「第11回東京ガールズコレクション」写真特集--AKB48、佐々木希ら一挙公開(この内容すでにご存知の方は、この項は読み飛ばしてください)
初の「さいたまスーパーアリーナ」での開催となった第11回東京ガールズコレクション(TGC)は9月4日(土)、夕刻6時半現在で観客延べ3万200人、取材プレス680人を数えるなど、史上最高の規模となった。最終的には観客3万5000人を超えた。
デフレ下でこれだけの盛り上がりをみせたリアル・ファッションにシュンペーターは何を見るか?!
TGCについては、以前もこのブログに書きました。それは、以下のタイトルのものです。
絶好調だった東京ガールズコレクション、ブランド側は「TGCに出るだけだったら大赤字」-デフレ下でこれだけの盛り上がりをみせたリアル・ファッションにドラッカーは何を見るか?!
この中で、私はTGCについて、ドラッカー流の見方をすればどんなふうになるかを記載しました。その内容を以下に引用します。
リアル・ファッションは、既存のファッションのやり方を完全に覆して、イノベーションをしたものです。フアッションといえば、大昔は、本当にお金持ちの人だけのものでした。それが、1960年代になって、それこそ、いろいろな人の努力で、パリコレに代表されるような、プレタポルテができあがり、普通の人でも手がでるものとなりました。ただし、プレタポルテでさえ、デザイナーが最初にデザインしてから、一般の人が着ることができるまで、1年もの時間を要しました。リアル・フアッションはこの常識を覆しました。リアル・フアッションでは、デザイナーが考えてから、普通の人が着られるようになるまで、1、2ヶ月です。さらに、価格もかなり安くなり、さらに多くの、特に若い人達でも着ることができるようになりました。私は、このリアル・ファッションの興隆について、もっと、基本的な見方も重要ではないか思っています。
上の記事では、価格については書き忘れましたが、プレタポルテですら、当初は、30万~40万以上もしました。だから、あくまで一般の人にとっては、手は届くものにはなりましたが、とはいっても、そうおいそれと、帰るものではありませんでした。しかし、リアルフアッションは価格破壊もしたということです。これで、いわゆる最新フアッションが一般の人にもかなり身近なものとなりました。
プレタポルテは現在当たり前のことになりましたが、出始めのころは、それこそ、大イノベーションで、多くの人を魅了しました。最近では、プレタポルテもリアル・ファッションの影響を受けてお手頃価格のものも出てきました。廉価なものでは、日本国内では、マリ・クレール(写真下)のジャケットが1万5000-2万9000円円、ボトムスで8000-1万5000円のものもあります。
19日の綱町三井倶楽部(東京港区)で行われたショーには 有名モデルのジェニファー・ホーキンスさんも登場(マリ・クレール) 2010年01月20日 |
こうした、プレタ・ポルテも、リアル・ファッションの興隆がなければ考えられなかったことです。今ではファッション性のある衣料でも、ユニクロ、シマムラ、その他のメーカーの低価格のものがいろいろ出回るようになっていますが、これは、しばらく前から、フアッション業界にイノベーションをもたらした、リアル・フアッションの存在がなければ、考えられないことでした。このように、リアルフアッションは、間違いなく社会的イノベーションを実現しています。
私は、この社会的イノベーションに関して、先のブログでさらにドラッカーの見方を解説しました。それを下に引用します。
「企業の目的は、顧客の創造である。したがって企業は、二つの、そして二つだけの基本的な機能を持つ。それマーケティングとイノベーションである。マーケティングとイノベーションだけが成果をもたらす」(マネジメント エッセンシャル版 16ページ)
さらに、こうも言っています。
「マーティングだけでは、企業としての成功はない。静的な経済には、企業は存在し得ない。そこに存在しうるものは、手数料をもらうだけのブローカーか、何の価値も生まない投機家である。企業が存在しうるのは、成長する経済のみである。あるいは少なくとも、変化を当然とする経済においてのみである。そうして企業こそ、この成長と変化のための機関である。
したがって企業の第二の機能は、イノベーションすなわち新しい満足を生み出すことである。経済的な財とサービスを供給するだけでなく、よりよく、より経済的な財とサービスを供給しなければならない。企業そのものは、より大きくなる必要はないが、常によりよくならなければならない」(マネジメント エッセンシャル版 17~18頁)
まさに、渋谷などのファッションブランドはイノベーションを行ったのであり、これを基本として、全く新しいファッションシーが生まれたが、それがTGCなのです。この基本に忠実に従ったので、ここまで興隆することができたのです。
ところが一方、従来のファッションは、最近あまり元気がありません。さらに、デパートやスーパーなどの衣料品売り場も全く活気がありません。これは、どうしたことでしょうか?
