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2020年6月14日日曜日

世界新冷戦で中国窮地に! 米・英・台湾で香港奪還へ…日本も決断を コロナ影響で欧州各国の「対中感情」は最悪に— 【私の論評】日本はG7のアングロサクソン3カ国とEUの独仏伊を調整し、台湾とも関係を強化し、コロナ後の新世界秩序の中で存在感を増せ!(◎_◎;)


第2の天安門に!?香港デモ

天安門事件追悼集会で「香港独立」の旗が振られた=4日

 ドナルド・トランプ米大統領は、「香港の優遇措置廃止」と、「世界保健機関(WHO)からの脱退」という2つの重大な決断を下した。中国を見限り、英国や台湾を巻き込む「世界新冷戦」の様相だ。国際投資アナリストの大原浩氏は緊急寄稿で、米英など民主主義勢力と反民主主義勢力の二極化が進むなか、日本も決断を迫られていると現実を突きつける。


 トランプ大統領が関税などの優遇措置の廃止の方針を決めるなど、米中対立の舞台の一つが香港だ。問題の発端である1997年の英国から中国への香港返還・再譲渡は、84年に英中両国が北京で連合声明などの草案に署名したことに遡(さかのぼ)る。

 中国側の署名者は趙紫陽首相だったが、署名の場に同席したトウ小平氏が返還を実現した立役者である。英国側の署名を行ったのは「鉄の女」マーガレット・サッチャー首相だったことは少し意外かもしれない。

 サッチャー氏は、地球の裏側のフォークランド諸島がアルゼンチンに侵攻された時には、軍を派遣して守り抜いた。フォークランド諸島は、香港に比べたら経済的・軍事的価値などほとんどないにもかかわらずだ。

 メディアでは「99年間の租借期限」が到来したから返還したと報道されたが、99年間租借していたのは「展拓香港界址専条」という条約で定められた新界地域だけだった。主要部分の香港島は、1842年の南京条約(第一次アヘン戦争の講和条約)によって、清朝から割譲された英国の永久領土なのだ。1860年の北京条約(アロー号戦争の講和条約)によって、九龍半島の南端も英国に割譲された。

 租借部分を返還した後に香港島だけを守ることが戦術的に難しかったために「再譲渡」されたと考えられるが、香港島は英国の永久領土であり、九龍半島の南端も含めて「再譲渡」する必要などなく、当然英国内で大きな議論が巻き起こった。

 そのような事情もあって、中国共産党政府はトウ小平氏が提示した「一国二制度」をもとに、社会主義政策を将来50年(2047年まで)にわたって香港で実施しないことを約束したのだ。つまり、英国側から見れば、香港譲渡は50年間の約束を守れば…という「解除条件付き契約」であったといえる。

 したがって、共産主義中国がお得意の「ねじ曲げ解釈」をいくら駆使しても、英国としては、「一国二制度」という約束が破られれば、香港の再譲渡契約は無効であり、香港が英国領に戻るのは当然である。

 もちろん、英国だけの力で香港を守るために中国と一戦を交えることは難しい。しかし今回、中国の横暴に激怒しているのは英国だけではない。前述のように、米国は強烈な牽制(けんせい)球を投げた。ドイツをはじめ媚中的行動が目立つ欧州大陸の国々も、あからさまに香港の人々の人権が侵されれば声を上げざるを得ない。しかも武漢発のウイルスの影響で国民の対中感情は最悪だ。

 現在の英国首相であるボリス・ジョンソン氏は、サッチャー氏やウィンストン・チャーチル氏のような強烈な個性を持つ。フォークランド紛争、あるいはナチス・ドイツとの戦いと同じように「反民主主義国家・中国」との戦いに踏み切る可能性は十分あるのではないか。

 ■日本も「新世界組織」に参加すべきだ

 第二次世界大戦は、英国とフランスの同盟国だったポーランドをナチスドイツが侵攻したことで始まった。香港は同盟国どころか、「一国二制度」が守られなければ「英国領」に戻るべき存在なのだ。

 トランプ氏は「中国に支配されている」としたWHOからの脱退も表明したが、これも重要な決断だ。台湾は即座に米国が今後立ち上げるであろう「新世界組織」への参加を表明している。日本も後に続くべきだ。米国はWHOだけではなく、「中国に支配されている」国連をも見限っているのである。

 米国が新型コロナウイルスの感染拡大や白人警官による黒人男性暴行死を発端とした抗議デモなどの問題を抱えるなかで、「火事場泥棒」のような中国による香港への「国家安全法」導入は、ますます米英を怒らせる。そして、歴史的に正統な台湾主体の世界再編が米国によって推進されるという大ブーメランとして返ってくるだろう。

 「民主主義勢力」と「反民主主義勢力」の二極に分かれつつある世界で、日本がどちら側につくべきかは明らかだ。共産主義の代表を「国賓招待」する話がいまだに残っているのは言語道断だ。むしろ、台湾の蔡英文総統こそ、国賓として招待すべきではないか。

 ■大原浩(おおはら・ひろし) 人間経済科学研究所執行パートナーで国際投資アナリスト。仏クレディ・リヨネ銀行などで金融の現場に携わる。夕刊フジで「バフェットの次を行く投資術」(木曜掲載)を連載中。

【私の論評】日本はG7のアングロサクソン3カ国とEUの独仏伊を調整し、台湾とも関係を強化し、コロナ後の新世界秩序の中で存在感を増せ!(◎_◎;)

香港割譲は中国史上最も大きな損失でしたが、香港がいずれ中国に返還されるとは、当初誰も考えていませんでした。

1842年に結ばれた南京条約で、香港島は英国に割譲されました。第一次アヘン戦争で英国の巨大な軍艦と圧倒的な軍事力の前に敗れた中国(当時は清国)に選択肢はなく、香港島は英国に永久割譲、1860年に九龍半島が割譲されました。

不毛の島である香港島には水が不足していました。そのため英国は1898年、中国から新界を租借し、99年後の1997年に「新界のみ」返還すると約束しました。この時点では、香港島まで返還することは想定外だったのです。

イギリス軍がアルゼンチンに奪われた島を奪還したフォークランド紛争の勝利に沸いていた1984年、当時中国の実質的な最高指導者だった鄧小平と香港の返還交渉を行っていたマーガレット・サッチャー英首相は「なぜ(新界だけでなく)香港を返還しなければならないのか」と周囲に聞いていたそうです。

マーガレット・サッチャー英首相

それは鄧小平が香港島と九龍島の同時返還を求め、軍事介入も辞さない姿勢を見せたからでした。軍事力も指導者も、アルゼンチンとは格が違しまそち。結局サッチャーは、1997年6月末に香港を中国に返還することで同意したのです。

1997年6月30日の夜、雨が降る中でイギリスによる香港の委任統治が終わりました。260の島と世界一美しいスカイラインを持つ香港で、午前0時に警官たちが帽子のバッジを王冠からランに付け替え、英国旗「ユニオン・ジャック」が降ろされました。

香港返還に際し、住民の間には混乱というより不安が漂っていました。イギリはすでに香港住民に対するパスポートの発行を止めていました。完全にストップ、立ち入り禁止でした。EUの拡大でポーランド人労働者がイギリスで働ける時代になったというのに、なぜ香港住民はだめだったのでしょうか。

人々が疑問の声を上げたのは他でもない、もし中国政府が(1989年の天安門事件のように)弾圧に乗り出したときは、イギリスが守ってくれる、受け入れてくれると保証してほしかったからです。

その素朴さは胸を打ちました。当時の香港は世界で最も成功した植民地で、香港総督も人気があったのですが、英国にとってはしょせん植民地でした。重要なのは中国本土のほうで、香港は中国市場に参入するうえで障害になっていました。天安門事件後いちばん最初に北京を訪問した西側首脳も当時のジョン・メージャー英首相でした。英国にとって中国は、商売の相手だったのです。

