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2020年3月16日月曜日

見えてきた「新型コロナ終息」のタイミング…東京五輪に間に合うか?―【私の論評】日本は速やかにかつてないほどの積極財政と金融緩和策を実行しなければ、とんでもないことになる(゚д゚)!

政府のかわりに、データから予測する

「先行き不安」いつまで続くか

先週、内外の株式市場は大波乱だった。連日パニックになっているようだ。筆者は仕事柄、日頃から欧米のニュースを見ているが、話題は新型コロナウイルス一色だ。ほとんどの国で外国からの入国制限措置が取られ、イベント、遊園地や学校の休校と、少し前の日本での大騒ぎとほとんど同じである。

一部の国は入国制限を日本より強烈にやったので、一般国民の生活に大きな影響も出た。この結果、アメリカ株式市場は大乱高下している。恐怖指数(株式市場のボラティリティ予想)は80近くに達しており、リーマンショック時に近づいている。



リーマンショック時には、サブプライムローン問題により多くの金融機関が倒産した。倒産した金融機関が、すぐに復活するはずもない。アメリカ政府の財政支援の後、消え去った金融機関もあり、長い期間をかけて再生した金融機関もあった。

そして、アメリカ政府による積極財政と大規模な金融緩和政策が実施され、ダウ平均は半年後で底値となり、2年あまりでリーマンショック時の水準を回復した。

一方日本では、政策発動が遅れたばかりか、2009年の民主党への政権交代、2011年の東日本大震災などの影響もあり、日経平均は長らく振るわなかった。株価回復には、民主党から自民党安倍政権への政権交代を経て5年を要した。

今回の新型コロナショックの本質は、先行き不安である。人の移動制限による観光業への痛手は大きく、イベント休止など、目に見える形で「需要」が消滅している。

ただ救いといえるのは、まだ企業の倒産がそこまで顕在化していないことだ。需要の消滅も当面のものと考えられるので、感染拡大が落ち着き、ワクチンなどが開発できれば、再び経済も活発化してくるだろう。

こうした意味で、当面の企業倒産リスクを防止するとともに、一時的な需要の消滅を解消するために、可処分所得を増加させるような財政政策の発動が求められる。

「消費減税」もありうる

こうした状況において3月14日、安倍首相が記者会見し、「今後も必要かつ十分な経済財政政策を間髪入れず講じる」とした。具体的に消費減税などの可能性について述べたわけではないが、少なくとも「自民党内の提言を踏まえる」とし、否定はしなかった(https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/statement/2020/0314kaiken.html)。

消費減税については、水面下でいろいろとあるようだが、麻生財務相が13日の記者会見でかなり明確に否定した(https://www.sankei.com/economy/news/200313/ecn2003130032-n1.html)。それを安倍首相がやや引き戻した感じだった。

コロナショックで経済対策を打つことは決まっているが、はたしてどのような規模になるか、そこに消費減税が含まれるかどうかは、今後の政治次第であろう。

筆者は本コラムで、消費増税→コロナショック→東京五輪(中止・延期)ショックという最悪のシナリオをかなり前から懸念していた。そしてそれを防ぐために、消費減税を含むかなり大規模な経済対策の必要性を書いてきた。

そうした主張は、新型コロナウイルスの状況や五輪の検討状況からある程度理詰めで導出してきたが、今回は、新型コロナウイルスの今後の経過を考えてみよう。

「長期化」の具体的見通しは?
新型コロナウイルスは中国だけでなく、まず韓国、ついでイラン、イタリアやフランスなどでも爆発的に広がり、日本の専門家会議も長期化の可能性を指摘している。

現在はイベントの自粛や学校の休校、中韓からの入国規制といった措置が続いているが、今後どこかのタイミングで通常の生活に戻したほうがいいのか、それとも自粛や経済活動縮小も長期化を覚悟するべきか。

政府は2月26日、「この1~2週間が感染拡大防止に極めて重要」としてイベントなどの自粛を要請した。3月10日には、さらに10日間程度この自粛要請が延長された。

各国の感染状況については、新規感染者数を毎日丹念に追って見ていくのが基本だ。

新型コロナウイルスの発生元である中国では、2月中旬ごろにピークを超えたとの見方もあるようだが、2月中でも少なくとも3回の統計方法の変更があり、情報の信頼性が乏しく定かではない。習近平主席が号令をかけてウイルスが終息するわけでもない。いい加減なデータから中国の状況を過信し、日本が入国制限を解除したら、国益を保てない。

韓国はようやく落ち着いてきたが、イラン、イタリア、フランスなどでは依然感染拡大が落ち着いておらず、予断を許さない状況だ。

日本はそこそこ頑張っている

各国の状況は、下図のとおりだ。


この図の縦軸は、対数目盛である。つまり、目盛が一つ上がると桁数が一つ上がる。各国の数字から、おおよその傾向が見えてくる。

図の中で、「欧米・イラン・韓国」と「台湾・シンガポール・日本」の傾きが、明らかに異なっているのがわかる。こうしてみると、本コラムでも書いたように、日本はクルーズ船対応ではやや手違いがあったが、それなりに健闘している。台湾・シンガポールが優クラスとすれば、その次くらいの良クラスといえるだろう。

こうした評価をすると、「日本は検査数が少なすぎるから感染者数も少なく出ているのだ」という批判が必ず出てくる。筆者も、もう少し余計に検査すれば感染者数がやや多くなることは理解できるが、医療のキャパシティという事情もある。これは、3月2日の本コラム(https://gendai.ismedia.jp/articles/-/70767)を読んでほしい。

筆者も感染者数のデータだけを見ているわけではない。死亡者数や検査での陽性率などのデータも見ている。それらを国際比較すれば、結論としては、検査を増やしても、日本の感染者数の桁が変わるほどの顕著な違いは出ないと思う。

こうした意味でも、縦軸を対数目盛として各国を比較することに意味がある。日本はそこそこ頑張っていると評価できるだろう。

日本はこれからどうなる?

問題は、これから日本の状況がどうなるかだ。

これは極めて難しい問題だ。14日の安倍首相の記者会見について、一部野党から「終息予測を回避している」という批判があった(https://www.sankei.com/politics/news/200314/plt2003140032-n1.html)。

こうした批判を言うのは簡単だが、実際にいつごろ終息するのかをきちんと考えるのは難しい。

筆者が政府内にいたら、足を引っ張られるので正式には言わないだろう。ただし、今は自由な立場なので、本コラムで明かしておこう。

これは、感染者数予測モデルから計算することが可能だ。WHOルールに基づき、終息とは「新規感染者数ゼロが4週間続くこと」を指すとしよう。こうして厳密に言葉を定義しないと、計算できない。一部野党の議員などは、こうした定義もおそらく知らずに暢気に批判しているのだろうから、気楽なものだ。

これまでの厚労省データから、国内の累積感染者数について、筆者は次のように予測している。これは、筆者の「ドタ勘」も含まれたものだ。


ここから、新規感染者数を予測すれば、次のようになる。


筆者は、各種の移動制限が功を奏しているものの、ピークが後ズレしているので、今月中旬頃にピークが来ると予想している。そうであれば、4月上旬には新規感染者数が落ち着き、4月下旬から5月上旬にはあまり見られなくなると予想できる。各種の自粛や規制は、今月下旬か月末までが一つのメドになるだろう。

正直、あまりフィットしていないので、手持ちのデータから予測するのは心苦しいが、それでもおおよそのことはわかると思っている。少しでも今後の見通しを立てる一助となれば幸いだ。もっとも、筆者の予測は自己責任で扱ってほしい。あくまで、現在の施策が継続するとして機械的に計算したものだ。もちろん、時期もピンポイントではなく前後に一定の幅を持って見るべきものだ。

日本で「終息」といえる時期は、どう頑張っても、5月下旬から6月上旬にならざるを得ないだろう。もちろんそのときには、世界ではまだ「終息」していないことは言うまでもない。

まだ拡大のピークを迎えていない欧米で、強烈な規制が行われている。入国制限、イベント・スポーツ大会中止、学校休止など、日本と同じ政策が実施されている。どこの国でもやることは似たようなものだ。

こうなってくると、東京五輪にも暗雲が出始めた。リーマンショック時と同じような経済対策が必要になっている。

【私の論評】日本は速やかにかつてないほどの積極財政と金融緩和策を実行しなければ、とんでもないことになる(゚д゚)!

