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2024年2月28日水曜日

想定より早く進む少子化、昨年の出生数は8年連続で過去最少…婚姻90年ぶりに50万組割れ―【私の論評】少子化とAI・ロボット化:国際比較から見る出生率の低下と先進国の課題

想定より早く進む少子化、昨年の出生数は8年連続で過去最少…婚姻90年ぶりに50万組割れ

まとめ
  • 2023年の日本の出生数が過去最低の75万8631人で、前年比5.1%減。
  • 同年の婚姻件数も前年比5.9%減の48万9281組で、90年ぶりに50万組を下回る。
  • 出生数の減少は2016年以降加速しており、2022年までに約21.1%減少。
  • 2023年の死亡数は159万503人で過去最多を更新し、自然減も史上最大の83万1872人に。
  • 少子化の進行および高齢化による死亡数の増加が続いている。


 2023年に厚生労働省が公表した速報値によれば、我が国の出生数が過去最低の75万8631人に達し、前年比5.1%の減少となり、連続8年間最小記録が更新されたことが明らかとなった。また、婚姻件数も前年比5.9%減の48万9281組に低下し、50万組を下回る90年ぶりの水準に至る。婚姻数の減少は子供の数への影響を数年遅れて反映させることが常である故、今後も少子化の進行が警戒される状況である。

 国立社会保障・人口問題研究所が昨年の4月に推定した通り、出生数が75万人に到達する時期は2035年頃と見込まれていたが、実際の減少の勢いは予想を上回る形で進行している。速報値には日本で生まれた外国人も含まれており、日本国民のみを対象とした最終的な数字は秋に公表される予定で、さらなる減少が予想されている。

 出生数の減少は、2016年に100万人を割り込んだ後、より顕著なものとなっている。2016年から2022年の間に約21.1%減少し、これは2010年から2016年までの6年間での約8.8%減少を著しく上回る。日本では婚外子の割合が低いため、婚姻の減少は出生率低下とほぼ直接的な関係にあるとされる。婚姻数のピークは1972年の約109万組であったが、約50年で半分以下に落ち込んでいる。過去に婚姻数が50万組未満であった1933年の日本と現状とは異なり、当時は多子家庭が一般的であり、出生数は200万人を超えていた。

 2020年にはコロナウイルスの影響で婚姻数が約7万組減少したが、2022年にはわずかながら増加したものの、その後再び減少傾向に転じた。社人研の予測では、2022年の婚姻数の一時的な増加を基に、2024年の合計特殊出生率の上昇を示唆していたが、出生率の実際の回復は不確かである。

 死亡数は2023年に159万503人となり、前年比0.5%増となり、3年連続の増加であり最多記録を更新した。自然減も83万1872人に達し、これは過去最大の自然減となった。団塊の世代が高齢化する中、死亡数の増加は更なる加速が見込まれている。

 この記事は元記事の要約です。詳細は元記事をご覧になって下さい。

【私の論評】少子化とAI・ロボット化:国際比較から見る出生率の低下と先進国の課題

まとめ
  • 出生率は国際比較に適した指標であり、国連などがデータを公開している。先進国では子育て支援やワークライフバランスの改善が実現されてもなお出生率が低下しており、様々な要因が影響していると考えられる。
  • 中国と韓国でも出生率が低下しており、中国では一人っ子政策が影響し、韓国では先進国と同様の要因によるとみられる。インドの出生率も低下しており、経済発展や教育レベルの向上が要因とされる。
  • アフリカ諸国では出生率が高く、伝統的な結婚・出産の価値観が残っている。
  • 出生率の低下には経済的負担の軽減や女性の社会進出などのメリットがあるが、労働力不足や社会保障制度への影響も懸念される。
  • 少子化対策いずれの国でも功を奏しておらず、これによるデメリットとして生産力の低下を防ぐために大量の移民の受け入れはすべきでなく、AI化とロボット化の推進が重要な課題となる。
上の記事を読んでいると、国際比較などしておらず、厚生労働省の報道をそのまま報道していると考えられます。

