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2014年11月14日金曜日

高橋洋一の霞ヶ関ウォッチ 「小泉郵政選挙」のように野党埋没 「消費増税先送り」賛否を明確にせよ―【私の論評】政局すらまともに見られなくなった政治家とマスコミの劣化ぶりは、目を覆いたくなるほどの酷さだが、これは日本国にもまともなトップ・リーダーが生まれる前兆なのかもしれない(゚д゚)!

高橋洋一の霞ヶ関ウォッチ 「小泉郵政選挙」のように野党埋没 「消費増税先送り」賛否を明確にせよ

APECで中国に大勝利を収めた安倍総裁だが、国内でも大勝利を収めることになるだろう。その第一歩は増税パス。

解散風が実際に吹き始めると、オロオロする人が結構多いのにはびっくりした。実は、11月と12月は解散が多い月だ。

衆院の任期は4年だが、実際には任期満了の前に解散が行われることが多く、戦後では平均2年9か月である。このため、2年を過ぎるといつでも解散しても不思議ではないといわれている。

「首相外遊中」を意識したタイミングか

こうした事情もあり、一部では年内解散がかなり以前からいわれていた。

解散権は首相の専管事項であり、誰も口出しできない。小泉政権で実際に解散を目の前で経験してきた筆者としては、首相は誰にも相談しないで1人で考えていたという印象だ。1人だけで、または相談しても相手は1人のはずだ。2人であれば、秘密が漏れることはない。政治の世界では、3人以上に話すと、漏れるというのが常識だ。

今回、安倍首相は外遊中である。このタイミングを意識して、おそらく3人以上に話をして漏れるようにしたのではないだろうか。

野党は対立軸をどう打ち出すのか

安倍首相が帰国する11月17日まで、すべては憶測の話だが、それらが独り歩きする。そして、自己実現的な結果になるだろう。

野党の選挙準備が整っていない。民主党の衆院議員候補予定者は現職を含めて130人程度と、前回選挙から約2年がたった今も全295小選挙区の半分も埋まっていない。野党にとっては、この機会に選挙協力と行きたいところだが、自民党が消費増税の延期とでてくると、野党は増税実施連合でないと対抗できなくなる。

ここで思い出すのが、2005年8月の郵政解散だ。そのとき、自民党の郵政民営化に対して、自民党内からの造反も出たが、野党民主党が賛成なんだか反対なのか分からず、埋没してしまった。

マスコミ、特に新聞各紙は、軽減税率が欲しいために消費増税賛成の立場であろう。そのため、消費増税を争点とする総選挙を歓迎していないようだ。民意を問う絶好のチャンスにもかかわらず、選挙でカネがかかるなどと、つまらない「いちゃもん」を付けているのが笑える。

++ 高橋洋一プロフィール
高橋洋一(たかはし よういち) 元内閣参事官、現「政策工房」会長
1955年生まれ。80年に大蔵省に入省、2006年からは内閣参事官も務めた。07年、いわゆる「埋蔵金」を指摘し注目された。08年に退官。10年から嘉悦大学教授。著書に「さらば財務省!」、「日本は財政危機ではない!」、「恐慌は日本の大チャンス」(いずれも講談社)など。

上の記事は、要約記事です。詳細ははこちらから(゚д゚)!

【私の論評】政局すらまともに見られなくなった政治家とマスコミの劣化ぶりは、目を覆いたくなるほどの酷さだが、これは日本国にもまともなトップ・リーダーが生まれる前兆なのかもしれない(゚д゚)!

私自身も、高橋洋一氏が指摘するように、解散風が実際に吹き始めると、オロオロする人が結構多いのにはびっくりしました。

私を含めた一般人は、選挙といっても多くの政権公約や、候補者の主張を聴いて、自ら判断して、投票に行くだけですし、場合によっては、棄権したとしても、それで良いわけですが、政治家などはそんなことではすまないわけで、まさにお金と時間をかなりかけて、選挙戦にのぞまなければならないわけです。

