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2020年6月14日日曜日

世界新冷戦で中国窮地に! 米・英・台湾で香港奪還へ…日本も決断を コロナ影響で欧州各国の「対中感情」は最悪に— 【私の論評】日本はG7のアングロサクソン3カ国とEUの独仏伊を調整し、台湾とも関係を強化し、コロナ後の新世界秩序の中で存在感を増せ!(◎_◎;)


第2の天安門に!?香港デモ

天安門事件追悼集会で「香港独立」の旗が振られた=4日

 ドナルド・トランプ米大統領は、「香港の優遇措置廃止」と、「世界保健機関(WHO)からの脱退」という2つの重大な決断を下した。中国を見限り、英国や台湾を巻き込む「世界新冷戦」の様相だ。国際投資アナリストの大原浩氏は緊急寄稿で、米英など民主主義勢力と反民主主義勢力の二極化が進むなか、日本も決断を迫られていると現実を突きつける。


 トランプ大統領が関税などの優遇措置の廃止の方針を決めるなど、米中対立の舞台の一つが香港だ。問題の発端である1997年の英国から中国への香港返還・再譲渡は、84年に英中両国が北京で連合声明などの草案に署名したことに遡(さかのぼ)る。

 中国側の署名者は趙紫陽首相だったが、署名の場に同席したトウ小平氏が返還を実現した立役者である。英国側の署名を行ったのは「鉄の女」マーガレット・サッチャー首相だったことは少し意外かもしれない。

 サッチャー氏は、地球の裏側のフォークランド諸島がアルゼンチンに侵攻された時には、軍を派遣して守り抜いた。フォークランド諸島は、香港に比べたら経済的・軍事的価値などほとんどないにもかかわらずだ。

 メディアでは「99年間の租借期限」が到来したから返還したと報道されたが、99年間租借していたのは「展拓香港界址専条」という条約で定められた新界地域だけだった。主要部分の香港島は、1842年の南京条約(第一次アヘン戦争の講和条約)によって、清朝から割譲された英国の永久領土なのだ。1860年の北京条約(アロー号戦争の講和条約)によって、九龍半島の南端も英国に割譲された。

 租借部分を返還した後に香港島だけを守ることが戦術的に難しかったために「再譲渡」されたと考えられるが、香港島は英国の永久領土であり、九龍半島の南端も含めて「再譲渡」する必要などなく、当然英国内で大きな議論が巻き起こった。

 そのような事情もあって、中国共産党政府はトウ小平氏が提示した「一国二制度」をもとに、社会主義政策を将来50年(2047年まで)にわたって香港で実施しないことを約束したのだ。つまり、英国側から見れば、香港譲渡は50年間の約束を守れば…という「解除条件付き契約」であったといえる。

 したがって、共産主義中国がお得意の「ねじ曲げ解釈」をいくら駆使しても、英国としては、「一国二制度」という約束が破られれば、香港の再譲渡契約は無効であり、香港が英国領に戻るのは当然である。

 もちろん、英国だけの力で香港を守るために中国と一戦を交えることは難しい。しかし今回、中国の横暴に激怒しているのは英国だけではない。前述のように、米国は強烈な牽制(けんせい)球を投げた。ドイツをはじめ媚中的行動が目立つ欧州大陸の国々も、あからさまに香港の人々の人権が侵されれば声を上げざるを得ない。しかも武漢発のウイルスの影響で国民の対中感情は最悪だ。

 現在の英国首相であるボリス・ジョンソン氏は、サッチャー氏やウィンストン・チャーチル氏のような強烈な個性を持つ。フォークランド紛争、あるいはナチス・ドイツとの戦いと同じように「反民主主義国家・中国」との戦いに踏み切る可能性は十分あるのではないか。

 ■日本も「新世界組織」に参加すべきだ

 第二次世界大戦は、英国とフランスの同盟国だったポーランドをナチスドイツが侵攻したことで始まった。香港は同盟国どころか、「一国二制度」が守られなければ「英国領」に戻るべき存在なのだ。

 トランプ氏は「中国に支配されている」としたWHOからの脱退も表明したが、これも重要な決断だ。台湾は即座に米国が今後立ち上げるであろう「新世界組織」への参加を表明している。日本も後に続くべきだ。米国はWHOだけではなく、「中国に支配されている」国連をも見限っているのである。

 米国が新型コロナウイルスの感染拡大や白人警官による黒人男性暴行死を発端とした抗議デモなどの問題を抱えるなかで、「火事場泥棒」のような中国による香港への「国家安全法」導入は、ますます米英を怒らせる。そして、歴史的に正統な台湾主体の世界再編が米国によって推進されるという大ブーメランとして返ってくるだろう。

 「民主主義勢力」と「反民主主義勢力」の二極に分かれつつある世界で、日本がどちら側につくべきかは明らかだ。共産主義の代表を「国賓招待」する話がいまだに残っているのは言語道断だ。むしろ、台湾の蔡英文総統こそ、国賓として招待すべきではないか。

 ■大原浩(おおはら・ひろし) 人間経済科学研究所執行パートナーで国際投資アナリスト。仏クレディ・リヨネ銀行などで金融の現場に携わる。夕刊フジで「バフェットの次を行く投資術」(木曜掲載)を連載中。

【私の論評】日本はG7のアングロサクソン3カ国とEUの独仏伊を調整し、台湾とも関係を強化し、コロナ後の新世界秩序の中で存在感を増せ!(◎_◎;)

香港割譲は中国史上最も大きな損失でしたが、香港がいずれ中国に返還されるとは、当初誰も考えていませんでした。

1842年に結ばれた南京条約で、香港島は英国に割譲されました。第一次アヘン戦争で英国の巨大な軍艦と圧倒的な軍事力の前に敗れた中国(当時は清国)に選択肢はなく、香港島は英国に永久割譲、1860年に九龍半島が割譲されました。

不毛の島である香港島には水が不足していました。そのため英国は1898年、中国から新界を租借し、99年後の1997年に「新界のみ」返還すると約束しました。この時点では、香港島まで返還することは想定外だったのです。

イギリス軍がアルゼンチンに奪われた島を奪還したフォークランド紛争の勝利に沸いていた1984年、当時中国の実質的な最高指導者だった鄧小平と香港の返還交渉を行っていたマーガレット・サッチャー英首相は「なぜ(新界だけでなく)香港を返還しなければならないのか」と周囲に聞いていたそうです。

マーガレット・サッチャー英首相

それは鄧小平が香港島と九龍島の同時返還を求め、軍事介入も辞さない姿勢を見せたからでした。軍事力も指導者も、アルゼンチンとは格が違しまそち。結局サッチャーは、1997年6月末に香港を中国に返還することで同意したのです。

1997年6月30日の夜、雨が降る中でイギリスによる香港の委任統治が終わりました。260の島と世界一美しいスカイラインを持つ香港で、午前0時に警官たちが帽子のバッジを王冠からランに付け替え、英国旗「ユニオン・ジャック」が降ろされました。

香港返還に際し、住民の間には混乱というより不安が漂っていました。イギリはすでに香港住民に対するパスポートの発行を止めていました。完全にストップ、立ち入り禁止でした。EUの拡大でポーランド人労働者がイギリスで働ける時代になったというのに、なぜ香港住民はだめだったのでしょうか。

人々が疑問の声を上げたのは他でもない、もし中国政府が(1989年の天安門事件のように)弾圧に乗り出したときは、イギリスが守ってくれる、受け入れてくれると保証してほしかったからです。

その素朴さは胸を打ちました。当時の香港は世界で最も成功した植民地で、香港総督も人気があったのですが、英国にとってはしょせん植民地でした。重要なのは中国本土のほうで、香港は中国市場に参入するうえで障害になっていました。天安門事件後いちばん最初に北京を訪問した西側首脳も当時のジョン・メージャー英首相でした。英国にとって中国は、商売の相手だったのです。

