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2016年12月7日水曜日

邪魔者は殺す プーチン大統領のデスノート―【私の論評】プーチンは、生かさず殺さず利用することが我が国の目指すべき道(゚д゚)!

邪魔者は殺す プーチン大統領のデスノート

ウラジーミル・プーチン 写真はブログ管理人挿入 以下同じ
 超大国ロシア復権を目指すプーチン大統領は、政権に批判的な者を露骨に排除してきた。ロシア・旧ソ連圏の安全保障に詳しい軍事アナリストの小泉悠氏は、「ロシアの恐怖政治は今後も続く」と見ている。

 * * *

 2015年2月27日、ある男がモスクワ中心部の橋で4発の銃弾を浴びて死亡した。男はロシアの野党指導者ネムツォフ。反プーチンを掲げて大規模デモを開催する2日前の暗殺だった。後に当局は5人を逮捕したが「黒幕」は不明のままだ。

暗殺されたとみられる野党指導者ネムツォフ氏
 プーチンという男を批判する者の不可解な死は今に始まったことではない。

 有名な例が、プーチン政権誕生の鍵を握る事件を追及していたジャーナリストのポリトコフスカヤだ。

 1999年、ロシア3都市のアパートが連続爆破され、約300人が死亡した。当時、ロシア首相のプーチンはチェチェン独立派武装勢力のテロと断定して報復攻撃を開始した。決断は国民に広く支持され、大統領に上り詰める基盤となった。

 だが、後に同型の爆弾を仕掛けた不審者がロシアの諜報機関と関係していた事実が発覚。ポリトコフスカヤは、アパート爆破はチェチェン侵攻の口実が欲しいプーチンの「自作自演」ではないかと追及した。

暗殺されたとみられるポリストフスカヤ氏の葬儀
 そして彼女は標的となる。2004年のチェチェン武装勢力による中学校占拠事件を取材する際、現場に向かう機内で提供された一杯の紅茶を飲んで意識を失った。彼女は紅茶に毒を盛られたとして、「ロシア当局による毒殺未遂」だと主張した。

 奇跡的に一命を取り止めたが、2006年10月7日、モスクワ市内にある自宅アパートのエレベーター内で射殺された。全容は不明だが、この日はプーチン54歳の誕生日であり、暗殺は「最大の贈り物」とされた。

 3週間後、彼女と同様にロシア政府の関与を追及していた元KGB(ソ連国家保安委員会)のリトビネンコが亡命先のロンドンで体調不良を訴える。髪の毛が抜け、嘔吐を繰り返した彼は、やつれ果てた姿で死亡した。

病気の治療を受けていたリトビネンコ氏
 死体からはロシアで独占的に製造される放射性物質のポロニウム210が検出された。後に英国の調査委員会は、暗殺にロシア政府が関与しており、少なくともプーチンの承認を得ていたと結論づけた。

 KGBには「チェキスト(情報機関員)は死ぬまでチェキストだ」との鉄則がある。KGB出身のプーチンにとって、西側に魂を売ったリトビネンコは、「許されざる裏切り者」だった。(談)

 ●取材・構成/池田道大(ジャーナリスト)

 ※SAPIO2017年1月号

【私の論評】プーチンは、生かさず殺さず利用することが我が国の目指すべき道(゚д゚)!

上の記事をご覧いただければ、おわかりになるように、プーチンは政治家というより、マフィアの親分とでも考えたほうが、妥当です。

そのようなマフィアの親分との交渉で、安倍晋三首相は、北方領土返還に執念を見せています。9月2日、ウラジオストクで、ロシアのプーチン大統領と首脳会談を行い、年内にあと2回会談を重ね、安倍首相がソチ五輪時の会談で提示した経済面での8項目の「協力プラン」の具体化を加速して両国の協力関係を強化することで合意したといいいます。

その直前には、安倍総理は、「ロシア経済分野協力担当相」職を設置するなど“本気”を印象付けました。北方領土返還のため、冷戦時代の「政経不可分」戦略をかなぐり捨てて、「経済先行」を前面に押し出しています。

