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2017年12月16日土曜日

「アラフォー世代は一生貧困を宿命づけられている」クロ現のアラフォークライシス特集にネット阿鼻叫喚 「泣けた」「救いが無くてテレビ消した」 ―【私の論評】対症療法、精神論は無意味!真の打開策はこれだ(゚д゚)!



NHKが12月14日の「クローズアップ現代+」で取り上げた「アラフォークライシス」特集に、悲鳴が上がっている。番組では、5年前との給与を比較したデータを紹介。他の世代は額の大小はあれいずれも増額しているのに、35歳~39歳、40歳~44歳のアラフォー世代だけがマイナスになっている。40代前半に至っては、2万3300円もの減額だった。


給与が上がらないのには複数原因があるが、大量採用されたバブル期世代が上につかえ、昇格・昇進のスピードが遅いこと、アラフォー世代が20代の頃、企業が能力開発にかける費用を減らしたために、今、充分なスキルが身に付いていないことなど、どれも社会のせいとしか言いようがないものばかりだ。

■70代の親の年金収入が頼みの綱になっている40代も 


勤続年数の短さも要因の1つだ。就職氷河期に就活を強いられたアラフォーは、新卒時に運よく正社員になれても、希望の会社への就職を目指して転職する人が多かったという。同じ企業に15年以上務めたアラフォー世代の割合は、バブル期に就職した上の世代より9ポイントほど低い。勤続年数は給与額に影響するため、結果的に増額幅も小さくなる。

正社員より深刻なのは、就職氷河期から非正規として働き、その後リーマンショックで派遣切りされるなど散々な目に遭ってきた非正規労働者たちだ。 

番組では、有名私立大学の理工学部を卒業し派遣やアルバイトを転々とした後、現在は市の臨時職員として働く40代男性が紹介されていた。これから転職しようにも、30代・40代に求められるマネジメント経験を積んでいないため面接に呼ばれることすらなく、人手不足に湧く求人市場の盛り上がりに取り残されていると話していた。

 
また、70代に入った親の年金収入に養われる無職の40代の存在、「7040問題」も紹介されていた。親が亡くなれば収入が途絶え、生活が立ち行かなくなる。番組に出ていた社会福祉士は

「アラフォー世代は一生涯貧困になるのを宿命づけられている状況。このままだと、下流老人、高齢期の貧困を想定せざるを得ない」

と警笛を鳴らす。

「これが自己責任なら政府はいつの時代も何もしなくていいて話だからな」

ネットではこの放送に、大きな反響が上がった。多いのはやはり、当事者であるアラサー世代たちからの声だ。「身につまされすぎて言葉もない」「特集がきつくて泣けた」「救いが無くてテレビ消した」など、現実を突きつけられたアラサー世代の悲嘆が数多く見られる。また、「取り上げるの10年遅い」「どこかで考えていたらなんとかなっていたんじゃない?」と、もっともな意見もあった。

非正規雇用者の雇用の不安定さは言うまでもなく、40代無職と70代親の同居が起こる可能性は、パラサイトシングルという言葉が出始めた時から予想できたはずだ。それでも救済策が取られてこなかった現状に、「これが自己責任なら政府はいつの時代も何もしなくていいて話だからな」と、国の対応の不十分さを指摘する声も多かった。

【私の論評】対症療法、精神論は無意味!真の打開策はこれだ(゚д゚)!

NHKのクローズアップ現代『アラフォークライシス』をご覧になっていない方は、以下のリンクをご覧担って下さい。番組の概要が掲載されています。
アラフォー・クライシス
NHKのクロ現はじめとして、マスコミは中途半端な報道しかしません。この『アラフォークライシス』も現象面しか報道しておらず、真の原因すらも明らかにしていませんし、対処法についても、対症療法的なものしか提供していません。

これでは、社会不安を増すばかりで、この番組の意味が全くありません。

結論からいうと、『アラフォー・クライシス』の真の原因は、過去の金融・財政政策のまずさです。この問題の解決をするのは、まずは、現状の過去よりははるかにましながら、未だ物価目標2%を達成できていない中途半端金融緩和政策をやめて、さらなる量的金融緩和を実施することです。

それとともに、アラフォー世代というか、高校・大学・大学院をすでに卒業した人たちのための新たな教育・訓練システムの開発です。

過去の金融・財政政策のまずさについては、以下のグラフをみていただけると良くご理解いただけるものと思います。


雇用と金融緩和とは密接に結びついています。これは昔からフリップス曲線として経験的に知られていることです。日本では、金融緩和により物価が2〜3%上昇すると、他には何もしなくても一夜にして雇用が数百万人創造されます。逆にいえば、物価が数%下がると、一夜にして雇用が数百万人失われます。

この事実に関しては、日本ではなぜか完璧に無視されているようです。特にマスコミはこのことを理解していません。NHKもそうです。だから、クロ現でも金融政策については、完璧にスルーです。

この雇用に重要な政策である金融政策に日銀は大失敗しています。

まず第一回目の大きな失敗は、過去の金融政策の失敗について説明します。「バブル期はどんどん物価が上がった。すごいインフレ状態だった」というイメージを持っている人も多いようです。たしかに、バブル世代の人々が、なぜか自慢げに語る当時の武勇伝(「こんなに金を使えた」「接待に次ぐ接待で大変だった」「予算は青天井」などなど)を聞くと、その話は、あたかも真実であるかのように響きます。

しかし、バブル期とされる1987~90年の一般物価の上昇率は、実は0・1~3・1%。ごく健全な物価上昇率であって、「ものすごいインフレ状態」とは、とてもいえないものでした。

バル期に異様に高騰していたのは、株式と土地などの資産価格だけでした。「一般物価」と「資産価格」を切り離して考える必要があり、バブル期の実態は「資産価格のバブル」だったのです。

ところが、当時の日銀はバブルの状況分析と原因分析を正しくできず、政策金利(当時は公定歩合)を引き上げて金融引き締めをしました。資産バブルを生んだ原因は、金融面ではなく、法の不備を突いた「営業特金(売買を証券会社に一任勘定する仕組み)」や「土地転がし」などによる資産売買の回転率の高さだったのですが、日銀は原因分析を間違えて、利上げという策を実施しました。

第二回目の失敗は、2006年3月に量的緩和政策を、7月にはゼロ金利政策をそれぞれ解除したことです。その後も引き続き超低金利政策を維持、景気は内需中心の回復軌道に入ったとされていました。しかし、景気は2007年に減速し、実質GDP成長率も低下しました。量的緩和の解除を短期集中的に行ったことが金融市場と景気にショックを与えた影響は甚大なものでした。

しかし、日銀はこれらの失敗に懲りることなく、また三回目の失敗をしています。


この図は、2007年1月時点での各国のマネタリーベースの量を100として、その後の各国のマネタリーベースの量の変化を表したものです。

さて、上の図を見るとFRB、イングランド銀行、欧州中央銀行(ECB)は2008年の9月にマネタリーベースを急激に増加させています。2007年1月に比べてFRBは2.5倍、イングランド銀行は3倍、ECBは1.5倍、マネタリーベースを増やしています。08年9月にアメリカ第4位の投資銀行リーマン・ブラザーズが破綻したことにより、金融危機のダメージを防ぐために、各国の中央銀行はマネタリーベースをかなり増やして金融緩和を行いました。

