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2018年2月10日土曜日

【社説】わずか5分で退席したペンス米副大統領の警告=韓国(中央日報)―【私の論評】すっかり外交音痴が暴露された文在寅は訪朝すれば完璧に日米から見放される(゚д゚)!


ペンス副大統領
懸念していたことが起きた。それも最も輝くべき平昌(ピョンチャン)オリンピック(五輪)開会式の直前にだ。韓米同盟の隙間を見せる事件が昨日晩、文在寅(ムン・ジェイン)大統領が海外貴賓を対象に主催したレセプション行事で発生した。ペンス米副大統領は文大統領の歓迎行事に現れなかったうえ、レセプション場にも遅く到着した。続いて文大統領との記念写真を別の空間で行い、やむを得ず入ったレセプション場をわずか5分で出ていった。メインテーブルに用意された自分の席には座ることもなく、金永南(キム・ヨンナム)北朝鮮最高人民会議常任委員長とあいさつも交わさなかった。韓国政府が期待した朝米の「接触」は実現しなかった。

ペンス副大統領は訪韓前から「北朝鮮が五輪のメッセージを乗っ取ろうとしている(hijack)」と懸念を表していた。北朝鮮が非核化に誠意を見せず「微笑攻勢(a charm offensive)」を展開する偽装平和ショーをするという指摘だった。今回の訪韓には北朝鮮の拷問で亡くなったオットー・ワームビアさんの父を同行させ、強硬な対北朝鮮基調を維持した。昨日の開会式出席直前の日程も韓国哨戒艦「天安」展示館の訪問および脱北者との面談であり、北朝鮮の好戦性と極悪性を浮き彫りにすることに注力した。脱北者に会った席ではトランプ米大統領が北朝鮮を「監獄国家(prison state)」と述べたと紹介し、「北朝鮮は自国民を収監し、拷問し、飢えさせる残忍な政権」と伝えた。

問題はペンス副大統領がわずか5分で退席するほど激しい反応を見せた点だ。「米国は北朝鮮と対話しない」という立場表明と同時に韓国に対しても強い警告を送ったと読み取ることができる。まだ北朝鮮から非核化に関するいかなる話も聞いていない状態だ。なのに「白頭血統」金与正氏との会談を準備するなど、韓国政府が過度に南北対話にこだわっているという不満とみられる。朝米の接触を意図的に演出しようとした韓国政府に対する不快感でもある。南北の和解と対話、さらに北朝鮮の非核化は、韓米が確実な協力の中で推進する場合に限り動力を得る。ペンス副大統領の警告を重く受け止める必要がある。

【私の論評】すっかり外交音痴が暴露された文在寅は訪朝すれば完璧に日米から見放される(゚д゚)!

ペンス副大統領は当初、北朝鮮代表団と動線が重ならないようにしてほしいと韓国政府に要請しており、このレセプションでも金永南氏と同じテーブルに就くことはできないとの意向を事前に伝えていました。