引き揚げを指揮したのは、最後の第28代香港総督を務めたクリス・パッテンでした。それは香港返還にとどまらず、大英帝国の事実上の終焉でした。

パッテンは、多くの政治家のように成功することでのし上がるのではなく、屈辱的な失敗を成功に変える抜け目のない政治家でした。1992年の英総選挙でメージャー率いる保守党が勝利したとき、幹事長として勝利に貢献したパッテンは、自分の選挙区で労働党の候補に敗れて議席を失いました。

そのニュースが流れた時、保守党本部は大いに盛り上が利ました。多くの保守党議員は、パッテンは左寄り過ぎると思っていたのです。サッチャーにも嫌われ、周囲もそのことを知っていました。

それでもメージャーはパッテンの味方をし、1997年6月30日の香港返還までの香港総督に任命しました。英国政府はこのポストに、中国市場での利益を危険にさらさない無難な人材を望んでいました。選挙に落ちたパッテンは安全な選択肢に見えましたた。よもや総督という特権的地位と年金に満足し、政治には干渉すまいと考えたのです。ところがそうした見方は見事に外れたのです。

パッテンには、羽飾り付きの帽子も、論争は傍観するという総督の伝統的なたしなみも捨てて、論争に参加しました。1992年7月の就任時、パッテンは人権や自由、民主主義などの言葉を口にして中国政府を不快にさせました。

中国だけではありません。英経済界がどれほどパッテンの言動を憂慮していたか、1993年にパッテンが心臓の手術を受けた時に明らかになりました。報道で彼が手術中だと伝わると、ロンドンの株価は高騰。回復に向かっていると発表されると、わずかだが売り注文が増えました。

パッテンには妻と3人の娘がいたが、一家は気さくで、妻が病院や慈善団体を訪問する時もリラックスした雰囲気でしたた。

新聞の風刺漫画にはよく、ウイスキーとソーダというパッテンの愛犬が登場しました。どちらも犬種はノーフォーク・テリアで、中国の政治家のかかとに噛みついたりする場面が描かれました。

パッテンは、上流階級が住む高台ではなく香港の旧市街を散歩しました。どこから見ても彼は人気者でしたた。高齢の婦人から建設現場で働く労働者まで、パッテンを見つければ誰もが握手を求めました。カフェに入れば、中国の政治家が夢にも思わないようなもてなしを受けました。

イギリス統治下の香港には、香港住民の意思を反映させる政治制度がなく、民主主義は存在しませんでした。パッテンはそうした状況を正そうとしたのですが、ビジネス上の重大な関心を優先する地元の大立者や中国政府の頑なな反対にあいました。民主主義を経験したことのない一般大衆も、パッテンが目指した議会の民選化に反対しました。

香港住民は中国政府に立ち向かってくれる香港総督に感謝していましたが、中国政府には強い不信感を抱いていました。立法会を作って選挙を行っても、投票権のある有権者のうち35%しか投票しませんでした。

低い投票率で、パッテンが目指した選挙改革は失敗しました。パッテンが離任するまでに立法会の権限は縮小され、中国政府は民主化を疎かにしても民衆の反感を買うことはなさそうだ、と自信をつけました。

パッテンは1997年に中国政府から繰り返し中傷されましたが(「1000年来の男娼」というのもその1つ)、それ以降、香港のカフェに彼以上に人気がある客は現れていません。

このクリストファー・パッテン英オックスフォード大学名誉総長が、最近英与党・保守党の支持者と草の根保守主義者の言論フォーラム「コンサーバティブホーム」のインタビューに応じています。

クリストファー・パッテン氏

その内容を以下に掲載します。
パッテン氏「1989年6月の天安門事件を知らせる外交公電を見た時、もし仮にそれが、軍が自国民に向けて発砲するということを意味しているのなら、中国共産党指導部の一部による権力の座を保持する絶対的な決意の表れだと考えた」
「香港返還後、全てが変わったのは習近平国家主席が現れてからだ。習氏が選ばれたのは、中国共産党重慶市委員会書記だった薄熙来氏がクーデターを計画(2012年に失脚)していると中国共産党指導部が考えたことが一部にあると私は考えている」
中国共産党の行動原理は中国共産党一党支配という体制をどんな手段を使ってでも守るという防衛本能に基づいているとパッテン氏は考えているようです。胡錦濤時代(2002~12年)にそのタガが大きく緩んだとして、習氏が引き締めのため選ばれたというのです。

パッテン氏が危機感をさらに強めたのは2013年の「第9文書」と呼ばれる内部文書を目にしてからです。この中で7つの危険な西洋的価値が列挙されています。
(1)立憲民主制
(2)自由や民主主義、人権など普遍的価値
(3)市民社会
(4)市場原理を重視する新自由主義
(5)報道の自由
(6)中国共産党による中国建国の歴史に対するニヒリズム
(7)中国独特の社会主義に対する疑問
中国共産党は、体制を維持するために、自分たちを脅かす全ての思想や信条を敵視しています。だから西側陣営の私たちが中国を敵視せず、中国との冷戦を望んでいなかったとしても「中国が私たちを敵とみなしていることが問題を引き起こす」とパッテン氏は断言します。

習体制が自由と民主主義、人権、法の支配、自由経済を、中国共産党支配を脅かす危険な敵だと見ていたら、チベット自治区や新疆ウイグル自治区、天安門事件で起きた悲劇が香港や台湾、南シナ海、そして東シナ海でも繰り返される恐れがあるということです。

「香港は中国共産党が嫌う全てのものを体現している」とパッテン氏は指摘しています。

パッテン氏「中国によるいじめの黄金時代になったのは間違いない。他国と協力しなければならないにしても中国にもっと厳しく対応しなければならない。中国は黄金時代の見返りにイングランド北部や同中部シェフィールドへの巨額投資を約束したが、そんなものは起きなかった」
「駐英中国大使があらゆる機会に略奪やいじめのために英中黄金時代というスローガンを使っただけだ。ドイツが、自国のロボット産業に対する中国の略奪的投資について神経質になっている理由をイギリスも考えた方がいい」
ベルリンにある研究機関、メルカトル中国研究センター(Merics)によると、2000年から昨年にかけ中国が欧州各国に対して行った直接投資(FDI)は次の通りです。
イギリス503億ユーロ(約6兆1200億円)
ドイツ227億ユーロ(約2兆7600億円)
イタリア159億ユーロ(約1兆9300億円)
フランス144億ユーロ(約1兆7500億円)
フィンランド120億ユーロ(約1兆4600億円)
オランダ102億ユーロ(約1兆2400億円)
イギリスとドイツへの投資が大きいのは経済規模が大きい上、投資価値のある企業や技術が多く、市場が開かれていることに関係しています。中国に対して欧州の市場は開かれているのに、中国の市場が同じように開かれているわけではありません。

研究開発力のあるイギリスの大学から軍事転用可能な最先端技術が中国人留学生を通じてリアルタイムで中国に流出しています。

さらに新型コロナウイルス・パンデミックでは感染防護のためのN95マスク一つとっても中国抜きではつくれなくなったことが浮き彫りになりました。中国は世界のサプライチェーンにガッチリと組み込まれています。

英シンクタンク、ヘンリー・ジャクソン・ソサエティー(HJS)がアングロサクソン5カ国の電子スパイ同盟「ファイブアイズ」のサプライチェーンにおける中国依存度を調べています。例えばラップトップ型PCのサプライチェーンではこんな感じです。

オーストラリア94.3%
ニュージーランド93.1%
アメリカ92.7%
カナダ87.5%
イギリス67.6%
携帯電話のサプライチェーンは以下のような状況です。
カナダ77.6%
オーストラリア74.9%
アメリカ72.5%
ニュージーランド67.3%
イギリス61.2%
30年前の天安門事件の時は西側が中国に対して経済制裁を加えることで中国に西側の自由と人権、法の支配、自由経済に従わせることができました。当時、中国経済の世界に占める割合は2%未満でしたが、現在は約20%まで急拡大しています。

