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2017年8月19日土曜日

【日本の解き方】景気拡大による人手不足、苦境に陥るのはブラック企業 労働者には賃上げの好機―【私の論評】長期と短期でみた雇用対策のありかた(゚д゚)!

【日本の解き方】景気拡大による人手不足、苦境に陥るのはブラック企業 労働者には賃上げの好機

このところの人手不足を深刻だと感じ、景気への悪影響を懸念する企業も少なくないようだ。ただ、人手不足は労働者や景気にとって本当に問題なのか。そして人手不足を解消するにはどのような方法があるのか。

 産経新聞社が7月下旬から8月上旬にかけて主要企業121社を対象に実施したアンケートによれば、4割近く(無回答を除く)の企業が人手不足を感じているという。人手不足は商機を逃す要因にもなりかねず、景気に悪影響を与えるとの懸念も6割に上った。

 これは、企業側からみた話である以上、当然ともいえる。企業にとって人手不足は、人件費を増やすコストアップ要因になるし、もし人手不足に対応できなければ企業の死活問題にもなる。

 ただし、人手不足になる要因は何かと言えば、景気拡大を受けた仕事の増加である。しかも賃金の上昇で対応するとしても、企業が倒産するまで賃金を上げることはもちろんなく、基本的には企業収益の範囲内である。つまり、景気拡大によってこれまで儲けた分と、今後儲ける分の一部を労働者に還元するだけのことだ。

 このように考えれば、企業の人手不足は、企業の担当者にとっては大変なことだろうが、その背景に仕事の増加があるので、うれしい悲鳴といったところだ。この意味では、人手不足が景気の悪影響になるというのは、大げさな表現であり、せいぜい人手不足に対応できない企業の経営が大変になるという程度の話である。

 もちろん、労働者から見れば、人手不足は、就職の選択肢が広がるという意味でありがたい話だ。

 11日のNEWSポストセブンで堀江貴文氏が「仕事で悩んでいるなら才能よりも環境を疑え」と興味深いことを書いている。仕事や人間関係で悩んでいたら「さっさと辞めたらいい」としているが、まったくその通りだ。

堀江貴文氏
 もっとも、アベノミクスの前の民主党政権時代は、そう気安く言える経済環境ではなかった。失業率が今よりも高かったので、会社を辞めても、次の仕事を確保するのが難しかったからだ。下手をすると、会社の仕事に悩んで自殺という最悪の結果になることもあった。

 ところが、今では失業率は低くなり、人手不足なので、新たな会社を探すのは難しくない。これは、自殺者数の減少という形で成果になっている。

 いずれにしても、原因として景気拡大による仕事の増加がある限り、人手不足は経済全体にとって良い話だ。

 一方、苦境になる代表格は、賃金切り下げで収益を上げてきたブラック企業だ。本コラムでも書いてきたが、デフレ時代には売り上げ減少の中、賃金カットを行うブラック企業が勝者になる。しかし、脱デフレ時代には、拡大する収益を労働者と分け合うような企業が勝者になるはずだ。

 企業が人手不足を悪者にするのは、ブラックな側面が出たとみるべきだ。(元内閣参事官・嘉悦大教授 高橋洋一)

【私の論評】長期と短期でみた雇用対策のありかた(゚д゚)!

人手不足の問題が深刻化する中、労働者派遣業界にもその影響が及びつつあるようです。帝国データバンクが8月8日に発表した「労働者派遣事業者の倒産動向調査(2017年上半期)」によると、労働者派遣業の倒産件数は2年連続で増加しています。本来、人手不足の状況は労働者派遣業の追い風となるはずですが、深刻な人手不足が派遣する人材の確保も困難にしている実態が明らかとなりました。

調査によると、2017年上半期(1月~6月)の労働者派遣業の倒産件数は37件となり、前年同期の33件から12.1%の増加となりました。上半期の倒産件数は2年連続となります。負債総額は前年同期比30.3%増の37億8300万円となり、こちらも2年連続の増加となっています。

派遣の仕組み
年ベースで見ると、倒産件数、負債総額共に2014年を境に2年連続の減少を続けており、2016年は倒産件数57件、負債総額39億9600万円でした。2017年は上半期を終えた時点ではありますが、共に増加に転じる可能性が高いです。帝国データバンクによると、2017年7月単月での倒産件数は6件となっており、通年では70件程度が見込まれています。また、負債総額に至っては、7月単月で4億7500万円となっており、1月から7月の累計で既に前年を上回っています。

本来であれば、人手不足が叫ばれる現在の環境は、労働者派遣業に追い風となるはずです。しかし、現在の深刻な人手不足は派遣する人材の確保も困難にしており、皮肉な事に人手不足が労働者派遣業界自体も苦しめているようです。

帝国データバンクによると、2017年上半期において、労働者派遣業界の景況感を示す景気DIは54.7と基準となる50を上回っています。国内平均が46.1と50を下回る中、業界としての景気は悪くないです。

問題は深刻な人材不足にあります。雇用の過不足を表す「雇用過不足DI」を見ると、労働者派遣業は非正社員で65.4と基準の50を大きく上回ります。国内平均は54.9となっており、業界の大きな課題となっています。また、正社員の「雇用過不足DI」も62.1となっており、こちらも基準の50や国内平均の57.4を上回ります。ここ数年、労働者派遣業の「雇用過不足DI」は高止まりしており、派遣スタッフや自社の正社員の確保に頭を悩ませている事が分かります。

