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2018年5月29日火曜日

なぜかマスコミが報じない「大卒就職率過去最高」のワケ―【私の論評】金融緩和策が雇用対策であると理解しない方々に悲報!お隣韓国では、緩和せずに最低賃金だけあげ雇用が激減し大失敗(゚д゚)!

なぜかマスコミが報じない「大卒就職率過去最高」のワケ 

今春の大卒就職率、過去最高98%、高卒も27年ぶり高水準

 大卒就職率が3年連続で過去最高となったことについて、報道では「景気の回復基調」や「人手不足」とだけ説明されているが、これはあまりに表面的、断片的だ。金融緩和が失業率の低下や就職率の改善に至るメカニズムについてあらためて解説してみよう。

 筆者のような大学関係者には、大卒就職率が98%まで上昇したのは喜ばしい。なにしろ卒業後に就職できるかどうかは社会人生活のスタートで大きな違いになるので、大学生の最大関心事は就職だ。

 もっとも、この数字は想定内だ。そもそもマクロ経済政策では、第一に雇用の確保、第二に給与アップを達成することが重要だ。実は、雇用の確保をすれば人手不足の状況が生まれるので、給料は自ずと上がってくる。この意味で、やはり一番に目指すべきは雇用増ということになる。

 雇用は、失業率や就業者数等で測れるが、どちらを取っても安倍晋三政権の実績はいい。バブル崩壊以降では、最も良い雇用状況といってもいいだろう。

 アベノミクスの金融政策による効果は、マクロ経済学の教科書通りの話だ。金融緩和によって実質金利を下げて、株高、円安を生じさせるとともに、実物経済を押し上げ、具体的に民間の有効需要を増加させて、雇用が伸びる-という仕組みだ。

 有効需要が高まる点については、「金融緩和」と「積極財政」はマクロ経済の観点から見れば変わりはない。ただ、効果の即効性や波及範囲で両者は異なっている。財政政策は公的部門の有効需要へ直接働きかけるので即効性がある。他方、金融政策は民間部門の有効需要へ実質金利を通じて働きかけるので、波及範囲は広いが、効果は即効的ではなく持続的である。

 このため、財政政策の方が一般にはイメージしやすいが、雇用をみれば、民間部門に徐々に効果が持続する金融政策の効果もわかるだろう。こうしたマクロ経済学ベースの知見があるので、「金融政策は雇用政策」ともいわれているわけだ。

 金融緩和の効果を理解できずに、いまだに一部野党やマスコミでは「雇用が伸びているのは人口減少のためだ」という人がいるが、人口減少はここ20年くらいずっと続いている現象だ。にもかかわらず、最近においては、大規模な金融緩和を実施した安倍政権と小泉純一郎政権以外のときには、就業者数は増加していない、という事実を知るべきだ。

 大卒の就職率と前年の失業率には強い相関がある。バブル崩壊以降で最も雇用環境が良く、失業率は最低水準なので、大卒就職率が過去最高なのも納得だ。

 6年前の民主党政権時代には、筆者はひたすら大学から企業に採用をお願いする立場だった。政権交代の後、アベノミクスの金融緩和が継続する見通しを述べて、「そのうち就職率が高まり、就職市場は売り手市場になるだろう」と予想していたが、それが実現しつつある。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】金融緩和策が雇用対策であると理解しない方々に悲報!お隣韓国では、緩和せずに最低賃金だけあげ雇用が激減し大失敗(゚д゚)!

雇用と、マクロ政策との関係は、以下のグラフを見ればすぐに理解できます。これを理解しているのと理解していないのとでは雲泥の差があります。以下のグラフは高橋洋一氏が作成したものです。


このグラフと、マクロ政策のうち、財政政策は公的部門の有効需要へ直接働きかけるので即効性があるものの、持続性には欠ること、他方、金融政策は民間部門の有効需要へ実質金利を通じて働きかけるので、波及範囲は広いが、効果は即効的ではないが持続的であることを理解していれば、マクロ政策のほとんどは理解できます。

また、実質賃金と雇用との関係については、大企業の人事に勤めたことのある人ならすぐに理解できるはずです。会社の業容が拡大しているときには、まずは最初に賃金の低いパート・アルバイトを雇い、次の段階ではまずは正社員でも賃金の低い新人を雇用します。

そうなると、相対的に賃金の低い人の雇用が増えるので、平均値である実質賃金は低下します。いずれ、中途採用をしたり、既存の社員の賃金が上昇したりするので、実質賃金もあがりはじめます。

国レベルでの、実質賃金も同じことです。金融緩和によって、雇用が増えると、まずはパート・アルバイトが増えはじめるので、実質賃金そのものは低下する傾向になります。

これを理解できない人が、「実質賃金がー」などといって大騒ぎするわけです。

また、雇用が増えると、最初は労働生産性は低下します。なぜなら、新人を雇うわけですから、当初は教育・訓練が必要となることや、コミュニケーションコストが増えることにより、労働生産性は低下しますが、時間の経過ととも、教育・訓練の成果と、コミュニケーションコストが低減して労働生産性は元に戻ります。

これは、IT関連企業てブロジェクト・リーダーをした人も理解しやすいかもしれません。ブロジェトの進捗が遅いので、それをはやめようとして、ブロジェクトの人数を倍にしたとしても、当初は効率が上がるどこか、落ちます。これは、コミュニケーションコストが大幅に上昇するからです。ただし、当初はそうでも、時間とともに効率があがり、やがてあがりはじめます。効率があがるまでには、タイムラグがあるのです。

