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2010年7月24日土曜日

「ひきこもり」70万人、予備軍155万人―最近の引きこもりはやっかいらしい?

「ひきこもり」70万人、予備軍155万人(この内容、すでにご存じの方はこの項は読み飛ばしてください)


家や自室に閉じこもって外に出ない若者の「ひきこもり」が全国で70万人に上ると推計されることが、内閣府が23日に発表した初めての全国実態調査の結果から分かった。

将来ひきこもりになる可能性のある「ひきこもり親和群」も155万人と推計しており、「今後さらに増える可能性がある」と分析している。

調査は2月18~28日、全国の15~39歳の男女5000人を対象に行われ、3287人(65・7%)から回答を得た。

「普段は家にいるが、自分の趣味に関する用事の時だけ外出する」「普段は家にいるが、近所のコンビニなどには出かける」「自室からは出るが、家からは出ない」「自室からほとんど出ない」状態が6か月以上続いている人をひきこもり群と定義。「家や自室に閉じこもっていて外に出ない人たちの気持ちが分かる」「自分も家や自室に閉じこもりたいと思うことがある」「嫌な出来事があると、外に出たくなくなる」「理由があるなら家や自室に閉じこもるのも仕方がないと思う」の4項目すべてを「はい」と答えたか、3項目を「はい」、1項目を「どちらかといえばはい」と回答した人を、ひきこもり親和群と分類した。

その結果、ひきこもり群は有効回答の1・8%、親和群は同4・0%で、総務省の2009年の人口推計で15~39歳人口は3880万人であることから、ひきこもり群は70万人、親和群は155万人と推計した。

ひきこもり群は男性が66%と多く、年齢別では30歳代が46%を占めた。一方、親和群は女性が63%を占め、10歳代の割合が31%と高かった。

ひきこもりとなったきっかけは、「職場になじめなかった」と「病気」がともに24%で最も多く、「就職活動がうまくいかなかった」が20%で続いた。

最近の引きこもりはやっかいらしい?
ひきこもりは、昭和50年ごろから顕在化し、平成に入って増加したとされます。当初は18歳以下が多く、中学校や高校の不登校の延長と、とらえる傾向もありましたが、最近は仕事の挫折などを契機にひきこもる30~40代の存在も一般化しつつあるそうです。


しかし、詳細な調査は行われておらず、全国的な状況把握は進んでいません。東京都が平成19年度に行った実態調査(有効回答1388)では、ひきこもりの年齢は30~34歳(44%)が最多で、20~24歳(19%)、25~29歳(16%)の順だったが、調査対象が15~34歳だったこともあり、高齢層の実態は分かっていません。

ひきこもり支援をめぐっては、全国約20の自治体が支援センターなどを設置。今年1月に設置されたばかりの広島市では、18歳以上のひきこもりを対象にしていますが、市の担当者は「40代や50代の人から相談がきており、反響の大きさに驚いている」と話していました。


10代の子供を持つ親の悩みに応えようと約20年前に設立された「中卒・中退の子どもをもつ親のネットワーク」(事務局・大阪府枚方市)の会合に近年、20代から40代のひきこもりの子供を持つ老齢の親の参加が増えています。

親の年金に頼る高齢ひきこもりは、生活保護予備軍とも言われるが、学校などを通じて状況が把握しやすい若年層と異なり、実態はあまり明らかになっていない。「どうしたらよいのか」。家族たちは途方に暮れています。

大阪市北区の公共施設。4月初旬、ひきこもりの子供を抱える親ら6人が集まった。「家ではゲームばかり。反抗期のままずっといる感じやね」。60代女性がそう打ち明けると、別の女性も「うちもそう。12歳で時間が止まってしまった」とうなずきました。

会合は月に2回。当初は中卒や高校中退の人らの職を考える場として始まったが最近は、20歳以上のひきこもりを持つ親が目立つそうです。

60代女性の30代長男は高校卒業後、通信会社の作業員として働くが「自分一人で昼ご飯を食べるのが嫌」と、周囲とのコミュニケーションが取れなくなったことをきっかけに、次第にゲームに夢中になり部屋にこもるようになったそうです。

ひきこもり状態は8年。無気力で親が部屋に入っても怒ることはないそうです。「将来どうするの」と尋ねても「いつでも働きに行ける」と言うだけだそうです。

長年にわたって会員の悩みの聞き役を務めてきたネットワークの世話人代表(67)の家庭でも、予期せぬことに、40代の長男が昨年から突然ひきこもりになったそうです。

機械設備の検査員として約20年間働いたが景気悪化の影響もあって昨年3月に解雇。部屋に入ったきり、ほとんど外に出なくなったそうです。食事は自分で用意しているが、米と塩昆布だけの日も。「口に入れるものがあれば何でもいい」というその日暮らしの生活です。

