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2017年12月21日木曜日

若者の交際キーワードから読み解く「若者のクリスマス離れ」の原因―【私の論評】なぜ日本では金融政策と社会は無縁であるかのような扱いなのか(゚д゚)!


神戸の世界一のクリスマスツリー
株式会社リサーチ・アンド・ディベロプメント(所在地:東京都新宿区、代表取締役:松田 武久)は、首都圏在住の18~79歳の男女3,000人を対象に実施した自主調査を用い、「若者のクリスマス離れ」について分析を行いました。

年々盛り上がりをみせるハロウィンに対し、近年、「若者のクリスマス離れ」が取りざたされ、クリスマスの勢いが弱まりつつあるそうです。若者たちのクリスマスへの関心が弱まっているのはなぜなのか。その要因について考えてみました。

■ 調査結果

・18~24歳の若者は、生活の意識として「自分だけの時間や空間を大事にしたい」が男女ともに6割を超え、他世代と比較して相対的に高い傾向にある。一方で、「色々な人達と積極的につきあい、つきあいの輪をどんどん広げたい」意識もあり、人とのつながりを大事にしたい意識もうかがえる。(図1)

図1 人とのzき合いに関する意識
・18~24歳はスマートフォンで多様なネットサービスを利用しているが、「SNS」「無料通話サービス」「動画投稿配信サイト」といった≪つながる≫≪共有する≫サービスの利用率が高い。

・情報関連の意識態度でも、「個人ネットワークの充実に努めている」「どこでも連絡や情報を受け取りたい」が約半数で、全体と比較して約20pt上回る。一方、他世代と比較して、「常時情報が送られてくるのは煩わしい」が相対的に低く、「いつでも誰かとつながっていないと不安を感じる」が相対的に高い傾向にあることからも、デジタル社会の中での人とのつながり意識も強く現れている。(図2)

図2 情報関連の意識態度(「そう思う」計の比率)
・どこでも情報を受け取りたい&いつでも誰かとつながっていないと不安な層は、「自分のスタイルが仲間から浮かないよう気を配る」「同性からどのように見られているか気になる」「友達に褒められる装いをしたい」がいずれも高めで、他者との同調や共感を意識している傾向がうかがえる。

■ R&D生活者インサイト

以上のように、18~24歳の若者について生活をする上での意識や行動を整理すると、

◇自分だけの時間や空間は大事だが、独りになりたいわけではない
自分一人の時間や空間を大事にしたい意識が高い一方、人とのつきあいについても意欲的である。

◇「ライトで広いつながり」をベースにした若者の交流
思春期あたりからスマートフォンが登場したことで、他の世代に比べ情報スキルも高く、且つ収集量も多い。加えてSNSの浸透が急速に進んだことで直接の知り合いでなくても趣味や嗜好などの共通点を通して広く、ライトに、気軽につながれる交流が増えてきている。

これまで「人との交流=特定の人と深く」というイメージだったものが上述のようなものへと変わってきていると思われる。

◇18~24歳の若者の交際のキーワードは「共感」?「同調」?
スマートフォンでいつでも、どこでも、誰とでもつながれる時代だからこそ、逆につながっていないことへの不安を感じる傾向が見受けられる。また、他者からの評価を意識し、他者に「いいね」をしてもらえないことに対する不安感を持つ者が多い傾向にある。生活には「自由さ」を求めているが、仲間同士の和を乱すことなく無難に楽しく過ごすことに重きをおいており、他者から非難を受けない許容範囲内での「自由」「自分らしさ」「楽しさ」を実践しているようにも感じられる。

◇若者に響くハロウィン/下降気味のクリスマス
当初の問題提起である、イベントの盛り上がりに明暗分かれる件については、18~24 歳の若者のそれぞれのイベントに対するイメージ(定義)として考えると、以下のような特徴として整理される。

・ハロウィン= その場にいる同じ目的の人とライトなつながりで楽しむ
≪場のイベント≫ に対し、
・クリスマス= 特定の親密な人と過ごして関係を深める
≪関係性のイベント≫ と分けられる。

現在の若者のつきあいの感覚からはクリスマスは遠く、逆に、その感覚に親和性のあるハロウィンの普及が本格化しつつあると考えられる。

■ 調査結果グラフ(一部抜粋)
画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/146138/img_146138_2.png
画像2: https://www.atpress.ne.jp/releases/146138/img_146138_3.png

調査結果の詳細は、無料ダウンロードレポート『若者のクリスマス離れは何が原因?』をご覧ください。
本リリースで取り上げた結果以外に、以下の内容を掲載しております。ぜひこちらもご覧ください。
(弊社ホームページよりダウンロードいただけます)
●生活に求めるイメージ
●友達(恋人)と過ごす時間を増やしたい意識
●自分ひとりで過ごす時間を増やしたい意識
●スマートフォンの所有率、利用しているサービス
●同性からどのように見られているか気になる意識
●自分のスタイルが仲間から浮かないよう気を配る意識
●友達にほめられる装いをしたい意識

今回、発表致しましたデータを含むR&D CORE(生活者総合ライフスタイル調査システム)2017単年の集計表を100,000円(税別)にて販売しております。(18~79才まで性年代別等基本分析軸での集計表アウトプット)
R&D CORE(生活者総合ライフスタイル調査システム)を利用した調査・分析:課題の洗い出しから分析アウトプットまで、R&Dスタッフがお手伝いします。

詳細は弊社ホームページ http://www.rad.co.jp/ をご覧ください。

■ CORE2017調査概要
調査名: CORE2017 マスター調査
調査地域: 首都圏40km圏(調査地点 200地点)
調査対象: 18~79歳男女個人
サンプル数: 有効回収 3000サンプル (人口構成比に合わせて、性×年代別を割付)
サンプリング手法: 住宅地図を用いたエリアサンプリングで抽出
調査手法: 訪問・郵送併用の自記入式留置調査
調査実施時期: 2016年10月(毎年1回10月実施)
※『CORE』は、株式会社リサーチ・アンド・ディベロプメントの登録商標です。
※1982年から約30年、生活者理解のために毎年実施している自主調査です。

■ 会社概要
会社名: 株式会社リサーチ・アンド・ディベロプメント
所在地: 〒163-1424 東京都新宿区西新宿3-20-2
代表者: 代表取締役社長 松田 武久
資本金: 30,000千円
設立 : 1968年1月17日
URL: https://www.rad.co.jp
事業内容:マーケティング・リサーチの企画設計、実施及びコンサルテーション/経営・マーケティング活動の評価及びコンサルテーション

【私の論評】なぜ日本では金融政策と社会は無縁であるかのような扱いなのか(゚д゚)!

