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現代ビジネスのサイトに、同タイトルの記事が掲載されていましたので、本日はその要約を掲載ましす。
菅政権は東日本大震災復興特別措置法案を準備しているという。だが、今国会は会期延長をせずに、あるいは小幅な延長だけで閉会する方向で、議員たちは早ければ6月末から夏休みに入る。復興特措法案は8月下旬頃からの臨時国会に提出するというから、呑気なものだ。
この法案は内閣府で検討しているらしい。内閣府は各省からの寄せ集め部隊で権限と予算が少ない。小泉政権では総理の後押しがあって規制緩和で活躍したものの、その後は鳴かず飛ばずだ。
案の定、法案の中身もシャビー(みすぼらしい)。自治体単位の「復興特区」を創設し、土地利用の規制緩和や法人税減免などの税制優遇、あるいは復興事業への金融支援を行うというが、どれもこれも財務省予算の本丸に触れないような、カネを使わない小物の施策ばかりである。
ほかにも、エネルギー分野で太陽光や風力による発電施設に立地規制があったり、訪問看護ステーションの看護師数については細かい要件があったりする。これらの諸規制を特区内では緩和するというのだ。
ただし、そのスピード感には疑問符がつく。特区ごとに国との協議会を設け、被災地からの特例措置の提案や支援要請を受けて国が必要な法改正を検討するというのが基本形。こうした枠組みを見る限り、中央省庁が権限を手放すつもりがないことがよくわかる。被災地からの申請によって国が検討するという形だと、権限を持っているのはあくまで国なのだ。
ここは思い切って東北を「独立州」にするぐらいの大胆な権限委譲をするべきだ。これまでも地方分権は散々議論されてきたが、大震災という未曾有の国難を機に、中央省庁は権限に固執することをきっぱりと諦めて地方に任せてみたらどうだろう。
規制緩和はやらないよりましだが、税制措置や金融支援では効果は極めて限られる。被災者の多くは甚大な被害を受けているので、優遇税制で助かる人は一握りだ。本当に困っている被災者は税金すら払えないのに、内閣府では予算の大盤振る舞いはできないから、そうした人を救えない。
金融支援もせいぜいが金利減免だから、いまの低金利の環境ではその恩恵も微微たるものに過ぎない。これまでの借金の返済ですら途方に暮れている人が大半で、多少の金利減免があるからと新たなローンを組むのは、比較的恵まれた人だろう。本当にギリギリの人には借金の棒引きくらいが必要だが、それも内閣府では手に負えない。
要するに、規制緩和や税制措置、金融支援では本当の弱者は救えない。そうした人を救済するには、一にも二にもカネが要るのだ。その上で、地方分権によって中央省庁の権限を地方に移譲する。被災地はカネと権限をもらえれば、地方の特色を生かして復興できるはずだ。
国はカネと権限を被災地に渡すだけでいい。復興構想会議のような余計なパフォーマンスは必要ない。http://gendai.ismedia.jp/articles/-/5863
【私の論評】震災地復興に偏狭なナショナリズムは必要ない!!
私は、常々このブログで、日本国のナショナリズムの高揚を心がけてきました。それは、無論、世界情勢をみたり、日本というユニークな大国の国民としてこの国を愛しているからであり、この日本の素晴らしい伝統文化を継承し続けるべきであるとの信念からそうしてきました。
それに、たとえば、安全保障などの問題、さらには、お金を刷ったり、国債を刷ったりすることなどに関しては、絶対に国が主導をすべきであって、それを地方に移譲などしたとしたら、それは、もう、国家ではなく、それこそ、大昔のように、地方が一つの藩であり、一つの国になるという事だと思います。そうして、日本は、特に海外との関係という観点から、没落することになるでしょう。
そうして、民主党の言う「地方主権」などという言葉は、世まごいごとの一つと思っています。主権とは、そもそも、国家に関わることであって、地方に馴染むものではありません。
しかし、ながら、震災の復興、特に被災地の復興に関しては、平時の時を想定してつくられている、日本政府が、日本国を代表として実施するというより、上記のように被災地に十分なカネを供給し、地方に、大幅な権限を移譲するべきと思います。それをなぜ、地方主権などというカルト的な政策を標榜する民主党が実施しないのかさっぱり理解できません。
私は、もともと、地域の復興という事業には、政府という単位は馴染まないと思います。無論、復興とはいっても、日本国全体に関わるようなことは、日本国政府が実施したほうが良いと思いますが、こと、震災地の復興ということになれば、政府が実施してしまえば、それこそ、個別の社会問題に政府が直接手をだしてしまうようなものであり、すべての人に平均的な施策を実施してしまうようなことになり、必要な人には、薄く、不必要な人には手厚くサービスを実施するということになりかねません。
