2008年12月9日19時15分(asahi.com)
【ニューヨーク=丸石伸一】米新聞大手トリビューン(本社・シカゴ)が8日、経営破綻(はたん)に追い込まれた。米新聞業界では他の大手も広告収入減少 などで業績が低迷。インターネット媒体など新たなメディアとの競争に加え、金融危機をきっかけとした景気悪化が苦境を深めている。
「我々がコントロールできない要因が、嵐を起こした」
トリビューンのサム・ゼル会長兼最高経営責任者(CEO)は8日、日本の民事再生法にあたる米連邦破産法11条の適用申請を発表した際、そう談話を出した。
ゼル氏は地元シカゴの不動産王として知られる。昨年4月、トリビューンへの買収提案が受け入れられ、経営に乗り出したばかり。傘下の米大リーグ球 団シカゴ・カブスの売却などで資金を調達するはずだったが、売却はいまだにできず、金融危機で業績が悪化。破産法申請での出直しを余儀なくされた。
トリビューンは、部数が全米4位のロサンゼルス・タイムズや8位のシカゴ・トリビューンを発行。今後も新聞発行やテレビ局の運営は続ける。「あくまで負担の重い負債を整理する目的だ」(広報担当者)と説明するが、増収への明確な見通しが示されているわけではない。
トリビューンは年間の最終損益こそ黒字を続けているが、直近の2四半期は純損失が続く。その最大の要因は、新聞事業の広告収入の減少だ。08年 7~9月期決算で、新聞の購読料収入は前年同期比2%減にとどまっているが、広告収入は同19%減まで落ち込んだ。広告収入は同社の新聞事業の売上高の7 割超を占める主要な収入源だけに、大幅減は痛手だ。
ネット媒体への広告が増えているあおりを受けた形だが、不動産関連の広告の減少が大きいなどサブプライム危機の影響も受けている。
米新聞大手ではマイアミ・ヘラルドなど約30紙を発行していたナイトリッダーが06年に身売りを決定。昨夏は米経済紙ウォールストリート・ジャーナルを発行するダウ・ジョーンズ社も「メディア王」ルパート・マードック氏率いるニューズ社に買収された。
だが、再編後も業績低迷が続き、ニューヨーク・タイムズが今年10月、米大手格付け会社から投資の格付けを一気に3段階低い「投機的」とされる水準に下げられるなど、業界の先行きに対する目は厳しくなっている。
トリビューンの破綻について、ウォールストリート・ジャーナルは「新聞各社の苦悩が深まっている」と指摘。「今後数カ月内に数紙が破産法の適用を申請する可能性がある」との業界関係者の見方を紹介している。
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【欧米の新聞業界を巡る主な出来事】
04年6月 米紙ロサンゼルス・タイムズが160人の削減計画
06年7月 米紙シカゴ・トリビューンが120人の削減計画
07年4月 米新聞大手トリビューンを投資家サム・ゼル氏が82億ドルで買収することが決定。傘下2新聞社で計250人の削減計画を公表
5月 英ロイター通信が金融情報大手トムソン(カナダ)と合併
12月 米経済紙ウォールストリート・ジャーナルを発行する新聞大手ダウ・ジョーンズを、豪州出身のルパート・マードック氏率いるニューズ・コーポレーションが56億ドルで買収
08年4月 仏紙ルモンドで130人の削減計画。労組のストで休刊
6月 米新聞大手マクラッチーが1400人の削減を発表
9月 マクラッチーが1150人の削減を発表
12月 トリビューンが破産申請
構造的変化とそうではないものとの見極めが重要か?
今回の各新聞の不振は、上の分類からすると、完全に構造的なものだと思います。日本でも最近朝日新聞の不振が伝えられました。インターネットが普及したころから、このことは指摘されてきました。ただし、少し前までは、インターネットでのニュースもあまり充実したものではなく、インターネットだけだと見逃しも多く、やはり新聞に頼らざるを得ないというところがありました。
しかし、最近ではインターネットのニュースも非常に充実してきて、特にGooglやYahooなどは、自分でレイアウトをして、自分の欲しい情報を目につきやすく配置するとか、特に自分の欲しい情報は充実させることができるようになりました。さらには、特にはやく知りたいものに関してはアラートとして登録しておけば、そのニュース内容が配信されたとたん、メールで自分に発信してもらえるサービスも登場しています。
また、インターネットが普及しだしたころの、ディスプレイの画素は少なく、一覧性からすると、まだまだ新聞のほうがはるかに勝っていました。特に画素が800×600以下までは、完全に新聞でないと、非常に読みずらいものでした。しかし、最近 では、ディスプレイの画素があがってきたことと、ディスプレイだけではなく、薄型テレビでも大きくしてみることができるとか、デュアルディスプレイにして みることができなど、これもかなり改善されてきました。それに、インターネットの場合は、補足的に動画を見ることなども可能です。さらには、記事内容を読んでいて、判らない言葉や、概念が出てきた場合、Wikipediaなど同時に閲覧することができます。また、特定の記事に興味を持った場合、関連記事など際限がないくらい、いくらでも見ることができます。
こうなると、新聞は即時性という意味では、インターネットのニュース配信には全く太刀打ちすることはできません。新聞というメディアを抜本的に変えなければ、永遠にインターネットに太刀打ちできないことになります。
しかし、今から20年前くらい前に、書籍のインターネット販売が興隆すると予測したら、「冗談がきつい」と多くの人に笑われたに違いありませんが、アマゾン・ドット・コムや、バーンズ・アンド・ノーブル・コムがまざにこれを実施して成り立っています。やはり、書籍には、書籍なりの価値があり、インターネットでは入手できない系統だった体系的な情報を手軽に得られるというメリットがあります。だから、書籍がこの世から消えるということはないと思います。
新聞が構造的変化に耐えていく道はある!