上の分析なかなか面白いものです。私自身は、若者のクリスマス離れは、もっと単純な背景によるものと思っています。

それは、大部分が過去の経済対策の失敗によるもの、特に金融政策 (雇用と密接に関係がある)の失敗によるものではないかと思っています。

以前このブログにも掲載したように、雇用と金融緩和とは密接に結びついています。これは昔からフリップス曲線として経験的に知られていることです。日本では、金融緩和により物価が2〜3%上昇すると、他には何もしなくても一夜にして雇用が数百万人創造されます。逆にいえば、物価が数%下がると、一夜にして雇用が数百万人失われます。

ハロウィーンに関しては、もともとクリスマスを祝うような人がハロウィーンに対しても親和的であって、ハロウィーンは日本で比較的最近祝われるようになったので、注目度が高いので目立っているだけだと思います。

今年も見られた渋谷でのハロウィーンの斬新な?衣装
それを裏付ける統計資料を以下に掲載します。

若者は高齢者より外出回数が少ない

11月21日、国土交通省が5年に1度実施している全国都市交通特性調査の2015年版の結果が発表されました。


その結果、20代の若者が1日に移動する平均の回数が、70代の高齢者を下回ったことが判明した。若者の外出は減少傾向、対して高齢者の外出は増加傾向にあり、2015年の調査で両者がついに逆転した形です。

若者の移動回数の減少は、日本だけではなくアメリカ・イギリスとも共通の傾向にあります。これは、英米では景気が回復傾向ではあるものの、日本と比較すると新卒採用という制度がない欧米では、若者が以前として就職弱者であるという現実があるのだと思います。一方で、高齢者の外出回数が逆転したのは日本だけです。

特に20代男性の休日の外出回数が減少

さらに男女別では、休日の20代男性の外出回数の減少が顕著でした。

20代男性が1日に移動する平均の回数は平日で1.91回、休日で1.24回。これは調査開始以来、最低となっています。初回調査が行われた1987年は平日が2.98回、休日が2.31回。休日の比較では30年間で47%も減少していました。


移動回数は、自宅にずっといた人が0回。自宅と目的地を往復すれば2回、その途中で立ち寄る場所が別にあれば3回とカウントされます。

家の外に一度でも出た割合を表す「外出率」でも、20代男性は平日が81.2%、休日が51.1%。平均して、休日のうち半分は、家から一度も出ていないことがわかった。

外出の目的別で比較すると、平日は男性の「業務目的」の外出が減少、休日は男性の「買物以外の私用」が大幅に減少しています。

背景に「非正規」労働者の増加?

調査では、関連情報としてインターネットやスマートフォンの普及が急速に進んでいることや、宅配便取り扱い数が増えていることなどを挙げています。平日に家でできる余暇が広がったことや、通信販売を利用する人が増えたことが推測されます。

また、就業形態別の調査で、年齢や平日・休日にかかわらず1日あたりの移動回数は、正規就業者、非正規就業者、非就業者の順に低くなっていることが明らかになっています。


20代の非正規就業者・非就業者の割合は53.5%にまで増加(92年は39%)しており、労働形態の変化との関連についても推測されます。

Twitterでは、以下のような反応が挙がっています。
「もう「貧困化」のことを「○○離れ」って言うのやめた方がよくね」
これに関しては、かなり実体をついたツイートだと思います。「若者の○○離れ」とは結局のところ、若者の貧困化や、しょう
「だって外出したらお金いるじゃん」
若者が貧困化していて、さらに将来に希望が持てなければ、まずはお金のかかることをやめようとするのは当然のことです。
「レジャー代一番最初に削るの当たり前」
若者が貧困化していれば、生活に必須なことにはお金を使っても、レジャー代を削るのは当然のことです。 ただし、「他者とつながっていたい」という願望はあるので、
「30年前のデータと比較されてもな。 1987年ってバブル真っ盛りじゃね?」
これに関しては、誤解があります。バブルの頃は、土地や株価の値上がりは顕著でしたが、 一般物価はさほど値上がりしていませんでした。にもかかわらず、日銀は金融引締めに転じました。これは大失敗でした。

その後も日銀は、基本的に引き締め気味の政策を繰り返しました。さらに、本来大規模に緩和すべきところを逆に引き締めをして、大失敗をしました。

これについては、以前のこのブログにも掲載しています。その記事のリンクを以下に掲載します。
「アラフォー世代は一生貧困を宿命づけられている」クロ現のアラフォークライシス特集にネット阿鼻叫喚 「泣けた」「救いが無くてテレビ消した」 ―【私の論評】対症療法、精神論は無意味!真の打開策はこれだ(゚д゚)!

この記事をご覧いただくと、日銀はバブル期の最後と、2006年3月と、リーマン・ショック時に大きな金融政策の間違いを繰り返しています。

金融緩和政策に失敗するということは、若者に対しても重大な悪影響を及ぼします。なぜなら、 上でも述べたように、日本では、金融緩和により物価が2〜3%上昇すると、他には何もしなくても一夜にして雇用が数百万人創造されます。逆にいえば、物価が数%下がると、一夜にして雇用が数百万人失われます。

そうして、雇用が悪化すると、一番先に悪影響を被るのは若者です。企業としては、雇用情勢が悪化したときには、まず最初に若年層の雇用をやめたり、若年層から解雇するからです。そうして、増税などの緊縮財政もそれに追い打ちをかけました。

デフレのときには、金融緩和と、積極財政を行いなるべくはやく、デフレから脱却するのが、経済対策の王道です。しかし、日本では、デフレであるにもかかわらず、

このような日銀の金融政策の失敗により、当時若者だったアラフォーから悪影響を被ることになりました。そうして、この調査がなされたのは2015年のことですから、その当時でも雇用情勢は回復していたのですが、今ほどではありませんでした。

そのため、若者のクリスマス離れがまだみられていたのでしょう。景気というものは不思議なものです、景気が良い時期が続くと、たとえ景気が悪くなっても、多くの人々がまだまだ景気の良い時代は続くとして、それ以前の生活様式を改めることはありません。逆に、景気が悪い時期が続くと、たとえ景気が良くなっても、多くの人々はまだ景気の悪い時代が続くとして、それ以前の生活様式をすぐに改めることはありません。

たとえば、あのバブルの象徴ともいわれる「ジュリアナ東京」はバブルが崩壊した後にできたものです。ジュリアナ東京は、バブル後に設立され、数年営業して閉店しました。

だから、雇用情勢が回復しても、すぐに「若者のクリスマス離れの終焉」はおきないかもしれません。しかし、雇用情勢がしばらく良い状態が続けば、「若者のクリスマス離れ」も終焉するかもしれません。

私は、いつも思うのですが、ブログ冒頭の記事のように社会分析をするにしても、その前後の経済分析も怠ってはならないと思います。経済をみないと、社会の本当の姿を知ることはできません。

今年の「クリスマス」はどうなるのでしょうか。雇用情勢が良くなったので、また若者にクリスマスが復活するかもしれまんし、あるいは来年か再来年あたりになるかもしれません。

あるいは、クリスマスではなく、ハロウィーンがさらに流行るかもしれません。あるは、もっと別なものが流行るのかもしれません。

いずれにせよ、「若者の○○離れ」の背後には、経済政策の良さ、悪さもあることを認識すべきです。それらも、みなければ、本質は見えてきません。

特に、日本では、金融政策と社会とは無縁のような扱いです。このようなことでは、社会の本質は見えません。

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2017年10月17日火曜日

若者は保守化しているのか 雇用改善で政権支持の実態、左翼色強い報道にも縁遠く―【私の論評】まもなく実質賃金も上昇しはじめ、吠え面をかく反安倍派?