引き揚げを指揮したのは、最後の第28代香港総督を務めたクリス・パッテンでした。それは香港返還にとどまらず、大英帝国の事実上の終焉でした。

パッテンは、多くの政治家のように成功することでのし上がるのではなく、屈辱的な失敗を成功に変える抜け目のない政治家でした。1992年の英総選挙でメージャー率いる保守党が勝利したとき、幹事長として勝利に貢献したパッテンは、自分の選挙区で労働党の候補に敗れて議席を失いました。

そのニュースが流れた時、保守党本部は大いに盛り上が利ました。多くの保守党議員は、パッテンは左寄り過ぎると思っていたのです。サッチャーにも嫌われ、周囲もそのことを知っていました。

それでもメージャーはパッテンの味方をし、1997年6月30日の香港返還までの香港総督に任命しました。英国政府はこのポストに、中国市場での利益を危険にさらさない無難な人材を望んでいました。選挙に落ちたパッテンは安全な選択肢に見えましたた。よもや総督という特権的地位と年金に満足し、政治には干渉すまいと考えたのです。ところがそうした見方は見事に外れたのです。

パッテンには、羽飾り付きの帽子も、論争は傍観するという総督の伝統的なたしなみも捨てて、論争に参加しました。1992年7月の就任時、パッテンは人権や自由、民主主義などの言葉を口にして中国政府を不快にさせました。

中国だけではありません。英経済界がどれほどパッテンの言動を憂慮していたか、1993年にパッテンが心臓の手術を受けた時に明らかになりました。報道で彼が手術中だと伝わると、ロンドンの株価は高騰。回復に向かっていると発表されると、わずかだが売り注文が増えました。

パッテンには妻と3人の娘がいたが、一家は気さくで、妻が病院や慈善団体を訪問する時もリラックスした雰囲気でしたた。

新聞の風刺漫画にはよく、ウイスキーとソーダというパッテンの愛犬が登場しました。どちらも犬種はノーフォーク・テリアで、中国の政治家のかかとに噛みついたりする場面が描かれました。

パッテンは、上流階級が住む高台ではなく香港の旧市街を散歩しました。どこから見ても彼は人気者でしたた。高齢の婦人から建設現場で働く労働者まで、パッテンを見つければ誰もが握手を求めました。カフェに入れば、中国の政治家が夢にも思わないようなもてなしを受けました。

イギリス統治下の香港には、香港住民の意思を反映させる政治制度がなく、民主主義は存在しませんでした。パッテンはそうした状況を正そうとしたのですが、ビジネス上の重大な関心を優先する地元の大立者や中国政府の頑なな反対にあいました。民主主義を経験したことのない一般大衆も、パッテンが目指した議会の民選化に反対しました。

香港住民は中国政府に立ち向かってくれる香港総督に感謝していましたが、中国政府には強い不信感を抱いていました。立法会を作って選挙を行っても、投票権のある有権者のうち35%しか投票しませんでした。

低い投票率で、パッテンが目指した選挙改革は失敗しました。パッテンが離任するまでに立法会の権限は縮小され、中国政府は民主化を疎かにしても民衆の反感を買うことはなさそうだ、と自信をつけました。

パッテンは1997年に中国政府から繰り返し中傷されましたが(「1000年来の男娼」というのもその1つ)、それ以降、香港のカフェに彼以上に人気がある客は現れていません。

このクリストファー・パッテン英オックスフォード大学名誉総長が、最近英与党・保守党の支持者と草の根保守主義者の言論フォーラム「コンサーバティブホーム」のインタビューに応じています。

クリストファー・パッテン氏

その内容を以下に掲載します。
パッテン氏「1989年6月の天安門事件を知らせる外交公電を見た時、もし仮にそれが、軍が自国民に向けて発砲するということを意味しているのなら、中国共産党指導部の一部による権力の座を保持する絶対的な決意の表れだと考えた」
「香港返還後、全てが変わったのは習近平国家主席が現れてからだ。習氏が選ばれたのは、中国共産党重慶市委員会書記だった薄熙来氏がクーデターを計画(2012年に失脚)していると中国共産党指導部が考えたことが一部にあると私は考えている」
中国共産党の行動原理は中国共産党一党支配という体制をどんな手段を使ってでも守るという防衛本能に基づいているとパッテン氏は考えているようです。胡錦濤時代(2002~12年)にそのタガが大きく緩んだとして、習氏が引き締めのため選ばれたというのです。

パッテン氏が危機感をさらに強めたのは2013年の「第9文書」と呼ばれる内部文書を目にしてからです。この中で7つの危険な西洋的価値が列挙されています。
(1)立憲民主制
(2)自由や民主主義、人権など普遍的価値
(3)市民社会
(4)市場原理を重視する新自由主義
(5)報道の自由
(6)中国共産党による中国建国の歴史に対するニヒリズム
(7)中国独特の社会主義に対する疑問
中国共産党は、体制を維持するために、自分たちを脅かす全ての思想や信条を敵視しています。だから西側陣営の私たちが中国を敵視せず、中国との冷戦を望んでいなかったとしても「中国が私たちを敵とみなしていることが問題を引き起こす」とパッテン氏は断言します。

習体制が自由と民主主義、人権、法の支配、自由経済を、中国共産党支配を脅かす危険な敵だと見ていたら、チベット自治区や新疆ウイグル自治区、天安門事件で起きた悲劇が香港や台湾、南シナ海、そして東シナ海でも繰り返される恐れがあるということです。

「香港は中国共産党が嫌う全てのものを体現している」とパッテン氏は指摘しています。

パッテン氏「中国によるいじめの黄金時代になったのは間違いない。他国と協力しなければならないにしても中国にもっと厳しく対応しなければならない。中国は黄金時代の見返りにイングランド北部や同中部シェフィールドへの巨額投資を約束したが、そんなものは起きなかった」
「駐英中国大使があらゆる機会に略奪やいじめのために英中黄金時代というスローガンを使っただけだ。ドイツが、自国のロボット産業に対する中国の略奪的投資について神経質になっている理由をイギリスも考えた方がいい」
ベルリンにある研究機関、メルカトル中国研究センター(Merics)によると、2000年から昨年にかけ中国が欧州各国に対して行った直接投資(FDI)は次の通りです。
イギリス503億ユーロ(約6兆1200億円)
ドイツ227億ユーロ(約2兆7600億円)
イタリア159億ユーロ(約1兆9300億円)
フランス144億ユーロ(約1兆7500億円)
フィンランド120億ユーロ(約1兆4600億円)
オランダ102億ユーロ(約1兆2400億円)
イギリスとドイツへの投資が大きいのは経済規模が大きい上、投資価値のある企業や技術が多く、市場が開かれていることに関係しています。中国に対して欧州の市場は開かれているのに、中国の市場が同じように開かれているわけではありません。

研究開発力のあるイギリスの大学から軍事転用可能な最先端技術が中国人留学生を通じてリアルタイムで中国に流出しています。

さらに新型コロナウイルス・パンデミックでは感染防護のためのN95マスク一つとっても中国抜きではつくれなくなったことが浮き彫りになりました。中国は世界のサプライチェーンにガッチリと組み込まれています。

英シンクタンク、ヘンリー・ジャクソン・ソサエティー(HJS)がアングロサクソン5カ国の電子スパイ同盟「ファイブアイズ」のサプライチェーンにおける中国依存度を調べています。例えばラップトップ型PCのサプライチェーンではこんな感じです。

オーストラリア94.3%
ニュージーランド93.1%
アメリカ92.7%
カナダ87.5%
イギリス67.6%
携帯電話のサプライチェーンは以下のような状況です。
カナダ77.6%
オーストラリア74.9%
アメリカ72.5%
ニュージーランド67.3%
イギリス61.2%
30年前の天安門事件の時は西側が中国に対して経済制裁を加えることで中国に西側の自由と人権、法の支配、自由経済に従わせることができました。当時、中国経済の世界に占める割合は2%未満でしたが、現在は約20%まで急拡大しています。