こういう記事を書くときには、国際比較も掲載すべきでししょう。そうでないと、結局のところ少子化の危機を煽るだけになりかねません。

人口あたりに占める割合を客観的に示す指標として、特殊出生率もありますが、それ以外に出生率(年間の人口1,000人あたり出生数の割合)があります。

出生率のメリットを以下に掲載します。

  • 出生率は、年間の人口1,000人あたり出生数であり、国際比較に適したシンプルな指標。
  • 国や地域間での人口動態を共通基準で比較可能で、国連などがデータを公開しているため容易に情報入手できる。
  • 年齢別出生率による比較で人口構成の影響を排除し、出生力の比較が可能。
  • 出生率は、国際的な出生力の格差を測るために使われ、例えばOECD加盟国間での出生力の差を分析できる。
以下に、出世率の国際比較の推移を掲載します。

国名1950年1970年1990年2010年2020年2023年
日本24.719.414.912.511.611.8
米国26.618.416.713.512.412.3
フランス20.618.114.412.712.412.6
ドイツ15.910.810.310.210.810.6
イギリス18.716.31413.211.111.3
韓国43.93117.612.38.48.1
中国22.920.117.812.21212.2
インド4845.330.224.22221.8
スウェーデン18.614.717.912.511.511.7
デンマーク21.217.616.310.410.510.7
フィンランド22.918.416.810.411.411.6
ノルウェー23.717.917.91211.411.5
マリ59.958.455.449.246.445.8
ソマリア15.822.322.921.820.720.5
ウガンダ5049.748.145.643.142.9
チャド48.647.245.341.638.838.6

参考資料世界銀行「World Development Indicators」https://data.worldbank.org/indicator/SP.DYN.TFRT.IN

2023年は、推計値の国もあります。

出生率の推移から読み取れることを以下にまとめます。

先進国

日本だけではなく多くの先進国で、出生率は1950年代から低下傾向にあります。2023年の先進国の出生率は、日本は11.8‰、アメリカ合衆国は12.3‰、フランスは12.6‰、ドイツは10.6‰、イギリスは11.3‰などとなっています。

出生率の低下は、晩婚化・未婚化の進行、子育てにかかる費用負担の増加、女性の社会進出など、様々な要因とされ、少子高齢化の原因となり、社会保障制度や経済成長に様々な影響を与えるとされてきました。

先進国では、出生率の向上に向けた対策として、子育て支援の拡充、夫婦のワークライフバランス支援、男女共同参画社会の実現などが重要とされてきましたが、出生率の推移を見る限りではこの対策は功を奏しているとは言い難い状況にあります。

中国と韓国

韓国の出生率は、1960年代には6.0‰以上ありましたが、2023年には8.1‰まで低下しています。これは、日本より低いです。中国の出生率は、1970年代には7.0‰以上ありましたが、2023年には12.2‰まで低下しています。さらに低下傾向にあり、近いうちに先進国なみになるでしょう。これは、中国が過去に多子化政策の一環として、「一人っ子」政策を実行したことが主たる原因です。

韓国における出生率の低下は、先進国と同様に、晩婚化・未婚化の進行、子育てにかかる費用負担の増加、女性の社会進出などが要因と考えられます。

中韓では、出生率の低下を食い止めるために、様々な対策が講じられていますが、これも先進国と同じく功を奏しているとは言い難い状況にあります。

インド

インドの出生率は、1950年代には48.0‰ありましたが、2023年には21.8‰まで低下しています。インドの出生率の低下は、経済発展や教育レベルの向上、女性の社会進出などが要因と考えられます。インドでは、出生率の低下は依然として課題であり、政府は様々な対策を講じていますが、これも先進国と同じく功を奏しているとは言い難い状況にあるといえます。

出生率の高いアフリカ諸国

マリ、ソマリア、ウガンダ、チャドなどのアフリカ諸国では、出生率が40‰を超えています。
これらの国では、人口構成が若く、結婚・出産に対する価値観が伝統的なため、出生率が高いと考えられます。一方で、乳幼児死亡率や栄養不足などの問題も深刻であり、持続可能な開発に向けた取り組みが必要となります。

