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2017年8月4日金曜日

「仕事師」ズラリ!“改造暗闘”舞台裏 中韓懐柔で河野外相起用、「石破潰し」へ側近入閣で“分断” ―【私の論評】まずは経済を良くして、国民の不安を払拭せよ(゚д゚)!

「仕事師」ズラリ!“改造暗闘”舞台裏 中韓懐柔で河野外相起用、「石破潰し」へ側近入閣で“分断” 

初閣議後の記念撮影に臨む安倍首相と閣僚=3日午後、首相官邸
安倍晋三首相が3日に第3次安倍第3次改造内閣を発足させた。内閣支持率が下落するなか、閣僚19人のうち入閣経験者11人で安定感と改革断行の姿勢を示し、自身と距離のある河野太郎前行革担当相を外相、野田聖子元総務会長を総務相兼女性活躍担当相、林芳正元防衛相を文科相に起用するなど「脱お友達」で挙党一致を目指した。「ポスト安倍」では、岸田文雄外相兼防衛相を自民党政調会長に抜擢(ばってき)して重用する一方、「反安倍」の急先鋒(せんぽう)である石破茂元幹事長の側近・周辺議員を閣内に取り込むなど、「石破潰し」ともいえる側面も見せた。

 「内閣と自民党に対し、国民の厳しい目が注がれている。私自身深く反省している。新たな気持ちで結果を出していくことによって、国民の信頼を勝ち得て、責任を果たしていきたい」

 安倍首相(自民党総裁)は3日午前、臨時総務会を党本部で開き、新体制で信頼回復に全力を挙げる考えを示した。確かに、今回の改造人事には、首相の「絶対に失敗できない」という危機感が現れていた。


 支持率下落の原因は、強引な国会運営や、未熟な閣僚による答弁がもたらした政治不信だ。閣僚の半分以上を経験者で固めたうえ、混乱が続く防衛省や文科省には、小野寺五典元防衛相や林氏といった、霞が関での評価の高い「仕事師」を置いた。6人を初入閣させ、60人を超えていた「入閣待機組」の不満も吸収した。検討された、大物民間人の起用は見送った。

 失言や暴言で自民党に多大なダメージを与えた、稲田朋美前防衛相や豊田真由子衆院議員の反省を示すため、安倍首相の出身派閥でもある細田派からの閣僚起用は極力控え、岸田派や麻生派にポストを振り分けた。

 「政権の骨格」となる麻生太郎副総理兼財務相、菅義偉官房長官は続投する。

 こうしたなか、巧妙な人事手腕も見せている。

河野太郎氏
河野氏の外相起用は、今回の内閣改造で最大のサプライズといえる。

 英語が堪能で、衆院外務委員長も経験し、議員外交にも熱心な河野氏は有資格者といえる。ただ、河野氏は「党内左派の首相候補」とみられており、保守の安倍首相とは政治理念で距離があった。

 河野氏を重要閣僚に抜擢した理由について、官邸周辺は次のように分析する。

 「行革担当相時代、内閣の方針には従うなど、まず『政治家・河野太郎』を信頼している。後ろから鉄砲を撃つ石破氏とは違う。河野氏の父は『親中派』『親韓派』として有名な河野洋平元外相であり、東アジア情勢が緊迫化するなか、中国や韓国を懐柔し、党内左派も落ち着かせる効果がある。保守派は批判するだろうが、河野氏としては、中韓が仕掛ける『歴史戦』の最前線に立ち、日本の名誉を守る重い責任を負うことになる」

 河野氏は3日朝、「政権というのは国民の未来を明るくするためにしっかり頑張るものだ。支持率は、それができていればついてくる」と語った。河野氏が外相として実績を残せば、岸田氏の次の世代のホープに浮上する。石破氏には「世代交代」を感じさせる人事といえる。

野田聖子氏
「反安倍の女性闘士」とみられた野田氏の起用も、巧妙だ。

 安倍首相と野田氏は1993年初当選の同期だが、「保守とリベラル」という政治理念の違いもあり、対立してきた。ただ、昨年11月、同期当選組が集まった席で、野田氏が「これからは『安倍・野田連合vs石破』でやっていこう」と、安倍首相に呼びかけたと伝えられる。

 「安倍首相としては、来年秋の党総裁選を見据えて、『反安倍』の石破-野田連合が構築されるのを防ぐ狙いもあったのでは。一種の分割統治ではないか」(官邸周辺)

 石破氏の側近・周辺議員も閣内に取り込んだ。

 農水相に決まった斎藤健農水副大臣は、石破氏率いる「水月会」の主要メンバー。国家公安委員長兼防災担当相の小此木八郎国対委員長代理と、地方創生担当相の梶山弘志元国交副大臣は、石破氏が立ち上げた「無派閥連絡会」に所属していた。

 安倍首相は追い込まれたなかでも、考え抜いた配置をしている。

 永田町関係者は「今回の内閣改造で、官邸は支持率が急上昇するとは思っていない。手堅く、一歩一歩、政策を実行していく構えだ。一方で、ドナルド・トランプ米大統領が北朝鮮攻撃も示唆するなか、日本は戦後最大の試練を迎える可能性がある。『政権の安定は不可欠』と考えており、幅広い人々に支持される人材を選んだ。『有事対応内閣』という側面もある」と語っている。

【私の論評】まずは経済を良くして、国民の不安を払拭せよ(゚д゚)!