中国はもう西側に気兼ねしないで行動できると考え出しているようです。

パッテン氏「これは英保守党の問題だけではない。あらゆる分野で中国との関係を検討すべきだ。貿易、教育、投資、安全保障、中国がどこでルールをねじ曲げているのかを見ること、サプライチェーン、戦略的産業の独立性を明らかにして、行動する必要がある」
安倍晋三首相は10日の衆院予算委員会で、中国の香港国家安全法導入問題を受け「一国二制度を前提に、声明を発出する考え方の下に先進7カ国(G7)の中で日本がリードしていきたい」と意気込みを述べました。

安倍総理 10日の衆院予算委員会にて
これは、アングロサクソン系の米英加豪と連携した動きだと見られます。
西側諸国を代表するG7はアングロサクソン3カ国と欧州の独仏伊に意見が割れがちで、どちらにも属さない日本が仲を取り持つのは、欧州でドナルド・トランプ米大統領への反発が強まる中、外交上、非常に意義があることです。

西側のプラットフォームであるG7や北大西洋条約機構(NATO)、ファイブアイズをフル活用して中国に対し、香港の「一国二制度」と「高度な自治」を維持するよう働きかけ、新型コロナウイルスのゲノム情報を全て開示し起源の確定に協力するよう迫っていかなければなりません。

中国共産党はあらゆる手段を講じて西側諸国を分断し、揺さぶりをかけて、最後には支配しようとしています。日本でも鼻薬を嗅がされ、知らず知らずのうちに中国共産党の「有益な愚か者」として利用されている政治家、企業家、大学関係者は少なくありません。

自分の利益だけを優先して自由と民主主義、法の支配、人権をないがしろにして良いわけがありません。日本でも超党派の議員で中国が関わる全ての問題を詳らかにして公に議論し、国民に知らせるプラットフォームをつくることが重要です。

日本も、穏健でリベラルな保守主義者パッテン氏の警鐘に耳を閉ざしてはならないです。


そうして、安倍総理自身は、これから新世界秩序の構築に日本としてもこれに乗り遅れることなく、機先を制することには、前向きなようです。

G7のアングロサクソン3カ国と欧州の独仏伊、この二つをまとめ、さらには台湾とも関係を深めコロナ後の新世界秩序の中でリーダー的地位を獲得していただきたいものです。

それと、これは以前もこのブログで述べたことですが、香港はすでに中国の地方都市になったも同然ですから、国際金融センターは、香港から台湾に移すべきです。G7が協調すれば、世界に新たな秩序を構築するとともに、それも十分可能になり、台湾の国際金融センターは世界の繁栄に大きく寄与することになるでしょう。

従来は華僑の人々の力が、中共に都合良く利用されたのですが、台湾に国際金融センターを移すことにより、今度は新社会秩序の構築と、その上で自由な経済活動を活発化させるための大きな力となることでしょう。そうなると、台湾は大きく変貌することになるでしょう。国土は、小さくても経済的には中共を脅かす存在となるでしょう。

金だけで、中共との関係を強化してきた、華僑の人々も、今後の安定した取引を考えれば、台湾の国際金融センターへと乗り換えるでしょう。

ただし、香港の奪還に関しては、諦めることなく、中共がそれを認めざるを得なくなるまで迫るべきです。
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2019年8月24日土曜日

G7、日米首脳が“断韓”会談実施!? 識者「朝鮮半島“赤化”対応協議か」―【私の論評】日本は朝鮮半島最悪のシナリオを想定し、防衛論議を高めよ(゚д゚)!


G7サミット出席のため、フランス・ボルドーに到着した安倍首相と昭恵夫人=23日

 安倍晋三首相は、フランス南西部ビアリッツで24~26日に開かれるG7(先進7カ国)首脳会議に合わせて、ドナルド・トランプ米大統領との日米首脳会談に臨む。韓国の文在寅(ムン・ジェイン)政権が、日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄を決定したことを受け、自由主義陣営から離脱しかねない韓国への対応策を協議することになりそうだ。

 「日本は、北東アジアの安全保障環境に照らし、『日米韓の協力に影響を与えてはならない』との観点で、地域の平和と安定を確保したい」「韓国には国と国の約束を守ってもらいたい」

 安倍首相はG7に出発直前の23日、韓国の協定破棄について記者団にこう語った。その表情は、あきれかえっていた。

 米国防総省も、警告を無視した文政権への不快感をあらわにし、「GSOMIAの破棄は、文政権の大いなる思い違いなのだと知らしめることになると繰り返し言ってきた」と異例の声明を発表した。

 日米両国は、北朝鮮の「核・ミサイル」といった地域の脅威に対し、日米韓3カ国の協力体制で対応してきた。だが、文政権の裏切りで、北朝鮮や中国、ロシアが漁夫の利を得て、北東アジア情勢が不安定になるのは避けられそうにない。

 文大統領の狙いは何か。注目の日米首脳会談はどうなりそうか。

 国際政治学者の藤井厳喜氏は「文大統領は、日本の輸出管理強化への不満を『米国に泣きつけば日本が妥協し、撤回する』と思ったが、動かなかったため、米国に不信感を持った。GSOMIA破棄をきっかけに意図的に距離を置き、韓国世論を反米に誘導し、『米韓同盟を米国側から破棄させよう』と狡猾(こうかつ)に動いているのではないか」と指摘する。

 やはり、文氏は、北朝鮮との「赤化統一」を狙っているのか。韓国国民は地獄を見るのではないか。藤井氏は続けた。

 「日米首脳会談ではまず、同盟体制の強化を確認する。さらに、朝鮮半島全体がいずれ『反日・反米』一色で赤化し、安全保障の最前線が38度線から対馬海峡まで下がった場合の対応も協議するはずだ。メモリチップの生産工場を、韓国や中国からベトナムに移すなど、ハイテク産業のサプライチェーンを再構築する策も練り上げるだろう」

 日米両首脳が、「断韓」を確認する会談になるかもしれない。

【私の論評】日本は朝鮮半島最悪のシナリオを想定し、防衛論議を高めよ(゚д゚)!

現代の戦争が、色々な面で「情報戦」であることは間違いないです。ファーウェイをはじめとするIT・通信分野でのサイバー戦争もそうですが、敵の軍隊の動向を各国で共有することも極めて重要な戦略です。

むしろ、ハイテク装置、情報収集能力において日米に格段に劣っている韓国にとってこそGSOMIAは防衛に不可欠な条約です。だから、それを自ら廃止するなど自殺行為です。

韓国政府のGSOMIA破棄決定を伝える韓国のニュース番組

ここまでくると、米国や野次馬たちもドン引きします。

韓国は米国に見放されるだけでは無く、「悪の帝国とその仲間たち」以外から相手にもされなくなるでしょう。

その「悪の帝国」の中には、北朝鮮は入っていない可能性もかなり高いです。このブログでもたびたび掲載しているように、そもそも、金正恩は南北統一など望んでいません。

なぜなら、南北統一をすれば、チュチェ思想などとは無縁で、金王朝等尊敬もしない韓国人が大量に現在の北朝鮮にも入り込んでくることになります。そのようなことは、金正恩は望んでません。

北朝鮮のチュチェ思想塔

金正恩は、何とか制裁を廃止もしくは緩めてもらいたいと切実に思っていたからこそ、最初は文在寅に良い顔して、いかにも南北統一したいように装い、文在寅をもちあげていただけです。要するに、金は文を制裁破りに利用しようとしただけです。

しかし、それに文は我を忘れて有頂天になってしまったのです。

朝鮮半島の分断は、ドイツ、ベトナムと同様に、東西冷戦の産物です。

ドイツは、ベルリンの壁崩壊という東西冷戦の終結を、ヘルムート・コール首相が最大限に使って実現させた。ドイツ統一のケースは、ソ連邦の敗北がもたらしたものです。

ベトナム統一は、逆に北ベトナムが南ベトナムと米国に勝利したことにより実現したものです。米国がベトナム戦争に疲れ切り、国内の厭戦気分もあって、ベトナムから手を引いたからです。

