粗野だ。現在の核拡散防止体制を考えれば、これは国際政治の常識から逸脱しているので、技術的には可能でも、政治的な実現可能性は乏しい。

一方、「もちこませず」に関しては、英語と日本語の意味の違いもあって、国際社会からみれば修正の余地が大きい。

そうであれば、国際的に容認しにくい核保有論より、より実現可能性の高い「核シェアリング」を考えたほうがいい。それも非核三原則の一つである「もちこませず」の修正の延長線で考えたほうが得策であると筆者は思っている。

こう提案するだけでアレルギーを起こす読者もいるかもしれないが、国際社会をみれば、「核シェアリング」は、実際に北大西洋条約機構(NATO)で行われている。核保有はしていないが、アメリカが核を提供し、それを管理す津核基地を受け入れ国で持つもので、いわば核の共同運用である。

具体的には、ベルギー、ドイツ、イタリア、オランダ、トルコで行われている。それぞれの国で、クライネ・ブローゲル空軍基地(ベルギー)、ビューヒェル空軍基地(ドイツ)、アヴィアーノ空軍基地(イタリア)、ゲーディ空軍基地(イタリア)、フォルケル空軍基地(オランダ)、インジルリク空軍基地(トルコ)に、戦術核兵器が持ちこまれている。

ビューヒェル空軍基地(ドイツ)
「核拡散防止条約上の抜け穴」と批判されているうえ、オバマ前米大統領がプラハで核廃絶の演説を行った後には、核シェアリングの解消を求める運動も起こった。アメリカの核をもっていることで、アメリカの核戦略(戦争)に巻き込まれるという批判もある。

確かに一理あり、核シェアリングを「時代遅れ」と批判するのは簡単だ。しかし、今の北朝鮮はかつての「神州不滅、鬼畜米英」と唱えていた国と同じで、何をしでかすかわからない状態だ。今の極東の北朝鮮を巡る動きは、かつてヨーロッパに対してソ連の核脅威があった以上に、危険があるといわざるを得ない。

しかも、かつてのソ連の核の脅威に対して、核シェアリングは結果としてソ連の核攻撃を抑止した。その意味で核シェアリングは有効だったのだ。いまの危機下において、可能性のある選択肢としてこの議論を持ちだしてもいいだろう。

なにしろ、核保有論の最大の弱点である核拡散防止条約の問題について、核シェアリング論は、現実に実践されているという意味でも一応クリアしているからだ。

 韓国でも議論は起きている

こうした議論の必要性は、韓国の動きを見てもわかる。

9月3日、6回目の核実験など北朝鮮の挑発があった後、世論調査会社・韓国ギャラップが、「韓国も核兵器を保有しなければならないと思うか」とする主張に対し、回答者の60%が「賛成」、35%が「反対」の意思を示した事が明らかになった。

年齢別にみると、20代は57%が核兵器の保有に反対しており、30代と40代は賛否の差が10ポイント以内と拮抗した。50代以上は約80%が賛成だった。

今回の北朝鮮の核実験が朝鮮半島の平和に及ぼす脅威の程度については、「非常に脅威」が54%、「やや脅威」が22%など、全体の76%が脅威と認識し、「あまり脅威ではない」は15%、「全く脅威ではない」は5%。4%は意見を留保した。

もっとも、北朝鮮による戦争挑発の可能性には、「非常にある」が13%、「ややある」が24%など、37%が「可能性がある」と答え、「あまりない」が36%、「全くない」が22%。半数以上の韓国国民は、戦争の可能性がないと考えているようだが。

こうした世論調査の読み方は慎重に行わなければいけないが、最後の戦争の可能性については、願望というところが大きいと思う。つまり、戦争はしたくないが、核保有はやむを得ない、というリアリズム的な思考で考えている人が韓国には多いのだろう。

 北朝鮮にも「シェアリング」の提案を

翻って、日本はどうか。こうした世論調査を、マスコミは是非実施してみたらいいだろう。核について、日本は唯一の被爆国であり、慎重にならざるを得ない。といって、今の北朝鮮の行動は、日本の非核三原則すら修正をせざるを得なくなるような状況に追い込むほどのものだからだ。

韓国の核保有については、国際社会からみれば、核拡散防止条約(NPT)の点で国際常識に反するのは日本と同じである。となると、韓国はアメリカとの核シェアリングという方向に進むかもしれない。その場合、日本はどうするのかという問題になるだろう。

先週木曜日の「ザ・ボイス」では、核シェアリングは、日本だけの問題ではなく、北朝鮮の封じ込めにも使えるはずだとも指摘した。つまり、北朝鮮の核を、中国との共同管理=核シェアリングに持ち込むべきだというものだ。