ところが、日銀はほとんどマネタリーベースを増やしませんでした。上の図を見ると、明らかなように同じ時期の日本のマネタリーベースの量は2007年1月と同じくほぼ100のままです。

他国が金融緩和をしているにもかかわらず、日本だけが金融緩和をしないということになれば、日本の円だけが高くなってしまいます。そのため、この時期には未曾有の円高になってしまいました。

このためいわゆるリーマンショックは、米国発祥であり、イギリスなどもサブプライムローンの悪影響をもろにかぶりましたが、本来サブプライムローンとはほぼ無縁であったはずの日本は、日銀が金融緩和をしなかったために、震源地の米国や英国が金融緩和ですばやく危機から脱出したにもかかわらず、一人負けの状態になりました。

当然、このような金融政策の失敗をすると、雇用にもかなり悪影響を及ぼします。アラフォーがリーマンショックで派遣切りされたのもこの時期です。

このような大失敗の他に、日銀は小泉政権のときに一時量的緩和をしたのですが、それ以外はほとんど引き締めをしており、これも当然のことながら、雇用に悪影響を与えました。

金融引締めにより、金融政策に失敗すると、まずは雇用弱者である若者が悪影響をこうむり、若者の失業率が増えます。それでも金融引締めを続けていると、今度は実質賃金が下がりはじめます。「アラフォー」はその時々で、最も悪い局面に当たっていたのです。それは下の図と先のグラフなどを見比べるとより鮮明になります。


そうして、日本は消費税を3%から5%に上げた直後に、完璧にデフレに突入しました。デフレに突入した場合に、通常とられる政策は、金融緩和と積極財政です。これにより、デフレから脱却することができます。

しかし、政府は消費税増税という緊縮財政を繰り返しました。そのため、GDPの60%以上を占める、個人消費が減退して、上のグラフにも示したように名目GDPは頭打ちとなりました。

GDPが伸びなければ、企業は雇用を控え、設備投資も控えるようになりました。これも、雇用に打撃を与えました。そうして、『アラフォー世代』はその悪影響に直撃されたのです。

この状況を打開するためには、まずはさらになる金融緩和が必要です。これについては、最近このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
【日本の解き方】日銀の資金供給量鈍化でインフレ目標達成できるのか 国民経済のための金融政策を―【私の論評】年長者こそ、正しい金融政策に目覚めよ(゚д゚)!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に一部を引用します。
日本で具体的に言えば、NAIRU(インフレを加速しない失業率)は2%台半ばであり、そのために必要なインフレ率は2%であるので、それをインフレ目標としているわけだ。 
現時点では、失業率3%弱、インフレ率0%強という程度で、最適点には民主党時代よりかなり近づいたが、いま一歩のところで足踏みをしている。
まずは、失業率を2%台半ば、物価目標を2%を達成するまで、追加の量的金融緩和を続けること、達成したからといって、すぐにやめるのではなく、これが安定するまで継続することが必要です。

まずは、これを実行しない限り、他の対症療法をしても『アラフォークライシス』は打開できません。まずは、これが絶対条件です。

その他、この金融緩和の良い影響を迅速に波及させるために、積極財政を打つことです。その手法としては、消費税減税などが考えられますが、それが無理というのなら、ここでは詳細は掲載しませんが、デフレ・ギャップを解消するために20兆円の経済対策を打つべきです。

それが無理というのなら、最低10兆円の経済対策を打つべきです。ただし、この場合は単年度に終わらせることなく、最低2年は継続し、できれば完璧にデフレギャプがなくなるまで継続することです。

これらを達成して、物価目標やNAIRUを達成すれば、『アラフォークライシス』はある程度は、解消できます。これだけで、自力で脱却できる人も存在すると思います。それでも過去の金融・財政政策のまずさを起因とする『アラフォー』特有の問題が残っています。

それは、『アラフォークライシス』に悩まされる人たちは、30代・40代に求められるマネジメント経験等を積んでいないという現実があるからです。そうして、自力では学ぶ機会も得られないという現実があるからです。

私は、アラフォー世代の人たちと話をしていると、確かにマネジメントの経験がないことを痛感することがよくあります。

たとえば、この世代の人たちにマネジメント原則がわかりやすく掲載されているドラッカーの書籍などを読ませて、感想などを聞くことがあるのですが、特にこの年代の人たちが、書籍を読んでも字面を追いかけているだけで、わかったつもりになっているだけで、実際には理解していないと感じることが多いです。

規模の大小を問わずある程度、まともな会社であれば、たとえばドラッカー流のマネジメントの原則を知っていれば、職場で発生する様々な問題や課題のほとんどは解決できるはすです。しかし、これを学んでいないため、悩んだり、いたずらに時間を費やしたり、努力の方向を間違えたりしている「アラフォー」の人が多いように感じています。

これは、学び直す以外に方法はないと思います。これを実行するためには、たとえ学校を卒業したにしても、何らかの方法で、継続学習が可能なシステムを構築すべきだと思います。成人が学校へ戻って継続学習・研究ができることが常識になる社会を構築すべきです。そうして、まずは『アラフォー・クライシス』に悩まされている人々を優先的に継続学習ができるようにすべきでしょう。

マネジメントに限らず、学校を卒業した後でも、企業を運営するために必要な新たな知識を得たり、研究することができる社会を構築すべきなのです。これについては、述べていると長くなりますので、別の機会にまた述べたいと思います。ただし、知識社会に突入した現在、富の源泉は知識に移っており、こうした社会ではいずれ、働く者に継続学習の機会を提供することは当たり前のことになります。実際、欧米ではそのような方向に動きつつある国々もあります。

ただし、いくら継続学習ができるシステムを社会に取り入れたとしても、他の対症療法や、精神論を語ってみたとしても、今の日本ではまずは正しい金融政策を実行して、NAIRU(インフレを加速しない失業率)2%台半を達成するべきであることを忘れるべきではありません。

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2017年10月13日金曜日

“モリカケ問題”争点化も左派メディア敗北 ネット上「偏向報道っぷりが酷過ぎる」―【私の論評】マネジメントの原則からみたマスコミ知能低下の要因(゚д゚)!

“モリカケ問題”争点化も左派メディア敗北 ネット上「偏向報道っぷりが酷過ぎる」

報道ステーションの富川アナウンサー

 新聞各紙の世論調査で自公圧勝の構図が浮かび上がった衆院選(22日投開票)。これまで“偏向報道”を繰り返してきたメディアにとっても衝撃の結果となったようだ。

 11日放送のテレビ朝日系「報道ステーション」では、8党首を集めた党首討論を放送。しかし約45分の討論のうち、ほぼ半分が「モリカケ問題」に費やされ、残りのテーマも「憲法改正」と「選挙の枠組み」のみ。今回の焦点のひとつである「北朝鮮問題」については、ほとんど議論されないという結果となった。

 こうした報道に、ネット上でも「党首討論、モリカケで終わるの?」「また『モリカケ』オンリーかよ」「偏向報道っぷりが酷過ぎる」といった批判が相次いだ。

 “偏向報道”をめぐっては、先日のTBS系「NEWS23」でも、番組関係者とみられる「2人でモリカケっ!」という声が流れた後、星浩、雨宮塔子両キャスターが安倍晋三首相の話をさえぎり、森友学園や加計学園の話題に移したことに批判が集中。ネット上でも「国難よりも総理批判」「印象操作では」という声が上がっていた。

【私の論評】マネジメントの原則からみたマスコミ知能低下の要因(゚д゚)!