朝鮮半島は、このいずれのケースとも異なっています。韓国の同盟国、米国は強力であり、また北朝鮮を支援する中国やロシアも厳しい制裁により弱体化しつつはあるものの、かつてのソ連のように疲弊しきっているわけではありません。

中国は、GDPで世界第二の大国となり、いまや世界の覇権をアメリカと競っています。ロシアは、ソ連邦の崩壊から立ち直り、プーチンの指導の下、クリミア併合に見られるように過去の大国を復興させる道を歩もうとしています。

しかも、この三つの国のいずれも、現状では朝鮮半島の統一を望んではいません。米国は韓国による統一、中露は北朝鮮による統一を望んでおり、その両者の妥協が困難である以上、現状維持というのがベストなのである。それに先に述べたように、北朝鮮も南北統一など望んでいません。

さらに、金正恩は中国の干渉を嫌っています。自分の叔父や、血のつながった兄を暗殺した背景には彼らが中国と近い関係にあったことがあります。

結果として、北朝鮮とその核が、中国の朝鮮半島への浸透を防いでいます。北朝鮮のミサイルは、日米だけではなく、中国やロシアにとっても脅威なのです。

韓国は、米国に守られながら、中国にも接近し中国に従属しようとの姿勢を顕にしています。文在寅からすれば、これからの世界は、米国と中国の2大国支配する世界(G2)となるので、韓国としていちはやくこれに対応し、中国と接近し、両国の間でうまくバランスをとって、韓国の発展する道を拓こうとしたつもりなのでしょうが、これは裏目に出たようです。

これは、結局中国からも裏切りものとみられ、米国からもそのようにみられるという最悪の結果を招いたようです。

結局、朝鮮半島およびその近隣の国々は、韓国を除いていずれの国も南北統一を望んではいないのです。

最近「断韓」という言葉がよく使われますが、ストーカーのような韓国に対しての唯一とも言える対抗策は「接触を持たない」ことです。どのような話し合いをしても、ストーカーの都合の良いように解釈されるだけなので意味がありません。だから「断韓」政策は世界中に支持されるでしょう。

漫画家の黒鉄ヒロシ氏(73)がテレビ朝日系の情報番組で
         「断韓」の2文字を掲げたことが話題を呼んだ

北朝鮮は勝手に米国との交渉期限を定めましたが、それは金正恩政権がせいぜい年末くらいまでしか持たないことを自覚しているからです。

最近北朝鮮のミサイル発射が続いていますが、日韓関係が悪化している中で、さらに日韓関係にくさびを打ち込もうという目的は確かにあるでしょう。しかしそれ以上に、トランプ政権に対しての「早く餌をくれないと飢え死にしちまうぜ」というメッセージなのです。

だから、トランプ氏の反応も「わかった、わかった、もう少し待ったらちゃんと餌をやるから」というものなのです。そうして、先程述べたように、北朝鮮が結果として朝鮮半島への中国の浸透を防いでいるという面もあるので、トランプ大統領は北の短距離ミサイルの発射をあまり批判的ではないのです。

北朝鮮は年末までもたないようですが、年末といえば、あと5カ月も無いです。さらにそ北朝鮮以上に緊迫しているのが韓国です。

日米・中露・北朝鮮が南北統一を望んでいないにもかかわらず、文在寅だけが、南北統一をしようとしているのですから、それこそ、文在寅の一人芝居であり、他国からみれば、ストーカーのようなものです。

現時点で、考えられる韓国にとって最悪の事態は、北朝鮮が結果として、中国の朝鮮半島への浸透を防いでいることも考え合わせると、米国が韓国を安全保証上の単なる空き地とみなすか否かです。

安全保証上の空き地とは、在韓米軍が撤退したとしても、北朝鮮が中国の朝鮮半島への浸透を防いでいるし、さらには、金が南北統一を望んでいないことから、韓国が中国に急接近しようにもできない状態になり、結果として安全保証上においては、日米にとって有害にも無害にもならないという意味です。

ただし、これには一つ条件があります。それは、在韓米軍が撤退する前に、主に米日が、韓国を経済焦土化をするというものです。

現在のままの韓国経済を残して、在韓米軍が引き上げれば、韓国の経済力に北や中国が食指を伸ばさないはずがありません。これでは、敵に塩を送るようなものです。

その前に日米は、韓国から資産をひきあげたり、様々な手口で金融的に韓国経済を破壊することになるでしょう。

そうなると、韓国経済は疲弊し、経済的には無意味な存在になります。そんな韓国には、北朝鮮も中国も興味を失うことになります。

日米はG7においては、以上のようなことに関連した会談を実施することになるでしょう。まさに、ブログ冒頭に掲載されているような"断韓"会談が実施されるのです。

経済焦土化されて、韓国経済が疲弊すれば、経済難民が北朝鮮や日本に大量に押し寄せるようになります。

これに対して、金正恩は、韓国難民を入国させないように、38度線の守備を強化させるでしょう。

行き場を失った韓国難民は、日本、中国、ロシアに大量に押し寄せることになるかもしれません。中には武装難民も紛れているかもしれません。経済的に崩壊した韓国ですが、残存兵力を用いて破れかぶれてで何かをしでかすかもしれません。

以上は最悪のシナリオなので、韓国が何らかの形で踏みとどまってくれれば良いのですが、文在寅の行動や発言を見ている限りでは、その兆候はありません。今回のG7における日米首脳会談では、無論こうした最悪シナリオも想定しつつ様々な話し合いが行われることでしょう。

朝鮮半島情勢をみると、日本の防衛力強化は火を見るより明らかなのですが、日本で防衛論議が高まらないことに私は日々危機感をつのらせています。韓国がどうのこうのと言う前に、日本は日本の安全保障について早急に議論をすべきです。

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2018年7月5日木曜日

中国の横暴に甘い対応しかとらなかった日米欧 G7は保護主義中国に対して結束せよ―【私の論評】最大の顧客を怒らせてしまった中国は、その報いを受けることに!虚勢を張れるのもいまのうちだけ?

中国の横暴に甘い対応しかとらなかった日米欧 G7は保護主義中国に対して結束せよ

(注:この記事は6月15日のものです)

 今月8日から2日間、カナダで先進7カ国(G7)首脳会議(サミット)が開かれる。鉄鋼・アルミなどの輸入制限を発動した米国に対して欧州が強く反発し、トランプ米大統領が孤立する情勢だが、仲間割れする場合ではない。

 正論は麻生太郎財務相の発言だ。麻生氏は先に開かれたG7財務相会議後の会見で、中国を名指しに「ルールを無視していろいろやっている」と批判、G7は協調して中国に対し国際ルールを守るよう促す必要があると指摘した上で、世界貿易機関(WTO)に違反するような米輸入制限はG7の団結を損ない、ルールを軽視する中国に有利に働くと説明した。

G7財務相・中央銀行総裁会議の閉幕後、記者会見する
麻生財務相(左)と日銀黒田総裁=2日

 WTOについて自由貿易ルールの総本山と期待するのはかなり無理がある。麻生氏に限らず、経済産業省も外務省もWTO重視で、世耕弘成経済産業相も、米鉄鋼輸入制限をめぐるWTOへの提訴について「あらゆる可能性に備えて事務的作業を進めている」と述べているが、WTOに訴えると自由貿易体制が守られるとは甘すぎる。

 グラフは、WTOの貿易紛争処理パネルに提訴された国・地域別件数である。圧倒的に多いのは米国で、中国は米国の3分の1以下に過ぎない。提訴がルール違反容疑の目安とすれば、米国が「保護貿易国」であり、中国は「自由貿易国」だという、とんでもないレッテルが貼られかねない。事実、習近平国家主席はスイスの国際経済フォーラム(ダボス会議)や20カ国・地域(G20)首脳会議などの国際会議で臆面もなく自由貿易の旗手のごとく振る舞っている。


