チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世(76)が2011年11月7日、都内で記者会見を開いた。
ダライ・ラマは10月末に来日。大阪・高野山で講演した後、11月3日から6日にかけて仙台、石巻、郡山など東日本大震災の被災地を訪問した。被災地訪問後に記者会見を開くのは初めて。
「常に物事は全体を見るべき」
放置された牛 |
「人間にも動物にも、放射能におびえずに生きる権利があるのではないか」
と問いかけた。ダライ・ラマは20キロ圏内の惨状に顔をしかめながらも、
「常に物事は全体を見るべきで、一面だけを見て決めるべきではない。破壊的な目的で使うものは、破壊的なものしか産まない」
広島を訪れたダライ・ラマ |
一方で、「平和目的ならば別問題」と、当面は原子力をエネルギーと活用すべきだとの考えを示した。
代替エネルギーでは、将来の電力需要を満たすのは困難
原子力以外の発電手段については
「ダムは自然を破壊するなどの悪影響がある。風力、太陽エネルギーもあるが、十分ではないかもしれない。十分というのは、『先進国にとって十分』ということではく、これから発展を遂げる国にとっても十分ではなければならない。そうでなければ、貧富の差が広がってしまう」
と、現時点で開発されている代替エネルギーでは、将来の電力需要を満たすのは困難だとの見方を示した。ただ、
「安全には万全を期すことが大事。あなた方が『原発はいらない』とお決めになるのなら、それはそれでいいと思う」
と、国内で広がっている「脱原発」への動きに対する批判は避けた。
また、パレスチナや尖閣諸島、TPPの問題については、
「大きな、複雑な問題」
「日本の問題」(Japanese Business)
「TPPについて勉強していない」
として、コメントを避けた。
【私の論評】ダライ・ラマの言葉の意味をかみしめよ!!
さて、この言葉、反原発の方々には、良く噛みしめていただきたいです。物事は、一面だけみていては、正しい判断も何もできなくなると思います。このダライ・ラマの言葉の重みを知っていいただきたいと思います。
当面は原子力をエネルギーと活用すべきというこの言葉は、一体何を意味しているのか。特に、ダライ・ラマは、世界各地を訪問しておられますから、多くの国々の固有の事情など十分知った上での、発言であり、けっして思いつきなどで語っておられるということではありません。
実際に、以下の動画をご覧になって下さい。
この動画では地球の気候は常に変動しており、現在の地球の状況はなんの変哲もないことや、人為的か否かに関わらず、気候が二酸化炭素により変動するという見解を否定する科学的証拠を紹介しています。一時間少々の番組ではありますが、"環境利権"に群がる者たちが多数いるということを知ってもらえれば幸いです。
特に上の動画の部分は、アフリカを題材としていて、まさに、電力などのエネルギーは、これから発展を遂げる国にとっても十分ではなければならない。そうでなければ、貧富の差が広がってしまうという言葉を実証しているように思えます。
そうして、私はこの状況は、何も発展途上国だけで、深刻になるとは限らないということを言いたいです。たとえばアフリカ諸国などに比較すれば、経済発展しているあの韓国ですらも、つい最近停電事故がありました。
実際韓国の各地で9月、「強制停電」措置が予告なしにとられ、全土で約162万戸に影響が出ました。各地で信号機が消え交通渋滞が起きたほか、金融機関のATM(現金自動預払機)が停止しました。エレベーターに人が5時間以上も閉じ込められるなど、大混乱に陥りました。崔重卿(チェ・ジュンギョン)知識経済相は引責辞任に追い込まれました
直接的な原因は残暑による電力需要の急増にありますが、構造的な要因が背景にあります。韓国は補助金によって電力料金が低く抑えられているため、電力の過剰消費をあおる傾向がみられます。