これは別に中国でなくてもロシアでもいい。中ロにとっても、それぞれの安全保障上、この提案は「渡りに船」ではないだろうか。北朝鮮の核をシェアリングできれば、日本の安全もかなり高まるはずだ。

もちろん、国家の体制保障を求めて核開発を進めてきた北朝鮮が、おいそれと核シェアリングを飲むはずない。しかし、このまま米朝の挑発合戦が加速して、いずれアメリカの軍事オプションが行使されることを考えれば、核放棄と保持の中間的な性格がある核シェアリングは、北朝鮮にとっても現実的な選択肢になりうるはずだ。

外交においては、まず対話、次に経済的な圧力、そして最後の軍事行動という順序である。しかしながらこれまで北朝鮮の核・ミサイル凍結を目指して、対話が20年間くらい繰り返されてきたが、結局北朝鮮に核・ミサイルの開発をする時間を与えただけで、核・ミサイル開発の凍結に失敗してきた。もはや対話の時期ではないのだ。

 一刻も早く論じるべき

北朝鮮がアメリカ本土を攻撃できるようになるまでの時間は、あと1年程度しかないという専門家も多い。3日に行われた核実験は、これまでの核・ミサイルの累積的な成果を考えると、アメリカのレッドラインを超えたかもしれない、と筆者はみている。

実際、アメリカが国連安保理で現在提案している、北朝鮮への石油輸出禁止などの経済制裁は、かなり本気のものである。中ロもアメリカの本気度の強さを感じているので、アメリカ提示の制裁案の協議には応じ、なんとか制裁案を弱めようというスタンスのように見える。

筆者は、アメリカがこれまで世界各地で起こしてきた戦争の歴史を振り返ると、早くてあと1ヶ月、遅くとも年内には、最後の手段である何らかの軍事行動を採っても不思議でない状況だと思っている。その意味で、アメリカが安保理で提示した北朝鮮への石油禁輸などは、経済的な圧力の最後の段階で、つまりは軍事行動を採るまであと一歩だ、という最後通牒かもしれない。

国際社会から北朝鮮に圧力をかけるには、中ロの協力が必要であるが、そのために中ロに北朝鮮への対案を競わせるのはいい戦略である。北朝鮮の核をシェアリングすることを提案すれば、中ロが主導権争いを行うことになり、中ロの分断を図ることも可能である。だから、国連での経済制裁と相前後して、核シェアリング議論を進めていいだろう。

このように経済的な圧力と軍事行動の間に、外交圧力としての強力な手段として、核シェアリングがあると筆者は思っている。が、はたしてそうした猶予が今の時点でまだ残されているのかどうか。いずれにしても、北朝鮮情勢はかなり逼迫しているため、一刻も早く考え得る手を打つべきことが必要なのである。

【私の論評】日本が事実上の核保有国になる方法(゚д゚)!


専門家が開発の速度が速いと、警鐘をならす
北朝鮮の水爆
1990年代から今日に至るまで北朝鮮は核開発を続けてきました。なぜ北朝鮮はこれほど核開発に力を入れるのでしょうか。

核兵器を保有することによるメリットを挙げるといかのようになると思います。
  • 核を持っていない国に対して優位に立つことができる
  • 核を持っている国と同じ場所で交渉を行うことができる
  • 他国から攻撃されにくくなる
現在、核兵器が戦争において使用されたのは第二次世界大戦時の広島と長崎の2回のみです。使用したときの大きな爆発エネルギーや放射能の影響など、兵器としては大きな脅威を持っています。しかし、第二次世界大戦が終わり、他国への侵略などが世界的に批判されるようになると、核兵器の役目は兵器とは別の物になってきました。

第二次世界大戦後は他国との問題解決は戦争ではなく交渉で解決することがメインとなりましたが、ここで核兵器を持っている、つまり軍事的に優位がある国の発言力が高まることとなります。

現代における核兵器は相手に使用する代わりに、保有することによって自国の国際的な発言力を高めることが期待できます。逆に現代において核兵器を使用した場合、その国は相手国や相手国の同盟国からの報復を受けてしまうことが予想されるため、核兵器を使用するメリットはあまりありません。

北朝鮮にとっての一番の敵国はアメリカです。そのアメリカと交渉をするためには、アメリカと同じ立場に立たなければなりません。北朝鮮はアメリカに比べて軍事力、経済力は劣っているため、核兵器を保有することによって軍事的なバランスをアメリカと同等レベルにまで引き上げ、交渉をしようとしていると考えられます。