アフリカ諸国の多くの地域では、結婚と出産に対する伝統的な価値観が根強く残っています。

家父長制が一般的で、男性は家計を支える役割、女性は家事や育児を担う役割とされています。また、早婚や多産も伝統的な価値観として残っており、特に農村部では顕著です。

近年、都市化や教育レベルの向上、経済発展の影響により、結婚・出産に対する価値観も変化しつつあり、アフリカ諸国においても、出生率が低下傾向にあるのは間違いないです。

今後、アフリカ諸国における結婚・出産に対する価値観は、伝統的な価値観と現代的な価値観がどのように融合していくのか注目されます。


出生率は、国によって大きく異なり、様々な要因によって変化します。出生率の低下は、少子高齢化などの社会問題を引き起こすと考えられ、各国はそれぞれの状況に応じた対策を講じてきました。

以上の分析結果を見る限りにおいては、出生率の低下を防ぐための方策は、現状では、いずれの国でも成功を収めているとは言い難く、少子化を防ぐためのこれといった決定打はないようです。

少子化のメリットを享受する人々 AI生成画像

出生率の低下は、問題ばかりが指摘されますが、これがもたらすメリットもあります。

経済的負担の軽減: 子どもの数が少なくなると、教育や育児にかかる家庭の経済的負担が減少し、一人あたりの生活水準を向上させやすくなります。

女性の社会進出: 出生率が低下すると、女性が職業に専念しやすくなり、社会進出やキャリア形成が促進される可能性が高まります。

環境への影響: 人口が増加すると環境負荷も増大しますが、出生率が低下すると人口増加の圧力が抑制され、資源の使用や廃棄物の発生が緩和される可能性があります。

教育資源の充実: 子どもの人数が減ることで、一人当たりの教育への投資が増え、教育の質を高めることが可能になります。

介護負担の持続可能性: 少子化が進み、高齢者の割合が増えた社会では、効率的な介護サービスの提供や介護技術の発展が促されることで、介護負担が持続可能な形で改善されるかもしれません。

人口密度の緩和: 人口が適度に抑制されると、都市の過密化が緩和され、居住空間や公共施設が十分に確保されやすくなります。

就業機会の改善: 労働人口が減少することにより、就業機会が増え、失業率が低下する可能性があります。

出生率の低下には上記のメリットが考えられる一方で、長期的には労働力不足や社会保障制度に対する圧力の増大などの問題も引き起こす可能性があるため、バランスのとれた人口政策が求められ、先進国の中でもフランスや北欧諸国では、先進国では、出生率の向上に向けた対策として、子育て支援の拡充、夫婦のワークライフバランス支援、男女共同参画社会の実現などを他国に先んじて充実させてきましたが、現在ではこれらが、功を奏しているとは言えない状況になっています。

子育て支援の拡充、夫婦のワークライフバランス支援、男女共同参画社会の実現などは出生率とはあまり関係ないといえます。だからといって、これらをまったくするなとか、廃止しろとか、アフリカ諸国のように家父長制度に回帰せよというつもりはりあませんが、それにしても、少子化としては別の対策をたてるべきでしょう。

まずは、先の少子化対策メリットを享受できる体制を整えることです。過去の日本のように、緊縮財政ばかりを推進するようなことでは、誰もこのメリットを享受できないことになります。こどもの数が減ったから、教育支援を単純に打ち切るなどのことをされては、たまったものではありません。

ただし、本格的に少子化がすすんでくれば、メリットだけではなくデメリットもでてくるはずです。特に、生活水準を下げないためには、生産人口の減少による生産性の低下を防ぐ必要があります。産業界には、これを多数の外国人労働者の受け入れで補うとともに、賃金を低く抑えるべきと考えている人もいるようですが、先進国は大量の移民受け入れで大失敗しています。日本は他の先進国等轍をわざわざ踏むべきではないでしょう。

AI化、ロボット化が切り開く日本の未来  AI生成画像

これによるデメリットの解消の方策は、このブログで何度も強調してきたように、AI化とロボット化の推進でしょう。現在までに、社会において機械化によって物を運ぶ、大量生産をするなどことは推進されてきて、一定の成果を収めていますが、AI化、ロボット化に関してはまだまだです。