 実際には中国は「自由貿易ルール違反のデパート」である。知的財産権侵害は商品や商標の海賊版、不法コピーからハイテクの盗用まで数えればきりがない。おまけに、中国に進出する外国企業には技術移転を強要し、ハイテク製品の機密をこじ開ける。共産党が支配する政府組織、金融機関総ぐるみでWTOで禁じている補助金を国有企業などに配分し、半導体、情報技術(IT)などを開発する。

 習政権が2049年までに「世界の製造大国」としての地位を築くことを目標に掲げている「中国製造2025(メイド・イン・チャイナ2025)」は半導体などへの巨額の補助金プログラムだらけだ。

 一連の中国の横暴に対し、日米欧はとにかく甘い対応しかとらなかった。理由は、中国市場でのシェア欲しさによる。「中国製造2025」にしても、中国による半導体の国産化プロジェクトは巨大な半導体製造設備需要が生じると期待し、商機をつかもうと対中協力する西側企業が多い。

 ハイテク覇権をめざす習政権の野望を強く警戒するトランプ政権の強硬策は中国の脅威にさらされる日本にとっても大いに意味がある。G7サミットでは、日米が足並みをそろえて、欧州を説得し対中国で結束を図るべきだ。米国と対立して、保護主義中国に漁夫の利を提供するのはばかげている。(産経新聞特別記者・田村秀男)

【私の論評】最大の顧客を怒らせてしまった中国は、その報いを受けることに!虚勢を張れるのもいまのうちだけ?

7月6日に米国が通商法301条を発動し中国からの輸入340億ドル分に対し25%の関税をかけることがほぼ不可避となっています。中国もこれに対し直ぐ報復措置をとると言っています。

これまで米中はこと貿易に関する限り友好的な関係を長年、築き上げてきました。ところが、ブログ冒頭の記事にもあるように、中国はさまざまなルールを無視して、貿易によって漁夫の利を独り占めにしてきました。

ウォール街の関係者は7月6日が過ぎれば売られ過ぎになっている中国株は反発するだろうと考えているようです。

トランプ大統領は、ルールを破り続ける中国を許すことはできないです。さらに、米国のドラゴンスレイヤー(対中強硬派)たちは、米国を頂点とする先進国の価値観と、中国の価値観が真っ向から対決しており、それだけでなく中国が世界に自らの価値観を押し付け、挙句の果てに米国に挑戦しようとしていることに反発しています。

ただし、ドラゴンスレイヤーたちは、中国と直接戦争することは事実上不可能とみて、他の手段で中国の現体制を崩すべきと考えています。貿易戦争はそのための手段でもあります。

7月6日に中国からの輸入340億ドル分に対する2%の関税をかけたとして、これに対して中国が報復措置をとれば、米国はすぐさま報復措置として、中国からの輸入品すべてに関して25%の関税をかけるとしています。

これでも、中国が態度を変えない場合には、今度は金融制裁を強化していくことになるでしょう。さらに、米国はWTOから脱退するかもしれません。

いずれにせよ、7月6日以降も貿易戦争が鎮静化せず、関税競争がエスカレートした場合必ず中国が敗北します。その理由は、そもそも関税をかけられる対象が、中国の場合限られているからです。

下は両国の貿易を示したチャートです。中国は米国より3.9倍も多く相手国に対して輸出している関係であり、自ずと関税の対象に出来る品目には限りが出てしまいます。

さらに、米国は中国から輸入しなくても、他から輸入できるものがほとんどです。中国からでないと輸入できないような品目はありません。ところが、中国においては、米国から輸入できなると中国では製造できない集積回路や、あるいは他の国から輸入するとかなり割高になってしまう物品などが多いです。




両国の貿易収支を見るとアメリカは大きな赤字になっています。


これは何を意味するか? といえば「米国は中国にとって最上のお客さん」だということを意味します。

無論この貿易赤字を家計の赤字と同列にみなして、悪とみなすのは間違いです。通常景気が良いと輸入が増える傾向にあります。輸入が増えても、景気が良いという状況にあれば、特に問題はありません。

米国は昨年の場合は、景気は良いほうでしたので、特に中国からの輸入が増えても本来はさほど問題ではありません。

ただし、それは、中国が様々な自由貿易貿易ルールを守っていればの話です。しかし、ブログ冒頭の記事にもあるように、中国はそうではありません。

さらに、中国は米国とはじめとする先進国からすれば、民主化、政治と経済の分離、法治国家化が進んでおらず、もともと自由貿易になじまないところがあります。たとえ中国が貿易ルールなど完璧に守った上で、貿易をしたとしても、それでも完璧な自由貿易にはならない可能性もあります。

1970年代から80年代にかけて、米国から貿易戦争を仕掛けられる立場にあったのは日本でした。日本政府は日米貿易戦争を良く戦ったと思います。でもそれは1年や2年で決着の付くゲームではなく、「これでもか、これでもか」というような延々と続くバトルでした。

実際、今回発動される通商法301条などの政策上のツールの大半は、忌まわしい日米貿易戦争時代に成立した法案です。

しかし、当時の日本は、米国と良い関係を保つために大変心を砕いていました。「ロンヤス」などという言葉が生まれた時でもあります。さらに、当時から日本はアメリカの同盟国であり、安全保障条約もあり、ソ連という仮想的に協同して対峙していました。

レーガン米大統領・中曽根康弘首相会談=1983年11月11日

ひるがえって今日の米中関係を見ると、政界レベルでも、冷え冷えとした関係になっています。南シナ海を実行支配し、米国の価値観に真っ向から挑戦する中国をドラゴンスレイヤーたちは許すことはありません。

上でみたようにそもそも米国は中国の最上の「お客さん」です。商売をやっている人なら理解できると思いますが、客を怒らせて得なことなど、なにもありません。

そうして、日本やEU諸国も米国ではないものの、中国から輸入をしています。その意味では、「お客さん」であることには変わりありません。自由貿易においては、互いが互いのお客でもあるのです。そのことを中国は忘れています。自分だけルールを守らないというのなら、爪弾きにされても仕方ありません。

だからこそ本来中国はトランプに対抗して貿易戦争エスカレートさせてはいけないのです。お客さんが、商売のルールを守れというのなら、守るのが筋なのです。

最大の顧客を怒らせてしまった中国は、その報いを受けることになります。いままで中国まがりなりにもが豊かだったのは米国との関係によるものでしたが、トランプ政権で180度転換しました。対米貿易に依存してきた経済、米国のドルに依存してきた人民元は、米中貿易戦争で『突然死』となりかねないです。虚勢を張れるのも今のうちだけかもしれません。

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2016年5月27日金曜日

【伊勢志摩サミット】中国「強烈な不満」表明 南シナ海問題言及のG7首脳宣言を批判―【私の論評】南シナ海からの中国の排除の準備が着々と進められている(゚д゚)!