若者は保守化しているのか 雇用改善で政権支持の実態、左翼色強い報道にも縁遠く
 毎日新聞の記事で、20代以下と30代の若者に内閣や自民党の支持者が多かったという調査結果が紹介されている。「政治的な知識不足」「現状維持を望む」といった解釈のほか、「雇用の売り手市場」なども要因とされているが、若者は保守的なのだろうか。

 この種の調査では現時点での傾向はつかめるが、変化については経年的な調査の方が分かりやすい。

 そこで、内閣府で継続的に行われている「外交に関する世論調査」を参考にしてみよう。

 日本で「保守化」や「右傾化」とされる代表的な特徴は、中国への態度である。この調査では「中国に親しみを感じる」割合について、年代別の経年変化が分かる。全世代でみると、中国に親しみを感じる割合は、1978年の調査開始以降、85年6月には75・4%だったが、それ以降低下し始め、95年10月に5割を切り、直近の2016年11月では16・6%(20歳以上)まで下がっている。

内閣府が2016年12月26日に発表した外交に関する世論調査より グラフはブログ管理人挿入以下同じ
 世代別の数字をみると、1999年10月では全世代で49・6%、20代で48・9%、60代で47・4%と、ほとんど差はなかった。しかし、直近の2016年11月では、全世代で16・6%、20代(18、19歳を含む)で31・1%、60代で12・8%と世代間の差が大きい。このデータでは若い世代ほど「保守化」「右傾化」していないことが分かる。

 一方、自民党支持についてみてみると、若い世代ほど支持する割合が高くなっている。より正確にいえば、若い世代は、それほど「保守化」していないが、自民党支持が強いと説明することができる。

 もっとも、これは自民党というより、第2次安倍晋三政権の特徴だといえる。実際、民主党への政権交代を許したときや、第1次安倍政権の際にも、若い世代は自民党支持は多くなかった。

 なぜ、それほど「保守化」していない若い世代に自民党支持が多く、「保守化」している老齢世代で自民党支持が少ないのか。筆者が思うに、若い世代は雇用を重視し、情報はネットなどテレビ以外から入手する。一方、老齢世代は雇用の心配がなく時間はあるが、情報を主にテレビに頼っているからではないだろうか。

昨年の結果より作成、「もりかけ問題」で一時、内閣支持率は
下したが最近はこのグラフに近いかたちになっている
 大学教員をしている筆者には切実な問題だが、大学生にとっての最大の関心事は就職である。初めての就職がうまくいくかどうかが、その後の人生を決めるともいえる。

 民主党政権時、残念ながら就職率は低く、就職できない学生が多かった。ところが、安倍政権になってから就職率は高まり、今では就職に苦労していない。正直なところ学生のレベルが以前と変わっているわけではなく、政策によってこれほどの差があるとは驚きだ。

 しかも、今の学生の情報入手はネットが中心で、左翼色が強く政権批判が多いテレビをあまり見ない傾向がある。そうした意味で老齢世代と若い世代は正反対だ。

 安倍政権の金融緩和と表裏一体の雇用重視は本来、左派政策なので、「保守化」していない若者にも受けるのだろう。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】まもなく実質賃金も上昇しはじめ、吠え面をかく反安倍派?

若者が、内閣を支持する理由として、高橋洋一氏は若者は雇用が良くなったことを評価し、情報入手はネットが中心であることをあげています。そうして、中国への態度から若者は決して保守化しているわけではないことを主張しています。私もそう思います。

ブログ冒頭の、高橋洋一氏の記事にでてくる、毎日新聞の記事を以下にそのまま引用します。
<衆院選>若者層は保守的? 内閣・自民支持多く…世論調査  
 衆院選公示を10日に控え、国政選挙では、昨年夏の参院選から選挙権を得た、18歳以上の10代の若者が今回初めて衆院選に臨む。総務省によると、前回参院選で10代は40歳前後の世代と同程度の46.78%が投票し、投票意欲は決して低くはない。各党とも新たな票田として注目しているが、各種の統計や専門家の分析によると、10代から30代までの比較的若い世代で政治意識が保守化していると言われる。全国各地の10代有権者10人にその背景を聞いてみた。【大隈慎吾、水戸健一、野原寛史】 
 毎日新聞が9月に2度実施した全国電話世論調査(9月2、3日と同26、27日)によると、全体として20代以下(10代を含む)と30代は、40代以上の高齢層に比べて内閣支持率も自民党支持率も高い傾向を示した。 
 最初の調査では20代以下の内閣支持率5割弱に対し、70歳以上や40代は4割台、他の世代は3割台どまりで、20代以下の高さが際立った。2度目の調査でも20代以下と30代は4割台で、40代以上は3割台にとどまった。 
 年代別の自民党支持率も、最初の調査は20代以下が4割弱と最も高く、30~60代の2割台と好対照。2度目も20代以下は3割程度で、30~60代は2割台だった。 
 こうした傾向について、10代有権者の多くは「何も知らないままなら、有名な候補に」などと政治的な知識不足を背景にあげた。福岡市の男子大学生(19)は「知らないし、わからないと現状維持で問題ないと考えるからではないか」と話す。 
 「関心のない人がとりあえず名前を知っているから入れている」「自分の主張がないから、支持者の多い方に流される」などと同世代に厳しい指摘もあるが、「民主党政権はマニフェストも達成できず、インターネットの発達で失敗も隠せない」「安倍(晋三)首相はリオ五輪閉会式のスーパーマリオの演出など見せ方もうまい」といった声も聞かれた。 
 世代間の違いを指摘する声も出た。北海道の男子大学生(19)は「自分たちは子供のころから雇用難。安倍政権で景気や雇用が改善し、わざわざ交代させる必要もないと考えているのでは」と話す。 
 大阪市の予備校生(18)は「私の祖父母は野党側の考えに近いが、若い世代は安保闘争のような大きな政治運動の経験がない。野党の政策はどこか理想主義的で、現実的な対応をしてくれそうな自民がよく見える」と解説した。 
 有権者の政治意識や投票行動を研究する松本正生・埼玉大社会調査研究センター長によると、他の各種世論調査でも10代を含む若い世代で内閣や自民党の支持率が高い傾向にあり、男性が女性よりも高いという。松本さんは「安倍首相のきっぱりとした物言いや態度に若者が好感を抱き、ある程度の固定ファンがいるのではないか。大企業や正社員を中心とする雇用の売り手市場や株高の現状が続いてほしいという願望が、若い世代で強いのだろう」と話す。 
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171009-00000010-mai-soci
若者は保守的と指摘する毎日新聞の記事は、若者はモノを知らない馬鹿者と言っているようなものです。モノを知らないのはどちらなのかと言いたくなります。

このような批判をすると、以下のようなグラフを提示して、2010年半ばからエンゲル係数が急上昇しているなどの批判をする人もいます。

これについては、いろいろ調べたところ、田中秀臣氏が最も理解しやすい反論をしていました。それを以下に掲載します。
エンゲル係数の推移を見ると、平成元年から平成16年(2004年)にかけて低下していましたが、平成21年(2009年)以降上昇しています。これは、エンゲル係数が、世帯主が60歳以上の高齢の世帯では高い傾向があるため、高齢化に伴って高齢の世帯の割合が上昇していることなどが全体のエンゲル係数の上昇にも関係しているのです。 
それと所得が上昇して外食が増えるとエンゲル係数が上昇したりもするのです。エンゲル係数は基本的に高齢化の進展でこれからも上昇トレンドにあると思いますが、その他の要因でも影響がおこるといえます。 
 エンゲル係数という一部分を取り出して、現在よりも民主党政権時代の方が暮らし向きがよかったという見方は、 
1)民主党政権時に失業率が高率(見かけ失業が減る傾向が始まったかのようにみえてもそれは求職意欲喪失者が増えたため=景気の悪化が深刻で職をさがすこと自体をあきらめたから)であったことをみていない 
2)民主党政権時に経済的自由での倒産件数の比較にならないほどの多さを無視 
3)現段階での自殺者数の減少を無視(民主党政権時よりも安倍政権の下の方が減少率はるかに拡大) 
4)最低賃金の上昇も無視などさまざまに列挙できるものを無視しています。さらに最近では、雇用回復の中での実質賃金上昇もみられます。民主党政権時では、雇用悪化の中での実質賃金上昇があったのですが、それは採用コスト増加で失業者増加をもたらしました。 
安倍政権を批判するならば、現在のアベノミクスのうちリフレ政策をさらに意欲的に実行せよ、というのがまともな批判の方向でしょうが、そういう話にはならず、批判のための批判しかできない人達が多いようです。
以上、田中秀臣氏の反論にでてくる指標のグラフを以下に掲載します。

