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2017年10月2日月曜日

開戦時の韓国の被害は? 注目集める12年前の予測―【私の論評】北朝鮮の横暴は、日本にイノベーションをもたらす(゚д゚)!

開戦時の韓国の被害は? 注目集める12年前の予測

「韓国が壊滅的な打撃を受けることはない」とする理由

韓国・慶尚北道の星州で、北朝鮮の核およびミサイルの脅威に
対抗するために高高度防衛ミサイル(サード)が配備されたゴルフ場
 米軍はまず空爆によって北朝鮮の核兵器関連施設を破壊する。北朝鮮の地上軍大部隊が南下して反撃してくるが、米韓両軍の迎撃で阻止する。ただし北朝鮮軍のロケット攻撃などにより、最初の数日間で少なくとも10万人の韓国軍民の死者が出る――。

 これは、米国の専門家集団が12年前に実施した米朝戦争開戦のシミュレーション(模擬演習)の結果である。このシミュレーションがいま改めてワシントンの政策研究機関の間で注目されるようになった。

今なお多い軍事攻撃への反対論

ワシントンではいま、北朝鮮の核兵器と長距離弾道ミサイルの開発の脅威にどう対応するかをめぐって政策、戦略が本格的に議論されている。

 トランプ大統領は、北朝鮮の核武装を阻止するための「軍事的手段を含むすべての選択肢がある」と宣言し、軍事攻撃の準備もできたと語る。だが、「北朝鮮の全面反撃による韓国側の被害があまりに大きすぎる」といった理由から軍事攻撃には今なお反対論が多い。

 そんななかで、「全面戦争が起きても韓国が壊滅的な打撃を受けることはなく、北朝鮮の国家態勢を破壊できる」というシミュレーションの結果が改めて注視されるようになった。

 このシミュレーションは、国防総省の軍事模擬演習の専門家らが、米国の総合雑誌「アトランティック・マンスリー」から委託されて、2005年4月に実施した。

 現在、北朝鮮問題の研究に正面から取り組む戦略国際問題研究所(CSIS)やピーターソン研究所の関係者たちが、このシミュレーション結果を今後の対策を講じる際の有力な資料とみなしている。

北朝鮮の核兵器への懸念が高まっていた2005年

米国は1994年に北朝鮮との間で米朝核合意枠組みという協定を結び、北朝鮮に核兵器開発の放棄を誓約させた。だが北朝鮮は秘密裡に核武装への歩みを進め、2003年には核拡散防止条約(NPT)から脱退して、核武装への意図を公然と表明していた。そして、2005年2月に核兵器保有を公式に宣言したのである。

 つまり、このシミュレーションが実施された2005年4月は、米側で北朝鮮の核兵器の脅威への懸念が非常に高まっていた時期である。米国は実際にその対処として軍事攻撃まで検討していた。

「アトランティック・マンスリー」は2005年8月号に、同シミュレーションの概要を「北朝鮮=ウォーゲーム」という記事として公表した。米国が北朝鮮の核兵器開発や保持を阻止するために軍事手段を行使した場合、なにが起きるか、というシミュレーションである。

 民間主体の模擬演習とはいえ、その中心人物は、国防総省直属の国防大学で長年、軍事模擬演習を専門としてきたサム・ガーディナー大佐だった。同大佐はイラク戦争、アフガン戦争などでも国防総省の軍事模擬演習を頻繁に主宰してきた実績があった。さらに、クリントン政権で北朝鮮核問題交渉の主役となったロバート・ガルーチ氏、中東での実戦経験の長い米空軍のトーマス・マキナーニー中将、歴代政権で軍事管理を担当してきたケネス・エーデルマン氏、イラクの大量破壊兵器の査察を実施したデービッド・ケイ氏など実務経験の豊富な専門家たちが、大統領や国防長官をはじめとする政府高官の役割としてシミュレーションに加わった。

韓国ではどれだけの死者が出るのか?