このようなことは、理屈で考えれば、すぐに理解できることなのですが、これを理解できない人たちが、「実質賃金がー」とか、「民主党政権のときは実質賃金が高かった」などと言って騒ぐわけです。

しかし、これは完璧に間違いであることは、上記で明らかです。しかし、それでも、「実質賃金がー」「労働生産性が~」などと騒ぐ方々がいらっしゃるわけです。

ところか、こういう人たちに遇の音も出ないような、はっきりした事例がお隣韓国にあります。その事例が掲載された記事を以下に掲載します。
最低賃金が招いた「雇用ショック」…韓国の失業率4.5%…17年ぶり最悪
最低賃金引き上げの影響を大きく受けると認識される業種の雇用が2カ月間で26万件も消えた。就業者数の増加幅は2年連続で10万人台にとどまり、失業率は3月基準で17年ぶりの最高水準となった。

統計庁が11日に発表した2018年3月の雇用動向によると、先月の卸・小売業と飲食および宿泊業の就業者数は372万3000人と、前年同月比でそれぞれ9万6000人減、2万人減となった。これら業種はアパート警備員などが含まれる事業施設管理・事業支援および賃貸サービス業と共に最低賃金引き上げの影響を大きく受けると認識されている業種だ。

これら3業種は2月にも就業者数が前年同月比で14万5000人減少した。2カ月間でこれら業種の26万人の雇用が消えたということだ。最低賃金の急激な引き上げが雇用に悪影響を及ぼしていると考えられる。

実際、雇用市場全体は2カ月連続でショック状態だ。3月の全体の就業者数は2655万5000人と、1年前に比べて11万2000人増にとどまった。2月は就業者数増加幅が約8年ぶりの最低水準となる10万4000人だった。2カ月連続で「雇用ショック」が発生している状況だ。

昨年9月の就業者数増加幅(前年同月比)は31万4000人だったが、10月から3カ月連続で20万人台に減少した。今年1月は33万4000人に増えたが、2月と3月は10万人余りに急減した。

これを受け、3月の失業者数も125万7000人と、3カ月連続で100万人台となった。現在の基準で失業者の集計を開始した2000年以降、3月基準で最も多い。失業率は4.5%と、前年同月比で0.4ポイント上昇した。3月基準では2001年(5.1%)以来17年ぶりの最高水準。青年層(15-29歳)の失業率は11.6%と、3月基準で2016年(11.8%)以来2年ぶりの最高水準となった。

統計庁のビン・ヒョンジュン雇用統計課長は「最低賃金引き上げの影響もあるだろうが、観光客の減少など他の影響が複合的に影響を及ぼした可能性もあり、最低賃金引き上げの影響を正確に把握するのは難しい」と述べた。続いて「過去に就業者数の増加を牽引した建設業の状況が良くなかったうえ、人口増加幅自体が大きく減った」とし「昨年3月の就業者増加幅が46万3000人にのぼったため、これとの比較による影響もある」と話した。

企画財政部の関係者は「青年雇用の不振と構造改革リスクなどに対応し、青年雇用対策と補正予算の編成を迅速に進める」と述べた。
お隣の韓国では、金融緩和政策を実施せずに、急激に最低賃金をあげたことが、このような結果を招いてしまったのです。

最低賃金をあげるには、ただあげるだけではなく、雇用政策として最初に金融緩和策を実行すべきだったのです。金融緩和策を実行すれば、人手不足が深刻となり、人手を確保するには各企業が、自ら賃金をあげるようになります。このような状況になってから、最低賃金をあげるようにすれば、雇用を犠牲にすることなく、上げることができるのです。

こんなことをいうと、韓国社会は遅れているから、まずは構造改革などを先にすべき、そもそも韓国が金融緩和をすれば、キャピタルフライトがおこるなどとしたり顔をおっしゃる方々もいまますが、これも大間違いです。

日本でも過去に日本の経済の停滞は日本社会の構造に原因があるとして、構造改革を進めようとして、金融緩和策、積極財政にはノータッチで、構造改革を進めようとした時期がありました。しかし、これはことごとく失敗しました。

結局、ブログ冒頭の記事で高橋洋一氏が指摘しているように、大規模な金融緩和を実施した安倍政権と小泉純一郎政権以外のときには、就業者数は増加していません。

安倍政権が成立して金融緩和ををする前は、日本では量的緩和をすると、キャピタルフライトがおこるなどともいわれましたか、ご存知のように日本で金融緩和を実施してもそのようなことは起こりませんでした。

なぜ、そのようなことにならないかなど、アイスランドでなぜキャピタルフライトが起こったのかなどを調べれすればすぐにわかります。

それについては、このブログでも、掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
未来がなくなった亡国への光景 韓国の若者、楽して暮らせる公務員「最低職位」試験に殺到―【私の論評】ポスト安倍は日本も韓国並に八方塞がりに(゚д゚)!
韓国の若者に「公務員志望」が高まっているという(写真と本文は関係ありません)
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下にアイスランドのキャピタル・フライトの原因について関係する部分のみを引用します。

