日本マクドナルドホールディングスはハンバーガーの配達サービスに乗り出す。原則24時間、注文を受けて店舗から自宅などへ届ける。来夏以降に全国展開を目指す。少子高齢化などで外食の店舗販売は縮小傾向。来店機会の限られる高齢者や、子育てに忙しい主婦など新しい顧客層を開拓する。
20日に東京・世田谷の店で始め、2011年4月までに都内の約10店で実施。その後住宅・オフィス街近くの店を中心に全国に広げる。
【私の論評】日本でも伸びる可能性はあるか?
韓国のマクドナルトの宅配スクーター |
実は、マクドナルドの宅配は日本ではまだでしたが、海外ではかなり普及しています。2007年当時に以下のような記事がビジネス・ウィーク誌に掲載されていました。
車や人でごった返す発展途上国の約25都市で、マクドナルドのスクーターを使った宅配サービスが順調だ。マクドナルドはさらに上海、ベイルート(レバノン)、リヤド(サウジアラビア)など約6都市でも、近くこのサービスを始めるという。最近、台北でも宅配サービスが開始され、1,000人のドライバーが市内を走り回っている。
注文品の間違いやミルクシェイクが温まっているなど利用者の不満の声も聞かれるが、特にインドでは、このサービスによってマクドナルドの収益は上向きだ。1995年、他に先駆けてこのビジネスが開始されたエジプトでは、現在、宅配がマクドナルドの全収益の27%を占め、店舗によっては80%にも及んでいる。
同社によると、宅配サービスによる売り上げは、全世界で、2007年には前年の総額9千万ドルから1億1千万ドル以上になる見込みだという。年間総売上216億ドルと比べれば大した額ではないが、このビジネスは年間20~30%の伸びを見せており、チェーン全体の3倍以上の成長を果たしている。ただし、この宅配サービスは、現在までのところやはり、発展途上国の事例がほとんどです。やはり、アメリカやヨーロッパではないようです。私は、その原因は人件費にあるのではないかと思います。発展途上国では、賃金が低いので、宅配をしても十分利益があげられますが、先進国では、人件費が相対的に高いためおそらく、宅配ではほとんど利益がでないのだと思います。なにしろ、日本などでは、時給でも特に都市部では800円以上ですから、難しいと思います。
マクドナルドの商品では、あまり高い料理はありません。一人あたりでは、いくら高くても、1,000円を超えることは滅多にないことでしょう。おそらく、個々人に対して宅配していては、まともに利益をあげることはできないでしょう。
上の記事では、あまりに情報が少ないので、実際どのようになるかは、わかりませんが、こうした人件費の高さに対処するため、日本のように人件費の高いところで宅配をするとなると、たとえば、「○○円以上から配達する」とか、個別注文だと、無論100円マックなどはなくて、セットものもないか限られた種類しかないですが、注文が大口になれば割引するし、バリエーションも増えるようにするなど工夫して、なるべく注文が大口になるように誘導するのだと思います。
そうして、顧客としては、たとえば、複数人数で注文していただける、オフィスとか、大人数の家族構成のファミリーを狙うのだと思います。そうして、実際に営業をしてみて、様子をみて、チラシの配布の方法などを設定するのだと思います。
それに、あくまでもイートインを中心として、宅配はそれを補完することとして、たとえば、宅配が売上の半分以上を超えるような店にはしないと思います。ある程度宅配をして、イートインを補完することと、宅配スクーターが行き交うことや、実際にお客様のお宅にドライバーがうかがうことにより、それ自体が販売促進につながり、イートインの売上もあげることを狙っているものと思います。実際、宅配ピザの宅配車が走っているのを見て、ピザを注文する人も、結構いらっしゃいます。宅配専門の店はつくらないというより、つくれないと思います。
ピザ宅配のように、売上のほとんどを宅配によるものとするならば、おそらく、かなり高い価格設定にしないとやっていけないと思います。実際、ほとんどのピザ宅配は、一部をのぞけば諸外国など比較すれば、かなり割高です。そうして、その割高である背景は人件費が高いということです。
これは、既存の寿司屋、蕎麦屋なども、イートインが売上のほとんどを占めていることを見ても、理解できます。最近では、宅配専門の寿司屋もでてきてはいますが、宅配専門の蕎麦屋はないですし、寿司屋も、宅配ピザのように普及しないのをみれば、理解できます。おそらく、あまり利益のでる商売ではないのだと思います。蕎麦では、そもそも宅配専門は成り立たないのだと思います。
ところで、マクドナルドは、ドライブスルーの店もかなり展開する予定があります。こちら函館でも、最新の店舗はドライブスルー型でした。宅配を行う店舗は、土地が高くてドライブスルー用のスペース確保が困難で、宅配要員の人件費が相対的に低い過密都市部を狙って事業展開をしていくのだと思います。都市部においても、少し中心を離れると、もともとドライブスルー用の土地を確保するのは困難ですが、人件費は相対的に低いところもあります。既存のマクドナルドは、東京などの都市部では意外とこういうところに立地している店が多いのだと思います。
さて、マクドナルドの宅配ということで、既存のピザ宅配は戦々恐々としているかもしれません。しかし、それならそれで、ピザ宅配もハンバーガーをつくって配達するとか、イートインとか、他のことを考えるべきでしょうね。この場合も、宅配を補完したり、販売促進として実施するという方式にすべきと思います。まさか、売上の半分以上をハンバーガーであれば、成り立たないでしょう。ちなみに、ピザテンフォーでは、過去にはホットドッグを宅配していたこともありました。
上の記事は情報が少ないので、何ともいえませんが、私のこの当て推量、いずれ宅配マックが実際に営業を開始すれば、その詳細もわかるものと思います。そのときには、また掲載して、私の当て推量が当たっていたかどうか掲載しようと思います。
いずれにせよ、こうした工夫などから、いずれ全く新しい業態もでてくるかもしれません。それが、21世紀の新たな業態になるかもしれません。ただし、従来の延長線上で考えていては無理でしょうね。
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2 件のコメント:
特選街情報NS-Station Blogへコメントありがとうございました。
最初にサービスを始める世田谷あたりの地域性としては、学生と住宅を中心とした町並みです。マクドナルドは学校がある東急線の駅前店舗と一部は幹線道路沿いあるという感じで時間帯によって来客人数に大きな差が有ります。特にこの季節だと天気の悪い寒い土日には人出が少なく来客が少ないようです。
駅前店については周辺の道路事情が良くないため渋滞していることが多く、マクドナルドのために車を出すファミリーは少なそうな気がします。出かけたついでによることはあると思います。
そこで巣篭もり消費の喚起ということなのでしょう。一時期のマックのバイトでも時給が高かったですが最近は下がってきています。人件費は低下傾向にありますが、都内の駅前の場合はまだ店舗の家賃が高いので少しでも売上を伸ばそうということでしょう。
特選街NX-Station様 コメント有難うございます。私は、ブログにはあえて書かなかったのですが、このマクドナルドの宅配、特に若者の賃金が下がってきているため、従来は不可能だったものが、可能になったという側面もあるのかもしれません。そうなると、いよいよ、デフレの悪影響は甚大化しているということです。そのへんのところは、今後のマックの動きなど見極めて、判定していきたいと思います。
これかも、お気軽にお立ち寄りください!!
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