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2016年5月17日火曜日

橋下徹氏が都知事選出馬なら首相にとって一石三鳥の戦略―【私の論評】橋下氏は積極財政・金融緩和政策で東京都のデフレを克服し、国政にジャンプせよ(゚д゚)!


橋下徹氏 都知事選出馬はある得るか?
舛添要一・東京都知事が絶体絶命のピンチに立たされている。公用車での毎週末の別荘通いや税金を使った海外出張時の大名旅行ぶりへの批判に加え、政治資金で家族旅行をしていたのではといった疑惑が次々発覚、釈明はしたものの都民の不信感は高まるばかりだ。

ここに来て都議会自民党関係者からは、6月1日辞任、7月10日に都知事選挙と参議院選挙をWで行なうといった憶測も急浮上してきた。都議会自民党の背後には当然官邸の思惑がある。

官邸の思惑通りに舛添電撃辞任によって参院選と都知事選のW選挙となった場合、焦点は新たな「東京五輪の顔」となる都知事候補が誰になるのかだろう。

自民党都議の1人は、「知事を辞任させるべきだという声は強いが、ネックは有力な後任が見当たらないこと。都連は参院選の東京選挙区に2人候補を擁立する方針だが、乙武洋匡氏がスキャンダルで出馬断念した後、参院でも2人目の候補がいまだに見つからないというのが実情。ましてや都知事候補となると高い知名度がいる。候補が決まりさえすれば一気に選挙戦に動くことができるのだが」と語る。

自民党内の人材難は、前回都知事選で党を除名されていた舛添氏を担がざるを得なかったことが証明している。

そこでウルトラCの候補として浮上しているのが「無役」となったあの人だ。政治ジャーナリストの角谷浩一氏はこう見る。

「舛添氏を降ろして出直し都知事選となれば、短期決戦だから、有権者にとって顔と名前が一致する知名度の高い候補でなければ勝負にならない。その意味で、大阪府知事と大阪市長を経験し、首長としての経験十分な橋下徹氏の名前が官邸周辺で囁かれています」

橋下氏は「政界を引退する」と大阪市長を退任した後、『おおさか維新の会』には正式に参加せずに現在は弁護士業とテレビ・コメンテーター業を務めているが、安倍官邸、特に菅義偉官房長官との太いパイプを持つことで知られる。

そもそも菅氏は橋下氏に政界入りを説得した人物で、橋下氏も引退会見で菅氏を「とんでもない政治家だ」と手放しで絶賛するなど、いまだに強い信頼関係がある。

もし、橋下氏が無所属で都知事選に出馬し、安倍政権と自民党が全面支援すれば、知名度からいっても野党側が対抗できる候補を擁立するのは難しいだろう。政治評論家の浅川博忠氏もこう語る。

「現在の安倍政権は外交・防衛に力を入れ、世論が求めている社会保障や景気回復がおろそかになっている。アベノミクスの限界も見えてきた。そういう状況の中で参院選と都知事選のダブル選挙になった場合、大都市圏は革新が強い傾向があるため、通常であれば野党にアドバンテージがあると考えられます。

ただし、安倍政権が橋下氏を擁立できれば風向きはガラリと与党有利に変わる可能性が高い。橋下氏にはそれだけのインパクトがある。橋下氏の出馬が前提なら、安倍政権にとって都知事選とのダブルは切り札的になるでしょう」

安倍首相は参院選で公明党、おおさか維新などを合わせた改憲推進勢力で3分の2の議席確保を目指している。橋下氏自身は参院選出馬に否定的だが、都知事選に出馬すれば、相乗効果でおおさか維新の参院選での議席の上積みも見込める。首相にとっては参院選のテコ入れと都知事選勝利、改憲勢力の拡大というまさに一石三鳥の戦略だ。

橋下氏も憲法改正について「今度の参院選がワン・チャンスだと思っている。泣いても笑っても、ここを逃せば、10年、20年と憲法改正の機会は遠のく」と語るなど首相と同じ考えだ。

※週刊ポスト2016年5月27日号

【私の論評】橋下氏は積極財政・金融緩和政策で東京都のデフレを克服し、国政にジャンプせよ(゚д゚)!