就業者数については、どうみても安倍政権になってから増加しています。

倒産件数も、安倍政権になってから持続して減っています。


自殺者数も、安倍政権になってからかなり減っています。


実質賃金については、安倍政権になってから下がっています。直近では多少あがっています。

これは、反安倍派にとっては、格好の突きどころですが、これも先程のエンゲル係数のように、反安倍派は他の重要なことを見落としています。

それまで、金融引締めで雇用が悪化していた状況でご存知のように、2013年から日銀は金融緩和に転じました。そうすると、何がおこるかというと、比較的低賃金のパート・アルバイト、正社員も比較的低賃金の新卒や若年層から雇用が増えます。

そのため、マクロ経済学では、金融緩和をした直後には、雇用は増えるものの、実質賃金が下がるということが知られています。まさに、安倍政権になってからの実質賃金の低下はこれで説明ができます。

これは、大企業が業容を拡大するときにも似たような現象がおこります。たとえば、流通関係の企業で、景気が良いので、さらに利益をあげようと、店数を増やせば、店に配置する相対的に低賃金のパート・アルバイト、新卒を増やすことになります。

そうなると、どうなるかといえば、会社全体での平均賃金は下がります。金融緩和をして、実質賃金が下がるのはこれと同じようなものです。

新卒や非正規(主婦パート・アルバイト、高齢者再雇用)などの人たちが増えればその人たちの名目賃金は低いです。これらの雇用が増えていれば、インフレ率との見合いで実質賃金が下がることは明白です。実質賃金の低下で政府の経済政策は失敗と判断するのは明らかに間違いです。

しかしけ現状どおり金融緩和政策が続けば、次の段階では、人手不足となり、安定して人員を確保しようとすれば、当然のことなが、企業も賃金があげなければならなくなります。その動きが多くの企業にまで広がれば、全体の実質賃金もあがることになります。

一つ付け加えておくと、本来は実質賃金は今頃は確実にあがっていたはずなのですが、残念ながら2014年4月から、消費税増税をしてしまったため、個人消費が冷え込み、それが企業業績にも悪い影響を与えたため、雇用情勢は良くなりましたが、実質賃金上昇にまではいたりませんでした。

しかし、この状況は長くは続きません。最近実質賃金が多少あがっているのはその予兆です。しばらく、雇用者数が増え、実質賃金が減少する状況が続きしまた。いずれ、女性や高齢者などの雇用にも限界がくるでしょう、そうなると企業としては、人材を確保するためには、賃金を上げざるを得なくなります。その時期は近いです。

最後に、安倍総理が10%増税を前提として、増税分の税収の使いみちについて言及したことをもって、安倍総理は10%増税すると早合点している人もいるようですが、安倍総理は税収の使いみちについて言及しただけであって、増税するとはっきり言及したわけではありません。

このブログでは、8%増税分の税収が、社会保障にあまり使われることなく、財務省がありもしない政府の借金返済につかわれている実体をあげて、安倍総理はこれを批判しているのだという見方を紹介しました。実際そうだと思います。

次の10%増税の時期まで、北朝鮮情勢の悪化が続いていれば、政府としては北朝鮮情勢悪化のため、増税は延期ということで、三党合意による増税法案を廃案に追い込むのはたやすいことでしょう。

さらに、もし北朝鮮情勢にかたがついていたとしても、三党合意の一党である民主党が、現状では民進党と名称を変更し、半分消滅したような状況にあり、2年後には完全消滅しているかもしれません。そうなると、増税法案を廃案に追い込むのはたやすくなります。

いずれにせよ、10%増税は今から二年後のことです。安倍総理も朝鮮半島有事が間近に迫っていることから、現在は今でも政治勢力として強大な財務省と事を構えるのは避けたいと考えているのでしょう。財務省も、北朝鮮有事に備えることに協力して欲しいと考えているのでしょう。

そんなことから、現在の選挙では増税は争点と見るべきではないことを最後に付け加えたいと思います。

現在、増税凍結宣言を早々と行った、維新が苦戦しているのをみると、実際そうなりつつあるようです。

【関連記事】

民進は共産と共闘するのか 増税凍結提言で維新好機、準備不足が響く小池新党―【私の論評】消費増税凍結が争点となりえない裏事情(゚д゚)!

↑この記事少し前の記事ですが、維新が苦戦していることから、今回の選挙ではやはり消費税凍結が争点とはなっていないことがうかかわれます。

2016年6月21日火曜日

【産経・FNN世論調査】アベノミクス 若者は「継続」求める―【私の論評】若者の力も結集してデフレからの完全脱却を目指せ(゚д゚)!

【産経・FNN世論調査】アベノミクス 若者は「継続」求める

若い人たちがアベノミクスを継続したほうが良いとするのは、雇用情勢の改善のためか?
産経新聞社とFNNによる合同世論調査で、安倍晋三内閣が推し進める経済政策「アベノミクス」について「継続したほうがよい」(51.1%)が過半数を占め、「やめるべきだ」(36.9%)を上回った。継続を求める声は若い世代ほど強く、10~20代が62%で全年代を通じて最も高かったほか、30代でも59.6%に達した。

 50代で「継続したほうがよい」と答えたのは45.8%、60代以上では44.1%まで下がった。これに対して「やめるべきだ」は50代で43.1%、60代以上では40.5%まで上昇し、賛否の差は大幅に縮まった。

 一方、支持政党別では、自民党や公明党、おおさか維新の会、日本のこころを大切にする党の支持層で「継続したほうがよい」が、民進党や共産党、社民党や生活の党と山本太郎となかまたちの支持層では「やめるべきだ」が、それぞれ多数派となった。

 参院選で最も重視する政策課題に「景気・経済政策」や「財政再建」を選んだ人の6割以上が「継続したほうがよい」と回答。「格差是正」を選んだ人は、61.0%が「やめるべきだ」と答えた。


【私の論評】若者の力も結集してデフレからの完全脱却を目指せ(゚д゚)!

