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2010年11月17日水曜日

BOOK REVIEW 『これからの思考の教科書』- ビジネススキルとしての思考法を順を追って学べる良書【続き】―【私の論評】常に革新的であるために、一つの思考方法に凝り固まるな!!糸井重里さんから真摯に学ぼう!!

BOOK REVIEW 『これからの思考の教科書』- ビジネススキルとしての思考法を順を追って学べる良書【続き】

糸井重里さん
先日思考方法についての書籍に関して、統合的思考方法などに関する論評をした記事に、以下のようなコメントがありました。

「空き缶さんはどうなんでしょうかね?そんなに頭は悪いようには思えないのですが、政治ってあまりにも範囲が大きすぎて、対応しきれていないような気もします。アインシュタインと比べたらかわいそうな気もしてきます(笑)」

たしかに、天才アインシュタインと比較するのは、かわいそうな気がしてきました。それに、アインシュタインというと天才物理学者ということで通っていますから、多くの人にとって、身近に感じられず、事例としてはいささか、かけ離れすぎていたような気がします。

そこで、それを補うために、今回は、糸井重里さんを事例に出そうと思います。糸井さんに関しては、多くの人がご存じだと思いますので、あまりここで詳しく論評はしませんが、略歴など下に掲載しておきます。

略歴
群馬県前橋市出身。糸井の生誕後に両親はすぐに離婚し、司法書士であった父親の元に引き取られ祖母に育てられる。その後、実母と再会したのは1981年だという。小学校3年の時に父親が再婚。幼少時から漫画好きで、漫画家に憧れていた。中学時代は北杜夫に熱中した。
群馬県立前橋高等学校に入学。高校に入ると文学青年の友達ができ、アングラ文学などに目覚める。また、バンカラを気取って一本歯の下駄で学校に通った。高校1年の時にバンドを組みたくなり、お金を稼ぐためにオルガンやピアノのセールスマンの下請けとなり10台売ったという。また、文化祭の企画で「ハプニング」的なことをやりたくなり、江戸川乱歩の「赤い部屋」を再現したり、ベトナムの僧侶の焼身自殺を真似たりした。
法政大学文学部日本文学科に入学後すぐに学生運動に身を投じるが、内部抗争の陰険さが嫌になり1年半で退学。1年ほどガテン系のバイトをする。寺山修司、唐十郎、横尾忠則らが当時のヒーローだった。
知人に薦められて「宣伝会議」のコピーライター養成講座に通っているうち、1968年デザイン事務所に就職。
1969年、栗田工業主宰のTVCFアイディア賞で銀賞。
1971年には金賞を受賞。1973年に勤務先の会社が倒産してフリーとなる。同年、宣伝会議賞受賞。
1975年、ジーパン会社ウェルジンの「このジャンパーの良さがわからないなんて、とうさん、あなたは不幸な人だ!」のコピーで、東京コピーライターズクラブ新人賞受賞。同年、イラストレーター湯村輝彦に出会い、彼の主宰のORIGINAL FLAMINGO STUDIOの創設に参加。
1976年、湯村と共に再び製作したウェルジンの広告で、東京アートディレクターズクラブ賞(ADC賞)を受賞。同年、漫画雑誌『ガロ』の編集者の南伸坊からの依頼で、糸井が原作、湯村が画の「情熱のペンギンごはん」シリーズの発表を始める[1]。また、『ガロ』の編集部にいた南伸坊、渡辺和博らを介して、「赤瀬川原平人脈」との親交が始まる。同年7月、糸井原作、湯村画で「さよならペンギン」を刊行。
1978年、矢沢永吉の自伝本『成りあがり』の構成、編集を手掛ける。同書はベストセラーを記録した。
1979年、沢田研二の「TOKIO」の作詞を担当。また、スナック等でちり紙やマッチなどで行う、気の効いた「芸」をまとめた著作『スナック芸大全』を刊行。自身の名義での処女出版となる。また、この年「東京糸井重里事務所」を設立する。この事務所に、当時美大生でスタッフの友人であったみうらじゅんが盛んに出入りするようになり、糸井がみうらを『ガロ』編集部に紹介。みうらの漫画家デビューの切っ掛けを作った。
1980年9月から、サブカルチャー雑誌『ビックリハウス』において、読書投稿ページ「ヘンタイよいこ新聞」を担当。その「意味のない面白さ」で読者を熱狂させ、若者たちの教祖的存在となる。また、『ビックリハウス』に関係していた、新進気鋭のミュージシャン、アーティストとの交際も始まる。
1982年5月、新聞終刊記念イベントとして「ヘンタイよいこ白昼堂々秘密の大集会」を糸井と鈴木慶一らで企画。
また、1982年4月から1985年3月まで、NHKの若者向け番組「YOU」の司会も担当。
その後、西武百貨店の「不思議、大好き。」(1982)「おいしい生活」(1983)などのキャッチコピーでコピーライターとしても脚光を浴びる。仲畑貴志や川崎徹らと共に注目を集め、「コピーライター・ブーム」を呼んだ。
1983年からは『週刊文春』において「家元」と名乗り、読者投稿型のコピー講評「糸井重里の萬流コピー塾」の連載を開始。
1984年、有楽町マリオンの完成記念イベントとして「夕刊イトイ」を企画。
1989年、ゲーム製作のための会社「APE(エイプ)」を設立。制作した『MOTHERシリーズ』はカルト的なファンを生んだ。
1993年、女優の樋口可南子と結婚。
1998年、「ほぼ日刊イトイ新聞」を開設。
2001年、雑誌「インパク」の編集長を務めて話題となった。