3月14日、首相官邸で開いた記者会見で、安倍首相は武漢ウイルスの感染拡大を受け、感染拡大防止に力を注いだうえで「機動的に必要かつ十分な経済財政政策を間髪を入れずに講じる」と強調しました。3月末に2020年度予算が成立次第、安倍首相は正式にその策定を指示する見込みです。

まだハードデータは少ないですが、足元の景気は広範囲にわたって急速に悪化しています。景気ウオッチャー調査(2月分)現状指数は27.4で、前の月から▲14.5pt悪化(消費税率が8%に引き上げられた2014年4月以来の大きな下落幅)、3月1~9日の東海道新幹線の乗客が前年同期比▲56%減と、びっくりするような数字が出始めています。自粛が一気に広がった3月のハードデータが明らかになる4月には、かなり広範囲にわたって経済活動が急速に収縮している姿が明らかになるでしょう。



3月15日、西村経済財政・再生相はテレビ番組に出演し、武漢ウイルスの拡大が日本経済に与える影響について、「リーマン・ショック並みか、それ以上かもしれない」との認識を示した上で、「インパクトに見合うだけの、それなりの規模のものをやらなくてはいけない」と発言しています。

2008年のリーマン・ショックは、生産などが3割以上減少するなど、実体経済に甚大な影響を与えました。その際、2009年4月に麻生内閣が出した経済対策は、事業規模で56.8兆円(真水115.4兆円)に上るものでした。安倍第二次政権における最大級の経済対策は、2016年8月「未来への投資を実現する経済対策」であり、事業規模は28.1兆円(真水6.2兆円)でした。今回策定される経済対策も、これらと同程度か、それ以上の規模が視野に入ってくるでしょう。

今回の対策は、感染拡大防止・医療体制強化、危機対応(できるだけ失業、倒産を回避する策)、需要喚起策などが柱となるでしょう。

現在、報じられている需要喚起策は、現金給付・クーポン支給策、テレワーク強化、観光業や外食産業を盛り上げるキャンペーン、企業の生産ラインの国内回帰を支援する策などです。

これだけ国内の消費活動が落ち込んで来ると、新型コロナウイルスが少し落ち着き始めた際には、消費行動を強烈に後押しする策が必要になるでしょう。現金給付や所得税減税なども検討の俎上にのせられるでしょうが、それらは貯蓄に回りがちなため、より積極的に消費者の背中を押す仕組みが必要になってきます。

実効性のある経済対策が出てこない限り、投資家の慎重姿勢は変えられず、金融市場も落ち着きません。今後、需要喚起策や生活支援策として、消費税の引き下げが焦点となるでしょう。安倍首相は、自民党の一部議員が訴えている消費税の税率引き下げについて、「何をすべきかはこうした提言も踏まえ、さまざまな可能性を想定しながら、経済財政政策を間髪を入れずに講じていきたい」と述べています。

ここで、注目しなければならないのは、慢性デフレ下の消費税増税という安倍晋三政権の自滅策です。増税は家計を圧迫し、内需を萎縮させ、前述した負の連鎖をより強固にする。12年12月にアベノミクスを始動し、円安、株高に誘導したものの、14年4月、そして19年10月の2度にわたる税率引き上げで内需を殺しました。

昨年10~12月期の国内総生産(GDP)第2次速報値は前期比年率7・1%減にも及ぶ。そこに新型コロナ・ショックの追い打ちだ。安倍首相は自身のメンツにこだわらず、増税の失敗を認め、大型消費税減税を打ち出すべきなのです。

安倍総理は、大型消費税減税を打ち出すべき
さらに、金融政策に関しては、以前のこのブログでも主張したように、FRBが利下げするのですから、日銀としては、利下げはもうできないので、量的緩和を実行すべきなのです。そうしないと、円高と深刻なデフレを招くのは必定です。

日本は、かつてない規模で、積極財政と量的金融緩和策の両方を速やかに実行しなければ、とんでもないことになります。

【関連記事】


2020年3月7日土曜日

前例のない大胆政策…安倍政権は「消費減税」決断を! 財務省は必死に抵抗するだろうが…ここが政権の「正念場」だ―【私の論評】積極財政と金融緩和政策の両輪で、増税と武漢肺炎による景気低迷に対処せよ(゚д゚)!


安倍総理

新型コロナウイルスが、世界と日本の経済に大打撃を及ぼしそうだ。株価はすでに急落している。これから、実体経済に波及するのは避けられない。どう対応すべきか。

 結論から先に言えば、私は昨年10月、10%に引き上げた消費税率を元の8%に戻すべきだ、と思う。財務省は必死で抵抗するだろうが、今回の事態はそれほど深刻、かつ前例がない。安倍晋三政権の英断を望みたい。

 多くの読者は、いくらなんでも増税したばかりの消費税を減税するとは「あり得ない」と思われるかもしれない。だが、私は単に自分が期待するだけでなく、「首相の政治判断としても、十分あり得る」と思っている。

 なぜなら、安倍首相は2月29日の記者会見で、次のように語っていた。

 「各地の主要な株式市場において、軒並み株価が大きく下落するなど、世界経済の動向も十分に注視しながら、そのインパクトに見合うだけの必要かつ十分な経済財政政策を行っていく」

 この「インパクトに見合うだけの政策」というフレーズは、私の記憶にない。安倍政権は「コロナ・ショック」がどれほどひどくなっても、それに見合う景気刺激策を展開する決意なのだ。そんな刺激策は減税しかない。

 これまで、日本で景気下支えと言えば、大型公共投資のような歳出拡大策ばかりが展開されてきた。だが、本来は歳出拡大だけでなく、減税もある。実際、ドナルド・トランプ政権を含め、米国では減税が多用されている。

 日本が減税に消極的なのは、財務省が抵抗するからだ。彼らは大きな声で言わないが、「予算のバラマキ」こそが権力の源泉になっている。減税すれば、それだけ原資が小さくなるので、彼らは必死で抵抗するのだ。

 だが、今回の事態は、財務省の都合に耳を傾けているような場合ではない。コロナ・ショックは、2008年のリーマン・ショックを上回る可能性もある。2月27日には、米国のダウ平均株価が過去最大の下げ幅を記録した。

 危機の終わりが見えないどころか、日本も米国も試練は始まったばかりなのだ。リーマンは金融の危機だったが、今回は金融にとどまらず、個人消費、設備投資はもちろん、製造業のサプライチェーンも直撃している。

 加えて、中国、北朝鮮、韓国の政権基盤も揺さぶっている。私は目を覚ますたびに「今日は何が起きているか」と緊張感に襲われる。人々の不安と恐怖は、とてつもなく大きい。そんな心細さはリーマンの時もなかった。

 そうであれば、安倍政権は前例のない大胆な政策で対応すべきだ。言葉ではなく、行動で「政府は国民とともにある」と訴える必要がある。昨年10~12月期の国内総生産(GDP)がマイナス成長に陥ったのは、消費増税が原因だった。減税は増税の誤りを正す結果にもなる。

 最悪なのは、不十分で小出しの対応である。対応に失敗すれば、夏の東京五輪・パラリンピックは吹っ飛び、政権の足元も危うくなるだろう。ここが「本当の正念場」だ。

 ■長谷川幸洋(はせがわ・ゆきひろ) ジャーナリスト。1953年、千葉県生まれ。慶大経済卒、ジョンズホプキンス大学大学院(SAIS)修了。政治や経済、外交・安全保障の問題について、独自情報に基づく解説に定評がある。政府の規制改革会議委員などの公職も務める。著書『日本国の正体 政治家・官僚・メディア-本当の権力者は誰か』(講談社)で山本七平賞受賞。最新刊に『明日の日本を予測する技術』(講談社+α新書)がある。

【私の論評】積極財政と金融緩和策の両輪で、増税と武漢肺炎による景気低迷に対処せよ(゚д゚)!