かつてキャピタルフライトの起きた国としてアイスランドは有名です。
その頃アイスランドはGDP比で700%もの外貨建ての借金をしていました。しかし、当時のアイスランドの政府債務対GDP比は29%しかありませんでした。この700%もの債務は一体誰が負っていたのでしょうか。 
アイスランド政府の借金でないのであれば、あとは民間しかありません。この膨大な対外の外貨建て債務は国内の金融機関が負っていた負債でした。 
このような国であれば、当然のことながらキャピタルフライとは起こりえます。そうして、実際アイスランドではそれが起こったのです。
政府が財政黒字であったにもかかわらず、財政破綻した
国アイスランドの政府債務対GDP比の推移

このようなことを掲載すると、日本は借金をしているから大変だ、日本も大変だと考える人もいるかもしれません。しかし、日本は借金どころか、世界に最もお金を貸している国です。

実際、財務省は25日、日本の企業や政府、個人が海外に持つ資産から負債を差し引いた対外純資産残高が昨年末時点で328兆4470億円になったと発表しました。27年連続で世界最大の純債権国となりました。

ただし、1年前から2.3%減り、3年連続で前の年を下回ったとしています。これは、日本企業の株価が上昇し、海外投資家が持つ証券の評価額が膨らみ、対外負債が増えたためです。

このような国がキャピタルフライトをするはずなどありません。

韓国の場合は韓国銀行が昨年2月22日、韓国の対外債権が前年比638億ドル増の7843億ドルとなったのに対し、対外債務は151億ドル減の3809億ドルだったと発表しました。この程度の借金であれば、韓国も金融緩和をしたからといって、アイスランドのようにキャピタル・フライトが起こることもありません。

このようなことを分析していけば、やはり韓国も日本のように金融緩和をして、雇用状況を良くした後に、最低賃金を上げるとか、構造改革に取り組むなどをすべきだったのです。

順番が間違えているのです。まずは、何が何でも最初に雇用を良くしなければならないのです。

これは、日本でも同じです。日本でも、韓国と同じように最初に最低賃金をあげていれば、とんでもないことになりました。

お隣韓国で、このような大失敗の事例があるにもかかわらず、日本ではほとんど報道もされず、日本の政治家の多くや、マスコミは未だに雇用と金融政策の関係を理解していません。本当に困ったものです。本来そんな人が、経済記事を書いたり、雇用を論じたりする立場におさまっていること自体が奇異なことだと思います。

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2017年8月19日土曜日

【日本の解き方】景気拡大による人手不足、苦境に陥るのはブラック企業 労働者には賃上げの好機―【私の論評】長期と短期でみた雇用対策のありかた(゚д゚)!

【日本の解き方】景気拡大による人手不足、苦境に陥るのはブラック企業 労働者には賃上げの好機

このところの人手不足を深刻だと感じ、景気への悪影響を懸念する企業も少なくないようだ。ただ、人手不足は労働者や景気にとって本当に問題なのか。そして人手不足を解消するにはどのような方法があるのか。

 産経新聞社が7月下旬から8月上旬にかけて主要企業121社を対象に実施したアンケートによれば、4割近く(無回答を除く)の企業が人手不足を感じているという。人手不足は商機を逃す要因にもなりかねず、景気に悪影響を与えるとの懸念も6割に上った。

 これは、企業側からみた話である以上、当然ともいえる。企業にとって人手不足は、人件費を増やすコストアップ要因になるし、もし人手不足に対応できなければ企業の死活問題にもなる。

 ただし、人手不足になる要因は何かと言えば、景気拡大を受けた仕事の増加である。しかも賃金の上昇で対応するとしても、企業が倒産するまで賃金を上げることはもちろんなく、基本的には企業収益の範囲内である。つまり、景気拡大によってこれまで儲けた分と、今後儲ける分の一部を労働者に還元するだけのことだ。

 このように考えれば、企業の人手不足は、企業の担当者にとっては大変なことだろうが、その背景に仕事の増加があるので、うれしい悲鳴といったところだ。この意味では、人手不足が景気の悪影響になるというのは、大げさな表現であり、せいぜい人手不足に対応できない企業の経営が大変になるという程度の話である。

 もちろん、労働者から見れば、人手不足は、就職の選択肢が広がるという意味でありがたい話だ。

 11日のNEWSポストセブンで堀江貴文氏が「仕事で悩んでいるなら才能よりも環境を疑え」と興味深いことを書いている。仕事や人間関係で悩んでいたら「さっさと辞めたらいい」としているが、まったくその通りだ。

堀江貴文氏
 もっとも、アベノミクスの前の民主党政権時代は、そう気安く言える経済環境ではなかった。失業率が今よりも高かったので、会社を辞めても、次の仕事を確保するのが難しかったからだ。下手をすると、会社の仕事に悩んで自殺という最悪の結果になることもあった。

 ところが、今では失業率は低くなり、人手不足なので、新たな会社を探すのは難しくない。これは、自殺者数の減少という形で成果になっている。

 いずれにしても、原因として景気拡大による仕事の増加がある限り、人手不足は経済全体にとって良い話だ。

 一方、苦境になる代表格は、賃金切り下げで収益を上げてきたブラック企業だ。本コラムでも書いてきたが、デフレ時代には売り上げ減少の中、賃金カットを行うブラック企業が勝者になる。しかし、脱デフレ時代には、拡大する収益を労働者と分け合うような企業が勝者になるはずだ。

 企業が人手不足を悪者にするのは、ブラックな側面が出たとみるべきだ。(元内閣参事官・嘉悦大教授 高橋洋一)

【私の論評】長期と短期でみた雇用対策のありかた(゚д゚)!