【私の論評】常に革新的であるために、一つの思考方法に凝り固まるな!!糸井重里さんから真摯に学ぼう!!【第二回目】


糸井さんのコピーが使用されたコマーシャル

さて、糸井さんの天職でもある、コピーライターの仕事とは、商品や企業を宣伝するため、新聞・雑誌・ポスターなどのグラフィック広告、テレビCM、ラジオCM、ウェブサイトやバナー広告などに使用する文言(コピー)を書くことです。

ただ、近年では表現に到達するまでのロジックを構築する作業もコピーライターの重要なスキルとして見られるようになってきており、特にトップクラスのフリーランサーや広告会社のコピーライターに関しては、この能力の優劣を評価される傾向が強くなっています。

というより、ロジックを構築する過程の作業がコピーライターの仕事の本質になっています。結果として、どのように一見良いように思えるコピーが書けたとしても、その表現に達するでの思考過程を何らかの形で表現できないようなコピーライターは3流です。

その点、糸井さんは優れたコピーライターだということができます。世の中には、広告のコピーを見たり、新たな商・製品・サービス名を見たりしても、それがどうしてできたのかあまりその意味を考える人はいないようです。そうして、さして重要性を感じない人もいるようです。

たしかに、昔であれば、モノも足りておらず、十分なサービスも行き届いていなかったので、製・商品・サービスをつくって、世の中に出すこと自体が本命であり、それらの名称やましてやコピーなど二次的なものにすぎないものでした。とにかく、品質の良い、優れたモノやサービスを提供すれば、それで十分事業が成り立つ時代でした。

しかし、それこそ、日本では、それこそ糸井重里さんがコピーライターとして活躍をし始めた、1980年代から、アメリカではその20年くらいまえの1960年代から、そうして今日に至るまで、完全に以前とは世の中が変わってきました。要するに、モノやサービスが溢れる時代になったのです。

だから、企業はそれまで販売ばかりやっていたのを切り替えて、消費者のニーズやウォンツを真摯に探って企画を立案しながら、モノやサービスを開発するようになりました。要するに、マーケティングをするようになったのです。そのようになってからは、当然コピーや、ネーミングなども従来のように安直にやっているわけにはいかなくなりました。

マーケティングといった場合ドラッカーは次のように述べています。「マーケティングとは、販売そのものをなくしてしまうことである。また、その狙いは、顧客を良く知って理解し、製品が顧客にぴったりと当てはまり、ひとりでに売れてしまうようにすることである」。

このマーケティングと、キャッチコピーとが、密接に絡みあうようになったのです。現代のマーケティングは、それこそ、膨大な情報を集めて、論理的な思考を行ない、それだけでは月並みなものになってしまうので、水平的な思考も行ない、様々な考えを出して、さらに、最後に統合的思考によって、当該製品に関して一言の「キャッチコピー」や、「商品名」「サービス名」にまとめてしまうことが必要になります。

それこそ、以前の思考法に関するブログに掲載したマインドマップにでてくる、種々様々の思考法のツール活用します。たとえば、まずは論理的思考のため情報を徹底的に集め、それだと混乱するだけなので、マインドマップや、SWOT分析などして論理的思考をして、考えをまとめます。従来は、これでほとんど終了でした。しかし、現代ではそれだけでは、常識の枠からはみ出すことできず、陳腐な考えに終始してしまうことがほとんどてす。これで終始するようなマーケティング担当や、コピーライターは3流です。