日本とロシア(旧ソ連)は、1956年の「日ソ共同宣言」で法的な戦争状態を一応終結したが、いまだに「平和条約」は締結できていません。父祖伝来の領土である北方領土の返還は悲願です。

しかし、この努力は報いられない可能性のほうが高いと考えられます。その根拠は、以前もこのブログに掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
安倍首相と米露のバトル口火 TPPは“トランプ版”に衣替え、北方領土はプーチン氏と論戦に―【私の論評】日米は、中国の現体制と、ロシアの中のソ連を叩き潰せ(゚д゚)!
ウラジーミル・プーチン
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事にはロシアという国の本質を掲載しました。その部分を以下に掲載します。
私たちは、ロシアとの北方領土交渉に関することを述べる前に、ロシアとはどういう国なのかを知っておく必要があります。

現代ロシアを理解するうえで大切なことは、ロシアとソ連は宿敵だということです。ロシアを乗っ取ってできた国がソ連なのですから、両者を一緒くたに考えるべきではありません。

エリツィンは現在では単なる酔っ払いとしか評価されていないのですが、間違いなくロシアの愛国者でした。そのエリツィンから大統領の地位を禅譲されたプーチンがやっていることは、ソ連邦の復活であり、ロシアに対する独裁です。
ロシアの愛国者エリツィン氏
プーチンが日本文化に詳しいから交渉しやすいなどという甘い幻想は捨て去るべきです。ロシアはそれほど単純な国ではありません。例えば、2002年にアレクサンダー・レベジというロシアの政治家が死にました。

彼はロシアの自由化を進め、チェチェン紛争の凍結にも尽力した人物です。NATOや日米同盟にも融和的でした。何より、近代文明とは何かを理解し、実行しようとしました。

ロシア史のなかでも、一番の真人間と言っていい存在です。しかし、彼の末路はヘリコプター事故死です。ロシアではなぜか、プーチンの政敵が『謎の事故死』を繰り返します。このレベジについてなんら言及せず、『プーチンは親日家だから』などと平気で言っているような輩は、間違いなく馬鹿かロシアスパイです。
アレクサンダー・レベジ
しかし、無論プーチンに限らず誰にも様々な面があります。どんな物事にも良い面もあれば悪い面もあります。『誰が善玉で誰が悪玉か』という子どものような区別の仕方はすべきではありません。

ロシアを支配しているのは、徹底した『力の論理』です。自分より強い相手とはケンカをせず、また、自分より弱い相手の話は聞かないというものです。

日本からの投資などで、ロシア側の姿勢を軟化させ北方領土問題を一歩でも進めよう、などという声もあるようですが、話を進める気のない相手に交渉を持ち込んだところで、条件を吊り上げられるのがオチです。

そもそも、戦争で取られたものは戦争で取り返すしかない、というのが国際社会の常識です。力の裏づけもないまま、話し合いで返してもらおうなどと考えている時点で、日本は甘すぎます。これは、それこそ子どもの論理と謗られてもしかたありません。
これは、プーチンとメドヴェージェフの役回りを考えてもわかります。子分が大袈裟に騒ぎ立てたところへ、親分が『まあまあ』と薄ら笑いで入ってくるのは、弱肉強食のマフィア社会などでは常套手段です。にもかかわらず子どものままの日本は、プーチンの薄ら笑いを友好的なスマイルだと勘違いしてしまっています。要するに、マフィアの社交辞令を真に受けているわけです。
プーチンとメドベージェフ
そもそも、多くの日本はロシアを知らなさすぎます。ウクライナの問題にしても、ロシアの歴史を知っていれば『またやってるよ』で終了です。『アメリカの影響力の低下』を論じる向きもありますが、そもそも、旧ソ連邦であるウクライナ、とくにクリミア半島に欧米が手出しできるわけがありません。メキシコにロシアが介入できないのと一緒です。