【伊勢志摩サミット】中国「強烈な不満」表明 南シナ海問題言及のG7首脳宣言を批判

北京の中国外務省で記者会見する華春瑩副報道局長=27日

 中国外務省の華春瑩副報道局長は27日の記者会見で、主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)の首脳宣言が南シナ海問題に言及したことについて「日本とG7(先進7カ国)のやり方に強烈な不満を表明する」と批判した。

 議長国を務めた日本に対し「サミットを主催し、南シナ海問題をあおり立て、緊張を高めた」と反発。南シナ海問題の議題化は「先進国が経済について話し合う場というサミットの性格にそぐわない」と指摘した。

 G7に対しては「客観的で公正な立場に基づき、無責任な言論をやめ、地域の平和と安定に資するよう望む」と要求。南シナ海での軍事施設建設などは「完全に主権の範囲内だ」と重ねて主張した上で「個別の国が『航行の自由』を掲げて中国の顔に泥を塗るのには断固として反対する」と述べ、米国を暗に批判した。

【私の論評】南シナ海からの中国の排除の準備が着々と進められている(゚д゚)!
伊勢志摩サミットの記念撮影に臨む(左から)トゥスクEU首脳会議常任議長、イタリアのレンツィ首相、ドイツのメルケル首相、米国のオバマ大統領、安倍晋三首相、フランスのオランド大統領、英国のキャメロン首相、カナダのトルドー首相、ユンケル欧州委員長。後方は英虞(あご)湾=26日午後4時、三重県志摩市の志摩観光ホテル

G7伊勢志摩首脳宣言(骨子)に関して、その概要は以下のリンクをご覧ください。
G7伊勢志摩首脳宣言(骨子)
宣言の概要は、この骨子をご覧いただくものとして、中国が問題とする部分のみ以下にピックアップしておきます。4項目目の、(6)に以下のような記載があります。

4 政治外交

(6)海洋安全保障 
●国際法に基づいて主張を行うこと,力や威圧を用いないこと,紛争解決には,仲裁手続 を含む司法手続によるものを含む平和的手段を追求すべきことの重要性を再確認。東 シナ海・南シナ海の状況を懸念し,「海洋安全保障に関するG7外相声明」を支持。
これは、中国を名指しこそしていませんが、中国の南シナ海での環礁の埋め立てを、G7首脳は全員これを認めないことを示しています。

これは、骨子ですが、宣言には「法の支配の3原則」が明記されています。これに関しては、前もってこれを盛り込むことは、サミットの前に決定していました。これは、安倍総理による中国に対する最終警告と言っても良いものです。これに、に関して、以下に説明します。これは、安倍晋三首相が海洋安全保障をめぐって2014年に提唱したものです。

この3原則は、(1)国家は法に基づき主張する(2)力や威圧を用いない(3)紛争解決へ平和的解決を徹底する-が柱となっています。

これにより、伊勢志摩サミット首脳宣言は、中国による、南シナ海での軍事拠点化への懸念と反対を盛り込んだ宣言の素案に3原則の内容を新たに加えることで、沖縄県・尖閣諸島を含む東シナ海での挑発行為なども念頭に置き、名指しは避けながらも中国に対して「強い反対」を打ち出しました。

中国は14年5月、安倍首相がシンガポールで開かれたアジア安全保障会議で3原則を表明した際に反発した経緯がありました。G7によるこの3原則を含む首脳宣言は、中国にとって“屈辱的宣言”となりました。だからこそ、ブログ冒頭の記事のように中国は、本日「強烈な不満」を表明したのです。

中国が軍事基地化を進める南シナ海のスプラトリー(南沙)諸島にあるスビ礁
日、米、カナダ等とは異なり、欧州各国は、中国の覇権主義的手法を問題視しながらも、地理的に軍事的な脅威にやや鈍感で、中国を刺激して経済的利益を損ねないよう及び腰になる部分もありました。

これを、安倍首相が議長国の立場を活用して議論をリードし、南シナ海の「航行の自由」を守るオバマ氏とともに、欧州各国の対中観との隔たりを縮めていきました。

結果、各国首脳からは「力による現状変更や規範の無視は許されない」「基本的な規範や国際法の順守が重要だ」「海洋の安全保障や力による現状変更への反対には、明白で厳しい姿勢で臨むべきだ」などと賛同する意見が相次ぎました。

そうして、最終的にこの3原則が、首脳宣言に盛り込まれことになったのです。

これをけん制するため、中国海軍のミサイル駆逐艦「合肥」「蘭州」、ミサイル護衛艦「三亜」、総合補給艦「洪湖」からなる南海艦隊遠洋訓練艦隊は21日午後、西太平洋某海域で実弾射撃訓練を実施したことを、人民網日本語版が23日、中国軍網の報道として伝えていました。

中国南海艦隊
まさに「盗人猛々しい」とは、このような中国の振る舞いです。南シナ海の岩礁を勝手に埋め立てて軍事基地化したり、東シナ海の日中中間線付近に軍事拠点化が懸念される海洋プラットホームを次々に増設して、地域情勢を緊張させているのは、中国です。

さて、上で示した首脳宣言のなかの「海洋安全保障」の項目には、 「国際法にもとづき主張を行うこと」との記載があります。この意味するところを以下に掲載します。

国際法には「法」という字がついていますが、日常生活で「法律」という言葉からイメージするものとは大きな違いがあります。

民事や刑事の訴訟などで使われる法律は国内法です。国内法は主権を持った統一政府によって強制される法なので、「強制法」といいます。国内では、警察などの法執行機関が法律を破った人を取り締まるわけです。

一方、国際社会には警察のような強制力を持った組織はありません。国際法はあくまで主権国家同士の合意によって成り立っているものなので、「合意法」といいます。当事国のどれか一国が仲裁裁判所の裁定を破った場合は、その他の国は守る義務はありません。

この国際法の原則からいえば、現状のままだと、米国が軍事力を行使したとすると、中国は米国を強く非難することになります。それこそ、虚妄の南京虐殺や慰安婦問題などで鍛え上げた、ありもしない虚妄にもとづき歴史を修正して、米国に徹底的に噛みつきます。国連の場や、ありとあらゆる機会を利用して、様々な活動を展開して、米国を悩ますことでしょう。

オランダ・ハーグの常設国際裁判所
それに対して米国は反論することもままならない状況に追い込まれることすら予想されますが、南シナ海の領有権問題でオランダ・ハーグの常設仲裁裁判所の判断が今年の夏あたりに、出される予定です。この裁定は、当然のことながら、国際法に照らして、中国にとってはかなり不利な裁定となるのは必定です。

さらに、今回G7の首脳宣言は、上記で示したような海上の安全保障に関する宣言も含んでいます。これは、少なくとG7の首脳は、仮に中国が南シナ海の領有をやめない場合は、中国が一方的に国際法を破棄したものとみなすことになります。

裁定がおりた後なら、米国が南シナ海や、東シナ海で軍事力を行使したとしても、中国による力による現状変更を、力によって元に戻したということになるだけです。これは、上で示したように、中国が一方的に国際法を破ったことになり、南シナ海や東シナ海から中国を力ずくで排除したとしても、国際法を破ったことにはなりません。

中国が、現状を変更しないかぎり、米国は、何の後腐れもなく、軍事行動に打って出ることができるのです。

米国が本格的に軍事行動にでれば、南シナ海における中国にはなすすべがありません。中国の軍事力、特に海軍力は、米国よりはるかに劣っています。軍事力ランキングなどで比較すると、海軍力は日本よりも劣っています。

これでは、もう時間の問題です。中国としては、負け犬の遠吠えをする以外に何もできないわけです。

今回のサミットは、中国にさらに楔が強く打ち込まれた形となりました。着々と、南シナ海からの中国の排除が進められています。

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2015年5月13日水曜日

若年層の自殺がG7でトップ。日本の若者はなぜ死を選ぶ?―【私の論評】自殺率の高さの原因は、若者の精神的な弱さではない!過去のデフレによる悪影響が未だ残っているせいだ(゚д゚)!


