2010年12月10日金曜日

クラウド普及でベンダーに試練 - IDC Japanが2011年の国内IT主要10項目発表―【私の論評】クラウドを戦略として組み込んでいない企業は時代遅れ?

http://journal.mycom.co.jp/news/2010/12/10/020/index.html


【私の論評】クラウドを戦略として組み込んでいない企業は時代遅れ?
上記の細かいことの解説はしませんが、やはり、クラウドについてはここで整理しておかないとならないと思います。これからクラウドを戦略として組み込んでいない企業は、すべからく時代遅れになると思います。

まずは、クラウドコンピューティングによって、どのような利点があるかといえば、ITでの取り組みが進んでいる大企業が利用している、もしくは、それ以上のコンピュータ環境を「誰でもが」受けることができるようになった、ということでしょう。まさしく、セールス・フォース.コムがいうところの、ITの民主化です。

「それ以上の」と掲載した利用は、大企業の場合多くのレガシー資産(主に、昨今のようにWeb化が進められる以前に、メインフレームを介してネットワークを構築していたシステムなどの資産)を抱えていたり、グローバルな環境に対応する必要があります。世界の多くの国ではインターネットの利用環境が整っているとは言い難いので、その対応には、多くの労力と時間がかかったりします。

この例としては、今はどうかわかりませんが、たとえば、9.11同時テロ事件のときのペンタゴンなどが良い例です。普通の人は、ペンタゴンなど最新鋭だと思っている人が多いですが、当時のペンタゴンは、レガシー資産がかなり残っていたので、使用している端末もかなり古かったし、時代遅れで、情報の取得にもかなり支障があったのではないかと思います。

周知の事実ですが、クラウドにセキュリティー面でのリスクが内在するのは事実です。個人情報に関するものをクラウド上におくのは好ましくないでしょう。しかし、だからといって現在、クラウドから提供されているコンピュータ環境を使わない手はないはずです。

私は、常日頃、中小企業と大企業の違いは、間接人員をもてるかどうか、ITに設備投資できるかどうか(間接に投資できるかどうか)だ、と思っています。

私は、特に中小企業の場合、コンピュータを扱う間接人員をもつ余裕はないし、同様に、サーバーといった機器類に投資をするには限界があります。だから、たとえコンピュータを買っても、社内に専門家がいないために、システムインテグレータに頼まざるを得ず、インテグレータは特に大企業相手の場合などには、1日の作業に10万円をチャージしたりしていました。

こうした環境を大幅に変えたのが、クラウドによる変革です。情報資産を一度インターネット上のクラウドに「出してしまえば」、どこからでもアクセスできます。わざわざ、LANとか、WANなどを組む必要性はありません。

Mail、Calendar、ファイルサーバー(ファイル共有)といった、基本的なグループウェアが、まさに、クラウドから提供されるのです。

もうすでに、随分前から、アップルからiPhoneが提供され、Googleが携帯を提供しはじめたり、アップルがiPadを提供し始めたり、さらにGoogleから、クラウドに特化したGoogle Chrome OSを搭載した、マシンン(もはや、ノートパソコンとか、iPadとか形などは問題外)が提供されようとしている現在、クラウドの主要プレイヤーは「PCという呪縛」から利用者を解き放ちました。

営業マンや、現場で働く人々が、PCを開くことなくそういったサービスを享受できる時代が到来しました。そして、従来とは異なり、このために必要な間接人員は0です。逆に今の時代であれば、若い人などで、iPhoneや、iPadを使い慣れた人が、企業でシステムインテグレーターが何かしないと動かないシステムなどみたら、奇異に感じることでしょう。現在の私たちが、オフィスコンピュータなどを見ているのと同じような感覚になっているかもしれません。

こうしたことから、クラウドを使わない理由は、見当たりません。過去の遺産に縛られない中小企業だからこそ、クラウドという「きんとうん」に乗れると思います。そうして、レガシー資産を持つ大企業は、もうITの面で、中小企業などと比較して、人員でも、資金でも圧倒的に優位という時代は終焉します。

多くの会社では、Google Apps(一人5000円/年)程度の契約をしています。これで得られる容量は、メールで25Gバイトである。ダウンタイム基準で99.9%のサービスレベルを保証しています。れは、最近さらに改善されました。

これを従来のように、インターネットやクラウドを使わずに、ベンダーからサーバーを仕入れて、メールサーバー、ファイルサーバー、認証サーバーなどを設定し、社員1名にこれだけの保管領域とサービスレベルを提供するとなれば、膨大な投資を必要とします。

これが、他のシステムの場合どういうことになるでしょうか?経理のシステムであろうが、CRMであろうが、今では、大人数の人が入力したり、多方面から情報が入ってくるようになっています。そんなとき、上のように自らサーバーを持って実施するということになれば、それこそ、気が遠くなりそうです。

それから、最近の中小企企業で見られる悪い兆候として、なまじ、半かじりのパソコンおたくがいたりして、アクセスや、エクセルなど社内LANなどで、ネットワークをあちこちで結んで、効率の悪いことをしている例があります。これなどは、さっさと外に出して、クラウドを活用すべきでしょう。社内で、いい加減なネットワークを組んでいれば、大企業のレガシー資産とあまりかわりなくなってしまう可能性があります。

もうすでに、クラウドをどう活用するかを考えていない企業は時代遅れであり、次の展開はないといっても過言ではないです。

【関連記事】

Google、Chrome OS搭載ノートPC「Cr-48」をテスト用に配布―【私の論評】とうとう姿せを見せ始めたOS、一体何を狙っているのか?

マイクロソフト、プライベートクラウド戦略の詳細を明らかに―政界は、IT業界の熾烈な戦略による戦いを見習え!!

0 件のコメント:

<主張>所信表明演説 政策の修正は歓迎するが 産経社説―【私の論評】石破茂が日本を壊す!アイデンティティー政治で進む国民分断の危機

<主張>所信表明演説 政策の修正は歓迎するが 産経社説 まとめ 石破茂首相は初の所信表明演説で、自民党総裁選での政策を一部軌道修正し、安全保障や経済政策について岸田政権路線継承の方向性を示した。 経済では「賃上げと投資が牽引する成長型経済」を訴え、物価高克服とデフレ脱却の必要性を...