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2019年3月29日金曜日

【主張】欧州の対中戦略 結束乱れる危うさ認識を―【私の論評】日欧ともに最早お人好しであってはならない(゚д゚)!

【主張】欧州の対中戦略 結束乱れる危うさ認識を

     欧州で自らの勢力圏拡大を図ろうとする中国にどう対応するか。欧州の対中戦略は世界の経済や安全保障にも影響する重要な意味を持つ。

 だが、中国の習近平国家主席による訪欧で明確になったのは、対中国で足並みをそろえられない欧州の現実である。

対中接近をはかる中・東欧諸国(16カ国)

 欧州連合(EU)の欧州委員会は、中国を貿易や技術開発の「競争相手」とする見解をまとめ、中国への警戒感をあらわにした。実際、フランスやドイツではそうした見方が多い。ところがイタリアや中・東欧諸国は、むしろ対中接近を図っている。

 EUの結束どころか、分断が深まるようでは危うい。経済、軍事上の覇権を追求する中国が、EU各国を切り崩しながら膨張主義を強めることに懸念を覚える。

 欧州に求めたいのは、目先の経済利益に踊らされず、日米と連携して中国に厳しく対処する姿勢である。その認識を共有し、結束を取り戻せるかが問われよう。

 マクロン仏大統領は習氏に「EUの結束を尊重するよう望む」と求めた。イタリアが中国の巨大経済圏構想「一帯一路」に協力する覚書を結んだためである。EU内の旧共産圏諸国なども覚書を結んでいるが、先進7カ国(G7)ではイタリアだけだ。対米関係で苦境に立つ中国には成果である。

 問題は、これを機に一帯一路が再び勢いづきかねないことだ。一帯一路は、相手国を借金で縛る手法への批判が世界中で相次いでいる。欧州でも中国の手に落ちたギリシャ港湾などが軍事利用されることに警戒がある。そうした懸念が強まることにならないか。

 反EU機運が高まる中、イタリアのように経済が停滞する国が中国に傾斜する流れが強まれば、EUの求心力は一段と弱まることにもつながりかねない。

 域内では第5世代(5G)移動通信システムでも対応に温度差があり、欧州委員会は米国が求める中国の華為技術(ファーウェイ)の一律排除を見送った。それが米欧の溝を際立たせてもいる。

 留意すべきは、EU域内のみならず、日米欧がばらばらに動けばどこを利するかである。日本は一帯一路に前のめりとなる一方、ファーウェイ製品の政府調達を事実上排除した。国ごとの違いを乗り越え対中戦略でどう連携できるか。G7の場で深めるべき重要なテーマだと認識しておきたい。

【私の論評】日欧ともに最早お人好しであってはならない(゚д゚)!

上の記事では、「日本は一帯一路に前のめりとなる一方、ファーウェイ製品の政府調達を事実上排除した」としています。しかし、「一帯一路にまえのめり」は事実ではないと思います。特に日本政府、安倍首相はそうではありません。それについては、以前このブグにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
安倍首相、中国の一帯一路協力に4つの条件 「全面賛成ではない」―【私の論評】日本には中国および習近平政権の今後の行方を左右するほどの潜在能力がある(゚д゚)!

参院予算委員会で答弁を行う安倍晋三首相。右は麻生太郎副総理兼財務相、
左奥は根本匠厚生労働相=25日午後

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、安倍晋三首相が25日の参院予算委員会で、中国の巨大経済圏構想「一帯一路」に日本が協力するには、適正融資による対象国の財政健全性やプロジェクトの開放性、透明性、経済性の4条件を満たす必要があるとの認識を示した。「(4条件を)取り入れているのであれば、協力していこうということだ。全面的に賛成ではない」と述べたことを掲載しました。