これは、先日もこのブログに掲載したばかりです。その記事のリンクを以下に掲載します。
[平昌五輪]韓国政府「万景峰号に食事や燃料、電気を提供」―【私の論評】この件で日米は文在寅にさらに圧力をかけやすくなった(゚д゚)!
02年、釜山アジア大会の応援団を乗せて釜山の多大浦港に入港する万景峰92
(資料写真)=(聯合ニュース)
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、ペンス副大統領に関する部分のみ以下に引用します。
米国のペンス副大統領は2日(現地時間)「(北朝鮮に対する)戦略的忍耐の時代は終わったという簡単で明瞭なメッセージを伝えるため(平昌)オリンピックに行く」と発言したました。ペンス副大統領は平昌冬季オリンピックの開会式に米国選手団幹部らを率いて出席します。 
ペンス副大統領は米ペンシルベニア州ピッツバーグで行った演説で「新しくなった米国の力で米国政府は北朝鮮を以前になかったほど孤立させるという真の成果を出しつつある」とした上で、上記のように述べました。ペンス副大統領は「北朝鮮が弾道ミサイル実験を続けて米国を脅迫する時、われわれはあらゆるオプションがテーブルにある事実を明確にするだろう」とも明言しました。 
一方でペンス副大統領は韓国大統領府に対し、オリンピック開会式前後のさまざまな行事で北朝鮮関係者と鉢合わせしないよう特別な配慮を求めたといいます。北朝鮮との対話には一切応じない考えを明確にするためです。
ペンス米副大統領は6~10日、日本と韓国を訪問します。韓国では平昌冬季五輪の開会式に出席。北朝鮮が五輪参加を機に韓国に融和攻勢を仕掛ける中、安倍晋三首相や韓国の文在寅大統領と会談し、北朝鮮に核放棄を迫る圧力路線で3カ国の結束を誇示する構えです。
米国は五輪参加を巡る南北対話を歓迎しながらも、北朝鮮が米韓同盟の分断を図るのを警戒。国務省の報道担当者は「南北関係の改善は北朝鮮の核問題解決と切り離して進めることはできない」と強調しており、融和姿勢の文氏に制裁緩和に走らないようくぎを刺す狙いもあります。
9日の開会式に出席する米側の代表団はペンス氏のほか、在韓国連軍司令官と在韓米軍司令官を兼ねる現職のブルックス氏など。代表団に軍人を加え、米国のプレゼンスを国際社会に示す狙いがあるとみられます。
韓国政府関係者は「出席してくださればうれしいという話は伝えていたが、ペンス副大統領は出席しなかった」と言っています。このため、米朝対話を進めてきた韓国政府の構想に支障が出ることも避けられなくなりました。

これに先立ち、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の実妹・金与正(キム・ヨジョン)同党中央委員会第1副部長や金永南氏ら北朝鮮の高位級代表団は同日、金正恩委員長の専用機で訪韓し、平昌五輪開会式に出席など2泊3日の日程に入りました。

金与正氏は開会式で文大統領と握手し、10日には大統領府で他の北朝鮮首脳とともに文大統領と昼食を共にしました。

韓国大統領府で文在寅大統領(左端)との会談に臨む
北朝鮮の金与正・朝鮮労働党第1副部長(右手前)ら
韓国大統領府によると、この日の首脳級会談で北朝鮮側は金正恩氏の親書を手渡し、文氏の早期訪朝を要請。南北首脳会談を呼びかけました。

会談は昼食を含め約2時間50分行われました。大統領府によれば、金正恩氏は親書で南北関係改善への意思を表明。文氏は訪朝招請に対し「今後、条件を整え実現するようにしよう」と述べる一方、北朝鮮側に「南北関係の発展には早期の米朝対話が必要だ」と伝えました。

会談では朝鮮半島の平和と和解の雰囲気を維持し、南北の対話や協力を活性化していくことで一致しました。南北首脳会談が実現すれば2007年以来で3回目。金正恩体制下では初めてとなります。

一方、大統領府関係者によれば、会談では南北双方ともに核問題について言及はなかったといいます。

金永南氏は北朝鮮の序列2位で憲法上、国家元首の役割を担う。金日成主席の直系親族の訪韓は金与正氏が初めてで、朝鮮戦争(1950~53年)以後に訪韓した者の中では、最高クラスの人物。文政権は五輪開会式に続き、2人を「首脳級」として招きました。

