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岩田温
ローマ教皇が広島、長崎で祈りを捧げられたそうです。
私はクリスチャンではありませんから、ローマ教皇への特別な思い入れはありません。しかし、カトリックの方々が尊敬されておられる方ですから、敬意を表すべきではあろうと思います。間違っても、教皇の顔写真を燃やして芸術などと強弁するようなことがあってはならないと強く思います。
敬意は表しますが、政治的発言に違和感を覚えたのも事実です。
核兵器の廃絶に熱心なようですが、そういう主張は日本ではなく北朝鮮や中国ですべきではないかと思うのです。日本は被爆国ではありますが、核保有国ではありません。核兵器をなくせと日本で主張するのはおかしくないですか?日本は核兵器の脅威に今も曝されているのです。
日本の「リベラル」はお説を有難く拝聴しているのでしょうが、率直に言って、私は違和感を覚えました。
【私の論評】強烈な違和感の正体は、これだ(゚д゚)!
上の記事、文書だけではなく、動画を是非ご覧になってください。文章にしたものを、読むだけでは岩田氏の言いたいことの半分も伝わらないと思います。
このローマ教皇の発言に関しては、私自身もかなり違和感をおぼえたですが、そのように感じた人は私だけではないことがわかり安心しました。
ローマ教皇— しもむら天弘 (Buddhist priest) (@shimomuratenkou) November 26, 2019
「日本は #難民の受け入れ を」
「核兵器廃絶」
「真の平和は非武装の平和」
天弘和尚
「隗より始めよ。難民はバチカンから受け入れ、次にカソリック圏、キリスト教圏」
「核兵器廃絶は大量の核保有国に対して言うべき」
「平和維持に武器は不可欠、チベット、ウイグルの現実を見るべし」 pic.twitter.com/rbjsVgjnEd
和尚のこの言葉と、ローマ教皇の説教とどちらが説得力があるのかといえば、それは歴然としていると思います。
カトリック教会の最高聖職者であるローマ教皇が、カトリック信者のほとんどいない日本人に対し、難民を受け入れろとか、より人間らしくあれとか政治的、倫理的に「諭す」ことにも、それをありがたく受け止める対応にも違和感を覚える。聖職者にとり非信者はあくまで未開人だ。https://t.co/6Gk82cUz4Y— 飯山陽『 イスラム2.0: SNSが変えた1400年の宗教観』 11月23日刊行 (@IiyamaAkari) November 26, 2019
難民を受け入れろという発言は、全くいただけないと思います。教皇自身も、イタリアをはじめ多くの西欧諸国で難民を多数受け入れてどうなったのかは、ご存知だと思います。
ローマ教皇は長崎でのスピーチで「核兵器から解放された平和な世界。それは、あらゆる場所で、数え切れないほどの人が熱望していることです」と語った。— KAZUYA (@kazuyahkd2) November 26, 2019
しかし本当に核兵器が無くなっても平和だとは言えないでしょう。核兵器がなくても緊張状態は続く。むしろもっと凶悪な兵器が出てくるかも。
まさに、そうです。核兵器そのものは所持していても、実戦でつかうことはなかなかできないので、各国がこれに変わる強力な武器を開発中です。たとえば、AI兵器もその一つです。
ローマ教王倪下、演説する場所が違います。— 高須克弥 (@katsuyatakasu) November 25, 2019
日本を痛め付け、核兵器を保有するアメリカ、ロシア、中国、イギリス、フランスに聞かせるべきです。
国連で演説すべきだと存じます。
日本は犯罪の被害者です。日本に対するお悔やみだけてよろしいかと存じます。 https://t.co/0TxsKf8Tuz
高須院長の、このツイート、多くの日本人が共感すると思います。日本は、世界で唯一の被爆国です。被害国の信者に核兵器の不当性を訴えられても多くの日本人は違和感を覚えるだけでしょう。
そのようなことよりも、私が強烈な違和感を覚えるのは、フランシスコ教皇が、現在まさに迫害に苦しんでいるカトリック信者に対して明確なメッセージを送らないことです。それは他でもない香港と台湾、そして中華人民共和国の信者たちのことです。
教皇は就任以来、「宗教は人民を毒害する麻薬」であり、「カトリックは西欧列強の中国侵略の先兵だ」との歴史観を持つ中国政府と「密談」を重ねてきました。台湾の信者たちを裏切って共産中国と国交関係を結ぶのではないかと取り沙汰されたバチカンの動きに対し、台湾から反発の声があがりました。
それでも教皇は昨秋、中国政府と彼らが任命した司教の正統性を追認することで合意しました。その後、民主主義を求める香港の若者たちと市民が抗議に立ち上がって半年がたったのですが、教皇から彼らへの支援のメッセージは届いていません。
日本のカトリック人口は44万人であるのに対し、地下教会信者を含めた中国のクリスチャンは1億人に迫る勢いを見せています。習近平政権から苛烈な弾圧を受けている地下教会の中国人クリスチャンも教皇からの救いを待っているはずです。しかし、教皇は決して「内政干渉」しません。引き続き「裏取引」を進めるためなのかもしれません。
そんなことは絶対にあり得ないことですし、天皇とローマ教皇を単純に比較することなどできないことを承知の上で、敢えて言わせていただきますが、もし天皇陛下がこのような行動をされたとしたら、多くの日本人は天皇陛下を敬愛しつつも、強烈な違和感を抱くのではないでしょうか。
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