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2016年1月15日金曜日

【お金は知っている】中国が世界にまき散らす市場不安と習政権が恐れるリスク ―【私の論評】福島原発報道で醜態をさらしたドイツメディアにまで、愛想をつかされた中国(゚д゚)!





 上海株は暴落、日米の株価の足を引っ張る。グラフが示すように株安を先導するのは人民元安だ。

 元安は「管理変動相場制」と呼ばれる中国特有の外国為替制度の限界を示している。同制度は、中国人民銀行が前日の元相場終値を基準とし、元の対ドル相場の変動を基準値の上下各2%以内にとどめるよう市場介入する。人民銀行は、わずかずつ元高に誘導してきた。元がドルに対して強くなれば、中国の元資産に投資している華僑など海外の投資家や国内の富裕層はドルなど外貨資産への転換を思いとどまるからだ。

 ところが、元高は国内産業の競争力を低下させると同時に、デフレ圧力を招き入れ、企業の製品価格を押し下げる。生産設備や不動産は過剰となり、企業や地方政府の債務が膨れ上がる。中国の企業債務(金融機関を除く)残高はダントツの世界一で、国内総生産比でバブル時代の日本企業の水準をはるかに超える。

 習近平政権はもはや、やけっぱちだろう。元安政策に転換したが、元安を嫌う華僑や国内の資産家は元資産を売って、外貨資産を買う。上海や深●(=土へんに川)の株価が暴落するわけである。

 人民銀行は資本逃避が起きるたびに外貨準備を取り崩して元を買い支える。この結果、外貨準備高は2015年末時点で3兆3000億ドル(約388兆7000億円)、前年同期から1080億ドル(約12兆7000億円)減った。香港やシンガポールの金融関係者の間では、このペースで資本逃避が続けば、外準は早晩3兆ドル台を割り込むとの見方が多い。

 元安は外貨建ての巨額債務を抱えている中国企業の実質債務負担を増やす。当局がいくら株式市場を管理、売買を規制しても、中国株売り圧力が高まる。こうなると、際限のない元安、株安の連鎖となる。

 打開策はただ一つ。管理変動相場制を廃棄して、先進国は当たり前の自由変動相場(フリーフロート)制に転換することだ。となると、当局の介入はなく、元相場は市場の需給を忠実に反映する。相場の変動は激しくなるが、投資家は為替の変動リスクを考慮して投機を控えるようになり、いずれ市場需給に合致する水準に元相場が落ち着く。

 習政権が恐れるのは、元が底なしの下落に見舞われるリスクである。資本逃避ラッシュが起き、外準は雲散霧消、輸入物価は急上昇し、悪性インフレに見舞われるかもしれない。すると、党独裁体制崩壊の危機である。それは、習政権の膨張主義を妨げるので、世界にとってはよいことだが、日本の財務官僚や親中メディアは管理変動相場制維持を支持する。中国の市場危機で日本も大きく揺れるとの懸念による。近視眼の平和ぼけの論理だ。

 考えてもみよ。現行制度維持では、習政権は大気汚染物質PM2・5同様、市場不安を世界に途方もなくまき散らす。解消のめどは立たない。安倍晋三政権は国際通貨基金(IMF)の場で、元のフロート即時移行を主張すべきだ。 (産経新聞特別記者・田村秀男)

【私の論評】福島原発報道で醜態をさらしたドイツメディアにまで、愛想をつかされた中国(゚д゚)!

中国の経済もうかなり、酷い状態で救いようがないです。昨日も掲載したように、まともなやり方でまだ中国が実行していないというか、できない方法があります。昨日のブログからそのまま引用します。
(ブログ管理人追加:中国経済復活のために)合理的に考え得る戦略としては、金融緩和とインフラ支出で時間を稼ぎつつ、一般世帯の購買力を強化する方向に経済改革を進めて行くという方針があったはずでしたが、残念ながら中国が実行したのは同戦略の前半部分だけでした。その結果、一方では負債が急増し、 その多くを保有しているのは規制の杜撰な 『影の銀行』です。 他方で金融崩壊の恐れも出てきました。自由変動相場 
中国では過去5回の利下げでも、効果はなかった
ブログ冒頭の田村氏の記事のように、中国はいずれ自由変動相場制に移行すべきです。しかし、他に何もしないで、これをすぐにやってしまっても、中国経済は回復しません。まずは、金融緩和策やインフラ支出などをしながら、時間を稼ぎ、それと同時か少し後からでも一般世帯の購買力を強化することが必要不可欠です。

