家庭の金融資産 3年ぶり増加
家庭が持つ現金や株式などの金融資産は、金融危機によって大幅に下落していた株価が回復したことなどから、去年の年末には3年ぶりに前の年より増加したことがわかりました。
日銀の「資産循環統計」によりますと、家庭が持つ現金や株式などの金融資産の残高は、去年12月末の時点で1456兆3740億円となって、前の年の同じ時期より2.5%増え、3年ぶりに増加しました。これは、アメリカのサブプライムローン問題や、金融危機の深刻化によって前の年に大幅に下がった株価が回復したことなどから、家庭が持つ株式や投資信託の価格が上昇したことによるものです。また、元本割れのリスクのある資産を避ける傾向が続いていることから、現金や預金の残高も1.5%増加し、現金と預金の残高は803兆円余りと、3年連続で過去最高を更新しました。家庭の金融資産が増加したとはいえ、将来への不安から預金などを増やす姿勢はまだ変わっていないことから、個人消費が活発になるには時間がかかるという見方が多くなっています。
失われた10年を20年にしないためには?
昨年の統計では、対外債権(海外に貸し付けている金)は過去18年間世界一です。上の記事では、個人消費が活発になるには時間がかかるとしていますが、これを早める簡単な方法があります。それは、このブログでも何回も述べてきたように、公共工事を増やすことです。何も、無駄なものに使えと言っているわけではありません。何か、公共工事はすべて悪いものという固定観念があるようですが、そんなことはありません。有益なものもたくさんあります。さらに、現在の日本の公共投資は、30年前の水準以下です、こんな国は世界中探しても先進国ては日本しかありません。
だから、いつまでたってもデフレを克服できないのです。公共工事を増やすと、雇用が増え、お金も回りだします。そうすると、上の記事にあった、金融資産を持っている人も安心して、財布の紐を緩めます。そうすると、市場にますます、流通するようになります。そうすると、企業も安心して、設備投資などします。そうすると、税収もあがります。
財源はどうするかって?もちろん国債を刷ってあてます。国債刷りすぎと赤字になるって?そうですね、いわゆるプライマリーバランスといって、政府の財政の均衡が崩れて赤になりますね。でも、国債をするということは、上の記事でお金の有り余っている国民から一時お金を借りるだけのことです。外国からお金を借りるということではありません。しかし、上記のようにお金が回りだせば、どうなりますか?税収が増えます。そうして、それで、赤を補填すればいいだけです。金がないんだったら、外国から借りるしかないですが、そうなると日本国が赤字ということになります。しかし、政府が国民からお金を借りたって、借金でもなんでもないわけです。
それに、今はデフレですから、これが深刻化したらプライマリーバランスがどうのこうのと悠長なことはいってなどいられなくなります。たとえていえば、デフレは癌のようなものです。プライマリーバランスを気にするということは、癌(デフレ)患者の人が、癌の治療はさておき、会社の仕事(プライマリーバランス)を気に病んでいるようなものです。だから、癌治療を先にすべきなのです。今は、会社の仕事を少し休んでも、癌治療に専念すべきなのです。
さて、癌治療がすんで、体が元通りになれば、会社の仕事に精を出せば良いのです。話を元に戻せば、この段階になれば、景気も良くなるので、今度は税収が増えた上に、さらに増税すればよいのです。そうすれば、税収でプライマリーバランスも良くなります。そうして、景気が良くなれば当然国債をするなどとんでもないということになり、絶対刷らなければ良いのです。公共工事も、重点的にするようにして、減らすべきです。
何か、今の日本の経済対策、逆ばかりやっているようです。逆をやり続けて、プライマリーバランスばかりに気にしていると、デフレからなかなか脱却できないことになります。そうなったからといって、上記のように海外からの借金が全くないし、国民の資産はたくさんあるので、日本はびくともしないでしょうし、金がないわけではないので、いずれ日本の景気は良くなるでしょうが、不景気の期間が長くなってしまいます。そうなると、あまり資産を持たない人たちが困ります。職もない、職に運良くありついても、賃金が低いということになり、社会不安が続くことになります。これに似たようなこと前にもありましたね、そうです、失われた10年というやつです。
このままだと、この失われた10年が20年になるかもしれないということです。どっちが、いいかといえば、失われた10年のようなことは、なるべく短くしたほうがいいにきまっていますね。そのためにも今は、公共工事を増やす必要があります。北海道などでは、新幹線工事など前倒しで行うなどのことをするべきと思います。
日本の金融資産がまた増えたということですが、これは、今の時点では必ずしも喜ぶべきことではありません。なぜなら、これは、金うなるほどあるのに、それが市中に出回らないことにより、デフレになっている状況の中で、さらに、動かないお金が積みあがってしまったことを意味しているからです。
本日は、日本の家計の金融資産が増えたことを題材にして、このブログにも過去に何回も掲載してきた、日本の経済対策のあるべき道筋を簡単に掲載しました。
それにしても、民主党幹部と自民党の一部の人のマクロ経済音痴はなんとかしていただきたいものです。デフレになって、プライマリーバランスのことばかり気にしているような政治家というのは、世界広しといえども、私が知る限りでは日本だけではないかと思います。どこの国でも、デフレ基調になれば、プライマリーバランスも、貿易収支を無視して、まずはデフレ克服をしようとします。場合によっては、外国から借金をしても、克服しようとします。
無論外国からの借金などに関しては、ブラジルのように脳天気な国は別にして、まともな国の政治家はかなり気にします。この借金が増え過ぎたら、どうしようもなく、行き着く先は、デフォルトですから。でも、日本の場合、借金がないどころか、貸しているお金が過去18年間、世界一だということなのですから。国内で国債を刷って、国内で売るということは、この外国からの借金とは全く別物です。今は、プライマリーバランスを第一義にするということは、本当におかしなことです。何を躊躇しているか、判りかねます。
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