労働者派遣業における人手不足の原因は、近年の雇用環境の改善が大きな要因となっています。厚生労働省が発表した2017年6月の正社員の有効求人倍率は1.01倍となり、2004年の調査開始以来、初めて1倍を超え、求人が求職者を上回る状態となっています。パートタイムを含めた全体の有効求人倍率は1.51倍となっており、こちらはバブル期の水準も上回り、高度経済成長末期以来の水準を叩き出しています。労働市場は売り手市場となっており、派遣スタッフを希望する労働者が減少していると見られます。

人手不足がのしかかる労働者派遣業ですが、その影響を大きく受けているのは中小零細業者であるようです。冒頭の調査によると、2017年上半期の倒産件数37件の内、負債総額5000万円未満のものは26件となっており、その比率は70.3%に上る。負債総額5000万円未満の倒産が全体の7割を超えるのは、調査を開始した2008年以降で初となります。

対する大手は国内全体の人手不足を追い風とした事業運営を行っています。業界最大手であるリクルートホールディングス <6098> が8月10日発表した、2018年3月期第1四半期決算によると、同社の国内人材派遣事業の売上高は前年同期比12.6%増の1257億円となっており、好調です。テンプホールディングスから社名変更したパーソルホールディングス <2181> の2018年3月期第1四半期決算でも、人材派遣事業の売上高は前年同期比10.4%増の1174億円となっています。

大手では派遣スタッフの人材確保に向け、賃金を上げる動きも進んでいます。また、一部では派遣スタッフの契約を従来の有期雇用から無期雇用に切り替える動きも出ています。大手が資金力や知名度を活かした人材確保に動く中、中小零細は非常に厳しい戦いを強いられています。人手不足の問題は簡単に解決する問題ではありません。労働派遣業は人材を確保出来た者のみが生き残れる消耗戦に入っていく可能性もあります。中小零細の人材派遣業者は特色を出していく等、生き残りに知恵を絞らなければならないでしょう。

株式会社ネオキャリアの女性スタッフ
たとえば、人材サービスを手がける株式会社ネオキャリア(東京・新宿区)は、45歳以上限定の労働者派遣サービスを今月中に始めます。

今の労働市場は、人手不足が深刻化しており、若い人にとっては「売り手市場」。一方で、1970年代半ばに生まれた「ロスジェネ世代」には、90年代後半の就職氷河期もあって、中年フリーターが増えています。こうした人材を活用する狙いがあるようです。

「派遣業界は今まで、45歳未満か、50歳以上のシニア層の募集が基本でした。45歳から50歳の“エルダー層”には求人がない状態だったのです。しかし、今の中高年は肉体的に若く、仕事に就くと定着率が高く、出勤率も良く、勤務態度もマジメだと派遣先企業からの評判がいい。それが、45歳以上のサービスを提供しようと考えたキッカケです」(ネオキャリア広報担当)

職種は、コールセンターやデータ入力などの事務職を中心に、清掃業務などもあるといいます。時給は1500円から2000円。失職中やフリーターの中高年にとって、文字通り“ネオキャリア”となるのかも知れません。人材コンサルタントの菅野宏三氏は「労働市場の実態に即したサービス」と評した上でこう続けます。

「これまで40代以上は求人が極端に少なく、仕事を探すのが困難な状況が続いてきました。しかし、若い働き手でなくても構わない職種がどんどん増え、企業サイドも中高年を積極的に受け入れるようになっている。人手不足を、コストと時間がかかる若い人材ではなく、45歳以上の中高年で補おうということでしょう。“苦肉の策”とも言えますが、方向性は正しいと思います」

なお、中高年の採用は“人柄重視”だそうです。若者とも和やかに働ける人が重宝されるらしいです。

今後人手不足がさらに続くと、さらに高齢者や女性に焦点があてられるようになるかもしれません。

一昔前の肉体労働者(実際ほとんどの労働者がこの範疇で、これらの多くは、モノ運んだり、つくったり、農業、漁業などの労働者であり、それが大勢を占めていた)であれば、55歳にもなればもう十分働いたという感覚であり、そこからさらに働きたいなどというものはほとんどいませんでした。多くの人が、50歳にもなれば、定年して引退生活することを心待ちにしていました。

一昔前のアメリカの肉体労働者
しかし、知識労働者は違います。彼らは、まだまだ、健康で頑丈であるばかりではなく、まだまだ働く能力が十分にあり、また、定年した後でもそうしたいと願っています。ただし、ここでいう知識とは仕事に適用できる知識を意味します。本や百科事典に書かれてあるようなものは、仕事に直接適用することはできず、単なる情報にすぎません。そうして、知識を仕事に適用するのが、知識労働者です。

そうして、現代ではこの知識労働が仕事の大部分を占めています。モノ運んだり、つくったり、農業、漁業などの労働者の労働者は、少数派になりました。それに、このような労働者ですら、知識を仕事に適用する場面が増えてきています。ここは勘違いしないでいただきたいと思います。

年金が破綻するかもしれないと思われている日本でも(実はさほど深刻ではないのですが、本日は本題から外れるので述べません)、おそらくアメリカの後を追い、いずれ定年が70歳まで、引き上げられるか、実質上の定年撤廃(働けるまで働く)という時代がやってくるかもれしません。

世界中の先進国や新興国では、少子高齢化で若者の数が少なくなっているため、雇うのが困難になりつつあります。さらには、若年層は、企業で再教育が必要ですが、高齢者、特に高学歴の知識労働者については、その必要もないです。

数年前までの雇用状況が悪化していた状況では、そのような必要はないですが、これから日本も高齢者を活用することを本気で考えなければなりません。いずれ、高学歴の高齢な知識労働者の奪いあいになることも十分に考えられます。

ただし、若年層はフル・タイムで働くことを前提とした人事・労務管理が行われてしかるべきですが、高齢者に関しては、臨時とか、契約、コンサルタントなど、多様な就労形態による人事・労務管理が重要になってきます。