そうです。上の二つのドラッカーの至言を良く読めばわかります。リアル・ファッションや、TGCはマーケティングをすることは無論のこと、それに加えてイノベーションを行っています。しかしながら、現在業績の悪い、デパートやスーパーなどは、マーケティングは一生懸命行っても,結局は商品の仕入れや、顧客への提供の仕方は旧態依然としています。ここに、イノベーションを起こすべきでしたが、それが,行わていません。だから、こそ業績が良くないのです。最近では、「消費者ニーズ、消費者ニーズ」などとばかり言っている企業は大抵業績が悪いです。これは、マーケティングばかりして、イノベーションをしていないからでしょう。さて、今回のTGCについても、この見方は全く変わらないのですが、さらに、シュンペーターならどういう見方をするか掲載します。
その前にシュンペーターはどのような人なのか掲載します。ヨーゼフ・アーロイス・シュンペーター(Joseph Alois Schumpeter、1883年2月8日 - 1950年1月8日)は、オーストリア出身の経済学者である。企業者の行う不断のイノベーション(革新)が経済を変動させるという理論を構築しました。
シュンペーターの経済学の特質は一言で言えば、「人間の出てくる経済学」す。 マルクスの『資本論』の基軸になっているのは階級としての人間であり、新古典派経済学は、利潤を最大化する生産者・効用を最大化する消費者等とロボット的・機械的人間ですが、シュンペーターにおける企業者はドラマチックでダイナミックです。
シュンペーターは『経済発展の理論』で、資本主義システムにおける利潤の源泉は企業家とその革新活動にあるとしています。
資本主義はダイナミズムに満ちています。イノベーション(革新、新機軸、新結合)が生まれ、やがてそれが普及します。その過程で好況・不況といった景気循環が発生します。この好・不況こそ資本主義が生きていることの現われであり、たとえ不況といえども、それは経済がむしろ「正常に」機能していることの証拠だといいます。そのイノベーションの担い手が企業者であり、リスクに挑戦しその中でチャンスを見出し創造的破壊を敢行する能動的な人間です。
1930年代の不況(ホテルの予約をすると「お休みですか?それとも飛び降り自殺用ですか?」と尋ねられたほどの時代)に、豊かさの中の貧困としてその病を克服すべく処方箋を打ち出したケインズに対して、不況は資本主義の「正常な」調整過程であるとするシュンペーターの主張は、当時、受け入れがたいものであリました。彼の最も優秀な弟子であったサムエルソンやトービンが、ライバルであるケインズ経済学へとその関心を移し、アメリカ・ケインズ学派のリーダーとして活躍した様に、シュンペーター経済学がケインズのそれとは違って単純なモデル化を許さず、それゆえ、多くの人々に理解され広まることがありませんでした。
もし、シュンペーターがTGCをみたら、無論ドラッカーのような見方もするでしょうが、さらに進めて、今の日本の状況は次のステップへの足踏み状態であり、フアッション業界にこうしたイノベーションが現実に起こって、さらに、興隆を続けているわけですから、さらに、多くの産業でこのようなことが必要であることを力説することでしょう。前から、ある古い産業でも、まだ芽吹いたばかり、あるいは、全くあらなた産業でも一斉にイノベーションを開花させることが必要であることを力説することでしょう。
私は、このブログでは、ほとんどいわゆるケインズ的な見方で、デフレギャップを埋めるために、政府が大胆な財政出動をするべきことをブログに掲載してきました。その考えは、今でもかわりません。しかし、このようなデフレの時代には、まずは、こうした財政出動が先だと思います。しかし、それを永久に続けるわけにはいきません。その後に、続くものとして、シュンペーター流のイノベーションの開花が絶対に必要であり、TGCをはじめとする、リアル・ファションによるものは、その格好の分かりやすい事例だと思います。
政府としては、財政出動するとともに、こうしたイノベーションの種植をしておくこともいうまでもない事だと思います。しかし、シュンペーターが力説するように、資本主義体制の中では、政府が先導してそれを行うのではなく、政府はあくまでも、そのためのインフラを整備することに徹するべきです。
私は、多くの日本人がまだ認識してないのですが、ドラッカーがいうように、特に都市部におけるNPOの興隆は必要不可欠なのではないかと思います。経済だけに着目していれば、おそらく、ある程度良くなたったとしても、そこから先の実体経済がよくなることはないと思います。NPOなどにより、多くの社会問題が解決される機運がでてくれば、それに対応する形で、産業界のイノベーションも進んでいくのではいないかと期待しています。
