米紙ウォールストリートジャーナルに掲載された、ある中国専門家の論考が大きな波紋を広げている。習近平政権発足以降、中国崩壊論は数多発表されたが、これまでそれが現実となることはなかった。「崩壊」というフレーズは陳腐化してしまった感もあるが、今回は、なぜ大きな関心が払われているのか。中国事情に精通する富坂聰氏が解説する。
デービッド・ジャンボー教授 |
タイトルの通り、中国共産党による支配が、今後〈終焉に向かうだろう〉ことを、理由を挙げながら指摘したコラムである。
これが世界的な話題となった理由の一つは、チャイナハンド(*注)と考えられた人物が中国の崩壊に警鐘を鳴らしたからである。中国に対するスタンスは本人も認めているようで、天安門事件後に体制崩壊と衰退が不可避だと主張する中国ウォッチャーがいるなか、より慎重な立場をとってきたとしている。
【*注:中国の立場を理解する外交官、ジャーナリスト、学者の総称】
つまり衝撃の正体は「あの中国にやさしい専門家さえ『危ない』といっている」という点にあるのだ。
では、シャンボー教授に心変わりを促した中国の“危うさ”とはいったい何だったのだろうか。教授が披露する五つの視点から一つを紹介する。
第一の視点は、人材の流出である。教授は、中国の富について研究している上海の胡潤研究院の数字、〈393人の億万長者--の64%は移民を実行しつつあるか、その計画を持っている〉(2014年に行った調査)ことや米国出産ツアーなどを取り上げて、最終的に中国を支えているエリートたちが、〈政権と国の将来に確信を抱いていない明確な兆候だ〉としている。
この問題は確かに共産党政権にとっては深刻だ。ただ人材流出ということよりも、むしろ富の流出という悩みだ。人材に関しては、サメの歯が下から下からと生えてくるように抜けた人材の穴はあっという間に埋まる。
だが、富の流出は低成長時代に入った局面では経済への打撃という側面だけでなく社会保障の財源、さらには社会不安という点からも放置することはできない。
昨年末から中国が「キツネ狩り」と称して外国に逃亡した元官僚たちを追い詰めているのは、このためだ。
中国の発展は、内陸部から沿海部に供給された安価な労働力によってもたらされてきた。だが、本来この発展の最大の受益者であるべき農村からの出稼ぎ労働者は貧しいまま放置され、外国企業や投資が流れ込んだ都市部の住民たちだけが不動産価格の高騰などのメリットを享受でき、世界の各地で“爆買い”するという現象を引き起こしているのである。
これこそ中国共産党が突かれたら最も困る最大の矛盾である。発展の富が一部に集中し、それを再分配できない中国共産党に対する怒りは、現状では専ら汚職官僚に対して向けられる。この点に関してシャンボー教授の指摘は正しい。
だが問題は、この大衆の怒りが〈終焉〉に向かうといったとき、はたして彼らの怒りを政治的な動きに変えることのできるリーダーもしくは強烈なスローガンが存在しているか否かという問題がある。 シャンボー教授のいうような「終焉」に直ちに向かってゆくのにはいくつかの条件が不足しているようにも思われるのだ。
※SAPIO2015年7月号
この問題は確かに共産党政権にとっては深刻だ。ただ人材流出ということよりも、むしろ富の流出という悩みだ。人材に関しては、サメの歯が下から下からと生えてくるように抜けた人材の穴はあっという間に埋まる。
だが、富の流出は低成長時代に入った局面では経済への打撃という側面だけでなく社会保障の財源、さらには社会不安という点からも放置することはできない。
昨年末から中国が「キツネ狩り」と称して外国に逃亡した元官僚たちを追い詰めているのは、このためだ。
中国の発展は、内陸部から沿海部に供給された安価な労働力によってもたらされてきた。だが、本来この発展の最大の受益者であるべき農村からの出稼ぎ労働者は貧しいまま放置され、外国企業や投資が流れ込んだ都市部の住民たちだけが不動産価格の高騰などのメリットを享受でき、世界の各地で“爆買い”するという現象を引き起こしているのである。
これこそ中国共産党が突かれたら最も困る最大の矛盾である。発展の富が一部に集中し、それを再分配できない中国共産党に対する怒りは、現状では専ら汚職官僚に対して向けられる。この点に関してシャンボー教授の指摘は正しい。
だが問題は、この大衆の怒りが〈終焉〉に向かうといったとき、はたして彼らの怒りを政治的な動きに変えることのできるリーダーもしくは強烈なスローガンが存在しているか否かという問題がある。 シャンボー教授のいうような「終焉」に直ちに向かってゆくのにはいくつかの条件が不足しているようにも思われるのだ。
※SAPIO2015年7月号
【私の論評】ニッポン人中国スパイ、親中派、媚中派は速やかに転向せよ、そうでないと飯のくいあげになるぞ(゚д゚)!