中国はもう西側に気兼ねしないで行動できると考え出しているようです。

パッテン氏「これは英保守党の問題だけではない。あらゆる分野で中国との関係を検討すべきだ。貿易、教育、投資、安全保障、中国がどこでルールをねじ曲げているのかを見ること、サプライチェーン、戦略的産業の独立性を明らかにして、行動する必要がある」
安倍晋三首相は10日の衆院予算委員会で、中国の香港国家安全法導入問題を受け「一国二制度を前提に、声明を発出する考え方の下に先進7カ国(G7)の中で日本がリードしていきたい」と意気込みを述べました。

安倍総理 10日の衆院予算委員会にて
これは、アングロサクソン系の米英加豪と連携した動きだと見られます。
西側諸国を代表するG7はアングロサクソン3カ国と欧州の独仏伊に意見が割れがちで、どちらにも属さない日本が仲を取り持つのは、欧州でドナルド・トランプ米大統領への反発が強まる中、外交上、非常に意義があることです。

西側のプラットフォームであるG7や北大西洋条約機構(NATO)、ファイブアイズをフル活用して中国に対し、香港の「一国二制度」と「高度な自治」を維持するよう働きかけ、新型コロナウイルスのゲノム情報を全て開示し起源の確定に協力するよう迫っていかなければなりません。

中国共産党はあらゆる手段を講じて西側諸国を分断し、揺さぶりをかけて、最後には支配しようとしています。日本でも鼻薬を嗅がされ、知らず知らずのうちに中国共産党の「有益な愚か者」として利用されている政治家、企業家、大学関係者は少なくありません。

自分の利益だけを優先して自由と民主主義、法の支配、人権をないがしろにして良いわけがありません。日本でも超党派の議員で中国が関わる全ての問題を詳らかにして公に議論し、国民に知らせるプラットフォームをつくることが重要です。

日本も、穏健でリベラルな保守主義者パッテン氏の警鐘に耳を閉ざしてはならないです。


そうして、安倍総理自身は、これから新世界秩序の構築に日本としてもこれに乗り遅れることなく、機先を制することには、前向きなようです。

G7のアングロサクソン3カ国と欧州の独仏伊、この二つをまとめ、さらには台湾とも関係を深めコロナ後の新世界秩序の中でリーダー的地位を獲得していただきたいものです。

それと、これは以前もこのブログで述べたことですが、香港はすでに中国の地方都市になったも同然ですから、国際金融センターは、香港から台湾に移すべきです。G7が協調すれば、世界に新たな秩序を構築するとともに、それも十分可能になり、台湾の国際金融センターは世界の繁栄に大きく寄与することになるでしょう。

従来は華僑の人々の力が、中共に都合良く利用されたのですが、台湾に国際金融センターを移すことにより、今度は新社会秩序の構築と、その上で自由な経済活動を活発化させるための大きな力となることでしょう。そうなると、台湾は大きく変貌することになるでしょう。国土は、小さくても経済的には中共を脅かす存在となるでしょう。

金だけで、中共との関係を強化してきた、華僑の人々も、今後の安定した取引を考えれば、台湾の国際金融センターへと乗り換えるでしょう。

ただし、香港の奪還に関しては、諦めることなく、中共がそれを認めざるを得なくなるまで迫るべきです。
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2019年10月31日木曜日

最悪の場合「東京開催」剥奪も!? 小池都知事、五輪マラソン問題でIOCと徹底抗戦も…識者「都がいつまでも不満述べるなら…」―【私の論評】あるある、オリンピック商業主義が見直されつつあるこれだけのワケ(゚д゚)!

最悪の場合「東京開催」剥奪も!? 小池都知事、五輪マラソン問題でIOCと徹底抗戦も…識者「都がいつまでも不満述べるなら…」

小池知事

2020年東京五輪で酷暑を避けるため、マラソンと競歩を札幌で開催する案が、30日から国際オリンピック委員会(IOC)調整委員会で協議される。札幌移転は「決定済み」とするIOCに対し、小池百合子都知事はあくまでも東京開催を求めて徹底抗戦するとみられるが、専門家は「IOCはマラソンの中止や東京の五輪開催剥奪という最悪の事態もあり得る」と危惧を示す。


 協議は3日間で、31日以降にIOC、大会組織委員会、都、政府で事務レベル協議を行い、その後にトップ級の会合で議論するプランもある。

 小池氏や都が不信感を強めているのは、札幌開催をめぐる議論で「カヤの外」だったことだ。IOCは16日に札幌開催案を発表したが、小池氏が組織委の武藤敏郎事務総長から移転案を伝えられたのは前日の15日。都は組織委に800人以上の人材を投入してきたが、IOCと組織委の事前協議や情報伝達のラインから外されていた。

 準備を急ぐ組織委などは具体的な議論に移りたいとの立場だ。当初、発着点として想定されていた札幌ドームには陸上競技用のトラックがないこともあり、市中心部の大通公園を発着とし、8月に行われる北海道マラソンをベースとする方向で検討を進めている。



【私の論評】あるある、オリンピック商業主義が見直されつつあるこれだけのワケ(゚д゚)!

私はマラソンと競歩を札幌で開催ことに大賛成賛です。その理由は以下の2つです。

一つは、このブログでもすでに述べているように、猛暑対策への賛同です。

夏の札幌も決して涼しいとはいえないですが、東京に比べたら安全性は遥かに高くなります。これを反対する理由はありません。

もう一つは、この決断がIOCのオリンピック商業主義に自らブレーキをかけることに通じる、という期待です。

オリンピック開催期間が7月から8月に限定されたのは、IOCの莫大な収入の約8割を占めるのが『テレビ放映権料』であり、現在はその半分以上が米国NBCとの契約料に依存しているからだといわれています。米国の視聴者がオリンピックに関心を持ってくれるだろう最適な季節がこの時期なのです。

秋になれば、アメリカンフットボールのNFLやバスケットボールのNBAが開幕します。MLBはポストシーズンで熱を帯びる。ヨーロッパはサッカーのシーズンです。

かつてマラソンは冬のスポーツでしたが、オリンピックが暑い季節に行われるようになって、暑さに強いマラソン・ランナーが台頭するようになりました。

その先駆けは1984年のロサンゼルスオリンピックでした。男子はカルロス・ロペス(ポルトガル)、初開催の女子はジョーン・ベノイト(アメリカ)が優勝しましたが、スイスのガブリエラ・アンデルセンがフラフラでゴールするアクシデントもありました。

フラフラでゴールしたガブリエラ・アンデルセン

当時、福岡、東京、ボストンなどのマラソンで5連続優勝を続け日本期待の星だった瀬古利彦は33キロ付近で先頭集団から遅れ、14位に終わりました。暑さが通常の実力と違うダメージを選手にもたらす現実を目の当たりにしました。夏マラソンの歴史はそれほど浅いものなのです。

私がオリンピック商業主義と批判する理由は、オリンピックがまるで世界のスポーツを司る総本山のような権威を持ち、『オリンピック基準』でスポーツのルールや本質を平気で変え続けているからです。IF(International Federationの略。国際競技連盟)と呼ばれる各競技団体もこの流れに追従しています。さらに、テレビ中継の都合で試合時間が決定されるということまで行わています。

ラグビーは15人制でなく7人制が採用されています。バスケットボールも5人制とは別に3人制の3X3が正式採用されました。トライアスロンは草創期、ハワイ・アイアンマンレースに象徴される鉄人レース(ロング・ディスタンス)が人気を集めましたが、やがて『オリンピック・ディスタンス』と呼ばれる計51.5kmの種目が普及していきました。

2時間以内に競技が終わることが「オリンピック採用の基準」になっているからです。野球がオリンピック種目として再び採用されることがあっても、その時は9回でなく7回制になっている可能性が高いです。柔道着は、「テレビで見やすい」という理由で一方が青に変更されました。その決定には、「なぜもともと白なのか」への理解も敬意もありません。


さらに、欧米で人気のスポーツは開催時間も、欧米にあわせるということが平然とまかりとおってきました。平昌五輪ではフィギュアスケートやスピードスケートなど欧米で人気の種目が、昼夜逆転でスケジュールを組まれたため日本勢はスケジュール調整に悩まされました。