この番組は、本当に酷いものでした。JCASTニュースには、上の記事よりもさらに詳細が記されていましたので、以下にその記事のリンクを掲載します。
報ステ42分中26分が「モリ・カケ問題」 「党首討論でないですよね、これ」
この党首討論では、報道ステーションが安倍総理に対してネガティブ・イメージを徹底的に植え付けようと、最大限の努力をしたようですが、この番組を見た限りでは、安倍総理に完敗したようにしかみれませんでした。

この党首討論の番組終わりでコメンテーターの後藤謙次氏は「総理が続投した場合に何を中心にやるのかあまり見えてこなかった」。 富川悠太氏はそれに応えて「政策面もなかなか分かりづらい」などと馬鹿丸出しの 発言をしていました。

後藤謙次氏
そもそも、自分たちが「モリカケ問題」で番組の大半の時間ついやし、「政策面の話」をほとんど聴かなかったので、このようになっているだけなのに、本当に間抜けです。

この日の報道ステーション最後のほうの部分を以下に掲載します。

そもそも、安倍総理の話をきちんとある程度の時間を割いて聴かなれなければ、政策など分かるわけないです。自分たちがそうなるように仕向けておきながら、 仲間内だけになるとまた都合よく話を作っているとしかみえません。

このような理屈もわからない、この二人知能が極度に低いのではないでしょうか。というのも、報道ステーションでは党首討論で昨年も不手際があったからです。
「報ステ」党首討論が大荒れ「学級崩壊」状態 安倍首相側「演出は卑怯」とテレ朝批判
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に一部を引用します。
参院選(2016年7月10日投開票)公示前としては最後に行われた党首討論は、発言中に他の党首が割って入る場面が相次ぎ、特に終盤は大荒れの「学級崩壊」状態だった。 
党首討論は16年6月21日夜にテレビ朝日「報道ステーション」で約45分にわたって行われたが、安倍晋三首相は、収録が予定よりも長引いたことを「スケジュールいっぱいなんですよ、おかしいでしょ、それ!」などと激怒。収録後もテレビ朝日に抗議し、フェイスブックでも秘書が「こちらが打ち切った様な印象を与える演出は卑怯」などと番組を非難する書き込みをするなど、「延長戦」の様相だ。

昨年もこのような問題を起こし、今年もまた問題を起こし、何の反省もないのですから、呆れてしまいます。それにしても、なぜこのように頭の悪いとしか思えないような行動しかできないのでしょうか。

富川悠太氏は、頭の悪さを安倍総理の前で露呈したこともあります。

昨年7月報道ステーションに出演した安倍総理が、富川悠太アナの意味不明な提案を受けて苦笑する場面が見られました。動画はYouTube(ANN公式)でも公開されており、富川悠太アナに対する批判の声が高まっていました。

動画はこちら(3:34~)



富川悠太アナが安倍総理に質問したのは「憲法改正を発議する前に国民の信を問うことはしないのか?」と追及するものでした。形式こそ質問ではありますが、会話の流れを追っていくと、富川悠太アナは憲法改正発議前に国民に意見を聞くことが大事と主張していることが分かります

だが、現行の憲法改正のルールにおいては、発議された後に国民投票で過半数の支持が得られれば承認されることになっています。それゆえ富川悠太アナの「事前にも国民投票をする」という主張は意味が分からず、どうしても堂々巡りになる議論に安倍総理はついに笑いだしてしまいました。

富川アナは、政治関連の報道をするには、頭が悪すぎるのではないかと思ったのですが、彼を取り巻く環境も彼の頭を悪くしているのではないかと思います。後藤謙次についても、そのようなことが言えるのではないかと思います。

それには、民進党崩壊の理由とダブるものがあると思います。このブログでは最近、民進党崩壊の真の理由についてマネジメントの原則の背景から説明したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
リベラル勢力たちの自業自得 「反安倍なら何でもあり」では国民から見捨てられるだけ―【私の論評】マネジメントの原則から見る民進党消滅の要因(゚д゚)!

詳細は、この記事をご覧たただくものとして、この記事より、私が民進党崩壊の要因としたものを以下に列挙します。 
第1は、自分たちの使命は「政権や権力と戦うこと」と定義してしまうと、本来の使命を考えなくなってしまうことです。 
第2に、「アベ政治を許さない」では、まともな意思決定ができないということがあります。 
第3に、民進党は、「アベ政治を許さない」という信念に凝り固まって、妥協の仕方が下手だということもあります。
この3つが知らず知らずのうちに、民進党を弱体化し、とうとう消滅の憂き目に会いました。この3つが実は、マスコミに携わるものの、頭を悪くしていると考えられます。

多くのマスコミは、とくにかく「政権や権力と戦うこと」平たくいうと「安倍政権打倒」が使命になっています。これでは、あまりに単純すぎてまともに物事を考えなくなります。

政治家なら選挙に落ちれば、ただの人ということになりますから、どのような議員でもある程度緊張感があります。しかし、大手テレビや大手新聞など、既得権益に守られてかなり楽な仕事で、給料も高いですが、ほとんど緊張感を欠いてまともに報道の使命など考えなくなります。これで、まずは頭が相当悪くなります。

まともな意思決定ができない状況というのは、決定においては誰が正しいかを考えてばかりいて、何が正しいかを考えないとか、いずれは妥協が必要になるからこそ、最初から誰が正しいか、何が受け入れられやすいかという観点からスタートしてしまうような状況です。

まさに、マスコミは「安部政権打倒」という観点から、スタートするので、「何が正しい」などとは最初から考えず、「安倍政権が間違いで、我々が正しい」という観点からスタートするので、まともな意思决定などできません。まともな意思決定ができない状態というのは、かなり頭の悪い状態です。この状態を長い間続けていると、本当に知能が低下することになると思います。


「安倍やめろ!」はスローガンとしても最悪の部類
最後に、妥協の仕方が下手というのは、ソロモン王の裁きの逸話にもあるように、「半分のパン」は食用になるが、「半分の赤ん坊」はいないより悪いということが理解できていないということです。

実際野党の多くは、何が国民から受け入れやすいかという観点から、護憲という立場を崩さないことを前提に物事を考え、最初から落とし所を考えるため、北朝鮮の危機にまともに対応できるような意思決定ができません。北朝鮮どころか、国際情勢からかけ離れた意思決定しかできません。そうして、政治の世界では妥協がつきものですが、「半分のパン」を得る正しい妥協ができません。

しかし、マスコミは、先にも述べたように、既得権益に守られているため、このように正しい妥協をして「半分のパン」を得る努力もあまりしなくてもすみます。

普通の人なら誰もがなるべく正しい妥協をして、「半分のパン」を得る努力を日々しています。たとえば、日々会社やの自分の担当する部署を運営をするにしても、多くの人が、モノ・カネ・人・情報などのすべて潤沢に揃えらることは少なく、その範囲の中でもなるべく良い結果がでるように智慧を絞り努力しています。

しかし、マスコミはそうではありません。上記で述べたようにかなりいい加減な仕事をしていても、既得権益があるので、何とでもなります。そういう中では、創意工夫も生まれず、日々知能が低下していくのは当然のことです。

そうして、彼らは社会人としての知能が低下しているので、自分たちが「アベ憎し」で野党などを応援しているつもりなのでしょうが、かえって弱体化を助長しているという意識がないようです。

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2016年12月18日日曜日

【悲報】池上彰さんの番組のグラフが「印象操作」だとネットでは批判殺到―【私の論評】裏付けに乏しく、また実感にも乏しい印象操作が支持されるわけがない(゚д゚)!



