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関係者はほくそ笑んでいる
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7月21日に行われた参院選の結果にいちばん安堵したのは、財務省だろう。10月の消費増税を確定的なものにしたからだ。
今回の参院選では、山本太郎氏の「れいわ新選組」が消費税廃止を訴えたのをはじめ、野党は増税反対の方向で一致した。
一方、自民党も「当面10%以上に消費税を増税することはない」と明言して選挙を進めていた。
今回の参院選では、山本太郎氏の「れいわ新選組」が消費税廃止を訴えたのをはじめ、野党は増税反対の方向で一致した。
一方、自民党も「当面10%以上に消費税を増税することはない」と明言して選挙を進めていた。
安倍政権という長期政権のうちに消費増税を達成しておかないと、次の政権になったらいつ実現できるかわからない。そして安倍総理が財務省に対して、ある程度の警戒心を抱いていることも知っていたので、様々なルートを駆使して「攻略」することに腐心していた。
まず、安倍総理の「盟友」である麻生太郎財務大臣を徹底して財務省の味方につけた。消費増税は、憲法改正とともに麻生氏の政治的な使命だと、本人に言及させたのだ。
麻生氏を懐柔したことで、増税のみならず、戦後有数の「財務省危機」を乗り切ることに成功した。ここ数年で相次いだ、森友学園への国有地売却に関する決裁文書の書き換え問題や、福田淳一財務事務次官によるセクハラ問題は、下手をすると財務省の解体にまで発展しかねない、未曽有の懸念材料だった。
そのような状況で、麻生氏を軸に、永田町と霞が関の距離をうまく調整することで、財務省の組織解体を免れ、あくまで役人の個人的な問題として処理させたのだ。
おまけに今回の参院選により、財務省悲願の消費増税まで実現間近だ。福田氏の後任事務次官である岡本薫明氏は今年7月末から2期目に突入するが、これらの「偉業」により、省に名を残す次官となるだろう(あくまで省内目線での話だが)。
今回の参院選の大義名分が「増税選挙」であったとはいえないが、結果的に安倍政権は2度の消費増税に耐えたことになる。'89年の消費税創設(竹下内閣)、'97年の5%への増税(橋本内閣)では、それぞれ政権が倒れた。'14年の8%、そして10月の10%への増税でも政権が倒れなかったわけだから、財務省にとっては「希望の政権」に見えるのだろう。
「4選」の噂がないわけではないが、ひとまず'21年9月に安倍総理は任期満了だ。財務省としても、安倍政権での消費増税は「10%」でもう十分だと考えているはずだ。消費税は、30年間で3回増税した。均せば10年に1回で、参院選期間中、「今後10年くらいは消費税率を上げることはないだろう」と総理が発言したことにも符合する。
まず、安倍総理の「盟友」である麻生太郎財務大臣を徹底して財務省の味方につけた。消費増税は、憲法改正とともに麻生氏の政治的な使命だと、本人に言及させたのだ。
麻生氏を懐柔したことで、増税のみならず、戦後有数の「財務省危機」を乗り切ることに成功した。ここ数年で相次いだ、森友学園への国有地売却に関する決裁文書の書き換え問題や、福田淳一財務事務次官によるセクハラ問題は、下手をすると財務省の解体にまで発展しかねない、未曽有の懸念材料だった。
そのような状況で、麻生氏を軸に、永田町と霞が関の距離をうまく調整することで、財務省の組織解体を免れ、あくまで役人の個人的な問題として処理させたのだ。
おまけに今回の参院選により、財務省悲願の消費増税まで実現間近だ。福田氏の後任事務次官である岡本薫明氏は今年7月末から2期目に突入するが、これらの「偉業」により、省に名を残す次官となるだろう(あくまで省内目線での話だが)。
今回の参院選の大義名分が「増税選挙」であったとはいえないが、結果的に安倍政権は2度の消費増税に耐えたことになる。'89年の消費税創設(竹下内閣)、'97年の5%への増税(橋本内閣)では、それぞれ政権が倒れた。'14年の8%、そして10月の10%への増税でも政権が倒れなかったわけだから、財務省にとっては「希望の政権」に見えるのだろう。
