日本マクドナルドホールディングスの2010年12月期連結決算は、本業のもうけを示す営業利益が上場以来最高の281億3500万円(前期比16.1%増)だった。同社が11年2月3日、発表した。
ボリューム感のある「Big America」シリーズなど新商品が好調で、フランチャイズを含めた全店売上高は2.0%増の5427億円。創業以来最高だった。一方で、不採算店433店舗を閉店した費用がかさみ、純利益は38.5%減の78億円となった。
【私の論評】日本マクドナルドは、実に日本的会社、いまこそ日本そのものを見直す時では?
この日本マクドナルドの業績の良さ、私たちはどう捉えるべきでしょうか?世の中では、不況だ、デフレだとして、モノが売れない、利益が出ないなどという声が沢山聞こえています。結果的には、減益とはなっていますが、それにしても、創業以来最高とは、一体どうなっているのでしょうか?
一昨年の暮から、昨年の春頃までは、ユニクロも業績が良く、マクドナルドも同様に好調でした。ユニクロの失敗については、このブログでも掲載したことがあります。さて、この違いは一体どこからでてくるのでしょうか?それに関して、もし、私がここですべて正しく分析できたとしたら、それをもとに、事業を展開したとしたら、きっとこのデフレの世の中でも、きっとどのような事業を展開しても、マクドナルドのように素晴らしい業績をあげることができるに違いありません。
だから考えた結果などを書いてしまうことは、ある意味恐ろしいことでもありますが、本日は、それを恐れずに、あくまで私の考えを、ここに書こうと思います。そうして、私の考えが間違えているとか、違うなどと考えた方、下にコメントをいただけたら幸いです。そうして、なぜマクドナルドの業績が良いのかを探る手がかりとしたいです。そうして、マクドナルドと他社をいくつも比較すると、かえて、みえるものも見えなくなってくる気がしますので、本日のところは、ユニクロとの比較だけをしようと思います。
さて、特にマクドナルドとユニクロは、どこで業績の違いがでてしまったのでしょうか、無論目先では、このブログにも書いたように、ユニクロはジーンズの失敗、秋口の気温の見誤りなどもありますが、それは、現象面であり、では、なぜそのような失敗をしてしまったのか、その本質を探ることにより、マクドナルドの好調である理由を理解することができるかもしれません。
さて、経営方針に関するユニクロと日本マクドナルドの違いといえば、ユニクロは、会長自身があるテレビ番組ではっきり「(日本国内に)内需なんてないですよ。だから、海外進出を目指す」ということにつきると思います。ユニクロは、創業者は日本人であり、日本の企業ではありますが、社内で英語を公用語にするなど、完全にグローバル企業を目指しています。
一方の日本マクドナルドは、発祥はアメリカであり、日本国内でのみマクドナルドを運営することを許された会社です。ユニクロのように、海外展開したいなどと考えても、もともとできません。それをやってしまえば、マクドナルドの商号など用いることはできなくなります。
この違いは大きいです。日本マクドナルド、日本がデフレであろうが、不景気であろうが、何がおころうが、日本国内の人々を相手としてし商売ができないように最初から運命づけられているという事です。
こうしたことは、最初から与えられた、与件というか変えようもないことなので、このことについて、原田 泳幸社長は、社長に就任して以来、「デフレだとか、そのデフレを政府に何とかしてもらいたいとか、日本に内需などない」など一度も言ったことはありません。
対する、ファースト・りテーリングの柳井正会長に関しては、先の「内需などない」発言もありますし、さらには、このブログに掲載したように、中国・成都で昨年の10月16日に反日デモが起きた際、1店を一時閉店したことを明らかにし、日本政府の対応について「中国に進出した企業は自己責任でやって下さいというのはどうかと思う。ビジネスがやりやすいようにするのが国としての義務」と述べています。
こうした、経営者の姿勢の違いも、業績に反映されているのではないかと思います。日本マクドナルドは、とにかく日本で生きていくしか方策がないため、それをマイナスに捉えることなく、日本にあわせた事業展開をしています。かたや、ユニクロは「日本に需要」はないとして、海外に展開することを主眼においた経営を実施しています。
さらに、両者の手法の違いということでいえば、マクドナルドのほうは、ありとあらゆることをまずは、小さな規模で、実験してみて、うまくいけば、広く実施するという手法をとっているようです。