池上彰の番組が波紋を呼んでいる。問題の番組はフジテレビの「池上彰緊急スペシャル 格差はなぜ世界からなくならないのか」というもので、世界の格差と日本を比べるというものだ。番組では日本の格差が徐々に広がっている点を問題提起していたわけですが、そのグラフが明らかに印象操作していたということだ。


問題となっているグラフは日本の平均所得の推移と、米国の平均所得の推移。一見、米国の赤い色(下位90%)推移のほうはあまり変わっておらず日本はとんでもなく変化しているように見えますが、実はこれ目盛りの値が全く違い、日本のほうは0.8~1.4、対して米国は0.5~3.0と全く異なる。

従ってこれを比べると、日本がものすごい格差が広がっているようにみえるのですが、同じ目盛りの表にしてみると・・・。



(左:番組の表・右:当サイトで同じ目盛りにしたもの)

こんな感じになるはずです。確かに格差は広がっているので間違いではないのですが、左に比べるとインパクトは薄い。

テレビ側としては誤ったグラフを使用しているわけではないが、あえて目盛りを変えたこの表現にネットでは印象操作だ!と批判が殺到している。


ーネットの反応
・ 分かりやすく説明を心がけながらウソをつく奴は社会にとって害悪過ぎるな
・ 池上彰さんがグラフの縦軸スケール弄りとかいう データを騙して見せる初歩的な印象操作してて幻滅しました
・  私もあまり見ないですが最近酷くなりました。
・ これには池上彰にガッカリしました。
・ 池上彰さんの公式謝罪まだかぁ
・ 縦軸を入れるから気づかれるんだよ。
・ 新聞も馬鹿のための読み物なんだろう。
・ テレビで絶対にやってはいけないこと
・ これちょっとひどくね
・ 自分も見てたけど、これはひどいと思った。
・ 池上彰でもこういう事かましてくるので、メディアリテラシーが求められますね
・ 真実はどうでもよくて言いたい事だけいえればいい、と思っているのは分かるけど。
・ そのへん色々解説してくれる池上彰みたいな彼氏欲しい
・ あっ!ホントだ! 放送見てる時には気が付かなかった。
・ 池上彰のグラフ比較のは推移の比較だから縦軸違ってもあれでええんやで

【私の論評】裏付けに乏しく、また実感にも乏しい印象操作が支持されるわけがない(゚д゚)! 

この種の印象操作、テレビで絶対にやってはいけないことのはずです。しかし、現在では、マスコミの人はデータを自分で扱えない人ばかりなので、この手の子供だましにも騙されるようです。これは、マスコミの体質を示す出来事だと思います。

マスコミで消費増税賛成、金融引き締め賛成の人は、財務省や日銀当局の資料・データを鵜呑みにする輩がかなり存在します。というか、資料・データを一回食わされて、それをTVで御開陳。その後も御当局資料・データ依存症になって、結果当局のいいなりコースになるという人は結構多いです。池上氏も紛れも無くその一人です。

池上氏の上のグラフは、1980年〜2010年までのものです。このように、一部を切り取るのも大きな印象操作です。日本では、2012年までは明らかに、酷いデフレでしたから、下位90%の賃金も下がるのは当然ですし、上位10%の賃金も下がっています。しかし、下位90%の賃金がより下がっているので、格差が広がっているのですが、それにしてもその本質はデフレによるものです。

米国は、かつて一度も日本のように深刻なデフレに至ったことはありません。にもかかわらず、格差が広がっています。これは、社会構造による格差です。

もともと、日本は西欧に比較すると格差は少ないほうです。池上彰は、アベノミクスが格差拡大や貧困を加速したということを言いたいのでしょうが、現在もその代表的なデータは事実上存在しません。

つまりこれは、池上彰の勝手な思い込みにすぎないのです。例えば、貧困率は2012年までしか利用できず、ジニ係数の推移はつい最近まで2010年までしか利用できません。だからこそ、池上彰のグラフも2010年までとなっているのです。しかし、2010年といえば、民主党政権下にありました。この古い資料をもって、安倍政権を批判することはできまん。安倍政権は、2013年からスタートしています。


経済格差は高齢化とともに拡大する傾向にありますが、現段階の雇用状況の大幅改善、雇用者報酬の増加、さらには最近の実質賃金の増加傾向も含めると、安倍政権の政策の結果で貧困や格差が増加してはいません。

もちろんさらに経済状況を改善する余地があるとか、または現状の消費低迷からくる経済低迷を改善するという主張なら賛成です。しかし池上彰はまずアベノミクス全否定ありきなのようです。このような事実に反した印象操作、また多くの人々の実感にも乏しい主張が支持されるわけがないでしょう。

だからこそ、ネット上で、池上彰の番組が波紋を呼んでいるのでしょう。

さらに、日本が比較的格差が欧米に比較して少ないことは、以下のグラフからも明らかです。


明らかに、日本の所得上位1%シェアは、英米より低いです。そうして、欧米と根本的に異なるのは、日本では、トップ1%は、所得1300万円以上なのです。これは、無意識に多くの人々から、3000万円とか、もしかすると5000万以上と思われているふしがあります。

トップ1%が年収1300万円を、正確に言います。このグラフの出処である、World Top Incomes DatabaseのJapanのところをみれば簡単に数字は出てきます。トップ1%の年収は1280万円。ついでに、トップ10%、トップ0.1%、トップ0.01%の年収はそれぞれ576万円、3261万円、8057万円だ(いずれも2010年)。

厚労省による所得再配分調査は、世帯の所得分布と等価所得という個人ベースの所得分布について所得再分配前後のデータがあります。以下の図は、等価所得の所得再配分前の所得分布です。


国税庁の民間給与実態統計調査は、毎年出されている統計でしばしば利用されますが、これは給与をもらっている人しか調べていません。(下図)



これによれば、トップ1%は年収1500万円、トップ4%で年収1000万円です。いずれの統計でも、マスコミやそこに出演する多くの人はトップ1%に無論、池上彰自身も入っていることでしょう。

格差問題について、マスコミで議論すると、池上氏のようにほぼ格差を是正すべきという論調になります。もちろん、所得再分配をある程度は行うべきとは、私も思います。ただし、それはあくまで海外と比較しながらにすべきです。日本の格差は、米英のアングロサクソン国に比べれば、たいしたことなく、高齢化でも説明出来る程度に過ぎません。

このような実体があるにもかかわらず、グラフを操作するなどして、テレビで日本の格差が酷すぎるように印象操作をしたとしても、エビデンスに乏しく、実感にも乏しい主張がが支持されるわけがないでしょう。だからこそ、この番組のグラフは、twitterなどのSNSで批判され続けているのです。

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2016年7月2日土曜日

不穏な中国軍 参院選投票日狙い尖閣上陸の可能性 ネットに訓練写真を掲載―【私の論評】「マラバール」と「米上院議員尖閣上空飛行」で中国大パニック(゚д゚)!


