成長優先で協調確認=G20首脳会合が開幕-経済回復は脆弱、財政再建は慎重に(この内容すでにご存じの方は、この項は読み飛ばしてください)
カナダで開かれていたG8(=主要国首脳会議)とG20(=20か国・地域首脳会合)を終えて菅総理が会見し、「経済成長と財政再建の両立について全体の議論のスタートを私なりに提起できた」と自賛しました。
カナダ・トロント郊外で開かれたムスコカ・サミット(主要国首脳会議)に続き、トロント中心部に場を移して、中国やインドなど新興国を加えた20カ国・地域(G20)首脳会合が26日夜(日本時間27日朝)、2日間の日程で始まった。昨年のピッツバーグG20首脳会合以後の最大の状況変化として、ギリシャに端を発した財政健全化問題と、成長強化が中心議題。
冒頭の夕食会では、金融市場の混乱の火種となっている先進国の財政問題に焦点が当たる中、G20が協調して経済成長に配慮した施策を推進することが重要との認識を共有。成長を優先する米国が、矢継ぎ早に緊縮的な財政運営目標を打ち出している欧州諸国を抑え込んだ形になっている。
また、世界経済の回復は予想以上だが、現状では回復度合いはまちまちであり、全体として依然脆弱(ぜいじゃく)だとの意見が大勢。成長の勢いを確保することが重要課題であるとの指摘が相次いだ。夕食会での論議を踏まえ、G20の総意は、財政健全化は重要だが性急な実施には慎重であるべきだとの方向に集約されつつある。
ただ、議長国カナダが「先進国は2013年までに財政赤字を半減する」との財政規律強化の目標を提案しており、議論の行方が注目される。
さらに中国の人民元切り上げの動きも念頭に、世界経済の成長持続に向けて、新興国が具体的措置によって内需を拡大する必要があるとの発言もあった。
菅直人首相は、日本の「新成長戦略」と「財政運営戦略」を説明。財政健全化を図るとともに、介護、医療、保育などの市場と雇用を拡大し成長につなげる日本の経済政策運営に理解を求めた。
情報閉鎖の日本マスコミ?
上の記事では、『議長国カナダが「先進国は2013年までに財政赤字を半減する」との財政規律強化の目標を提案しており、議論の行方が注目される』としています。しかし、現実には、この言葉の直後に「ただし、財政再建と、経済成長の両方を実施する日本は例外とする」と付け加えていたことがなぜか、日本の新聞ではほとんど報道されませんでした。少なくとも、私が、サイトで確認した、時事、東京新聞、ロイター、yomiuri、日本経済新聞では、報道されていませんでした。
そのため、私は、これに関する十分な説明をしたいと思います。
このブログで掲載したように、カナダは、金融危機の直撃は受けないですんでいます。もろに直撃をうけた、隣国アメリカなどとは対照的です。それに関しては、このブログにも以前掲載したことがあります。これに関しての詳細は、以前のブログをみていただくこととし、カナダの国債についてだけ記しておきます。先進国のほとんどが、国債というとたいていそのほとんどを外国に買ってもらっています。アメリカなどその典型で、現在世界で一番アメリカの国債を所有している国は中国です。二番目の国は日本です。ところが、カナダは違います。カナダ国債の96%は、カナダ国内で発行しています。残りの4%のみが外国に買ってもらっています。
だから、国債の発行に関しては、カナダは日本と非常に似ているということです。国債発行に関しては、まさに日本とカナダだけが先進国中で例外中の例外といっていいです。両国だけが、国債の金利も低く、そののほとんどが、国内の機関投資家や個人から購入してもらっているということです。だから、これを政府が財源にあてたとしても、それは、国民から借りているということであり、外国からお金を借りているわけではありません。ギリシャなどでは、外国、それも特にドイツから大量にユーロだてで、借金し、財源にあて、世界でも有数の怠け者国家公務員の高い賃金(ドイツの倍)を支払っていました。カナダと日本は、ギリシャなどの国とは根本的に異なるということです。
他の国の国債は、かなりの部分が外国から購入されているのです。そうして、これを政府の財政の財源に当てています。つまり、外国からの借金を政府の財源にあてているということです。
皆さん、これは、外国に買ってもらっているか、国内で買ってもらっているだけの違いで、借金は、借金で両者には、ほとんど差異がないとお思いでしょうか?いえ、決してそんなことはありません。両者には、天と地ほどの差異があるのです。