そうして、安倍総理は「一帯一路」に対して両手をあげて賛成しているどころか、牽制しているという趣旨の主張をしました。それに関する部分を以下に引用します。
安倍総理が、条件づきで一帯一路への協力の可能性を述べたのは、何も今に始まったことではありません。以前から何度か述べています。
たとえば2017年都内で行われた国際交流会議の席上、安倍総理は中国の経済構想「一帯一路」に初めて協力の意向を表明しています。これを受け一部メディアはあたかも日本が中国に屈したかのように報じるなど、「中国の優位性」が強調され始めました。
安倍首相は同年6月5日に国際交流会議「アジアの未来」の夕食会で講演し、中国の経済圏構想「一帯一路」について、「(同構想が)国際社会の共通の考え方を十分に取り入れることで、環太平洋の自由で公正な経済圏に良質な形で融合し、地域と世界の平和と繁栄に貢献していくことを期待する。日本は、こうした観点からの協力をしたい」と述べました。
新聞各紙は、初めて安倍首相が「一帯一路」への協力を口にしたということをポイントとして強調しています。これだけ見ると、いよいよ日本も「一帯一路」に参加するかのような印象を与えました。
当時は、米国のTPP離脱で窮した安倍政権が、「一帯一路」に尻尾を振り始めたと見る向きもありました。しかし、その後日本は自らTPPの旗振り役となり、米国を除いた11カ国で昨年末に発効しています。
ただし、産経新聞は「安倍晋三首相、中国の『一帯一路』協力に透明性、公正性などが『条件』」という見出しで、中国が支援する国の返済能力を度外視して、インフラ整備のために巨費を投じることが問題化しつつあることを踏まえた発言だという内容となっています。むしろ中国を牽制する狙いがあるという論調です。私もそう思います。

本日の安倍総理による4条件①対象国の財政健全性、②プロジェクトの開放性、③透明性、④経済性も同じことであり、これは中国を牽制する狙いをより明確にしたものです。
安倍総理の対中戦略は一貫したものであり、要するに中国がまともになれば、協力することもあり得るが、そうはなりそうもないので、当面は協力はあり得ないということを表明しているのです。

中国の習近平国家主席は27日、イタリア、モナコ、フランスの欧州3カ国への歴訪を終えて帰国しました。巨大経済圏構想「一帯一路」についてイタリアと先進7カ国(G7)で初となる覚書を交わすなど、習指導部は「中欧関係の発展に新たな推進力を注入した」(耿爽外務省報道官)と成果をアピールしています。ただイタリアの対中傾斜で欧州連合(EU)内部の警戒感はさらに高まり、人権問題をめぐる溝も埋まっていません。

米国との貿易摩擦が長期化する中、習指導部は巨額投資と巨大市場の開放をテコにEUとの関係強化を図っていますが、期待したほど一帯一路への支持は拡大できていないのが現状です。

中国共産党は27日、収賄容疑で調査していた国際刑事警察機構(ICPO、本部・仏リヨン)前総裁の孟宏偉前公安省次官を党籍剥奪処分にしたと発表しました。同事件をめぐってはフランスにとどまる孟氏の妻がマクロン仏大統領に、中仏首脳会談で待遇改善を提起するよう求める書簡を送付。訪仏後まで処分の発表を遅らせたのは、事件に注目が集まるのを避ける狙いがあったようです。

中国外務省は習氏が外遊に出発した21日、EUの駐中国大使らに新疆ウイグル自治区へのツアーを提案しました。100万人以上のウイグル族らを強制収容しているとの批判に反論するのが狙いとみられますが、EU側は「準備が必要」だとして拒否しました。中国側の政治的主張に利用される懸念があったとみられます。

EU首脳会議後の会見で笑顔を見せるユンケル欧州委員長=22日、ブリュッセル

陸のシルクロードと呼ばれる「一帯一路」では、中国は欧州において、すでに旧共産圏16カ国との間で協力の枠組み「16プラス1」を持っています。バルト3国、旧東欧諸国、バルカン半島の国々が参加し、大規模なインフラ整備事業ではこれらの国々の対中依存度は高まりつつあります。

問題は、このうちポーランド、チェコ、ハンガリー、ルーマニア、バルト3国など11カ国がEU加盟国であることです。これに加えて、中伊の急速な接近に対し、フランスのマクロン大統領やEU執行機関・欧州委員会のユンカー委員長らが強く反応したのも無理はないです。