上の記事にあるように、アベノミクス継続を求める声が過半数を超えていることがわかりました。特に10~20代が62%、30代でも59.6%がアベノミクスの継続を求めています。

このブログで過去には、 安倍政権になって雇用状況が劇的に改善されていることは何度か掲載してきました。これが若者の支持を生んでいると考えられます。

有効求人倍率が現在1.34で、今は仕事が余っている状態。地方でも1以上なので仕事余りの状態。

一方、民主党政権では仕事をしたくても仕事がない状況だった。民主党政権時の有効求人倍率は、0.5~約0.8倍でした。このような悲惨な時代の記憶はまだ新しいです。若い人たちは、そのような話を就職担当の先生方から聴いていると思います。

つい、数年まえまで、就職難の時代が続いてたことを思えば、今はまるで天国のようです。

雇用情勢が良くなったのはアベノミクスの大きな成果

年金暮らしの人には全く実感がないのでしょうが、このように就職環境は安倍政権の下で劇的に改善されました。特に、10~30代の若者によるアベノミクスへの支持が高いことからそれがわかります。

それと、若い人のほとんどが、高校以上の学歴を持つのが普通になった現在ですから、高校での政治経済で習ったことの記憶も残っているのではないでしょうか。

それは、高校の教科書に出ているマクロ経済のど真ん中の政策である、積極財政と、金融緩和です。景気が悪すぎのときには、積極財政と金融緩和を、景気が良すぎるときには緊縮財政と、金融引き締めをするというのは、極々当たり前の政策です。

高校の政治経済の教科書に、景気が悪いときには、緊縮財政と金融引き締めをなどと掲載したとしたら、その教科書は絶対に検定をパスしません。なぜなら、それは全くの間違いですから。

なにやら、少し前までは、景気が悪いときには、財政再建をするのが良いという学者もいたのですが、さすがに、これは比較的新しい主張なので、まだ十分に検証されていないので、高校の政治経済の教科書には掲載されたことはありません。

そうして、景気が悪いときには財政再建をするのが良いという学説は、もう随分前に誤りであったことがわかっています。
「ごめんなさい」では済まされない! 財政切り詰め策の根拠となった論文に誤り 欧州連合の方針に疑問―【私の論評】 これは経済学者というか、科学者として許すまじ行為!!世界を日本を惑わした罪は大きい!!見せしめのために、学会から追放せよ!!日本は、消費税増税絶対にみあわせようぜ!!
緊縮財政に反対するギリシャ市民
この記事は、2013年4月19日のものです。詳細は、この記事をご覧いただくもとして、この記事から一部を以下に掲載します。
2009年にギリシャ問題が発覚し、それが欧州財政危機問題へと拡大した際、欧州委員会は危機を回避する政策を策定するにあたってひとつの論文を参考にしました。 
それはハーバード大学のケネス・ロゴフ教授とハーバード・ケネディ・スクールのカーメン・ラインハート教授による「Growth in a Time of Debt(国家債務時代の経済成長)」という論文です。 
ロゴフ教授とラインハート教授は『国家は破綻する』という本の著者でもあり、日本でも知られています。 
ところがマサチューセッツ大学アマースト校の博士課程に学ぶトーマス・ハーンドンがこの論文に書かれている結果を再現しようとしたところ、ロゴフ教授とラインハート教授が主張するような、「国家負債が90%を超えるとGDP成長が著しく鈍化する」という結果が得られませんでした。そこで彼の指導教授であるマイケル・アッシュ教授ならびにロバート・ポーリン教授とともに「結果がそうならなかった」という指摘をしました。
これが両者の間で論争を巻き起こしましたが、結局、ロゴフ教授とラインハート教授がエクセルのスプレッドシートを操作する際、コーディングのミスをした為、一部のデータが演算に反映されていなかったことが判明しました。 
ロゴフ教授とラインハート教授がエクセル操作上の凡ミスを全面的に認め、謝罪の声明を出すということで論争には終止符が打たれました。 
しかし切り詰め政策を強要されているギリシャやスペインの国民からすれば「間違いでした、ごめんなさい」ですまされることではありません。
国家負債がGDPの90%を超えるとGDP成長が著しく鈍化するので緊縮財政をすべきという説は全くの間違いであったということです。その間違いも、単なる掲載間違いで、エクセルによる計算の凡ミスだったというお粗末なものです。

この馬鹿学者二人の著書『国家は破綻する』の表紙が以下のものです。2012年後半に、上に掲載したように、著者たちの2010年発表の「政府債務がGDPの90%を超えると成長率が急減してマイナスになる」という内容の影響力のある論文が再検証されました。
その結果
1.エクセル コーディングのエラー
2.都合の悪いデータを除く
などの初歩的なレベルで問題の多い手法が暴露されました。2013年4月に、この本の著者たちが謝罪するという騒ぎになりました。フィクションや文学ならともかく、こういう本については、著者を信用して読むわけで、学問的手法そのものに疑問をもたれるような行為を行った著者たちの本は、安心して読めません。


このような書籍が、未だにアマゾンで販売されています。本来ならば、これらの学者らの責任において、このような書籍は回収すべきものと思います。

ついでに、この馬鹿な学者どものバカ面も以下にあげておきます。

ケネス・ロゴフとカーメン・ラインハート
このようなことから、現在ではやはり、高校の政治経済の教科書に掲載されているように、景気が悪すぎれば、積極財政と金融緩和を、景気が良すぎれは緊縮財政と、金融引き締めをすべきという内容は否定しようがありません。

しかし、財務省などは、国の借金(正しくは政府の借金)は、1000兆円として、GDPが500兆円とすると、200%の借金ということで、消費税増税しろなどとほざいていますが、これは全くの間違いであり、現状のように景気が良くなければ、財務省は積極財政、日銀は金融緩和をすべきです。

しかし、財務省は未だに増税に拘つています。しかし、積極財政とは、減税、公共工事を増やす、給付金を増やすなどの政策であり、増税ではありません。

それに、政府の借金1000兆円というのも、このブログでは間違いであることを何度か指摘してきました。

その典型的な記事のリンクを以下に掲載します。
国の借金1000兆円超」に騙されてはいけない 純債務残高は米英より健全 ―【私の論評】嘘を流布する官僚や学者、信じこむ政治家やマスコミは排除すべき時だ(゚д゚)!


 この記事は、今年の5月18日のものです。詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に一部を引用します。
今年1月、国の財務書類として公表されたもの(政府のバランスシートのこと)を見ると、14年度末で、上記の国債を含めた負債総額が1172兆円、資産総額が680兆円だ。つまり、国債を含めた債務残高は、負債から資産を差し引いたネットでみれば、492兆円であることがわかる。 
こうした話をすると、「国の金融資産といっても社会保障基金の積立金は取り崩せない」という人が出てくるが、本当にバランスシートを読んでいるのか筆者は怪しいと思っている。 
バランスシートをみれば、資産側の社会保障基金積立金は負債側の公的年金預かり金と見合っており、ネットで債務残高を見るときには意味がないからだ。財務省の言いなりになっているのだろう。 
さらに重要なのは、政府だけではなく、「関連会社」を含めた連結ベースのバランスシートだ。これも公表されているのだが、重要な組織である日銀が連結対象になっていない。そこで、日銀を含めて連結ベースのバランスシートをみると、ネットの債務残高は170兆円にまで減少してしまう。 
これが、本当の債務残高の姿である。国内総生産(GDP)比でみると2割以下であり、米国や英国と比較しても小さい。このような状況だから、現時点では財政破綻の可能性は極めて小さく、国債金利がマイナスになるのも納得できる。
政府の借金が170兆円として、GDPを500兆円とすると、政府の借金はGDPの34%です。同じような計算の仕方では、米国は80%です。英国は60%です。このような状況では全く消費税を増税する必要はありません。

アベノミクスには、若い人が評価するように、金融緩和による雇用の改善面では大成功です。一方8%増税による、消費の減退による実体経済の悪化により財政政策は失敗です。

財務省、自民党を含む大多数の政治家、財務省を筆頭とする官僚、経済学者やアナリスト、新聞をはじめとするメディアのほとんどが、8%増税に賛成し、消費税増税の日本経済に及ぼす影響は軽微としましたが、実際蓋を開けてみると甚大な悪影響がありました。