この時点における米国側の認識としては、北朝鮮はすでに10個前後の核爆弾を保持しているものの、米国本土への核弾頭搭載の長距離ミサイルはまだ開発していない。米国が北朝鮮への直接の軍事攻撃に踏み切るレッド・ラインとしては、「北朝鮮が自国の核兵器を、国際テロ組織を含む米国にとって危険な他の諸国に移転(売却)することが確実となった時点」とされていた。

 その状況におけるシミュレーション結果の概要は次のとおりだった。

・米軍の北朝鮮に対する軍事攻撃は、大規模な空爆を主体として、当初は1日4000回の爆撃出撃(1機が1回出撃して帰還する動きを1回の爆撃出撃とする。イラク戦争の当初の段階では1日最多800回だった)の規模となる。

・爆撃目標は北朝鮮の核関連施設、ミサイル、長距離砲、ロケットなどである。当初の数日間でそのほとんどの破壊を達成する。

・北朝鮮は地上の大部隊を南下させて反撃に出る。だが、この反撃は米軍と韓国軍の共同作戦により確実に阻止できる。

・ただし、北朝鮮の砲撃などにより、開戦当初の数日間に韓国側の軍民に少なくとも10万人の死者が出ることは防げられない。

 この内容について現在の米側の専門家たちがひそかに注視しているのは、「韓国軍民の10万の死者」という部分のようだ。この数字はいま米側で一般に語られている「数百万」という推定死者数よりもケタ違いに少ないからだ。

 この理由について、当時の「アトランティック・マンスリー」の記事は以下の2点を挙げていた。

(1)最初の大規模空爆によって、北朝鮮が南北境界線付近に集中して配備した攻撃用火力を、かなりの程度まで骨抜きにできる。

(2)北朝鮮軍が南下する際に火砲やミサイルによってソウルへの徹底攻撃を実施すると、その後の戦闘で用いる弾薬や兵器が不足してしまう。そのため、ソウル攻撃の規模を小さくする見通しが強い。

 いずれにせよ、緊迫をきわめる北朝鮮軍事情勢に関して、米国では12年前にすでに具体的な軍事衝突のシナリオが描かれていた。その要点が現在、改めて今後の戦略の有力指針とされているというわけだ。

【私の論評】北朝鮮の横暴は、日本にイノベーションをもたらす(゚д゚)!

ブログ冒頭の記事では、韓国の被害について12年前の予測が掲載されています。上の想定では、少なくとも韓国に対しては、核を用いることはないとの前提で想定しているようです。核を使えば、10万人規模ではすまないと思います。

では、もし北朝鮮が核を使わなかったとして、日本に攻撃を加えた場合日本はどのようになるのか、これに匹敵するような資料は残念ながらありません。

しかし、以下のような記事をみつけましたので、そのまま掲載します。
北朝鮮ミサイル 破壊されるのは小学校の体育館1つ分か
北朝鮮ミサイルの威力は?
 繰り返される北朝鮮のミサイル発射情報に慣れてはいないか──。海を狙ったのに、誤って日本本土に落としてしまうことがあるのがあの国だ。しかし私たちはミサイルが本当に飛んできたらどうなるのかを知らない。 
 各地で“その時”に備えた準備は着実に進んでいる。もしミサイルが飛んできたら、いったいどこに、どのように逃げるべきか。 
◆山手線の内側が危ない 
 日本に着弾する可能性のある弾道ミサイルは、日本全域を射程に収める「ノドン」(射程1300km)か「スカッドER」の改良型(射程1000km)とみられている。 
 問題は着弾場所と、弾頭搭載物である。北が狙う標的としては在日米軍基地に加え、原子力発電所や国会議事堂などがこれまで取り沙汰されてきた。一撃で日本に壊滅的ダメージを与える戦略だ。 
 しかし、軍事ジャーナリストの井上和彦氏はこんな見立てを語る。 
「もし北が日本を本気で攻撃するのなら、どこかの施設をピンポイントで狙うのではなく、例えば東京の山手線の内側など全国どこでも人口密集地に落とせばいい。 
 そうすればどこに落ちようが被害は甚大。即座に日本経済や国民生活に大打撃を与えることができます。ミサイルの命中精度も考慮せずに済む」 
◆破壊されるのは小学校の体育館1つ分 
 北朝鮮のミサイル発射についてシミュレーション経験のある防衛当局関係者が搭載弾頭についてこう話す。 
「北朝鮮が既に弾頭に搭載できるほど核の小型化技術を獲得しているとの見方があるが、本当だとしても核を使えばアメリカの激烈な報復は必至。同時に後ろ盾の中国やロシアからも見放され、世界で完全に孤立するだろう。だからミサイルに核を積むことは現実的ではない。生物・化学兵器についても同様で、通常弾頭(高性能爆薬)が使われる可能性が高い」 
 通常弾頭の威力については諸説あるが、弾道ミサイル1発で破壊可能な面積は「最大700平方メートル(小学校の体育館程度)」というのが有力だ。
この核を使わないという前提であれば、本当に良いのですが、それを前提にしても、北朝鮮が実際に日本に打ち込めるロケットをいくつ持っているのかということが問題になります。

