2010年12月7日火曜日

USEN・宇野康秀氏が独白 「なぜ私は辞めるのか」―【私の論評】eコマースの本質は「広告」であることを見抜けなかった??

USEN・宇野康秀氏が独白 「なぜ私は辞めるのか」

表舞台を去る宇野氏
時代の寵児が表舞台を去る。11月26日、有線放送最大手USENの宇野康秀社長(47)が退任、代表権のない会長に退いた。後任社長には外食チェーン、レックスホールディングス出身の中村史朗顧問(38)が就任。

USENは事業不振で業績が低迷。金融機関30行と組んだシンジケートローンの財務制限条項に抵触する状態が続いていた。業界では「金融機関からの退陣要請があった」ともううわさされる。だが宇野氏はあくまで自身の意思だと説明した。「1998年の就任から10年間を節目と考えていた。多くの人に迷惑をかけたので、事業整理が一段落した今、ケジメをつけたい」。

USENはこの1~2年、創業来最大の危機にあった。無料動画配信サービス「ギャオ」など新事業が不振にあえぐ中、2008年秋にリーマンショックが直撃。株評価損も重なり、総額1100億円超の最終赤字を計上した。

これを受け、09年4月にはギャオを売却。映画配給ギャガ、カラオケ、ネット接続、さらに宇野氏自らが創設した人材紹介会社インテリジェンスと、拡大してきた業容を再び縮小した。それでも今年年初に発表した09年9~11月期決算では、純資産わずか10億円、自己資本比率0.4%と、債務超過ギリギリまで追い詰められていたのである。

■社運賭けた事業が失敗

09年11月にソネットエンタテインメントと提出した1枚のリリースは、当時の経営の逼迫状況を物語る。

「USENが提供しているISP事業を当社(ソネット)が譲り受けることに関し、誠実に協議する旨の合意をしました」。12月の契約締結に先立つこと1カ月、両社は「交渉中」という趣旨の、異例の発表をしたのだ。「二日後に株主総会を控えるUSEN側から、『契約前に事業譲渡の話を公表したい』との要請があった。いわゆる総会対策だ」(ソネット関係者)。

宇野氏は「やや無理なM&Aをして手を広げすぎた。ギャオを始めた途端、競合する米ユーチューブが台頭するなど、いち早く始めたことも裏目に出た」と振り返る。

2000年代に入るとブロードバンド時代が到来。USENは05年に、既存の有線放送から、ネット上で動画を配信するメディアコンテンツカンパニー構想へと舵を切る。コンテンツ系企業買収も進めた。が、権利処理の手続きに時間を要したギャオを尻目に、著作権侵害をモノともしないユーチューブが一気に巨大化。USEN陣営は手も足も出なかった。

この12月には、有料動画配信「ユーネクスト」(旧ギャオネクスト)なども切り離す。「これで打ち止め」(宇野氏)となる最後の事業整理だ。自ら描いた大きな絵は結局、結実することなく、USENは祖業の有線放送が大半を占める、元の姿に戻る。

かつて東京・六本木ミッドタウンに6フロアを構えていた本社も、都内にある坪単価6分の1のビルに移転。年間十数億円もの賃料削減が見込まれ、身の丈経営を進める。

■私財500億円を投入

切り離した赤字の2事業を背負うのは宇野氏個人だ。

「6月から譲渡先を探したが、黒字化せず、引き受け手を見つけられなかった。撤退も考えたが、可能性の大きなビジネスと信じており、個人で続けたい」。宇野氏は会社のために、個人で借金するなど、私財を投じた。保有していたインテリジェンス株を中心に、その総額は約500億円に及ぶ。

絶頂時には“イケメンIT社長”ともてはやされた宇野氏。もっとも本人には、仕事人としてのストイックなまでの自負がある。40歳まで酒も飲まず、「午前0時から連日会議を行って社員に迷惑をかけた」(宇野氏)ほど、経営に傾注してきたという。

「自分は何をやりたかったのか、この1年間考えていた」と宇野氏は静かに述懐した。「USENの社長に復帰することはまずない」。脚光を浴びた著名ベンチャー経営者が、また一人、スポットライトから遠ざかる。

(週刊東洋経済2010年11月27日号)

【私の論評】eコマースの本質は「広告」であることを見抜けなかった??
今日、Gyaoのサイトをみると、サイトのあらゆるところに、さりげなく広告が埋めこまれています。確か、YouTubeでも、かなり多くの動画に広告が組み込まれています。実際、私が投稿したいくつかの動画のうち、良く見られるものには、広告がついています。広告から収益があがれば、私にいくばくかの収益がわたるという仕組みになっています。

しかし、わずか数年前まで、YouTubeがGoogleに吸収される前までは、YouTubeにはほとんど広告が掲載されていませんでした。ましてや、動画自体に広告が組み込まれているなどということはありませんでした。