だから、政治家もマスコミも、本来であれば、解散はいつでもあり得るということを念頭に置いて日々行動していなければならないと思います。

私自身も、結構はやい時期から解散もあり得るとは思っていました。今年、7月あたりから、それもあり得ると踏んでいました。それに関しては、このブログの以前の記事にも掲載したことがあり、はっきりと解散総選挙とは掲載しませんでしたが、それは大いにありうると当時から考えていました。その記事を以下に掲載します。
政府月例経済報告に異議あり!消費税増税の悪影響を認めたくない政府に騙される政治家とマスコミ―【私の論評】財務省はジレンマに陥っている。安部総理と、そのブレーンは肉を切らせて骨を断つ戦略を実行している(゚д゚)!これこそが隠し球?
増税してから一月後の消費水神は、前回2回の増税よりもはるかに落ち込んだ水準だった 
この記事では、景気はかなり落ち込むことははっきりとしており、6月期の落ち込みは、増税したがために、昨年や東日本大震災のときよりも酷い落ち込みであるにもかかわらず、増税推進派からは無論のこと、安倍首相サイドからも、増税反対派からも、景気対策の話はもちあがっていなかったので、なぜそうなのかを分析しました。

そうして、安倍総理は今年は、景気が悪くなっても新たな景気対策は打たないであろうことを予測しました。その部分のみ以下に掲載させていただきます。

今後安倍政権には、二つの道があります。 
一つ目の道としては、景気対策をすぐに推進することです。確かに、国民のことを考えると、景気を良くしたほうが良いに決まっています。しかし、今すぐそれを実行してしまえば、10月に増税派に格好の増税推進の大義名分を与えてしまうことにもなりかねません。 
そうして、来年の4月から10%増税が、なされてしまえば、来年は今年よりもさらに景気が落ち込み、日本はとんでもないことになります。失われた20年が、40年になってしまう可能性も高いです。 
第ニの道としては、直近の経済が悪くても、来年の増税を今度こそ阻止し、その後に先程述べた、再配分的な所得税減税や、給付政策を実行して、経済を上向かせるという道です。 
これにより、日本経済はデフレから脱却できる可能性が高まることになります。おそらく、これを実行すれば、市場関係者も好感して、最初は株価もあがり、かなり経済指標も良くなり、丁度安倍政権が誕生したときの、衆議院議員選挙の直前のときのように安倍政権にとって追い風となることでしょう。 
私としては、安倍総理および、そのブレーンたちは、第二の道を選んでいるのだと思います。
まさに、安倍総理は、「肉を切らせて骨を断つ戦略」を実行しつつあるのだと思います。だからこそ、リフレの論客たちもこのことを理解して、現状では様子見をしているのだと思います。

「肉を切らせて骨を断つ」という戦法は日本で古から知られているものである
この予測は、不十分ながら当たっていたと思います。特に増税見送りということでは、当たっていたと思います。それに今年中には、政府が経済対策も実行しないことも、当たっていたと思います。ただし、残念ながらここで、解散総選挙にまでは触れませんでした。それに、もう一つは日銀の追加金融緩和についても掲載していません。

ただし、解散総選挙、日銀の追加金融緩和も多いにあり得ることであるとは思っていました。しかし、いくつもある選択肢のうちの一つということで、まだこの当時は確信を持てなかったので、特に掲載はしませんでした。

今から考えると掲載しておけばよかったと思います。それにしても、素人の私ですら、こう思うくらいですから、政治家や官僚などは、これより早い時期に、このことを予測するか、そこまでいかなくても、考えておくべきことだと思います。

しかし、つい9月あたりまでは、財務省をはじめとする官僚も与野党も、そうしてマスコミのほとんどが予想も何もしていなかったようです。彼らの頭の中は、今年も昨年と同じように、いずれ安倍総理が、増税の判断をするだろうということで、高をくくっていたと思います。よもや、増税パスなどということになるなどとは、誰も予想しなかったでしょう。

それにしても、これは政局すらまともに見えなくなった政治家やマスコミの酷い実体を示していると思います。

本年も、昨年と同じく、財務省は徹底的に、他の官僚や、政治家などに説明資料などとともに、増税を推進すべきことを正当化する説明をしていました。それは、もともと大蔵省(財務省の前身)出身であり、上の記事の著者でもある高橋洋一氏が記事にしています。その記事のURLを以下に掲載します
財務省の増税「ご説明」戦略 組織的に絨毯爆撃 マスコミや学者、個人まで対象
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、高橋洋一氏は、この記事で自身が大蔵省にいたときの経験も踏まえて、いかに財務省が多くの政治家、官僚、学者などに徹底的に説明しているかを語っています。