人手不足の問題が深刻化する中、労働者派遣業界にもその影響が及びつつあるようです。帝国データバンクが8月8日に発表した「労働者派遣事業者の倒産動向調査(2017年上半期)」によると、労働者派遣業の倒産件数は2年連続で増加しています。本来、人手不足の状況は労働者派遣業の追い風となるはずですが、深刻な人手不足が派遣する人材の確保も困難にしている実態が明らかとなりました。

調査によると、2017年上半期(1月~6月)の労働者派遣業の倒産件数は37件となり、前年同期の33件から12.1%の増加となりました。上半期の倒産件数は2年連続となります。負債総額は前年同期比30.3%増の37億8300万円となり、こちらも2年連続の増加となっています。

派遣の仕組み
年ベースで見ると、倒産件数、負債総額共に2014年を境に2年連続の減少を続けており、2016年は倒産件数57件、負債総額39億9600万円でした。2017年は上半期を終えた時点ではありますが、共に増加に転じる可能性が高いです。帝国データバンクによると、2017年7月単月での倒産件数は6件となっており、通年では70件程度が見込まれています。また、負債総額に至っては、7月単月で4億7500万円となっており、1月から7月の累計で既に前年を上回っています。

本来であれば、人手不足が叫ばれる現在の環境は、労働者派遣業に追い風となるはずです。しかし、現在の深刻な人手不足は派遣する人材の確保も困難にしており、皮肉な事に人手不足が労働者派遣業界自体も苦しめているようです。

帝国データバンクによると、2017年上半期において、労働者派遣業界の景況感を示す景気DIは54.7と基準となる50を上回っています。国内平均が46.1と50を下回る中、業界としての景気は悪くないです。

問題は深刻な人材不足にあります。雇用の過不足を表す「雇用過不足DI」を見ると、労働者派遣業は非正社員で65.4と基準の50を大きく上回ります。国内平均は54.9となっており、業界の大きな課題となっています。また、正社員の「雇用過不足DI」も62.1となっており、こちらも基準の50や国内平均の57.4を上回ります。ここ数年、労働者派遣業の「雇用過不足DI」は高止まりしており、派遣スタッフや自社の正社員の確保に頭を悩ませている事が分かります。

労働者派遣業における人手不足の原因は、近年の雇用環境の改善が大きな要因となっています。厚生労働省が発表した2017年6月の正社員の有効求人倍率は1.01倍となり、2004年の調査開始以来、初めて1倍を超え、求人が求職者を上回る状態となっています。パートタイムを含めた全体の有効求人倍率は1.51倍となっており、こちらはバブル期の水準も上回り、高度経済成長末期以来の水準を叩き出しています。労働市場は売り手市場となっており、派遣スタッフを希望する労働者が減少していると見られます。

人手不足がのしかかる労働者派遣業ですが、その影響を大きく受けているのは中小零細業者であるようです。冒頭の調査によると、2017年上半期の倒産件数37件の内、負債総額5000万円未満のものは26件となっており、その比率は70.3%に上る。負債総額5000万円未満の倒産が全体の7割を超えるのは、調査を開始した2008年以降で初となります。

対する大手は国内全体の人手不足を追い風とした事業運営を行っています。業界最大手であるリクルートホールディングス <6098> が8月10日発表した、2018年3月期第1四半期決算によると、同社の国内人材派遣事業の売上高は前年同期比12.6%増の1257億円となっており、好調です。テンプホールディングスから社名変更したパーソルホールディングス <2181> の2018年3月期第1四半期決算でも、人材派遣事業の売上高は前年同期比10.4%増の1174億円となっています。

大手では派遣スタッフの人材確保に向け、賃金を上げる動きも進んでいます。また、一部では派遣スタッフの契約を従来の有期雇用から無期雇用に切り替える動きも出ています。大手が資金力や知名度を活かした人材確保に動く中、中小零細は非常に厳しい戦いを強いられています。人手不足の問題は簡単に解決する問題ではありません。労働派遣業は人材を確保出来た者のみが生き残れる消耗戦に入っていく可能性もあります。中小零細の人材派遣業者は特色を出していく等、生き残りに知恵を絞らなければならないでしょう。

株式会社ネオキャリアの女性スタッフ
たとえば、人材サービスを手がける株式会社ネオキャリア(東京・新宿区)は、45歳以上限定の労働者派遣サービスを今月中に始めます。

今の労働市場は、人手不足が深刻化しており、若い人にとっては「売り手市場」。一方で、1970年代半ばに生まれた「ロスジェネ世代」には、90年代後半の就職氷河期もあって、中年フリーターが増えています。こうした人材を活用する狙いがあるようです。

「派遣業界は今まで、45歳未満か、50歳以上のシニア層の募集が基本でした。45歳から50歳の“エルダー層”には求人がない状態だったのです。しかし、今の中高年は肉体的に若く、仕事に就くと定着率が高く、出勤率も良く、勤務態度もマジメだと派遣先企業からの評判がいい。それが、45歳以上のサービスを提供しようと考えたキッカケです」(ネオキャリア広報担当)