スポーツ文化は踏みにじられ、五輪ビジネスだけが優先されてきました。それで失うものの大きさにこれまでIOCも日本オリンピック委員会(JOC)も、日本のメディアもスポーツファンも目を向けずにきました。

ここまで徹底したオリンピック商業主義ですが、それが実際に効果をあげてきたかといえば、甚だ疑問です。実際米国では1990年台をピークに、テレビでオリンピックを観戦する人の数が減っています。

米ギャラップの調査によると2016年のリオデジャネイロオリンピックで初めて、オリンピックのテレビ中継を見る人の割合が過半数を下回る48%となりました。

ピョンチャンオリンピックでは、65歳以上の層で「オリンピックを見る」と答えた割合が、半数以上の54%だったのに対し、18〜29歳の層では31%となっており、若年層の関心が薄れていることが、視聴者数減少の主な原因ではないかと読み取れます。

今回の東京オリンピック、マラソン&競歩の札幌移転は、こうした一方的なオリンピック商業主義に大きな転換期が訪れたこと、それを強行し続ける困難さをIOCのバッハ会長自らが表明したともみえます。だからこそ、「なぜ、今頃になって」と言いたい気持ちもあるでしょうが、ここはオリンピックの歴史的転換を後押しをすべきです。

IODトーマス・バッハ会長
本当なら、放映権に依存するビジネスモデルからの大転換を求め、代案を提示したいところですが、当初はマイナーチェンジでも良いです。

例えば、マラソンや競歩など、本来は低温の気象で行う競技は冬季五輪の時期に、相応しい地域で行うようにすべきです。

また各IFも、オリンピック依存から転換し、ゴルフの全英オープン、テニスのウィンブルドン、サッカーのワールドカップ、そして日本の大相撲のように(いまはその信頼度は怪しいですが)、オリンピック以外に「これぞこのスポーツの最高峰」「スポーツ文化と歴史の体現」と誇れるような大会を構築し主催するのがそれぞれの競技を愛する者たち、スポーツビジネスに携わる人たちの使命だと思います。

オリンピックは大切な『平和の祭典』です。今後も発展と成熟を重ねてほしいです。しかし、巨額ビジネスの威光で世界のスポーツを牛耳るような存在感は、およそ『平和の祭典』には相応しくないです。その見直しがいよいよ始まりつつあると思います。オリンピック商業主義は終焉を迎えつつあるようです。札幌でのマラソン・競歩の開催はまさにその象徴ともいえるのです。

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2019年10月17日木曜日

トランプは大差で再選される──最も当たる調査会社が予測―【私の論評】現時点で、トランプの再選はないと、どや顔で語るのは最悪(゚д゚)!

トランプは大差で再選される──最も当たる調査会社が予測
Historically Accurate Forecast Predicts Trump Win in 2020 
ニューズ・ウィーク

フロリダ州オーランドの選挙集会で再選への出馬表明をしたトランプ大統領夫妻(6月18日)

<1980年の大統領選以来、一度しか予測を外したことのないムーディーズ・アナリティカがトランプ勝利を予測する背景は>

2020年米大統領選挙をめぐる世論調査で、ドナルド・トランプ大統領は現在のところ、民主党の複数の有力候補に遅れをとっている。だが、正確さで定評のある大統領選予測モデルを擁する調査会社ムーディーズ・アナリティクスは、トランプが大差で勝つと予測している。

同社は、1980年以降すべての大統領選で勝者を的中させてきた。唯一外れたのは、トランプとヒラリー・クリントンが対決した2016年の大統領選だけ。もっともこの時は、他の予測もほとんどがクリントンの勝利を予測した。トランプ勝利を予測できたほうが例外的だ。

赤がトランプ(共和党)が勝つと予想される州、そして青が民主党が勝つと予想される州。
    ムーディーズ・アナリティクスは、トランプが激戦州を制すると予想

ムーディーズ・アナリティクスのマーク・ザンディ、ダン・ホワイト、バーナード・イェーボスの3人は、「2016年大統領選で予測が初めて失敗した理由の一つは、想定外の人々が投票に出かけたことだった」と書いている。

「我が社のモデルは、候補者がどの政党の支持者かという以外の個人属性を考慮していなかった。つまりトランプとクリントンの得票は、それぞれの所属政党の支持者の動向で決まると思っていたが、そうではなかった」

ムーディーズは、経済面で3つのモデルを使って予測を立てているが、いずれのケースでも、2020年の大統領選でトランプは少なくとも全部で538人の選挙人中289人を獲得する見通しだという。

市場の評価は今一つだが

3つのモデルのうち1つ目の「財布」モデルでは、経済についての3つの変数を重視している。ガソリン価格、住宅価格、個人所得の3つだ。いずれも、価格の変動が財布の中味に直結する。好調な米経済を背景に、トランプがいちばん大差で勝つのはこのモデルで、351人という圧倒的な選挙人を獲得する。

「有権者が主として自分の懐具合に基づいて投票した場合、トランプが圧勝するだろう」とムーディーズ・アナリティクスのリポートは書く。

2つめは「株式市場」モデルで、これがトランプにとっては最も厳しい。ここで重視するのは、スタンダード&プアーズ(S&P)500社株価指数とそこに組み込まれている優良企業500社の収益動向だ。米企業と株式市場は今、主にトランプの貿易政策をめぐる不透明感から悪影響を受けている。だからトランプに厳しくなるが、それでも、現時点ではまだトランプが勝つという予測になっている。

最後の「失業率」モデルでは、現在の低失業率が来年半ばごろまで続くという見通しを背景に、トランプの楽勝を予測する。

ムーディーズ・アナリティクスは、前回の大統領選では予測を外したものの、同社が2016年にトランプの大統領在任中の経済状況について行った予測は、おおむね現実になっている。

<参考記事>嘘つき大統領トランプがアメリカの民主主義を打ち砕く
<参考記事>民主党予備選で着実に支持を上げるエリザベス・ウォーレ

2016年、ムーディーズ・アナリティクスはトランプ政権下の経済について以下のように予測した。

「トランプの経済政策は、米国経済の孤立化を深める結果になるだろう。国際貿易と移民は大幅に減少する。貿易と移民の減少に伴い、外国からの直接投資も減少するだろう」

「この分析のもとになった経済モデルや根本的な仮定の正確さに若干の変動があったとしても、トランプの経済政策の影響に関しては、次の4つの基本的な結論が得られる。1) 米国経済の国際性が低下する結果になる。2) 政府の赤字と負債が増加する。3) きわめて高収入の世帯が主に恩恵を受ける。4) 米国経済が弱体化し、雇用が減少して失業率が上昇する」

もっとも、2020年の大統領選についてもまた外れる可能性はあると、ムーディーズ・アナリティカは警告する。トランプの経済政策には「詳細が欠けているため、定量化には複雑さが伴う」という。

「トランプという候補が過去の例からあまりにも逸脱しているために、モデルがうまく機能しない可能性もある」とザンディは述べる。「結局、モデル化できない原動力に結果を左右されていた、ということになるかもしれない」

【私の論評】現時点で、トランプの再選はないと、どや顔で語るのは最悪(゚д゚)!
米国のトランプ大統領は、日米メディアや、日米リベラル左翼からは史上最も人気のない大統領と思われているようです。政権はスタッフの入れ替わりが激しく、主要な政策を進めるのにも苦労しています。それでも、トランプ大統領が2020年に再選される可能性は高そうです。

トランプ大統領

ギャラップが4月17~30日世論調査では、トランプ大統領の支持率は約45%でした。これはオバマ前大統領の同時期の支持率とほとんど変わらず、前大統領は2012年に再選されています。

2011年4月中旬にオバマ前大統領が再選を目指すと発表した直後、その支持率は43%から45%あたりを推移していました —— まさにトランプ大統領のう4月の水準と同じです。

