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2017年1月22日日曜日

【トランプ大統領始動】「地球上で最も不誠実な輩」とさっそくメディア批判 トランプ氏、就任から一夜明け―【私の論評】分断されていた米社会、トランプ大統領登場で統合への対話が始まる(゚д゚)!

【トランプ大統領始動】「地球上で最も不誠実な輩」とさっそくメディア批判 トランプ氏、就任から一夜明け

21日、米バージニア州ラングレーのCIAで演説
するトランプ大統領 写真はブログ管理人挿入 以下同じ
トランプ米大統領は就任から一夜明けた21日朝、メラニア夫人やペンス副大統領とともにワシントン大聖堂での礼拝に参加した後、中央情報局(CIA)で職員を前に演説し、メディア批判を展開した。首都ワシントンやニューヨークなど全米各地では女性を中心とした大規模なデモが行われて数百万人が参加。トランプ氏の差別的な発言に対して抗議の声を上げた。

 トランプ氏はワシントン近郊にあるCIA本部を訪れ、「私とメディアは戦争状態にある。彼らは地球上で最も不誠実な輩だ」と述べる一方で、CIA職員を「1000%支持する」と語った。就任前、トランプ氏はロシア政府が自らの不都合な個人情報を持っているという内容を米情報機関がマスコミに漏らしたとし、「それはナチス・ドイツがやるようなことだ」と批判していた。

 メディア批判でトランプ氏が問題視したのは米情報機関との確執や、就任式行事への参加者数をめぐる報道。トランプ氏はCIAでの演説で聴衆が25万人にとどまったとする報道があったと指摘し、「嘘だ」と断言。「演説をしたときに見たが、100万人か150万人はいるようようだった」と述べた。

 オバマ前大統領の就任式には過去最高の約180万人が参加。今回の就任式には70万~90万人が訪れると見込まれていた。

ワシントン記念碑から見たトランプ氏の大統領就任式の写真(左)と2009年のオバマ氏の就任式の写真
 スパイサー大統領報道官も21日、ホワイトハウスで就任後初の記者会見を開き、「最大規模の観衆が就任式を目撃した。以上だ」と述べた。式典会場を管理する国立公園局が未集計のため「誰にも人数は分からない」として、メディアを非難。質問を受け付けずに記者会見を打ち切った。

「女性の行進」に向かってトランプ氏支持のタオルを振る女性(21日)
 ワシントンで21日に開かれた「女性の行進」には数十万人が参加した。

【私の論評】分断されていた米社会、トランプ大統領登場で統合への対話が始まる(゚д゚)!

トランプ氏は、ブログ冒頭の記事で、「私とメディアは戦争状態にある。彼らは地球上で最も不誠実な輩だ」と述べていますが、これは本心でしょう。

日本のメデイアでは、あたかもトランプ大統領の登場によって、アメリカ社会が分断されたかのように報道しています。しかし、これは真っ赤な大嘘です。

アメリカ社会はトランプ氏の最近の台頭よりはるか以前から分断されていました。どのように分断されていたかというと、リベラル・左派と保守派の2つに大きく分断されてきました。正確な統計などはないのでわかりませんが、実数でも大きく半分にわかれていたと思われます。

アメリカ大統領選挙の結果 赤がトランプ氏が勝利を収めた州

しかし、今回の選挙の前までは、この事実が埋もれていて、一部の人を除きアメリカでも多くの人に知られることはありませんでした。

なぜ、そのようなことになったかといえば、このブログでも過去に何度か掲載してきたように、アメリカのメディアの9割は、リベラル・左派によって占められており、保守は1割程度に過ぎないため、保守派の人々が声をあげても、それはリベラル・左派のメディアには取り上げられることはほとんどなく、取り上げるのはほとんど全部がリベラル・左派の考えや主張だからです。

これを日本にたとえると、大手新聞なら産経新聞は存在せず、朝日新聞や毎日新聞のようなメディアだけが存在している状況です。テレビ局では、フォックスTVのみが保守系で、あとはすべてがリベラル・左派メディアです。