マクロン氏は22日にブリュッセルで行われたEU首脳会議の場で記者団に、「中国に関して欧州がお人好しでいる時代は終わった。長い間、われわれは対中政策で共同歩調を取らず、中国は欧州の分断から利益を吸いあげてきた」と警戒感を直截に表現した。ユンカー氏の中国に関する発言は「トランプ米大統領並みだった」との報道もあります。

EU首脳らは会議で、欧州委員会による対中戦略の見直し計画を承認しました。この文書は中国について「全体的なライバルである」と明記し、気候変動対策や核不拡散問題では従来型の協調維持を掲げつつも、「お人好し」一辺倒の路線とは明確に決別するトーンで貫かれている点が目新しいです。

中国の対欧投資を規制することや、中国に市場開放をより厳しく求めること、中国が積極的に輸出する次世代通信5Gの通信網整備については安全保障上の脅威の有無について検討すべきことなども盛り込んでいます。

ある欧州外交官は「中国による分断工作をはねつけるための対策だ」と語っています。首脳会議では、サイバー分野についてはコンテ伊首相も「懸念を共有する」と述べ、この分野で中国と協力する場合には、透明な形でEUに情報提供すると約束しました。EU内で高まる懸念に一定の配慮を示さざるを得なかったのです。

マクロン仏大統領

マクロン氏は26日、習氏が国賓として滞在中だったパリにユンカー氏とメルケル独首相を呼び、4者会談を行いました。EUの中軸をなす独仏と欧州委員会の共同歩調をアピールするために設定したものです。この場でもマクロン氏は「中国はEUの一体性と価値観を尊重しなければならない」と述べ、カネにものを言わせて欧州の分断を図る試みを率直に批判したのである。

問題の一因は、EU加盟国が自国の国家安全保障政策に関する主権をまだEUに移譲していない制度にもあるでしょう。例えば、中国の通信大手「華為技術(ファーウェイ)」を5G通信網整備に関与させるか否かについての最終的な判断は、EUではなく、加盟国が下すのです。

安保政策の「統合不足」は、中国による分断工作を許す弱点でしょう。マクロン氏が中国に注文をつける一方で、300機のエアバス機売却について習氏の同意を得たことが示すように、対中関係は是々非々のバランスも難しいです。

マクロン氏はさる3月5日、EU加盟国の28のメディアに寄稿し、「欧州の再生」を呼びかけました。ドイツを怒らせるユーロ圏の共通予算構想など従来の主張は封印し、米国が強く求める国防費の増額をEUが義務化することや、内実の伴う共同防衛計画の策定、EUから離脱するであろう英国を取り込んだ「欧州安全保障理事会」の創設、相互防衛条約の締結をなど提唱しました。

通商政策では、租税、データ保護、環境などのEU基準や戦略的利益を無視した商取引を禁じることや、米中並みの産業・調達政策を導入すべきことも主張しました。

EUが今後、マクロン氏の問題提起をどこまで議論するかは不透明です。28カ国の総意で重要案件を決めていくEUの意思決定は確かに時間がかかります。しかし、こうした大手術が必要であることは間違いないです。

第2次大戦後の欧州は「平和構築」「繁栄の共有」「民主制度の改革」という発展指向の試みによって運命共同体を築きました。その欧州はいま、文明を共有する一体的な空間の「防衛」、つまり自らの浮沈をかけた闘いに直面しているのです。

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2018年7月5日木曜日

中国の横暴に甘い対応しかとらなかった日米欧 G7は保護主義中国に対して結束せよ―【私の論評】最大の顧客を怒らせてしまった中国は、その報いを受けることに!虚勢を張れるのもいまのうちだけ?