文氏は金与正、金永南両氏の訪韓をはじめ五輪への北朝鮮の参加を、核・ミサイル問題の解決に向けた南北対話の契機にしたいと考えています。

北朝鮮の核・ミサイル開発への懸念が強まるなか、文氏の訪朝に米国が難色を示すのは必至です。にもかかわらず、金正恩氏からの訪朝要請を機に、文在寅政権が南北対話を本格させる可能性も否定できません。
文在寅は、外交の重みを全く理解していないようですが、それを本人自身が告白しています。
文大統領「国政で外交の比重がこれだけ高いとは知らなかった」  Chosun Online
  文在寅(ムン・ジェイン)大統領は7日、「以前は外交が国政に占める比重がこれだけ高いとは知らなかった。平昌冬季五輪が行われる最近になって外交が本当に重要であることに気付いた」と語った。文大統領は同日、大統領府で新任大使9人に信任状を授与し、「平昌五輪の成功が第一の課題だが、その後も外交的成果を続けてこそ初めて、我々の未来が開かれる」と言った。文大統領はまた、カナダのジュリー・ペイエット総督、リトアニアのダリア・グリバウスカイテ大統領とそれぞれ首脳会談を行った。
イ・ミンソク記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
それにしても、文在寅の外交は、事実上完璧に破綻しています。この様子だと文在寅は北朝鮮を訪問するかもしれません。それこそ北朝鮮の思う壺です。

この有様では、私がこのブログに以前から主張していたように、日米の対北朝鮮対応については、韓国は蚊帳の外に置かれることになるでしょう。

たとえ、米国が北を軍事攻撃することになったとしても、韓国に事前に伝えることはないでしょう。もし、伝えれば、その情報がすぐに北に伝わりかねないからです。

それに限らず、半島有事の際の在韓米国人、在韓邦人の救出などの情報も韓国側には伝えることはできなくなりました。下手に伝えると、北朝鮮側に利用され、「人間の楯」にされかねません。計画段階から、実施状況まで完璧に知らせることはできません。

この状況をみると、以前私がこのブログで主張したように、米国は北有事が現実のものとなり、米国が北を軍事攻撃した後には、半島全体の新秩序を樹立する方向に進まざるを得なくなるかもしれません。
【日韓合意検証発表】交渉過程の一方的公表を韓国メディアも批判「国際社会の信頼低下」―【私の論評】北だけでなく朝鮮半島全体に新レジームが樹立されるかもしれない(゚д゚)!
韓国のテレビで放送された、北崩壊後の韓国も含めた複数国家での分割統治の予想図
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、このブログでは、「北の後には、韓国を何とかしなければならないという機運は、日米中露の間で高まるのは間違いないものと思います。ただし、これはすぐにということではなく、北朝鮮崩壊後数年から10年後ということになるかもれしない」ことを予想してみました。

結局、北が崩壊するか、制裁に屈服するかして、北の運命が定まった後には、半島全体の新たなレジームづくりの機運が日米中露の間で高まり、その方向に進むことになるかもれしないことを主張しました。

もし、文在寅が北朝鮮訪問ということになれば、当然のことながら日米からは蚊帳の外に置かれるようになり、北崩壊の後には、朝鮮半島全体の運命が、韓国などおかまいなしに日米中露で定められるようになるかもしれません。

最近の韓国の動きを見ていると、このようになってもおかしくはないと益々思うようになりました。もし、北が崩壊して、韓国をそのままにしておけば、北の残党などと結びつき、とんでもない方向に走ることが懸念されます。

【私の論評】

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2018年1月16日火曜日

このままでは見放される論拠薄弱な護憲派―【私の論評】改憲派にも矛盾あり!日本は軍隊を持つべきという国民的合意が必要不可欠(゚д゚)!

このままでは見放される論拠薄弱な護憲派

リアルな防衛から目を背けてはいけない

2016年4月3日フィリピンのスービック港に寄港した海上自衛隊の潜水艦「おやしお」(左)、
護衛艦「ありあけ」と「せとぎり」 写真はブログ管理人挿入 以下同じ
 憲法改正問題は、間違いなく今年の一番の政治的焦点になるだろう。安倍首相の意向を受けた自民党の二階俊博幹事長は、1月12日夜、BSフジの番組で、安倍晋三首相が狙う9条改憲について「今までで(議論が)相当のところまできている。1年もあればいいんじゃないか」と述べ、年内の改憲発議を明言した。

 安倍首相も7日放送のNHK番組で「多くの党の賛同を得る形で発議してほしい」と述べ、公明党や野党に協力を求めると共に、年内発議への期待感を表明した。

 安倍首相が提案している改憲案というのは、憲法9条の改正である。その内容は、現行9条はそのままにして、自衛隊の存在を明記するという、いわゆる「加憲」案である。つまり自衛隊の存在をどう評価するのかが、重要な争点だということである。