しかし、今後さらに景気が上向き、さらに少子高齢化が進んだことも考え、上記のようなこと記憶にとどめておいて、手をうつべきと思います。

建築現場で働く女性
それにしても、雇用に関しては短期的展望と、長期的展望を持っておく必要があります。現状の人手不足は、2013年から始まった日銀による金融緩和に源があります。日本では、金融政策と雇用とが密接に結びついているという考えは一般的ではありませんが、欧米では常識です。簡単にいうと、金融緩和をすれば雇用は増え、引き締めをすると雇用は減ります。

一方、2014年4月からは、日本はデフレにから完全に脱却していなかったにもかかわらず、8%増税を実施してしまったため、個人消費が減退して、GDPが伸び悩みの状況でした。

しかし、その状況も金融緩和を継続して行っていたせいもあって、改善されつつあります。このブログでも先日掲載したように、デフレ脱却まで「もうひと押し」のところにます。

実際この記事にも掲載したように、8月14日に発表された2017年4-6月期のGDP速報値では、実質GDPの季節調整済前期比(年率換算)が+4.0%と、大きく上振れました。

しかし、この状況がいつまで続くかは保証の限りではありません。今後、過去のようにデフレ下で金融引締めや、増税などの緊縮財政をするようなことはなく、まともな金融政策や、まともな財政政策が実行されるかどうかを見極めるべきです。

それにしても、直近の人手不足は何とかしなければなりませんから、特に人手を必要とする小売・サービス業のような業態では、営業店舗などの現場では、過去のように新卒ばかりに頼るというのではなく、中高年の活用を積極的にすすめるべきです。この分野では、女性の活用も従来から進んでいますが、女性の活用もさらにすすめるべきです。

そうして、これから先日本でもまともな金融政策や、財政政策ができるようになると判断できた場合は、さらに雇用政策を変えていくべきです。運悪くもしそうならなければ、残念ながら、再度ブラック的になるしかありません。もちろん完全なブラックはいけませんが、デフレ期には企業がある程度ブラック的になるのはやむを得ません。それは、企業の責任ではなく、政府の経済対策のまずさのせいです。以下には、日本の金融・財政政策がまともになると判断された場合のみ記載します。

先に述べたように、現場だけではなく、会社の中枢である本部も含めて会社の様々な部署に高齢の知識労働者を配置することを考えるべきです。

そうして、このようなことを考慮しなければならない時代には、当然のことながらあらゆる市場もかなり大きく変わります。

日本では、過去デフレが続いたので、顕著ではなかったのですが、日本のように極端なな長期のデフレに見舞われなかった先進国においては、50歳未満と、それ以上の年代層の2つの異なる労働市場が併存しています。日本もそのようになります。日本はデフレだったために、この労働市場の二分化が進みませんでした。

若者が就職に苦しむような時代には、当然のことながら高齢者の労働市場など出来上がる余地もありませんでした。

このように2つに別れた市場に対応するマーケティングと、イノベーションが必要になりす。特に50歳以上の市場に対応するためには、若者では無理であり、高齢の知識労働者は欠かせなくなります。

いずれにせよ、このように労働市場がはっきり二分化する時代にはやくなってほしいものです。

さらに、労働市場だけではなく、あらゆる市場が多様化します。1920 年代、30 年代まで:あらゆる国が多様な文化と市場を有していました。  たとえは、農村市場、富裕市場などです。

 第2次大戦後は、あらゆる先進国が大衆向けの唯一の文化と市場を有する時代が続きました。 今日、再び市場の多様化の兆しがみられます。たとえば、ハイテク株のバブル市場(45歳未満)、長期投資市場(50歳以上)、高学歴者のための継続教育市場、そうして少子化がこれからも進みか つて4、5人の子供にかけていた総額を超える額を1人にかけるようになり若年市場ができあがります。

日本のように極端で長期のデフレに見舞われなかった他の先進国では、市場の多様化がかなり進みましたが、日本ではそうではありませんでした。今後、まともな経済対策が行われ、不況が数年続くようなことがあっても、デフレが長期にわたって続くことがなければ、このようなことが日本でも起こります。

このような市場の多様化に対処するためのもマーケティング(顧客の創造)、イノベーションは必要不可欠であり、特に高齢者の市場には若者だけでは対処できません。質量ともに、幅広い人材が必要になります。

とにかく、このような状況にはやくなって欲しいものです。そのためにも、政府はこれからまともな経済対策を実行して、数年間不況が続くようなことは仕方ありませんが、経済の癌ともいわれる異常事態のデフレに舞い戻るようなことだけはすべきではありません。

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2017年1月10日火曜日

人手不足は金融緩和による雇用改善効果 さらに財政政策と一体発動を―【私の論評】年頭の小さな変化に気づけない大手新聞社は衰退するだけ(゚д゚)!