武漢肺炎の猛威はすさまじく、北海道では感染者はとうとう90人を超えました、100人を超えるのも間近いでしょう。これにともなう、経済的損失も凄まじいものになるでしょう。

週明けに発表される去年10月から12月までのGDP=国内総生産の改定値について、民間の調査会社の間では、年率でマイナス6.3%だった速報段階から下方修正され、マイナス幅がさらに拡大するという予測が多くなっています。

去年10月から12月までのGDPの伸び率は、先月の速報段階では、消費税率の引き上げなどの影響で物価の変動を除いた実質でマイナス1.6%、年率に換算してマイナス6.3%となりました。

去年10月から12月までのGDPの伸び率は速報値では−6.3%だったが
このGDPについて、最新の統計を反映した改定値が、週明け9日に発表される予定です。

民間の調査会社など11社の予測によりますと改定値は、実質でマイナス1.6%からマイナス2.0%、年率換算ではマイナス6.1%からマイナス7.9%となりました。

11社のうち10社は、速報段階から下方修正されマイナス幅がさらに拡大するとしています。

これは、最新の統計で企業の設備投資が下振れしたためで、2社は前回、6年前の消費税率の引き上げ直後の年率マイナス7.4%よりも落ち込みが大きくなると予測しています。

もうすでに、景気後退局面に入っている可能性もあります。ちなみに、景気後退局面とは一般的に、国内総生産(GDP)が2四半期連続でマイナス成長となった場合をリセッションとみなします。日本経済はすでに景気後退局面に入っている恐れもあります。

これは、武漢肺炎前の数字です。さらに、1月から3月までのGDPも新型コロナウイルスの感染拡大の影響でマイナスになるという予測も出ていて、そうなれば、日本は間違いなく景気後退局面に入ることになります。そうして、これはほぼ確実です。

すぐにでも、消費税減税をしたほうが良いのは言うまでもありません。消費税減税をするにしても、8%未満にするには、法的手続きが必要です。それには、ある程度時間がかかります。

しかし、すぐにできる方法があります。それは、消費税10%はそのままにして、全品軽減税率8%を適用することです。これなら、すぐにできます。これを実行するには、法律を変える必要はありません。安倍政権はまずはこれを速やかに実施すべきでしょう。


さらに、必要とあれば8%未満にできるようにするために新たな法律づくりに着手すべきでしょう。

積極財政には、減税の他にも様々な方法があります。例えば、香港で実施されたように、国民に対する現金の一律支給や、所得減税や社会保険料の減免も考えられます。公共事業の増額もあります。さらには、期限付きのクーポンの支給などもあります。

さらに、今の国債マイナス金利の環境を生かして、政府がマイナス金利で国債発行し、それをそのままマイナス金利で民間に貸し出す「緊急融資制度」を行うということもできます。武漢肺炎で損失を被った個人や企業はマイナス金利で一定額借入できるようにするという方法もあります。

日銀も、武漢肺炎がなかった時期ですら、物価目標を達成できなかったのですか、今後はイールドカーブ・コントロールなどはやめて、異次元の緩和に戻ってもらいたいものです。
中央銀行の資産は金融緩和の度合いに比例する、日銀は緩和しなかったことがわかる

このブログでは何度か掲載してきたように、リーマン・ショックのときには、欧米等が大規模な緩和に踏み切ったにもかかわらず、日銀はほとんど緩和をしなかったために、デフレが深刻化し、円高になりました。

そのため、震源地の米国や悪影響を受けた英国などではいち早く不況から立ち直ったのですが、日本一人だけがなかなか不況から立ち直れず、一人負けの状態になりました。

今回の武漢肺炎による景気に落ち込みは、リーマン・ショック時より酷いことになる可能性は高いです。日銀は、リーマン・ショック時の失敗を繰り返さないように、すみやかに従来の異次元緩和に踏み切るべきです。そうして、それを維持する旨をすぐ公表すべきです。

政府が景気後退局面からの脱出や武漢肺炎対策等のため、国債増発を通じて政府支出を増加させると、長期の市場金利に上昇圧力が加わり、これが次第に民間投資などを抑制するメカニズムが働きます。これに対して、政府支出が拡大するもとでも、中央銀行が市場金利の上昇を抑制すれば、民間投資などへのマイナスの影響は限られ、景気刺激効果の強まりが期待できます。

今般の、景気後退局面と武漢肺炎による経済活動の低下というダブルパンチに対処するためには、政府の積極財政と日銀の緩和政策の両輪で対処するしか方法はないのです。

【関連記事】



2018年5月29日火曜日

なぜかマスコミが報じない「大卒就職率過去最高」のワケ―【私の論評】金融緩和策が雇用対策であると理解しない方々に悲報!お隣韓国では、緩和せずに最低賃金だけあげ雇用が激減し大失敗(゚д゚)!

なぜかマスコミが報じない「大卒就職率過去最高」のワケ 

今春の大卒就職率、過去最高98%、高卒も27年ぶり高水準

 大卒就職率が3年連続で過去最高となったことについて、報道では「景気の回復基調」や「人手不足」とだけ説明されているが、これはあまりに表面的、断片的だ。金融緩和が失業率の低下や就職率の改善に至るメカニズムについてあらためて解説してみよう。

 筆者のような大学関係者には、大卒就職率が98%まで上昇したのは喜ばしい。なにしろ卒業後に就職できるかどうかは社会人生活のスタートで大きな違いになるので、大学生の最大関心事は就職だ。

 もっとも、この数字は想定内だ。そもそもマクロ経済政策では、第一に雇用の確保、第二に給与アップを達成することが重要だ。実は、雇用の確保をすれば人手不足の状況が生まれるので、給料は自ずと上がってくる。この意味で、やはり一番に目指すべきは雇用増ということになる。

 雇用は、失業率や就業者数等で測れるが、どちらを取っても安倍晋三政権の実績はいい。バブル崩壊以降では、最も良い雇用状況といってもいいだろう。

 アベノミクスの金融政策による効果は、マクロ経済学の教科書通りの話だ。金融緩和によって実質金利を下げて、株高、円安を生じさせるとともに、実物経済を押し上げ、具体的に民間の有効需要を増加させて、雇用が伸びる-という仕組みだ。

 有効需要が高まる点については、「金融緩和」と「積極財政」はマクロ経済の観点から見れば変わりはない。ただ、効果の即効性や波及範囲で両者は異なっている。財政政策は公的部門の有効需要へ直接働きかけるので即効性がある。他方、金融政策は民間部門の有効需要へ実質金利を通じて働きかけるので、波及範囲は広いが、効果は即効的ではなく持続的である。