Gayoも創業のころは、画期的だとは思いましたが、広告がほとんど掲載されていなかったと記憶しています。そうして、Gayoの発信するニュースリリースなどを読んでみても、何が収益になるのか、はっきりわかりませんでした。これで本当に大丈夫なのかと、一抹の不安を感じました。

今日、その予感があたったわけです。多くのユーザーは、Googleなどの先進的な技術にばかり、目を奪われて、Googleが本当は何の会社であるかを忘れがちです。最近では、アップルの先進的な技術にばかり目を奪われていて、その本質を忘れがちです。

実は、Googleは、純然たる広告会社です。無論、従来の広告会社とは異なります。Googleの検索エンジンであろうと、何であろうと、必ず、広告が掲載されています。そこに、多数訪れるユーザーが、その広告を見て、何%かの人がクリックし、その商品やサービスを購入します。そうすると、その数%がグーグルに広告収入としてはいります。

これが、Googleの事業の本質であって、他の先進技術は多くのユーザーに広告をみせるための、手段にすぎません。そうして、こうして、多くの人を集める仕組みを現在、プラットフォームをと呼びます。こうした、優れたプラットフォームを構築することが、現代のeコマースを成功させる鍵です。

宇野氏は、この本質を見失っていたのではないかと思います。動画配信で収益を得るという考え方は、もともと、間違っていました。本来は、動画配信というシステムを人を多く集めるための、プラットフォームとするビジネスモデルを考えるべきだったのです。


Gyaoは著作権関係をきっちり守り、youtubeのような投稿ものではなく、いわば、ネット上のオンデマンドTVみたいなものでした。ユーザー(オタク系?)にとって、結構、魅力的なコンテンツもありました。たとえば、冬ソナとか中川翔子が合い方していた「溜池Now」などです。冬ソナに関しては、私は、韓国ドラマが嫌いで、批判しつつも結構みていました。まわりの人に「批判できるということは、ドラマを見ているということですね」といわれてしまいました。今からふりかえれば、しよこたんは、Gyaoの女神のような存在であり、あの番組の完全終了をもって、Gyaoの命脈もつきていたのかもしれません。

しょこたん
しかし、コンテンツの買い付けや制作も自前でやっていれば、無料配信という形態では、限界があるのも目に見えていました。この人気番組も、この限界から継続できなくなったのだと思います。


そうして、Googleに取り込まれた、YouTubeは現在まさしく、プラットフォーム構築の道を歩んでいます。Googleの収益元の95%以上はいまでも、広告です。アップルのiPadや、iPhoneだってそうです。アップルは、これらを多くのユーザーを集める集客装置と考えて戦略をくんでいるのであって、何も、iPadや、iPhoneを販売してそれで収益をあげる事業を、事業の柱と考えているわけではありません。それは、二次的なことに過ぎません。

だからこそ、AppleもiTuneや、Appstore、iBookを運営しているのであり、さらには、来年から日本でも、iPadや、iPhone向けに、iADを発信するのです。このアップルも何年か前までは、すっかり影をひそめていました。そのころのアップルがやっていたことといえば、先進的なパソコンをつくることのみでした。そのままだったら、もう、アップルはもう姿を消していたかもしれません。

実は、この広告こそが、eコマースが成功する鍵であるといっても過言ではないのです。現在、結局生き残っているeコマースでは、こうした広告を実施しているか、何らかの形でビジネスに組み込んでいるところだけです。楽天や、アマゾンは違うのではないかと考える人もいるかもしれませんが、楽天のあのバーチャル・ショッピング・モール自体が、巨大な広告塔です。アマゾンだって、販売を直営という形式でやっているだけであって、あの、素晴らしいユーザーインターフエィスを備えて、顧客の関係を強固にするサイト自体が広告です。

宇野氏は、こうした本質を見抜けないまま、理想と空想で、eコマースに参入してしまったのです。しかし、何も、こうした失敗をしたのは、宇野氏だけということではありません。過去に、かなり有名になったり、話題になったりした多くのeコマースが敗退していることを皆さんもご存じだと思います。これは、日本でも、アメリカでもあった厳しい現実です。

多くの経営者がその本質を見抜けないまま理想と空想で先進技術や先進的なアイディアを駆使してeコマースに参入し、人々の大きな期待とは裏腹に利益をあげられずに、敗退していったのです。最近、ようやっと、ビジネスプラットフォームという言葉で、eコマースの本質が語られるようになってきました。何がeコマースの本質であるのか、さらには、フリーミアムという概念も明らかにされるようになってきました。そういう背景から、このような失敗をする人は、宇野氏が最後になることでしょう。もう、ただの先新技術、先進的アイディアというだけで、収益源の明確でない、eコマースには誰も投資しないでしょう。

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