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2018年6月21日木曜日

ごまかし正恩氏にトランプ氏激怒 中国で「段階的非核化」主張、中朝へ制裁強めるか―【私の論評】いずれに転んでも、金正恩はトランプの対中国戦略の駒として利用される(゚д゚)!

ごまかし正恩氏にトランプ氏激怒 中国で「段階的非核化」主張、中朝へ制裁強めるか

中国メディアは、習主席が平壌に戻る前の金委員長と19日に続いて再び会談し、
昼食をともにする様子を報じた 写真はブログ管理人挿入 い 

 中国の習近平国家主席と、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長がまた、「北朝鮮の非核化」でごまかしを図っている。19日に3度目となる首脳会談を行い、正恩氏は「段階的な非核化」を主張したのだ。「米中貿易戦争」が指摘されるなか、ドナルド・トランプ大統領が激怒するのは必至とみられ、両国への制裁を強める可能性もありそうだ。


 中国国営新華社通信などによると、正恩氏は、米朝首脳会談(12日)の合意を段階的に履行すれば、「朝鮮半島の非核化は新たな重大な局面を切り開くことになる」と述べた。非核化の進展ごとに制裁解除などの見返りが得られる「段階的措置」を訴えたかたちで、習氏は正恩氏の訪中を「高く評価する」と語った。

 トランプ政権は「北朝鮮が完全に非核化したことを示すまで制裁を解除することはない」(マイク・ポンペオ国務長官)との立場を堅持している。今回の習-正恩会談は米国を牽制(けんせい)していることが明白といえる。

 中朝の「裏切り」に対し、トランプ政権は断固たる姿勢を貫いてきた。

 中国・大連で5月7、8日に行われた2回目の中朝首脳会談後、トランプ氏は「少し失望している。なぜなら、正恩氏の態度に変化があったからだ」と語った。

 「正恩氏直結の女」とも呼ばれる北朝鮮の崔善姫(チェ・ソンヒ)外務次官が同月24日に、マイク・ペンス副大統領を罵倒し、「核戦争」に言及する談話を発表した後には、米朝首脳会談を打ち切る書簡を送りつけた。これに狼狽(ろうばい)した北朝鮮は再び米国にすり寄り、米朝首脳会談にこぎつけた。

北朝鮮の崔善姫(チェ・ソンヒ)外務次官

 当然、米国は北朝鮮の動向を監視している。

 河野太郎外相が17日にテレビ番組で明かしたように、非核化をめぐってトランプ米政権は、核や生物兵器、化学兵器、ミサイルなど47項目をリストアップしている。

 ポンペオ氏は18日の講演で、非核化の手順などについて話し合うため、「遠すぎない将来」に再訪朝する意向を示した。

 北朝鮮との協議で、中朝両国の後ろ向きな態度が明らかになった場合、米国はどう出るのか。

 米国政治に詳しい福井県立大学の島田洋一教授は「トランプ氏は、今月の日米首脳会談後の記者会見で『北朝鮮に対し、300以上の追加制裁を用意している』と話している。中国に対しては、大手銀行への金融制裁にまだ踏み込んでいない。そうしたカードを振りかざしつつ、中国と北朝鮮に対し、『本当の非核化をやれ』と圧力をかけていくのではないか」と話した。

【私の論評】いずれに転んでも、金正恩はトランプの対中国戦略の駒として利用される(゚д゚)!

三度目の中朝首脳会談は、金正恩が平城に戻る前の19日開催されたというのですから驚きです。米朝首脳会談の後、ほとんど間髪をおかずに中朝首脳会談を開催するということは、金正恩は中国もないがしろにはしないことを表明したものであり、今後正恩は米中を同時に相手にする二股外交を展開することを表明したも同じです。

私自身は、このブログで、何度か米朝首脳会談の開催直後(半年以内)に中朝首脳会談が開催されることになれば、トランプ氏は北を見限るだろうと予測していました。そのため、これだけ早い時期に三度目の中朝首脳会会談が開催されたことに、正直驚いています。

私自身は、中朝会談をすぐに開催するかしないかが、金正恩にとっての踏み絵になるのではないかと考えていたくらいです。すぐに開催しなければ、トランプ大統領は正恩が、米国の対中国戦略の駒になることを意思表明したものとみなし、北の存続を許容するだろうとみていたのです。