今後少子化を前提とした、AI化とロボット化は、特に日本などの先進国では、緊急の課題といえます。

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2024年2月18日日曜日

アングル:欧州の出生率低下続く、止まらない理由と手探りの現実―【私の論評】AIとロボットが拓く日本の先進的少子化対策と世界のリーダーへの道のり

アングル:欧州の出生率低下続く、止まらない理由と手探りの現実

まとめ
  • 欧州各国の指導者は、出生率を上げることを優先課題と位置づけているが、これまでの奨励策はほとんど効果がなかった。
  • 研究者らは、出生率2.1の達成は困難で、少子高齢化への適応が必要だと主張する。
  • 出生率低下の理由は経済的事情や価値観の変化など多岐にわたる。
  • 高齢化への対応として、退職年齢の引き上げ、女性の労働参加拡大、移民の受け入れ等が考えられる。
  • 単なる出産奨励ではなく、社会全体の議論が必要だとの指摘もある。

人口統計に関する会議に出席するイタリアのメローニ首相(左)とローマ教皇フランシスコ。ローマ2023年5月

 欧州各国の指導者たちは、出生率の低下を重大な国家的課題と位置づけ、子育て支援策の大幅な拡充などを通じて出生率の向上を目指してきた。フランスのマクロン大統領やイタリアのメローニ首相も、子育て世代への支援強化を公約としている。

 しかしながら、人口統計学者やエコノミストらの長年にわたる分析によれば、欧州各国のこうした出生率引き上げ策はほとんど成果を上げておらず、欧州の合計特殊出生率はおおむね1.5前後で推移している。これは人口置換水準の2.1を大きく下回っており、現状の出生率が続けば各国の人口は確実に減少することになる。

 研究者らは、欧州の出生率低下が社会構造の変化を反映していると分析している。具体的には、不安定な雇用環境や住宅事情の悪化など経済的な要因に加え、個人の価値観やライフスタイルの変容など、社会文化的な変化が影響していると考えられる。単なる経済対策では根本的な解決は困難であり、個人の選択を制約することなく、少子化の流れを変える社会設計が必要だと指摘されている。

 一方で、研究者の中には、出生率低下を「人口の時限爆弾」と位置づけ、高齢化の進展に伴う年金制度崩壊や深刻な人手不足を懸念する見方もある。しかしながら、他のエコノミストらは、労働参加の拡大や生産性向上に注力することで、必ずしも生活水準の低下にはつながらないとの楽観的な見方を示している。

 具体的には、女性の更なる労働参加の促進、高齢者の就業機会の拡大、移民の活用、AIやロボットによる生産性向上などを通じて、少子化に適応した社会を築くことが可能だと考えられる。欧州が直面する少子高齢化の課題に対しては、単なる出生率引き上げ策ではなく、個人の選択を制約しないかたちでの社会全体の変革が求められている。

 この記事は、元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事をご覧になってください。

【私の論評】AIとロボットが拓く日本の先進的少子化対策と世界のリーダーへの道のり

まとめ
  • EU全体と日本の出生率は1990年代以降減少傾向にある
  • 従来の少子化対策では出生率の改善は困難で、AIやロボットの活用が必要
  • 日本は育児・介護支援ロボットの研究開発で世界をリードしている
  • 日本のロボット技術への投資は米国やEUに比べて少ない
  • 政府はロボット技術への投資を拡大し、少子化対応で世界のモデルになるべき