これは、おそらく今年もそうでしょうし、昨年もそうだったのだと思います。

そうして、昨年は、残念ながら安倍総理としては、解散総選挙という道は選べなかったので、景気が悪くなることも承知の上で、安倍長期政権を目指すためにも、増税の決断をせざるを得なかったのだと思います。

しかし、今年は違います。さすがに、財務省あたりも、10月中旬あたりまでは、このことに気づかず、気がついたのは下旬あたりだと思います。安倍総理にすっかり裏をかかれた、状況になり、かれらは遇の音も出なかったことでしょう。

財務省がこの有り様ですから、他の省庁の官僚や、増税推進派の多数の政治家、そしてマスコミも完全に裏をかかれたものと思います。

これに関して、驚きの発言をする政治家や、マスコミなどに対して、高橋洋一氏は厳しいツイートを発しています。そのツイートを以下に掲載します。
完全に裏をかかれた、政治家やマスコミ、知識人など、未練たらしく、そもそも自分たちにもともと大義がないにも関わらず、解散には大義はなしと公言する有り様です。

まったく馬鹿で愚鈍な連中です。それにしても、このような結果になってしまったのは、政治家やマスコミ、財務省をはじめとする官僚や、知識人などの連中は、安倍総理から蚊帳の外に置かれるようになってしまったからです。

なぜ、蚊帳の外におかれるようになったかといえば、昨日もこのブログに掲載したように、これらの人々は、安倍総理にすっかり愛想づかしをされてしまったからです。以下に、昨日の記事のURLを掲載します。
【石平のChina Watch】首脳会談で敗者となった習主席―【私の論評】日中首脳会談の安倍総理大勝利を報道できないマスコミ!一国の宰相に愛想づかしをされ、蚊帳の外におかれるマスコミは、もうその使命を終えた(゚д゚)!
APEC首脳会議に出席するため、北京国際空港に到着した安倍首相。右は昭恵夫人

これも詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、マスコミなど安倍総理のいうことなど、まともに聴かず、中国や左翼系などのことばかり配慮して、安倍総理の対中国対策など、安倍総理自身が、どうせマスコミなどに語ったにしても、真意を伝えないし、伝えるならまだしも、全く無視ということもあり、こんなマスコミに何を話しても無駄と判断され、愛想づかしをされていることを掲載しました。

この愛想づかしの結果、マスコミは蚊帳の外に置かれるようになり、その結果一国の宰相の考えや、動向を正しく伝えようにも情報源を絶たれたということです。

安倍総理は増税見送り判断についても、政治家、官僚、マスコミを蚊帳の外に置くようになりました。おそらく、解散総選挙の考えなど、昨年あたりから持っていたのでしょうが、それをマスコミや官僚や他の政治家などに漏らせば、どんな伏兵が待っているかわからないということで、ごく最近まで伏せていたのだと思います。

今後このような傾向は、ますます強まると思います。総理大臣が、政治家や、官僚や、マスコミに本心を語らないのは良くないなどという考えもあるかもしれませんが、なせそうなったかといえば、もともとマスコミや官僚、政治家などが、外交でも、増税に関しても、安倍総理をすっかり蚊帳の外に置いてきたからです。

昨年の増税派のスタンスはまさにそうでした。昨年、石破氏が自民党の幹事長だったときに、奴は、安倍総理が増税の意思決定をするはるか前から、「自民党内は、増税で固まっている」とマスコミに発言していました。

これは、政治家が、安倍総理を蚊帳の外に置いていたということの、格好の事例です。安倍総理としては、このような人物は日本国のためにも、国民のためにも、到底許容できないかったでしょう。だからこそ、内閣改造のときに、安倍総理は、結果として、座敷牢に閉じ込め、次の総裁選には出馬できないようにしました。

冷遇にきまっている(゚д゚)!こんな人物を大臣や幹事長にすべきではない。


私としては、次に座敷牢に入れられるのは、麻生太郎氏だと思いますが、これに関してはここで、掲載していると長くなってしまいますので、また別に機会を改めて掲載します。

それにしても、以上のようなことは、トップリーダーとして当然のことをしているだけです。トップとは、もともとそういうものです。会社でも何でも、組織のトップであれば、自分の本心を本格的に事にとりかかるまえから、あれこれ周りの人間に話をしたり、相談したりはしません。そんなことをする人は、リーダーとはいえません。地位が高かろうと、単なるフォロワーです。

しかし、今までの日本国のトップ・リーダーはそうではありませんでした。これはひよっとすると、日本国にもまともな、トップリーダーが生まれる前兆かもしれません。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか(゚д゚)!