政府は、もともと、個別の社会問題を解決するための機関ではありません。このような問題には、NPOなどが実施するのが、最も効率が良いです。政府が、実施すべきことは、NPOなどが、自由に動きまわれるように、法律や、資金などの基盤を整備することです。直接手を出せば、必ず失敗します。政府ができることは、基盤を整備することであり、その上で、実際に活動するのは、政府ではなくて、非営利企業(NPO)であり、営利企業(PO)でなければ、非常に効率の悪いことになってしまいます。
これに関して、日本では、非営利企業があまり大きな活動をしていないので、多くの人は理解していないようですが、これは、ドラッカーも主張していることです。NPOについては、本日は本題からそれるので、本日は詳細は掲載しません。どうしても、知りたい方は、このブログのコメント欄などにコメント願います。そうした要請があれば、コメント欄にその内容を掲載しようと思います。
これと、同じ理屈で、政府が直接、震災地の復興を手がけても、なかなかうまくはいきません。それは、当然であり、菅内閣が震災の復興で、モタモタしているように見えるのは、こうしたことが主な理由です。
岩手県などでは、仮設住宅の設営に関して、政府を待たず、県レベルで推進したため、最も速く他県に先駆けて住宅が設置されています。他県のように、国の出方を待っているところでは、かなり送れています。また原発に関しても、海水注入が菅首相の実質上の指示により、停止されたはずなのに、現場の所長の判断により、停止されずに、そのまま継続されていました。この所長の判断は、どの専門家からみても、正しい判断でした。これなども、上記の説などを裏付けるものだと思います。
だから、なぜ、民主党政権が、地方に大幅に権限だけでも移譲しないのか、さっぱりわけがわからません。民主党のもともとの党是からしても、震災地にかなり権限を移譲するのが、当たり前だと思うのですが、それをしません。それに、復興に関しては、復興委員会などをはじめ、識者の集まりのような組織や、国会議員などの組織を沢山作るのですが、肝心要の実行部隊はつくりません。
関東大震災による東京の復興には、帝都復興院という東京復興を専門に行う組織が創設され、ここが、専門に実施しました。
帝都復興院(ていとふっこういん)は、1923年(大正12年)9月1日に起こった関東大震災翌日の2日より、帝都復興省案とともに検討され、9月27日に山本権兵衛内閣により設置された政府機関です。総裁は内務大臣後藤新平(元鉄道院総裁・東京市長)が兼務し、幹部には後藤の腹心やブレーンが集められまた。総裁官房・計画局・土地整理局・土木局・建築局・経理局・物資供給局が置かれ、内務省、鉄道省その他から有能な技術者を集めて、帝都復興事業に取り組みました。
復興院が立案した帝都復興計画は、伊東巳代治(枢密顧問官)ら長老政治家や、野党政友会の反発によって大幅に縮小されました。また同年12月の虎ノ門事件により第ニ次山本内閣が総辞職すると、総裁は後藤から水野錬太郎に交代し、1924年(大正13年)2月25日に帝都復興院は廃止されました。帝都復興事業は内務省の外局として設置された復興局に引き継がれました。なお復興局は1930年(昭和5年)年4月1日に復興事務局に改組され、1932年(昭和7年)4月1日に復興事務局も廃止されました。
復興院は、被災地を全ていったん国が買い取る提案や、自動車時代を見越した100m道路の計画(道路の計画には震災前の事業計画であった低速車と高速車の分離も含まれていた)、ライフラインの共同溝化など、現在から見ても理想的な近代都市計画でしたが、当時の経済状況や当時の政党間の対立などにより予算が縮小され、当初の計画は実現できませんでした(後藤案では30億円だったが、最終的に5億円強として議会に提出されました)。
これが失策であった事は、東京大空襲時の火災の拡がり方や、戦後の自動車社会になって思い知らされることとなりました。例えば道路については首都高速等を建設(防災のために造られた広域避難のための復興公園(隅田公園)の大部分を割り当てたり、かつ広域延焼防止のために造られた道路の中央分離帯(緑地)を潰すなどして建設された)する必要が出てきました。また現在も、一部地域では道路拡張や都市設備施設などの整備が立ち遅れているという結果を生みました。
帝都復興院は、東京復興のための専門機関ではありましたが、国に所属した機関であったことに違いはありません。そのため、結局は、国の都合で、復興院の計画を成就することはでませんでした。しかし、かなり成果をあげることができたため、戦前に東京オリンピックを開催できるまでに、復興が完了できました。ただし、戦前の東京オリンピックは、戦争のため中止となりました。