職種は、コールセンターやデータ入力などの事務職を中心に、清掃業務などもあるといいます。時給は1500円から2000円。失職中やフリーターの中高年にとって、文字通り“ネオキャリア”となるのかも知れません。人材コンサルタントの菅野宏三氏は「労働市場の実態に即したサービス」と評した上でこう続けます。

「これまで40代以上は求人が極端に少なく、仕事を探すのが困難な状況が続いてきました。しかし、若い働き手でなくても構わない職種がどんどん増え、企業サイドも中高年を積極的に受け入れるようになっている。人手不足を、コストと時間がかかる若い人材ではなく、45歳以上の中高年で補おうということでしょう。“苦肉の策”とも言えますが、方向性は正しいと思います」

なお、中高年の採用は“人柄重視”だそうです。若者とも和やかに働ける人が重宝されるらしいです。

今後人手不足がさらに続くと、さらに高齢者や女性に焦点があてられるようになるかもしれません。

一昔前の肉体労働者(実際ほとんどの労働者がこの範疇で、これらの多くは、モノ運んだり、つくったり、農業、漁業などの労働者であり、それが大勢を占めていた)であれば、55歳にもなればもう十分働いたという感覚であり、そこからさらに働きたいなどというものはほとんどいませんでした。多くの人が、50歳にもなれば、定年して引退生活することを心待ちにしていました。

一昔前のアメリカの肉体労働者
しかし、知識労働者は違います。彼らは、まだまだ、健康で頑丈であるばかりではなく、まだまだ働く能力が十分にあり、また、定年した後でもそうしたいと願っています。ただし、ここでいう知識とは仕事に適用できる知識を意味します。本や百科事典に書かれてあるようなものは、仕事に直接適用することはできず、単なる情報にすぎません。そうして、知識を仕事に適用するのが、知識労働者です。

そうして、現代ではこの知識労働が仕事の大部分を占めています。モノ運んだり、つくったり、農業、漁業などの労働者の労働者は、少数派になりました。それに、このような労働者ですら、知識を仕事に適用する場面が増えてきています。ここは勘違いしないでいただきたいと思います。

年金が破綻するかもしれないと思われている日本でも(実はさほど深刻ではないのですが、本日は本題から外れるので述べません)、おそらくアメリカの後を追い、いずれ定年が70歳まで、引き上げられるか、実質上の定年撤廃(働けるまで働く)という時代がやってくるかもれしません。

世界中の先進国や新興国では、少子高齢化で若者の数が少なくなっているため、雇うのが困難になりつつあります。さらには、若年層は、企業で再教育が必要ですが、高齢者、特に高学歴の知識労働者については、その必要もないです。

数年前までの雇用状況が悪化していた状況では、そのような必要はないですが、これから日本も高齢者を活用することを本気で考えなければなりません。いずれ、高学歴の高齢な知識労働者の奪いあいになることも十分に考えられます。

ただし、若年層はフル・タイムで働くことを前提とした人事・労務管理が行われてしかるべきですが、高齢者に関しては、臨時とか、契約、コンサルタントなど、多様な就労形態による人事・労務管理が重要になってきます。

しかし、今後さらに景気が上向き、さらに少子高齢化が進んだことも考え、上記のようなこと記憶にとどめておいて、手をうつべきと思います。

建築現場で働く女性
それにしても、雇用に関しては短期的展望と、長期的展望を持っておく必要があります。現状の人手不足は、2013年から始まった日銀による金融緩和に源があります。日本では、金融政策と雇用とが密接に結びついているという考えは一般的ではありませんが、欧米では常識です。簡単にいうと、金融緩和をすれば雇用は増え、引き締めをすると雇用は減ります。

一方、2014年4月からは、日本はデフレにから完全に脱却していなかったにもかかわらず、8%増税を実施してしまったため、個人消費が減退して、GDPが伸び悩みの状況でした。

しかし、その状況も金融緩和を継続して行っていたせいもあって、改善されつつあります。このブログでも先日掲載したように、デフレ脱却まで「もうひと押し」のところにます。

実際この記事にも掲載したように、8月14日に発表された2017年4-6月期のGDP速報値では、実質GDPの季節調整済前期比(年率換算)が+4.0%と、大きく上振れました。

しかし、この状況がいつまで続くかは保証の限りではありません。今後、過去のようにデフレ下で金融引締めや、増税などの緊縮財政をするようなことはなく、まともな金融政策や、まともな財政政策が実行されるかどうかを見極めるべきです。

それにしても、直近の人手不足は何とかしなければなりませんから、特に人手を必要とする小売・サービス業のような業態では、営業店舗などの現場では、過去のように新卒ばかりに頼るというのではなく、中高年の活用を積極的にすすめるべきです。この分野では、女性の活用も従来から進んでいますが、女性の活用もさらにすすめるべきです。

そうして、これから先日本でもまともな金融政策や、財政政策ができるようになると判断できた場合は、さらに雇用政策を変えていくべきです。運悪くもしそうならなければ、残念ながら、再度ブラック的になるしかありません。もちろん完全なブラックはいけませんが、デフレ期には企業がある程度ブラック的になるのはやむを得ません。それは、企業の責任ではなく、政府の経済対策のまずさのせいです。以下には、日本の金融・財政政策がまともになると判断された場合のみ記載します。