これについては、米英の軍事調査報告を読むと韓国を目標にした HUWSENG火星=スカッドERが800発、日本を目標にした ノドン木星が360発、グアムを目標にした ムスダンが40発あります

ミサイルの詳細は 日本語資料があります
https://www6.atwiki.jp/namacha/pages/220.html

北朝鮮は2010年頃から核弾頭の量産に入りましたが2016年 時点で 20-40個の核弾頭があり、残りは 金正男殺害で使われたVXや、オウムで有名になった サリンなどの毒ガスが詰まった化学弾頭を装備していると言われています。

化学弾頭が上空で炸裂した場合半径数kmが死者だらけになって 地域も汚染されます。ただし、サリンであれば、水に触れると分解し無害になります。サリンの散布などがあったと想定された場合は、すぐにシャワーを浴びて水で流すなどのことをすれば、かなり有効であるとされています。

北朝鮮の金正恩は 韓国の併合による 民族統一により、北朝鮮兵を1兵も 戦死させずに韓国を降伏・不戦敗させて 併合すれば金王朝への支持は飛躍的に高まると想定されるため、韓国を核で恫喝していると考えられます。

現状ままなら 当然 米国と戦争になり、北朝鮮は 負けてしまうので金正恩体制は崩壊します。

そのような愚かなことはせず、金正恩当面は 米国とは直接戦わず、核軍拡に 専念していずれ、ニューヨークや ワシントンDCに届く移動式弾道弾を 数百発配備して米国側からみて、「北朝鮮を 攻撃すると、 核戦争になって米国が勝っても 米国も破滅的被害をこうむる」という 相互確証破壊の状態に持っていこうとしています。

その後に、米国は無論、中国やロシアに対しても、対等な関係を構築することが最終目的であると考えられます。

しかし、昨日もこのブログで掲載したように、このことを米中露が黙って見過ごし、北朝鮮のなすがままにさせておくということは考えにくいです。いずれ、米中露と北朝鮮の間のバランスは必ず崩れます。このバランスが崩れたとき、戦争になる確率はかなり高まります。おそらく、この戦争は直接的には、想定外の思いもかけないところから起こるものと考えられます。

この想定外は、悪いことばかりではありません。実はイノベーションも生み出します。経営学の大家ドラッカー氏はイノベーションについて以下のように述べています。
予期せぬ成功ほど、イノベーションの機会となるものはない。だが、予期せぬ成功はほとんど無視される。困ったことには存在さえ否定される。(ドラッカー名著集『イノベーションと企業家精神』)
経営者にはビジョンがあります。夢もあります。技術もあれば、ノウハウもあります。そして無事、新製品、新サービスを世に出します。当然買いに来てくれる人をイメージしています。

そこへ全く想定外の客が現れるのです。腹が立ちます。

しかしドラッカーは、「変な客が来たら、それが本命の客だ」といいます。予期せぬ客というカモがネギならぬイノベーションを背負ってきたもので、手厚くもてなさなければならないとしています。