これは、世界の通史を知れば国際社会の定跡が学べ、おのずと理解できることです。そうして、文明国として、日本が強くなるべき理由やその方法も理解できるはずです。

プーチン大統領にとって、ウクライナはあくまで自分たちの持ち物です。元KGBである彼の故郷はロシアではなくソ連邦なのです。ウクライナを狙うのは、彼が旧ソ連を取り戻そうとする行為の一環なのです。

プーチンは故郷であるソ連邦の歴史をムダにしたくないし、ソ連の崩壊が敗北だったとは決して認めたくないのです。例えばプーチンは、ガスプロムという天然ガスの企業を使って、ロシア人から搾取を続けています。
このようなロシアの本質を知れば、北方領土問題がどんな形であれ解決すはずもないことは、はっきりしています。

それは、最近のプーチンの動きでも良く理解できます。

安倍晋三首相と、ロシアのプーチン大統領が今月15、16両日に山口県長門市で行う首脳会談に向けて、激しい駆け引きが続いています。プーチン氏は演説などで「経済協力」ばかりをアピールしています。日本としては北方領土問題を含む平和条約締結交渉が最優先であり、プーチンの一方的食い逃げは絶対に許すべきではありません。

 「(日本の)指導部がロシアとの経済的な結びつきを発展させ、共同プロジェクトや計画を始動させようとしていることを歓迎する」

 プーチン氏は今月1日、クレムリンでの年次教書演説で対日関係について、こう語っていました。安倍首相が提案した経済協力プランを“べた褒め”したのですが、領土問題を含む平和条約交渉には触れませんでした。

 まるで、領土問題は二の次のような態度です。

岸田文雄外相は2日夜、ロシア・サンクトペテルブルクで、プーチン氏と会談。安倍首相の親書を手渡し、首脳会談に向けた「詰めの作業」を行いました。

岸田外相
出発前の1日、岸田氏は都内で「日本側の考え方を直接伝えたい」と意欲を語っていましたが、百戦錬磨のプーチン氏を相手にするには、「お子様」のような態度ではなく、断固として領土を取り戻す気概が求められます。

おそらく、プーチン氏は日露両首脳会談で一見、領土問題に譲歩をみせるような態度をとるかもしれませんが、それでも、明言は避けることでしょう。

このようなことがある程度予めわかっているからこそ、安倍総理は今月米国のハワイに訪問することを取り急ぎ決めたのではないかと私は睨んでいます。

これは、日本国内の政治日程を考えると良くわかります。安倍晋三首相が来年一月召集の通常国会冒頭に衆院解散・総選挙に踏み切るのではないか、との臆測が与党を中心に広がっています。十二月の日露首脳会談で成果を出し、その勢いで国民に信を問う-という筋書きです。ただ、与党にとっては改憲発議に必要な三分の二の議席を失うリスクがもあるので、否定的な意見も多いです。

安倍総理がその腹だとすれば、日露首脳会談でめぼしい成果をあげらけなければ、このスケジュールは多いに狂うことになります。

そこで、浮上したのが、安倍首相の今月26~27日真珠湾訪問です。安倍首相は、オバマ大統領と最後となる首脳会談を行うとともに、旧日本軍による真珠湾攻撃の犠牲者を慰霊します。

オバマ氏は今年5月、現職の米大統領として初めて、米軍が原子爆弾を投下した広島を訪問している。そのため、今回の真珠湾訪問は「返礼」の意味合いがあるとの見方もあるが、菅義偉官房長官は12月6日の記者会見で「広島訪問とは関係するものではないと思っている」とこれを否定。一方で「本年が真珠湾攻撃75年という事も総理の頭にあったのではないか」と述べた。

米ホワイトハウスは5日に声明を発表し、「両首脳の訪問は、かつての敵国同士が最も親密な同盟国となり、共通の利益と価値の共有により結束しているという和解の力を示すだろう」と評価した。キャロライン・ケネディ駐日米大使も6日、「真珠湾訪問は日米間の友好と同盟の証です」と歓迎するツイートを投稿している。