共産党の支離滅裂を解きほぐす本

 いま、護憲を唱える有力な政党といえば、日本共産党であろう。ただ、私はこの政党の主張をかねてから厳しく批判してきた。「自衛隊は憲法違反の軍隊」というのが、この党の主張である。では、自衛隊は即刻解体せよ、と主張するのかと思えば、“解体賛成”という国民合意ができるまでは存在を認めるとしている。その一方で「立憲主義を守れ」というのである。9条には触れず、長期にわたって憲法違反の軍隊の存在を認めるという立場が、立憲主義とどう整合するのか? 支離滅裂というしかない。

 こんな時、この支離滅裂さを解きほぐす本が出版された。ジャーナリスト、編集者である松竹伸幸氏が著した『改憲的護憲論』(集英社新書)である。

 松竹氏は、みずから明言しているように護憲派であり、間違いなくその論客である。私が共産党の政策委員長をしていた当時、共に机を並べていた仲でもある。いつも杓子定規なものの見方や共産党流の定型的な見方ではなく、自分なりに問題意識を深めた意見を持っていて、その意見を重宝させてもらったものである。

 本書には、次のような一文が記載されている。

<これまで自分なりの自衛隊論、憲法論を盛り込んだ書籍を上梓(じょうし)するなどのことはしてきましたが、共産党とこの分野で意見の違うことは、活字にしてきませんでした。共産党の規約は、『党の決定に反する意見を、勝手に発表することはしない』とされています。それなのに、いまなぜ活字にして発表しているのか。それは、私の意見が『党の決定に反する』ものではなくなったからに他なりません。>

 少し話が脱線した。『改憲的護憲論』などという刺激的なタイトルの本をなぜ執筆したのか、同氏は「おわりに」で次のように記している。「執筆に本気になったのは、改憲されることそれ自体への危機感からではありません。加憲案に対する護憲派の反応が気になったからです」。安倍首相の加憲案というのは、同氏が指摘するように、本来の自民党の改憲案に比べて「かなり穏やか」なものである。ところが護憲派の批判は、おどろおどろしい改憲案であるように印象づけるため、論拠の薄い、無理矢理なものになっていると指摘する。 本書の中身は、共産党の主張とは大きく隔たっている。それでも「決定に反しない」ということは、同氏がこの拘束から離れたということだろう。つまり共産党を離党したということなのだと思う。

 その上で、「自衛隊は絶対に憲法に明記してはならない」というのが護憲派の立場だが、国民の目には、自衛隊を認めるのか、認めないのかという争いに映ってしまう。そうなれば、「圧倒的多数は自衛隊に共感を持っている世論の現状において、護憲派は見放される」、そうならないためには「別の論点を提示しなければならないと、痛切に思ったのです」と同氏は述べている。

 その通りだと思う。いまの現状で自衛隊違憲論や自衛隊解体論が広範な国民に受け入れられることなど、あり得ない。本書は、この厄介な課題を解きほぐそうとするものであり、護憲派の人々こそが読むべきものである。

迷走する共産党の自衛隊論

 共産党がいかに自衛隊の取り扱いで迷走してきたか、本書を読めばよく分かる。20年近く前まで、共産党の安全保障政策の基本は、「中立自衛」であった。「自衛」には、軍事力が必要である。つまり、自衛隊は憲法違反だが、9条を改正して合憲の自衛軍を持つというのが、長らく共産党の考え方であった。

 ところが本書でも指摘するように、冷戦終結後、1994年の党大会で「憲法9条を将来にわたって堅持する」という大転換を行った。

 このとき党内では、この大転換についてほとんど議論らしい議論は巻き起こらなかった。本書によれば、かつて共産党が批判していた社会党の「非武装中立」と同じだということを上田耕一郎副委員長(当時、故人)が新聞インタビューで答えていたそうである。

 この結果、急迫不正の主権侵害に対して、「警察力や自主的自警組織など憲法9条と矛盾しない自衛措置をとることが基本」となった。“竹やり作戦”である。これで国民の命や安全を守れるはずもなく、論争にも耐えられないものであった。

