「箱の外に出て考えなさい」というのは、英語の慣用句で「既成概念にとらわれずに考えなさい」という意味ですが、この決まり文句はどうやら言葉通りの意味でもあるようです。『Psychological Science(心理科学)』に載っていた最近の研究によると、暗喩の表現と同じく、実際に箱の外に出た方が創造性が高まることが分かりました。
Photo by Joits.
【私の論評】すぐれた起業家は、実際に箱から出なくても、箱の外をイメージし、シミレーションすることができる!!
この隠喩に関しては、確かにいろいろと当てはまることが多いようです。このブログでも掲載したように、ノマド的な働き方も、箱の外にでることと同様の効果があると思います。私自身が、もともとノマド的傾向があるのかもしれません。よく考えてみると、私自身、大学の受験勉強とか、大学の試験勉強など、たいていは、もちろん家の中でやるのですが、よく、つまったり、それ以上やる気きがなくなった場合、気分転換のため、教材などデイパックの中にいれ、自転車などにのって、気の向いた喫茶店や図書館などに行き、勉強していました。場合によっては、アメリカ領事館内にあった、アメリカン・センター(図書館のようなもの、現在は廃止されたと聞いています)というところにも行ったことがあります。そうすると、かなり気分転換になり、当該場所でも、家に戻っても勉強がかなりはかどりました。これは、完璧に箱の外に出る効果だと思います。
それにしても、上のライフハッカーの記事、これは、英語の隠喩だとおもうのですが、そのもともとの、英語とか、その使い方など掲載していません。おそらく、英語版の記事をそのまま日本語に訳しただけのものだと思います。そこが、少し残念だと思います。英語の辞書などあたっていましたが、このことばは、たとえば、"Let's think out of the box!"などのように使われるようです。
以下にその用法などを掲載しておきます。
★Let's think out of the box!
②When do I use it?→When you get tired of hearing same old ideas and when you get stuck..etc..
③Examples? ↓
●unconventionally 慣例にとらわれず、型破りに
●perspective 見方、視点
●look further さらに詳しく調べる
●obvious things 分かり切った事
●get tired of ~ うんざりする
●be stuck 行き詰まる
【Dialogue】
Chris: Jiro, let's face it. We have no budget and time to do the project. That's the end of the story.
Jiro: Come on, Chris. Let's think out of the box! We will figure out the ways to do it.
●Let's face it 現実を直視しよう
●budget 予算
●That's the end of the story もう終わりだよ
【Source】
■Think out of the box→箱の外から出て考える→既成概念にとらわれず、違う、新しい切り口で、考える■
これはコンサルティング会社とか、マーケティング会社とか、アイデアを商品としているところで必ずと言っていいほど良く使われる言葉です。
前職の米国のInnovation Firmではちょっと表現を変えていますが、(go outside the box)会社のWebsiteに以下のような宣伝文句を使っていました。
"We design workshops, we explore markets, we brainstorm with potential customers, we go outside the box and come back with unique ideas and unexpected strategies."
さて、この『箱の外に出て考える』このように説明されると、誰もが当然のことと受け止めると思います。しかし、現実にはそうではありません。だからこそ、素晴らしい起業家などほんとうにほんの一部の人のことであり、稀有なことと受け止める人も多いように思います。しかし、そんなことはありません。
これに関しては、以前のブログにも掲載したことがあります。そこから、以下に核心部分のみコピペしておきます。
「起業家精神とは、個人であれ組織であれ、独特の特性をもつ何かである。気質ではない。実際のところ私は、いろいろな気質の人たちが、起業家的な挑戦を見事に成功させるのを見てきた」(ドラッカー名著集(5)『イノベーションと企業家精神』)
起業家精神というと、100人に1人が持つという感覚である。100人に1人の気質、100人に1人の才能としかねない。ドラッカーは、そこがそもそもの間違いだという。それは、気質でも才能でもない。
ただし、一つだけ起業家精神に向かない気質がある。確実性を旨とする気質である。それはそれで立派な気質だが、企業家には向かないという。
しかし、意思決定を行なうことができるならば、学習を通して、企業家として企業家的に行動することができるようになる。起業家精神とは、気質ではなく、行動であり、同時に姿勢だからである。
イノベーションは、才能とも関係がない。起業家精神の才能などはなく、方法論が必要なだけなのである。それが今、ようやく各所で開発中である。
ドラッカーは、起業家精神はインスピレーションとも、ほとんどあるいはまったく関係ないという。逆にそれは、厳しく、組織的な作業である。
企業家に天才的なひらめきがあるというのは、神話にすぎない。ドラッカー自身、60年以上にわたっていろいろな起業家と仕事をしてきた。ベンチャーを立ち上げた人もいれば、社内企業家もいた。どの人も働き者だったという。天才的なひらめきを当てにするような人は、ひらめきのように消えていったという。
イノベーションは、変化を利用することによって成功するのであって、変化をもたらそうとすることによって成功するのではない。
ということは、変化を当然のこととして受け止めることである。日本人にとって、諸行無常を旨とすることは、おなじみなのではないか。
「本人が自覚しているか否かにかかわらず、あらゆる仕事が原理にもとづく。起業家精神も原理にもとづく。起業家精神の原理とは、変化を当然のこととすることである」(『イノベーションと企業家精神』)
このように、起業家精神の原理とは、変化を当然のこととすることです。そうであれば、"think out of the box!"は常態のようになっているのではないでしょうか?これも、当然、原理とまではいかなくても、少なくとも原理を形成する下位概念の一つくらいにはなっているとは当然のことと思います。
私は、すぐれた起業家は、実際に箱から出なくても、箱の中にいても、箱の外に出た自分や、会社や従業員の姿をイメージし、シミレーションすることができるのだと思います。皆さんは、どう思われますか?それから比較すると、起業家的精神をもてない人は、たとえ実際に、会社の建物などの外に出ても、会社の現在や過去に囚われ、現在の延長線上でしかものを考えられないのだと思います。しかし、そういう人でも、この原理を知り、日々実際に行動すれば、いずれは、確固とした起業家精神を持てるということです。
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