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2018年4月18日水曜日

【日米首脳会談】安倍首相「ドナルドと2人きりで相当深い話をできた」、トランプ米大統領「米朝首脳会談で拉致問題提起する」―【私の論評】金正恩が誤算すれば、戦争は不可避(゚д゚)!


トランプ米大統領と会談する安倍首相=17日、米フロリダ州パームビーチで

安倍晋三首相は17日午後(日本時間18日未明)に政府専用機で米南部フロリダ州パームビーチ国際空港に到着した。到着後、首相はトランプ米大統領の別荘「マールアラーゴ」で、トランプ氏との会談に臨み、北朝鮮情勢の分析と、5月または6月に予定される米朝首脳会談に向けた政策をすり合わせた。首相は米朝首脳会談で拉致問題を取り上げるよう要請し、トランプ氏も応じたとみられる。通商問題についても協議した。

 両首脳は最初に一対一の会談を約1時間行った。その後、行われた少人数会合の冒頭で安倍首相は記者団に「ドナルドと二人きりで北朝鮮の問題、経済について相当深い話をすることができた。それぞれ非常に重要な点で認識を一致させることができたことをうれしく思う」と述べた。

 首相は、米朝首脳会談や27日に開催予定の南北首脳会談に関し「平昌五輪から起こった大きな変化はまさにドナルドが確固たる信念と決意でこの問題に対峙した結果だ。あらためて敬意を表したい」と述べ、トランプ氏をたたえた。

 その上で「米朝首脳会談を通して核の問題、ミサイルの問題、さらには日本にとって重要な拉致問題が解決に向かって進んでいく歴史的な会談となることを期待する。そのために、真剣な、そして徹底的な話し合いをしたい」と述べた。

 首相の賛辞に対し、トランプ氏は謝意を述べた上で、米朝首脳会談で「われわれは拉致問題を提起するし、そのほかに話すべきことはたくさんある」と強調した。また、米朝首脳会談の成否について「うまくいかなければ違う手段を考えなければならないということだ」と述べ、最大限の圧力をかけ続ける方針を維持する考えを示した。

【私の論評】金正恩が誤算すれば戦争は不可避(゚д゚)!

トランプ大統領は、安倍総理をアジア問題の助言者のようにみていることは、以前このブログにも掲載したことがあります。当然のことながら、北朝鮮問題でも、トランプ氏は安倍総理を助言者のようにみていことでしょう。

そうして、5月か6月頭に見込まれる米朝首脳会談を前に安倍氏の助言はかなり重要になってきています。首脳級では、世界に安倍総理をおい他に長い期間にわたる北朝鮮との交渉の経験を持つ人はいないでしょう。そうして、安倍総理は政治家としての経験も長いです。

安倍総理のアドバイスは、北朝鮮が仕掛ける多くの罠にはまらないようトランプ氏が注意するために役立つことでしょう。

トランプ氏は、スタッフや専門家の意見を無視し、拒否することで有名です。安倍氏は、北朝鮮問題でトランプ氏を導くことができる数少ない一人であることは間違いないです。

ドラナルド・トランプ氏にとって安倍晋三氏は信頼できる助言者

南北首脳会談が予定され、トランプ氏が金正恩朝鮮労働党委員長との会談を受け入れたことで、北朝鮮は、関係国がみな北朝鮮の政策に従うために取り組んでいると思い込んでいるものと思います。

こうした状況下では北朝鮮問題の真の進展に向けた見通しは良くはありません。米紙ワシントン・ポスト(電子版)は17日、次の米国務長官に指名されたポンペオ米中央情報局(CIA)長官が数週間前にトランプ米大統領の特使として北朝鮮を極秘に訪問し、金正恩(キム・ジョンウン)委員長と面会していたと報じました。トランプ氏と金委員長との首脳会談に向けた調整を進めたとされています。

ポンペオCIA長官(左)と金正恩氏(右)
金正恩からすれば、親子二代にわたって米国等を恫喝してきた結果、最終段階に入り金王朝がそのまま米国から認められる日がやってくることを心待ちにしているかもしれません。