韓国・朝鮮日報によると、韓国の電気料金を100とした場合、米国は138、日本は242てす。また、韓国・中央日報によると、韓国の「エネルギー源単位(商品1000ドル分を生産するのに必要とするエネルギー)」は日本の3倍を超えています。日本では電力需要全体に占める産業用比率は30%ほどだが、韓国では54%に上っているということです。
電気がなくても生活できると日本人は思うかもしれません。江戸時代以前にそうしていたように。でも、アフリカやほとんどの地域は日本のように恵まれている土地や水があるわけではありません。
水があり、森があり、海があり、山があり、良質の土壌がある日本のような環境は世界から見ればまさに奇跡的と言えるほどの好条件なのであり、電気がないからといって生活できると思うのは想像力の欠如というものだと思います。
特に、電力が不足するようになれば、いわゆる、日本国内の弱者といわれるかたがたにかなりの影響がでてくるものと思います。
さて、韓国の電力の話といえば、あのソフトバンクの孫さんの言葉を思い出します。
「日本は犯罪者になってしまった」
今年6月下旬、韓国・ソウル市内で開催されたグローバル・グリーン成長サミットの席上で、ソフトバンクの孫正義社長は、原発事故で周辺の国々に迷惑をかけたことを謝罪、冒頭の言葉を述べました。国際会議の場で、生まれ育った国を"犯罪者"とまで言わせたのは、信念である「脱原発」への思いがきわまったせいに違いないはずです。
この訪韓で、孫社長は李明博大統領への表敬訪問も果たしました。このとき「脱原発は日本の話。韓国の原発は高く評価している」という発言もしています。日本では脱原発を主張しながら、韓国では礼賛しています。これこそ典型的な二枚舌です。孫社長の矛盾した言動を、ネット上でエネルギー問題を論じ、多くのファンがいる金融トレーダーの藤沢数希氏が解説しています。
「ソフトバンクは電気を大量に使うデータサーバーを韓国に移しはじめていますが、そこから孫さんの本当の狙いが見えてきます」
韓国では電力の4割以上を原発で作っています。一方、補助金がないと回らない再生可能エネルギーは現状でゼロです。このため、韓国の電気代は日本のおよそ4割ほどの値段なのです。
「原発を止めることで日本の電気代は大幅に上がります。孫さんは菅首相に働きかけてソーラー発電の全量買取り法案を推し進め、さらに電気代を上げようとしている。それで、自らは電気代の安い韓国へ施設を移転させるわけです。韓国で電気を安く買い、日本では自然エネルギーへの補助金をせしめる。非常に賢いやり方です」
孫社長は自らを龍馬に見立て、「脱原発こそ使命」と主張するが、なんのことはない、単なるビジネスの1つなのです。もちろん、ビジネスマンであれば商売を優先させるのは当然て゜すが、経済ジャーナリストの町田徹氏は、孫社長の商法を"濡れ手で粟"と批判しています。
上の動画の解説文で、『"環境利権"に群がる者』という言葉がでてきましたが、まさに、孫さんは、『"環境利権"に群がる者』ということです。
さて、ここまで、書けば、私の言わんとすることもおわかりになると思います。
ダライラマは、原発を当面は原子力をエネルギーと活用すべきとしている一方で、「安全には万全を期すことが大事。あなた方が『原発はいらない』とお決めになるのなら、それはそれでいいと思う」とも語っておられます。
まさに、私たちは、日本国内で、自ら、エネルギー政策を選んでいかなければならないということです。そうして、常に物事は全体を見るべきというダライ・ラマの言葉を忘れてはならないと思います。
私自身も、何も、原発に関して諸手をあげて賛成というわけではありません。できるだけ、安全で代替可能で安定性のあるエネルギーがあれば、それを使うにこしたことはないと思います。
しかし、総合的に物事を考えた場合、当面は、原発エネルギーを使い続けていき、いずれ、代替エネルギーを開発して、それにかえていくということが一番まともだと思います。ましてや、今すぐ、原発を全面的にストップするなどという考えには、賛成できかねます。
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