中国軍の上陸訓練を伝える中国中央テレビの
映像。沖縄県・尖閣諸島を狙っているのか
東シナ海をめぐり、看過できない動きが明らかになった。中国軍による戦闘機や艦船による挑発的行動が続くなか、中国のインターネットメディアに6月末、大型揚陸艦による「上陸作戦」の訓練写真が多数掲載されたのだ。日本が参院選(7月10日投開票)で忙殺されるなか、中国軍は沖縄県・尖閣諸島などへの上陸を狙っているのか。日本は「領土を守る」という覚悟を示し、厳重に警戒する必要がありそうだ。

 中国に関するニュースを報じるインターネットサイト「世界論壇網」(=原表記は簡体)に、中国人民解放軍海軍の071型揚陸艦「長白山」をはじめとする15枚の写真が掲載されたのは6月27日のこと。うち9枚には国営メディアのクレジットが入り、複数の水陸両用車などが陸(島?)に向かう様子が映し出されていた。

 071型揚陸艦は、基準排水量が約1万2300トンとされ、海上自衛隊のヘリコプター搭載型護衛艦「ひゅうが」(同排水量約1万3950トン)に匹敵する。輸送ヘリコプター2機や、艦尾ドックから発進するエアクッション型揚陸艇4隻などを収容。兵員も500~800人程度は輸送可能とみられる。

071型揚陸艦「長白山」
中国問題に詳しい元警視庁通訳捜査官で作家の坂東忠信氏は「写真はタイとの合同演習時の際に撮影されたもので、今年5月21日、国営メディアで公開された。尖閣諸島と直接関係するわけではないが、人民解放軍が上陸作戦訓練を行っていることを中国政府が認めたことになる」と語る。

 気になるのは、すでに国営メディアで報じられた上陸作戦の写真が、なぜ、6月27日に「世界論壇網」に再掲載されたかだ。この時期、中国軍は東シナ海での行動をエスカレートさせていた。

 中国海軍のジャンカイI級フリゲート艦が6月9日、尖閣周辺の接続水域に侵入した。中国の軍艦として初めてだった。さらに、中国海軍のドンディアオ級情報収集艦が同月15日、鹿児島県・口永良部島(くちのえらぶじま)の西方海域の日本領海を侵犯した。

 海だけではない。

 自衛隊トップの河野克俊統合幕僚長は同月30日の記者会見で、今年4~6月に日本領空に接近した中国軍機に対する航空自衛隊戦闘機の緊急発進(スクランブル)の回数が、昨年の同時期に比べて80回以上増え、過去最多の約200回となったことを明らかにした。

 河野氏は「海上においても空においても中国軍の活動範囲が拡大し、活発化している。エスカレーションの傾向にある」と強い危機感を示した。

 一方、元空自航空支援集団司令官の織田(おりた)邦男元空将が同月28日、「東シナ海上空で、中国機が空自機に対して攻撃動作を仕掛け、空自機が離脱した」とする記事をインターネット上で発表したことについて、河野氏は「(中国機が)攻撃動作をとった事実はない」と否定した。

赤外線誘導ミサイルから回避するためのフレアの発射訓練をする自衛隊戦闘機
ただ、空自機が離脱する際に「自己防御装置を使用した」と織田氏が指摘した点については、「使ったか使っていないかは言及しない」と明言を避けた。

 織田氏の指摘が事実なら、中国機の行為は軍事衝突に発展しかねない危険極まる行為といえる。

 日本が現在、参院選のまっただ中というタイミングも気になる。

 前出の坂東氏は「これまでは、日本の選挙期間中に軍事行動を活発化させれば、保守政党が支持を伸ばし、親中派のリベラル政党のマイナスになるため、中国軍は目立った行動はしなかった。今回は違う。軍事行動のレベルを上げ、メディアでもアピールしている。『いまなら東シナ海の覇権を握れる』と踏んで行動しているのではないか」と分析し、続けた。

 「参院選の最中に、尖閣諸島の魚釣島や、周囲の岩礁に上陸する可能性もあるのではないか。やるとすれば、日本政府が対応を取るのが難しい投開票当日が危ない。上陸後は危険を避けるため、すぐに立ち去るだろうが、石碑などを残していき『自分たちの主権がこの島まで及んだ』と国際的にアピールするかもしれない。中国は、韓国が不法占拠している島根県・竹島を念頭に置いているようだ」

 中国軍の尖閣上陸は、軍事的に可能なのか。

 軍事ジャーナリストの竹内修氏は「上陸自体は、物理的には十分可能だ。まずは小型艇で特殊部隊を送り込むことが考えられる。もし、この部隊と自衛隊が交戦状態になったなら、中国は『わが国の領土、軍隊を攻撃した』と主張し、揚陸艇など大規模な部隊を送り込み実効支配に移る。中国が考えるのはこうしたシナリオだろう」と指摘する。

 自衛隊は現在でも、24時間、365日、日本の領土・領海・領空を守り、国民の生命と財産を守っている。常識が通用しない中国軍をこれ以上増長させないためにも、さらなる警戒が必要だ。

【私の論評】「マラバール」と「米上院議員尖閣上空飛行」で中国大パニック(゚д゚)!

上の記事でも指摘しているように、先月になってから、東シナ海での中国軍の活動が活発になっています。

これについては、以前このブログに述べたように、日本の南西諸島で日米印の共同訓練「マラバール」が実施されたことへの中国側の牽制であることは、このブログにも掲載しました。

しかし、これだけだと、上記のような中国の先月からの異常な戦闘機や艦船による示威行動は説明がつかないかもしれません。

やはり、中国側にとっては、アメリカのマケイン上院議員の尖閣上空の飛行はかなりの脅威なのだと考えられます。

「マラバール」プラス「米常喜院議員尖閣上空飛行」が中国をパニックに陥れているのだと思います。

マケイン上院議員による、尖閣上空の飛行については、ツイッターでは掲載したことがありますが、ブログには掲載したことがなかったので、以下にその内容を掲載します。
米大物議員が尖閣諸島上空を飛行、中国は領空侵犯と抗議―米紙 
尖閣上空を飛行したとされるジョン・マケイン議員
2016年6月25日、環球網は記事「米議員、チャーター機で尖閣諸島上空を飛行、中国側は強く抗議」を掲載した。  
24日付の米紙ワシントン・ポストによると、米国のジョン・マケイン議員は6月初頭に台湾を訪問し、その後、チャーター機で東京へ向かう途中、尖閣諸島上空を飛行したという。同紙によると、駐米中国大使館は領空侵犯だとして米上院に抗議の書簡を送ったという。  
マケイン議員は23日に声明を発表し、中国公船の尖閣近海への侵入は東シナ海情勢を緊迫化させていると主張。また尖閣諸島は日米安保条約の適用範囲だと米国政府の立場を強調した。
 この内容は、日本ではほとんど報道されませんでした。わざわざ、上院議員の搭乗したチャーター機が、尖閣上空を飛行したわけですから、これは当然のことながら「政治的メッセージ」含んでいます。無論、中国側は、日米ともに「日中には領土問題は存在しない。尖閣は日本固有の領土である」という政治メッセージであると受け取ったことでしょう。