このような状況ですから、保守の声はかき消され、リベラル・左派の声ばかりが報道されるという状況なのです。

米メデイアはほとんどがリベラル・左派であり著しく偏っている
メディアがそのような状況ですので、学校や、企業などにおいても、リベラル・左派の考えが主流であり、保守系の考えはなきがごとくにみなされてきました。

アメリカの保守派は、ルースベルト大統領はソ連と手を結び、共産主義と対峙していた日本と戦争をした愚かな大統領として批判する人々も多いのですが、リベラル・左派の考えでは、ニューディール政策でアメリカ経済を建て直し、第二次世界体制を勝利に導いた英雄という見方をしています。

そのせいでしょうか、たとえば米国歴史学界においては、ルーズベルトを礼賛しないと学界にはとどまってはいられないそうです。そのため、まともな歴史研究をするためには、保守系のシンクタンクや、軍の研究機関に入るしかありません。

さて分断といえば、マイノリティとマジョリティによる分断、あるいは1%の富豪とそれ以外の分断、さらには白人と黒人の分断、いくらでもあります。アメリカ社会は、戦後ずっと分断され続けてきたのです。そうして、その中でも最大のものが、リベラル・左派と保守の分断でした。そうして、この分断はまるで存在しないかのような扱いを長い間受けてきました。

これに対して異議を申し立てたのがトランプ氏とトランプ支持者なのです。

トランプ支持者を一刀両断的に「プアーホワイト」のひと言で片づける論調もありましたが、決してそうではなかったことが今回の大統領選挙で明らかになったのです。アメリカ人のなかでも心ある人は、声に出さなくともトランプ氏の言葉に共感しています。今までのアメリカ大統領候補は「アメリカを否定」してきたからです。 

リベラル・左派は結果としてアメリカの国民のことは考えていませんでした。代わりにアメリカの富豪による世界戦略を考えてきたのです。

アメリカでのトランプ台頭について「ヨーロッパにおける醜い民族主義」などと評されることがありました。

「ヨーロッパで今台頭している醜い民族主義とアメリカのトランプ氏の主張は、どちらもポピュリズムであり、同じものである」という主旨です。私もトランプ現象とヨーロッパで起きていることは底流で結びつくものであるとは思います。

しかし、それは醜い民族主義でも不健全なポピュリズムでもありません。むしろ健全だと思います。

トランプ氏の主張はポピュリズムではない
無論、トランプ氏自身の言葉に現われている過激な側面を礼賛しているわけではありませんし、もちろん、トランプ氏を支持しているアメリカ人が不健全ということでもありません。また、大量の移民受け入れに反対しているヨーロッパの人たちが醜い民族主義者であるともまったく思いません。

しかし、世界のメディア、あるいは言論界、無論日米のそれもたいていこのような観点から見ているのです。彼らはずっと無条件で移民受け入れが良いことであると言い続けてきました。さらに移民に対して無条件に賛成しない人たちやそれを支持する人々をポピュリズムだと決めつけ、保守派の大衆を見下してきました。私たちはそういうメディア、またメディアに巣食う知識人の「きれいごと」に洗脳されてきたのです。

例えば「人権を守らなければならない、人種差別をすべきではない、性差別をすべきではない」という言い方があります。こうした意見に対しては誰も反対できません。しかし、こういうきれいごとと、アメリカやヨーロッパの現実には大きな乖離があります。

こうした乖離について内外の言論人はほとんど取り上げませんでした。だからこそトランプ氏の発言に支持が集まったのです。

移民の問題については、非常にわかりやすいのと、時宜にあっているので、述べましたが、ご存知のようにリベラル・左派と保守の間には他にも、改革をするための進め方や手続き、伝統的な価値観、世界観、安全保障の面でも大きな隔たりがあります。

私たちが注意しなければならないのは、現在のリベラル・左派の「頭のなかで考えていることが、現場の現実とは乖離している」ということです。そうして、問題は「ポピュリズム」まったくのレッテル貼りであるということです。大衆迎合的ということは、すでに価値判断が入ってしまっているということです。迎合という言葉も、大衆という言葉も“上から目線”になっているのです。

米国では上から目線のリベラル・左派の考えが主流だった
この上から目線というのは、移民やその他マイノリティーを守ること、伝統的価値観を捨てて、新しい価値観を受け入れることが、現場の現実からかけ離れていることもあるのに、それを絶対善として、疑問の余地がなく全く正しいものとみなすという偽善的、独善的態度のことです。