 このため、財政政策の方が一般にはイメージしやすいが、雇用をみれば、民間部門に徐々に効果が持続する金融政策の効果もわかるだろう。こうしたマクロ経済学ベースの知見があるので、「金融政策は雇用政策」ともいわれているわけだ。

 金融緩和の効果を理解できずに、いまだに一部野党やマスコミでは「雇用が伸びているのは人口減少のためだ」という人がいるが、人口減少はここ20年くらいずっと続いている現象だ。にもかかわらず、最近においては、大規模な金融緩和を実施した安倍政権と小泉純一郎政権以外のときには、就業者数は増加していない、という事実を知るべきだ。

 大卒の就職率と前年の失業率には強い相関がある。バブル崩壊以降で最も雇用環境が良く、失業率は最低水準なので、大卒就職率が過去最高なのも納得だ。

 6年前の民主党政権時代には、筆者はひたすら大学から企業に採用をお願いする立場だった。政権交代の後、アベノミクスの金融緩和が継続する見通しを述べて、「そのうち就職率が高まり、就職市場は売り手市場になるだろう」と予想していたが、それが実現しつつある。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】金融緩和策が雇用対策であると理解しない方々に悲報!お隣韓国では、緩和せずに最低賃金だけあげ雇用が激減し大失敗(゚д゚)!

雇用と、マクロ政策との関係は、以下のグラフを見ればすぐに理解できます。これを理解しているのと理解していないのとでは雲泥の差があります。以下のグラフは高橋洋一氏が作成したものです。


このグラフと、マクロ政策のうち、財政政策は公的部門の有効需要へ直接働きかけるので即効性があるものの、持続性には欠ること、他方、金融政策は民間部門の有効需要へ実質金利を通じて働きかけるので、波及範囲は広いが、効果は即効的ではないが持続的であることを理解していれば、マクロ政策のほとんどは理解できます。

また、実質賃金と雇用との関係については、大企業の人事に勤めたことのある人ならすぐに理解できるはずです。会社の業容が拡大しているときには、まずは最初に賃金の低いパート・アルバイトを雇い、次の段階ではまずは正社員でも賃金の低い新人を雇用します。

そうなると、相対的に賃金の低い人の雇用が増えるので、平均値である実質賃金は低下します。いずれ、中途採用をしたり、既存の社員の賃金が上昇したりするので、実質賃金もあがりはじめます。

国レベルでの、実質賃金も同じことです。金融緩和によって、雇用が増えると、まずはパート・アルバイトが増えはじめるので、実質賃金そのものは低下する傾向になります。

これを理解できない人が、「実質賃金がー」などといって大騒ぎするわけです。

また、雇用が増えると、最初は労働生産性は低下します。なぜなら、新人を雇うわけですから、当初は教育・訓練が必要となることや、コミュニケーションコストが増えることにより、労働生産性は低下しますが、時間の経過ととも、教育・訓練の成果と、コミュニケーションコストが低減して労働生産性は元に戻ります。

これは、IT関連企業てブロジェクト・リーダーをした人も理解しやすいかもしれません。ブロジェトの進捗が遅いので、それをはやめようとして、ブロジェクトの人数を倍にしたとしても、当初は効率が上がるどこか、落ちます。これは、コミュニケーションコストが大幅に上昇するからです。ただし、当初はそうでも、時間とともに効率があがり、やがてあがりはじめます。効率があがるまでには、タイムラグがあるのです。

このようなことは、理屈で考えれば、すぐに理解できることなのですが、これを理解できない人たちが、「実質賃金がー」とか、「民主党政権のときは実質賃金が高かった」などと言って騒ぐわけです。

しかし、これは完璧に間違いであることは、上記で明らかです。しかし、それでも、「実質賃金がー」「労働生産性が~」などと騒ぐ方々がいらっしゃるわけです。

ところか、こういう人たちに遇の音も出ないような、はっきりした事例がお隣韓国にあります。その事例が掲載された記事を以下に掲載します。
最低賃金が招いた「雇用ショック」…韓国の失業率4.5%…17年ぶり最悪
最低賃金引き上げの影響を大きく受けると認識される業種の雇用が2カ月間で26万件も消えた。就業者数の増加幅は2年連続で10万人台にとどまり、失業率は3月基準で17年ぶりの最高水準となった。

統計庁が11日に発表した2018年3月の雇用動向によると、先月の卸・小売業と飲食および宿泊業の就業者数は372万3000人と、前年同月比でそれぞれ9万6000人減、2万人減となった。これら業種はアパート警備員などが含まれる事業施設管理・事業支援および賃貸サービス業と共に最低賃金引き上げの影響を大きく受けると認識されている業種だ。

これら3業種は2月にも就業者数が前年同月比で14万5000人減少した。2カ月間でこれら業種の26万人の雇用が消えたということだ。最低賃金の急激な引き上げが雇用に悪影響を及ぼしていると考えられる。

実際、雇用市場全体は2カ月連続でショック状態だ。3月の全体の就業者数は2655万5000人と、1年前に比べて11万2000人増にとどまった。2月は就業者数増加幅が約8年ぶりの最低水準となる10万4000人だった。2カ月連続で「雇用ショック」が発生している状況だ。

昨年9月の就業者数増加幅(前年同月比)は31万4000人だったが、10月から3カ月連続で20万人台に減少した。今年1月は33万4000人に増えたが、2月と3月は10万人余りに急減した。

これを受け、3月の失業者数も125万7000人と、3カ月連続で100万人台となった。現在の基準で失業者の集計を開始した2000年以降、3月基準で最も多い。失業率は4.5%と、前年同月比で0.4ポイント上昇した。3月基準では2001年(5.1%)以来17年ぶりの最高水準。青年層(15-29歳)の失業率は11.6%と、3月基準で2016年(11.8%)以来2年ぶりの最高水準となった。

統計庁のビン・ヒョンジュン雇用統計課長は「最低賃金引き上げの影響もあるだろうが、観光客の減少など他の影響が複合的に影響を及ぼした可能性もあり、最低賃金引き上げの影響を正確に把握するのは難しい」と述べた。続いて「過去に就業者数の増加を牽引した建設業の状況が良くなかったうえ、人口増加幅自体が大きく減った」とし「昨年3月の就業者増加幅が46万3000人にのぼったため、これとの比較による影響もある」と話した。

企画財政部の関係者は「青年雇用の不振と構造改革リスクなどに対応し、青年雇用対策と補正予算の編成を迅速に進める」と述べた。
お隣の韓国では、金融緩和政策を実施せずに、急激に最低賃金をあげたことが、このような結果を招いてしまったのです。

最低賃金をあげるには、ただあげるだけではなく、雇用政策として最初に金融緩和策を実行すべきだったのです。金融緩和策を実行すれば、人手不足が深刻となり、人手を確保するには各企業が、自ら賃金をあげるようになります。このような状況になってから、最低賃金をあげるようにすれば、雇用を犠牲にすることなく、上げることができるのです。

こんなことをいうと、韓国社会は遅れているから、まずは構造改革などを先にすべき、そもそも韓国が金融緩和をすれば、キャピタルフライトがおこるなどとしたり顔をおっしゃる方々もいまますが、これも大間違いです。

日本でも過去に日本の経済の停滞は日本社会の構造に原因があるとして、構造改革を進めようとして、金融緩和策、積極財政にはノータッチで、構造改革を進めようとした時期がありました。しかし、これはことごとく失敗しました。