だからこそ、次の段階で、水平的思考を行うため、いろいろなツールを用いて、徹底的に水平思考を行ない、考えをだしつくします。少し前までなら、アイディアが出尽くして安心してしまって、その中から安直に一つのアイディアを選んで安心してしまっていたかもしれません。これで終わってしまうような、マーケティング担当者や、コピーライターは2流です。

せっかく出た数々の案を一つの案だけに絞って、他は捨ててしまうというのでは、あまりに勿体ないことです。ここで、統合的思考をして、最終的にいろいろな考えを束ねて、束ねただけではなく、そうて、すぐにできないアイディアなど、段階をおって、実行するタイムスケジュールを定める、その過程で、現状ではリソースが足りなくて出来ないものに関して、そのリソースを手に入れるための算段などして、さらに一段上の考え方に昇華させるのが、一流のマーケティング担当者であり、コピーライターです。


さて、コピーライターの仕事は、どの範囲を示すのか、それは、クライアントのとの関係でいろいろあると思います。かなり最初の段階から入って、最後までやるのか、あるいは、本当に最後の最後だけを担当するのか、それは、仕事の関係や報酬などによっても異なると思います。


しかし、最後の!%だけにみえる、キャッチコピーを考えることや、商品名、サービス名を考えることでさえ、並大抵の仕事ではありません。


ここで、アインシュタインが、相対性理論を発見したという偉業について語っている言葉を思い出してほしいです。「私の理論は、すでに先人がそのほとんどすべてを開拓したものです。私が付け加えたのは最後のほんの!%程度くらいにすぎません」。


アインシュタインの専門分野である、理論物理学の世界であっても、コピーライターが製品などの最後の締めくくりある、製品に関するコピーを書いたりすることは、一見何の関係もないように見えるかもしれません。しかし、コピーライターもアインシュタインがやったように、まずは、先人が考えたこなど、頭に入ってるいるものは良いとして、足りないもの関しては情報として頭にインプットし、論理的思考をし、情報を情報で終わらせることなく、知識にまだ高め、さらに、それだけでは陳腐になってしまうので、水平的な思考をして、いろいろな考えをだし、さらに、最後でそれを一つのキャッチコピーにまとめるたれめに統合的思考をしているのです。

やっていることの対象が全く異なるだけで、両者は考えたの道筋ということで非常に良く似ていると思います。

ただ、異なるところもあります。理論物理学の世界では、一つの理論が正しいということが証明されれば、それで良いということになります。実際、アインシュタインの一般相対性理論に関しても、他の学者らか、特殊相対性理論の立場から正しいことを証明しています。さらに、現在でもアインシュタインの理論が正しいことを裏付ける事実が発見されています。理論物理学の使命は、真理の追求です。

さて、キャッチコピーですが、その成果は、本当に人々の話題なって、さらには、対象の製品や、商品、サービスがたしかに、売れることです。キャッチコピーの使命は、当該製品や、サービスが人々の話題になり、喜んで購入していただくことです。

しかし、この両者待ったく違ったことのようにみえながら、思考に関しては、同じような過程をたどっていることが良くおわかりいただけたことがご理解いただけたと思います。

さて、現在は、コピーライターの仕事も、広範囲にわたっています。上は、マーケティングの例をだしましたが、ご存じのようにこのブログでもしばしば掲載しているように、マーケティングだけは、いずれ企業は限界的存在になります。

ドラッカーは次のように述べています。

「マーティングだけでは、企業としての成功はない。静的な経済には、企業は存在し得ない。そこに存在しうるものは、手数料をもらうだけのブローカーか、何の価値も生まない投機家である。企業が存在しうるのは、成長する経済のみである。あるいは少なくとも、変化を当然とする経済においてのみである。そうして企業こそ、この成長と変化のための機関である。

したがって企業の第二の機能は、イノベーションすなわち新しい満足を生み出すことである。経済的な財とサービスを供給するだけでなく、よりよく、より経済的な財とサービスを供給しなければならない。企業そのものは、より大きくなる必要はないが、常によりよくならなければならない」。

最近のコピーライターも、マーケティングだけではやって行けなくなっているのだと思います。次の段階では、彼らも、イノベーションに積極的に関わっていかなければならないということです。なぜなら、もし、マーケティングだけで十分に成功できているのであれば、もっと売れる商品や製品があっても良いはずです。でも、最近ではそのような話はあまり聴かなくなたったとおもいます。

ただし、これに関しては、ここで述べているとまた長くなってしまうので、別の機会に改めて掲載したいと思います。


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