人手不足は金融緩和による雇用改善効果 さらに財政政策と一体発動を

このような表示をする小売業もちらほら出てきている

 年末年始は人手不足などの事情で宅配便の遅配が生じたという。また、ファミリーレストランでは24時間営業をやめるところも出てきている。

 筆者は日用品でも宅配便を利用しているが、たしかに筆者のところへの宅配便も遅れた。それほど緊急性のないものだったので別に気にしなかったが、到着予定日より2日ほど遅れたものもあった。

 百貨店も昔は元日営業が当然だったが、元日は休みで2日から初売りも多くなり、一部では3日から初売りというところも出てきている。さらに三が日は休業し4日からの初売りを検討するところもある。これらの正月休業の動きは従業員に配慮する観点からとされている。

 いずれも人手不足感が出てきた証拠であり、これまでアベノミクスで金融緩和を続けたことの成果だといえる。

 こうした状況は筆者が勤める大学の周りでも確認できる。

 大学の新卒者は既得権を持っていないため、そのときの雇用環境によって大きく就職率は左右される。

 振り返ってみると、民主党政権時代の就職率はひどかった。筆者の所属している大学では、第3次産業への就職が多いが、就職できれば御の字であり、賃金等の労働条件は二の次だった。その当時、雇用市場では買い手の企業が有利であり、ブラック的な企業でも採用が可能だった。

 ところが、安倍政権になってから雇用環境が劇的に改善した。今では雇用市場は売り手の大学側の方が有利になっている。このため、学生たちの間で「あの企業はブラックだからやめよう」という会話が普通に出てくるようになった。民主党政権時代にはありえなかった話だ。

 実際、労働条件の厳しすぎる企業は敬遠される傾向になっている。これは望ましいことだ。多くの左派識者が声を大きくして、労働条件の改善を叫ぶより、金融緩和を行って雇用環境を良くすることの方が、はるかに労働条件を改善できるのだ。左派識者は相も変わらずアベノミクスの金融緩和を否定しようとするが、その知識の軽薄さに笑ってしまうほどだ。

 もっとも、筆者はこれまでの金融緩和を評価するが、さらに一段の金融緩和をしなければいけないと考えている。たしかに、一部業種では人手不足が生じ、労働条件の改善という動きになってきた。ところが、経済全体ではまだ失業率を下げられる。

 具体的には直近の3・1%から2・7%まで下がるはずだ。そうなれば、経済全体で人手不足感が出て、賃金も上昇し始めるだろう。雇用者の可処分所得を高めて消費を刺激することが、景気回復にも必要である。

 ところが、現在の日銀は金利の目標を管理するが、積極的な追加緩和に対しては消極的だ。

 そこで、財政政策(国債発行)の出番だ。財政政策と金融政策が一体的に発動されれば、日本経済にとっても好都合となる。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】年頭の小さな変化に気づけない大手新聞社は衰退するだけ(゚д゚)!

上記の記事をみていて国債発行は、借金をさらに増やすだけなどとする方もいらっしゃると思いますが、その認識は間違いです。もうすでに日本政府の借金はありません。それについては、昨年のこのブログでも掲載しています。その記事のリンクを掲載します。
蓮舫氏が語る経済政策 実行されたなら景気低迷で雇用改善はブチ壊し―【私の論評】財政再建はすでに終わっていることを知らない民進党に先はない(゚д゚)!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では財政再建はもう終了しかけていることを掲載しました。以下に一部引用します。
まずは、以下は統合政府純債務残高の推移を示したものです。統合政府とは、日銀と政府をあわせたもので、これを企業で言えば、連結決算をするように、統合して決算したものから、統合政府純債務高の推移をグラフ化したものです。
このグラフから日銀の金融緩和政策の国債の買い入れによって、純債務残高が、2014年度でも政府純債務GDP比は35%まで減少していたことがわかります。 
さらに、下のグラフは、統合政府の債務残高の予測まで含めた推移を示したものです。
日銀が国債を買えば買うほど統合政府の政府純債務は減ります。 
日銀の年80兆円の国債買い入れペースだと、2017年度には純債務から、純資産になるため、財政再建は完璧に終了することになります。実質的には、2016年度中に終了するか、2016年半ばを過ぎている現在もうすでに終了したと言っても良いくらいです。
このような状況ですから、現在財政政策として国債発行をしたからといって、さらに借金が増えるなどと心配する必要は全くないわけです。

これに関しては、高橋洋一氏を含めたまともなエコノミストは皆同じようなことを言っています。私自身もこれについては、実際に自分で計算して確かめたことがあります。その計算過程を掲載し記事のリンクを以下に掲載します。
「国の借金」巡るホラー話 財務分析すれば怖くない―【私の論評】鳥越より悪質な都市伝説が現実になる新手の辛坊らの発言には気をつけろ(゚д゚)!
国の借金1000兆円などとは、全く都市伝説のようなものであり、真夏のホラー話と同じようなもの

詳細は、この記事を読んでいただくものとして、この記事では、2014年の政府債務を日銀も加えた連結のBSで計算しました。その結果は、政府純債務GDP比は35%まで減少していたことが示されました。実数としては、160兆円程度です。

国の借金1000兆円などというのは、全くのまやかしであるに過ぎないことがわかります。財政再建が、完璧に終了して、いるであろう2017年の4月には、どうみても消費税増税などする必要性などないわけです。

国借金1000兆円を真に受けて、10%増税など実行してしまえば、日本のGDPの60%を占める個人消費が低迷しせっかくの金融緩和による雇用状況の改善も帳消しにされてしまうだけです。

今年年明けの新聞をみていると、このような見解はもちろん掲載されていませんし、とんでも経済記事が散見されました。

まずは、日経新聞に関しては、正月そうそうから、構造改革を最優先すべき記事が掲載されていたので、正月の初笑ができました。そもそも、構造改革をするななどとはいいませんが、現状のまま、構造改革をしたとしても、金融政策と財政政策の景気循環的対策が十分でないうちに改革したとしても、それで経済が良くなるとはとても思えません。

順番が逆です。景気循環的対策が終わって十分経済が上向いたときに、構造改革を実行すれば良いのです。景気循環的対策なしに、構造改革を断行すれば、とんでもないことになります。