長男を家から追い出して自立を促すことも考えているが「一人暮らしをしても、どこかで餓死してしまうかも」と途方に暮れています。

大阪府が今年度からひきこもりの支援ネットワークをつくるなど、ひきこもりの支援策は広がりつつありますが、支援の対象者は実態が把握しやすい学生が中心です。高齢ひきこもりへの支援策はほとんどありません。。

代表は「中学生や高校生ならやり直せるが、20歳を超えると人格が固まってしまい、なかなか抜け出すことはできない。先が見えなくて真っ暗闇だ」と話していました。

かの偉大なドラッカー氏は、もう何十年も前にこのような事態が発生すること予見していました。彼は、すでに1940年代に、経済至上主義について、以下のように述べています。

引きこもりの問題に関しては私自身は、そんなに詳しくはないのて、以下のドラッカーの著書から関係するところを書き留めておきます。
経済的自由によって平等を実現できなかったために、ブルジョア資本主義はそのもたらした物質的恩恵にもかかわらず、プロレタリアだけでなく、経済的、社会的に大きな恩恵を受けた中流階級の間でさえ、社会制度としての信用を失った。
一人ひとりの人間は、その意味を受け入れることも自らの存在をに結びつける事もできない巨大な機構の中で孤立している。社会は、共通の目的によって結び付けられたコミュニティーではなくなり、目的のない孤立した分子からなる混沌たる群集となった」―『経済人の終わり』
また、知識労働者の時代となった現代個人と、組織との関係について以下のように述べています。
成果をあげる努力によってのみ、現代社会は二つのニーズ、すなわち個人からの貢献を得るという組織のニーズと、自らの目的の達成のための道具として組織を使うという個人のニーズを同時に満たすことができる。―「経営者の条件」
ただし、ドラッカー氏は民間営利企業は、生活の糧という意味合いが強く、必ずしも、個人のニーズを完全に満たすことはできないとしています。しかし、アメリカには、日本と異なり、様々なNPO(非営利組織)があります。ありとあらゆる種類のNPOの中から自分のできることで貢献することが、これからの知識労働者にとって重要になると説いています。特に、民間営利企業も、政府もできないような社会事業を行うNPOが重要だと説いています。

しかしながら、日本においては、このブログでも以前掲載した通り、寄付金の文化もなく、NPOはどこも厳しい予算で運営されているというのが実体で、数も少ないため、なかなか自分のニーズを満たしてくれるようなNPOがないといのが実体です。それよりも、何よりも、日本ではNPOの歴史も短く、多くの日本人がその存在意義すら認知していません。何か、NPOというと、熱意あふれる善良な人たちが、手弁当で行う奇特な事業という感覚しかないようです。アメリカなどでは違います。アメリカの全NPOの年間の歳入は、アメリカの国家予算と同程度です。

だから、かなり有力なNPOが育っています。たとえば、最初からNPOの構成員として、銀行や、建築会社を含んでおり、大々的に貧困者の住宅提供や、就職ブログラムの提供を行うNPOが各都市にあったりします。こんなことは、日本ではなかなか理解できない事だと思います。

これには、日本政府の問題もあります。特に財務省の問題です。財務省の官僚は、財政民主主義という立場からNPOに巨額の資金が集まること自体を問題にしているようです。だから、NPOに寄付をするとかなりの税制上で優遇されるというアメリカなどでは普通の制度が日本にはありません。そのため、日本では強力で有力なNPOが育ちにくい環境にあります。

高齢で引きこもりになる人達は、病気などの特殊な場合を除いて目的のない孤立した分子からなる混沌たる群集の中のひとりであるということです。そうして、引きこもりから抜けだせない人達は、自分のニーズを組織の中で満たす方法が理解できないのではないかと思います。現代は、組織社会です、組織で生きていくすべを見つけられなければ、引きこもりを続けるしかなくなるのだと思います。そうして、自らのニーズは何らかの形で組織に成果をあげて貢献することによってしか満たせないということが理解出来ないのだと思います。そうして、現代日本は基本的に豊かな社会であり、それが積極的にではないしろ許容されてしまうというのが実体だと思います。

こういう人たちの中でも、目的を見いだせるようなNPOが日本でもどんどん設立されると良いと思います。ドラッカーは、20世紀に、それまでとは異なるあらゆる組織が興隆したのと同じように、21世紀には、特に都市部で世の中の大勢を占めるようになった、知識労働者のニーズを満たすような、NPOが爆発的に興隆する必要があると説いています。私も、本来そうであるべきと思います。そうなれば、そもそも、引きこもりをあまり出さないように動くNPOができるでょうし、さらに、引きこもりの人でも、有意義な目的を発見できるNPOが設立される可能性も高くなります。こういった、NPOがたくさんできれば、それこそ、景気の刺激にもなると思います。消費税の増税や、社会福祉だけではなく、これからの政府はこうしたことにも目を向けていくべきと思います。

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