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2010年10月29日金曜日

「日本人は凄い!」「この容器は神だ」 お馴染みの「パック」を世界が絶賛―【私の論評】イノベーションは社会を変える?

「日本人は凄い!」「この容器は神だ」 お馴染みの「パック」を世界が絶賛


   コンビニでアメリカンドッグを買ったり、飲食店でサラダなどを頼んだりしたときにケチャップやドレッシングなどが入ったパックが付いてくる。片手で2つ折りにすれば中身を出すことが出来て、手が汚れない便利な容器だが、実は、ケチャップやマスタードなど2種類の内容物を同時に出せるものは、日本独自の技術であり、日本でしか手に入らないのだという。

   現在、投稿動画サイト「ユーチューブ(YouTube)」で、この容器を使ってフランクフルトにケチャップとマスタードを掛ける13秒ほどの動画がアップされていて、驚いた世界の人々が英語で「この容器は神だ」「日本人は器用で優れている」など絶賛の書き込みがコメント欄に出ている。
ユーチューブで話題、閲覧数8万を超える

   「ユーチューブ」で話題になっている動画のタイトルは「7 Eleven Japan Hot Dog Japan with no mess...」。投稿者はアメリカ人で、画面には「セブンイレブン」で買ったと思われるフランクフルトが大写しされる。そして日本ではお馴染みのケチャップとマスタードが別々に入った容器が出てくる。容器には日本語で「トマト&あらびきマスタード」と書かれている。それを片手で二つ折りにすると、容器からケチャップとマスタードが紐のようになり落ちてきてフランクフルトに掛かった。

  私達にとっては見慣れた事なのだが、「ユーチューブ」のコメント欄には

「このパケットは神だ」「凄い技術だ」「こんな素晴らしいパッケージを持っていたら誰かに嫉妬される」「これを見ると日本人は優れているのが分かる。彼らは世界を治めるだろう」

などと絶賛された。閲覧数は8万を超えた。

   この容器は「ディスペンパック」と呼ばれていて、もともとは1983年にアメリカの企業が特許を取った。そして86年に三菱商事が日本での独占実施権を取得し、キユーピーと、三菱商事、三菱商事パッケージングの3社が合弁しディスペンパックジャパンを設立してから日本で広まることになる。今ではコンビニのテイクアウトに欠かせないものになり、飲食店や学校給食でも使われている。
ソースを2つ同時に出せる技術は日本だけ

   この容器、初めは1種類のソースしか出すことが出来なかったが、ソースなどを入れるフィルムの開発や、ソースの出口を工夫することにより2種類のソースを同時に出したり、2種類のソースを出口で混ぜ合わせて出したり出来るようになった。キューピーの広報によれば、この「ディスペンパック」が作られている国は、日本以外でオーストラリアと韓国があるが、2種類のソースを出すことができるのは日本だけだという。日本では当たり前に使われているが世界では珍しい容器であり、キューピー広報は「ユーチューブ」で話題になっていることについて、

「これをきっかけに世界の各国に日本の技術で作られたディスペンパックが広がっていけばうれしい」

と話している。

【私の論評】イノベーションは社会を変える?
イノベーションというと、多くの人は壮大なイメージを描くようですが、これだって立派なイノベーションですね。私は、いわゆるIT関係のイノベーションもすごいと思いますが、こういうイノベーションも大好きです。

私は、この動画のようにセブンイレブンで、アメリカンドックは買ったことがないので、これ自体は使ったことはないのですが、近所のスーパーで、ホットケーキ用の、蜂蜜とバターが入った、ディスペンサーをつかつたことはあります。何と、これは、いくつかバックになって売られており、パンなどにかけ食べるのには本当に楽です。特に朝急いでいるときなど、本当に便利です。

これって、かなりの社会変革をしています。たとえば、これがなかったとしたら、昔のようにコンビニに、大きなディスペンサーを二本設置しておき、お客が自分でかけるか、あるいはコンビニの従業員がかけることになると思います。通常は、店の中で食べることはないので、持って帰ると、水分が飛んでしまうとか、容器にへばりついてしまうとか、いろいろ考えられます。しかし、このディスペンサーなら、いつも新鮮ですし、それに、コンビニサイドで考えれば、日々の詰め替え作業とか、洗う作業が削減されます。