その逆に、すぐに首脳会談を開催すれば、トランプ大統領は北を見限るであろと考えていました。

なぜそのように考えたかといえば、トランプ大統領が一時、米朝会談の中止を宣言したときの経緯からです。

トランプ米大統領は先月24日、シンガポールで6月12日に予定されていた、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長との「米朝首脳会談」を中止する意向を明らかにしました。北朝鮮が、豊渓里(プンゲリ)の核実験場を爆破し、「朝鮮半島の非核化」を目指す姿勢を示した直後の発表でした。

これに慌てた金正恩は韓国の文在寅大統領と急遽、板門店で首脳会談を行い、米朝首脳会談開催への「確固たる意志」を表明し、決裂回避に動き始めました。トランプ大統領はツイッターで、自身で表明した首脳会談の中止から一転して、今度は開催に前向きな姿勢を示しました。

結局、米朝首脳会談は当初の予定通り、シンガポールで6月12日に開催されました。私は、突如首脳会談中止を表明し、相手が慌てたところで「やっぱりやろう」と揺さぶったトランプ大統領に、「ディールの達人」の恐ろしさを見ました。そして、金委員長は、完全に逃げ場を失い、「袋小路」に追い込まれました。

「ディールの達人」トランプ大統領

トランプ大統領は「朝鮮半島の完全な非核化の実現」を一歩も譲らないでしょう。また、拉致問題の解決なども、日韓(実質的に日本)に北の支援を任せたことからも、拉致問題の解決に関しても一歩も譲らないでしょう。

日本としても、拉致問題が解決しなければ、北朝鮮に援助するなどは一部の野党は賛成するかもしれませんが、与党はもとより、国民の大多数の感情が許さないでしょう。

今後、北朝鮮が再度何らかの声明を発表したり、行動を起こして、「核の全面放棄に積極的な姿勢」を示さなければ、北朝鮮に対し、300以上の追加制裁措置が実行されることになるでしょう。その中には、当然米韓演習の再開も含まれているでしょう。

トランプ大統領は18日、2000億ドル規模の中国製品に対し10%の追加関税を課すと警告。500億ドル相当の中国製品に対する米国の関税発表を受けて中国が同規模の報復関税を決めたことへの対抗措置だと説明しました。これに対し中国も、米国は「極度の圧力や脅し」をかけていると非難し、「質的かつ量的な」措置で反撃すると表明しました。

トランプ大統領は、2000億ドルの中国製品に対する関税に対抗して中国が再び報復措置を発表すれば、米国はさらに2000億ドルの中国製品に関税をかけるとも警告。これまでに総額4500億ドル規模の中国製品に対して関税適用を警告したことになり、中国の対米輸出額5000億ドル強の大部分がターゲットになった形です。


ナバロ通商製造政策局長は、貿易戦争では中国のほうが失うものが大きいとの見方を示しました。私もそう思います。

同氏は記者団との電話会見で「中国はトランプ大統領の強い決意を過小評価していた可能性がある」とし、「(米国からの)輸入を幾分拡大するだけで、米国の知的財産権や技術を盗むことをわれわれが容認すると思ったなら誤算だ」と述ました。

これを「はったり」とか「ディールの一部」と見る向きもあるようですが、金正恩が中国寄りの、中途半端な姿勢を見せたことから、今後の米朝の実務者協議で、北が「段階的な非核化」を主張した場合、米国は北にはさらなる制裁の強化、中国には貿易戦争に加えて金融制裁に踏み切ることになるでしょう。

北が「段階的非核化」にこだわりつづけるなら、トランプ大統領はこれを好機ととらえ、金正恩の約束の反故とそれを高く評価する習近平を徹底的に非難しつつ、それを理由に中朝制裁に踏み切るでしょう。それでも、金正恩が翻意をしなければ、軍事的オプションも行使し、中国に対して最大限の圧力をかけるでしょう。

いずれに転んでも、金正恩は、トランプ大統領の対中国戦略の駒として利用されるのです。中米両国を手玉にとるつもりだった、金正恩はとんでもない人物を敵に回してしまったと後に後悔するでしょう。いや、後悔する暇(いとま)もないかもしれません。

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