2011年5月11日水曜日

【日経新聞】「国の借金」1年で41兆円増 10年度末、最悪の924兆円―【私の論評】「国の借金」は表記間違い!財務省は、国の借金などと発表はしていない!!

【日経新聞】「国の借金」1年で41兆円増 10年度末、最悪の924兆円


財務省は10日、国債や借入金などを合わせた2010年度末の「国の借金」の残高が924兆3596億円に達したと発表した。09年度末に比べて41兆4361億円増え、過去最悪を更新した。日銀統計によると、家計の金融資産と負債の差額は1100兆円程度。東日本大震災の復興事業で多額の国債の発行が見込まれており、数年以内に政府の債務残高が家計の純資産残高を上回る可能性がある。

「国の借金」は国債、借入金、政府短期証券の総額で、財務省が四半期ごとに公表している。財投債(118兆円)は含み、地方の長期債務(約200兆円)は含まない。10年度末残高の内訳は国債が758兆5690億円、借入金が55兆58億円、政府短期証券が110兆7847億円だった。

借金残高は5年間で約100兆円増えた。今年4月時点の推計人口(概算値)で計算すると、1人あたりの借金は約722万円となる。11年度第1次補正予算後の財務省見通しでは、11年度末には1002兆円になる。

借金がここまで膨らんだのは、毎年の政策経費を税収だけで賄えず、新規国債の発行に歯止めがかからないためだ。国債は09年度末に比べて約38兆円増えた。

政府は20年度までに政策経費の財源不足を解消して、債務残高の増加に歯止めをかける目標を掲げている。だが仮に名目で年率3%を上回る経済成長を遂げたとしても、目標の達成は難しいとされている。【日経新聞】

【私の論評】「国の借金」は表記間違い!財務省ですら、国の借金などと発表はしていない!!
上の日経新聞の「国の借金」という表現は、完全に間違いです。これが、「プライマリーバランスが赤字」とか、「財政均衡が崩れている」、「財政均衡が崩れて、赤字になっている」というくらいなら、わかりますが、譲歩して「政府の借金」くらいなら、まだしも、「国の借金」という表現は完全に間違いです。困ったものです。日本の一応一流経済紙といわれている新聞がこのような表記をすべきではないです。完璧な言葉遣いの間違いです。

このブログを長年読まれている方は、もう私のいいたいことはおわかりだと思います。このことは、このブログでは、何回も掲載してきました。結論からいえば、日本国には、借金などありません。本当の日本国の借金とは、外貨建てで、外国からお金を借りていて、それが、外国に貸したお金をうわまわったとき、始めて、赤字であり、借金といいます。格好をつけて、専門用語でいえば、負債ということになります。これ以外は、負債といいません。

この理屈は難しいことではないです。たとえば、私が菅総理からお金を借りていたとします。私は、私で、菅総理にお金を貸していたとします。私が菅総理から借りているお金の金額の合計が、私が、菅総理にお金を貸している金額を上回ったときに借金(負債)といいます。これって当たり前の真ん中ですね。先の話は、菅総理を日本と入れ替え、私を外国と入れ替えただけの話です。

経済の話、マクロ経済の話などというと、やたらと、難しいと思う人もいますが、この話はあまりに簡単で誰にでも理解できると思います。上の原則は、他のどんな複雑な事象が加わろうが、なにがあろうが、根本は何もかわりません。

(参考)本邦対外資産負債残高の内訳

(単位:10億円)


資産
21年末残高
対前年末比
直接投資
68,210
+6,470
証券投資
261,989
+46,307
金融派生商品
4,251
▲2,771
その他投資
123,599
▲18,153
外貨準備
96,777
+3,793
資産合計
554,826
+35,646
負債
21年末残高
対前年末比
直接投資
18,425
▲31
証券投資
141,896
+1,589
金融派生商品
5,213
▲2,548
その他投資
123,068
▲4,078

負債合計
288,603
▲5,068
純資産合計
266,223
+40,714



それでは、日本国の負債はどうなっているのか、これは、財務省の統計から現在の最新の数字(21年度分)をもってきました。表が、フォームからはみ出てしまって、少しみっともないでずが、ご容赦ください。

本邦対外資産負債残高の内訳という表の題名は良くありません。この表は、金融資産を扱っています。それに、負債残高という表記もおかしいです。企業の財務諸表のPLで、利益と書くべきところを、損失と書いているようなものです。何か、意図があるのでしょうか?

さて、上の、純資産合計というのがありますが、これが、266兆円あります。これが、日本が外国に貸しているお金=金融資産ということになります。これが、マイナスであれば、負債ということです。

要するに、、日本には、借金があるどころか、266兆円も貸しているということです。

これは、先ほど、菅さんと私との間のやりとりと同じことであり、負債でなくて、資産であれば、無論借金ではありません。

これは、日銀の資料などでも、同じことです。ただし、日銀は見方が違うので、表の中の項目が若干違うというだけで、同じことです。帳尻はの266兆円という数字は、変わりありません。

ちなみに、ギリシャやアイルランドの国などは、この日本でいえば、266兆円に相当する数字が、マイナスでした。そうです、まごうかたき、借金です。だから、財政破綻に見舞われて、大変なことになったのです。この数字がプラスである限り、国は借金を背負っているなどということはなく、財政破綻の危機などからは程とおいということです。

