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2016年8月24日水曜日

日本は「無条件降伏」をしていなかった 教科書が教えない歴史の事実―【私の論評】姑息なドイツとまともな日本では、終戦の意味は全く異なる(゚д゚)!


■無条件降伏のウソ

 8月になると、戦争関連の記事や番組が増える。多くの日本人は、1945年に日本は連合国に対して「無条件降伏」をした、と習ってきたし、今もそう信じている人がほとんどだろう。

 しかし、有馬哲夫早稲田大学教授は、新著『歴史問題の正解』の中で、その見方に異を唱えている。第6章のタイトルは、そのものズバリ「日本は無条件降伏していない」である。

 このような見解を聞くと、「戦争を正当化するある種の人たちのトンデモ説だろう」と警戒する人もいるかもしれない。

 しかし、有馬氏はあくまでも第一次資料をもとに、それを論証している。そこで提示している事実は、私たちが信じ込んでいた「日本は無条件降伏した」という見方を覆す内容だ。

 以下、同書をもとに「無条件降伏の真実」を見てみよう。(「 」内は引用)

■海軍作戦部長も「間違い」

 「無条件降伏の真実」とは

 ルーズヴェルト米大統領が、無条件降伏という方針を唱え始めたのは開戦から1年以上経った1943年のこと。敵国が無条件降伏するまで戦争を止めない、というこの方針に、陸海空軍の幹部はもとより、当時の国務長官コーデル・ハルまでもが反対した。

 なぜなら、このような方針を採れば日本など敵国の徹底抗戦を招き、無用に戦争を長引かせることになる。そうなれば自国の兵士たちへの影響もはかりしれない。

 当時のアメリカ海軍作戦部長にいたっては、このように侮蔑的に述べている。

「このルーズヴェルトのお気に入りのスローガン(無条件降伏)は間違いであることを(戦争が進むにつれて)ますます確信するようになった」

 要するに、大統領が国民受けを狙ってぶち上げた方針に対して、政府も軍人もこれは政治的スローガンにすぎず、早期和平の妨げになると考えていた。

 ところが、ルーズヴェルトがこの世を去り、あとを継いだトルーマンもまたこの方針を受け継いでしまう。そこで、実際の交渉にあたってアメリカから日本に対しては、「無条件降伏」は、あくまでも「軍事的指導者の影響力が除去されること」であって、「日本国民の絶滅や奴隷化を意味するのではない」というメッセージを発していた。

 日本を災厄に導いたのは軍閥であって、天皇でも日本政府でも国民でもない、ということである。

 日本政府側も、このメッセージの真意を受け止めたうえで終戦に向けて動くようになったのである。

■国際法上認められない「無条件降伏」

 有馬氏は次のように指摘している。

「私たち日本人は『日本は無条件降伏をした』と繰り返し教わってきたので、『無条件降伏』という言葉に違和感を持つ者はあまりいない。しかし、国際法の観点から見た場合、『無条件降伏』を相手に求めるというのは、当時も今も、相当異常なことだ、ということは理解しておく必要がある。

 近代の戦争においては、降伏した国から主権や基本的権利を奪うことはできず、まったくの無条件ということありえない。

 もしあるならその国民を皆殺しにし、領土をすべて奪ってもいいことになる。実際、こんなことが出来ないように、1941年に行われた大西洋会談では、すべての国には政体選択の自由、領土保全、交易の自由があり、敗戦国も例外ではないとしている。逆説的だが、無条件降伏という言葉は、何が『無条件』なのかを定義しないと使えないのだ」

 有馬氏は、同書で示した事実に関してはすべて根拠(第一次資料)を明記しているので、事実誤認だと思う方も、根拠をもとに反論してほしい、そうした事実をもとに議論することが重要だ、と述べている。

【私の論評】姑息なドイツとまともな日本では、終戦の意味は全く異なる(゚д゚)!