8%増税で家計最終支出は激減で大失敗

これでは、安倍総理が増税を見送るのは当然です。今後日本は実務は別にして、方向性とは高校の政治経済の教科書にも掲載されている通りの運営をすべきです。

そうして、若者は雇用面で恩恵を受けていることを了解し、政治経済の知識も年配の人よりもあるからこそ、アベノミクスを支持しているのでしょう。

アベノミクス反対といっても、増税に反対するというならわかりますが、増税見送りを反対したり、金融政策まで反対するというのであれば、全く高校の経済・社会の教科書にもでているマクロ経済の基本をないがしろにすることになります。

そんなことは、絶対に許容できません。ここは、若い人たちの考えが頼りになります。幸い今回の参院選から18歳以上の人が投票できるようになりました。

多くの若い人たちか、投票をして、この日本の経済政策をまともにする、きっかけになれば良いと思います。

しばき隊の若者安倍首相に中指突き立て罵声浴びせる
本当に「安倍政治を許さない」などとして、中指を下から突き上げるような無礼極まる若者はごく一部なのだと思います。若い力も結集して、日本の政治を変えていきたいものです。

それに、高齢者の方々には、自分の子供や、孫などが苦しむようなことをさせたくないというなら、財務省やその意向を第一に考えてそれを吹聴するようなたわけ者どもの声には耳をかさず、高校の政治経済にもでているような政策が正しいものとして、その政策を推進しようする政党や候補者に票を投じるべきです。

財務省の言うとおりに10%増税などしていては、消費がさらに落ちて、GDPが減り税収も少なくなり、社会保障もかなり削られることになります。経済が成長してこそ、社会保障財源も安定的に確保できます。しかし、そんなことは財務省はおかまいなしです。というより、財務高級官僚はおかまいなしです。国民がどうなっても、自分たちの退任後の天下り先でのハッピーライフを確実なものにしようという考えしかありません。

とにかく、今の日本経済、若者の力も結集して、今一度成長路線に大きく舵を切り、デフレからの完全脱却を目指すときです。

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2016年1月20日水曜日

中国ではリーマン級の危機 消費増税“強行”なら取り返しがつかない―【私の論評】10%増税で財務省は天国!国民は夢と希望を捨て、若者は、進学、就職、結婚を諦めよ(゚д゚)!

中国ではリーマン級の危機 消費増税“強行”なら取り返しがつかない

国会で「リーマン・ショックのような危機」が
なければ消費再増税をすると明言した安倍総理だが?
中国経済の減速や原油価格の下落、中東などの地政学リスクや世界的な株安など、年初から波乱要因が多くなっている。本コラムの今年の経済見通しでも、年前半はさえない展開だと書いた。

そして、7月の参院選(衆議院とのダブル選挙もありえる)の前に、消費再増税中止と最大27兆円の経済対策(埋蔵金バズーカ)があれば、年後半の景気は持ち直すとした。

このメーンシナリオに変化はない。海外の波乱要因すべてを予見していたわけではないが、中国経済だけでマイナス要因としては十分である。このままいけば、景気が反転する可能性は残念ながら少ない。

安倍晋三首相は、国会で「リーマン・ショックのような危機」がなければ消費再増税をすると明言しているが、これを額面通りに受け取る必要はない。昨年の講演では「国民の納得がなければいけない」と述べている。国会答弁とは異なり、アドリブで安倍首相が話した言葉なので、この方が真意であろう。

もっとも、今の中国経済を見ていると、「リーマン・ショックのような危機」といってもまったく間違いだとは言い切れない状況だ。

中国の経済指標の信憑(しんぴょう)性については疑問視されているが、輸入統計は相手国の中国向け輸出統計が存在するのでごまかせない。この意味で、輸入統計は中国で唯一信頼できる統計だともいえる。輸入の動きは国内総生産(GDP)の動きと安定的に連動するので、輸入の伸び率から、ある程度GDPの伸び率を推計することもできる。

2015年の輸入額は対前年比で14・1%の減少である。これほどのマイナスは、リーマン・ショック以来のようだ。日本を含む世界各国の中国向け輸出がリーマン・ショック並みに減少しているのであるから、この事実から、すでにリーマン級の危機が起きているといっても言い過ぎではないだろう。

ちなみに、中国政府に影響力の強い政府系シンクタンク、中国社会科学院は、16年の輸入はさらに減少し、前年比3・0%減と予想している。この数字は、中国経済の落ち込みがかなり深刻であることを示している。15年と16年ともに経済成長率はマイナスではないだろうか。そうであれば、日本にとっては明らかに「リーマン・ショックのような危機」が隣国で発生していることになる。

加えて、原油価格の下落が生じている。日本経済にはプラスの効果もあるが、資源国の経済を悪化させ、その反動で世界経済や日本経済にもマイナスの影響が出てくる。かつてと比べものにならないほどに、資源国の世界経済に占めるウエートが大きくなったからだ。

中東ではシリア問題やサウジアラビアとイランの対立があり、原油安が火に油を注ぐ形となっている。

こうした世界情勢を考えると、とても日本国内で消費増税する環境にはなっていない。このようなときに、消費増税を強行すれば、日本経済にとって取り返しがつかないことになるだろう。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】10%増税で財務省は天国!国民は夢と希望を捨て、若者は進学、就職、結婚を諦めよ(゚д゚)!

過去の3%増税は、5%増税は日銀が金融引き締めの姿勢を堅持するなか、強行され日本は失われた20年とも言われた、とんでもない円高・デフレに長期間見舞われました。

8%増税は、日銀が金融緩和に転じたさなかの平成14年度に実施されましたが、まだまだ日本経済が過去のデフレ・円高の悪影響から十分に立ち上がっていない時に実施され、個人消費は落ち込み、経済はマイナス成長となりました。

その悪影響は、平成15年中にもみられました。通年では、プラス成長になるかもしれませんが、それにしても、1%にも満たない水準になる可能性が大です。

平成17年、来年はまだまだ、過去の円高・デフレの悪影響から抜けきっていないことは十分に予想されます。

そんなさなかに、10%増税をしてしまえばどういうことになるか、誰もが予想がつきそうなものです。

さて、8%増税の最中に、金融緩和は実施しているものの、さらに10%増税するとどのようなことになるのか、それに関しては、もう5年ほど前のイギリスの事例があります。

それについては、このブログでも、何度か掲載したことがありますので、その時の解説に用いたグラフを以下に掲載します。

まずは、下のグラフをご覧ください。


リーマン・ショックからある程度立ち直ってはいたももの、まだ十分とはいえない状況のイギリスで、財政再建を目指して、2011年1月にイギリスでは日本でいえば、消費税にあたる付加価値税を増税しました。その結果どうなったかといえば、グラフが示す通り、若者失業率が高まり、その結果かなり批判を浴びたため、イングランド銀行(イギリスの中央銀行、日本の日銀にあたる)は、金融緩和を開始しました。

グラフの通り、マネタリーベースは金融緩和のため上昇しましたが、それでも、若者の失業率は若干改善されたものの、高止まり傾向にありました。


さて、その結果税収はどうなったかといえば、法人税収も、所得税も下がりました、付加価値税も2012年の5月時点では上昇傾向をみせましたが、それでも増税前の水準には戻りませんでした。法人税+付加価値税+所得税の合計でみても、増税前の水準から下がっています。