このようなことは、はっきりしすぎていることですから、私は、上の財務省の資料をみるついでに、日経新聞のように「国の借金」などという言葉があるのかどうか、目を皿のようにして探してみましたが、さすがに、はっきり「国の借金」などという表現はどこにも用いていませんでした。それを使ってしまえば、はっきりした嘘ということになってしまいますから、書けないでしょう。なのに、日経新聞は、平気で使っています。これは、言葉レベルでいえば、完全に誤用であり、日経新聞には、まともな校正者がいるのかどうかを疑ってしまいます。日経新聞も、すっかり劣化してしまいました。

それから、これは、今回の発表に関してではないですが、3年前ほどに同じようなことがあり、財務省に電話をかけて、いろいろ聴いたのですが、さすがに、「国の借金」という言葉は遣いませんでした。要するに、プライマリーバランスの崩れに関して、「これは国の借金(負債)なのか」と聴いてみたのですが、そちらの方に誘導すべく、いろいろいと聴いてみたのですが、人が何回か変わったりしましたが、さすがに、プライマリーバランスの崩れを「国の借金」といういう人は一人もいませんでした。

ただし、サイトの中をみていると、たとえば、家のローンの模式図と、プライマリーバランスの赤字の模式図を横に並べて、併記したりして、これを見た人に、「プライマリーバランスの崩れ=赤字」というように誘導しようとしているのがありありとわかりました。しかし、この模式図や、その説明文の中に、「国の借金(負債)」などという言葉は一言一句もでてきませんでした。

そりゃそうですね。それを言ってしまえば、完璧な嘘になりますから。口が裂けても財務省の人間が言うことはできませんね。皆さんも、試しに、財務省に電話をかけてみてはいかがですか?本当、うろたえぶりが面白いですよ!!私が電話をかけたときには、通算で5回人が変わりましたよ!!変わるたびに、職位があがっていきました。さすがに、次官まではいきませんでしたが・・・・・・・・。

本日は、国の借金ということに絞って掲載させていただきます。プライマリーバランスや、国債にことや、他の事まで話を広げると、分かりきつていることをまた、掲載するということで、書く方も、辛いですから、いずれ、機会をみて、一つずつ、最新の数字をふまえながら、今回のように平易に解説するつもりです。また、過去の経済関係の記事を【関連記事】のところに掲載しておきましたので、こちらも読んでいない方は是非ご覧になってください。

ただし、次の記事に興味を持っていただくために、プライマリーバランスについて、あと少しだけ掲載しておきます。

ギリシャのような国、実は、プライマリーバランス(財政均衡)だけみていると、真っ黒で、とても健全にみえていたときがあります。そうです。そんなことはいくらでもありうるのです。たとえば、国の歳入と歳出が均衡を保っていて健全に見えても、要するに、日経新聞に書かれているような日本の状況からは程遠くても、海外からの借金があれば、上の純資産合計が真っ赤ということもありうるのです。

なぜなのかといえば、それは、プライマリーバランスなど国の経済全体の一部を切り取ったものに過ぎないからです。会社でいえば、財務省表の特に、BSの一部を見ているにすぎないからです。プライマリーバランスとは、先ほどの私と菅総理の金のやりとの例でいえば、菅総理のご自宅の中での金のやりとりのようなものだからです。菅総理が、たとえ、菅さんのお宅のなかで、たとえば、奥さんなどから、かなり多くのお金を借りたとしても、私からの借金をしていなければ、公に借金などとはいいませんね。日本という国も同じことです。

ただし、菅総理が奥さんからのお金を返そうとして、私から、沢山借金をすれば、事情は変わってきます。そこから、本当の借金ですね。しかし、日本は、このような状況からは、実は程遠いのです。ちなみに、ギリシャなどは、まさにこのパターンでした。ドイツなどに、ユーロ建てで、ギリシャ国債を買ってもらって(平たく言うと、借金して)、それを国家公務員の賃金にあてたりしていました。こうなれば、先ほどの純資産合計は、マイナスになるか、あるいは、純負債合計という表記になるということです。要するに、プライマリーバランスだけからは、国が借金(負債)しているかどうかなど判らないということです。

【関連記事】

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2 件のコメント:

pink さんのコメント...

政府の借金だとしても、
国債を購入しているのは国民であり、
また最終的には増税や預金封鎖を強行して国民の財産を管理する権利を政府が握っている以上、事実上、国民の借金と思うのですが、どうお考えでしょうか。

例えて言うなら、
奥さんが勝手に借金してきて、それは奥さんの借金だけど、結局は、旦那さんが払う必要が生じてしまう、というような話です。

山田 豊 さんのコメント...

pink様 まさにおっしゃる通りです。あなたは、正しいです。


では、pink様のたとえの通り、一家庭を国として、奥さんを国民として、政府を旦那さんとしたとしましょう。

そうすると、実は奥さんは、1000兆円ものお金を持っていることになります。旦那さんは、借金1000兆円といわれていますが、これも、実は誤りです。実は、旦那さんは借金もありますが、実は、膨大な資産も持っておられるのです。数百兆です。

これに関しては、文章だけで書いていると、理解しずらいと思いますので、後で本日日本国の貸借対照表を用いてブログで説明させていただきます。

Pink様、このたとえ、非常に解りやすいです。変に、専門用語の資産とか、負債などという言葉を使うより余程理解しやすいです。
使わせていただきます。有難うございます。

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