最近では、米国は「マラバール」を日本の南西諸島で実施したり、上院議員が尖閣上空を飛行してみたりで、日本の尖閣問題にも積極的に関与するようになりました。これに対して中国はかなり神経を尖らせるどころかパニックに陥っているようです。

だからこそ、ブログ冒頭の記事のように、東シナ海でも航空機や艦船の動きを活発化させ、さらにインターネットサイト「世界論壇網」中国人民解放軍海軍の071型揚陸艦「長白山」をはじめとする15枚の写真が掲載され、尖閣奪取を匂わせるような報道をしたのだと考えられます。

オバマ大統領は2014年4月23日に国賓として来日するのを前に、21日夕方(米国東部時間)に読売新聞の書面インタビューに以下のように回答しています。

米国のオバマ大統領は書面インタビューで、沖縄県の尖閣諸島について「日本の施政下にあり、それゆえに日米安全保障条約第5条の適用範囲内にある」(are administered by Japan and therefore fall within the scope of Article 5 of the U.S.-Japan Treaty of Mutual Cooperation and Security)と述べました。第5条は米国の対日防衛義務を定めており、歴代の米大統領が尖閣に対して安保条約の適用を明言したのは初めてでした。

2014年日本を国賓として訪問したオバマ大統領は安倍総理と寿司屋で酒をくみかわした
ただし、日米安保の5条は、アメリカ議会が武力使用を了承すれば武力で守るというものです。従来は、アメリカ議会が了承するかどうかは何ともいえないところがありましたが、マケイン上院議員の尖閣諸島上空の飛行は、その後アメリカ議会でも何ら問題になった様子もないことから、アメリカ議会の意思を表明したものといえます。

米国議会はシリア、ウクライナの轍を踏むことはないという強烈な意思表示であると考えられます。確かに、日本が中国の傘下に入ってしまうようなことがあれば、米国にとっては一つも良いことはありません。日中合同の軍事力や、経済力は米国にとってかなりの脅威になるはです。

米国議会では、2014年あたりから、対中国強硬論が日増しに強くなっていました。これについては、このブロクでも取り上げたことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
米国議会で日増しに強くなる対中強硬論―【私の論評】世界は複雑だ!米中一体化、G2など中国の妄想にすぎない!しかし、日本にとってはこの妄想につけこむ絶好のタイミングかもしれない(゚д゚)!
米国国会議事堂
 詳細は、この記事をご覧いただくものとして、当時米国では対中関係は以下のように総括されていました。
 「中国に対して、米側には伝統的に『敵扱いすれば、本当に敵になってしまう』として踏みとどまる姿勢が強く、中国を『友好国』『戦略的パートナー』『責任ある利害保有者』『拡散防止の協力国』などと扱ってきました。だが、そうして40年も宥和を目指してきたのにもかかわらず、中国はやはり敵になってしまったのです」(元国防総省中国担当、ジョー・ボスコ氏)
これは、明らかに外交は全く不得手な及び腰のオバマ大統領に対する批判です。安倍総理は、アメリカ議会などに先駆けて、対中国強硬論を提唱していましたが、これにアメリカも対強硬論を唱えはじめたのです。

そうして、その流れで、先月の「米国上院議員の尖閣上空の飛行」+「マラバール」という状況になったわけです。

以上のように中国の立場にたってみれば、なぜ東シナ海でブログ冒頭の記事のように、挑発を頻発させるようになったのか理解できます。

しかし、日米をこのようにさせたのは、元々中国が南シナ海や、東シナ海で傍若無人な態度を撮り続けたからです。

私自身は、 「世界論壇網」への上陸作戦の写真の掲載も、中国による日米同盟への牽制であり、すぐにも尖閣諸島への上陸奪取ということはないとは思っています。

しかし、このブログにたびたび示しているように、中国は現在権力闘争の真っ最中にあります。その典型的なもののリンクを以下に掲載します。
【石平のChina Watch】習主席、頓挫した「独裁者」への道 衆人環視の中で目撃された異様な光景 ―【私の論評】刎頚の友で、独裁者になりそこねた習!だが、中共の本質は変わらない(゚д゚)!
習近平国家主席を後ろから手をかけて呼び止め、話しかけた王岐山氏
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、一時は反腐敗運動で勝利を収めつつあるようにもみえた習近平の権力闘争ですが、そうではなかったことがこの記事をご覧いただければ、おわかりになると思います。

中国が未だ権力闘争のまっただ中ということであれば、中国という国は対外関係も自らの国内事情によって動く国ですから、中国軍による尖閣上陸も十分にありえます。

権力闘争のまっただ中ということは、習近平や半習近平派のいずれもが未だ中国内で十分に統治の正当性を獲得していないということです。

どちらかの派閥が統治の正当性を圧倒的に強めることができれば、権力闘争に勝つことができます。現在の中国では、経済的にも社会的にも統治の正当性を高められるような事案はほとんどありません。

そうすると、当然海外に目をつけることになります。尖閣など非常に良い材料です。尖閣に上陸して、実行支配することができれば、中国国内でも強力なデモンストレーションとなり、統治の正当性を高めることができます。

中国には互いに権力闘争を続けるいくつかの派閥があります。いずれかの派閥が、尖閣上陸実行支配という冒険に出ることは十分に考えられます。派閥配下の人民解放軍や、海上民兵やその他の組織もあります。

それらのうち、いずれかが冒険に出るというシナリオは、十分にあり得ます。

これに対処する方法もこのブログで以前掲載したことがあります。それを以下に再掲します。
これを防ぐための手段は、政府は、政治、外交、軍事を含む総合的で戦略的な対応を早急に取るべきであるとともに、実際に中国軍がどのような行動をとれば、日本が武力を用いて中国軍を排除するに至るかをはっきりさせ、それを中国および世界の各国に向かって予め周知しておき、中国軍がそのような動きを見せれば実行することです。 
さらに、これを実行に移すには、ルトワック氏の著書『中国4.0』にある提言が参考になると思います。 
どうなるか分からない不安定さを持つ中国に対応するために、無理に大局をみるより現実的な個々の事象に個々の組織が対応するべく準備せよというものです。 
日本側が、独自かつ迅速な対応を予め用意しおくように進言しています。しかも、各機関相互間の調整を重視するよりも、各機関が独自のマニュアル通りに自律的に行えるようにしておくべきとしています。 
たとえば、海上保安庁は即座に中国側の上陸者を退去させ警戒活動にあたり、外務省は諸外国に働き掛けて、中国の原油タンカーやコンテナ船などの税関手続きを遅らせるという具合です。とにかく、「対応の迅速さを優先させる」ことを強調しています。
陸海自衛隊による島嶼防衛訓練
各機関が、このようなマニュアルを用意しておき、即座に動くことが肝要であることをルトワックは主張しているのだと思います。各機関が綿密に共同して行動していては、迅速さに欠けて、あれよあれよという間に、南シナ海で中国が実施したように、いずれ軍事基地化され、既成事実をつくられてしまってからは、これを取り消すことは至難の業になるからでしょう。 
各機関が独自に動けば、初期の対応はかなり迅速にできるはずです。無論、海上自衛隊も、マニュアルに従い、独自に動き、尖閣有事の際には、別行動をしている海上保安庁の巡視船の行動を見守り、それではとても歯がたたないまでに、事態が悪化した場合、迅速対応するという形になるでしょう。 
そうして、中国側は、日本の迅速な対応に拒まれ、結局何もできないうちに、なし崩しになって終わってしまうということになると思います。 
こうした、迅速な初期対応が終わった後に、その後の対応に関して、各機関が綿密に共同して行動すれば、良いということです。とにかく迅速さが一番ということだと思います。多少拙速であったにしても、中国側に既成事実を作られるよりは、遥かに良いということです。
現在の中国は、激烈な権力闘争の最中にありながら、対外的にも南シナ海、東シナ海に手を出しているという、特異な状況にあります。国内で権力闘争を継続しながら、日米印、ASEAN諸国などと対峙し続けるという状況にあります。そうした中での「マラバール」+「米上院議員尖閣上空飛行」は、私達などが想定する以上に中国にとってかなりの脅威です。