だから、帝都復興院はかなり成果をあげたと思います。しかし、上で述べたように、国の1組織であっことが、災いし、後々本当に必要になることが実現できませんでした。今回の震災が発生して間もなくのころ、帝都を復興した後藤新兵衛の例が、テレビなどで大々的に報道され大成功であり、現代の後藤新平は誰がなるのかなどと報道されていましたが、実際には、国の組織としての限界もあったということです。
後藤新平 |
別組織であっても、国の機関がやってしまえば、こうしたことになるのに、現在のように、内閣府が地域の復興を実施していては、うまくいくはずがありません。復興院による、復興が十分ではなかったことを考え合わせると、やはり、上の記事のように、地域にまかせるか、それこそ、地域に復興専門の組織をつくり、民間の力も借りて、本格的に地域の復興にあたるのが、最も良い選択肢であると思います。
また、経済的に見ても、このような手段をとったほうが、良いと思います。政府が、復興を直接実施してしまうと、経済的にも無駄が生じる確率が高いです、しかし、地域で、地域に密着した復興を行えば、地域に即した復興ができるため、国が実施するよりも、はるかに低い投資でかなり効率の良い復興が期待できます。
また、このブログでは、復興を実施するために、増税することなど、最も愚劣な手段であることを強調してきました。特に、被災地を思いやる日本国民のナショナリズムを、「増税」という当初からの(震災前からの)政治的意図を達成するために利用しようとする人々が存在することは、非常に問題です。
現在は、デフレの真っ只なかにありますし、しかも、震災でさらにそれを助長するという結果になっています。ここで、増税をすれば、結果として、震災地の復興にも悪影響を及ぼすことになります。これは、たとえば、震災地を復興特区として、特区においては、税金を免除するなどという措置をとったとしても、ほとんど意味がありません。
なぜなら、復興地の人口は、岩手、宮城、福島の三県ですが、この地域の人口は、合計でも、600万人程度であり、日本全体からみれば、数%にすぎません。とすれば、日本全体では、かなり影響を受け、結果として、震災地にも悪影響を及ぼすからです。要するに、建物などの復興はできても、震災地の人々が自立して生活できるほどに、震災地の外からモノやサービスを買ってもらえなくなり、雇用が安定せず、実体経済がともなわないことになります。震災地の不況は、震災地外にも開く悪影響を及ぼすことになります。
だから、震災が起こる前から懸案であった、デフレを解消しなければ、どちらにとっても、良いことはないのです。
だから、震災が起こる前から懸案であった、デフレを解消しなければ、どちらにとっても、良いことはないのです。
特に、上記のようなナショナリズムは、決して、震災地に良い影響を及ばすようなことはありません。
このあたりに関しては、以下の、「震災とナショナリズム」という記事を読んでいただければ、なお一層理解が深まると思います。是非ご覧になってください。
以上の観点から、震災地の復興には、ナショナリズムは必要ないと思います。というより、地域の復興そのものは、地域がカネと大きな権限を持って行ない。国レベルで行うべきことは、政府で行うとい明確な役割分担をして、実行すべきです。震災が発生してから、しばらくしてから、全国で、震災地が不自由をしているのに震災地以外の人間が、楽しんでいる場合ではないという、偏屈なナショナリズム的な考えから、自粛の嵐が吹き荒れました、お花見の中止、花火大会の中止、イベントの中止などです。これに対して、各方面から、自粛は決して震災地にとって良いことではないという声が巻き起こりました。これは、もっともなことだし、正しいことだと思います。
しかし、現在、震災地に対して、大幅な権限委譲をしないだとか、自由に使える金を与えないだとか、復興のため増税をするなどのことは、自粛をはるかえに超越したレベルで、震災地に悪影響を及ぼすのは、必至です。私たちは、震災から復興をするため、そうしてそれを支えるためにも、偏狭なナショナリズムは捨て去らなければなりません。
Tweetしかし、現在、震災地に対して、大幅な権限委譲をしないだとか、自由に使える金を与えないだとか、復興のため増税をするなどのことは、自粛をはるかえに超越したレベルで、震災地に悪影響を及ぼすのは、必至です。私たちは、震災から復興をするため、そうしてそれを支えるためにも、偏狭なナショナリズムは捨て去らなければなりません。
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