しかし、北朝鮮による拉致問題は、日本だけでなく、米国にとっても北朝鮮に関する人権問題の重大な要素であり、重要な優先事項となっています。

米朝首脳会談については、最高レベルでの会談が失敗に終わった場合、残された選択肢はなくなるリスクが非常に大きいです。トランプ氏は昨日のブログにも示したように、即断即決ではなかったものの、おそらくあまり準備ができていない状況で金氏との会談を受け入れたとみられます、おそらく首脳会談はある種の賭けのようでもあります。

トランプ氏と金氏の会談で想定される最も現実的で最良の筋書きは、交渉の開始で合意することです。しかし、交渉が始まった段階でさらに難しい局面が訪れることになるでしょう。

これまでの対北交渉を振り返ってみると、北朝鮮は要求を高め、国際社会が容認できないと言うと、われわれは被害者だと主張してエスカレーションのサイクルに戻るということを何度も繰り返してきました。

トランプ大統領は、完全で不可逆的な非核化に目標を定めた計画により、北朝鮮にだまされ、北朝鮮側の条件で早まった合意をしないということが重要です。

先日、米軍によるシリア攻撃があったばかりで、このブログにもそれに関しては掲載しました。そうして、この記事では掲載しなかったことがあります。それは、米軍のシリア攻撃が北朝鮮にどのような影響を与えたかということです。

シリアへの軍事攻撃が始まり、首都ダマスカス上空を飛ぶミサイル

対シリア化学兵器施設限定軍事攻撃ではシリアからの報復攻撃はありませんでした。しかし、北朝鮮については核施設に対する限定攻撃の実施自体が極めて難しいでしょう。北朝鮮にはソウルを狙う数千基の長距離自走砲・多連装ロケット砲による報復能力があるほか、その他多数のミサイルもあります。

これこそシリアと北朝鮮の大きな相違点です。シリアは報復しようと思っても、手段が限られますが、北朝鮮はそうではないということです。

米国の対シリア攻撃で、北朝鮮は、軍事攻撃も辞さない米国を抑止するには核兵器開発継続が不可欠との基本戦略の正しさを再認識したに違いないです。そのような状況下では、仮に米朝首脳会談が開かれても、北朝鮮核問題の解決につながる可能性は一層減少するばかりです。

以上を考えると、米国と北朝鮮は首脳会談を経て、本格的な交渉の開始が始まる可能性は高いと考えられます。しかし、この交渉は難航を極めるでしょう。米国はこれを時間稼ぎと受け取るでしょう。実際、その可能性が高いです。

そうして、結局のところ、米国は北朝鮮を攻撃するのではないかと思います。ただし、最初は北の核関連施設に限定した攻撃をすると思います。ここで、北朝鮮が反撃に出れば、地上部隊を派遣して本格的な戦争になるでしょう。

北朝鮮が反撃にでなければ、様子見をすることでしょうが、ここで金正恩が正しい判断ができる否かが分岐点になると思われます。

昨日示したように、米軍がなぜシリアの攻撃を限定的なものにしたかといえば、たとえ米国がシリアに本格的に介入して、アサド政権を崩壊させたとしても、反政府勢力が反米政権を築くか、反政府勢力同士でさらなる内乱に発展するだけで、米国に勝利はないからです。

であれば、米国としては、アサド政権と反政府勢力を拮抗させておくのがベストの戦略であり、だからこそ今回は化学兵器を持ったアサド政権側が力を強めことを阻止して、反政府勢力と拮抗させたのです。

アサド

その後は、アサド政権の力が強まれば、反政府側に武器を提供して、再度拮抗させます。反政府側の勢力が強まれば、反政府側への武器の提供をやめて、再度拮抗させます。米国は、しばらくこのような対処の仕方をするでしょう。

現在は、このような戦略をとるつもりはなかったとしても、いずれはそうなることでしょう。アサド政権も反政府勢力のいずれも生かさず、殺さずの拮抗状態にしておけば、まずは米国をはじめ西側諸国に害が及ぶことはあまりありません。

しかし、北朝鮮の場合は違います。北朝鮮では、金王朝を滅ぼせば、すぐに米国の勝利となります。北朝鮮には、強力な反米の反政府勢力などありません。金正恩を殺害しただけでは、軍部が抵抗を続ける可能性もありますが、軍部の上層部を殺害したり、拘禁して無力化すれば、それが米国の勝利となります。

このあたりを理解せずに、核武装をすれば、金王朝と北朝鮮は安泰と金正恩が考えた時、悲劇に見舞われることになるでしょう。

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