これが、中国経済を救う唯一の根本的な政策です。そうして、それには数字的裏付けもあります。それは、中国のGDPに占める個人消費の割合が、現状では35%しかないということです。これは、このブログにも何度か掲載してきました。個人消費がGDPに占める割合は、日本などの先進国では60%以上です。米国では70%以上です。

中国の35%はあまりに少なすぎです。しかし、逆のほうからみれば、中国では個人消費を伸ばせる伸びしろがまだまだあるということです。

しかし、これを実行するのに一番てっとりはやい方法としては、このブログにも以前から掲載しているように、現在のように貧富の差が極端にある状況を打開するために、経済的な中間層を多くつくりだし、それらが活発な社会・経済活動ができるように仕向けていく必要があります。

これに成功すれば、個人消費を40%以上に伸ばすことも可能です。おそらく、40%でも、中国経済は一息つけるものと思います。50%程度にすれば、結構余裕がでてきて、いろいろと前向きな対策が取れる余裕がでてくるものと思われます。

誰一人、人が住まない中国のゴーストタウン 鬼城 国内のインフラ投資は限界を超えた
しかし、これが中国にはできないのです。なぜなら、中国は一党独裁の全体主義国家だからです。中間層を増やすためには、現成の中国の社会体制の欠陥を是正しなければなりません。

その欠陥とは、民主化、政治と経済の分離、法治国家化が全く不十分だということです。これらがある程度なされていなけば、中間層はなかなか育ちません。天安門事件があったときから、中国の民主化は一歩も進んでいません。政治と経済の分離についても、最近の中国を見ていると分離どころか、不可分に結びついています。法治国家化も全く不十分です。

これらがある程度整備されない限り、経済的な中間層が、社会を良くしようとしても、できるものではありません。となれば、社会の改善や変革はなおざりにされてしまいます。そうなれば、当然経済活動も停滞します。

中国の共産党幹部はこれを全く理解していません。これらによって、経済が良くなるなどとは夢にも思っていません。だから、結局短期的な手しか打つことができません。結局金融緩和とインフラ支出を繰り返すだけです。それでは、先ほど述べたように、時間稼ぎ以上のことはできません。

時間稼ぎするなとはいいません、しないよりはしたほうがましです。しかし、彼らは、これをうまくやりさえすれば、また昔のように、力強い経済発展ができるものと勘違いしています。

日本や、EUなどの先進国がなぜ先進国になれたのか、正面から見つめようとしません。これらの国々は日本も含めて、中国に欠けている、民主化、政治と経済の分離、法治国家化を随分昔から進めていました。EUの先進国は、数百年前から進めていました。日本は、少し遅れましたが、明治以来一貫してこれを進めてきました。

日本や、EUもまだまだ不十分なところがありますが、それでも、中国や他の一党独裁の国々から比較すれば、かなり進んでいます。これが、経済的中間層の社会・経済活動を担保する形となり、彼らが熱心に活動するからこそ、日米を含む先進国では、個人消費が中国などよりはるかに大きく、GDPというとまずは個人消費が注目されるのです。

これらは、国を強くし、富ませるために必要不可欠な事です。少数の富裕層が贅沢の限りを尽くしたとしても、経済的には限界があります。やはり、星の数ほどの中間層が社会・経済活動を活発化させることにより、実体経済は発展します。

こんなことは、明らかなのに、中国共産党中央政府の幹部たちは、結局何も改めようとせず、その場しのぎの対策でなんとかしのぐことしかしません。結局彼らは、自分たちの保身と、自分たちが潤うことしか考えられないのだと思います。彼にとって、中国とは自分たちと、それに連なる子分たちのことであり、大多数の人民など関係ないのです。

こんなことでは、中国経済の復活は難しく、中国は、他の中進国と同じく、ある程度以上経済発展すると、そこからなかなか抜け出せず、いわゆる中進国の罠にはまり、図体がでかいだけの、経済も軍事的にもあまりパッとしない、凡庸なアジアの一独裁国家への道を歩むことになるでしょう。