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2014年9月25日木曜日

首相、増税の影響点検を前倒し 11月初旬に初会合― 【私の論評】増税論議で理解できる!残念ながら、日本は未だ政局やファンタジスタ抜きで、まともな経済対策を遂行できる国にはなっていないということを・・・・・・(゚д゚)!


訪米中の安倍晋三首相は23日夜(日本時間24日午前)、来年10月からの消費税率10%への引き上げの影響を点検する有識者らの会合を11月早々にも始める意向を表明した。景気回復の足取りがもたつく中、11月末から予定していた作業を前倒しし、増税の影響を慎重に見極める狙いだ。増税を決断する場合をにらみ、今年度補正予算案をセットで検討して景気に配慮する狙いもある。

消費増税判断に向けた 今後の政治・経済日程
9月29日臨時国会召集
下旬自民党税制調査会、与党税制協議会が税制改正論議に着手
10月1日日銀短観(9月調査)
16~
17日
アジア欧州会議(イタリア)
11月初旬消費増税に向けた点検会合が始動
10~
11日
APEC首脳会議(中国)
12~
13日
東アジア首脳会議など(ミャンマー)
15~
16日
G20首脳会議(豪州)
17日7~9月期GDP速報値
30日臨時国会会期末
12月8日7~9月期GDP確報値
首相が消費増税の是非 

有識者との点検会合は今年4月の消費税率の8%への引き上げを判断する際にも開いた。約60人のエコノミストや企業経営者、地方自治体首長らから約1週間かけて増税の影響などを聞いた。今回は「前回よりもじっくり聞くことになる」(政府高官)としており、有識者の人数や聴取期間が前回より増える可能性がある。

【私の論評】増税論議で理解できる!残念ながら、日本は未だ政局やファンタジスタ抜きで、まともな経済対策を遂行できる国にはなっていないということを・・・・・・(゚д゚)!

本日も増税関連のニュースをとりあげます。上記の記事にあるように、有識者らの会合をはやめに開催することが決まりました。

しかしながら、未だ日本経済はデフレから脱却しておらず、何を実施すべきか、それ自体は別に有識者の意見を聴かなくても、誰の目から見ても明らかです。

それは当然のことながら、増税見送りです。

増税を見送るということは、緊縮財政をやめて、積極財政をするということです。

増税以外の積極財政を具体的にどのようにするかという話を有識者から聴くというのならわかりますが、実際に増税して、これもともと最初からわかっていることでしたが、失敗したことが明らかになりつつある現在、増税を見送るべきか否かを専門家に聴く必要はないです。

このブログにも度々掲載する高橋洋一氏は、現状では増税を見送るどころか減税すべきことを提唱しています。これは、昨日のこのブログにも掲載したように、ノーベル経済学賞を受賞した経済学者であるポール・クルーグマン氏も提唱しています。