以下の、グラフは金融緩和してインフレ率はその後どのように推移したかを示すものです。この時期には、日本はもとより、海外でも金融緩和をすると、ハイパーインフレになるなどとという摩訶不思議、奇妙奇天烈なことを言う識者などが結構いましたが、平成12年の時点では、インフレ率の高止まりは収拾しました。

これで、金融緩和をしたからといって、ハイパーインフレになるなどという珍説は影を潜めました。


以下は、1980年から2015年までの、イギリスの経済成長率の推移です。


2009年の激しい落ち込みは、無論リーマンショツクの影響によるものです。そこから、金融緩和などで、2011年回復していたものの、2011年1月に増税をしたため、また景気が落ち込んでいることがわかります。さらに、2015年あたりでも、まだ、リーマン・ショック以前の景気の良いときには及んでないことがわかります。

このグラフをみても、付加価値税増税の影響がまだ続いているとみるべきです。

そうして、忘れてはならないのは、リーマン・ショックの影響はすでに収束しているにもかかわらず、イギリス経済が最近でもなかなか以前の水準に戻っていないということです。

こんな事例からも、景気があまり良くはないときに増税などすべきではないということが、はっきりしていると思います。

イギリスの付加価値税導入の大失敗は、日本が8%増税をする前からわかっていたことです。にもかかわず、日本では、この貴重な事例が顧みられることなく、8%増税に踏み切ってしまいました。

日本が今置かれている状況は、過去の長きにわたった、デフレ・円高の悪影響がまだ色濃く残っています。従来とは異なり、金融緩和に転じてはいるものの、2014年春からの増税の悪影響が残っています。そこに、10%増税を導入すれば、どんなことになるのか、素人でも理解できます。

そうして、その頃には、ブログ冒頭の高橋洋一氏の中国の経済がさらに悪化し、中東ではシリア問題やサウジアラビアとイランの対立があり、原油安が産油国の経済を押し下げ、さらに火に油を注ぐ形となっている。

こうした世界情勢を考えると、リーマン・ショック級のショックが日本を襲う可能性も高いです。リーマン・ショック時には、サブプライム・ローンなど、日本の証券会社など、ほんとんど取り扱っておらず、影響は軽微になると思われていたものが、日本は一人負けの状態になりました。

リーマン・ショックの発端となったリーマン・ブラザーズの破綻を伝えた各新聞 

その理由ははっきりしています。リーマン・ショックの震源地であるアメリカや、EUそうして、イギリスも、無論中国などもこのショックから立ち直るために、大規模な金融緩和を実施しました。しかし、日本は、他国が緩和するなか、頑なに金融引き締めを続けました。

そのため、本来ほんど関係なかった、リーマン・ショックであるにもかかわらず、日本だけが、デフレスパイラルの深化、さらなる円高に見舞われて、景気が低迷して、世界の中で日本だけがひとり負けの状態になりました。

今回も、もし、中国のさらなる景気の悪化、産油国の経済の悪化、それに伴いEUなども悪化したとして、このようなときに他国はイギリスの事例もあることから、増税など絶対に控えることでしょうから、その中で日本だけが消費税増税を行った場合、最悪の場合は、日本だけが世界で一人負け状態になる可能性もあります。

これを考えると、高橋洋一氏の言っているように、とても日本国内で消費増税する環境にはなっていない。このようなときに、消費増税を強行すれば、日本経済にとって取り返しがつかないことになることでしょう。

上記のような最悪のシナリオになった場合には、日本国民は、またまた塗炭の苦しみを味わうことになります。まずは、国民は夢と希望を捨てるしかなくなります。その中でも、特に若者は、進学、就職、結婚を諦めざるをえなくなる人が多数出ることになるでしょう。

そんな中、財務省は、増税によって、特別会計を充実させ、財務省外郭団体などに天文学的な貸付を行い、将来の高級官僚の天下り先のゴージャスな生活を確保し、我が世の春を謳歌することでしょう。

こんな馬鹿なことを、許すわけにはいきません。

ブログ冒頭でも、高橋洋一が指摘する、リーマンショック級の経済的な混乱から日本経済を救う方法はそんなに難しことではありません。日本政府がやろと、思えば確実にできて、効果があがる方法です。その処方箋を以下にまとめておきます。

1.追加緩和

2%の物価目標も達成がなかなかできていないのですから、追加金融緩和を行い。これを達成する速度をはやめるべきです。イギリスの事例をみてもわかるように物価目標をいっとき4%程度にしても、ハイパーインフレになる可能性はありません。2%などと悠長なこと言っていないで、言っとき4%にするべきと思います。

2.増税延期or凍結

これは、上記で述べたように絶対に増税などすべきではありません。増税は、緊縮財政の手法であり、本来景気が加熱して、ハイパーインフレなどになりそうなときに行う手段であり、デフレから脱却するときに行う政策ではありません。デフレからの完全脱却を目指すなら、減税や給付金などの積極財政を行うべぎてす

3.20兆円ぐらいの大型補正予算

日本には、未だ、10兆円のデフレギャプがあります。これを埋めるためには、補正予算3兆円など、焼け石に水です。最低でも10兆円、できれは20兆円の補正予算を組むべぎです。日本にはその能力があります。実際、特別会計には、為替特別会計など、円安の現状では、必要のないお金が天文学的に積み上げせられています。これで、20兆円など簡単に捻出できます。ただし、政治決断が必要。今回のリーマン・ショック級の危機はこれらを実行するために、良い口実になると思います。安倍総理は、これを口実に努力していただき、上記のような政策を実行していただきたいものです。

そうすれば、日本は過去のデフレ・円高のマイナスの影響を払拭して、デフレ・ギャップを克服して、完全にデフレから脱却できるどころか、成長軌道にのります。国民は、夢と希望を持ち、若者の進学、就職、結婚への可能性が格段に広がります。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?
【日本の解き方】民主党が主張する経済政策はブラック企業と既得権益者を利するだけだ ―【私の論評】ブラック政党に成り果てた民主党には今年の夏にとてつもない危機が(゚д゚)!


いまだはびこる国債暴落説と財務省の説明を妄信する人たち ―【私の論評】財政破綻などしないのは常識で理解できるのに、それができない馬鹿真面目共が多すぎ(゚д゚)!

【関連図書】

日本経済に関する書籍三冊を以下にあげました。これをご覧いただくと、いかに一般に流布されている経済論が出鱈目かよく理解できます。

Japan's Great Stagnation and Abenomics: Lessons for the World
Masazumi Wakatabe
Palgrave Macmillan
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世界が日本経済をうらやむ日
世界が日本経済をうらやむ日
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浜田宏一 安達誠司
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ご当地アイドルの経済学 (イースト新書)
田中秀臣
イースト・プレス (2016-02-10)


2015年5月13日水曜日

若年層の自殺がG7でトップ。日本の若者はなぜ死を選ぶ?―【私の論評】自殺率の高さの原因は、若者の精神的な弱さではない!過去のデフレによる悪影響が未だ残っているせいだ(゚д゚)!