もう今の日本は、従来とは全く異なる社会に突入していて、従来のようなやり方では、産業の活性化も計れないのだと思います。実際、平成に入ってからもう、20年以上になります。20年といえば、生まれたばかりの子どもが、大人になるというかなり長い時間です。この20年間、もし、社会が昔のままであれば、たとえ、政府が大規模な財政出動をしなくても、一度くらいは本格的に景気が回復したと思います。しかし、そんなことはありませんでした。
しかし、これを政府が大規模な財政支出をしない言い訳にはしてもらいたくありません。やはり、最初のきっかけとしては、あのノーベル経済学者のポール・クルーグマンが提唱するように、政府が財政支出をすべきです。
そうして、政府は、同時にイノベーションの種まきをするべきと思います。しかし、ひよっとすると、政府はこの点に関しては、何もする必要がないのかもしれません。イノベーションの種は、すでに、多くの産業の中にあるのかもしれません。ただし、それが、デフレの現在表にでてきていないだけかもしれません。
多く人は、経済が悪い時期があまりにも続いて悲観的になり、この考えを否定するか、否定的に見るかもしれません。しかし、私は、そのような人たちに言いたいことがあります。イノベーションの種は、すでにあちこちにある可能性があることは否定できません。なぜなら、このデフレの世の中に、すでにイノベーションが花開かせている例があるではありませんか!!そうです。それが、TGCです!!
私が、始めてシュンペーターをはっきり認識したのは、確か、Yohanか出版されていた、"Yohan Ladder series"といって、英語の著作物をやさしい単語に置き換えた書籍で"History of Economics"という本だったと思います。Yohan Ladder Seriesには、1000語、2000語、3000語・・・・・・5000語のレベルがあり、1000語あれば、単語を1000知っていれば読めるというもので、確かこの書籍は3000語レベルでした。
その当時は、人名が英語でそのまま記載してあったので、シュンペーターという読みがわからず、スカムペーターなどと読んでいて、他の機会に始めて知りました。確か、大学に入りたてだったと思います。しかし、読んでいるときには、数ある経済学者の中でも、シュンペーターが一番面白く、「このような考え方もあるだ」と興奮したものです。その後、シュンペーターの書籍をいくつか読む機会がありました。今でも、いわゆる古典経済学者の中では、一番好きな学者です。
シュンペーターは、ドラッカー家とも、親交がありました。ピーター・F・ドラッカーの父親は、オーストリアの官僚をしていましたが、ドラッカー家では、定期的にサロンを催していて、そこに、いわゆるチュ名・有名人なども出入していましたが、その中にシュンペーターも含まれていました。シュンペーターも、後年ドラッカーと同じようにアメリカに移住しました。アメリカ移住後も、ドラッカー氏と、シュンペーターは親交がありました。
私が、その後ドラッカーの書籍を熱心に読むようになったのは、先にシュンペーターの書籍を読んでいたかもしれません。ドラッカーは、シュンペーターの影響をかなり受けていますから。
上に掲載したように、シュンペーターは、「好・不況こそ資本主義が生きていることの現われであり、たとえ不況といえども、それは経済がむしろ「正常に」機能していることの証拠だといいます。そのイノベーションの担い手が企業者であり、リスクに挑戦しその中でチャンスを見出し創造的破壊を敢行する能動的な人間である」と語っています。
何か、このデフレの中で、勇気づけられる言葉だと思います。そうして、この言葉、TGCもそうですが、マクドナルドや、その他業績の良い企業が日本にも存在することが、正しいことを示していると思います。
最近、日本では、ドラッカーを見直すという傾向があります。それは、それで結構な事だと思いますが、私は今こそ、ドラッカーとともにシュンペーターをも見直すべきと思います。
皆さんの中で、シュンペーターのことをご存じで無い方などいらっしゃったら、彼自身の著作や、それが、難しいなら、彼を紹介する書籍など是非読んでみると良いと思います。そうすると、勇気づけられとともに、何か新しい発見があるかもしれません!!
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