新聞にも、このような生き残り策はあると思います。それは、このブログでも以前掲載しました。それは、新聞に掲載する内容を過去に関する報道から、未来に関することに変更することです。それから、毎日未来の予定を掲載されても使いきることはなかなか難しいでしょうから、週間か月刊にすることです。
週間なら、来週の予定を掲載することです。そのほか、月に一回は来月の予定、四半期に一回は、次の四半期の予定、半年に一回は、今後半年の予定、一年に一度は来年の予定など掲載することです。ただ予定だけ並べていてもあまりにも芸がなさすぎるので、すでに起こった事象から、将来を読み解いて、将来の見通しなどを掲載することです。
私たちは、自分が関わっている、産業や事業のことは結構知っています。しかし、最近では、自ら関わっている産業、事業以外の事柄が、自分たちの分野に対してかなり大きな影響を与えることがあり、そうした面で見落としが随分顕著になってきたと思います。
たとえば、いろいろな分野で昔なら考えられなかったような、IT分野のイノベーションが起こっています。昔なら、あったとしても高かすぎて、自分たちには全く関係がないと思われたようなサービスが、クラウド・コンピューティングで提供されているとか、これから数年後に実用化するなどという話があります。
もっと、身近な話だと後期高齢者医療の話など、数年前からわかっていたはずなのに、施行されてから、話題になったりも問題になったりしています。こうした話題など、新聞に1年後はこうなる、2年後はどうなると、他の話題とともに掲載しておけば、もっと前に国民にも知られていたでしょうし、政治の世界でも、もっと前から問題にされていたでしょう。
ただ、予定を掲載するだけなら、これもインターネットに勝つことはできないでしょうが、せっかく素晴らしい記者たちがいるわけですから、これらの人たちが体系的に情報を整理し分析し、情報を抽出し、それらのことから、十分起こりそうなことを系統的に提供するということにするのです。最近のアメリカであれば、大統領選挙に関して、候補者の来月の遊説先はどこで、そこの出口調査でどのくらいの支持があれば、どの候補者がどのくらいであれば、当選の確率はどうなるかなどを提供するのです。過去のことは、特に必要ありません。これから、起こることの説明に必要であれば、掲載するようにします。
そうすることによって、提供された情報が必要なくなるまで、新聞は手元に置かれる率が高くなると思います。それに、何もかも掲載するというのではなく、あくまで、個々の新聞社の得意分野に特化して掲載すべきだと思います。それから、将来の予測の範囲として30年後までが適切だと思います。50年後、100年後のことまで掲載することは無責任です。それこそ、地球温暖化詐欺のようになってしまうと思います。50年後、100年後には、予測した本人もいや、新聞社そのものもとっくにないかもしれません。「誰も知ったこっちゃない」ということになってしまうと思います。
たとえば、まだ車がない時代に蹄鉄屋という職業がありましたが、もしその頃に、上でいうような新たな新聞があったとして、10年後には車がかなり普及していて、蹄鉄屋とか馬具屋さんは廃業しているだろう。などという記事があったとしたら、蹄鉄屋をしている人はなんらかの商売替えを考えるかもしれません。それこそ、今でいうカー用品のサプライ事業などです。
こうすることにより、新聞はまた、新たな価値感を読者に提供して残り続ける事が出来ると思います。そうして、多くの人がこうした新たな新聞を読むことにより、少なくとも最初からわかりきった失敗など、しにくいという状況をつくることができると思います。また、新たな新聞によって、社会の変化などあらかじめ知ることができれば、社会的イノベーションなどもおおいに促進されると思います。
特に日本の最近の新聞は、あまりにくだらない記事を掲載しすぎです、過去のことばかり書いて、閉塞感を増すようなことばかり掲載しています。くだらない記事ばかり書いていれば、読者からあいそをつかれます。読者からあいそをつかされた新聞は、広告も掲載されなくなり、いきつく先は破綻です。
私は、そうならないように、上記のような新聞自体のイノベーションを期待します。ただし、このイノベーションは生易しいものではありません。新聞関係者も相当の気合を入れてかからないと、実現は不可能です。何よりも、新聞関係者の知的レベルならびに先見力が問われます。いつも、外れる予測を出す新聞社や、新聞関係者はすぐに駆逐されることになります。
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