共同通信社が3、4両日に実施した全国電話世論調査によると、安倍内閣の支持率は44.4%でした。前回7月の調査より8.6ポイント上昇しました。不支持は9.9ポイント減の43.2%で、ほぼ拮抗しました。今回の内閣改造、自民党役員人事を「評価する」との回答は45.5%で、「評価しない」は39.6%でした。

総務相に起用された野田聖子自民党元総務会長に「期待する」は61.6%で、「期待しない」は31.4%。外相に起用した河野太郎元行政改革担当相に「期待する」は55.6%、「期待しない」は34.8%でした。

内閣を改造した安倍晋三首相は経済再生を第一の課題に挙げました。今回の支持率の上昇は、この経済再生に対する期待の高まりであると考えられます。

しかし、各種経済調査では景気回復の判断が出ているものの、安倍政権が目指すデフレ脱却は、まだ実現していません。経済再生の道のりは、今のままでは容易でないでしょう。

安倍首相が政権交代を果たし、アベノミクスと呼ばれる経済政策を掲げたときは先行きに期待が生まれ、デフレの重い雰囲気が変わりました。それから5年近くが過ぎて当初の期待感は薄れています。

アベノミクスの当初の三本矢
その原因は、8%増税の大失敗ということは、様々な統計資料からみて明らかなのですが、増税推進派の財務省、マスコミや、多くの政治家、識者らは、多くを語りません。語れば、自分たちの失敗を認めなければならないからです。

そのためもあつてか、彼らの多くは増税の失敗を認めず、アベノミクスそのものが失敗したかのような印象操作を行っています。

そのため、当初の多くの国民の期待は、今や失望に変わろうとしています。安倍首相は厳しい現状を重く受け止め、期待を高める力を取り戻さなければならないでしょう。

デフレから抜け出すためには、平成31年10月まで増税延期というだけではなく、増税そのものをデフレから完璧に脱するだけでなく、経済に悪影響が出るほどのインフレにならない限り、無期限延期にすることを周知徹底すべきです。要するに、アベノミクスの初心に帰って、機動的な財政政策を実行することを宣言するのです。

その決意を誰にでもわかるように国民に対して示すために、消費税を5%に戻すことを宣言することなどによって、国民が将来に対して明るい予想を持てるようにすることが欠かせないです。これだけ、国民の期待感が薄れている中では、このくらいのことをしなければ、国民は納得しません。

日銀はデフレ脱却に向けて掲げた物価上昇目標の達成が遅れる要因として、企業と家計にデフレマインドが根強く残っていることを挙げていました。しかし、これは間違いです。多くの国民にデフレマインドが残っていることは事実ですが、それは、量的金融緩和が不十分だからです。

なぜなら、失業率が3%台を推移しており、最近は2%台になってはいますが、いまだ構造的失業率である2%台半ばにまで安定的に下がっていないからです。これが、安定して2%台半ばに下がるまで、追加の量的金融緩和を実施していないから、金融緩和によって雇用面では随分改善されたのですが、未だに実質賃金が目に見えてあがるという状況にはありません。

緩やかなインフレが実現すれば、たとえば同じ会社で同じ職位についていたとしても、20年もすれば賃金は倍になります。1年、2年では誤差のような上がり方かもしれませんが、20年もたつ目に見えて上がります。ただし、インフレですから、物価にスライドさせてみると、1.5倍くらいという感覚です。

また、非正規と正規労働者の賃金は、同じ仕事を同じ時間だけ実行した場合は、パート・アルバイトのほうが高くなります。これは、緩やかなインフレであれば、人で不足なので、短期の仕事の場合ある程度賃金を割高にしないと人手を集められないからです。

これは、デフレではない先進国では、ごく当たり前の状況です。かつてのデフレになる前の、大昔の日本でもそうでした。20年後という未来に対して、このように考えられるか、そうでないかでは、天と地の差です。

職位があがれば、さらに賃金は上がります。能力のある人、努力する人は賃金が20年で数倍になるということもあります。これが、デフレではいつまでたっても、賃金が上がらないどころか、下がるというのですから、夢も希望もありません。

しつこいデフレマインドを払いのけるためには、日銀が大規模な金融緩和を粘り強く続けるだけではなく、量的拡大必要不可欠です。追加の量的緩和効果の拡大に向けて、政府が財政出動で需要を増やす施策も検討すべきです。

今は内閣の支持率低下に伴って、安倍政権の経済政策を疑問視する声が台頭しています。しかし、ここで金融緩和を縮小し、緊縮財政に転じればデフレ脱却は遠のくは明らかです。経済最優先の政策を貫くためには、安倍首相が政権交代時の原点に立ち返って信頼を取り戻すことが何より大事です。

過去の金融緩和をはじめとする経済政策は確実に成果を出しています。景気回復のペースが緩やかなため実感がないという反応もありますが、求人倍率の上昇と失業率の低下は政策効果を明確に物語っています。雇用が悪化せずに、良くなっているのですから、安倍政権の経済対策は総体においては、うまくいったとみるべきでしょう。

実質賃金の向上など、雇用情勢がさらに目に見えて改善すれば経済再生は近いです。こうした期待を多数の国民が実感できるか否かの手腕の有無が首相に問われています。そうして、閣僚はこうしたことに安倍総理が専念できるように、与えられた役割を全うしていただきたいものです。

少なくとも、安倍総理の足手まといになるようなことだけは、絶対に避けていただきたいです。

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