一方、ユニクロは、ジーンズの失敗にみられるように、最初から大規模に実施して、大失敗をしているようにみえます。これらについては、両者の会社の細かい部分まで、みているわけではないので、何ともいえないところもあります。
さらに、根本的に異なるのが、日本マクドナルドは、徹底的に今風の日本を追求しているという違いがあると思います。去年から、今年にかけて、マクドナルドは、ビッグ・アメリカ・キャンペーンと日本キャンペーンを行ない、さらに、ビッグ・アメリカ・キャンペーンを実施しています。しかし、ビッグ・アメリカといいながら、期間限定とか、さらには、味そのものが、日本人にあわせたものになっています。
日本キャンペーンでは、完璧に和風を追求していました。それに、マクドナルドのメニューには、本家本元のアメリカ風のメニューもありますが、その他、和風であり、中華風、朝鮮風、他のエスニック風のメニューは一切ありません。やはり、いろいろな意味で、日本をかなり意識しており、アメリカ風とはいいながら、その実味など日本的であり、アメリカ風、和風はだしても、他国のものは一切だしていません。
ここで、結論をだしておきますが、日本はデフレなどといわれながらも、マクドナルドのやり方をみていれば、まだまだ、やりようがあるという事だと思います。日本が不況だとか、少子高齢化だといわれつつも、日本は韓国や、EU諸国などと比較すれば、人口そのものも多いです。さらに、日本人の金融資産は未だ、世界冠たるもの特に現金・預金に関しては、未だ世界一です。さらに、日本国の対外債権(要するに海外に貸しているお金)は、過去19年間世界一です。
日本が、財政破綻するなどというトンデモばなしを、マスコミがしょっちゅう流していて多くの人が勘違いしていますが、日本の政府は、世界で一番金融資産を所有しています。これだけ持っている国はどこにもありません。さらに、赤字国債の問題や、国債の格付けが下がったことなどもありますが、これらは、実はさほど大きな問題ではありません。なぜなら、日本の国債の95%以上は、日本の法人や個人が購入しているからです。これは、家庭でいえば、外からお金を借りているのではなく、家族から借りているようなものであり、家庭という一世帯としてみれば、世帯あたりでは何も借金をしているわけではないことと同じことです。
おそらく、マクドナルドの社長は、このようなことを熟知していて、日本で消費を拡大することは確かに難しいがかといって、全く不可能ではないという前提にたって、事業を展開しているのだと思います。一方、ファースト・リテーリングの会長などは、マスコミのいうことなどをまともに信用して、日本に内需はないなどと信じこみ、日本よりは、海外の市場を重視しているのだと思います。
私は、まずは、日本での消費拡大という難しい問題に正面から向き合うことなく、安易に海外に流れる姿勢がユニクロを駄目にしているのだと思います。
現在のデフレは、日本国にお金がないというわけではなく、それがあまり流通していないということに原因があるのです。そうして、マクドナルドは、やり方によっては、まだまだ、顧客の需要を喚起することができることを如実に示しています。多くの企業が、一時しのぎの方策として、海外市場をあてにすることは仕方のない事と思いますが、日本の市場をないがしろにするところは、ユニクロのように業績を落としますし、さらには、海外でもいずれうまくいかなくなると思います。
来年は、アメリカの大統領選挙が控えており、オバマ大統領は、是が非でも、アメリカ国内の景気を良くして、雇用などの改善をしなければなりません。だらか、それにつれて、他国の景気も良くなるでしょう。だから、日本でも、ユニクロなどのグローバル企業は業績が良くなるかもしれません。
しかし、これとて、ただ、外国市場に頼っているだけであり、外国の景気が悪くなればもとのもくあみです。おそらく、はやければ、2~3年後くらいには、もとに戻ってしまこうことでしょう。ただし、日本マクドナルドは、残念ながらそのようなことはできませんが、日本国内のデフレ傾向や、世界でももっとも鑑識眼のある日本の消費者を相手にマクドナルドのように業績あげることができた企業は、海外展開しても業績落とすことは少ないと思います。
これに、気がついて、ユニクロあたりも、日本の消費拡大に挑んで成功すれば、また、業績を回復できるのではないかと思います。
この両者の違い、これからも、追跡し、何か変化があれば、ブログに掲載させていただきます。