[高橋 洋一 ]
東京都議選(定数127)は自民が勝った。地方選挙とはいえ、準国政選挙並みの体勢で各党とも臨んだが、やはり自民が強かった。もっとも、自民勝利が見えていた「しらけムード」なのか、投票率は過去最低の1997年7月の40.8%に次いで2番目に低い43.52%だった。
都議選での手応えほ語った安倍総理 |
そんな中で、上の記事は情緒・憶測などに流されることなく、鋭い分析をしています。特に、統計的手法を用いて冷静な分析をしているところが、圧巻です。まだ、読んでいない方は是非ご覧になって下さい。
詳細は、上の記事そのものをご覧いただくものとして、高橋洋一氏は、以下の様な相関関係を丹念に調べています。相関係数は0.98とかなり高めで、このくらい高ければ、余程のことがない限り、かなりの確率で、安倍自民党は参院選で大勝利です。
そうして、最後は以下のように締めくくっています。
自公であわせて87なので、非改選議席60と合わせ147と過半を確実に超え参議院での安定運営には支障ない。しかし、自民が参院選でこれだけ勝っ ても、改憲勢力とされる自民、みんな、維新、その他をあわせてせいぜい84、非改選の63をあわせても147であり、改憲に必要な3分の2の162には及 ばない。ここまで、冷静に分析しています。確かに、自民党は改憲のことはあまり強調せず、あくまで経済を参院選の争点にしようとする意図が見てとれます。安倍総理も、このような分析をしているのだと思います。
このため、参院選では、改憲が政策論争になりえない。安倍政権が改憲ではなく経済政策を参院選の争点にしたいというのは、みんな、維新が参院で一定の勢力にならないことを前提とする限り当たり前だ。
安倍政権が、経済成長を達成した後に改憲を政局テーマにするとしても、国と地方の関係や国会、内閣等の統治機構の問題を優先すべきだ。世界から見て日本の改憲のハードルは高いのは事実だが、世界の改憲はほとんどが統治機構の問題であることに留意すべきだ(5月6日付け本コラム http://gendai.ismedia.jp/articles/-/35686 )。
経済中心の政権運営は、急がば回れとなって日本経済にいい結果になるだろう。経済が安定するのは2年かかるだろう。参院選後の国政選挙は当分ないのだから、その間にじっくりと経済にとり組んでいけばいい。
そうして、安倍政権は、当面思った通りの経済運営をして、デフレを克服していくことになるのだと思います。改憲はその後ということになります。
それにしても、どうしてこのような結果になったかといえぱ、以前のこのブログにも掲載したように、維新、みんなは別にして、際立つた争点もなく、単にアベノミクス自体の批判にとどまったことだと思います。
これに関しても一昨日のこのブログでも掲載しました。そのURLを以下に掲載します。
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に要点だけ掲載させていただきます。
現在アベノミクスに関して、多くの政党が批判的です。マスコミも様々な方面から批判しています。私は、アベノミクス自体の批判は決して悪いとは思いませ ん。しかし、それが、デフレ脱却のための、金融緩和策、財政出動をも否定するというのなら、それは完璧な誤りです。各党の党首も、このあたりをはっきりさ せずに、ただアベノミクス反対論を唱えています。おろかです。まともにマクロ経済を理解しているなら、デフレに陥った場合は、金融緩和、財政出動するのが、当たり前のど真ん中です。しかし、これを理解せずに、アベノミクスをただ否定するだけというのなら、本当に愚かです。都内の有権者だて、経済のことが詳しくなくても、昨年の11月頃を振り返ってみれば、いくら現在株価が下がっているとはいえ、当時から比較すれば、確実に経済が良くなっていることは気づきます。そうして、また元に戻りたいなどとは思わないはずで。そんなことも理解できないというのなら、愚かと批判されても致し方ないです。
そうではなく金融緩和スべきこと、財政出動すべきことは前提として、その上でアベノミクス批判するというのなら、建設的ですし、多くの国民にとっても選択肢ができるということで有意義だと思ます。
しかし、金融緩和、財政出動そのものまで、否定するというのなら、本当にただの馬鹿で阿呆だと思います。
そうして、かなり気になったのは、都議選直前の民主党の幹部などの無責任発言です。
まずは、選挙直前で、あの安愚楽問題が再燃し、 海江田代表が窮地に追い込まれました。
たとえば、 「ニコニコ生放送」の中にある民主党チャンネルで「【ネット選挙解禁へ】民主党、ネットと向き合う夏!」と題して、細野豪志幹事長と、ドワンゴ社員の2人が出演。民主党のネット選挙への取り組みについて、トークが展開されました。
番組では、開始から6分あたりで「あなたの支持政党はどこですか」というアンケートを実施。視聴ユーザーに対して「1.民主党」「2.民主党以外」「3.支持政党無し」の3択で答えてもらったところ、「1.民主党…4.5%」「2.民主党以外…78.0%」「3.支持政党無し…17.5%」という結果が出たました。
民主党以外を選んだ方が多かったため、さらに、「1.自民党」「2.自民党以外」という選択肢で回答をしてもらったところ、「1.自民党…73.9%」「2.自民党以外…26.1%」という結果となった。
これに対して、細野氏は、「訳がわからない」と発言していました。こんな発言をしているということは、細野氏は、なぜ昨年の衆院選挙で大敗した理由を何も理解していないと思われてもいたしかたないです。有権者から無責任のそしりをうけるのが、当たり前と思います。
都議選最終日、三多摩の4候補の応援。必ず安倍総理の逆行する原発政策批判を盛り込んでいる。そうして、民主党菅直人氏は、「東京都民は、福島原発事故の責任を取れ!」などとぶちあげていました。これも、都民からすれば、「お前に言われたくない」と忸怩たる思いがしたでしょう。実際、Twitterでもかなり批判されていました。
玄葉光一郎・前外相は、「自民党の高市早苗政調会長から“原発事故で死んだ人はいない”という話があったが、現実をまったく知っていない。岩手、宮城、福島で津波で亡くなった方々はたくさんいるが、福島は特に深刻で、原発事故で自衛隊や警察、消防がすぐに捜索に入れなかった。原発事故がなければ助かった方もいたかもしれない」と発言していました。
高市早苗政調会長の発言は、原発の放射能で直接なくなった人はいないという意味であり、確かに説明不足の面は否めないですが、さりとて原発事故のときの政権与党は、民主党であり、原発事故で避難した人、避難できなかった人々から犠牲者が多数でたことなどすっかり忘れて自らは何の責任も感じていないようでした。都議選で、これだけ自民が快勝したということは、高市政調会長の発言は、何のダメージにもならかったということです。
こんなことでは、都議選で惨敗するのは無理もないことだと思います。全く反省の色がみられません。それに、デフレ対策である、アベノミクスを頭から否定しているという点で、デフレ脱出の常套手段である、金融緩和、財政出動まで否定してしまっているということでは、他の野党とあまりかわりありません。どこか、政権与党のときと同じく、やることなすことピントがかなりずれています。このピントずれは容易に修復できるものではなく、民主党は来る参院選でも、惨敗は確定です。
アメリカの選挙推進用のポスター。次の参院選ではかならず投票にいきましょう(゚д゚)! |
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