 2000年8月、不破哲三議長がテレビ番組で「(日本に)自衛の権利はあるが、現憲法下では自衛隊は認めない」と発言したところ、「敵が攻めてきて、自衛隊がなかったら誰が自衛の行動をとるのか」と問われ、「必要なあらゆる手段」としか答えられないことがあった。これでは、もちろん答えになっていない。国民に玉砕しろと言うようなものである。

 この後、「(自衛隊解消前に)急迫不正の主権侵害、大規模災害など、必要に迫られた場合には、存在している自衛隊を国民の安全のために活用する」という「自衛隊活用」論に方針転換をせざるを得なくなった。

 ところが松竹氏の本にも詳述されているが、またまた方針転換が行われる。2005年、松竹氏が政策委員会在籍中に書いた論文に、共産党指導部からいちゃもんがつけられた。松竹氏の論文は、「侵略されたら自衛隊を活用する」という党の方針に基づいたものであった。ところが指導部からは、「『自衛隊活用』論は、共産党が与党となる民主連合政府ができた段階のものであり、現時点で自衛隊の活用を一般化するものではない」と説明されたというのである。

 共産党が「自衛隊活用」論を採用した当時、私は政策委員長として指導部の一員であった。“民主連合政府が誕生したとき”などという制約がかけられた事実はない。言うまでもなく、民主連合政府などいつできるかも分からないし、未来永劫できない可能性すらある。こんな馬鹿げた方針を決めるわけがない。これでは事実上、活用論を取り下げるのと同じである。おそらく取り下げようということだったのだろう。

 いま共産党は、野党共闘にすべてを賭けている。自衛隊違憲論や自衛隊解体論が他の野党に受け入れられるはずもなくい。そこでまたまた活用論が復活してきている。

 この迷走ぶりは、自衛隊問題も、国の自衛に関わる問題も、真剣に検討していないことの証でもある。

日本防衛はリアルな問題

 松竹氏は、本書の「はじめに」で、「護憲派には、日本防衛の問題をわが事として捉える覚悟が求められている」と述べている。

 多くの護憲派は、そもそも主体的に日本防衛を論じることすら忌避する傾向になる。多くの地方で、共産党議員が自衛隊の演習に反対する運動を繰り広げている。「9条守れ」というスローガンを掲げることが運動のすべてのように思える。これでは無責任の誹りを免れない。

 日本防衛はリアルな問題である。防衛のあり方を真剣に考えないような運動が、国民の多数の支持を得ることなどあり得ないことを護憲派は知るべきだ。そのためにも『改憲的護憲』の一読をすすめたい。私は護憲派ではないが。

【私の論評】改憲派にも矛盾あり!日本は軍隊を持つべきという国民的合意が必要不可欠(゚д゚)!

ブログ冒頭の記事では、護憲派の矛盾について掲載されていました。そうして、共産党ほど酷いものではありませんが、改憲派の中にも矛盾があります。

私は、護憲派か改憲派のいずれかといえば、改憲派です。ただし、9条3項改憲で自衛隊を憲法典に明記しようとの主張に対して、無条件で賛成ではありません。あくまで条件付き賛成です。

その条件とは、これまでの憲法解釈を一掃し、法体系を軍隊式のネガティブリスト(禁止事項列挙型)に全改正し、十分な国防予算をつけるというのなら、改憲に賛成です。


現状のポジティブリストの法体系では戦争になれば、自衛隊員に「死ね」と言っているようなものです。新型兵器の導入には熱心な自衛隊の陸上自衛隊員がアメリカ軍楽隊よりも銃撃訓練ができていない状態を改める必要があります。だからこそ、これを改めることは絶対条件です。

しかし、「解釈も法律も予算も無視して一点突破」だけなどという9条3項改憲ならば、大反対です。そもそも、意味がありません。憲法典が変わっても現状と何も変わりません。