私にとっては、前々から日本は無条件降伏などしていないことなどは、当たり前の事実であり、20世紀の世界で、戦争をした相手に無条件降伏をさせることができるなら、そもそもポツダム宣言など必要もなかったはずだと思います。だから、このブログには過去に何度か、日本は無条件降伏などしていないと書いています

全国戦没者追悼式のご出席された天皇皇后両陛下
このようなことは、別に一次資料になどあたらなくても、常識を働かせれば、すぐに理解できます。もしそんなことが可能なら、戦勝国が我先に、日本に侵攻して自分の領土を勝手に分捕ることができたと思います。

しかし、現実には、そんなことはなく、アメリカでさえ、ある一定期間日本を統治した、後日本を去っています。20世紀の世界で、戦争で負けた相手に対して、無条件降伏をさせることができるというのなら、当時でも日本は米国と、ソ連に占拠され、今でも北日本はロシア領、南日本は米国領だったことでしょう。しかし、現実にはそんなことは不可能でした。

こんなことは、少し常識を働かせれば、理解することができます。日本は、あくまでも条件つきで降伏したのです。無条件降伏をする状況に追い込まれれば、日本人は全国民がいなくなるまで、徹底抗戦したことでしょう。米国や、ソ連の上陸を許したにしても、後にはゲリラ戦で徹底抗戦をしていたに違いありません。これは、多くの日本人がしっかりと認識しておくべきことです。

さて、こうした終戦にまつわる話では、他にも誤解されていることがあります。

ナチス降伏後のドイツの様子を表紙にした当時のグラフ雑誌「ライフ」
その誤解の最たるものは、ドイツと日本の『降伏』や『終戦』の内容は全く異なるということです。これは、日本人でも、理解していない人が多いです。同じ枢軸国で連合国に負けたのだから同じといった表面的なものだけを見ていては事実を見誤ります。

さらにそれを理解しないと何故ドイツが戦後自虐史観を持たずにドイツの誇りを取り戻すことができ、今や再び欧州の名実共に盟主となったかを理解することはできません。

もし、親しいドイツ人がいたとしたら、「ドイツの終戦記念日はいつですか?」と聞いてみれば、驚くべきことがわかります。

日本人ならほぼ100%日本の終戦記念日を判で押したように、8月15日と答えるでしょうがが、ドイツ人は違います。人によって、答えが違います。実はドイツには全国民に共通な明確な終戦記念日はないのです。

質問した相手によって、答えがまちまちで、5月8日、5月9日、6月6日、7月20日、11月9日あるいはユダヤ系なら1月27日と答えるかもしれません。そうして、これらの日付にはそれぞれ歴史的な出来事があって意味があるのです。

それくらいドイツの終戦というのは認識がまちまちなのです。そのため、国際的にこれでは通用しないし国内でも混乱を招くいうことで、現在のドイツでは終戦記念日ではなく『国民哀悼の日』(11月第3日曜)を設けて国民的な記念日としています。

何故こういうことになっているかといえば、ドイツと日本は『降伏』や『終戦』の経緯やその持つ意味が決定的に違うからです。現在のドイツでは、あるいは多くのドイツ人は、『負けて降伏したのはナチス政権とその軍であって、戦後のドイツの政権はその継承者ではない』という論理が根底にあるからです。

1970年にブラント西独首相がワルシャワで跪いたのも、ナチスの悪行は自分たちと無関係という意識があるため哀悼の意を表明することなど全く平気だったのです。強いて言えばナチスに替わって哀悼・遺憾を表したのです。

ワルシャワで跪いたブラント西独首相
さらにこの論理をよく表しているのが、戦後40年記念でのワイツゼッカー大統領(当時)の有名な演説(1985年)で、ドイツの終戦を、『ナチスの暴力支配による非人間的システムからの解放の日』と定義してみせたことです。

この演説で『過去に目を閉ざす者は、現在に対してもやはり盲目となる』とも言っていて韓国はこのフレーズを恣意的に取り上げているのですが、こんなことより、先のフレーズのほうが遥かに重い意味がありますし、歴史の事実を恣意的に曲解する韓国の指摘全く的外れです。

また、統一後のシュレーダー首相(当時)も60年記念(2005年)で、『連合国による勝利はドイツに対する勝利ではなく、ドイツのための勝利であった』などと、まるでドイツが戦勝国側(連合国側)であるかのような錯覚を持たせるような演説をしています。

東西ドイツ統一の影響もあるでしょうがが、すっかり、『悪いのはナチスであって我々誇りあるドイツではない』と言わんばかりの論理です。何故、こんなことがまかり通るかというと、終戦の時の状況が日本とは決定的に違うからです。