学校の給食などでは、これを導入することにより、給食をつくる人たちが、ディスペンサーでかけるとか、あるいは生徒がデイスペンサーをもちまわりでかけるなどという手間が省けます。それに、常識的な量がいれられてるので、節約にもなると思います。こちらも、生徒や給食をつくる人たちの手間が大幅にセーブできます。これから、レストランなども用いられるようになるかもしません。

ドラッカー氏は、その著作「イノベーションと起業家精神」の中で、イノベーションの機会を以下の八つに集約していす。
1.予期せぬ成功と失敗を利用する
2.ギャップを探す
3.ニーズを見つける
4.産業構造の変化を知る
5.人口構造の変化に着目する
6.認識の変化をとらえる
7.新しい知識を活用する
8.アイディアによるイノベーション
このイノベーションに関しては、3.のニーズを見つけることから、実現されたものと思います。この機会については詳しいことはドラッカーの書籍にあたっていただくものとして、「何がニーズであるか明確に理解されている、イノベーションに必要な知識が手に入る、問題の解決策が使う者の価値観に一致している」としています。

「何がニーズであるか」については、やはり、上記で記載したような面倒や、いわゆる汚さ、それに、コンビ二などでは、コスト節減ということがあったと思います。

「イノベーションに必要な知識」については、まずは、アメリカの会社の特許があったということです。しかし、さすが日本の企業です、そこから発展させて、二つのソースを一度に入れ込むことに成功したとうことです。

「問題の解決策が使う者の価値観に一致」に関しては、やはり、使う人自体には便利さ、それに、これは大きなことですが、コンビ二にしろ、学校給食にせよ、かなりのコストの削減になることがあげられます。

これに近いこと、私の会社でも、あります。それは、ピザの辛いペッパーソースを一昔前は、手で小瓶に入れていましたが、これがなかなか大変な作業でした。何しろ、辛い液体ですから、何本もやってると、どうしても指についてしまい、指先も痛くなったり、目がしみることがありましたし、時間もかかって大変でした。

これをあるときから、ビニールのバック詰めにしたのです。こうすることにより、大幅にコスト削減されたと思います。現在、あのプラスチックの小瓶はどこでもみかけなくなりましたね。今は、醤油もなんでもパック詰めです。これで、どれだけの手間が省かれたのか考えると、すごいことですね。まさに、社会を変革しています。

上記のような二つソースを入れられるディスペンサーを用いたら、何か新しい味覚を発見できるかもしれませんね。それも、食べる直前にかけられるので、良いと思います。

それから、前に、イノベーションの例として、リアルフアッションについて掲載したことがあります。これについては、上のどのイノベーションの機会を利用したものなのか、掲載しませんでしたが、これは、「ギャップを探す」の事例だと思います。

ギャップを探すとは、ドラッカーの言葉をまとめると、「あるべきレベルと現実の乖離・不一致、定性的、内部に存在、内部の人間は見逃しやすい」としています。

「あるべきレベルと現実の乖離・不一致」については、20年前からデフレ基調の世の中にもかかわらず、プレタボルテなど、いわゆるファッション性の高い服はとてつもなく高かったということが挙げられます。それから、現在では、フアッションの移り変わりが激しいというのに、既存のフアッションは十分にそれに応えていませんでした。デザイナーがデザインを考えてから、市場に実際に出回るまでに、1年以上もかかっていました。

「定性的」に関しては、まさしくフアッションセンスなど、定性的なものであり、定量化などできません。

「内部に存在」に関しては、まさくは、リアルフアッションに関するものは、リアル・フアッションを起こした人たちの内部にあったものです。フアッションセンスと、工夫でできたものです。いや、それどころか、既存のファッション業界でも、やろうと思えばできたと思います。ただ、やらなかったというだけです。というより、「内部の人間は見逃しやすい」ということかもしれません。

そうです。フアッション業界、それも正統派業界にいた人ならば、リアルフアッションが世の中に認められる時代がくることは、本来ならば、気がついても良かったと思いますが、どっぷり既存の世界につかっていたので、気づかなかったという事だと思います。


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