安倍首相としては、歴代首相が成し遂げられなかった真珠湾訪問によって「日米の戦後」に終止符を打つとともに、日米同盟の強固な関係を内外にアピールする考えです。

もともと年明け解散は、12月15日~16日に行われる日ロ首脳会談の成果を掲げて行われたかもしれませんが、その後、北方領土問題の大きな進展は期待薄となったため頓挫したと思われていたのですが、今回の外交成果で内閣支持率を伸ばすか最近あがってる支持率を維持しつつ、そのまま解散総選挙に打って出る可能性がでてきたということです。

解散総選挙は、安倍首相の胸先三寸で決まるわけですから、憶測をするしかないのですが、それでも、このような選択肢も安倍総理の腹の中にあるのは確かだと思います。

このように掲載すると、日露首脳会談は無意味のようにも受け取られかねませんが、そのように考えてしまうことこそ、先に述べたような「子ども」の態度と言わざるを得ません。民進党の幹部や、蓮舫代表などは、そのように考えて、もし日露会談が不調に終われば、「意味が無い」等と国会で安倍総理を糾弾することでしょう。あまりにも下らなくて、今から目に浮かぶようです。

蓮舫氏
しかし、これこそ「子ども」のような態度です。ロシアは今や、大国ではありません。ロシアの GDP (国内総生産)は日本の四分の一にすぎません。人口においても、1億4000万人と、日本より若干多い程度です。軍事的にも旧ソ連だったころの面影もなく今では、NATOと戦っても負けます。というより、そのような戦争を遂行するだけの力もありません。

しかも、ロシアは中国と世界で一番長く国境を接する国です。そうして、中露国境では、多数の中国人が国境を超え、ロシア領内で様々な事業を営んでいます。このように多数の中国人が国境を超えて、ロシア領内で活動していることから、国境が曖昧になり、「国境溶解」と呼ばれています。

ロシアにはこのような中国の脅威があるわけです。もし、ロシアが崩壊してしまえば、中国はシベリアなどに大々的に進出し、中国が北極海沿岸の地を自らの版図に収めてしまうかもしれません。あるいは、オホーツク沿岸も手中に収めるかもしれません。

そうなれば、当然のことながら、かつてソ連が冷戦中に対米核戦略の拠点としたオホーツオホーツク海ならびに、北極海の深い海を原潜の聖域とするかもしれません。

そうなれば、北半球にある国々は中国の脅威にさらされることになります。我が国にとっても、安全保障上の重大な脅威になります。

だかこそ、ロシアには強大になりすぎても困りますが、やはり現状の影響力は維持しつつ、中国に対峙している状態が、北半球の国々とっては、いまのところベストということになります。

一番良いのは、中露を互いに争わせ、他国にも火の粉が降りかかるような大きな戦争にはならないようにして、互いを疲弊させることです。ロシアと中国がともに疲弊すれば、我が国にとっての安全保証上の脅威はなくなるし、そうして、北方領土が日本に帰ってくる可能性も高まるというものです。

そうして、無論のことですが、中国で習近平政権が、ロシアではプーチン政権が、統治の正当性が低いという事実があります。そもそも、プーチン政権の統治の正当性が高ければ、全近代的な暗殺などする必要もないわけです。習近平だって、統治の正当性が高けば、腐敗撲滅運動とう名の権力闘争などする必要もないわけです。

日本ができる事は限られていますが、米国やイギリスその他自由主義陣営の国々は当然のことながら、中露を内部から腐敗させ、弱体化させるための行動をとっていることでしょう。特にトランプ氏が大統領に就任してからは、その動きは加速化されることでしょう。

我が国も情報提供の面などから、この動きに協力していくべきです。そうして、中露とも、経済が疲弊していて先が見えない状況です。ここで、我が国の経済力を活用して、中露を手球にとることもできます。

このようなことは、当然のことながら安倍首相の腹の中にはあることと思います。一見ロジアのプーチンに利用させているように見せかけておいて、実はこちら側が、利用しているという形にもっていければ、我が国にとっては最善です。こうしたことから、今回の日露首脳会談も揺るがせにはできないのです。

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