中国の横暴に甘い対応しかとらなかった日米欧 G7は保護主義中国に対して結束せよ

(注:この記事は6月15日のものです)

 今月8日から2日間、カナダで先進7カ国(G7)首脳会議(サミット)が開かれる。鉄鋼・アルミなどの輸入制限を発動した米国に対して欧州が強く反発し、トランプ米大統領が孤立する情勢だが、仲間割れする場合ではない。

 正論は麻生太郎財務相の発言だ。麻生氏は先に開かれたG7財務相会議後の会見で、中国を名指しに「ルールを無視していろいろやっている」と批判、G7は協調して中国に対し国際ルールを守るよう促す必要があると指摘した上で、世界貿易機関(WTO)に違反するような米輸入制限はG7の団結を損ない、ルールを軽視する中国に有利に働くと説明した。

G7財務相・中央銀行総裁会議の閉幕後、記者会見する
麻生財務相(左)と日銀黒田総裁=2日

 WTOについて自由貿易ルールの総本山と期待するのはかなり無理がある。麻生氏に限らず、経済産業省も外務省もWTO重視で、世耕弘成経済産業相も、米鉄鋼輸入制限をめぐるWTOへの提訴について「あらゆる可能性に備えて事務的作業を進めている」と述べているが、WTOに訴えると自由貿易体制が守られるとは甘すぎる。

 グラフは、WTOの貿易紛争処理パネルに提訴された国・地域別件数である。圧倒的に多いのは米国で、中国は米国の3分の1以下に過ぎない。提訴がルール違反容疑の目安とすれば、米国が「保護貿易国」であり、中国は「自由貿易国」だという、とんでもないレッテルが貼られかねない。事実、習近平国家主席はスイスの国際経済フォーラム(ダボス会議)や20カ国・地域(G20)首脳会議などの国際会議で臆面もなく自由貿易の旗手のごとく振る舞っている。


 実際には中国は「自由貿易ルール違反のデパート」である。知的財産権侵害は商品や商標の海賊版、不法コピーからハイテクの盗用まで数えればきりがない。おまけに、中国に進出する外国企業には技術移転を強要し、ハイテク製品の機密をこじ開ける。共産党が支配する政府組織、金融機関総ぐるみでWTOで禁じている補助金を国有企業などに配分し、半導体、情報技術(IT)などを開発する。

 習政権が2049年までに「世界の製造大国」としての地位を築くことを目標に掲げている「中国製造2025(メイド・イン・チャイナ2025)」は半導体などへの巨額の補助金プログラムだらけだ。

 一連の中国の横暴に対し、日米欧はとにかく甘い対応しかとらなかった。理由は、中国市場でのシェア欲しさによる。「中国製造2025」にしても、中国による半導体の国産化プロジェクトは巨大な半導体製造設備需要が生じると期待し、商機をつかもうと対中協力する西側企業が多い。

 ハイテク覇権をめざす習政権の野望を強く警戒するトランプ政権の強硬策は中国の脅威にさらされる日本にとっても大いに意味がある。G7サミットでは、日米が足並みをそろえて、欧州を説得し対中国で結束を図るべきだ。米国と対立して、保護主義中国に漁夫の利を提供するのはばかげている。(産経新聞特別記者・田村秀男)

【私の論評】最大の顧客を怒らせてしまった中国は、その報いを受けることに!虚勢を張れるのもいまのうちだけ?

7月6日に米国が通商法301条を発動し中国からの輸入340億ドル分に対し25%の関税をかけることがほぼ不可避となっています。中国もこれに対し直ぐ報復措置をとると言っています。

これまで米中はこと貿易に関する限り友好的な関係を長年、築き上げてきました。ところが、ブログ冒頭の記事にもあるように、中国はさまざまなルールを無視して、貿易によって漁夫の利を独り占めにしてきました。

ウォール街の関係者は7月6日が過ぎれば売られ過ぎになっている中国株は反発するだろうと考えているようです。

トランプ大統領は、ルールを破り続ける中国を許すことはできないです。さらに、米国のドラゴンスレイヤー(対中強硬派)たちは、米国を頂点とする先進国の価値観と、中国の価値観が真っ向から対決しており、それだけでなく中国が世界に自らの価値観を押し付け、挙句の果てに米国に挑戦しようとしていることに反発しています。

ただし、ドラゴンスレイヤーたちは、中国と直接戦争することは事実上不可能とみて、他の手段で中国の現体制を崩すべきと考えています。貿易戦争はそのための手段でもあります。