この高橋氏の記事のURLを以下に掲載します。
究極の景気対策は「消費減税」10%を見送り8%を5%に戻す
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に高橋氏の提唱の要旨を掲載します。
 4月の消費増税後、経済指標の悪化が著しくなっている。消費増税をやらない方がよかったのは明らかである。政治的な実現可能性を抜きにして、純粋に経済政策として考えてみよう。 
 消費増税が経済低迷の原因であるのは、消費動向をみればすぐわかる。所得階層別にみれば、消費増税で影響をうけると思われるところで消費低迷が起きている。 
 となれば、それに対する経済対策は4月の5%から8%への消費増税をなかったものにするだけだ。つまり、来年10月の消費税率10%への再引き上げを見送るのは当然として、現状の8%からただちに5%へ減税するのだ。あるいは、すべての品目に軽減税率を導入して5%にするのもいい。 
 消費減税ではなく、それに近い政策として所得税減税と給付金を組み合わせるというのもある。この場合でも、もちろん10%への再増税を見送るのは当然であるが、消費増税3%分に相当する所得減税・給付金を行う。 
 1997年の5%への消費増税の際、景気の落ち込みを考慮して先行して所得税が減税され、レベニューニュートラル(増減税同額)としたことがあるが、今度は事後的な所得税減税を行うというわけだ。 
 消費増税を相殺するのだから、減税政策が良い手になるが、次善、三善の策として、増税分をカバーする財政支出も考えられる。ただ、公共工事などは供給制約があり、有効需要を作りにくい。 
 それでは金融政策をさらに緩和するというのはどうだろうか。金融政策の効果は、タイムラグ(時間のずれ)が大きく財政政策ほどに即効性はない。このため、短期的な景気変動の対応策としては財政政策に比べて力不足になってしまう。金融政策だけでは無理だが、財政政策との併用は当然ながら望ましい。 
高橋氏は、1997年当時の5%増税の時について、景気の落ち込みを考慮して先行して所得税が減税されていたことを指摘しています。この当時は、残念ながら日銀が金融引締めを行っていたため、このような努力もむなしく、日本は1998年から本格的なデフレに陥ってしまいました。

しかし、今回は日銀は、金融緩和に転じていますから、もしこれを実現すれば、景気は上向き、いずれデフレからの脱却も可能になります。

いずれにしても、増税は問題外のわけです。

ただし、もう一つ方法もないではないです。

10%増税をしても、5%から8%にした3%、8%から10%にした2%、この合計の5%増税分を所得税減税、給付金によってカパーして骨抜きにしてしまうことです。

これに、さらなる金融緩和をすれば完璧です。

しかし、こんなことを考えるなんて、私もどうかしています。

こんなことをやって、一体誰が特をするというのでしようか。そうです。増税して、減税して、給付金も出すという作業は一体誰がやるのでしょうか。結局それは、役人です。

こんなことをすれば、役人にわざわざ、しなくても良い仕事を与えて、金と時間を無駄にするだけです。

そもそも10%増税など最初からしないで、何らかの減税、給付金対策を速やかにすことが、最も良いということになります。

これが、高橋氏のいう、政治的な実現可能性を抜きにして、純粋に経済政策というものです。

これが、本来すべき経済対策であり、これを妨げているのが政治ということです。

これに関しては、以前にも高橋氏の記事を紹介したブログ記事がありますので、その記事のURLを以下に掲載します。
消費増税スキップしても実体経済に影響なし!リスクは「増税利権に群がる人々」のみ―【私の論評】まともな企業なら日々直面するトレードオフという考え方ができない官僚の単細胞頭が国民を苦しめる(゚д゚)!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、高橋氏による元記事は、以下のように締めくくられています。
こう考えてみると、増税をスキップするリスクは、実体経済の話ではなく、増税利権に群がる人々を激怒させるという政治的なものだけになる。さあ、安倍政権はどうするのか。
高橋氏の言わんとするところは、増税利権に群がる人々が激怒すから、増税を見送ることができないということです。

安部総理が増税見送りを決めた場合、自民党内にも大勢いる増税利権に群がる政治家が激怒することになります。そうなると、どうなるのか。激怒した自民党政治家はいっせいに、増税利権を確かなものにしてくれる、人間を総裁にしようということで、安倍総裁おろしに走るわけです。

そうして、ここではっきり言っておきますが、安倍総理とその側近は自民党内では圧倒的に小数派です。前回の総裁選は、石原伸晃氏に圧倒的に有利であり、何もなければ、石原氏になっていた可能性がかなり高いです。

しかし、あの見事なまでのファンタジスタ的発言で、番狂わせが生じて、自民党内の派閥の均衡により、ようやっと安倍総裁が誕生したのです。

安部総理には、このような強力な助っ人であるファンタジスタが二人が味方しています。

これについては、以前のこのブログにも掲載したことがあるので、その記事のURLを以下に掲載します。
民主が社会保障「3党協議」離脱へ―【私の論評】安倍総理には、自分では意図せずに、協力にサポートする二人のファンタジスタがついている!これで鬼に金棒だぁ-(゚д゚)!