権力闘争がなく、習近平なり他の誰であろうが、為政者が権力を完全に手中に収め、中国を完璧に統治していれば、中国は尖閣上陸奪取をすぐに実行するなどというような冒険はできなかったかもしれませんが、今はそのような状況ではなく、いつ上陸してもおかしくはないです。誰が、自分の属する派閥の統治の正当性を高めるため、尖閣上陸を企てるかわかったものではありません。

政府は、このようなことを予め想定して、それに対する備えを十分に備えていただきたいものです。私達国民としては、中国の尖閣奪取などのことは十分起こりえることであると、覚悟を決めておく必要があります。そうなってから考えるのではなく、今そこにある危機として、日本はどうするべきなのか、予め冷静に判断しておくべきです。

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2016年4月24日日曜日

【中国ネットウオッチ】熊本地震祝いバーゲンセール「日本沈没なら在庫一掃セールだ!」 ―【私の論評】国内で反日による統治の正当性強化ができなくなった中共に明日はない(゚д゚)!

【中国ネットウオッチ】熊本地震祝いバーゲンセール「日本沈没なら在庫一掃セールだ!」 

4月18日、中国陝西省西安市のレストランが、「日本の大地震を
心からお祝いします」という横断幕を掲げて物議を醸している。
熊本、大分両県を中心に相次ぐ地震の被害状況は中国でも大きく報道され、一部のニュースサイトが特集ページを組むなど高い関心を集めている。ただ長年の反日教育が醸成してきた日本への敵意と憎悪は、ネット上で隣国の災害を喜ぶ書き込みとして噴出し、地震記念セールを掲げる企業まで現れた。一方、こうした低劣な人間性を攻撃し、被災者の平穏を祈る声も少なくなく、中国世論の分裂と葛藤を浮かび上がらせた。

■「日本が沈没したら在庫一掃」

香港の蘋果日報(電子版)は17日、「良心のない中国企業」が日本で起きた地震を祝う特別セールを実施し、ネットユーザーらの怒りを招いていると報じた。記事によると、浙江省で調理器具などを生産している企業は自社のホームページで「日本の大地震を祝い、今日からバーゲンセールを実施します。もし日本が沈没したら在庫一掃です」とアピール。また陝西省の自動車販売店も「さらに大きな地震がくれば価格はもっと安くします」とネット上で宣伝した。

中国版ツイッター「微博」には、店頭に地震を祝うメッセージを掲げた家電店の写真も出回った。あるユーザーはリストを作成し、日本の地震に便乗して下劣な宣伝を行った企業・店舗は中国国内で20以上に上ると主張した。

さすがにネット上では「中国人の恥さらし」「こんなに悪辣(あくらつ)で下品なやつらは人間とはいえない」「最低の道徳すらないゴミたち」「(反日の)洗脳で価値観が狂ってる」とネット上で怒りの声が続出し、ほとんどのメッセージは削除されたもようだ。

■「漢奸は助けるな」

ただこうした行為が相次いだ背景には、中国社会に沈殿する反日情緒がある。普段はさほど目立たないが、良きにつけ悪しきにつけ日本をめぐる大きなニュースが報じられると、一斉にこの感情が巻き起こり社会を満たすことになる。

熊本県南阿蘇村の温泉旅館で孤立していた中国・上海からの観光客20人が自衛隊ヘリで救出されたとの報道に対しては、同胞が救助されたことへの安堵(あんど)や感謝よりも、「漢奸は助けなくてもよい」「日本の犬はかえってくるな」と被災した観光客を突き放す声が目立った。

「中国人を代表して日本の人民が平穏に過ごせるよう願う」とのコメントには「おまえは中国人ではなく漢奸の代表だ。本当の中国人は歴史を忘れない」「日本は中国侵略を否定し、南京大虐殺を否定している。おそらく天意だろう」と歴史を持ちだし、日本をののしる自らを肯定する書き込みが相次いだ。

■日本の平穏祈る声も

地震発生後に「ライオンが逃亡した」「朝鮮人が井戸に毒を投げ込んだ」などの悪質なデマが日本のツイッターで出回ったことも「これが日本の民度だ」などと日本を“口撃”する正当化に利用された。

「いつ東京大地震は起きるんだ。待ちわびているぞ」

「遅かれ早かれ大和民族には天罰が下る」

「津波が発生しなかったのは幸い中の不幸だ」

こうした病的な反日情緒をたしなめ、被災者の平穏を祈る声が一定数あることは救いだといえよう。

「自然災害を前に人類はちっぽけな存在だ。日本の民衆が早く通常の生活に戻れますように」

「日本に天の加護がありますように。日本の人民がんばれ」

熊本県のPRキャラクター「くまモン」は「熊本熊」として中国人にも人気があり、「くまモンは大丈夫だよね?」といった書き込みも。微博などでは、けがをした「くまモン」の手をとって気遣うパンダのイラストが広くシェアされている。

【私の論評】国内で反日による統治の正当性強化ができなくなった中共に明日はない(゚д゚)!

上の記事では、商店などが日本の熊本地震記念セールを実施して、国内から非難を浴びていることが掲載されています。

中国では未だに政府により反日教育などが実行されています。中国共産党は、昨年も噴飯物の抗日70周年記念軍事パレードを実施しています。だからこそ、熊本地震記念セールなどという非常識な企業まで現れるのです。

ところが、現在の中華人民共和国と日本は一度も、まともに戦争したことはありません。日本が戦争したのは、現在は大陸中国から台湾に退いている国民党政府軍とです。1945年8月15日の終戦時には、国民党は大陸中国に存在していました。

終戦後に、本格的な国民党軍と共産党軍の争いが始まり、その後国民党軍が敗れて、台湾に退いたのです。中華人民共和国が成立したのは、1949年の10月1日のことです。

だから、現在の中共が抗日70周年記念軍事パレードを挙行するなど、そもそも歴史的事実とは整合性などなく、全くおかしな話なのです。

にもかかわらず、なぜ実行するかといえば、それは中国共産党の統治の正当性を主張するためです。古今東西いかなる国の政府でも統治の正当性がなければ、国をまともに治めることはできません。

かつての、ナチスもナチスの統治の正当性を主張するため、頻繁に軍事パレードを挙行していました。敗戦が濃厚になった時期でさえ、ベルリンなどでは、爆撃の廃墟の中でも頻繁に軍事パレードが挙行されたそうです。