なお、ギャラップによると1995年4月中旬に支持率が46%だったクリントン元大統領も、再選を果たしています。

トランプ大統領には現職大統領として、資金集めの面で有利です。民主党候補には2月から3月にかけて数多くが名乗りを上げていて、立候補者の間で資金が割れてしまっています。

トランプ大統領は2019年の第1四半期に3000万ドルを集め、総額約4000万の現金が手元にあります。一方、民主党内の候補者としては、資金集めでリードしている民主党のバーニー・サンダース上院議員が第1四半期に集めたのは1820万ドル、カマラ・ハリス上院議員は1200万ドルでした。

同時に、有権者はトランプ大統領の経済政策を圧倒的に支持しているようです。これも再選を目指すトランプ大統領にとっては良いサインです。

直近のデータは、4月時点では、アメリカの雇用市場は依然として好調で、賃金も上昇していました。9月の米雇用統計は非農業部門の雇用者数が緩やかな伸びを示しました。これは製造業の軟調さが経済全体に広がっている兆しを示している可能性がある一方で、雇用の伸び鈍化は予想の範囲内で基本的には労働市場は健全であることが単に示されただけかもしれないと受け止められています。

消費マインドも4月には不況以来、最も高い水準に近いことを示していました。8月の米小売売上高で、前月比0.4%増と、市場予想の0.2%を上回る大幅な伸びとなりました。これらを見る限り、米中冷戦によね製造業のマインド悪化が雇用や賃金、個人消費など、人々のおサイフや消費行動にまで波及している様子は伺えないです。そうして過去のデータを見ると、経済が好調だと大統領の再選の可能性が高まることも分かっています。ただし、そのつながりは近年、弱まっているようです。

CNNが3月中旬に実施した世論調査で、アメリカ人の71%は経済がうまくいっていると回答。これは2001年以来、最も高い数字です。

同調査では、回答者の過半数(51%)がトランプ大統領の経済政策を支持しています。これは調査会社「リアル・クリア・ポリティクス」が出した各社の世論調査(トランプ大統領の経済政策への支持)の平均値、51.5%とほぼ同じです。

さらに、ジョージタウン・インスティテュート・オブ・ポリティクス・アンド・パブリック・サービス(Georgetown Institute of Politics and Public Service)が3月下旬から4月上旬にかけて実施した「バトルグラウンド・ポール(Battleground Poll)」調査では、2020年の大統領選で投票する「可能性が高い」と見られる登録有権者の58%が、トランプ大統領が経済のためにやってきた仕事を支持すると回答しています。

同調査ではまた、回答者の55%がトランプ大統領を全体として支持しないと答え、57%がアメリカは誤った方向へ向かっていると答えています。しかし、共和党支持者の間でトランプ大統領を支持する有権者は依然として多く、その74%が米国は正しい方向へ進んでいると答えました。

そして、ピュー・リサーチ・センター(Pew Research Center)が2月に実施した調査では、米国人にとって最大の課題は経済の強化と考えられていることが分かりました。ただし、調査によってはヘルスケアといった別の課題が経済よりも上位にきています。

再選に向けて、トランプ大統領の経済政策に対するプラスの評価がどれだけのアドバンテージになっているかは分からないが、マイナスになることはないようです。

さらに、今回の、ムーディーズ・アナリティカの分析によっても、トランプ大統領の勝利が予測されています。

さらに、このブログでも解説したように、米国では最初から禁じ手とわかっている「弾劾」を今回だけではなく、過去にも画策して結局失敗した民主党は、相当追い詰められているとみべきです。その記事のリンクを以下に掲載しておきます。
民主党へのしっぺ返しもあるトランプ弾劾調査―【私の論評】トランプ弾劾は不可能、禁じ手を複数回繰り出す民主党は相当追い詰められている(゚д゚)!
リチャード・ニクソン氏
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、米国では民主的手続きで選ばれた大統領を弾劾することについては、党派を問わず反対する人も多いにもかかわらず、民主党は複数回にわたってトランプ大統領を弾劾しようとしており、これは民主党が大統領選ではよほど窮地に立たされている見るべきであるとの結論を下しました。

この予想や、今年はじめの複数の調査会社の調査結果や、今回のムーディーズ・アナリティカの調査においても、トランプ大統領が大統領選で大差で再選されると予測しているわけですから、よほどのことがない限り、トランプ氏が再選されるとみて間違いないのではないでしょうか。

ただし、選挙は水ものですから、最後の最後までどうなるかはわかりはしません。ただし、現時点で、トランプは弾劾されるとか、トランプの再選はないと、さしたる裏付けもないにもかかわらず、日米のテレビや新聞の情報だけで判断して、どや顔で語るのはやめておいたほうが良いと思います。

はっきりいいますが、そのようなことをすれば、馬鹿と思われるだけでなく、信用を失います。

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2019年8月30日金曜日

日本のメディアは日韓関係悪化ばかり報じている場合なのか―【私の論評】増税で7年間に及ぶアベノミクスは帳消しになる。特に雇用は最悪に(゚д゚)!

日本のメディアは日韓関係悪化ばかり報じている場合なのか
消費増税の悪影響が断然大きい




8月22日に韓国大統領府が日韓軍事包括保護協定(GSOMIA)の破棄を決定したことで、歴史問題などをめぐり悪化していた日韓関係はさらに深刻になり、安全保障分野に影響が及ぶことになりました。

この韓国政府の判断が米中を含めアジア地域の地政学動向に将来どのような影響をもたらすかが筆者の最大の関心ですが、これは門外漢の筆者の力量を超えるテーマです。以下では、両国の金融市場、そして経済活動への影響について考えてみます。

日韓関係悪化の市場への影響

金融市場では、通貨ウォン(対ドル)は年初来で約8%安と下落。韓国の株価指数も年初から▲5%と、日本を含めた多くの主要国対比でアンダーパフォームしています。

日韓関係悪化などの韓国における政治リスクは、金融市場である程度反映されているといえます。文在寅(ムン・ジェイン)大統領が、将来の北朝鮮との経済統合を目指すことを見据えるなど、北朝鮮に融和的な外交姿勢を示しており、経済への悪影響だけではなく、朝鮮半島を取り巻く地政学情勢が変わることに伴うリスクが市場で意識されているかもしれません。

それでは、最近の日韓関係悪化によって、日本や韓国経済にどの程度、悪影響が及ぶでしょうか。まず日本は、7月に半導体の材料の一部品目の韓国への輸出に関して審査ルールを変更しました。

これについて、韓国に対して禁輸あるいは輸出規制強化を日本政府が行ったなどと報じられ、日本の対応が韓国政府の軋轢を強めたなどとの見方も散見されます。日韓という微妙な2国間の関係ゆえに、メディアもこれをセンセーショナルに報じたり、さまざまな立場の論者の声も大きくなっているようにみえます。

企業活動に及ぼす悪影響は限定的

実際には、韓国への輸出の取り扱い変更は、安全保障に関わる一部の材料のみが対象です。それらの輸出ができなくなるわけではなく、審査に関するこれまでの優遇措置が取りやめとなり、輸出する際の審査・許可を通常のルールに戻すのが、日本政府の対応です。特別な優遇措置を、他国同様の原則のルールに戻したということです。

輸出品が三国などを経由して問題国へ輸出されるのをしっかり管理することは、安全保障の観点から、どの国も責任を持ってやる必要があります。今回の日本の対応は、安全保障の理由で、どの国も自国の裁量で行うことができる対応です。

また、今回通常の管理対象になったのは半導体の材料になる3品目ですが、管理変更の対象になるのは試作段階のものに限られ、すでに量産されている半導体分の材料については対象外になる、との専門家による指摘もあります。

これらを踏まえれば、今回の韓国への輸出規制変更が、韓国の半導体セクターの生産活動を含めて、日韓の貿易など企業の活動に及ぼす悪影響は限定的といえます。

観光面へのインパクトは大きいが…

一方、政治的な日韓関係の悪化は、観光面については無視できない影響が及ぶでしょう。韓国からの訪日客の2割を占め、すでに7月時点で訪日客数は前年比▲7.6%と減少に転じています。一方、中国などからの訪日客が引き続き大きく伸びているため、訪日客全体は同+5.6%と底堅い伸びが続いています。