日本や、カナダなどでは、国債を購入しているのが、国内の銀行などの機関投資家や、個人投資家であるので、普通の家庭でたとえると、結局は、財布の紐は一つである家族からお金を一時借りているようなものです。大きな意味での借金ではありません。家の中でお金が動いているだけです。
それに対して、他国は、国債を購入しているのが、外国なので、これも、家庭にたとえると、家族からお金を借りているのではなく、家族外の外の人や、郵便局、銀行などからお金を借りているようなものです。
両者の違いわかってもらえるでしょうか?国債は、外国ではなく、国内の投資家に購入してもらってる限りおいては、たとえ、かなり大きく借りてもさほど心配ではありません。なぜなら、極端なことをいえば、国債の借金など、たとえば、政府が紙幣を大幅に擦り増しすれば、すぐに返すことができるではありませんか!!他にも、手はあります。それは、増税です。大幅増税すれば、国債の借金などすぐに返せます。そうです。だから、菅さんは、この増税を行おうとしているのです。
しかし、国債の買い手が外国だった場合は、こんに簡単にものごとはすみませんね。第一、まずは、紙幣を擦り増ししたとしても、その紙幣を外国が受け付けてくれるかどうかは、外国の判断しだいだからです。まあ、唯一アメリカは例外です。なぜなら、ドルが基軸通貨になっているからです。他国では、そうはいきませんね。それに、紙幣を増刷しまくれば、為替も低水準に落ち込みますから、増刷にも限界があります。もう一つの手の増税は、国内で増税したからといって、外国から税金を徴収できませんね。まあ、国内に在住する外国人からは徴収できますが、これでは焼け石に水です。
これで、両者の違いが良くおわかりになったと思います。ただし、現実にはこれほど簡単ではないことはいうまでもありません。紙幣を擦りまししすぎれば、インフレになります。インフレになれば、自国通貨の為替レートは落ち込みます。国債を際限なく、擦りましすれば、誰も購入しなくなるので、それでも買ってもらうためには、国債の金利を高くしなければなりません。大増税をすれば、民間が儲けたお金が政府にもっていかれるわけですから、不景気になります。
上は、譬え話ですが、日本の現実に戻ってみますと、まずは、国債の金利ですが、これは、長期間にわたって低い状況にあります。日本国民が、日本国政府を信用して国債を買ってもらえる状況にあるということてず。また、紙幣に関しては、インフレどころかデフレの状況にあります。さらに、為替レートは20年前からの推移でみれば、高めで推移しています。では、なぜこんなに、日本は安泰なのでしょうか?
その理由をあげてみます。まずは、国民の金融資産が1400兆を超えるほどもあるということです。これは、アメリカに次いで世界第二位です。この金融資産のうち、日本の場合株式などは少なく、銀行に預金されているものが多く、この現金・預金残高ではアメリカを除いて世界一です。これは、驚くことにあのバブルの時代よりもまだ増えています。
さらに、政府も世界一の金融資産を有しています。これだけ、金融資産を持つ政府は、世界広しといえども世界一です。さらに、対外金融資産(つまり外国貸し付けてるお金)の金額は、過去19年間で世界一でした。
こうしたことをみれば、日本が安泰であることは良くわかると思います。それでは、これを前提知識として、今回の議長国のカナダの意図など考えてみましょう。
1.日本は例外
まずは、上で述べたように、同じ財政バランスが崩れているとは、いっても、その内容は、他国とは全く異なり、例外であること。これは、カナダ自体が上で述べたように例外なので、日本の特殊性を良く認識している。
2. 日本が財政再建にだけ地道をあげれば、日本の景気が冷え込む
日本が他を一切無視して、2013 年までという短期間に財政赤字を半減させるには手が限られている。特に、大幅増税は即効性がある。しかし、これを実施すれば、確実に景気は冷え込む。そうなれば、日本の内需はますます、冷え込むことになる。そうすれは、輸入なども激減して、他国にとっても良いことはない。
3.日本が財政再建のために、海外からの資産をひきあげれば、金融危機の引き金になる