結局、ブログ冒頭の記事で高橋洋一氏が指摘しているように、大規模な金融緩和を実施した安倍政権と小泉純一郎政権以外のときには、就業者数は増加していません。

安倍政権が成立して金融緩和ををする前は、日本では量的緩和をすると、キャピタルフライトがおこるなどともいわれましたか、ご存知のように日本で金融緩和を実施してもそのようなことは起こりませんでした。

なぜ、そのようなことにならないかなど、アイスランドでなぜキャピタルフライトが起こったのかなどを調べれすればすぐにわかります。

それについては、このブログでも、掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
未来がなくなった亡国への光景 韓国の若者、楽して暮らせる公務員「最低職位」試験に殺到―【私の論評】ポスト安倍は日本も韓国並に八方塞がりに(゚д゚)!
韓国の若者に「公務員志望」が高まっているという(写真と本文は関係ありません)
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下にアイスランドのキャピタル・フライトの原因について関係する部分のみを引用します。

かつてキャピタルフライトの起きた国としてアイスランドは有名です。
その頃アイスランドはGDP比で700%もの外貨建ての借金をしていました。しかし、当時のアイスランドの政府債務対GDP比は29%しかありませんでした。この700%もの債務は一体誰が負っていたのでしょうか。 
アイスランド政府の借金でないのであれば、あとは民間しかありません。この膨大な対外の外貨建て債務は国内の金融機関が負っていた負債でした。 
このような国であれば、当然のことながらキャピタルフライとは起こりえます。そうして、実際アイスランドではそれが起こったのです。
政府が財政黒字であったにもかかわらず、財政破綻した
国アイスランドの政府債務対GDP比の推移

このようなことを掲載すると、日本は借金をしているから大変だ、日本も大変だと考える人もいるかもしれません。しかし、日本は借金どころか、世界に最もお金を貸している国です。

実際、財務省は25日、日本の企業や政府、個人が海外に持つ資産から負債を差し引いた対外純資産残高が昨年末時点で328兆4470億円になったと発表しました。27年連続で世界最大の純債権国となりました。

ただし、1年前から2.3%減り、3年連続で前の年を下回ったとしています。これは、日本企業の株価が上昇し、海外投資家が持つ証券の評価額が膨らみ、対外負債が増えたためです。

このような国がキャピタルフライトをするはずなどありません。

韓国の場合は韓国銀行が昨年2月22日、韓国の対外債権が前年比638億ドル増の7843億ドルとなったのに対し、対外債務は151億ドル減の3809億ドルだったと発表しました。この程度の借金であれば、韓国も金融緩和をしたからといって、アイスランドのようにキャピタル・フライトが起こることもありません。

このようなことを分析していけば、やはり韓国も日本のように金融緩和をして、雇用状況を良くした後に、最低賃金を上げるとか、構造改革に取り組むなどをすべきだったのです。

順番が間違えているのです。まずは、何が何でも最初に雇用を良くしなければならないのです。

これは、日本でも同じです。日本でも、韓国と同じように最初に最低賃金をあげていれば、とんでもないことになりました。

お隣韓国で、このような大失敗の事例があるにもかかわらず、日本ではほとんど報道もされず、日本の政治家の多くや、マスコミは未だに雇用と金融政策の関係を理解していません。本当に困ったものです。本来そんな人が、経済記事を書いたり、雇用を論じたりする立場におさまっていること自体が奇異なことだと思います。

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2016年5月17日火曜日

橋下徹氏が都知事選出馬なら首相にとって一石三鳥の戦略―【私の論評】橋下氏は積極財政・金融緩和政策で東京都のデフレを克服し、国政にジャンプせよ(゚д゚)!


橋下徹氏 都知事選出馬はある得るか?
舛添要一・東京都知事が絶体絶命のピンチに立たされている。公用車での毎週末の別荘通いや税金を使った海外出張時の大名旅行ぶりへの批判に加え、政治資金で家族旅行をしていたのではといった疑惑が次々発覚、釈明はしたものの都民の不信感は高まるばかりだ。

ここに来て都議会自民党関係者からは、6月1日辞任、7月10日に都知事選挙と参議院選挙をWで行なうといった憶測も急浮上してきた。都議会自民党の背後には当然官邸の思惑がある。

官邸の思惑通りに舛添電撃辞任によって参院選と都知事選のW選挙となった場合、焦点は新たな「東京五輪の顔」となる都知事候補が誰になるのかだろう。

自民党都議の1人は、「知事を辞任させるべきだという声は強いが、ネックは有力な後任が見当たらないこと。都連は参院選の東京選挙区に2人候補を擁立する方針だが、乙武洋匡氏がスキャンダルで出馬断念した後、参院でも2人目の候補がいまだに見つからないというのが実情。ましてや都知事候補となると高い知名度がいる。候補が決まりさえすれば一気に選挙戦に動くことができるのだが」と語る。

自民党内の人材難は、前回都知事選で党を除名されていた舛添氏を担がざるを得なかったことが証明している。

そこでウルトラCの候補として浮上しているのが「無役」となったあの人だ。政治ジャーナリストの角谷浩一氏はこう見る。

「舛添氏を降ろして出直し都知事選となれば、短期決戦だから、有権者にとって顔と名前が一致する知名度の高い候補でなければ勝負にならない。その意味で、大阪府知事と大阪市長を経験し、首長としての経験十分な橋下徹氏の名前が官邸周辺で囁かれています」

橋下氏は「政界を引退する」と大阪市長を退任した後、『おおさか維新の会』には正式に参加せずに現在は弁護士業とテレビ・コメンテーター業を務めているが、安倍官邸、特に菅義偉官房長官との太いパイプを持つことで知られる。

そもそも菅氏は橋下氏に政界入りを説得した人物で、橋下氏も引退会見で菅氏を「とんでもない政治家だ」と手放しで絶賛するなど、いまだに強い信頼関係がある。

もし、橋下氏が無所属で都知事選に出馬し、安倍政権と自民党が全面支援すれば、知名度からいっても野党側が対抗できる候補を擁立するのは難しいだろう。政治評論家の浅川博忠氏もこう語る。

「現在の安倍政権は外交・防衛に力を入れ、世論が求めている社会保障や景気回復がおろそかになっている。アベノミクスの限界も見えてきた。そういう状況の中で参院選と都知事選のダブル選挙になった場合、大都市圏は革新が強い傾向があるため、通常であれば野党にアドバンテージがあると考えられます。

ただし、安倍政権が橋下氏を擁立できれば風向きはガラリと与党有利に変わる可能性が高い。橋下氏にはそれだけのインパクトがある。橋下氏の出馬が前提なら、安倍政権にとって都知事選とのダブルは切り札的になるでしょう」

安倍首相は参院選で公明党、おおさか維新などを合わせた改憲推進勢力で3分の2の議席確保を目指している。橋下氏自身は参院選出馬に否定的だが、都知事選に出馬すれば、相乗効果でおおさか維新の参院選での議席の上積みも見込める。首相にとっては参院選のテコ入れと都知事選勝利、改憲勢力の拡大というまさに一石三鳥の戦略だ。

橋下氏も憲法改正について「今度の参院選がワン・チャンスだと思っている。泣いても笑っても、ここを逃せば、10年、20年と憲法改正の機会は遠のく」と語るなど首相と同じ考えだ。

※週刊ポスト2016年5月27日号

【私の論評】橋下氏は積極財政・金融緩和政策で東京都のデフレを克服し、国政にジャンプせよ(゚д゚)!