現在の日本は、議会制民主主義が根付いていて、選挙によって選ばれた政治家による政府ということで、統治の正当性が保たれています。しかし、中国では建国以来選挙がなく、日本をはじめとする普通の国では当たり前の政府の統治の正当性など主張することができません。

だからこそ、中国共産党は自ら統治の正当性を強調する必要があるです。彼らは何によって強調するかといえば、それは強大な人民解放軍の軍事力、強力な公安警察(中国では警察組織全部をふくめて公安警察と称する)や城管を含めた統治機構によるのです。

しかし、それだけでは不十分なので、日本を極悪の侵略者と位置づけ、その極悪日本を追い払った中国という、本来は中国共産党とは関係のない歴史を強調して、さらに統治の正当性を強調しているのです。

それでも、なかなか中共は統治の正当性を強調しきれていないようです。もともと、中国では建国以来毎年平均2万件の暴動が発生していたとされています。これ一つとっても、中共の統治の正当性は十分確立されていたとは言いがたいです。

2014年広州の警察と1万人もの住民が衝突、数台のパトロール・カーを
ひっくり返した暴動のきっかけは、当局による強制消防調査であるとされている
そうして、中国では、中共の統治の正当性が脆弱であることを示す事件が発生していました。それは、四五天安門事件(第一次天安門事件(1976年4月5日) - 天安門広場に捧げられた花の撤去に怒った民衆と軍や警察との衝突、六四天安門事件(第二次天安門事件(1989年6月4日) - 民主化を求めるデモ隊と軍や警察との衝突。多数の死傷者を出したという事件です。

第二次天安門事件後には、中共は統治の正当性を高めるために、江沢民などが組織的、体系的に反日教育を実行し始めました。

この頃から反日教育を受けた、子供たちが現在大人になっているわけですから、彼らの頭の中は反日教育で染まっています。

しかし、このような統治の正当性の強化によってさえ、中共はそれをなかなかそれを強化できませんでした。

先ほど、述べたように、中国では建国以来毎年平均2万件の暴動が発生していたと掲載しましたが、2010年あたりから、それが一挙に10万件にものぼるようになり、この年から政府は暴動の件数など発表しなくなりました。

それは現在でも発表されてないことから、現在でも毎年平均そのくらいの数の暴動が発生してるものと推測できます。

そうして、2010年あたりでは、中国では政府の強い規制があるものの、インターネットもかなり普及していました。そのため、反日のサイトもかなりたちあげられ、中には管製反日サイトも多数あったようでした。

しかし、これは2012年あたりから政府によって規制されるようになりました。まずは、管製反日サイトはすべて廃止され、民間の反日サイトも結局全部廃止に追い込まれました。

2012年8月19日中国四川省成都で、反日デモをする人々ら
なぜ、そんなことになったかといえば、反日サイトを放置しておくと、最初は反日の書き込みが活発になされるのですが、それに反政府的な書き込みがなされるようになり、それを放置しておくと、反政府の書き込みで溢れ炎上してしまったからです。ほとんどのサイトがそのような状況になったので、政府は反日サイトを完全封鎖するに至ったのです。

同じことが反日デモでも起こりはじめました。中国共産党としては、最初は「愛国無罪」などとして、過激な反日デモも許容していました。それどころか、中共は、管製デモを煽るようなこともしました。

公安警察などを用いて、反日デモを組織して、人民を煽るように仕向けました。最初のうちは、多くの人民が反日で盛り上がっていました。

しかし、その後、反日デモがいつの間にか、反政府デモになってしまうという状況が続きました。中には、反政府デモを開催するとして届けを出しても、絶対に許可されないので、反日デモを開催するとして届け出を出して、その実反政府デモをするという市民団体も出現するにおよび、中共は反日デモも規制するようになりました。

2013年からは、中国では反日サイトも、反日デモも影を潜めることになりました。あれから3年目の2016年ですが、確かにここ日本では、反日デモの報道などされていません。

上の記事では、地震記念セールなどを実施する企業があったことが報道されていますが、中共としてはこれを煽るようなことはしてはいないようです。

しかし相変わらず、サイトに掲載される反日的書き込みには神経を尖らせていることでしょう。なぜなら、これを放置しておき炎上したりすると、その後には反日からいつの間にか反政府の書き込みに変わり、大炎上してしまう可能性もあるからです。

中共は相変わらず、今でも教育現場で、反日的な修正された歴史を教え込み、中国人民に対して、統治の正当性をアピールしています。

しかし、このようなことがいつまで続くのか、かなり疑問です。いくら教育現場で、人民に過去の修正された反日的歴史観を叩き込んでみても、現在の日本を戦争好きの悪魔のような存在であると教えこんだにしても、それは現実ではなく、妄想に過ぎません。

このような歴史を刷り込まれた中国人が、実際に日本を訪れると、日本はそのような国ではないことがすぐに理解できます。

そうして、いかに中共が人民に反日思想を吹き込んだにしても、中国人民が政府から弾圧されている事実は変わりません。だからこそ、毎年10万件もの暴動が発生するのです。

こんなことを続けていても、いずれ全く効果はなくなります。なぜなら、中国共産党には統治の正当正当性がきわめて脆弱だからです。

そうして、ブログ冒頭の記事にもあるように、長年の反日教育が醸成してきた日本への敵意と憎悪は、ネット上で隣国の災害を喜ぶ書き込みとして噴出し、地震記念セールを掲げる企業まで現れたのです。一方、こうした低劣な人間性を攻撃し、被災者の平穏を祈る声も少なくなく、中国世論の分裂と葛藤を浮かび上がらせたのです。

「日本の大地震を祝い3日間セールを行う」と店頭に掲げた
家電店の写真。微博など中国のネット上で拡散している

中国共産党としては、今回はネットへの熊本震災に関わる反日的書き込みに対しては、黙認していると思います。下手に介入すると、政府による干渉が人民の反感を買い、反日する側それを攻撃する側の両方ともが、いつの間にか反政府的なものに変わる可能性もあるからです。

しかし、この中国世論の分裂と葛藤はいつまで続くでしょうか。他国の震災を喜ぶような異常なことが、いつまでも多くの人民に支持されるというようなことが続くはずはありません。これは、あまりにも異常です。

いずれ、このような低劣な人間性の発露は全く許容されなくなる時がやってくることでしょう。

そのような予兆は、以前からありました。下は、2012年当時に北京の反日デモで撮影されたものです。


彼女が掲げているスローガンの日本語訳を以下に掲載します。
私たちは戦争を、地震を、水害を乗り越えて来た。 
ここはファシストの土地ではなく、私たちの土地。 
暴力によって築き上げたのではない。 
そう、ここはもう文革を行う場所ではない。 
この土地で開かれた平和の祭典・オリンピックを全世界が見つめた、
その場所ではないか。 
暴力を停止しよう。 
私は知っている。私たちの祖国はかつて愛にあふれていたことを。
このようなスローガンが中国人民に当然のことであると認識されるようになれば、中共の統治の正当性は地に堕ちることになります。その時、中共による中国統治は不可能になり、他の正当性のある主体にとって変わられることになります。

統治の正当性を確保できない政府は崩壊するしかありません。

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