2015.05.12 ニュース

「いのちの電話」など、自殺対策には力を入れている団体も多い
「いのちの電話」など、自殺対策には力を入れている団体も多い 日本の年間自殺者は全体的に減少傾向にある。’98年以降、14年連続で3万人を超えていたその数は、’12年から3年連続で3万人を割り、警察庁によると’14年は2万5218人だ。

しかし、若年層の自殺は深刻な状況にあると言ってよい。15~39歳の死亡原因の第1位は自殺だ(男女別では男性15~44歳、女性15~34歳で1位)。

G7で15~34歳の死因の1位が自殺というのは日本だけ(※グラフ参照)。死亡率はアメリカやフランス、カナダの約2倍、ドイツやイギリスの約3倍、イタリアの約4倍となっている。


この傾向について国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所自殺予防総合対策センターの山内貴史研究員(認知行動科学・疫学)はこう語る。

「日本以外の各国では、若年層の死因はがんなどの病気、交通事故などのほうが自殺よりも多くなっています。ところが、日本では中高年の自殺死亡率は下がったものの、若年層の精神的な弱さが目立っています。他国のように、ストレスの対処法を教育で教わっていないからではないでしょうか。中高年の自殺率は今後も下がっていくと思われますが、若年層は増加傾向にあります。また、この数値(自殺率)には自殺未遂者が含まれていません。自損事故として救急搬送されるケースは女性に多いのですが、若年層は未遂も含めると相当の数になると思われます」(山内研究員)

思いつめる前に、自治体、ボランティアなどの相談できる組織のドアを叩いてほしい。 <取材・文/週刊SPA!編集部>

【私の論評】自殺率の高さの原因は、若者の精神的な弱さではない!過去のデフレによる悪影響が未だ残っているせいだ(゚д゚)!

上の記事、どうしようもないです。日本の若者の自殺者数が多いことの理由を「若者層の精神的な弱さが目立っています」として、その真の原因を全く追求していません。山内研究員は、精神的な弱さを示す統計数値も示すことなく、このような結論を出しています。

日本の若者の自殺が多いのは、本当に「精神的な弱さ」だけが原因なのでしょうか。私は、そうは思いません。これについては、以前もこのブログに掲載したことがあります。その記事のURLを以下に掲載します。

若年者死因トップは自殺 先進7か国で日本のみ―【私の論評】若者の死因の第一位が自殺になったのは、デフレ退治をしなかったことによる大きな罪ということを理解しない人が多いためますます、悲劇が続く?

この記事は昨年のも6月5日のものであり、ちょうど今から1年ほど前のものです。

タイトルからわかるように、この記事では若者の死因のトップが自殺というのは、先進7カ国の中では、日本のみというショッキングな内容でした。

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に一部分をコピペさせていただきます。
26年版自殺対策白書が3日の閣議で報告された。25年の自殺者は2万7283人。前年の2万6433人より850人増えた。40歳代から60歳代男性が自殺者全体の4割近くを占めたことも家庭の中心的役割を担う年代だけに影響の深刻さがうかがえるものになった。 
また15歳から39歳の各年代の死因のトップをみると、いずれも「自殺」で、白書は「こうした状況は国際的にみても深刻で、15~34歳の若い世代で死因の第1位が自殺となっているのは先進7カ国では日本のみ」とした。また日本では15歳から39歳までの死因トップが自殺になっていた。

さて、 上の山内研究員は、統計資料もなしに若者の自殺者が多いのは、精神的な弱さと決めつけているようですので、私はそのようなことをせず統計資料を以下に提供させていただきます。

まずは、自殺者全体について以下に振り返っておきます。

自殺者数と景気は相関が高いことが知られているが、この二年間の経済状況の改善と、さらに自殺対策にここ数年経費を増加させていく方針を採用していることも大きいです。類似の事例はホームレス対策にもいえ、ホームレス数は景気要因に関わらず対策費の増加に合わせて減少しています。

自殺者数の減少については、マクロ(景気)とミクロ(自殺対策関連予算の増加スタンス)の両方が功を奏していると考えられます。

自殺対策関連予算の推移はまとまったデータがないので拾い集めてみると

平成19年 247億円 平成20年 144億円 平成21年 136億 平成22年 140億 平成23年 150億 平成24年 326億 平成25年 340億 平成26年 361億 となってます。


若年層で死因トップが自殺となっているのは先進7カ国で日本のみで、その死亡率も他国に比べて高いものになっています。その自殺死亡率をグラフにしたものが以下です。





上のグラフは若年失業率と20~29歳の自殺死亡率の推移です。
経済状況の相対的な改善とともに、中年男性の自殺死亡率が低下しつつある一方で、近年、20代以下の若年層の自殺死亡率の上昇が見られる点が注目されます。若年層においては中年層に比較して、『勤務問題』の占める割合が高いことが特徴であり、若年層の自殺死亡率が上昇していることと関係している可能性が考えられます。
若年失業率と20~29歳の自殺死亡率の推移を比較すると、両者は近い動きを示すことがわかります。こうしたことから、若年層における自殺死亡率の上昇は、経済状況の相対的な改善にもかかわらず、派遣社員、契約社員、パート、アルバイト等の非正規雇用の割合の増加など、若年層の雇用情勢が悪化していることも影響している可能性があるものと考えられます。なお、特に20歳代以下の若者の『就職失敗』による自殺者数が平成21年を境に急増していることにも注意が必要です。
「勤務問題による自殺」に関するグラフを以下に掲載します。

少し古いデータではありますが、勤務問題で自殺する若者が近年増えていたのは間違いないです。

「就活自殺」に関すグラフを以下に掲載します。


就職活動がうまくいかない大学生が精神的に追い詰められて死を選ぶ「就活自殺」が、平成25年までの7年間で218人に上ることが、警察庁のまとめで分かっています。それを示したグラフが上のものです。各大学は最悪の事態を防ごうと対策に乗り出していますが、自殺者数は、雇用環境と密接に関係するともいわれており、専門家は「解決には、雇用環境を改善することが先決だ」と指摘しています。

警察庁によると、自殺原因の詳細な分析を始めた19年以降、自殺した大学生は3516人。そのうち遺書などの記述から「就活の失敗」が原因とみられるのは218人でした。雇用環境との関連を証明するように、景気が回復したとされる25年は、前年より17人減少しました。

「勤務問題」も、「就活失敗」も特に若者に顕著です。大学を卒業したばかりの、学生など、企業に入って、すぐに即戦力になるスキルなど持っていません。企業としては、大卒の新人などを雇用しても、まずは訓練しなければならず、雇用すれば当初は経費がかさむことになります。

だから、デフレともなれば、採用を控えるのは当然のことです。企業に採用されなかった若者は、パート・アルバイトになるわけですが、デフレ化では、雇用条件も悪く、スキルも身につきません。

こうした若者が、将来に絶望して、自殺を選ぶということなど容易に想像できます。

今の日本は、厳密ではデフレではありません。しかし、過去20年近くにもわたって、継続したデフレによる、悪影響から抜けきっているわけではありません。

最近は、若干景気が良くなっているようではありますが、それにしても、世界的な視野からみれば、日本は若者の自殺が他の先進国に比較して、突出して多いという大問題がまだ解消されていません。

このような状況で、昨年4月に8%増税をしたのは、全くの間違いでした。そうして、もし10%増税が決定され、導入されたとした、若者の自殺はさらに増えたことが予想されます。

とにかく、現状は増税などの緊縮財政などは避け、一日も早くデフレから脱却するだけではなく、デフレによる負の遺産を一掃して、若者の自殺を撲滅すべきです。

「若者の自殺が多い国」という汚名は、一日でもはやく返上して、若者が希望の持てる国になろう!

「若者の自殺の多い国」という汚名は、一日でもはやく、返上すべきです。いつまでも、若者が、未来に希望が持てなく、自殺してしまうような国であってはならないです。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2014年6月2日月曜日

G7、中国名指し非難へ 首脳宣言 海洋進出、自制促す―【私の論評】崩壊しつつある中国に情け容赦がなくなりつつあるG7、中国発の中国幻想はもう効力がなくなりつつある・・・・・・?