日本が、日本国内の景気を冷え込ませずに、確実に 2013年までに、財政赤字を半減させる方途としては、対外資産の引き上げも考えられる。要するに日本が外国に貸しているお金を返却させるということである。これを急速に実施すれば、国によっては、すぐに財政破綻に追い込まれる国もでてくる。そうなると、第二の金融危機どころか、金融恐慌の再来となる可能性すらある。ブラジルなど、もし日本が資産をすっかり回収したら、大変なことになってしまいます。おそらく、国民の生活水準は石器時代の水準に戻ることでしょう。そんな国は、世界中にたくさんあります。今そんなことは、ありませんが、景気が極端に悪くなれば、これを要求する声が国民の間からわきあがってくるようになるかもしれません。さて、これで、G20の議長国カナダの考え方もおわかりになったものと思います。私は、このブログでも、再三にわたって、財政再建より、デフレ克服のほうが重要であると指摘してきました。今回のG20の議長国カナダの提案の内容より、こうした私の主張の信ぴょう性が裏付けられたと思います。
これに対して、日本の新聞などのメディアなどは、あくまでも、日本を財政破綻させたいようです。あるいは、借金まみれのギリシャ以下の国として貶めたいようです。だからこそ、上のようなことは掲載せずに、情報閉鎖しているのだと思います。特に、新聞・サイトなどは文字のメディアですので、一度掲載してしまえば、多くの人が見たり、引用したりで、かなり印象に残りますし、Twitteなどでも、リツイートされたりすることになります。そうすれば、日本のメディアで報道されていることと、カナダの首相がいうことが異なることに多くの人が気づくかもしません。それでは、国民に日本が財政破綻の淵に追い込まれているという印象づけが薄まることになります。これは、かなり悪質な情報閉鎖だと思うのは私だけでしょうか?
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2 件のコメント:
tです。 連日コメントしてすいません。
この記事の国債の説明もすごくよく分かります。
というか、今まで完全に理解してなかったことが氷解しました。
私も議論するうえでの理論武装じょう日本の財政を家庭内の貸し借りにたとえます。
seijiさんのところで書いたように。 ところが実は何故、家庭内(国内)での自己完結した借金なら大丈夫なのか100%理解はしていなかったのです。
しかし、この記事で本当にすっかり理解いたしました。
そして、この記事と最近の森永さんのコラムをあわせ読むと、よりいっそう理解できます。
森永さんは、最近のギリシャ危機は投機マネーが、暴れまくったからと見ています。
そして日本がギリシャのように、ならない為には郵貯の金で国債をもっと買うべきと主張しています。
つまり私流に解釈するなら、投機マネー(儲けるだけが目的で都合のいいときに売られたり買われたりする金)
は、サラ金のような悪質な貸し手、郵貯での国債買いは、安心できる家族での借金
投機マネーに操作されぬ比率で自国の金で国債を買おうという主張なのです。
二つの記事をあわせ読み、何故自国での借金なら安全なのか本当によく分かりました。
経済コラムというのは、えてして難しく理解しがたいものが多いですが、ブログ主さんの解説は本当に分かりやすいです。 微力ではありますが、機会があれば此処をよそでも紹介させてください。
t様 コメント有難うございます。ギリシャ危機で投機マネーが暴れまくったのは事実です。特にゴールドマンサックスは、その典型です。しかし、ギリシャ政府がゴールドマンサックスにそのようなことをさせる隙をつくっていたことも事実です。国家財政が赤字(プラマリーバランスではなく、外国から多額の借金があるという意味で)であることに付け込まれたのです。
日本の銀行、保険会社などの金機関の投資家は、昔から国債を購入しています。私たち国民は、こうしたところにお金を預けているため、自分では意識しなくても、間接的に国債を買っています。
日本の機関投資家は、比較的に健全なので、多少火傷をするようなことがあっても、ギリシャのようになることはないと思います。
ゴールドマンサックスに関しては、日本のソブリンリスクを表明したりして、機会をうかがっていたようですが、結局はうまくいきませんでした。
ゴールドマンサックスのような金融馬鹿には、すぐにも市場から消えていただきたいものです。
以前Twitterで米国人が、ゴールドマンサックによる日本のソブリンリスクに関して、書いていたので、きっぱり否定しておきました。
日本の財政危機を叫ぶ連中は、アメリカ投機筋の片棒をかついでいるようなものです。実際、かついで、おこぼれにあずかろうとしているのだと思います。
このようなことにだまされないためにも、マクロ経済に関する正しい認識が必要になると思います。
これからも、お気軽におたちよりください。
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