それと、朝日新聞もとんでもない記事を掲載していました。これについては、経済学者の田中秀臣氏が、その内容とそれに対する反論を掲載した記事のリンクを以下に掲載します。
朝日編集委員の「経済成長が例外」という主張こそ、むしろ例外
田中秀臣氏
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事から結論部分のみを以下に掲載します。
 経済危機からの完全雇用の達成には、経済の拡大が必要である。経済が拡大する中で、財政が改善し、それによって社会保障の基盤も充実していく。そればベヴァリッジの基本構想だった。つまり福祉社会は完全雇用をもたらす経済成長とは矛盾しないのである。矛盾しないどころか、完全雇用は福祉社会の重要な核である。

 また原氏は論説でGDP懐疑論や低成長「正常」論を唱えているが、日本ではこの種の議論のときにしばしば援用される、『スモール・イズ・ビューティフル』という本がある。著者はエルンスト・フリードリッヒ・シューマッハー。本の題名からもわかるように、彼は富の追求自体に重きを置く経済成長論に否定的だった。

 だが、ここでもシスモンディやベヴァリッジ同様に忘れてはならないことがある。シューマッハーは、ケインズの経済学に多大な影響をうけた「雇用重視の成長」論者であるのだ。シューマッハーとケインズ、ベヴァリッジはそれぞれ生前に面識があり、社会保障の拡充と完全雇用の達成という現代の福祉社会論の構築に大きく貢献した。ベヴァリッジに雇用の重要性を教えたのは、ケインズの影響をうけたシューマッハーであった。

 ここまでお読みいただくと、原真人氏に代表されるような低成長「正常」化=GDP懐疑論者が、いかに一面的なものかがおわかりいただけるだろう。それに対して、富の追求ではない、人間の価値を追求してきた経済学者たちの多面的で、豊かな経済認識の格闘があったことも。

 アベノミクスを建設的に批判するなら結構である。それはそれで得るものがあるだろう。だが、残念ながら原氏の論説からは、単なるトンデモ経済論の音しか聞こえない。
この朝日新聞の論評に関しては、ジャーナリストの菅野完氏はツイッターで「『経済成長は、弱者救済の最低条件』と言い切れない連中は、目を噛んで死ねばいいと思う」と原氏を痛烈に批判しました。

「朝日の使命というか、社会的に求められる期待というか、役割は、『低成長をみんなで受け入れよう』と呼びかけることではなく、『賃金上げろ!労働環境改善しろ!』と訴えることだろう。そして、賃上げ、労働環境改善、財政出動こそが、成長に繋がるんだ。他の国にできて、日本にできんことないだろう」

そして、朝日新聞の社会的役割を踏まえ、「『朝日が経済成長に懐疑的になる』ことは、社会的な害悪なのよ」と訴えた。また、労働法政策に詳しい濱口桂一郎氏も、原氏の論説を「腹ふくれ満ち足りたブルジョワの息子の手すさびみたいな議論」だと酷評しています。

ちなみに、高橋洋一氏もこの朝日新聞の論評について厳しく批判しています。その記事のリンクを以下に掲載します。

高橋洋一氏 
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事から結論部分のみを以下に掲載します。
昨年に日銀は金利管理に移行した。これは、金融緩和に対し積極的ではなく受け身になったことを意味する。この方式では金融政策が財政依存になる。政府が国債を発行しないと金利が下がる。それを日銀が引き上げると金融引き締めになりかねないが、政府が国債を発行すれば逆に金融緩和になるという具合だ。 
そうした状況では、財政政策の出番(国債発行)であり、そうなれば、財政・金融一体発動になって、日本経済に好都合となる。 
幸いなことに、日本の財政問題も、現時点で考慮しなくてもいいくらいだ。この点は、本コラムで再三指摘してきている。 
さらに、国債を発行して財源調達すべき分野も、法律改正が必要だが、教育など未来への投資と言われる分野で多い。金利環境がいい現在は、未来への投資に事欠かない状況である。 
というわけで、未来への投資として、国債発行による財政出動(自動的にこれは金融緩和にもなる)をすべきというのが、失業を増やさないための筆者の解である。 
朝日新聞の論評が文中で言及しているシェアリングエコノミーは経済成長を促進するものであるため、朝日新聞の主張は支離滅裂になっている。いっそのこと、そういた新しい動きを利用するとともに、政府に国債発行による教育支出増などを提言し、さらに経済成長して、貧困をさらになくせという言うべきなのだ。
朝日新聞の記事は、読みたい方はよまれても良いとは思いますが、これを読むのは時間の無駄です。このようなものを読むくらいなら、田中秀臣氏の記事や高橋氏の記事を読まれたほうが余程有意義だと思います。

朝日新聞などの日本の大手紙がどのようなトンデモ経済論を掲載しようとも、現在の日本雇用は間違いなく改善されて良くなっています。それが、最近の高校や大学新卒の就職率の良さで実証されています。そうして、今年の年始の様々な業界で人手不足によっても実証されています。

今年の年頭の人手不足という一見小さくみえる現象は、将来の大きな変化の前触れだと思います。この変化に気づきそれを利用できる人と、利用できない人との間にはこれから、大きな差異が生まれていくものと思います。

そうして、日経新聞や朝日新聞などは、当然のことながらこのような小さな変化に気づかないことでしょし、それを利用することもできないでしょう。このようなことに気づかない人は、この小さな変化が大きな変化になってはじめて気づきます。しかし、その時は手遅れです。

日本の大手小売業の失敗は、POSなどを導入して顕在顧客のことを熟知したものの、潜在顧客を知ることを疎かにしたことです。

日経新聞や朝日新聞も、購読層が減少し続けています。おそらく、潜在顧客のことなど何も考えていないのでしょう。潜在顧客の情報も集め良く考えれば、おのずと小さな変化にも気づくはずです。しかし、あいかわらず、気づいていないようです。

私たちは、そうはなりたくないものです。

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2015年4月19日日曜日

人手不足で上がる労働者の時給 「1500円」になるのは目前なのか―【私の論評】また一人デフレ脳発見、デフレ脳ではこの先のトレンドは読めないと心得よ(゚д゚)!