7月6日に中国からの輸入340億ドル分に対する2%の関税をかけたとして、これに対して中国が報復措置をとれば、米国はすぐさま報復措置として、中国からの輸入品すべてに関して25%の関税をかけるとしています。

これでも、中国が態度を変えない場合には、今度は金融制裁を強化していくことになるでしょう。さらに、米国はWTOから脱退するかもしれません。

いずれにせよ、7月6日以降も貿易戦争が鎮静化せず、関税競争がエスカレートした場合必ず中国が敗北します。その理由は、そもそも関税をかけられる対象が、中国の場合限られているからです。

下は両国の貿易を示したチャートです。中国は米国より3.9倍も多く相手国に対して輸出している関係であり、自ずと関税の対象に出来る品目には限りが出てしまいます。

さらに、米国は中国から輸入しなくても、他から輸入できるものがほとんどです。中国からでないと輸入できないような品目はありません。ところが、中国においては、米国から輸入できなると中国では製造できない集積回路や、あるいは他の国から輸入するとかなり割高になってしまう物品などが多いです。




両国の貿易収支を見るとアメリカは大きな赤字になっています。


これは何を意味するか? といえば「米国は中国にとって最上のお客さん」だということを意味します。

無論この貿易赤字を家計の赤字と同列にみなして、悪とみなすのは間違いです。通常景気が良いと輸入が増える傾向にあります。輸入が増えても、景気が良いという状況にあれば、特に問題はありません。

米国は昨年の場合は、景気は良いほうでしたので、特に中国からの輸入が増えても本来はさほど問題ではありません。

ただし、それは、中国が様々な自由貿易貿易ルールを守っていればの話です。しかし、ブログ冒頭の記事にもあるように、中国はそうではありません。

さらに、中国は米国とはじめとする先進国からすれば、民主化、政治と経済の分離、法治国家化が進んでおらず、もともと自由貿易になじまないところがあります。たとえ中国が貿易ルールなど完璧に守った上で、貿易をしたとしても、それでも完璧な自由貿易にはならない可能性もあります。

1970年代から80年代にかけて、米国から貿易戦争を仕掛けられる立場にあったのは日本でした。日本政府は日米貿易戦争を良く戦ったと思います。でもそれは1年や2年で決着の付くゲームではなく、「これでもか、これでもか」というような延々と続くバトルでした。

実際、今回発動される通商法301条などの政策上のツールの大半は、忌まわしい日米貿易戦争時代に成立した法案です。

しかし、当時の日本は、米国と良い関係を保つために大変心を砕いていました。「ロンヤス」などという言葉が生まれた時でもあります。さらに、当時から日本はアメリカの同盟国であり、安全保障条約もあり、ソ連という仮想的に協同して対峙していました。

レーガン米大統領・中曽根康弘首相会談=1983年11月11日

ひるがえって今日の米中関係を見ると、政界レベルでも、冷え冷えとした関係になっています。南シナ海を実行支配し、米国の価値観に真っ向から挑戦する中国をドラゴンスレイヤーたちは許すことはありません。

上でみたようにそもそも米国は中国の最上の「お客さん」です。商売をやっている人なら理解できると思いますが、客を怒らせて得なことなど、なにもありません。

そうして、日本やEU諸国も米国ではないものの、中国から輸入をしています。その意味では、「お客さん」であることには変わりありません。自由貿易においては、互いが互いのお客でもあるのです。そのことを中国は忘れています。自分だけルールを守らないというのなら、爪弾きにされても仕方ありません。

だからこそ本来中国はトランプに対抗して貿易戦争エスカレートさせてはいけないのです。お客さんが、商売のルールを守れというのなら、守るのが筋なのです。

最大の顧客を怒らせてしまった中国は、その報いを受けることになります。いままで中国まがりなりにもが豊かだったのは米国との関係によるものでしたが、トランプ政権で180度転換しました。対米貿易に依存してきた経済、米国のドルに依存してきた人民元は、米中貿易戦争で『突然死』となりかねないです。虚勢を張れるのも今のうちだけかもしれません。

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