先に述べたように、現場だけではなく、会社の中枢である本部も含めて会社の様々な部署に高齢の知識労働者を配置することを考えるべきです。

そうして、このようなことを考慮しなければならない時代には、当然のことながらあらゆる市場もかなり大きく変わります。

日本では、過去デフレが続いたので、顕著ではなかったのですが、日本のように極端なな長期のデフレに見舞われなかった先進国においては、50歳未満と、それ以上の年代層の2つの異なる労働市場が併存しています。日本もそのようになります。日本はデフレだったために、この労働市場の二分化が進みませんでした。

若者が就職に苦しむような時代には、当然のことながら高齢者の労働市場など出来上がる余地もありませんでした。

このように2つに別れた市場に対応するマーケティングと、イノベーションが必要になりす。特に50歳以上の市場に対応するためには、若者では無理であり、高齢の知識労働者は欠かせなくなります。

いずれにせよ、このように労働市場がはっきり二分化する時代にはやくなってほしいものです。

さらに、労働市場だけではなく、あらゆる市場が多様化します。1920 年代、30 年代まで:あらゆる国が多様な文化と市場を有していました。  たとえは、農村市場、富裕市場などです。

 第2次大戦後は、あらゆる先進国が大衆向けの唯一の文化と市場を有する時代が続きました。 今日、再び市場の多様化の兆しがみられます。たとえば、ハイテク株のバブル市場(45歳未満)、長期投資市場(50歳以上)、高学歴者のための継続教育市場、そうして少子化がこれからも進みか つて4、5人の子供にかけていた総額を超える額を1人にかけるようになり若年市場ができあがります。

日本のように極端で長期のデフレに見舞われなかった他の先進国では、市場の多様化がかなり進みましたが、日本ではそうではありませんでした。今後、まともな経済対策が行われ、不況が数年続くようなことがあっても、デフレが長期にわたって続くことがなければ、このようなことが日本でも起こります。

このような市場の多様化に対処するためのもマーケティング(顧客の創造)、イノベーションは必要不可欠であり、特に高齢者の市場には若者だけでは対処できません。質量ともに、幅広い人材が必要になります。

とにかく、このような状況にはやくなって欲しいものです。そのためにも、政府はこれからまともな経済対策を実行して、数年間不況が続くようなことは仕方ありませんが、経済の癌ともいわれる異常事態のデフレに舞い戻るようなことだけはすべきではありません。

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2013年7月11日木曜日

人民日報「日本の少子化対策は見当違い、若者の仕事問題改善せよ」 「悔しいが正論」「ぐぬぬ」とネットで話題―【私の論評】人間の頭のねじれを象徴する人民日報記事と気になる日本の野党党首らの頭のねじれ具合?

人民日報「日本の少子化対策は見当違い、「若者の仕事問題改善せよ」 「悔しいが正論」「ぐぬぬ」とネットで話題




   中国共産党機関紙・人民日報日本語版は2013年7月8日付の社説で、「日本はなぜ『少子化』に頭を悩ますのか?」という見出しの記事を掲載した。日本の少子化は将来の労働力供給に影響を与え、経済発展のブレーキとなるだけでなく、高齢化問題をも深刻化させ、医療費・福利厚生などの社会保障システムの負担を重くさせる。その結果として、国際競争力を低下させるという。

   政府が2013年6月25日閣議決定した、2013年度版「少子化社会対策白書」によると、日本の女性が第1子を出産した平均年齢は30.1歳となり、初めて30歳を超えるなど「晩婚化」と「晩産化」が同時に進んでいる。また、若者の経済状況の悪化が結婚や出産を望まない原因となっている。日本が最近発表した人口統計・予測資料によると、5月1日の時点で、全国の15歳未満の「子ども人口」は1649万人で、総人口に占める割合は12.9%ととなり、これまでで最低の数字を記録した。

   この問題について記事では、政府は少子化担当大臣を特別に設置したほか、「産後ケア」を強調し、実施されていた児童手当の支給額増加、妊婦の産休期間の延長、養育費の補助金の増加などの対策もおこなったが、これらの対策でも日本はいまだに少子化の流れをとどめられていないと指摘する。

   そして、

「根本的な要因はケア不足なのではなく、経済的な問題である」
と断じた。

   さらに、日本では子どもを大学までやるのにすべて国公立だったとしても、合計で2985万円かかる―こんなAIU生命の2005年の調査結果を引き合いに出した上で、内閣府の調査で、子供を出産、子供を養育するには経済的負担が大きすぎ、費用を捻出できないとする答えは全体の39%を占めていることをあげて、

「このため、現在の若い男女の立場にたって若者の仕事問題を改善しなければ、若者は当然、順調に結婚や出産などできないだろ」
と案じている。

くだらないので、特に最後まで読む必要はないとは思いますが、この記事の続きはこちらから!!

【私の論評】人間の頭のねじれを象徴する人民日報記事と気になる日本の野党党首らの頭のねじれ具合?