韓国からの訪日客は8月からさらに落ち込むとみられ、このまま関係悪化が長期化すれば、前年対比で半分程度まで落ち込む可能性もありえるでしょう。2018年のインバウンド消費は約4.5兆円ですが、約2割の韓国人訪日客が半減すると大胆に仮定すると、約1割訪日客数全体が減るため、単純計算で0.4兆~0.5兆円のインバウンド消費が減る可能性があります。

実際には韓国からの訪日客が減った分は、中国、台湾など他のアジアからの訪日客が増える可能性があるため、これはインパクトを最大限見積もるための仮定ですが、それでも日本のGDP(国内総生産)の0.1%の規模で経済全体への影響ではほぼ誤差といえます。

これまで判明している日韓関係悪化の、日本経済への影響はほぼありません。そして、日本から韓国への観光客も大きく減るため、韓国経済も悪影響を受けるでしょうが、同様に誤差程度の悪影響しか想定されないでしょう。

消費増税は失政になる可能性が高い

むしろ、日本経済全体に影響を及ぼすのは、10月から行われる消費増税です。2014年の消費増税は判断ミスだったと安倍首相は後悔していた、とメディアで報じられました。今回も同様に、失政だったと振り返られる可能性が高い、と筆者は考えています。

消費増税による家計負担増の金額を確認すると、消費増税にともない約4.6兆円の税収負担が増えます。増税によって、幼児教育と高等教育の無償化などの制度が始まりますが、これらによって約2.4兆円が政府から家計に支給されます。このため、今回の増税によって、恒久的な家計負担は約2.2兆円増えます。

この家計負担に対して、政府は平成31年度予算として2兆円規模の臨時の景気対策を行いますが、このうち1.35兆円は防災、国土強靭化政策で、家計の所得負担を直接軽減させることになりません。時限的な対策として、いわゆるポイント還元制度などがありますが、これらは0.66兆円となっています。

これらの予算が実際にすべて政府支出として家計に給付されるかは不明なので、先に挙げた2.2兆円の恒久的な家計負担のごく一部しか相殺されないことになります。

なお、2兆円は家計の可処分所得300兆円の約0.7%に相当します。今回の増税で個人消費がどの程度落ち込むかは見方が分かれますが、名目賃金が1%程度しか伸びていない中で、家計所得に無視できない規模の負担が生じれば、少なくとも個人消費はほぼゼロに失速すると筆者は予想します。消費増税以降、日本経済の成長率はほぼゼロ成長に減速するリスクが大きいと考えています。

日韓関係の悪化が大きなニュースになっていますが、それよりも日本人の生活に直結する問題として、消費増税の影響のほうがかなり大きいことは明らかです。最近の日本の報道では、こうした冷静な視点が欠けていると筆者は感じています。

<文:シニアエコノミスト 村上尚己>

【私の論評】増税で7年間に及ぶアベノミクスは帳消しになる。特に雇用は最悪に(゚д゚)!

日本の昭和末期から平成に至る政治史を振り返ったとき、消費税の導入や消費税の税率引き上げにまつわる動きは「呪われた歴史」といってもいいほど政権を潰し、苦境に追い込んできた。さらにはその都度、景気回復の兆しを迎える日本経済をどん底に突き落とすなど、悲劇的な状況を数々もたらす結果となった。

本来、消費税というのは優れた税制です。脱税がしにくく、徴税コストが安く、安定財源となる税制です。その優れた税制を正しく運営すべきでした。

しかし、その導入において、国民や野党の反対をかわすためだけにあまりにも誤った論理をふりかざし、嘘に嘘を重ね、しかもインボイス制度(適格請求書等保存方式)がない不完全な形で導入してしまいました。
そしてそれ以後、税理論や社会保障理論を歪めてまで、ひたすら消費税の増税こそが正義であるかのように志向してきた歴史が日本にはあります。
このような思惑で消費税の制度が歪めば歪むほど、無理が生じて、呪いにかかったかのように政権が潰され、日本経済にも悪影響を与えてきました。現在の消費増税議論がいかに歪んだものであるかを知るためにも、日本における消費税の歴史を振りかえってみます。

中根蘇康弘氏 首相当時

中曽根康弘首相は1986年7月に大方の意表を突くかたちで解散し(死んだふり解散)、衆参同日選挙に打って出ます。この折には、「国民や自民党員が反対する大型間接税はやりません」「この顔が嘘をつく顔に見えますか」と発言をし、衆院で300議席以上を獲得する大勝利を収めていました。
しかし、同年12月に政府税制調査会と自民党税制調査会が「売上税」を提案し、中曽根内閣は翌1987年2月に「売上税法案」を国会に提出したのです。

売上税はもちろん「大型間接税」ですから、「嘘つき」という批判が満ち満ちることになりました。結局、1987年の地方選挙で敗北をし、売上税は撤回に追い込まれました。大平内閣の挫折と、中曽根内閣の「嘘つき」で、消費税には決定的に悪いイメージが付くことになってしまいました。

1993年6月、野党が当時の宮沢喜一内閣の不信任案を出し、小沢一郎氏たちが造反して野党に賛成した結果、内閣不信任案は成立し、衆院選が行われることになりました。

ここで自民党は衆院での過半数を失い、逆に自民党を飛び出して新生党を結党した小沢氏たちは「非自民」勢力を糾合。かくして、自民党が下野し、八党派連立(日本新党、日本社会党、新生党、公明党、民社党、新党さきがけ、社会民主連合、民主改革連合)の細川護熙内閣が成立しました。



その細川首相が1994年2月3日未明に突然、記者会見を開いて「国民福祉税」構想を打ち出しました。税率3%の消費税を廃止して税率7%の福祉目的税にする、というものです。

細川内閣は、赤字国債を発行しないことを公約の一つにしていました。しかも当時、米国が日本の内需拡大を促すために、日本の所得減税を求めていました。

赤字国債を発行せず、所得減税も行うとなれば、消費税を増税するしかない状況でした。ところが、消費増税は、消費税反対を訴えて支持層を広げてきた社会党から受け容れられないことは目に見えていました。

ならば、いっそのこと「消費税」を廃止してしまい、「新税」の衣をまとわせようと考えたのでしょう。袋小路に陥った状況を活かそうと考えた大蔵省と小沢氏が、よく事情をわかっていない細川首相を抱き込み、一気に税制改革も進めてしまおうとしたのではないかと思います。

ところが、これが見事に頓挫します。政治家が目論む「新税」などすぐに見透かされるのであって、大蔵省とすれば、細川首相をうまく取り込んだつもりだったのかもしれませんが、連立政権内でも話し合われておらず、根回しがまったく不十分だったこともあって社会党などは猛反発しました。

たちまち翌4日の連立与党代表者会議で撤回されるに至りました。政権の求心力は急速に失われて、細川内閣は同年4月25日に総辞職しました。

そうして時代は下り、2012年12月の総選挙で、単独過半数を大きく超える294議席を獲得して圧勝した自民党が政権に返り咲き、第二次安倍晋三内閣が誕生しました。

それに先立つ2012年9月の自民党総裁選の際、安倍首相は消費税を上げる前にデフレ解消をする、といいました。安倍首相は消費税の増税には消極的でしたが、法律になったものを無視することはできず、「法律どおり」2014年4月、消費税率が5%から8%に引き上げられました。

せっかくアベノミクスによってデフレ対策が打たれ、2014年4月時点ではインフレ目標達成にかなり近いところまで行っていたのですが、消費税率を上げたことで景気は逆戻り。離陸し始めた状態で安定飛行に入っていなかった景気は、消費税の増税によって急失速してしまいました。

こうした状況を受けて、2015年10月の増税予定は一年半先送りされ、2017年4月の増税予定がさらに2年半先送りに。安倍首相が財務省の意向を退け、かろうじて踏みとどまったかたちでした。