橋本氏が都知事選に出馬という話は、おそらく根も葉もない話ではないのだと思います。まずは、舛添氏に対してはさらなる追及、刑事告発、自民党離反の可能性もあります。

それについては、高橋洋一氏が、あるサイトのコラムで指摘していましたので、その記事のURLを以下に掲載します。

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、要旨だけ以下に掲載させていただきます。
舛添都知事が火だるまだ。 
これまで、豪華な海外出張、公用車で週末に湯河原の別荘通いが報じられたが、さらに参議院議員時代に家族旅行とおぼしきものの費用まで政治資金収支報告書に計上していたことなどまで明るみになった。 
今年3月、都有地を韓国人学校のために貸し出すことが批判された。その当時、保育所問題がさかんに議論されており、「東京都は保育所より韓国を優先するのか」という批判だった。その背景にあったのが、舛添氏は、海外出張が多く、そのための経費が石原都知事時代に比べて多いというものだ。 
舛添氏の「都市外交」は、やりたくても、実行するための基盤ができていない。いずれにしても、地方自治体の長がどこまで外交もどきをやるのかということであり、豪華な海外出張を見直すといわざるを得なかったのは当然である。 
次に、4月に発覚した公用車での別荘通いだ。舛添都知事は、2015年度の1年間ほどで、神奈川県湯河原町にある別荘兼事務所に公用車で、ほぼ毎週、48回も都庁との間などを往復していたと報じられた。 
この、過去の二つの問題は、法令に反するものでなく、政治姿勢などの倫理的な問題であるので、遅ればせながらではあるが、見直しをすれば、批判は沈静化していくはずだった。 
しかし、政治資金の問題は、政治資金規正法にふれるかどうかという点で、前2件とは決定的に異なる深刻な問題だ。 
政治資金の支出について、政治資金規正法違反で刑事責任を問われた例は、おそらく過去にはない。 
しかし、昨今ではこの種の話は必ずと言ってよいほど、市民団体によって刑事告発される。捜査当局も、政治家が記者会見までしているので、市民団体の告発を受ければ無視することはできないかもしれない。 
記者会見では、誰に会ったかは言えないという方便ができても、捜査当局が事情聴取すれば、「会議」が実際にあったかどうかは、簡単にわかるだろう。 
政治的な見方からすれば、ポイントは、政治資金の使い方で今後さらに新たな問題が出てくるのかどうかという点だ。 
記者会見を踏まえて、(市民団体などが)刑事告発が行われるかどうか、また、都議会がどのように対処するのか、百条委員会(自治体の事務について疑惑や不祥事があった際、事実関係を調査するために設置される委員会)を設置するのかどうかである。 
7月上旬に参院選もあるので、都議会自民党や公明党が、世間からの批判の矛先がこちらに向くのを恐れて、舛添都知事に対する姿勢が一気に変わる可能性もあり、予断を許さない。そうなったら、舛添都知事はかなり危うくなるだろう。
都議会議員選挙は今年ではなく、来年になりますが、それにしても舛添知事が知事のままで、都議会議員選挙をむかえるとなると、都議会自民党や公明党にとってかなり不利になると考えられます。

もともと、舛添氏は自民党を脱党した人間ですから、そもそも都知事選に自公の公認にすると反対した自民党議員も大勢いますし、都議会自民党や公明党もそのような議員が多かったとされています。

さて、舛添知事に対する批判としては、上記のような観点ばかりではなく、経済学者の田中秀臣氏も経済政策の面から厳しい批判を行っています。その記事のリンクを以下に掲載します。
デフレとの闘いを辞めた舛添氏には即刻退場を求む!
田中秀臣氏
 舛添氏の税金を利用した都市外交などに伴う豪勢な消費は、経済学では「見せびらかしの消費」(誇示的消費)として知られるものだ。異能の経済学者、ソースティン・ヴェブレンが『有閑階級の理論』(1899年)に提示した考え方だ。この書籍の表題になっている有閑階級とは、自分は生産に一切貢献せずに、合法・非合法を問わず、自分の既得権益に基づいて、世間に対して影響力を与えようとする階級のことである。舛添氏のような政治的既得権(知事や国会議員などで得た収入や権力)を所持している人物は、ヴェブレンのいう有閑階級の代表といえるだろう。
 今の日本経済と東京都経済は、ここでも解説したように、消費増税の影響を特に強く受けてデフレ的な経済のままである。雇用状況は堅調であるものの、人々の名目所得の伸びは鈍く、税金が非常に重くのしかかっている。昔と同じ主張をもつのであれば、まず舛添氏がすべきは、無駄にしか思えない都市外交ではなく、政府に対する消費再増税凍結、むしろ消費減税の提案であろう。
 だが、そのような発想はない。これには理由がある。消費増税の一部分は地方消費税として東京都の財源にも組み込まれるうまみがあるからだ。この既得権を捨てるわけにはいかない。また冒頭でも解説した、都知事という社会的ステータスがもたらす「見せびらかしの消費」もこのデフレ的経済の中ではむしろ威力を発揮するものだ。簡単にいうと、舛添氏はそのデフレ経済との戦いという初心を失ったのだろう(もし初心というものが本気であったのならばだが)。いまの彼の行動や発言はすべてデフレ的経済の申し子そのものである。
 実は東京都には、デフレ的経済と闘う手段がある。例えば私はかつて、東京都で地域通貨(アービング・フィッシャー流の日付け貨幣というもの)を発行するという提案をしたことがある。この地域通貨と、現在行われてる地域通貨と決定的に違うのは、これを取得したものは一定期限に利用しないと事実上のペナルティ(追加の増税)を受けることにある。最寄りの地方自治体の窓口に行き、この「日付け貨幣」を受け取った者(希望者に限定する)は、一定の期間に消費してしまわないと、むしろ追加の税負担を要求されるのである。そのためこの追加の税負担を避ける目的で、「日付け貨幣」を得たものは積極的に消費する、という政策の枠組みである。これに類した政策の枠組みは多数ある。要はやる気の問題なのだ。
 東京都の経済が活性化すれば、都の財政状況も改善し、必要な社会保障などの財源として貢献するだろう。だが、いまの東京都の現状では、むしろ低所得者層の状況を悪化させている消費増税の負担で、社会保障を充実しようという倒錯した形になってしまっている。そしてそれは東京都だけではなく、日本全体の縮図でもある。
 このようなデフレ的経済の申し子になった舛添氏には、一刻も早く都知事の座からの退場をお願いしたいというのが偽ることのできない私の意見である。
さて、このようなことから、批判のかなり多い舛添知事です。自ら辞任するのを決意するには、さらなる厳しい追求でもなければ、すぐにとはいかないと思います。

しかし、橋下氏が都知事候補として、参院都知事同時選挙ということになれば、確かに非常に良いことだと思います。

非常に良いことという中身は、上の記事のようにあるように、安倍自民党、都議会自民党や公明党にとって良いという意味と、他にもう一つあります。

それれは、橋下氏にとって良いということです。私自身は、橋下氏は地方の首長としては、申し分なく随分努力されたと思っています。

ただし、国政ということになると、一抹の不安がありました。それは、何かというと、国政と地方行政の大きな違いであるマクロ経済です。

確かに、橋下氏は大阪府知事としても、大阪市長としても努力されていたと思います。しかし、この努力どちらかというと、緊縮財政的な観点からでした。府として、入ってくるお金は決まっているのですから、それに対して、予算の切り詰めを行うのは知事として当然のことだと思います。

だから、その面では評価します。無論無駄な経費を切り詰めることは、本当に重要なことです。ただし、国政はそれだけでは通用しません。

金融や、財政など地方自治体の首長のようにしかみられなければ、とんでもないことになります。家庭の主婦的な感覚で、切り詰めばかりに走れば、デフレ傾向に拍車をかけるだけになります。