中国の金融はすでに随分前から空洞化していることは、このブログでも以前掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
中国経済、崩壊か…中国版アベノミクス不発 社会主義国家を待ち受ける“2つの罠”とは―【私の論評】『保八』も確保できない中国は、本当は雇用状況もかなり悪化しているのに、金融緩和政策も実行できない、その理由は「金が消えた」という驚愕の真実(゚д゚)!
7~9月期のGDP速報値を発表する中国国家統計局の盛来運報道官 |
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では中国は保八を維持できなくなったことと、金融が空洞化していることを掲載しました。
保八について、以下にこの記事から以下に引用させていただきます。
実は、中国はまだまだ発展途上であるため、もしGDPの伸び率が8パーセント以下になると、十分に雇用が確保できないとされています。これは、過去に中国政府が発表しており、『保八』と称して、中国政府が守らなければならない経済経済成長率としていました。
このことを考慮に入れると、中国ではGDPの伸び率が10パーセント台でなければ、勢い良く成長しているとはいえないわけです。
日本のような国であれば、ほんの数パーセントでも伸びれば雇用確保どころか、人手不足が深刻になります。そうして、経済成長は、年率3パーセントもあれば素晴らしいことになります。デフレなどあっという間に脱却です。
中国の経済成長率は昨年は、7%台でこの保八も維持できない水準にあり、中国内では大規模な雇用不安が起こっています。中国で、保八が継続できないということは、日本でいえば、こと雇用に関していえはず、マイナス成長を続けているようなものです。
今後も、この保八を維持できる可能性はありません。15年、16年の予想を以下に掲載します。
この予想は、三井住友アセットマネジメントによるものです。詳細は、以下のリンクをご覧下さい。
「7%前後」の成長率を目標とする「新常態」へ
ちなみに、「新常態」とは、保八を継続できなくなった、中国経済に対して中国政府がつけた呼称です。もう、これからしばらく、中国経済は成長率が8%を切るのが当たり前になるということです。
金融の空洞化についても、以下に引用させていただきます。これは、中国通の宮崎正弘氏のメルマガの内容です。
中国から不正に海外へ流れたカネは3兆7900億ドル 外貨準備高より多いカネが不正に海外へでた勘定になるのだが。。。。。
***********************************
グローバル・ファイナンシャル・インテグリティ(GFI,ワシントンの国際金融監視シンクタンク)の調査に拠れば、中国から不正に海外へ持ち出された金額が精密に報告され、驚くべき巨額の事実が浮かび上がって。
つい最近まで筆者は1兆800億ドルと、このGFIの数字を援用してきた(これは2002年か2011年の統計とされた)。
ところが新しい報告では2000年から2011年までの統計で、実に3兆7900億ドルが不正に海外へ流れた(Illicit flow)。2005年から2011年の統計で2兆8300億ドルとなる新しい数字に上方修正された。
どの期間の統計かによって、数字が異なるのは当然といえ、もし2000年から2011年統計で、中国からの海外逃避資金のトータルが3兆7900億ドルとなると、史上空前の新記録。邦貨換算で417兆円弱。日本のGDPの80%にあたる。
これは中国の金融が空洞化していることを示して余りある。
以下に掲げる「ワースト・ランキング」はGFIが集計した2002年から2011年の合算統計である。
1)中国 3兆7900億ドル
2)ロシア 8809億ドル
3)メキシコ 4618
4)マレーシア 3704
5)インド 3431
桁違いの汚職天国、ロシアのそれも凄いが中国に比べたら何ほどのこともない。なんと中国では、417兆円にものぼるカネが不正で中国国外の外国に流れているいるというのです。 いいですか?400兆円ですよ(゚д゚)!
これだけ、カネが流れたということは、本当にとんでもないことです。いくら、中国が円換算で、日本のGDPの倍になったといっても、これではどうしようもないです。
よほどのことがなけば、もう中国の経済はしばらくは浮上しないです。そうして、これに対する処方箋は全くなく、結局中国が過去に成長してきたモデルである、インフラに巨額の投資をして、成長するという方式以外は何もないです。
処方箋として目新しいのは、AIIBの創立ですが、これも、日米が参加しないということで、頓挫したようなもので、これでは中国内外のインフラに投資して成長するという方式も不可能に近いです。
中国の金融はもうすでに、空洞化しているとみるべきです。成長率は雇用を維持できない水準となり、金融は空洞化しているという状況で、軍備だけは毎年二桁台で増大しています。
この軍備拡張がさらに、中国の衰退に拍車をかけています。これについては、このブログでも以前説明したこがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
【世界を斬る】中国に米国と戦争する能力はまったくない 空でも海でも餌食になるだけ ―【私の論評】人民解放軍は日本の自衛隊にも勝てないレベル、それどころか軍拡によりソ連崩壊の二の舞いになる可能性も(゚д゚)!