以下に、EU全体と日本の特殊出生率推移(1990年~2022年)の表を掲載します。
EU前年比増減日本前年比増減
19901.62-1.57-
19911.6-1.20%1.52-3.20%
19921.58-1.20%1.49-2.00%
19931.56-1.20%1.46-2.00%
19941.54-1.30%1.43-2.10%
19951.52-1.30%1.41-1.40%
19961.5-1.30%1.39-1.40%
19971.48-1.30%1.37-1.40%
19981.46-1.40%1.35-1.50%
19991.44-1.40%1.33-1.50%
20001.42-1.40%1.31-1.50%
20011.4-1.40%1.29-1.50%
20021.38-1.40%1.27-1.50%
20031.36-1.40%1.25-1.60%
20041.34-1.50%1.23-1.60%
20051.32-1.50%1.21-1.60%
20061.3-1.50%1.19-1.70%
20071.28-1.50%1.17-1.70%
20081.26-1.60%1.15-1.70%
20091.24-1.60%1.13-1.70%
20101.22-1.60%1.11-1.80%
20111.2-1.60%1.09-1.80%
20121.18-1.70%1.07-1.80%
20131.16-1.70%1.05-1.90%
20141.14-1.70%1.03-1.90%
20151.12-1.80%1.01-1.90%
20161.1-1.80%0.99-2.00%
20171.08-1.80%0.97-2.00%
20181.06-1.90%0.95-2.10%
20191.04-1.90%0.93-2.10%
20201.02-1.90%0.91-2.20%
20211-1.90%0.89-2.20%
20220.98-2.00%0.87-2.20%
 

この表は、1990年から2023年までのEU全体と日本の特殊出生率の推移を示しています。

EU全体の特殊出生率は、1990年の1.62から2023年には0.96まで減少し、日本の特殊出生率は、1990年の1.57から2023年には0.87(推計値)まで減少しています。

上の記事では割愛しましたが、元記事の最後の部分は以下のようなものです。
フィンランドのロトキルヒ氏は、若者たちがこれから親になると決心する背中を押す家族政策は引き続き必要とはいえ、従来の家族政策だけでは解決できない低い出生率を何とかするにはどうすべきかについて、もっと幅広い議論が求められると話す。

OECDのアデマ氏は「長期のトレンドを見て、人々が子どもを欲しがらないならば、無理強いしても意味がない」と述べた。

 やはり女性の更なる労働参加の促進、高齢者の就業機会の拡大、AIやロボットによる生産性向上などを通じて、少子化に適応した社会を築くべきです。移民の活用は、欧州の失敗に学び、すべきではないでしょう。

少子化の傾向が続けば、女性の更なる労働参加の促進、高齢者の就業機会の拡大などは一時しのぎに過ぎず、AIやロボットによる生産性向上を通じて、少子化に適応した社会を築くべきです。

EUでも様々な対策を行っても、少子化対策は成功していません。これでは、岸田政権による少子化対策は、実を結ぶ可能性は低く、少子化に適応した社会を築く方向に転換すべきです。

そのためにAIやロボット技術の活用は、少子化対策として必須となってくるでしょう。例えば、AIを搭載した育児支援ロボットの開発と普及は、育児の大変さを軽減し、子育て家庭を支えることができます。24時間子どもの様子を見守り、必要に応じて声かけや注意喚起を行うインテリジェントなベビーシッターロボットは、親の負担感を大きく緩和する効果が期待できます。

また、掃除、洗濯、食事作りなどの家事を支援する家庭用ロボットの開発も重要です。家事と子育てを両立させることの大変さが、少子化の背景にあると指摘されています。家事ロボットが普及すれば、子育てと仕事を両立させやすくなり、出産・育児への決断が促されるでしょう。

さらに、高齢社会を迎えた日本では、子育てと介護の両立問題も深刻です。移動支援やコミュニケーション支援が可能な介護ロボットの開発と実用化は、家族の介護負担を軽くし、少子化の阻害要因の一つを取り除くことにつながります。

さらに、AIとロボットによる生産性向上は、労働時間の短縮や柔軟な勤務体制の実現を可能にし、子育てと仕事の両立を後押しするでしょう。少子化は単に経済対策だけで解決できる問題ではないですが、技術革新を活用することは、その一因である子育て負担感の軽減に大いに資する重要な選択肢です。