ドイツが降伏したのは政府ではなくナチス・ドイツ軍(正確にはその臨時的な継承者)だということなのです。ヒトラーが死にその政権(=軍)だったドイツは臨時政府に相当する代表(フレンスブルク政府=デーニッツ政府)が5月8日にフランスのランスで降伏文書に調印し、5月9日に首都ベルリンで批准手続きをしたのですが、6月5日に連合国によってこの政府はナチス要人による政府であるため正当な中央政府として認めないとされたのです(ベルリン宣言)。

一方、日本はポツダム宣言を受諾しミズーリ艦上で降伏文書に署名した政府代表の重光外務大臣(文官)が存在したように降伏はしたものの正当な日本政府が厳然として存在していました。
戦艦ミズーリ上で調印式に望む日本側使節団
連合軍に対して降伏したのは、ドイツの場合は『ナチス・軍』であって政府ではなかったのですが、日本の場合は『正当な政府』だったのです。この違いは、決定的に大きいものです。

もし、日本が戦争責任を天皇陛下と軍に全て押し付けて『悪いのは天皇と軍』ということにして戦後の政府は戦前・戦中の政府の継承者ではないといったドイツと同じような定義づけをしていたとしたら戦後処理は全く異なったに違いありません。

そもそも、日本ではドイツ知識人のようなご都合主義など通用せず、戦争責任を天皇陛下や軍部のせいになどするようなことは到底できなかったのです。それに、ナチスドイツと当時の日本の軍部などは、全く異なるものです。ましてや、ヒトラーと天皇陛下を同次元で語ることなど到底できません。

ところで、第一次世界大戦後ドイツ中央銀行は、今日の日銀のようにドイツ中央銀行の独立性により、ドイツの金融政策の目標を定めることができたため、マルクを際限なく刷り増ししたため未曾有のハイパーインフレに見舞われました。

その後、ハイパーインフレは収束したのですが、今度は世界恐慌の煽りを受けてデフレが長引きました。1930年代のドイツでは「こんなに俺たちドイツ人は頑張っているのに、なぜデフレ不況から抜け出せないのだ?ユダヤ人が原因に決まっているじゃないか!」という声が巷に溢れていました。
 
その後のドイツ人が何をしたかは、世界中の人間が知っています。結局、ナチスドイツの台頭を招き、ユダヤ人もドイツ人もとんでもない災厄に見舞われることになったのです。しかし、そんな言説を撒き散らしていた当時のドイツの知識人が、そうしてその史実をナチスドイツを悪魔化することで回避した現代のドイツ知識人が、どのような自己批判をしたかは、誰も知りません。このことは、すっかり忘れ去られているようです。
ナチス党大会
日本はドイツのような姑息なことはせずに、国体の護持を選択し、潔くポツダム宣言を受諾し、あのリンチともいうべき極東軍事裁判の結果を受け入れました。

ニュルンベルク裁判では悪魔であるナチスを裁いたのですが、極東軍事裁判は敗戦国日本(政府、軍)を裁いたのです。

ただし、ドイツにおいてはあくまでナチス・ドイツは降伏したということになっているのですが、日本が国家として降伏したかどうかは学問的にはいろいろな説があります。

降伏した主体がどこかによる違いが、戦後の憲法(基本法)を制定する過程で大きく影響したという説もあります。

戦後の処理において(ナチスの継承者ではない)ドイツは、ロンドン勧告やフランクフルト文書に見られるように、憲法(基本法)制定で2つの条件を出したとされます。(ドイツ連邦共和国基本法)

・議会民主主義
・軍隊の保持

そして憲法は制定するがそれは『ドイツの国民が自由な自己決定を行えるまでの暫定的なもの』である『基本法』であるとされたのです。そのためもあってか、ドイツでは戦後何度も憲法が改定されています。

一方の日本の憲法はそうではありませんでした。先日もアメリカのバイデン副大統領がヒラリー大統領候補を応援した際に語ったように、日本国憲法は、米国が草案したものであり、しかもドイツとは異なり、当時の政府は憲法制定の条件を出すことも許されませんでした。

それどころか、米国によって草案された憲法は、暫定的なものであるとはされなかったのです。ドイツとは、異なり日本国憲法は戦後一度も改定されたことがありません。

そうして、これは、明らかに国際法違反です。戦勝国が、敗戦国に対して、憲法の内容を強要するなど明らかな国際法違反です。

このような日本国憲法は、一日でもはやく捨て去り、一度日本は大日本帝国憲法にたちかえり、そこから、自分たちの手で新たな憲法を創りだすべきなのです。

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