人民日報の記事、なにやら私は、人間の頭のねじれを象徴しているような気がします。そもそも、中国の社会構造は遅れていて、日本を批判できるような状況ではありません。

まず、中国は一人っ子政策により、高齢者社会にまっしぐらの状況にあります。これについては、このブログにも掲載したことがありますので、その記事のURLを以下に掲載します。
中国、60歳以上が2億人突破へ 総人口の14・8%:―【私の論評】社会の変革を後回しにしたつけが効いてきた中国、習近平はラストエンペラーになる!!【2】
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下にこの記事で用いたグラフと、一部記事の内容をコピペさせていただきます。
中国の人口は60歳以上が、2億人を突破することが確実になってきました。中国の老齢化に関しては、このブログにも過去に何回か掲載してきました。日本の場合は、社会がある程度高度化してから、老齢化したので、老齢化は確かに大変なのですが、さらならる生産性の向上などにより何とか出来る見込みはあります。それに、随分前に調べたのですが、65歳の高齢者のうち、介護が必要な人は5%ということで、これは思いのほか少ないです。 
・・・・・・・・・・・・・・<中略>・・・・・・・・・・・・・ 
しかし、中国の60歳台の場合は、日本の団塊の世代とはかなり異なります。若い頃は、日本の団塊の世代などとは異なり、大部分の人が、食事にも窮したような、貧乏な時代を過ごしています。経済的にある程度良くなったのは、中年を過ぎてからなので、考え方、ライフスタイルも今の若い世代とは相当異なります。また、パソコンなども特殊な人を除きつかつたことのない人が大多数です。 
このようなことから、日本の60歳台は、知識労働にも馴染んだ人が多いですが、中国ではそうではありません。ほとんどの人が、肉体労働で収入を得た人たちが多く、知識労働などに従事できる人はほんの一握りです。 
それに、中国が高齢化で不安なのは、日本のように社会保障がほとんどないことです。生活に窮したとしても、生活保護などあるわけでもなく、医療費も高額ですし、日本人と比較すると、かなり利己的な社会となっていますから、かなり深刻です。日本も決して良い環境とはいえませんが、中国に比較すれば、老人にとっては、別天地です。
少子高齢化、生産人口の減少により、最早中国は世界の工場ではなくなりつつあります。こんな状況では、若者はさぞ重宝されていると思いきや実体はその逆です。

そもそも、中国では統計がはっきりしないので、何ともいえないですが、中国の現在の新卒の半分は就職できいない状況にあります。これについて、中国の別のメディアが以下のように伝えています。
中国も「就職氷河期」日本はどのように雇用を確保? 
 中国は今まさに「最も就職が難しい時」を迎えている。大学卒業生を中心とする若年層が、雇用市場で厳しい寒さに直面している。目を世界に転じれば、「経済を発展させ、雇用を増加させる」ことが各国政府の永遠の課題だ。だが世界がなお経済危機からの復興の途上にある中、先進国でも発展途上国でも、若者の間でまるで伝染病のように失業が蔓延している。各種のデータを総合的にみると、15歳から24歳の若年層の失業者数は約3億人に上り、米国の人口にほぼ匹敵することがわかる。「銭江晩報」が伝えた。 
 だがすべての国が失業率の高止まりに苦しんでいるわけではない。欧州では多くの国が就職難に苦しむが、ドイツの就職率は高く、特に若年層の就職状況は他国とは異なり好調だ。ドイツの若者は軽々と職を得ることができるが、隣国の若者はどんなに願っても仕事に就くことができない。日本の就職率は93.6%と高く、日本がどのように若者の雇用を確保しているかが気になるところだ。
この記事も、ブログの冒頭の記事と同様に、最近のものです。なにやら人民日報とは随分異なる論調です。詳細は、上の記事をご覧いただくものとして「銭江晩報」は、日本の高い就職率を「政府や日本の経済団体は専門のネットワークプラットフォームを構築し、小規模企業となかなか就職できない学生とをつなぐ架け橋を無償で提供しており、同プラットフォームに登録した学生は最短2週間で内定通知を受け取れる可能性があるという」と掲載し評価しています。

そうして、私は、この見方も一部正しいところは、ありますが、今年に入ってからの日本の就職率の改善は、アベノミクスの異次元の金融緩和に対する期待と、4月からは、実際に緩和を始めているということにつきると考えています。

このことについては、以前のブログにも掲載したので、その記事のURLを以下に掲載します。
【日本の解き方】雇用問題が論争されない悲劇 改善に重要な金融政策―【私の論評】雇用問題と金融政策は全く無関係だと思い込んでいるのは先進国では日本人だけ!!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、若者の雇用を含む雇用全般と金融政策とには密接な関係があることを掲載しました。以下に、この記事で用いたグラフと、一部内容を抜粋させていただきます。
米国では、金融政策は雇用政策とほぼ同義である。というのは、短期的には失業率とインフレ率の間に逆相関関係(フィリップス曲線)があり、「犠牲率」という概念が広く共有されている。犠牲率とは、インフレ率を低下させるためにはどの程度の失業率の上昇になるかということだ。この概念を用いることで、これ以上下げられない失業率より現実の失業率が高ければ、インフレ率を少し高めて失業率を低下させるという政策を実施できる。
この曲線をご覧いただければ、消費者物資があがる、要するにインフレになれば、失業率が下がっていくことを示しています。要するに、インフレになれば、雇用率があがっていくということです。これは、無論国によって、相関係数などは異なりますが、どこの国にもあてはまります。無論、日本だってあたはまります。 
こんな、当たり前のことが、日本では、全く理解されていません。皆さんの中には、日銀と雇用とのが関するなど全く結びつかない人もいると思います。しかし日本だけが、他国で通用している、マクロ金融や、経済いの法則くが成り立たないということはありません。日本でも成り立ちます。
現在日本では、異次元金融緩和を実施している真っ最中です。異次元金融緩和は、若者雇用すなわち、ブログ冒頭の人民日報の記事でいうところの、「若者の仕事問題改善」そのもの直結しています。アベノミクスの狙いは、株価上昇ではありません、これは単なる副産物であり、本命ではありません。