こんな中国に愛想をつかしたのでしょうか、中国に擦り寄り姿勢を見せてきたドイツが最近変わってきました。それに関する記事が、ドイツ、シュトットガルト在住の川口マーン恵美さんが、書いています。その記事のリンクを以下に掲載します。
ドイツがついに中国を見捨てた!? 激変したメディア報道が伝える独中「蜜月時代の終焉」
昨年10月末にも北京を訪問したメルケル首相だが
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に一部のみコピペさせていただきます。
ドイツ経済は日本のように内需が大きくなく、輸出に多くを頼っている。日本の輸出依存率はGDPのわずか1割強に過ぎないが、ドイツは3割以上。しかも中国依存が強く、中国が、フランス、アメリカ、イギリスについで4番目の輸出相手国だ(日本の対中輸出はGDP比で3%にも達していない)。 
今、そうでなくてもロシア経済制裁で輸出が鈍っているため、中国の不況はドイツにとってギリシャの金融危機よりも怖い。これまでフォルクスワーゲンの3台に1台は、中国に輸出されていたのだ。 
つまり、最近ドイツメディアが一斉に中国経済の実態を書き始めたのは、これ以上、綺麗事を書いてはいられないという危機感の表れかもしれない。
ドイツのメディアは、従来は中国批判をあまりしかなったのですが、最近はかなり様変わりしてきたということです。ドイツ国内には、これを許容する空気が醸成されたということで、ドイツの中国への対応も変わっていくと思います。

このブログでは、以前ドイツのメルケル首相が、習近平に毒入プレゼントしたという記事も掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
メルケル独首相、習近平主席に“毒入り”プレゼントを贈る―中国―【私の論評】メルケルは、当面の目先の商売の相手先としてか中国を見ていないことを、習近平と世界に伝えたかったのか(゚д゚)!
メルケルが習近平に贈ったとされる中国の古地図

この記事は、2014年4月7日のものです。詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に一部を引用します。

3月末、習近平(シー・ジンピン)国家主席はドイツを訪問し、メルケル首相と会談。独中両国は緊密なパートナーシップをアピールした。一見すると、良好な関係を築いているかのように見える。しかしメルケル首相が習主席に贈ったプレゼントが“毒入り”だと話題になっている。 
贈られたのは中国の古地図。宣教師がもたらした情報をもとにフランス人が描いたもので、1735年時点での清朝の領域を示している。しかし地図では新疆、チベット、内モンゴル、尖閣諸島は清朝の領域外とされている。表向きは中国との関係強化をうたいながら、領土問題や人権問題できついお灸をすえたとの見方が広がっている。

・・・・・・・・ 〈中略〉・・・・・・・・・・・・・ 
このブログにも以前から掲載してきたように、中国の金融システムはガタガタで、崩壊寸前です。暴動も年間10万件を超える勢いです。

こんなときに、商売としては旨味がなくなっている中国に対して、すり寄り姿勢のみを強調されては、たまったものではないので、毒入りプレゼントを送りつけ、メルケル首相の腹の内をみせ、「あまり好い気になるなよ、旨味のある商売ができなくなったら、すぐにも手を切るぞ」という姿勢を習近平と世界にみせつけてみせたというところだと思います。

そのまま放置しておけば、中国あたりつけあがって、中国が何をしても、世界に向かってドイツやイギリスの世論が味方だなどと言いかねず、それを牽制する意味もあったものと思います。
ドイツが中国に擦り寄り姿勢を見せたときには、日本側からみていると、中国の経済は、日本の維持権の包括的金融緩和で、それまでまるで中国にとって麻薬漬けの政策から麻薬が打ち切られたような状況になり、さっそく経済に種々の異変が発生し、中国経済の悪化が確実になっていました。

しかし、日本でも一部の識者など、まだまだ中国の経済は発展すると見るものもいた時ですから、ドイツではまだまだ、中国経済の実態が把握されていな買ったのだと思います。

しかし、最近ではどう考えても、誰が見ても、中国の経済が悪化しているのは明らかで、さすがにドイツのマスコミも、経済の悪化や、先進国の常識では考えれない、異形の中国の実態を報道するようになったとみえます。

ドイツのメデイアというと、日本の福島原発事故報道においては、とんでない報道を繰り返し、世界に醜態をさらしましたが、ようやっと、中国の実態に気づき、まともな報道をしつつあるようです。

いずれにしても、ドイツにも愛想をつかされる中国です。習近平の恐れる元が底なしの下落に見舞われるというリスクは、現実のものになったとみて間違いないです。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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