橋本氏が都知事選に出馬という話は、おそらく根も葉もない話ではないのだと思います。まずは、舛添氏に対してはさらなる追及、刑事告発、自民党離反の可能性もあります。

それについては、高橋洋一氏が、あるサイトのコラムで指摘していましたので、その記事のURLを以下に掲載します。

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、要旨だけ以下に掲載させていただきます。
舛添都知事が火だるまだ。 
これまで、豪華な海外出張、公用車で週末に湯河原の別荘通いが報じられたが、さらに参議院議員時代に家族旅行とおぼしきものの費用まで政治資金収支報告書に計上していたことなどまで明るみになった。 
今年3月、都有地を韓国人学校のために貸し出すことが批判された。その当時、保育所問題がさかんに議論されており、「東京都は保育所より韓国を優先するのか」という批判だった。その背景にあったのが、舛添氏は、海外出張が多く、そのための経費が石原都知事時代に比べて多いというものだ。 
舛添氏の「都市外交」は、やりたくても、実行するための基盤ができていない。いずれにしても、地方自治体の長がどこまで外交もどきをやるのかということであり、豪華な海外出張を見直すといわざるを得なかったのは当然である。 
次に、4月に発覚した公用車での別荘通いだ。舛添都知事は、2015年度の1年間ほどで、神奈川県湯河原町にある別荘兼事務所に公用車で、ほぼ毎週、48回も都庁との間などを往復していたと報じられた。 
この、過去の二つの問題は、法令に反するものでなく、政治姿勢などの倫理的な問題であるので、遅ればせながらではあるが、見直しをすれば、批判は沈静化していくはずだった。 
しかし、政治資金の問題は、政治資金規正法にふれるかどうかという点で、前2件とは決定的に異なる深刻な問題だ。 
政治資金の支出について、政治資金規正法違反で刑事責任を問われた例は、おそらく過去にはない。 
しかし、昨今ではこの種の話は必ずと言ってよいほど、市民団体によって刑事告発される。捜査当局も、政治家が記者会見までしているので、市民団体の告発を受ければ無視することはできないかもしれない。 
記者会見では、誰に会ったかは言えないという方便ができても、捜査当局が事情聴取すれば、「会議」が実際にあったかどうかは、簡単にわかるだろう。 
政治的な見方からすれば、ポイントは、政治資金の使い方で今後さらに新たな問題が出てくるのかどうかという点だ。 
記者会見を踏まえて、(市民団体などが)刑事告発が行われるかどうか、また、都議会がどのように対処するのか、百条委員会(自治体の事務について疑惑や不祥事があった際、事実関係を調査するために設置される委員会)を設置するのかどうかである。 
7月上旬に参院選もあるので、都議会自民党や公明党が、世間からの批判の矛先がこちらに向くのを恐れて、舛添都知事に対する姿勢が一気に変わる可能性もあり、予断を許さない。そうなったら、舛添都知事はかなり危うくなるだろう。
都議会議員選挙は今年ではなく、来年になりますが、それにしても舛添知事が知事のままで、都議会議員選挙をむかえるとなると、都議会自民党や公明党にとってかなり不利になると考えられます。

もともと、舛添氏は自民党を脱党した人間ですから、そもそも都知事選に自公の公認にすると反対した自民党議員も大勢いますし、都議会自民党や公明党もそのような議員が多かったとされています。

さて、舛添知事に対する批判としては、上記のような観点ばかりではなく、経済学者の田中秀臣氏も経済政策の面から厳しい批判を行っています。その記事のリンクを以下に掲載します。
デフレとの闘いを辞めた舛添氏には即刻退場を求む!
田中秀臣氏
 舛添氏の税金を利用した都市外交などに伴う豪勢な消費は、経済学では「見せびらかしの消費」(誇示的消費)として知られるものだ。異能の経済学者、ソースティン・ヴェブレンが『有閑階級の理論』(1899年)に提示した考え方だ。この書籍の表題になっている有閑階級とは、自分は生産に一切貢献せずに、合法・非合法を問わず、自分の既得権益に基づいて、世間に対して影響力を与えようとする階級のことである。舛添氏のような政治的既得権(知事や国会議員などで得た収入や権力)を所持している人物は、ヴェブレンのいう有閑階級の代表といえるだろう。
 今の日本経済と東京都経済は、ここでも解説したように、消費増税の影響を特に強く受けてデフレ的な経済のままである。雇用状況は堅調であるものの、人々の名目所得の伸びは鈍く、税金が非常に重くのしかかっている。昔と同じ主張をもつのであれば、まず舛添氏がすべきは、無駄にしか思えない都市外交ではなく、政府に対する消費再増税凍結、むしろ消費減税の提案であろう。
 だが、そのような発想はない。これには理由がある。消費増税の一部分は地方消費税として東京都の財源にも組み込まれるうまみがあるからだ。この既得権を捨てるわけにはいかない。また冒頭でも解説した、都知事という社会的ステータスがもたらす「見せびらかしの消費」もこのデフレ的経済の中ではむしろ威力を発揮するものだ。簡単にいうと、舛添氏はそのデフレ経済との戦いという初心を失ったのだろう(もし初心というものが本気であったのならばだが)。いまの彼の行動や発言はすべてデフレ的経済の申し子そのものである。
 実は東京都には、デフレ的経済と闘う手段がある。例えば私はかつて、東京都で地域通貨(アービング・フィッシャー流の日付け貨幣というもの)を発行するという提案をしたことがある。この地域通貨と、現在行われてる地域通貨と決定的に違うのは、これを取得したものは一定期限に利用しないと事実上のペナルティ(追加の増税)を受けることにある。最寄りの地方自治体の窓口に行き、この「日付け貨幣」を受け取った者(希望者に限定する)は、一定の期間に消費してしまわないと、むしろ追加の税負担を要求されるのである。そのためこの追加の税負担を避ける目的で、「日付け貨幣」を得たものは積極的に消費する、という政策の枠組みである。これに類した政策の枠組みは多数ある。要はやる気の問題なのだ。
 東京都の経済が活性化すれば、都の財政状況も改善し、必要な社会保障などの財源として貢献するだろう。だが、いまの東京都の現状では、むしろ低所得者層の状況を悪化させている消費増税の負担で、社会保障を充実しようという倒錯した形になってしまっている。そしてそれは東京都だけではなく、日本全体の縮図でもある。
 このようなデフレ的経済の申し子になった舛添氏には、一刻も早く都知事の座からの退場をお願いしたいというのが偽ることのできない私の意見である。
さて、このようなことから、批判のかなり多い舛添知事です。自ら辞任するのを決意するには、さらなる厳しい追求でもなければ、すぐにとはいかないと思います。