本命は、あくまでデフレからの脱却です。デフレからの脱却の目的は、景気を良くすること、景気が良いとは若者をはじめとする雇用状況を良くするということです。賃金を上昇させるということです。賃金は、今のところ全体があがっているという状況ではありませんが、雇用面では間違いなく手応えがあります。

このようなことを考えていくと、ブログ冒頭の人民日報の記事の内容は、日本は、「経済的な問題」を行なっていないとしています。これは、頭がねじれた人が掲載しているとしか思えません。人民日報は、中国共産党の機関紙ですから、中国共産党の頭がねじれているということでしょうか?

そもそも、何のための記事なのでしょう。中国共産党はこの記事で何をいいたいのでしょうか。やはり、日本政府のやり方を批判することにより、就職率が異常に低い中国の若者たちの憤怒のマグマをそらすという意味でもあるのでしょうか?それにしても、あまりに、中途半端で、おかしいです。これは、中国共産党自体が危機にあるという査証なのかもしれません。

そうして、その危機のなかには、皮肉にも、日本の「若者の仕事改善」を実施するための日銀の金融緩和も含まれています。どういうことかといえば、これはこのブログでも以前紹介しているので、その記事のURLを掲載します。
これが実力だぁ 中国・韓国 経済が大失速アベクロ相場でニッポン圧勝―【私の論評】白川によって中国と韓国の大富豪に大奉仕させらてきた日本人!!もう二度とあんなバカ真似はさせまじ!!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、中韓は、日銀の長期にわたる金融引締め政策による、デフレ・円高構造にかなり恩恵を受けてきたことは間違いありません。結果として、日本の若者も含む雇用情勢を悪くしつつ、中韓の雇用状況が良くなるように貢献してきたことになります。その政策が打ち切られため、中国は6月の段階で国内経済が大混乱しています。7月危機説まで、囁かれている状況です。

こんなことを考えあわせると、冒頭記事は、日本政府が従来のように、雇用問題一つとってみても、金融緩和などの本質的なことを実施せず、関係のないことを実施して、たとえば菅政権の雇用対策のように無意味なことをして、にそれで対策をしたつもりなるような愚かな政府に逆戻りしてもらいたいという淡い思いの表明なのかもしれません。

いずれにしても、冒頭の記事は、頭がねじれているとしか思えません。このようなねじれは、日本でも散見されます。

このねじれに関して、高橋洋一氏が指摘しています。以下にその記事のURLを掲載します。
労働者の党が金融政策批判の不可解 自由貿易否定で経済成長は困難
アベノミクスに対して野党の意見は二極化している。第1の矢である金融政策について、共産党の志位和夫委員長は「アベノミクスは国民の所得を奪う『毒矢』ばかりだ。アベコベミクスだ」とし、生活の党の小沢一郎代表は「物価高によって、国民の生活は苦しくなっている」、社民党の福島瑞穂党首は「物価は上がっても給与は下がっている」、みどりの風の谷岡郁子代表は「資本主義の社会では、お金は低いところから高いところに流れがち」といずれも批判的な立場だ。 
 これに対し、日本維新の会とみんなの党は第1の矢に賛成で、さらに公約で日銀の目的や責任を明確化するため「日銀法改正」にまで言及している。 
 労働者の立場に立つべき政党が、金融政策に反対するというのは世界中を見ても日本だけだろう。欧州の社会主義政党が、雇用の確保のために金融政策を活用すべきと主張するのは、歴史的にみても当然である。というのも、インフレ率と失業率の逆相関を示す「フィリップス曲線」が示すように、金融緩和は失業率の低下をもたらし、労働者のためになるからだ。 
 ちなみに、今のアベノミクスの金融緩和によって、2年後の失業率は3%半ばまで低下すると同時に、マイルドインフレになるので、賃金上昇率はインフレ率2%を超えて3%程度まで高まるだろう。小泉政権時代の例を挙げて、賃金が上昇しないと主張する野党もいるが、デフレ脱却をしていなかった時なので反論になっていない。
欧州の社会主義政党が、雇用の確保のために金融政策を活用すべきと主張しているにもかかわらず、金融緩和に反対する、共産党、生活の党、社民党、それから高橋洋一氏は指摘していませでしたが、民主党の海江田代表も含めての党首たちの頭はねじれているとしか思えません。これらの、党首たちの発言は、まるで、このブログの冒頭の記事の人民日報のような頭のねじれ具合だと思います。

私たちは、人民日報や、日本の政治家の頭のねじれ具合を見過ごすわけにはいきません。はっきり認識して、これらに流されるべきではありません。落ち着いて考えて、冒頭の人民日報の記事に対するネットでの「悔しいが正論」「ぐぬぬ」などという反応をすべきではありません。私は、そう思います。皆さんは、どう思いますか?

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