人手不足で上がる労働者の時給 「1500円」になるのは目前なのか

東京・渋谷の街を、パート・アルバイトなどが加入する労働組合などが時給の引き上げを訴えてデモ行進した。「時給1500円」は世界的な潮流なのだという。

最近はファミリーレストランやファストフード店なども、人手不足で時給は上昇傾向にある。牛丼チェーン店などは深夜帯とはいえ「1500円」のところもあって、実現はそう遠くないのだろうか。

台湾のマクドナルド 写真はブログ管理人挿入 以下同じ
ファストフード店などで働く労働者の賃金アップを求める世界的な取り組み「ファストフード世界同時アクション」が2015年4月15日、東京・渋谷など24都道府県30都市で繰り広げられ、首都圏青年ユニオンなどに加入するパート・アルバイトの若者らが「時給1500円」の実現を訴えた。

東京・渋谷センター街では、参加者が「時給1500円、これが常識だ!」「働きすぎはもう終わり!」と声をあげた。

たしかに、ファストフード店などで働いている人の時給は1000円前後で、週5日8時間みっちり働いても200万円にも満たない。これでは生活に困るだろう。

とはいえ、1年ほど前から、外食アルバイトの人手不足は急速に深刻化。その様子は多くのメディアも取り上げた。

その一つが、牛丼チェーン店だ。「すき家」を展開するゼンショーホールディングスは東京・新宿界隈などの都心店舗の時給を、深夜帯で1400~1500円の高い水準に置いた。同社の場合、深夜帯に働くアルバイトの「ワンオペ問題」で、東京都心などの一部店舗で一時休業や営業時間の短縮を強いられたこともあって、アルバイトを確保するため、店舗によっては時給を引き上げる必要があったとみられる。

2015年4月18日現在でも、すき家の新宿1丁目店や新宿NSビル店では、時給1120~1400円(深夜帯は1400円)を提示。時給の水準をみると、人手不足はなお続いているようだ。

一方、リクルートジョブズの「パート・アルバイト募集時平均時給調査」によると、首都圏、東海、関西の3大都市圏の2月の平均時給(募集時)は、前年同月から10円(増減率1.1%)増えて958円となり、20か月連続で前年実績を上回った。職種別では「専門職系」の前年同月比27円増(2.5%増)をはじめ、すべての職種でプラス。また、前月との比較では「販売・サービス系」(1円減の938円)や「営業系」(4円減の1109円)とマイナスとなるなか、「フード系」は4円増えて935円となった。

平均時給で1000円に届かないものの、近い将来に1000円を越えていく可能性はある。

1500円なら「日本が滅ぶ」との指摘も

そうした中で、インターネットには「マクドナルド」の時給が1500円になると「日本が滅ぶ」との指摘が飛び出し、話題になっている。

ファイナンシャルプランナーで、シェアーズカフェ・オンライン編集長の中嶋よしふみ氏が寄せたコラムで、「もしファストフード店の時給が1500円以上になれば、マックもロッテリアもすべてのお店がつぶれる」と、書いている。

中嶋よしふみ氏
それによると、ファストフードに限らず、最低賃金の大幅な引き上げは低い時給で働いている人にはプラスだが、結果的には雇用の減少や販売価格の上昇による需要減を招き、国内産業の衰退につながり、「負のスパイラルに陥る」などと説明している。

これに対し、インターネットでは、
「数千年の歴史がある国も数百円の賃金で滅ぶんだな。あっけないものだ」
「国が滅ぶとか、500円すごすぎワロタ」

との反応があった。

その一方で、ちょっと飛躍しすぎでは、との見方も多く、
「トップ含め、上から給料減らせば数十億くらい簡単だろ」
「んなもん給与の安い正社員に置き換えておしまい」
「その程度で滅ぶようなら、いっそ消滅したほうが世のため。ただ、実際はそんなに脆弱じゃねーよ」

といった声も出ている。

【私の論評】また一人デフレ脳発見、デフレ脳ではこの先のトレンドは読めないと心得よ(゚д゚)!

私自身は、時給1000円から、1500円になるのは、今すぐではないにしても、いずれそうなる可能性は高いものとみています。ただし、これはデモなどとは全く関係ないです。デモをやろうが、やらなかろうが、全く関係なくいずれこうなっていく可能性が高いです。

中嶋よしふみ氏のようなことを言う人は、そもそも過去20年近くも、デフレが続いたということをあまり認識していないようです。

もし日本が過去20年間デフレではなく、緩やかにインフレであれば、そもそもビッグマックが370円などということは考えられないです。少なくとも、500円以上にはなっていたと思います。

日本以外の国は過去20年間は、デフレではなく緩やかなインフレだったので、マックの価格上がっています。EU諸国などでも、ほとんどの国で、外食しようとすれば、昼に何を食べても1,000円以上します。

それは、マックも例外ではありません。何かのセットを注文すると、国によっても違いますが、1000円以上します。これが、デフレでなかった国の常態です。日本は過去20年もデフレ傾向であり、マックの価格も高くなるどころか、低くなってしまいました。

ちなみに、1985年当時のマックのメニュー表をご覧になって下さい。



以下にメニューと価格のみ抜き書きしておきます。
1985年当時のマクドナルドのメニュー表
ハンバーガー        230円
チーズバーガー      280円
ダブルバーガー      350円
ダブルチーズバーガー  400円
フィレオフィッシュ      300円
ビッグマック         420円
フィレオフィッシュセット  680円
ビッグマックセット      800円
チキンマックナゲット5P  350円
ポテトS           180円
ポテトL            300円
デフレでなかった1985年のほうが、デフレの現在のよりも、価格が高いのは一目瞭然です。これは、国内の比較ですが、以下に世界のビッグ・マック価格ランキンク゛をあげておきます。