ドラッカーの調べたところでは、成功したイノベーションのなかで最も多いケースが、この予期せぬ成功でした。

初めコンピュータは科学計算用として開発されましたた。そこへ事務用としての需要が見つかりました。事務用の購入先である企業を真っ先にとらえたのがIBMでした。

当時、技術的にIBMに先行していたユニバックは、企業という予期せぬ客のニーズに応えようとしませんでした。精緻な芸術品たるメインフレーム・コンピュータは、給与計算などという俗なもののために開発したのではありませんでした。
マネジメントにとって、予期せぬ成功を認めることは容易ではない。勇気が要る。同時に現実を直視する姿勢と、間違っていたと率直に認めるだけの謙虚さがなければならない。(『イノベーションと企業家精神』)
以上は、営利企業の例ですが、国家レベルでも同じことがいえると思います。日本にとっては、北朝鮮の振る舞いは想定外です。日本にとって、金正恩はそれこそ、想定外の客のようなものかもしれません。

エリンギ頭の金正恩
日本に脅威をもたらしアジアの秩序を乱す、とんでもない人物と多くの人が考えているに違いありません。

しかし、この想定外に対処するため、安倍総理は衆院解散に踏み切りました。東京都議会地域政党都民ファーストの会」(東京都知事小池百合子の支持基盤)が国政進出する形で「希望の党」が、小池に近い議員が中心となって2017年(平成29年)9月25日に結成されました。

そうして、「希望の党」と「民進党」の合流話が持ち上がりました。元民進党で、憲法改正には反対との意思を表明してしていた多く人たちが、希望の党への合流を求めています。となると、これから先どうなるかはわかりませんが、結果として、憲法改正に賛成する議員が増える確率が高まることになります。

これは、良い悪いは別にして、政治的イノベーションともいえる出来事ではないかと思います。さらに、安倍総理がこれから北の想定外に対処するために、様々な対策を打つことにより、さらなるイノベーションが生まれるかもしれません。

その最大のものは、昨日もこのブログに掲載したように、日本が「北朝鮮版ヤルタ会談」に参加して、北朝鮮崩壊後の処理に関与するということかもしれません。

これに参加すれば、事実上第二次世界大戦後に戦勝国によって決められた戦後秩序であるいわゆる戦後体制が終焉するかもしれません。

そうして、新たな秩序には、日本の意向も反映されることになるかもしれません。そうなると、日本は完璧に戦後体制の軛から開放されることになります。

その他、もしかすると、安全保障や、金融政策、財政政策、成長戦略の分野でも、新たなイノベーションが生まれるかもしれません。北朝鮮と事を構えるということにでもなれば、戦争中に増税などしていられないということで財務省も政府の意向に逆らえないかもしれません。戦争を遂行するためには、戦時国債を刷るということも考えられます。

戦略家のルトワック氏は、『戦争にチャンスを与えよ』という著書で、旧ユーゴ内戦、ルワンダ内戦、シリア内戦といった紛争において、実は「良心」や「正義感」や「人道的配慮」にもとづく国連やNGOや他国による中途半端な「介入」が、「戦争」を終わらせるのではなく、「戦争」を長引かせていると断言しています。

ルトワック氏
だからといって「戦争」を奨励しているわけではありません。「戦争」を無理に「停戦」させても、「戦争の火種を凍結する」だけだという事実を指摘しているだけなのです。「本当の平和は、戦争の当事者自身が戦争を倦むほど、徹底的に戦った後でなければ訪れない」としています。

そのルトワック氏は、日本の北朝鮮に対する対処は「降伏」か「先制攻撃」(=敵基地攻撃能力を有することとその実行)しかないとしています。中途半端は悪い結果しか招かないとしています。中国に対しても、「平和のためにこそ尖閣に武装人員を常駐させろ」「日本の「あいまいさ」が中国の誤解を生むと警鐘を鳴らしています。

日本は、北朝鮮の横暴と想定外に対処することにより、今までの戦後体制の軛から解かれ、様々なイノベーションを成し遂げることになるかもしれません。実際過去においては、日本人は様々な危機を乗り越えてきています。

明治維新は、海外の列強と伍していくために様々なイノベーションをもたらしました。戦後の復興も凄まじいものでした。

日本は危機を乗り越えるたびにイノベーションを成し遂げました。過去70年は、日本人は、拉致問題などはあったものの、比較的安穏に過ごしてきました。そのため、多くの日本人が平和ボケとでも呼べるような状況にありました。

しかし、北朝鮮の想定外の行動により、この状況は大きく変わりました。今後のこの危機を乗り越えるため、日本人が叡智を発揮して、様々なイノベーションがなされることを期待したいものです。

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