しかし、橋下氏が都知事候補として、参院都知事同時選挙ということになれば、確かに非常に良いことだと思います。

非常に良いことという中身は、上の記事のようにあるように、安倍自民党、都議会自民党や公明党にとって良いという意味と、他にもう一つあります。

それれは、橋下氏にとって良いということです。私自身は、橋下氏は地方の首長としては、申し分なく随分努力されたと思っています。

ただし、国政ということになると、一抹の不安がありました。それは、何かというと、国政と地方行政の大きな違いであるマクロ経済です。

確かに、橋下氏は大阪府知事としても、大阪市長としても努力されていたと思います。しかし、この努力どちらかというと、緊縮財政的な観点からでした。府として、入ってくるお金は決まっているのですから、それに対して、予算の切り詰めを行うのは知事として当然のことだと思います。

だから、その面では評価します。無論無駄な経費を切り詰めることは、本当に重要なことです。ただし、国政はそれだけでは通用しません。

金融や、財政など地方自治体の首長のようにしかみられなければ、とんでもないことになります。家庭の主婦的な感覚で、切り詰めばかりに走れば、デフレ傾向に拍車をかけるだけになります。

さらに、国政となれば、金融と雇用とは密接に結びついてるということも、理解しなければなりません。そうして、金融緩和をすることにより雇用状況が良くなることを理解する必要があります。さらに、デフレのときには、金融緩和と積極財政をしなければならないというマクロ経済の基本中の基本を知らなければなりません。

実は、このことを全く知らない国会議員は大勢います。民進党などの野党では、理解している人はほんの一握りです。自民党でも、安倍総理とそのブレーンの方々のうち、稲田政調会長等を除いて他の人くらいは理解していますが、それ以外というとほんの一人握りです。



橋本氏は、国政に参加したことがないので、この点に関してはあまり明るくないと思います。実際、過去の経済に関する発言は、あまりマクロ経済政策を意識しているとは思えないことが多かったように思います。そのため、私は前から、今のままの橋下氏であれば、国政には参加しないほうが良いと思っていました。

橋下氏が大阪府知事首長時代に、上記の田中秀臣氏が提案しているような、地域通貨を大阪府で発行し、大阪府のデフレから脱却をはやめるというようなことは実施していませんでした。

もし、橋下氏が東京都知事になったとして、旧来のように緊縮だけではなく、田中秀臣氏のいうような、地域通貨(アービング・フィッシャー流の日付け貨幣というもの)を発行して、東京都の経済が活性化すれば、都の財政状況も改善し、必要な社会保障などの財源として貢献することができるでしょう。

これは、都が行うといことから、国の積極財政や金融緩和政策とは異なります。しかし、東京都のGDPは韓国と同程度です。さらに、地域通貨を発行することから、都内で擬似的に、金融緩和策と積極財政を擬似的に行うことができます。

特に、雇用に関してはかなりのことができそうです。在任中に実施すれば、東京オリンピックの頃にはかなり景気が良くなることになります。そうなると、都財政もかなり充実しますから、保育園の問題なども全国に先駆けたモデル的な事業を展開できます。いや、それどころか、マクロ経済政策における優良モデルになり、社会・経済活動が活発化して、様々な社会事業の魁となることも十分考えられます。

こうした東京都の繁栄は、大阪都構想の推進にも大きな影響を与えることとなります。さらには、道州制にも影響を与えるかもしれません。

こうすることによって、橋下氏は、マクロ経済政策の金融政策や積極財政を実地で学ぶことができます。その後に、国政入りすれば、マクロ経済音痴の他の国会議員にはできなかったような様々な政策に取り組むことができるようになると思います。

もし東京都知事になることができたら、有象無象の政治家や、経済学者などと親交を深めるではなく、高橋洋一氏や、田中秀臣氏、片岡剛司氏、村上尚己、上念司氏(頭に浮かんだ人を掲載しました。他にもまともな方々は随分いらっしゃいます)などのまともにマクロ経済を知っている人たちと親交を深めるべきでしょう。東京にはそうした人材が集中しています。

もし、橋下氏が東京都知事になり、地域通貨を発行し、金融緩和策、積極財政の真髄を東京都で学び、その後の国政に参加した場合かなり有能な政治家になると思います。しかし、もしこのプロセスを欠いた場合には、凡庸な政治家になり、かつての輝きを再び発揮することはないでしょう。

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