ビッグマック価格ランキングを掲載します(対象国: 56ヶ国)。
※2015年1月時点の価格(1ドル=117.77円) 
各国のマクドナルドで販売されているビッグマック1個当たりの価格。
ビッグマック指数(BMI)は、購買力平価説をもとに為替相場を推測する際の指標とされている。
順位国名称価格(円)価格
(USドル)
価格
(各国通貨)
BMI
(%)
地域
1位スイス8887.546.50
(スイス・フラン)
57.49ヨーロッパ
2位ノルウェー7426.348.00
(ノルウェー・クローネ)
31.46ヨーロッパ
3位デンマーク6335.3834.50
(デンマーク・クローネ)
12.23ヨーロッパ
4位ブラジル6135.2113.50
(ブラジル・レアル)
8.7中南米
5位スウェーデン5854.9740.70
(スウェーデン・クローナ)
3.73ヨーロッパ
6位アメリカ5644.794.79
(USドル)
0北米
7位フィンランド5594.754.10
(ユーロ)
-0.83ヨーロッパ
8位カナダ5464.645.70
(カナダ・ドル)
-3.14北米
9位ウルグアイ5454.63113.00
(ウルグアイ・ペソ)
-3.42中南米
10位フランス5324.523.90
(ユーロ)
-5.66ヨーロッパ
11位ニュージーランド5294.495.90
(ニュージーランド・ドル)
-6.21オセアニア
12位イタリア5254.463.85
(ユーロ)
-6.87ヨーロッパ
13位イスラエル5244.4517.50
(新シェケル)
-7.14中東
14位イギリス5144.372.89
(イギリス・ポンド)
-8.81ヨーロッパ
15位オーストラリア5094.325.30
(オーストラリア・ドル)
-9.84オセアニア
16位ベルギー5054.293.70
(ユーロ)
-10.5ヨーロッパ
17位ユーロ圏5024.263.68
(ユーロ)
-10.98ヨーロッパ
18位ドイツ5014.253.67
(ユーロ)
-11.23ヨーロッパ
19位スペイン4984.233.65
(ユーロ)
-11.71ヨーロッパ
20位アイルランド4764.043.49
(ユーロ)
-15.58ヨーロッパ
21位コスタリカ4724.012,150.00
(コスタリカ・コロン)
-16.27中南米
22位オランダ47143.45
(ユーロ)
-16.55ヨーロッパ
23位トルコ4673.969.25
(トルコ・リラ)
-17.24中東
24位オーストリア4633.933.39
(ユーロ)
-18ヨーロッパ
25位韓国4463.784,100.00
(韓国ウォン)
-20.99アジア
26位フィリピン4323.67163.00
(フィリピン・ペソ)
-23.37アジア
27位アラブ首長国連邦4173.5413.00
(UAEディルハム)
-26.11中東
28位ギリシャ4163.533.05
(ユーロ)
-26.22ヨーロッパ
29位シンガポール4153.534.70
(シンガポール・ドル)
-26.4アジア
30位ポルトガル4093.483.00
(ユーロ)
-27.43ヨーロッパ
31位エストニア3963.362.90
(ユーロ)
-29.85ヨーロッパ
32位メキシコ3943.3549.00
(メキシコ・ペソ)
-30.07中南米
33位チリ3943.352,100.00
(チリ・ペソ)
-30.13中南米
34位コロンビア3933.347,900.00
(コロンビア・ペソ)
-30.26中南米
35位ペルー3923.3210.00
(ヌエボ・ソル)
-30.6中南米
36位アルゼンチン3833.2528.00
(アルゼンチン・ペソ)
-32.11中南米
37位ハンガリー3733.17860.00
(フォリント)
-33.84ヨーロッパ
38位日本3703.14370.00
(円)
-34.41アジア
39位タイ3583.0499.00
(バーツ)
-36.61アジア
40位パキスタン3512.98300.00
(パキスタン・ルピー)
-37.83アジア
41位サウジアラビア3452.9311.00
(サウジアラビア・リヤル)
-38.87中東
42位チェコ3442.9270.45
(チェコ・コルナ)
-39.06ヨーロッパ
43位ベトナム3302.8160,000.00
(ドン)
-41.41アジア
44位中国3262.7717.20
(人民元)
-42.19アジア
45位スリランカ3132.65350.00
(スリランカ・ルピー)
-44.59アジア
46位ベネズエラ2982.53132.00
(ボリバル)
-47.11中南米
47位台湾2952.5179.00
(ニュー台湾ドル)
-47.63アジア
48位ポーランド2922.489.20
(ズウォティ)
-48.18ヨーロッパ
49位香港2862.4318.80
(香港ドル)
-49.37アジア
50位エジプト2712.316.93
(エジプト・ポンド)
-51.91アフリカ
51位インドネシア2642.2427,939.00
(インドネシア・ルピア)
-53.26アジア
52位南アフリカ2622.2225.50
(南アフリカ・ランド)
-53.62アフリカ
53位マレーシア2492.117.63
(リンギット)
-55.94アジア
54位インド2221.89116.25
(インド・ルピー)
-60.61アジア
55位ロシア1611.3689.00
(ロシア・ルーブル)
-71.51ヨーロッパ
56位ウクライナ1411.219.00
(フリヴニャ)
-74.93ヨーロッパ