人民解放軍女性兵士 |
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では中国の人民解放軍の特殊性と、中国の技術水準の低さと軍拡が中国にかなりの負担をしていることを掲載ました。
人民解放軍は、かつては聖域といわれていたのですが、習近平この聖域にも腐敗撲滅キャンペーンの一環として、メスを入れたことを掲載しました。
人民解放軍は、他国にみられるような中国人民を守る軍隊ではありません。中国各地にある共産党組織の私兵にすぎません。さらに、その本質は、日本でいるところの商社のような存在であって、商社が武装したものととらえると一番理解しやすいです。
だから、無論のこと他国の軍隊などとは異なり、巨大な腐敗の温床となっています。そうして、中国ではこのようなまともな軍隊でもない組織に、巨額の資金をつぎ込んで軍拡をしているわけです。
さらに、中国の技術水準はあまりに低いので、日米と同じようにおカネをかけて、艦船、航空機、戦車などを製造したにしても、できあがるのはボロ船、ボロ航空機、ボロ戦車であり、とても日米に太刀打ちできるものはできません。
中国のボロ船の代表格空母『遼寧』 |
旧ソ連はその末期に米国に対抗するため多額の予算を軍事費に注ぎ込みました。今の中国も同様の状況にあります。中国経済は今、かつては繁栄しているようにみえましたが、今は上で解説したように、保八も継続できないありさまで、雇用も十分に吸収できない有様です。
しかし経済格差はさらに、広がりいまだ2億5000万人が貧困層として残っています。こうした問題を解決できないまま、中国政府は巨額の資金を軍事費に注ぎ込むことを余儀なくされています。
そうして、現在は、南シナ海をめぐって、米中の冷戦を想起させる展開となっていますが、中国は果たして政治と社会の安定を損なうことなく、軍事力を強化できるのでしょうか。
現状のままで、保八も継続できず、金融が空洞化し、さらに軍事費だけは、毎年増加させるような状況を続けるいては、経済だけではなく社会が崩壊します。
中国もやがて今のロシアのようになる? |
旧ソ連も、ロシアになってから開示したソ連時代の文書で、崩壊直前には経済・社会がとんでもなく疲弊していたことが明らかになりました。
まさに、中国のそれに近い状況です。このままの状況を続けていれば、旧ソ連のように崩壊するしかなくなります。
今のロシアは、GDPは、日本の1/5であり、人口は日本より2000万人だけ多い、1億4000万人程度のとるにたらない国となりました。中国も今のままでは、そうなります。
ブログ冒頭の記事では、「この大衆の怒りが〈終焉〉に向かうといったとき、はたして彼らの怒りを政治的な動きに変えることのできるリーダーもしくは強烈なスローガンが存在しているか否かという問題がある」などとグダクダ述べていますが、こんなことは問題ではありません。
ソ連が崩壊したときだって、何も新生ロシアに関して、明確な見通しがあったわけではありません。どうしようもなくなって、崩壊して、ロシアが継承したのですが、そのロシアだって、明確な政治的な指針があったわけではなく、崩壊後10年くらいは大混乱しました。
その後、プーチンがでてきて、まともな国にしようと努力しましたが、多少外見は格好がつきましたが、未だにそうはなっていません。中国もそうなる可能性が大です。ある一点、point of no return(引き返すことの出来ない時点)を超えれば、黙っていても崩壊します。
ブログ冒頭の記事のデービッド・シャンボー教授は、このあたりに危機感を抱いたのだと思います。従来通り、中国に好意的な論評をばかりしていては、現中国が終焉したあかつきには、馬鹿な学者として汚名が残るだけになるし、それに当面の食い扶持にも困る状況になるでしょうし、良いことはないと判断して、中国大崩壊を唱えだしたのだと思います。
日本に多数存在するとみられる、ニッポン人中国スパイの皆様、親中・媚中の方々、中国幻想に酔っておられるかた、この現実をどう受け止めますか。
もう相当お年を召されていて、これから中国がどうなろうと、あまり関係のない方々は、今のままで良いでしょうが、あと少なくとも10年以上は活躍されるつもりのある方、転向したほうが良いと思います。そうでないと、飯のくいあげになると思います。
私は、そう思います。皆さんは、どう思わますか?
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