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、もう一人のファンタジスタは海江田民主党代表なのですが、民主党も議員の中にはまともな経済対策を主張する人もいるのですが、そういう議員は一部で、海江田氏をはじめ民主党の幹部はまともな経済対策を立案できる人間はいません。

こういうことが幸いして、安部総裁・総理が誕生して、日銀の金融政策を根本的に変更し、金融緩和に踏みきれたのですが、その後がよろしくなかったです。

やはり、自民党の増税利権に群がる議員たちが、増税見送りということにでもなれば、怒りだし、安倍おろしの嵐が吹き荒れることが予測されたので、安部総理は4月から増税に踏み切ったわけです。

そうして、次の10%増税も、増税利権に群がる議員たちにより、踏み切られてしまう可能性が大です。

しかし、そんなことになれば、経済が低迷し、日本はさらにデフレ・スパイラルの底に沈むことになります。そうなると、またぞろ、前の安倍政権の時のように、安倍おろしの嵐が吹き荒れることになります。

それにしても、一度このどうどう巡りはどこかで断ち切らなけれはなりません。

デフレからの脱却と、長期政権の樹立は本当に難しいです。

やはり、これを両立させるためには、10%増税を実施しつつ、これを大規模な所得税減税と、給付金対策で骨抜きにするしか道はないのでしょうか。

石原氏や、海江田氏を凌ぐファンタジスタはでてくるのか・・・・

こうなると、石原伸晃さんや、海江田さんを凌ぐような、素晴らしいファンタジスタが出てきて、政局を塗り替えような華麗なプレーをして、また安倍政権を強力にサポートしていただきたいと思います。

本当は、政局もファンタジスタなしでも、まともな経済対策ができる国にならなければならないと思います。

このようなことは、以前もありました。そうです、大東亜戦争です。その中でも、特に米国との戦争です。米国との戦争など、日米戦争の10年前までは、誰も予想しなかったものであり、全く必然性のないものでした。それは、米国側から見ても同じであり、全く必然性がありません。

それがいつのまにやら、日米両国で、日米開戦の空気が醸成されて、本当に戦争に突入してしまいました。これに関しては、ここで詳細は説明しませんが、倉山満氏の最近の書籍など読んでいただければご理解いただけるものと思います。下の、関連図書のところに、その書籍を掲載しておきます。

増税に関しても、するべきではないことは明らかなのに、財務省や増税利権に群がる人たちによって、増税すべきであるかのような空気がいつの間にやらできてしまい、このままでは、増税してしまいそうです。

これについて、少なくとも今のアメリカの経済対策に関してはそうではないようです。本日もそのようなことを示すニュースが入っています。
米FRB、利上げに非常に辛抱強くあるべき=シカゴ連銀総裁
米シカゴ地区連銀のエバンズ総裁

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、今週は、ハト寄りのメンバーのコメントが続いています。標準的な経済学の知見をもったメンバーが金融政策に携わっていることが、米国経済の強さを支えているようです。

ちなみに、アメリカはここしばらく、デフレに陥ったことはありません。というより、これだけデフレが続いているのは、日本だけです。未だデフレから脱却しきっていないの日本とは真逆です。

これは、増税論議とは直接関係はないのですが、まともな経済学的知見を持った人々が、論議をして経済対策を決定しているという意味で日本とは対照的であるので掲載させていただきました。

それにしても、経済対策といえば、安全保障にも関係が深く、かなり重要な国策なのですが、これが未だに政局に左右されるというのは本当に問題です。もう、15年も日本はデフレに苦しんでいるというのに、これをいつまでも放置し続けるような政治システムはどこか狂っています。

はやく、日本でも標準的な経済学の知見を持ったメンバーによる、政局やファンタジスタ抜きでもまともな国策を遂行できる国になってもらいたいものです。

いろいろな人が、くだらないことで、日本が駄目、日本人が駄目などという批判をしていますが、私は日本が最も駄目な部分は、上で示したような部分だと思います。これが、改善されれば、日本は世界に範を示すことのできる超一流国になることができると思います。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか(゚д゚)!

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