そうして、憲法の条文の前に重要なことがあります。最も重要なのは、内容です。

なぜ自衛隊が合憲なのか、自衛隊をどう位置付けるのか。憲法典の条文に加筆した場合、関連措置として何が必要なのか。これらの議論なくして「9条3項一点突破」などと声高に叫ぶこと自体が無意味かつ有害となりかねません。

しかし、日本国憲法制定以来、曖昧な状態に置かれていた自衛隊を条文で明記するのに反対するつもりはありません。そこで、日本国憲法九条に自衛隊を明記しようとした場合、いかなる議論が必要なのでしょうか。

まずは、大前提として、日本国が軍隊をもつか否かの国民の合意はあるのでしょうか。改憲論議においては、ここから逃げるべきでありません。

世界の大多数の国は、「軍隊をもつ」という合意をしています。そのうえで、いつの時期にどの程度の軍備を充てるか、国際情勢と経済状態から勘案してます。

逆に、「軍隊をもたない」という合意をしている国もあります。軍隊を廃止し準軍隊(国際法で定義されるParamilitary)による防衛を国是とするコスタリカ、安全保障をスイスに全面的に依存しているリヒテンシュタイン、ツバルのような小規模の島嶼国家などです。軍隊を保有していない国は世界で25カ国あるが、いずれも小国です。


では、領土と経済規模において大国であり、核保有国が密集する地政学上の重要地帯である東アジアに位置するわが国が、「軍隊をもたない」「他国に安全保障を一任する」などと主張して許されるのでしょうか。その程度のことを国民に説得できなくて、どうやって憲法改正などという大それたことができるのでしょうか。

あるいは、憲法典に「国防軍」だの「自衛軍」だの、「軍」を明記すれば合意ができるなどと甘い考えを抱いているのでしょうか。憲法典に書き込みさえすれば、狂信的な護憲派を説得できるとでも思っているのでしょうか。憲法典の条文を万能だと思っているのなら、改憲派も護憲派と同じ穴のムジナに過ぎません。


私は、日本国は軍隊をもつべきだと思います。圧倒的多数の国民は当然だと思いながらも、護憲派を罵るばかりで、これまで真っ当な説明をしてこなかった改憲派にも問題ありです。

では、なぜ日本国は軍隊をもつべきなのでしょうか。それは、地球上で文明国として生きていくためです。

文明国とは、誰にも媚びずに、自分の力で、自分の生存を主張できる国のことです。わが国を取り巻く環境を一望すれば、比喩ではなく火薬庫と化した朝鮮半島で、米中露の3大国がにらみ合っています。米国陣営にはわが国と台湾、そして東南アジア諸国。中国陣営にはロシアと北朝鮮、最近では韓国がなびいています。この両者を分かつものは何なのでしょうか。

1つは、海洋勢力と大陸勢力の地政学的環境です。もう1つは、価値観です。人を殺してはならない。この、日本人にとって当たり前の価値観を共有できるかどうかなのです。

金正恩はいうに及ばず、習近平やウラジーミル・プーチンの核兵器がわが国を向いています。守ってくれるのは、気まぐれなドナルド・トランプです。ここで一足飛びに、いますぐ核武装しろなどと、主張するつもりはありません。

ロシアの核兵器も日本に標準をあわせていることを忘れてはならない
しかし、圧倒的多数の国民が、この危険な状況をいつまでも唯々諾々と受け入れるでしょうか。日本人は、未来永劫、アメリカの属国として生き、中国やロシアに媚びへつらい、北朝鮮に足蹴にされ続けることを望むのでしょうか。

名前が自衛隊のままであるかどうか等問題ではありません。名前がどうであれ、国民のあいだに合意がなければ、軍隊なのかどうなのか曖昧なままです。まさか改憲後も、「9条3項に明記されている自衛隊が軍隊か、どうか」という議論を続ける気なのでしょうか。自衛隊の名称を憲法典に書き込むにしても、軍隊なのかどうなのかを曖昧にしたままでは何の意味もありません。

今後、日本国は軍隊をもつのか持たないのか、国民の合意が必要です。こうした憲法観の合意なしの憲法論議など、百害あって一利なしです。

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