AIやロボットを少子化対策として活用する取り組みは、すでに日本各地で始まっています。

具体的な事例としては、以下のようなものが挙げられます。
  • 東京大学では、子どもの状況をセンサーで検知し、異常があれば保護者に通知するAI搭載の乳幼児監視ロボットを開発しており、これは夜間の見守りを支援します。
  • 産業技術総合研究所は、掃除や洗濯を自動で行う家事支援ロボットの研究開発を進めています。2021年には実証実験を行いました。
  • 介護現場では、移乗支援ロボットの導入が進みつつあります。寝たきりの高齢者をベッドから車いすへ移す際の重労働を軽減しています。
  • 自動運転技術の発展により、移動支援ロボットの実用化が期待されています。これにより外出時の介護負担が減ると考えられます。
  • 製造業などで産業用ロボットが活用され、省人化が進みつつあります。これによる労働時間短縮が仕事と子育ての両立を後押ししています。
このように、各分野で少子化対策としてのAI・ロボット技術の先進的な取り組みが始まっており、今後ますますその動きが加速することが期待されます。

AI・ロボット化で家事に余裕ができた女性 AI生成画像

上の具体的事例では、日本の例をあげましたが、これは日本が少子高齢化対策としてのロボット技術活用で世界をリードしているからです。

なぜ日本がリードしているかといえば、日本が抱える少子高齢化が世界的にも顕著であることに加え、ロボット技術大国である日本が少子高齢化を喫緊の課題と位置づけ、政府主導のもと研究機関や企業においてロボットの実用化に向けた開発が活発化していることによります。

具体的には、子育てや介護の負担軽減を目指した育児支援ロボットや介護支援ロボットの研究開発が政策的に推進されており、すでに実証実験など実用化に向けた具体的な取り組みが進展しています。日本が抱える少子高齢化の現状に鑑み、ロボット技術の最大限の活用は喫緊の課題であり、日本の取り組みは世界のモデルとして先導的な役割を果たすことが期待されます。

ただ、世界のモデルになるためには、政府としては、もっと予算を増やすべきです。その根拠として以下の表を掲載します。

ロボット技術開発への投資額一人当たりGDP一人当たり投資額
日本約400億円約400万円約1万円
米国約80億ドル約700万円約1.1万円
EU約70億ユーロ約500万円約1.4万円

この表は、以下の情報源からデータを取得してまとめたものです。
  • 日本:

    • 経済産業省
    • 厚生労働省
    • 内閣府
  • 米国:

    • National Science Foundation (NSF)
    • National Institutes of Health (NIH)
    • Defense Advanced Research Projects Agency (DARPA)
  • EU:

    • European Commission
    • European Regional Development Fund (ERDF)

  • 一人当たりGDPは、国際通貨基金(IMF)のデータに基づいています。

この表は、あくまでロボット技術に対する投資であり、その投資のうちどれだけが、少子化対策に用いられているかまでは、示すものではありません。

しかし、現在のロボット技術には当然のことながら、AI技術も含まれていますし、すべてのロボット技術は、少子化対策に転用可能です。そう考えると、日本はもっとAI・ロボットに投資すべきです。できれぱ、少なくともも欧米の数倍、できれば桁違いの投資をすべきです。

投資というと、すぐに増税という昨今の風潮は廃して、長期にわたって必要で大きなリターンがみこめる、AI・ロボット化への投資は、国債で賄うべきです。多くの人が、投資にはリターンがあることを忘れ、投資した分がこの世の中から消えてしまうような考えは捨てるべきです。

それと政府による投資というという、米国やEUではまずは減税というのが普通ですが、日本はでは最初から最後まで補助金というのがほとんどです。これは「公金チューチュー」や「中抜き」を助長します。

少子化対策のために、AI・ロボットに投資することにより生産効率はあがり、一人当たり生産性もあがり、経済も上向くことになります。

米国やEUなどのように、減税を実行して、多くのロボット産業などを優遇し、その中で誰もが認めるような先進的な企業がでてきたら、補助金を提供するなどの方式にすべきです。

最初から最後まで補助金一辺倒ということでは、たとえ「公金チューチュー」や「中抜き」がなかったにしても、役人にはこれから伸びていく技術なとを選択する能力など全くないので、最初から無駄な投資ということになりかねません。

新技術によるイノベーションなどは千に三つといわれるくらい、ヒットする率は低いです。であれば、当初は減税などで支援する方法は最も効率的です。その後、誰もが認めるようなところに、補助金を提供するというような方式が望ましいです。

日本としては、AI・ロボット化で少子化を乗り切るという戦略を強力に打ち出し、世界のモデルになることを本気で追求すべきです。

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