現在、デフレは解消されつつありますが、脱却には至っていません。企業で人手不足の状況が生まれ、雇用回復に次いで当初の狙いである「賃金上昇」がようやく始まる、と思ったところで、政府は事実上の「移民」緩和政策を決めてしまいました。

過去3回の消費増税のうち、3%の税率で導入した1回目(1989年)は、バブル期で景気がよい状況でした。しかも物品税の減税と同時に行なったので、タイミングとしては悪くありませんでした。

しかし、税率が3%から5%に引き上げられた2回目(1997年)、5%から8%に引き上げられた3回目(2014年)の消費増税は最悪でした。いずれもデフレのときに行なったため、景気を大きく冷え込ませる結果となりました。

外国人労働者の流入が日本の賃金を押し下げていることは、このブロクでも過去に説明してきたように、はっきりしています。あまりにもタイミングが悪く、さらに2019年10月に消費増税を実行してしまえば、2012年以降、7年に及ぶアベノミクスの努力はすべて水の泡でしょう。

現在のマスコミは、このようなことを知ってか知らずか、増税のことなど忘れてしまったかのように、韓国問題ばかり報道しています。財務省の発表を鵜呑みにした報道ばかりで、おそらく知らないのでしょう。

2012年以降、7年に及ぶアベノミクスの努力が水の泡になるとはどういうことでしょう。結局、またデフレ円高に戻るということです。さらに、アベノミクスの大成果でもあった、雇用の改善もまた元に戻ってしまうということです。

再び、就活が最悪の状況に戻るということです。そうしてそれは、何をいみするのでしょうか。人は喉元すぎれば熱さを忘れ、という具合にわずか数年前のことでも忘れてしまいます。以下の動画は2013年に放映されていた東京ガスのCMです。

あまりにもリアルで、生々しい就活の悲惨さが批判の的になって、このCMは放送中止になりました。


以下の動画は、就活狂想曲」animation "Recruit Rhapsody"というタイトルです。

ごく普通の大学生として何となく過ごしてきた主人公。ところが近頃友人たちの様子がおかしい。聞けば、彼らは噂の"就活"に躍起になっているらしい。それが一体どのようなものなのか見極められぬまま、主人公もまた「ニッポン式就活」の渦中へと引きずり込まれて行くさまを描いています。 

作成は、「吉田まほ」さんです。2012年度の作品です。


この時代の就活ではいわゆる「コミュニケーション」を重視していました。

デフレの時期にはモノやサービスが売れないので、企業としてはなるべく新規採用を控えて、採用するにしても、デフレ対応型の無難な人材を採用する傾向が強かったものです。

デフレ対応型の無難な人材とは、どういう人材かといえば、「コミュニケーション能力に長けた人材」です。だから、採用の面談においても突飛な質問をするにしても、過去のデフレ期には「コミュニケーション能力」に関するものが多かったものです。

結局のところ、デフレという厳しい環境の中で、顧客や、会社や会社の中で働く人やに共感でき、苦難をともに乗り越えて行く人材が重視されたのです。創造性などは、あったほうが良いということで、最優先の資質ではありませんでした。

いずれかの方面に優れた才能や能力があったとしても、それはデフレの世の中ではなかなか役に立たず、結局そのような才能がなくても、コミュニーけション能力にたけた人間が一番無難だったのです。

デフレはモノ・サービスが売れず、創造性のある人材も登用されなくなるということで、想像以上に企業をかなり毀損してしまうのです。

以下は当時の就職面接を描いた動画です。声の詰まり方とかリアル過ぎてこちらがハラハラする。それにしても、このような面接現在なら考えられません。まさに、買い手市場だったからこそこのような面接になっていたのです。


そうして、このような面接が行われたのは、何も本人が悪いとか、面接官が悪いということではないのです。結局デフレのため、採用側は採用に慎重だったのが理由です。

企業その中でも、まともな企業であれは、デフレだからとっいって、一定期間に極端に採用を減らしていては、将来の管理職や幹部候補を選ぶ段になったときに、候補者がいないという状況になりかねたいため、無理をしてでも採用をしていたのです。

今年の新卒のある男性新入社員に綺譚のないところを聞いてみたところ、なかなか思った就職先に就職できなかったので、「就職浪人したい」との旨を就職担当の先生に伝えたところ、「就職状況は今は良いがいつ悪くなるかわかったものではないから、今からでも頑張って、とにかく就職しろ」と言われ、そこから就活を再開し就職したそうです。

この先生は正しかったようです。今後増税でこのようなことになるのは目に見えています。今後、就職面接でコミュニケーションが重視されることになるでしょう。

私は、安倍政権には、柔軟になっていただきたいと思います。今後、増税によって悪影響が出た場合には、柔軟に対応して、減税も実施していただきたいものです。いよいよになれば、機動的な財政政策と、金融政策を実行して、デフレから完璧脱却していただきいものです。

令和年間は、平成年間のように経済政策を間違い続け、ほとんどの期間がデフレスパイラルの底に沈んでいたというようなことは繰り返さないで欲しいです。

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2019年8月9日金曜日

韓国、ウォン暴落&株安で金融敗戦! 不良債権抱える中国も助けにならず “通貨危機の悪夢”再来か―【私の論評】最悪は米軍韓国撤退に伴う経済焦土化、反日どころではなくなる(゚д゚)!

韓国、ウォン暴落&株安で金融敗戦! 不良債権抱える中国も助けにならず “通貨危機の悪夢”再来か

ロボット部品などのメーカーを視察する文大統領。反日を続けても
経済は落ち込むばかりだ=7日、ソウル近郊

 韓国からの資金逃避が始まったのか。日本政府が貿易上の優遇措置を適用する「グループA(『ホワイト国』から改称)」から韓国を除外することを受け、通貨ウォンが暴落、株安も止まらない。国内の人気取りで「2度と日本に負けない」と言い放つ文在寅(ムン・ジェイン)大統領だが、見境のない反日暴走の先に待ち受けるのは、国際通貨基金(IMF)支援、リーマン・ショックに続く3度目の「金融敗戦」だ。


 外国為替市場でウォン相場は今月5日、対ドルで一時、1220ウォンを突破し、2016年3月以来約3年5カ月ぶりの安値を付けた。対円でも約3年ぶりの安値水準だ。

 株式市場も、韓国総合株価指数(KOSPI)も節目の2000どころか、一時的に1900を割り込む場面もあった。

 輸出の前年割れが続く韓国にとって、本来なら通貨安は干天の慈雨となるはずだが、韓国経済を長年ウオッチする元週刊東洋経済編集長の勝又壽良氏は、「いまの韓国にとってウォン安は歓迎すべき事態では決してない。対ドルで1300~1400ウォンまでウォン安が進むことは、金融危機が目前に迫っていることの予兆だ」とみる。

 過去の為替相場でも1ドル=1400ウォンを突破したのは2008年のリーマン・ショック時、そして1997~98年にIMFの支援を受けた悪夢の時期だ。

 勝又氏は「外資は株を売って逃げているが、韓国政府はこうしたときに支えてくれるはずの日本とけんかしてしまっている。日本が資金を引き揚げても問題はないと豪語しているようだが、金融危機が起こるとだれも貸してくれないことをどこまで分かっているのか」と首をひねる。

 外資の韓国離れも進んでいる。ゴールドマン・サックスが2013年、JPモルガンが18年に韓国市場から撤退したが、朝鮮日報は「フィデリティ、マッコーリーなど主な外資系資産運用会社の従業員は過去5年間で289人から148人に減少した。外資系資産運用会社5社のファンド受託額も12年の14兆ウォン台から現在は4兆ウォン台へと65%も減少した」と報じた。

 前出の勝又氏も「主要な上場企業の上半期の営業利益は前年と比べて約40%落ち込んでいる。格付け会社は韓国企業の大量格下げを警告しており、韓国全体の格下げを招く状況だ」と話す。

 事態をより悪化させているのが、感情的で支離滅裂な言動を繰り返す韓国政府自身だ。

 「日本は、韓国をホワイト国から除外しても、韓国の民生用の需要は減らさないと明言している。本来なら手順を踏んで3カ月待てば元に戻るはずだが、騒ぎを大きくしてしまっている。韓国経済が落ち込むのはその後だ」(勝又氏)

 韓国経済は中国への依存度が高いが、中国も助けにはならない。自国の銀行が抱える不良債権が膨らむなど深刻な事態を抱え、余裕がないのが実情だ。

米財務省が中国を「為替操作国」に指定したことも暗い影を落とす。当の韓国も米財務省に不透明な為替介入を指摘されている立場で、身動きが取れない。

 文大統領は、日本政府が韓国をグループAから除外すると決めたことについて、世界貿易機関(WTO)に提訴すると息巻く一方で、韓国側も、自国が設定した「ホワイト国」から日本を外すと表明した。

【私の論評】最悪は米軍韓国撤退に伴う経済焦土化、反日どころではなくなる(゚д゚)!