これを見ても一目瞭然です。日本では、ビッグマックの価格が370円ですが、その他の国では、もっと高いことが良く理解できます。トップのスイスでは何と、888円です。

日本はかなり低価格です。何故このような状況になっているかといえば、他の国は日本のように長期にわたるデフレに見舞われず、日本のみがそうだったので、日本は先進国中では物価の低い国になってしまったのです。

この日本のデフレは、古今東西例をみないほど、深刻で長期にわたるものでした。あまりにも長い間、デフレが続いたので、多くの人々にとってデフレは常態となってしまいました。

台湾のマクドナルド
デフレでは、物価も下がりますが、賃金も下がります。特に、パート・アルバイトの賃金はかなり下がりました。正社員の給料も下がりました。そうして、また物価が下がり、賃金も下がるという悪循環がつづきました。

そうして、デフレはハイパーインフレのように急激におこることはなく、年率でいうとせいぜい2%くらいにしかなることはありません。ハイパーデフレで急激に物価が半分になるなどということはありません。そのため、徐々に物価が下がっていくため、多くの人がそれに気づきません。しかし、着実に経済を蝕んでいきます。これが過去20年の日本であり、全くの異常状態でした。

しかし、平成13年4月からは、状況が一変しました。日銀が異次元の包括的金融緩和をはじめました。それで、物価は順調に上昇していて、特に非正規雇用を中心に雇用も改善していきました。しかし、昨年8%増税をしたため、この流れは止まり、マイナス成長となり、物価もあまりあがらず、雇用状況も足踏み状況となりました。

しかしながら、今年から雇用の改善は徐々にではありますが、また良くなりつつあり、さらに様々な経済指標に改善の兆しがみられます。

特に今年に「非正規雇用ばかり改善」などと、言われていたものが、正規雇用も改善されていることが明らかになりました。それについては、以下のツイートをご覧いただければ、良くご理解いただけるものと思います。




とにかく、これについては、以下のPDFファイルをご覧いただくと良くご理解いただけるものと思います。とにかく、従来「非正規がー」と非正規の雇用が増えるだけでは雇用は改善されたとは言えないなどという主張がありましたが、それも平成13年から変わりはじめ、平成14年からは、正規社員の増加が顕著になっています。しかも、これは8%増税の最中ですから、いかに金融緩和が雇用に効き目があるのかはっきりしたと思います。

もし、増税をしていなかったら、誰の目にも見えてはっきりわかるようにかなり雇用は改善されたと思います。

これについては、以下のPDFファイルをご覧いただくと詳細を理解することができます。
経済財政諮問会議資料『賃金・雇用情勢について』より

また、この記事に関する解説は、上記のツイートをした方がわかりやすくブログで解説しています。その記事のURLを以下に掲載します。
「非正規雇用がー」の終焉
これによれば、パートタイムの賃金も、着実に上がっています。そうして、正規社員への移行が増えているということになれば、パートタイムはますます減るわけで、そうなると、女性や高齢者の活用が進むと思います。それでもどうにもならない状況になれば、やはり賃金を上げざるを得なくなると思います。

そうして、デフレでなかった時期では当たり前のど真ん中であった、同じ仕事を同じ時間だけ実施した場合、正規雇用よりも非正規雇用のほうが賃金が高いという状況になると思います。これは、デフレの日本ではそうではありませんでしたが、デフレでなかった頃の日本でも、デフレでない他国でも同じことです。デフレの時代の日本だけが狂っていたのです。

さらには、「実質賃金がー」という主張も間違いであることが近いうちに明らかになると思います。現状では、8%増税の悪影響が色濃く残り、増税分が賃金を押し下げ、実質賃金がさがった状況にありますが、景気が回復するにつれて、実質賃金も近いうちにあがります。

しかし、そんなことよりも、もし日本が今後デフレになったにしても、すぐに金融緩和を実行してデフレを短期間で収束できるようにり、緩やかなインフレが継続すると仮定すれば、デフレの世の中では夢物語のようなことがおきます。

緩やかなインフレのもとでは、毎年ではほんの僅かであっても、20年もたつと賃金が倍以上になるのは普通です。そうして、インフレ率を差し引いても、実質賃金が1.5倍以上になっているのは当たり前のことです。

しかも、これは同一の職業で、同一の職位であってもそうなるのが普通です。もし、少しでも職位が上がれば、2倍、3倍になることもあります。このようなことは、夢のようではありますが、緩やかなインフレであれば、それが常態です。

台湾のマクドナルド

もう、このように世の中は変わりつつあります。しかし、この変化を察知できない人もいます。特に、過去のデフレが常態であると考える人にとっては、このような変化は理解できません。

このような人々の私はデフレ脳の人々と呼んでいます。そうでない人を、インフレ脳の人と呼んでいます。

過去のデフレの時代を常態とみなし、そこから一歩も出られない人も存在します。ブログ冒頭の、中嶋氏もその一人ではないかと思います。

彼は、過去のデフレを常態とみなし、マクドナルドのビックマックが370円のままの、状況を想定しているのだと思います。確かに、ビッグマックの価格がそのままで、パート・アルバイトの賃金が1500円になったとしたら、日本は滅ぶかもしれません。

しかし、物価が上がり、賃金も物価上昇分より幾分多めに上昇する時代はもう目前に迫っています。デフレから完璧に脱却して、緩やかなインフレになったとき、ファスト・フードのバイトの時給が1000円になっているどころか、1500円になっているかもしれないというのは容易に想像がつきます。特に、都市部の激戦地区ではパート・アルバイトの奪い合いになり、はやい時期にそうなるかもしれません。

私は、デフレ脳ではこの先のトレンドは全く読めないと思います。多くの人が過去の考え方を捨てて、インフレ脳に転換するべきです。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?


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