「4選」の噂がないわけではないが、ひとまず'21年9月に安倍総理は任期満了だ。財務省としても、安倍政権での消費増税は「10%」でもう十分だと考えているはずだ。消費税は、30年間で3回増税した。均せば10年に1回で、参院選期間中、「今後10年くらいは消費税率を上げることはないだろう」と総理が発言したことにも符合する。
今後、財務省は消費税「10%超」を狙うための「10ヵ年計画」を仕込んでいくだろう。総理交代で財政方針も転換するかもしれないが、緊縮財政が進んで歳出がカットされるくらいなら、増税でも構わないと国民が納得するのを財務省は待つことになる。
緊縮財政を「ムチ」とすれば、「アメ」は軽減税率だ。実際、新聞は軽減税率の兼ね合いから、消費増税を争点化できなかったと見受けられる。ほかにも、一時的な財政支出が「アメ」として機能する。参院選後、安倍総理は増税後の景気対策で一時的な財政支出に言及している。緊縮路線での「アメ」は、さぞかし甘いことだろう。
『週刊現代』2019年8月3日号より
【私の論評】下卑た財務官僚はすでに10%超増税、年金減額、その他大緊縮路線に向けて動いている(゚д゚)!
財務省はここ数年、異例とも呼べる人事が続いてきました。一般的に官僚組織というのは、人事に関する外部干渉を嫌うものですが、官庁の中の官庁と呼ばれた同省は特にその傾向が強く、終戦の混乱期においても基本的な人事パターンを変えなかったといわれています(当時は大蔵省)。
そんな財務省が、異例の人事を行ってきたのは、何としても消費増税を実現するためです。
同省は「10年に1度」の大物次官と呼ばれた勝栄二郎氏(75年入省)を3期も続投させ、消費税対策に奔走しました。その結果、勝氏の後任だった真砂靖氏(78年)が1年で退任し、その後、木下康司氏、香川俊介氏、田中一穂氏と79年入省の人物が連続して次官に就任するという異常事態が続きました。田中氏の後任として次官に就任した佐藤慎一氏(80年)も、35年ぶりの主税局長からの昇進だったので、やはり異例の人事といってよいでしょう。
官僚組織がひとたび人事のパターンを崩すと、政治の介入を招きやすくなり、組織の弱体化につながります。実際、一連の変則人事には官邸の意向が強く作用したともいわれており、結果的に財務省は、森友学園問題では自殺行為ともいえる文書改ざんに手を染め、立て直しを期待された福田淳一次官は(82年)は何とセクハラ問題で辞任してしまいました。
福田氏の辞任直後から、後任人事をめぐって様々な怪情報が飛び交いましたが、3カ月の空白期間を経て、2018年7月にようやく本命の岡本薫明氏(83年)が次官に就任し、2019年7月の人事では続投が決定しました。岡本氏の就任と続投は、消費増税を実現した財務省が、定常パターンに人事を戻し、次の施策にシフトするための布石と考えられます。ナンバー2、ナンバー3の人事を見ると、その意図はさらに明白になってきます。
岡本薫明氏 |
茶谷氏は、岡本氏と同様、秘書課長や主計局次長など、次官になるための主要ポストを歴任していまは。政治的な動きは見せず、典型的な財務官僚タイプと評されており、同省的にはまさに王道といってよいです。
茶谷氏が次官の最有力候補と仮定すると、来年の人事において官房長から主計局長に転じ、2021年に次官に就任する可能性が高いです。岡本氏が3期続投するとは考えにくいので、そうなると、来年の人事では、現在、主計局長の太田充氏(83年)が、1年だけ次官を務めるというシナリオが有力です。
岡本氏と太田氏は同期であり、太田氏は文書課長や秘書課長を経験していません。もし太田氏が次官に就任した場合、これも異例人事のひとつと見なせるかもしれないですが、その後、茶谷氏が次官に昇進すれば、勝氏以来、続いてきた変則的な人事はすべて終了となります。