韓国の現在の経済の落ち込みなど、大した問題ではありません。そんなことより、米国が在韓米軍を撤退させるとき、米国は韓国経済を焦土化することてしょう。そうなれば、韓国経済はとんでもないことになります。それこそ、大東亜戦争終了直後に戻ることになるかもしれません。

昨年11月に訪韓したドナルド・トランプ米大統領が、京畿道平沢のキャンプ・ハンフリーズ基地の
米8軍司令部状況室で記念撮影を終え、ビンセント・ブルックス在韓米軍司令官と握手している

なぜ米国が、米軍を韓国から撤退させる前に焦土作戦を実行する可能性があるかといえば。韓国は、もう、米国の同盟国とは言えない状態だからだです。在韓米軍は、韓国と、軍事行動を共にすると、その軍事情報が北朝鮮に、すぐ漏れるとみなしています。

これが、軍事演習や平時の行動であれば、さほど問題はないかもしれません。しかし、有事の際に起これば、大量の米兵の死に直結することになりかねません。さらに、軍事物資に関しても敵国が、自分の兵器よりより高性能な兵器を持っていると、戦争をすれば大きな犠牲をともなうことになります。

さらに、兵站の問題もあります。日本は、韓国の経済を発展させ、インフラを整えさせました。これは、韓国に米軍がまともな兵站を確保するためにも役立ちました。しかし、米軍が撤退するとなると、経済的に発展させた韓国をそのまま北朝鮮に渡すわけはありません。米軍は、韓国から撤退する際、韓国経済を焦土化して出て行くことになるでしょう。

北朝鮮の金正恩は、中国に干渉されるのを極度に嫌っています。それは、中国に近かった叔父の張成沢や実の兄の金正男氏を殺害したことでも、明らかです。そうして、北朝鮮およびその核は結果として、中国の影響力が朝鮮半島に浸透するのを防いでいます。

これは、日米にとって悪いことではありません。最悪なのは、中国の影響力が朝鮮半島全体に及ぶことです。とはいいながら、米軍が韓国から撤退することになれば、北朝鮮や中国が韓国を接収しようとするかもしれません。そこまでいかなくても、韓国を自国の覇権が及ぶところにしようとするかもしれません。そのときに、韓国が現在のままであれば、敵に塩を送るようなものです。

だからこそ、米国は韓国を経済的に焦土化するのです。経済的に無意味な存在にしてしまえば、北朝鮮も中国も韓国を接収することに二の足を踏むでしょう。北朝鮮は韓国を摂取すれば、南北統一ができて一見良いようにもみえますが、そうなるとチュチェ思想には無縁で、金王朝に敬意も払わない多数の韓国人が北に入ってくることになります。

大東亜戦争時焦土化された日本の街。現代では経済的焦土化という方法がある。

それは、金正恩には到底許容はできません。中国にとっても経済的に無意味な存在になった韓国には全く魅力を感じません。そうなると、北朝鮮も中国も韓国は放置することになるかもしれません。さらに、接収すれば、多くの難民を抱えることになるだけです。

在韓米軍は、後2年は、最低でも韓国に駐留します。韓国に韓国軍の統帥権を委譲され南北戦争を戦って63年。米国は、文大統領に統帥権を返還を要請され、韓国にその資質があるか試しているというのが現状です。

その最終期限が2年後です。この2年間米国は、韓国に強く出ることはないでしょう。米軍は韓国本土に駐留しているわけで、闇夜に後ろから刺されるわけにいかないからです。当然兵站も必要です。だから表立って、、この2年に何をするかと言うと、何もしないというのが答えでしょう。

この、何もしないとは、どういうことかいとえば、例えば、日本が、韓国の貿易に関する優遇措置を撤廃するとしても、口を挟まないことです。韓国にの告げ口外交や、ロビー活動を展開されようが、何もしないのです。それだけでも韓国は、弱体することになります。

2年後以降は、いつ米軍が、韓国から撤退してもおかしくない状況になります。文大統領の任期は後3年。韓国が、近々に慌てて文大統領を引きずり下ろすというなら、状況が変わる可能性もありますが、このままいくというなら、在韓米軍徹底ということになるでしょう。在韓米軍の行き先は台湾ということになるでしょう。台湾にある米大使館予定地は、かなり広大で、一個師団が入れる広さです。

2008年の韓国通貨危機の時、米国は、韓国を通貨スワップで助けました。しかし今は、協定を結んでいません。日本も2012年に、期限延長を取りやめています。まずは、韓国を助けることはないでしょぅ。

現状では、韓国が問題を起こすたびに制裁することになるでしょう。既に、多くの問題を起こしていますから、一挙に制裁かけることも出来ますがが、在韓米国企業などに、警告を発する最終猶予は、与えるでしょう。

とにかく韓国には多くの問題がありすぎます。まずは、北朝鮮に対する瀬取り、日本の優遇を利用した軍事物資の敵国への横流し、米軍を守るためのTHAAD設置を邪魔したことです。

韓国は、北朝鮮を制裁すべき国なのにそれを邪魔しているどころか、積極的に北朝鮮を助けています。これは、国際法違反です。それだけで制裁対象になります。韓国は、世界のつまはじきになるでしょう。

在韓米軍が韓国を去る前に日本は、韓国と断交して、この米軍の韓国経済焦土作戦の煽りを受けないようにガードするとともに、米国とともに、焦土化に協力することになるでしょう。かつての日米の韓国への優遇措置など当然全部剥ぎ取られます。

アジア金融危機のときに、米国は韓国の大手銀行すべてに投資し、韓国経済の窮地を救いました。そのため、韓国人が汗を流して貯蓄すると、それは米国に配当金として流れ、米国が潤うということで、韓国は米国の経済植民地と揶揄されたこともありました。

しかし、焦土化にあたっては当然のことながら、これらの資金を米国は回収することになるでしょう。米国、日本企業、その他先進国の企業も韓国から引き上げることになるでしょう。

そうなっても、北朝鮮はもとより、冷戦で自己保身がせいいっぱいの中国も韓国を助けることはできません。

旭日旗を掲げて行進する緒先人志願兵

米中貿易韓戦争を思い浮がべれば、韓国焦土化は、苛烈なのになることが考えられます。韓国は中国と比べてもはるかに小さな存在です。GDPは日本の東京都と同規模です。日米への依存度が高すぎます。産業構造は日本のコピーのようであり、日米の助けがなければ、韓国自身は何できません。韓国の日米企業は、日米韓国焦土化に乗り遅れないように今から準備しておくべきです。

焦土化された韓国は、第二次世界大戦終戦直後の韓国経済に戻ることになるでしょう。それは、北朝鮮経済より多少ましなくらいか、それ以下かもしれません。そのような韓国は、荷物になるだけで、北朝鮮も中国も何も関心を示さなくなるでしょぅ。北朝鮮は、38度線を厳重に警備し、韓国難民を受け入れない体制を強化することでしよう。

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