さらに、国政となれば、金融と雇用とは密接に結びついてるということも、理解しなければなりません。そうして、金融緩和をすることにより雇用状況が良くなることを理解する必要があります。さらに、デフレのときには、金融緩和と積極財政をしなければならないというマクロ経済の基本中の基本を知らなければなりません。

実は、このことを全く知らない国会議員は大勢います。民進党などの野党では、理解している人はほんの一握りです。自民党でも、安倍総理とそのブレーンの方々のうち、稲田政調会長等を除いて他の人くらいは理解していますが、それ以外というとほんの一人握りです。



橋本氏は、国政に参加したことがないので、この点に関してはあまり明るくないと思います。実際、過去の経済に関する発言は、あまりマクロ経済政策を意識しているとは思えないことが多かったように思います。そのため、私は前から、今のままの橋下氏であれば、国政には参加しないほうが良いと思っていました。

橋下氏が大阪府知事首長時代に、上記の田中秀臣氏が提案しているような、地域通貨を大阪府で発行し、大阪府のデフレから脱却をはやめるというようなことは実施していませんでした。

もし、橋下氏が東京都知事になったとして、旧来のように緊縮だけではなく、田中秀臣氏のいうような、地域通貨(アービング・フィッシャー流の日付け貨幣というもの)を発行して、東京都の経済が活性化すれば、都の財政状況も改善し、必要な社会保障などの財源として貢献することができるでしょう。

これは、都が行うといことから、国の積極財政や金融緩和政策とは異なります。しかし、東京都のGDPは韓国と同程度です。さらに、地域通貨を発行することから、都内で擬似的に、金融緩和策と積極財政を擬似的に行うことができます。

特に、雇用に関してはかなりのことができそうです。在任中に実施すれば、東京オリンピックの頃にはかなり景気が良くなることになります。そうなると、都財政もかなり充実しますから、保育園の問題なども全国に先駆けたモデル的な事業を展開できます。いや、それどころか、マクロ経済政策における優良モデルになり、社会・経済活動が活発化して、様々な社会事業の魁となることも十分考えられます。

こうした東京都の繁栄は、大阪都構想の推進にも大きな影響を与えることとなります。さらには、道州制にも影響を与えるかもしれません。

こうすることによって、橋下氏は、マクロ経済政策の金融政策や積極財政を実地で学ぶことができます。その後に、国政入りすれば、マクロ経済音痴の他の国会議員にはできなかったような様々な政策に取り組むことができるようになると思います。

もし東京都知事になることができたら、有象無象の政治家や、経済学者などと親交を深めるではなく、高橋洋一氏や、田中秀臣氏、片岡剛司氏、村上尚己、上念司氏(頭に浮かんだ人を掲載しました。他にもまともな方々は随分いらっしゃいます)などのまともにマクロ経済を知っている人たちと親交を深めるべきでしょう。東京にはそうした人材が集中しています。

もし、橋下氏が東京都知事になり、地域通貨を発行し、金融緩和策、積極財政の真髄を東京都で学び、その後の国政に参加した場合かなり有能な政治家になると思います。しかし、もしこのプロセスを欠いた場合には、凡庸な政治家になり、かつての輝きを再び発揮することはないでしょう。

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2014年10月22日水曜日

中国経済、崩壊か…中国版アベノミクス不発 社会主義国家を待ち受ける“2つの罠”とは―【私の論評】『保八』も確保できない中国は、本当は雇用状況もかなり悪化しているのに、金融緩和政策も実行できない、その理由は「金が消えた」という驚愕の真実(゚д゚)!


7~9月期のGDP速報値を発表する中国国家統計局の盛来運報道官=21日、北京

  中国の国内総生産(GDP)成長率が減速した背景には、習近平政権が成長の「量」よりも、シャドーバンキング退治など構造改革を優先させる「質」の追求に軸足を移したことがあるとみられる。

  深刻な大気汚染など、環境問題を含む数多くの歪(ひず)みを生んだ年率10%前後の高度経済成長からのソフトランディング(軟着陸)の過程で、一定の減速は想定内だった。中国政府が社会安定のため最重要と考える雇用問題も安定感を保っているとの認識で、多少の成長鈍化は容認する構えだ。

  しかし、市場独占体質を色濃く残す国有企業の「改革」を打ち出した李克強首相の経済政策「リコノミクス」は道半ば。高止まりから下落に転じた不動産市況の悪化が経済成長の足を引っ張る速度が、既得権益層の抵抗に阻まれて進まない構造改革を追い越してしまえば、中国経済は成長も改革もいずれも失速する厳しい現実に直面しそうだ。

  成長率の鈍化で中国経済には「2つの罠(わな)」が待ち受ける。一つは、中南米諸国などと同じく、先進国入りする前に経済成長が伸びなくなる「中所得国の罠」に陥る懸念が一段と現実味を帯びることだ。

さらに、国有企業が中心の体制を保ちながら市場経済化を進める矛盾が、日米欧などの経済システムと摩擦を起こして成長を阻むとの「体制移行の罠」が、リコノミクスが不発の現状で浮き彫りになっている。

2つの罠に陥る前に構造改革をスピードアップして目に見える形で実施し、内需拡大など従来とは異なる成長パターンに直ちに移行しなければ、「2020年までの名目GDP倍増と住民の個人所得の倍増」計画は絵に描いた餅になる。13億人もの巨大市場をどこまで生かせるか。困難な経済運営のカジ取りが続く。(上海河崎真澄)

この記事は要約記事です。詳細はこちらから(゚д゚)!

【私の論評】『保八』も確保できない中国は、本当は雇用状況もかなり悪化しているのに、金融緩和政策も実行できない、その理由は「金が消えた」という驚愕の真実(゚д゚)!

今回の中国国家統計局の発表は、またインチキなのだと思います。中国の統計は、あてにならないと李克強自身が過去にそう発言しています。

そもそも、中国は未だに世界第二位の経済大国にはなっていないというのが真相です。以前中国国家統計局の出した中国全体のGDPの総額が、各省のGDPを合計したものよりも大きいというとんでもない事態が発生して、中国内はもとより世界中の物笑いの種になったという失策をしたこともあります。

そんな、中国の発表ですから、おそらくGDPの伸び率は6パーセントもいっていない可能性が大です。多くの日本人は、経済学者などの特殊な人をのぞいてGDPが著しく伸びるような時期のことは、忘れているので、この中国のGDPは、おちたといっても日本と異なり、凄いと思っている人もいるかもしれません。

しかし、これは全く誤りです。もし、本当にそう信じている人がいれば、それは改めるべきです。実は、中国はまだまだ発展途上であるため、もしGDPの伸び率が8パーセント以下になると、十分に雇用が確保できないとされています。これは、過去に中国政府が発表しており、『保八』と称して、中国政府が守らなければならない経済経済成長率としていました。

このことを考慮に入れると、中国ではGDPの伸び率が10パーセント台でなければ、勢い良く成長しているとはいえないわけです。

日本のような国であれば、ほんの数パーセントでも伸びれば雇用確保どころか、人手不足が深刻になります。そうして、経済成長は、年率3パーセントもあれば素晴らしいことになります。デフレなどあっという間に脱却です。

日本などと単純比較しても何も見えてきません。以上のことを前提として、中国の統計資料をみないと、とんてもないことになります。今回の発表では、7パーセント台でした。その詳細を以下に掲載します。
中国GDP成長率7.3%に減速 リーマン以来の低水準