本来の姿に戻った財務省は、これでようやくポスト消費税の施策に専念できるわけですが、同省の次の狙いが社会保障制度改革、つまり簡単に言ってしまえば、年金の減額であることは明白です。加えて言うと、安定財源を確保するため、10%以上への消費増税についてもすでに検討に入った可能性が高いでしょう。
今回の参院選では、年金2000万円問題という想定外の事態が発生したものの、このブロクでも以前解説したように、元々年金は保険制度であり、これは日本は及ばずどの国でも政治上の争点になりにくい制度です。そのため、今回の選挙でも結局大きな争点とはなりませんでした。
選挙後に記者会見に臨んだ麻生財務大臣は、消費増税について「消費税率の引き上げは最初から申し上げてきた。その意味では信任をいただいたと思う」と、増税しないという選択肢はなかったとも受け取れる発言を行っています。
また、今回の参院選で228万票を獲得した「れいわ新選組」が消費税廃止を訴えたことについては、「福祉は負担と給付のバランスの上に成り立っているが、給付が増えて負担を減らすことが成り立つと思っているのだろうか」と否定的な見解を示しています。
また、今回の参院選で228万票を獲得した「れいわ新選組」が消費税廃止を訴えたことについては、「福祉は負担と給付のバランスの上に成り立っているが、給付が増えて負担を減らすことが成り立つと思っているのだろうか」と否定的な見解を示しています。
社会保障の財源を消費税とする議論は元々おかしな議論なのですが、その論議はおいておき、実は選挙前にも、財務省が主導する社会保障の財源である消費増税の見通しについて微妙なやり取りがありました。
7月3日に開催された党首討論会では、安倍首相が「(10%への増税を実現できれば)今後10年は消費増税は必要ないと思う」と述べたのですが、翌日には公明党の山口那津男代表が「責任ある発言とは受け取れない」とこれを否定したのです。政府内部の実務レベルでは、10%以上への増税がすでに既定路線となっていることを伺わせる出来事といってよいでしょう。
参院選に先立つ党首討論会でも、首相は今後10年は消費税増税は必要ないと明言した |
来年、国会への提出が検討されている社会保障制度改革法案の内容は明らかにされていないのですが、マクロ経済スライドの強化が盛り込まれる可能性が高いです。現在のマクロ経済スライドは、物価上昇時にそれを打ち消す形で年金を減額する仕組みだが、政府内部では物価の上下にかかわらず、年金給付額を削減するプランが検討されています。
もう一つは、70歳からが上限となっている年金支給年齢の引き上げです。
現在、標準的な年金の支給開始年齢は65歳ですが、本人が希望すれば、年金を増額した上で70歳まで支給を遅らせることができます。これを75歳以上まで引き上げることで、稼ぎのある高齢者への支給を抑制したい意向です。
あくまで本人の希望ということですが、この施策の最終的な狙いは、標準的な年金支給開始年齢についても70歳まで引き上げることです。近い将来、年金は70歳からしかもらえなくなる可能性が高いです。
政府は参院選への影響を配慮したのか、本来、選挙前に出るはずだった「年金財政検証」の結果公表を遅らせています。今回の財政検証でどの程度までの減額が明記されるのか要注目です。従来よりも踏み込んだ数字が記載された場合、給付削減と消費再増税の確度は高まったと判断してよいでしょう。
政府は参院選への影響を配慮したのか、本来、選挙前に出るはずだった「年金財政検証」の結果公表を遅らせています。今回の財政検証でどの程度までの減額が明記されるのか要注目です。従来よりも踏み込んだ数字が記載された場合、給付削減と消費再増税の確度は高まったと判断してよいでしょう。
省益にしたとしても、なんとスケールの小さいものなのかと言わざるを得ないです。国民の幸福と引き換えにするには、あまりに小市民的で下卑たものであると言わざるを得ません。こうしたことが見透かされているからこそ、最近は東大生もこの卑しい省を目指さなくなったのでしょう。
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