無論、リベラル・左派の考え方が何もかも間違いなどというつもりも毛頭ありません。そういう言い方をしてしまえば、現在のリベラル・左派の上から目線と同じことになってしまいます。それは決して生産的なことではありません。

しかし、ここ数十年においては、あまりにリベラル・左派の考え方が、特に米国では強くなりすぎました。あまりに強くなりすぎれば、揺り戻しがあるのは当然です。この揺り戻しが、現在米国で起こっていることなのです。

その揺り戻しのを象徴するのが、今回の米国の大統領選の結果なのです。この背景を理解していなければ、これからのアメリカの政治・経済そうして社会の変化は、全く理解できません。

さて、アメリカ大統領選挙において、トランプ氏が勝利したため、アメリカの人口の半分くらいは存在する保守派の存在が明らかになったと思います。

しかし、これは選挙でそういう結果が出たというだけであって、現在の時点ではまだまだ、アメリカではリベラル・左派の考えが主流です。

アメリカの国民の半分を占める保守派の声は、現在のアメリカ社会ではまだ浸透していません。職場でも、学校でも、メディアの世界でもリベラル・左派的な考え方が主流です。

ただ、政治の世界だけが、大統領がリベラル・左派のオバマ氏から保守派のトランプ氏に変わります。議会も、概ね保守派の共和党が主流派になります。ただし、共和党が全部保守というわけでもありません。それは、日本の自民党の中も保守だけではなく、リベラル・左派の議員も存在するのと同じです。

そういう状況の中では、保守派でトランプ支持派の人々も、自分の職場や学校などの周りの人に配慮して、自分は保守派で、トランプ氏支持派であるとは、面と向かって言い難い雰囲気があるのだと思います。

だからこそ、トランプ氏の就任演説のときの聴衆はオバマ氏のときと比較して少ないのでしょう。

「LOVE TRUMPS HATE」と書かれたTシャツを着た選挙当日のガガ
また、このような変化を理解できない人々が、トランプ大統領反対デモを開催したり、それに参加したりするのです。そうしていわゆるセレブの反トランプデモですが、それをやるなら自分の収入の大半を経済的困窮者に寄附せよと言いたくなります。これは、日本国内での自称インテリが一銭も金を出さずに「文楽を守れ!」と口だけでカッコつけていたのとよく似ています。空虚な言葉より行動をという、トランプ大統領の就任演説の言葉が身に染みます。

しかし、トランプ大統領が登場して時がたてば、まずはマスコミが報道姿勢を変えざるを得なくなります。なぜなら、トランプ大統領の考えは保守的であり、それを報道しなければ、報道機関としてまともに機能しているとはいえません。

そうして、現在米国ではトランプ氏のツイッター発信にメディアが大慌をしています。なぜならオバマ氏とメディアのリベラル・左派同士の協調関係がなくなり、これからは取材力・評論力による完全実力競争時代に突入するからです。以前のように上から目線の取材ではトランプ大統領は納得しないでしよう。ある程度以上の力がなければ記事を作れなくなるのです。

米国メディアは、これからは変わらざるをえないでしょう。米国保守を無視した報道はできなくなります。また、米国の保守は、リベラル・左派の失敗を繰り返すべきではありません。右だろうが、左だろうが、その時々において、良いものは良いし、悪いものは悪いのです。また、良いものが永遠に良いはずもなく、その逆に悪いものが、永遠に悪いものであり続けるということもないのです。

そうなると、一般社会も保守派の考え方にも耳を傾け、良いもの、まともなものは受け入れられるようになると思います。これから、本当の対話が始まるのです。トランプ大統領の登場により、分断したアメリカは、はじめて対話の緒をつかむことができたのです。もしトランプ大統領が登場しなければ、そのような機会はさらに遠のいたことでしょう。

リベラル・左派の人々も、トランプ登場をそのように考え、自分たちの考え方だけが、絶対善であるというような考え方はやめて、保守の人々とまともに対話をすべきです。そうでなければ、この変化についていくことはできません。態度を変えなければ、変化についていくことの出来ないただの認知症で妄想を信じる老人と同じです。

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