現在の北朝鮮は各国からの経済制裁を受けていますが、これに関しても核兵器を保有することによって解決しようとしています。

また、北朝鮮はアメリカに対する恐怖もあるため、核兵器を保有すればアメリカからの批判を緩めることもできる可能性があります。

いずれの理由にせよ、北朝鮮は自らの体制を維持していくためには核は必要不可欠と位置付けています。

北朝鮮に対する核開発はどの国も批判の声を挙げるものの、その批判の大きさはさまざまであり、特に中国やロシアが微妙にアメリカと対立している部分があり、北朝鮮の核開発の問題がすぐに解決することは期待できないでしょう。

このような現状において、核シェリングそれも、北朝鮮の核の中国もしくはロシアによる核シェリングなど成り立つのでしょうか。

先に述べたように、北朝鮮アメリカとの交渉を有利にするためには、アメリカと同じ立場に立たなければなりません。そのために北朝鮮は核開発をしてきたのであり、過去には中国やロシアから核開発を控えるように説得など無視して、開発を進めてきたのです。

その北朝鮮が、おいそれと中国やロシアの核シェアリングの話にのるとは考えられません。なぜなら、これを実施すれば、アメリカと直接交渉し交渉を有利に運ぶという北朝鮮の核開発の意図が成就できないからです。

これでは、結局核シェアリングの後には、中国もしくはロシアと間接的にしかアメリカと交渉できません。これでは、従来と同じであり、北朝鮮としてはこれは絶対に許容できないでしょう。


しかし、日本の米国による核シェリングは、これに比較すれば、実現の可能性は高いです。そうして、実行すれば、日本にとっても意義のあるものになります。

さて、現在ロシアは世界第二の軍事大国ではあるのですが、米国と比較すれば、かなりの差がついてしまいました。そうして、現在のところ中国の軍事力は米国とは比較の対象ともならない状況ですが、それにしても将来中国がアメリカ最大の脅威になるのは間違いないと思います。

そして、米国が中国に勝つための重要ポイントは、「中国とロシアを分断し、日米側にひきいれる」ことです。

日本の核シェアリングは、無論中国が猛反発するのはもちろん、現時点ではロシアも「大いなる脅威」と認識する可能性が高いです。そうなると、中国とロシアは、反米、反日でますます一体化してしまう可能性もあります。

日本が核シェアリングを目指すなら、その前にロシアがもはや日本を警戒しないレベルまで和解する必要があります。こと、対中国でロシアが最重要であるとみるべきでしょう。それは、日本が引き続き独立を保っていられるかどうかは、反中同盟全体の強さに大きく左右されることになるからです。

日本にとって、反中同盟が形成されない、あるいは脆弱な場合、日本は独立を保てなくなり中国に実質併合されるか、そこまでいかなくても、過去のように米国の覇権の及ぶ範囲ではなく、中国の覇権の傘の中に入る可能性も大いにあるのです。では、どうすれば、日本は勝てるのか。

もちろん日本自身の決意とアメリカからの支持が最も重要な要素になるでしょうが、ロシアがそこに参加してくれるのかどうかという点も極めて重要であり、むしろそれが決定的なものになる可能性があります。

ロシアが反中日米同盟に組み込まれ、日本が核シェアリングするということになれば、日本は米中を敵にまわさず、事実上の核保有国になることができます。そうして、それは北朝鮮に対してかなりの脅威になります。

現在の世界は1930年代のそれと同様、大国間の関係がコロコロ変わっています。日本も大局を見ながら、「孤立しないよう」慎重に行動する必要があります。

ただし、日本は北朝鮮の核基地を攻撃する能力を有して、場合によってはそれを実行する覚悟を決めるべきです。それととも、核シェアリングから一歩進んで、核保有国になる道も目指すべきです。

ブログ冒頭の記事で、"一部の右派からでている「日本も核武装すべきだ」という核保有論はあまりに粗野だ。現在の核拡散防止体制を考えれば、これは国際政治の常識から逸脱しているので、技術的には可能でも、政治的な実現可能性は乏しい"と高橋洋一氏は述べています。しかし、国際政治の常識から大きく逸脱しているの北朝鮮であり、そのほかにも逸脱して実際に核保有国になったインドやパキスタンの事例あります。

しかし、トランプ大統領が日本の核保有を認める発言をした今日、日本が核シェリングをして実績をつければ、日本が独自に核武装することも、あながち不可能ではないと考えます。ただし、いきなりは無理でしょう、ただし核シェアリングを実現した後であれば、あながち不可能ではないと考えます。

これを考えれば、日本の核シェアリングは大きな意義があると考えます。

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