2015.05.12 ニュース

「いのちの電話」など、自殺対策には力を入れている団体も多い
「いのちの電話」など、自殺対策には力を入れている団体も多い 日本の年間自殺者は全体的に減少傾向にある。’98年以降、14年連続で3万人を超えていたその数は、’12年から3年連続で3万人を割り、警察庁によると’14年は2万5218人だ。

しかし、若年層の自殺は深刻な状況にあると言ってよい。15~39歳の死亡原因の第1位は自殺だ(男女別では男性15~44歳、女性15~34歳で1位)。

G7で15~34歳の死因の1位が自殺というのは日本だけ(※グラフ参照)。死亡率はアメリカやフランス、カナダの約2倍、ドイツやイギリスの約3倍、イタリアの約4倍となっている。


この傾向について国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所自殺予防総合対策センターの山内貴史研究員(認知行動科学・疫学)はこう語る。

「日本以外の各国では、若年層の死因はがんなどの病気、交通事故などのほうが自殺よりも多くなっています。ところが、日本では中高年の自殺死亡率は下がったものの、若年層の精神的な弱さが目立っています。他国のように、ストレスの対処法を教育で教わっていないからではないでしょうか。中高年の自殺率は今後も下がっていくと思われますが、若年層は増加傾向にあります。また、この数値(自殺率)には自殺未遂者が含まれていません。自損事故として救急搬送されるケースは女性に多いのですが、若年層は未遂も含めると相当の数になると思われます」(山内研究員)

思いつめる前に、自治体、ボランティアなどの相談できる組織のドアを叩いてほしい。 <取材・文/週刊SPA!編集部>

【私の論評】自殺率の高さの原因は、若者の精神的な弱さではない!過去のデフレによる悪影響が未だ残っているせいだ(゚д゚)!

上の記事、どうしようもないです。日本の若者の自殺者数が多いことの理由を「若者層の精神的な弱さが目立っています」として、その真の原因を全く追求していません。山内研究員は、精神的な弱さを示す統計数値も示すことなく、このような結論を出しています。

日本の若者の自殺が多いのは、本当に「精神的な弱さ」だけが原因なのでしょうか。私は、そうは思いません。これについては、以前もこのブログに掲載したことがあります。その記事のURLを以下に掲載します。

若年者死因トップは自殺 先進7か国で日本のみ―【私の論評】若者の死因の第一位が自殺になったのは、デフレ退治をしなかったことによる大きな罪ということを理解しない人が多いためますます、悲劇が続く?

この記事は昨年のも6月5日のものであり、ちょうど今から1年ほど前のものです。

タイトルからわかるように、この記事では若者の死因のトップが自殺というのは、先進7カ国の中では、日本のみというショッキングな内容でした。

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に一部分をコピペさせていただきます。
26年版自殺対策白書が3日の閣議で報告された。25年の自殺者は2万7283人。前年の2万6433人より850人増えた。40歳代から60歳代男性が自殺者全体の4割近くを占めたことも家庭の中心的役割を担う年代だけに影響の深刻さがうかがえるものになった。 
また15歳から39歳の各年代の死因のトップをみると、いずれも「自殺」で、白書は「こうした状況は国際的にみても深刻で、15~34歳の若い世代で死因の第1位が自殺となっているのは先進7カ国では日本のみ」とした。また日本では15歳から39歳までの死因トップが自殺になっていた。

さて、 上の山内研究員は、統計資料もなしに若者の自殺者が多いのは、精神的な弱さと決めつけているようですので、私はそのようなことをせず統計資料を以下に提供させていただきます。

まずは、自殺者全体について以下に振り返っておきます。

自殺者数と景気は相関が高いことが知られているが、この二年間の経済状況の改善と、さらに自殺対策にここ数年経費を増加させていく方針を採用していることも大きいです。類似の事例はホームレス対策にもいえ、ホームレス数は景気要因に関わらず対策費の増加に合わせて減少しています。

自殺者数の減少については、マクロ(景気)とミクロ(自殺対策関連予算の増加スタンス)の両方が功を奏していると考えられます。

自殺対策関連予算の推移はまとまったデータがないので拾い集めてみると

平成19年 247億円 平成20年 144億円 平成21年 136億 平成22年 140億 平成23年 150億 平成24年 326億 平成25年 340億 平成26年 361億 となってます。


若年層で死因トップが自殺となっているのは先進7カ国で日本のみで、その死亡率も他国に比べて高いものになっています。その自殺死亡率をグラフにしたものが以下です。





上のグラフは若年失業率と20~29歳の自殺死亡率の推移です。
経済状況の相対的な改善とともに、中年男性の自殺死亡率が低下しつつある一方で、近年、20代以下の若年層の自殺死亡率の上昇が見られる点が注目されます。若年層においては中年層に比較して、『勤務問題』の占める割合が高いことが特徴であり、若年層の自殺死亡率が上昇していることと関係している可能性が考えられます。
若年失業率と20~29歳の自殺死亡率の推移を比較すると、両者は近い動きを示すことがわかります。こうしたことから、若年層における自殺死亡率の上昇は、経済状況の相対的な改善にもかかわらず、派遣社員、契約社員、パート、アルバイト等の非正規雇用の割合の増加など、若年層の雇用情勢が悪化していることも影響している可能性があるものと考えられます。なお、特に20歳代以下の若者の『就職失敗』による自殺者数が平成21年を境に急増していることにも注意が必要です。
「勤務問題による自殺」に関するグラフを以下に掲載します。

少し古いデータではありますが、勤務問題で自殺する若者が近年増えていたのは間違いないです。

「就活自殺」に関すグラフを以下に掲載します。


就職活動がうまくいかない大学生が精神的に追い詰められて死を選ぶ「就活自殺」が、平成25年までの7年間で218人に上ることが、警察庁のまとめで分かっています。それを示したグラフが上のものです。各大学は最悪の事態を防ごうと対策に乗り出していますが、自殺者数は、雇用環境と密接に関係するともいわれており、専門家は「解決には、雇用環境を改善することが先決だ」と指摘しています。

警察庁によると、自殺原因の詳細な分析を始めた19年以降、自殺した大学生は3516人。そのうち遺書などの記述から「就活の失敗」が原因とみられるのは218人でした。雇用環境との関連を証明するように、景気が回復したとされる25年は、前年より17人減少しました。

「勤務問題」も、「就活失敗」も特に若者に顕著です。大学を卒業したばかりの、学生など、企業に入って、すぐに即戦力になるスキルなど持っていません。企業としては、大卒の新人などを雇用しても、まずは訓練しなければならず、雇用すれば当初は経費がかさむことになります。

だから、デフレともなれば、採用を控えるのは当然のことです。企業に採用されなかった若者は、パート・アルバイトになるわけですが、デフレ化では、雇用条件も悪く、スキルも身につきません。

こうした若者が、将来に絶望して、自殺を選ぶということなど容易に想像できます。

今の日本は、厳密ではデフレではありません。しかし、過去20年近くにもわたって、継続したデフレによる、悪影響から抜けきっているわけではありません。

最近は、若干景気が良くなっているようではありますが、それにしても、世界的な視野からみれば、日本は若者の自殺が他の先進国に比較して、突出して多いという大問題がまだ解消されていません。

このような状況で、昨年4月に8%増税をしたのは、全くの間違いでした。そうして、もし10%増税が決定され、導入されたとした、若者の自殺はさらに増えたことが予想されます。

とにかく、現状は増税などの緊縮財政などは避け、一日も早くデフレから脱却するだけではなく、デフレによる負の遺産を一掃して、若者の自殺を撲滅すべきです。

「若者の自殺が多い国」という汚名は、一日でもはやく返上して、若者が希望の持てる国になろう!

「若者の自殺の多い国」という汚名は、一日でもはやく、返上すべきです。いつまでも、若者が、未来に希望が持てなく、自殺してしまうような国であってはならないです。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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