G7、中国名指し非難へ 首脳宣言 海洋進出、自制促す

前回のG7での安部総理

 ベルギー・ブリュッセルで4、5両日に開かれる先進7カ国(G7)首脳会議(サミット)で採択される首脳宣言に、東シナ海や南シナ海で強引な進出を繰り返す中国を名指しして非難し、自制を迫る文言が盛り込まれる方向で調整されていることが1日、分かった。自由と価値観を共有するG7が結束し、対中包囲網を敷くことになる。日本政府関係者が明らかにした。

                     ◇

G7にロシアを加えた1998年以降の主要国(G8)時代を含めて首脳宣言で中国の国名を明示し、海洋進出の動きを批判するのは初めて。17年ぶりにG7で開催する今回のサミットは、対ウクライナ支援とロシアへの対応が焦点となるが、日米が主導する対中圧力が「もう一つの重要なテーマ」(政府関係者)に浮上した。

政府関係者によると、安倍晋三首相はサミットの政治討議の場で、「海における法の支配」の順守を訴える。その上で、中国が東シナ海上空で自衛隊機に異常接近するなど尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺で挑発行為を繰り返したり、南シナ海のパラセル(中国名・西沙)諸島周辺で一方的に石油掘削を始めたりしていることを指摘し、批判する意向だという。

これに5月28日の外交政策演説で「経済的な台頭と軍事的な進出が近隣諸国の懸念になっている」と中国を指弾したオバマ米大統領も賛同し、最終的にG7の総意として首脳宣言に対中非難の姿勢を強く打ち出す方向となった。宣言に盛り込む具体的な文言はサミットで協議する。

この記事の詳細は、こちらから(゚д゚)!

【私の論評】崩壊しつつある中国に情け容赦がなくなりつつあるG7、中国発の中国幻想はもう効力がなくなりつつある・・・・・・?

中国に関しては、今までは日本以外にも世界中にいわゆる親中派、媚中派が存在してきました。だから、中国が傍若無人な真似をしても見逃してきたという経緯があります。

その典型はオバマです。オバマは、いわゆる親中派・媚中派ではないのかもしれませんが、外交オンチで、最近はシリアでもウクライナでも、大失敗しています。オバマは、現在アメリカだけが世界唯一の超大国であり、中国はまだまだ発展途上国であることを理解してないようです。

外交で失敗し続けアメリカの国益を脅威にさらすオバマ

これらの大失敗は、少なくとも5年前、できうればオバマ就任当初から手を打っておけば、十分回避できました。

尖閣問題なども、オバマ就任当初から火種はあったわけで、就任した直後に何か中国がやらかしたときに、はっきりと「尖閣は日本固有の領土であり、日中間に領土問題は存在しない」とはっきり宣言しておけば、大きな問題にはならかったはずです。

それに、尖閣というか日本に関しては、日本のことなど全く度外視して、アメリカの国益としての戦後体制の保持の立場のみからいっても(私がこれに賛成というわけではありません)、尖閣そうして日本は米国の持ち物であり、中国には間違ってもこの所有権は渡さないぞという強烈な意思表示と場合によっては一部軍事的介入(すぐ戦争という意味ではない)などもすべきでした。

しかし、結局及び腰で対処してしまったため、中国はつけあがり、東シナ海、南シナ海で暴挙にでるようになってしまいました。この暴挙を放置しておけば、アメリカはアジア・太平洋における軍事力をかなり増強しなければならなくなります。

どうしてこんなことになってしまったといえば、やはり中国側が流布した中国幻想にまんまと引っかかってしまったためです。要するに、中国は経済発展していずれ米国と肩を並べるだとか、中国が発展して世界は、米中の二極体制になる、中国の市場は今後も急速に成長し、世界最大の市場になるとか・・・・・・。

これらは、すべて中国発のキャンペーンによるものであって、実体はともなっておらず、まともなインテリジェンス(情報ならびに知性の両方の意味)がある人なら、中国はまだまだ発展途上国であり、そのまま分裂崩壊する確率がかなり高いという事実を理解できるはずであり、理解すれば媚中派・親中派になどなりようがないはずです。

インテリジェンスを情報という意味で捉えれば、アメリカのインテリジェンスは高度に発展していますから、中国の実体などアメリカのそれなりに地位の高い人々も理解できないはずはありません。

アメリカのインテリジェンス当局は、そもそも、中国の統計など出鱈目で、GDPが世界第二位であることもかなり疑わしく、照明の数により、中国のGDPを正確にわりだそうとする研究も進めているくらいです。その他ありとあらゆる情報を収集しています。

親中派代表格のイアン・ブレマー氏

しかし、中国幻想を無邪気信じる知性の低いか、あるいは中国スパイのいずれかである愚かな人たちが、アメリカにも大勢いて、しかも結構社会的に高い地位の人々の中にも存在しているため、オバマもこれに影響され、媚中派・親中派的な行動をとってしまったのが今日の有り様です。

こうしたオバマの及び腰対中政策に対して、危機感を抱いたのがアメリカ議会です。これに関しては、このブログでも以前掲載したことがありますので、その記事のURLを以下に掲載します。
米国議会で日増しに強くなる対中強硬論―【私の論評】世界は複雑だ!米中一体化、G2など中国の妄想にすぎない!しかし、日本にとってはこの妄想につけこむ絶好のタイミングかもしれない(゚д゚)!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、米国議会では日増しに対中国強硬論が強くなっていることを掲載しました。

オバマの対中政策などそのまま放置しておけば、アメリカの国益を損なうことがはっきりしてきたので、議会が動き出したということです。

アメリカは変わり、日本の安部総理は元々中国をアジアの安定と平和のための阻害要因と捉えて、就任以来対中国政策を進めています。

ドイツ・イギリスなどは、中国に対して擦り寄りの姿勢を見せていましたが、擦り寄ったとしても、たとえば、ドイツの製造業がさほど中国によって潤っているわけではないし、これからも潤うことなどないということを理解したものと思います。イギリスも似たようなものです。

こんなことから、G7も各国内で、中国幻想から目覚めつつあり、その結果次のG7の首脳宣言では、中国名指し非難するということになったのだと思います。傍若無人な蛮行を繰り返す、中国に対して、G7も情け容赦がなくなりつつあるということです。 

それにしても、中国ますます追い込まれているようです。石平氏が以下のようなツイートをしています。
これは、警官が銃を使わなければ、暴動を鎮圧できなことを示していて、中国の崩壊も秒読み段階に入っているということです。私は、過去のこのブロクで、中国崩壊について掲載しました。そうして、そのときの掲載した内容ではもう現在では中国はとっくに分裂しているはずでした。

要するに、予測が外れたわけですが、その予測が外れた原因の一つとして、私自身の中国に対する見方が甘かったということがあげられます。どこが甘かったかといえば、中国の他国には見られない、人民のものではない、中国共産党に属する公安警察、人民解放軍、城管などの超強力な武装勢力の存在です。

これらの勢力が、他国では到底不可能と思われるような人民に対する、取り締まり、破壊攻撃などが簡単にできるということを見逃していました。

だから、中国経済はリーマン・ショックのときに破綻しているのですが、無理やり大きなプロジェトを作り出し、海外からの投資を招き、国内で何か反対があれば、武力で鎮圧ということを実施していました。現在に至るまで、中国が分裂崩壊しなかったのはこれによるものです。他の国なら、とっくに崩壊していたことでしょう。

しかし、武力鎮圧もそろそろ限界にきているということです。であれば、崩壊も近いことでしょう。

一方国内に目を向けてみると、やはりインテリジェンスが足りないか、中国のスパイとも目される愚かな、親中派・媚中派が大勢いて、安部総理の足を引っ張っています。

石平氏は、本日は以下の様なツイートをしていました。


本当に石平氏がおっしゃる通りだと思います。しかし、日本には、与党内にも野党内にも、マスコミにも官僚にも、いわゆる識者といわれる人々の中にも現実をまともに認識できない、知性の低い親中派・媚中派が大勢います。

日本で、こうした勢力をなくすか、なくさないまでも有名無実化するなどしてこれに対抗しなければ、安部総理の行動を制限してしまうかもしれません。そんなことは、断じてさせてはならないと思います。

私は、そう思います。皆さんはどう思われますか?

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