中国の国家統計局が21日発表した2014年7~9月期の国内総生産(GDP)の成長率は、物価の上昇分を除いた実質で前年同期に比べて7・3%となり、4~6月期から0・2ポイント減速した。成長率はリーマン・ショック直後の09年1~3月期以来、5年半ぶりの低水準となった。 
 これにより、今年1~9月累計の成長率は7・4%となった。中国政府は今年の経済成長の目標を7・5%とするが、達成は微妙になった。年間目標を下回れば、アジア通貨危機で成長が急減速した98年以来、16年ぶりの事態となる。
『保八』すなわち、GDPが8%を切った中国は、雇用がかなり深刻な状況に陥っていはずです。そもそも、もともと中国の経済統計はインチキなのですから、本当に7パーセント台なのかも、かなり怪しいです。

しかし、中国では雇用は安定しているなどと公表する人もいます。その記事を以下に掲載します。
【中国の視点】人民銀:インフレ鈍化も利下げしない理由、雇用重視姿勢鮮明に

中国人民銀行 周小川総裁
中国人民銀行(中央銀行)の周小川総裁はこのほど、金融緩和について、慎重な姿勢を継続すると発言した。資金供給や社会融資などを合理的に増加させ、合理的な流動性を維持する方針を示した。 
また、人民銀の首席エコノミスト馬駿氏は、中国経済がハードランディング(硬着陸)する可能性が極めて低いとの見方を示し、景気減速が確認されても大型な刺激策が発足される可能性が低いと強調した。
人民銀の首席エコノミスト馬駿氏
馬氏は、中国経済がやや減速しているものの、雇用環境は安定しており、大型景気対策を実施する必要性が低いと指摘した。また、国内総生産(GDP)に占めるサービス業のウエートが徐々に高まっているため、これが雇用安定に寄与していると強調。今年1-8月の都市部での新規雇用創出は1000万人となり、雇用市場が安定すれば成長率は7%まで鈍化しても大型景気対策が打ち出されないとの見方を示した。
 これは、昨日のニュースですが、雇用が安定しているとか、1~9月累計の成長率は7・4%と八パーセントを割っていて、景気が悪くなっていて、雇用情勢も悪化しているはずなのですが、この記事では、1-8月の都市部で新規雇用が1000万人になったとして雇用安定に寄与しているなどとしています。

これは、本当に事実なのか、怪しいものです。それに、もし1000万人が事実だったにしても、13億人中の1000万ですから、これが本当に中国の雇用安定に寄与しているのかどうか、疑問です。

まずは、雇用面の中国統計はGDPと同じく、全くあてにならないとみておくべきでしょう。

中国の雇用が不安定ならば、普通は金融緩和をするのですが、それに関しても上で述べたように、慎重姿勢を継続するとしています。変です。従来の中国であれば、すぐに金融緩和策と、積極財政を行いすぐにも経済をたちなおらせ、その後に景気が加熱すれば、すぐにも金融引き締めと、緊縮財政に転じていたはずてす。

本当に、何かおかしいです。そうして、このおかしさの背景にはとんでもない事実がありました。

それは、中国から不正に海外へ流れたカネは3兆7900億ドル実に、外貨準備高より多いカネが不正に海外へでた勘定になっていることです。

これに関しては、宮崎正弘氏のメルマガが詳しいです。そのメルマガより、一部を以下にコピペさせていただきます。詳細は、宮崎氏のメルマガをご覧になって下さい。

宮崎正弘氏
 中国から不正に海外へ流れたカネは3兆7900億ドル  外貨準備高より多いカネが不正に海外へでた勘定になるのだが。。。。。
****************************************
グローバル・ファイナンシャル・インテグリティ(GFI,ワシントンの国際金融監視シンクタンク)の調査に拠れば、中国から不正に海外へ持ち出された金額が精密に報告され、驚くべき巨額の事実が浮かび上がって。 
 つい最近まで筆者は1兆800億ドルと、このGFIの数字を援用してきた(これは2002年か2011年の統計とされた)。 
 ところが新しい報告では2000年から2011年までの統計で、実に3兆7900億ドルが不正に海外へ流れた(Illicit flow)。2005年から2011年の統計で2兆8300億ドルとなる新しい数字に上方修正された。 
どの期間の統計かによって、数字が異なるのは当然といえ、もし2000年から2011年統計で、中国からの海外逃避資金のトータルが3兆7900億ドルとなると、史上空前の新記録。邦貨換算で417兆円弱。日本のGDPの80%にあたる。 
これは中国の金融が空洞化していることを示して余りある。 
以下に掲げる「ワースト・ランキング」はGFIが集計した2002年から2011年の合算統計である。 
1)中国      3兆7900億ドル
2)ロシア      8809億ドル
3)メキシコ     4618
4)マレーシア    3704
5)インド       3431 
桁違いの汚職天国、ロシアのそれも凄いが中国に比べたら何ほどのこともない。
中国からは、2012年から今年に至るまでも確実に金が不正によって海外に流れています。特に、裸官と呼ばれる官僚でも、幹部になると日本では考えられないような天文学的な多額の金を海外に流しています。

これに関しては、以前報道されたこともあります。その記事のURLと、一部を以下にコピべさせていただきます。
中国「太子党」ら、海外蓄財400兆円は氷山の一角だ!
 2014年01月22日 ブロゴス
自らも不正に海外に天文学な数字の金を流している習近平
中国の習近平国家主席が反腐敗対策を宣言する一方で、当の習主席、温家宝前首相、李鵬元首相ら中国共産党や中国人民解放軍幹部のファミリーが海外のタックスヘイブン(租税回避地)に蓄財している一端が、国際調査報道協会(ICIJ)のジェームズ・ボール記者と英紙ガーディアンの報道で明らかになった。
第一報で名前が挙げられているのは習、温、李3氏のほか胡錦濤前国家主席、トウ小平、中国人民解放軍創設者の1人、葉剣英、同大将の粟裕、戴相竜・元中国人民銀行総裁、「八大元老」の1人に数えられた王震、彭真・元全国人民代表大会常務委員会委員長のファミリー計13人。
国際会計事務所プライスウォーターハウスクーパース、スイス銀行大手クレディ・スイス、UBSなど欧米の銀行や会計事務所がバージン諸島での会社設立を仲介していたという。
中国と香港の2万1千人以上が海外会社のオーナーや株主になっており、2000年以降、1兆~4兆ドル(約104兆~約417兆円)の隠し資産が中国から流出したとボール記者は指摘している。
この約417億円という数字、上の宮崎氏の数字とも一致します。中国通の宮崎氏であれば、こちらの記事の内容も良くご存知だとは思いますが、これを知った上で、また別の筋からの情報として、ご自身のメルマガに掲載されたのだと思います。

かつての中国だと、もし景気が悪化し雇用情勢が悪化すれば、すぐにも金融緩和、それも、金利政策ではなく、お金を刷り増しして、お金をバラマキ、積極財政でもお金をバラマキ、すぐにも経済を立て直したのでしょう。実際、昨年の3月までは、日本は、日銀による金融引き締めを実施していたので、たとえお金を刷ったにしても、日本はデフレ円高であったのでやりやすい面がありましたが、もうそうではありません。

このような状況で天文学的な数字の金が海外に流れて、ドルなどに換金されてしまっている現在では、お金を刷りませば、ハイパーインフレになるのでしょう。だから、金利を下げるなどの政策をとろうとしたのですが、それも実施すればハイパーインフレを招くような悲惨な状況に陥っているのだと思います。

今の中国、雇用情勢がかなり悪化しているにもかかわらず、大規模な金融緩和もできない状況に陥っているということです。その理由が本来あるべきはずの、金が消えたというものですから、どうしようもないです。日本などではとても考えられないことです。

もう、この国に先はないということです。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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